JP2017521642A - 細胞含有液体サンプルのための固定用組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞の、特に、液体サンプル中での固定に適したホルマリン非含有固定用組成物、生物学的サンプルの処理のための上記固定剤の使用、細胞含有液体サンプルの処理のための方法、上記固定剤を含むキットおよび細胞含有生物学的物質サンプルの診断のための方法に言及する。一局面において、ホルマリン非含有固定用組成物が提供され、上記組成物は、i)エタノールもしくはイソプロパノールから選択される、30〜70容積%のアルコール、ii)2〜15%の有機酸、iii)i)とは異なる10〜30%のヒドロキシル化合物、iv)少なくとも10容積%の水を含み、2〜5の範囲のpHを有する。

Description

この発明を導いた研究は、助成金契約番号222916、SPIDIAプロジェクトの下、欧州共同体のSeventh framework Programme(FP7/2007−2013)からの資金供与を受けた。
本発明は、細胞の、特に、液体サンプル中での固定に適したホルマリン(formaline)非含有固定用組成物、生物学的サンプルの処理のための上記固定剤の使用、細胞含有液体サンプルの処理のための方法および上記固定剤を含むキットに言及する。
生物学的物質を固定するための非常に多くの固定剤が公知である。それらのうちの大部分は、組織のような固体サンプルについて記載されている。しかし、液体サンプル中に含まれる生物学的物質を固定する機会があることも重要である。それによって、細胞の形態および組織学、ならびに上記サンプル細胞の分子生物学的内容物が維持される。細針吸引は、例えば、表面的なしこりもしくは塊を調査するために使用される侵襲性の低い診断手順である。この技術において、細胞をサンプリングするために、細い中空のニードルが上記塊の中へと挿入される。細針吸引物はしばしば、小さな組織サンプルおよびリンパ液もしくは血液のような体液中の単一の細胞の混合物からなる。細針吸引(FNA)生検を使用する細胞診の標準的手順は、吸引後直ぐに上記吸引物のうちの一部をスライド上に塗抹することである。上記塗抹物は、風乾および染色され得るか、またはそれらは、例えば、95% エタノールで固定され得、続いて、染色され得る。他の技術は、ホルマリン中での上記FNAサンプルの細胞の固定およびパラフィン包埋細胞ブロックの調製を要する。
両方法は、分子分析のために制限された用途を有する。風乾もしくはアルコール固定された塗抹物からの生体分子精製は、行いにくく、しばしば低い収量および品質を生じる。ホルムアルデヒドを含む固定剤は、生体分子において架橋および改変を誘発し、このことは、感度の高い下流の適用(例えば、定量的PCR)において阻害をもたらす。
分子試験のためのFNA標本を保存するための他の方法(例えば、低温保存もしくはアルコール中での液体ベースの固定)は、細胞の形態を損なうかもしくは破壊しさえする。アルコールベースの固定剤は、細胞サンプルが液体ベースであり(単層として増殖しているかもしくはスライド上に塗抹されている固形組織中の細胞とは対照的に)かつ液体固定剤中で固定される場合には、細胞の、すなわち、細胞の細胞質の激しい収縮をもたらす。
細針吸引(FNA)生検は、開放系の外科的生検(open surgical biopsy)と比較して、最小限に侵襲性の技術である。それは、例えば、乳房、甲状腺、リンパ節、および他の器官において同定される良性および悪性の、触診可能および触診不能な病変の診断のための感度の高い安価な技術である。FNAサンプルは、血液(70%まで)、単一の細胞および多かれ少なかれ、細胞凝集物の小片を含む液体である。FNAサンプルの細胞学的検査のための最も一般的な方法は、引き込んだ直後に、顕微鏡スライド上に小容積の上記FNAを塗抹することである。使用される予定の染色の要件に従って、上記塗抹物は、メイ/グリュンワルド/ギムザ、ディフ・クイック、ギムザなどのような血液学的染色のために風乾されるか、またはパパニコロウ(pap)に従うかもしくはヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)による染色のためにアルコール固定において固定されるかのいずれかである。最も一般に使用されるアルコール性固定剤は、95% エタノールであるが、市販のスプレー固定剤もまた、数種存在する。
液体FNAサンプルをスライド上に塗抹する代替として、細胞はしばしば、遠心分離によって集められる。その得られた細胞ペレットは、例えば、ホルマリンもしくはFinefix(登録商標)のようなホルマリン非含有固定剤で固定され得、再び遠心分離され得、その固定された細胞ペレットは、例えば、アガロースと混合されて、固体マトリクスを形成する。この固体マトリクスは、組織サンプルのように処理され得る、すなわち、それはカセットの中に入れられ、加工処理され、パラフィン包埋される。このような細胞ブロックの切片は、H&Eで、もしくは免疫組織化学アッセイで染色され得る。細胞ブロック技術の利点は、1つのFNAサンプルに由来する複数の切片が、異なって染色され得ることである。欠点は、その手順が行いにくく、多くの装置を要し、数日間かかることである。
疾患の診断および分類のためのサンプルの分子試験は、より一般的になりつつあり、ますます重要になっている。従来の細胞学的染色の残りの、FNA生検由来の残余物質は、分子試験に使用され得る。しかし、その残りの液体物質が、例えば、市販の固定剤で直接固定される場合、上記物質は、細胞学的再試験にはもはや使用され得ない。なぜなら細胞の形態が破壊されているからである。
細胞ブロックの切片からの生体分子の抽出は、可能であるが、その技術は、時間を浪費し、生体分子は、大部分は分解され(特に、ホルマリン固定サンプルからのものは)、このようなサンプルからの生体分子の収量は、一般に非常に低い。さらに、上述のように、ホルマリンは、タンパク質および核酸のような生体分子を架橋によって化学改変し、生体分子分解および下流の適用の阻害をもたらす。
考えられる解決策として、スライド調製からの残りのFNAサンプル物質を低温保存することが近年示唆された(Ladd et al., Cancer Cytopathology 2011 Apr 25;119(2):102−10)。この方法は、いくつかの重大な欠点を有する。なぜなら臨床環境では、低温流通体系(cooling chain)を維持することは事業計画的に困難かつ高価であるからである。さらに、形態、ならびにRNAのような敏感な生体分子は、細胞を解凍することによって損なわれる。
いくつかの試薬組成物、ならびにアルコール性薬剤および/もしくは架橋剤に基づく方法が細胞形態および生体分子を安定化すると記載されているという事実にも関わらず、細胞形態およびその生体分子が保存されるという点で、生物学的流体からの単一の細胞もしくは小さな細胞塊(cell−lump)の、液体固定剤中での直接固定および保存に利用可能な解決策は、現在存在しない。例えば、US7,138,226 B2では、細胞は、細胞学のために加工処理され得ることが言及されるが、どのようにしてこれが達成され得るかは説明されていない。US2010/0068690では、いくつかの生物学的サンプルにおいて(数ある中で、FNAサンプルも)リンタンパク質および細胞形態の保存のための組成物が記載されている。しかし、FNAサンプル中のリンタンパク質に関する安定性のみが示されているが、安定化された細胞が、細胞学的染色によって調査され得るか否か、およびどのように調査され得るかは示されていない。EP 1 455 174 A1では、無傷のタンパク質および核酸の回収とともに、組織の形態評価を可能にする固定剤が記載され、これは、細胞学的調製物のために使用され得ることが言及される。しかし、繰り返すと、これは、スライド上に塗抹されたFNAについて記載されているに過ぎない。
本出願人の実験は、利用可能な固定剤が、溶液中の細胞が上記固定剤と混合される場合に、細胞の、特に、細胞質部分の激しい収縮をもたらすことを示した(実施例を参照のこと)。既存の固定剤で未解決の別の問題は、血液タンパク質沈殿の回避に言及する。FNAサンプルはしばしば、多量の全血(サンプルタイプに依存して70%まで)を含む。沈殿した血液タンパク質は、スライド上で塗抹される場合に細胞形態をわかりにくくし得る(実施例を参照のこと)。
米国特許第7,138,226号明細書 米国特許出願公開第2010/0068690号明細書
Laddら、Cancer Cytopathology(2011年4月25日);119(2):102〜10
同じ細針吸引標本から、分子試験および伝統的な細胞学的試験の両方を可能にするために、高い含有量の全血の存在下ですら、しかし、従来の細胞学的染色法に干渉することなく、分子内容物の安定化および液体サンプル中の細胞形態の保存を提供する、液体ベースの固定のための試薬および方法が必要とされている。
この目的は、請求項1に従うホルマリン非含有固定用組成物、生物学的細胞含有サンプルの処理および/もしくは貯蔵のための上記組成物の使用、ならびに細胞含有液体サンプルの処理のための方法(ここで集められた液体サンプルは、上記固定組成物と少なくとも部分的に接触させられ、混合される)を提供することによって満たされる。上記固定用組成物および必要に応じて上記処理法を行うために適したさらなる手段は、キット中に提供され得る。このような調製されたサンプルは、次いで、例えば、任意の公知の方法による生体分子単離、サンプル/細胞染色またはサンプル包埋もしくは浸透のために使用され得る。
本発明によれば、細胞形態および生体分子が保存されるという点で、細胞、例えば、腫瘍細胞、全血および種々の他の細胞タイプのような、細胞の混合物を含む液体生物学的サンプルの固定および保存のための組成物が記載される。さらに、上記液体生物学的サンプルは、固形組織の小片を含み得る。
さらに、方法は、従来の診断ワークフローに干渉せずに、細胞学的染色および生体分子精製のための液体細胞含有サンプル、例えば、細針吸引標本を固定するために上記組成物をどのように使用するかに関して記載される。例示されるワークフローは、上記組成物で満たされた収集デバイスの使用を含めて記載される。
本発明のさらなる局面は、加工処理方法においてこのように調製されたサンプルの使用、細胞学的染色のために、またはその固定されたサンプルからの生体分子、例えば、核酸の抽出のために、アリコートをどのように使用するかに言及する。
本発明に従うホルマリン非含有固定用組成物は、以下:
i)エタノールもしくはイソプロパノールから選択される、30〜70容積%のアルコール、
ii)2〜15%の有機酸、
iii)i)とは異なる10〜30%のヒドロキシル化合物、
iv)少なくとも10容積%、好ましくは少なくとも15容積%の水、
を含み、2〜5の範囲のpHを有する組成物によって表される。
好ましくは、上記組成物は、ホルマリンもしくはホルムアルデヒドをいかなる他の形態においても含まないのみならず、一般に、架橋性の固定剤をも含まない。さらに、上記組成物はさらに、アセトンも含まない。その最も容易な実施形態において、上記組成物は、上記成分i)〜iv)からなっている。しかし、いずれにしても、アルカリ化合物もしくは緩衝剤は、pH調節のために(必要に応じて、化合物i)〜iv)に加えて)使用され得る。
化合物i)は、アルコールであり、ここで上記アルコールは、エタノールもしくはイソプロパノールから選択される。両方の上記アルコールは、例えば、メタノールより、上記細胞の微量の収縮を生じることが見出された。上記アルコールは、30〜70容積%の量で含まれ、ここでアルコールの両方のタイプが使用される場合、これは、その合わせた量を表している。好ましくは、上記アルコールは、40〜60容積%の量で、より好ましくは、50%の量で含まれる。好ましいアルコールは、エタノールである。
本願の中で、範囲が与えられる場合(例えば、「30〜70容積%」)、それは、これが上記範囲内の任意の量を意味し、同様に開示されている(これは、31容積%、32容積%、33容積%、34容積%、35容積%、36容積%、37容積%、38容積%、39容積%、40容積%、41容積%、42容積%、43容積%、44容積%、45容積%、46容積%、47容積%、48容積%、49容積%、50容積%、51容積%、52容積%、53容積%、54容積%、55容積%、56容積%、57容積%、58容積%、59容積%、60容積%、61容積%、62容積%、63容積%、664容積%、65容積%、66容積%、67容積%、68容積%および69容積%である)ことが理解されるものとする。
化合物ii)は、有機酸であり、好ましくは、弱い有機酸である。本発明に従う弱い有機酸とは、好ましくは、2〜12、より好ましくは3.5〜8、最も好ましくは4〜7.5のpKa値を有する酸を意味する。より好ましくは、上記有機酸は、アミノ酸、もしくはカルボン酸(モノ−、ビ−、トリ−、ポリカルボン酸)の群(例えば、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、最も好ましくは酢酸もしくはプロピオン酸)に属し、ここで酢酸は、特に好ましい。上記有機酸は、2〜15%の量において(これは、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%もしくは14%の量において、またはその間の量において、もまた意味する)、好ましくは、4〜15%、より好ましくは、4〜10%の量において、および最も好ましくは、6〜10%の量において、上記組成物に含まれる。有機酸の1より多くのタイプが使用される場合、その言及される量は、合計量である。上記与えられる量が、%(v/v)単位にある(液体成分が使用される場合、例えば、氷酢酸(glacial acid))か、または%(wt/v)単位にある(固体化合物が添加される場合)かのいずれかであることは、理解されるものとする。
化合物iii)は、ヒドロキシル化合物であり、これは、少なくとも1個の遊離ヒドロキシル基を有する化合物を意味するが、上記化合物が糖ではなく、特に、トレハロースでないことは、好ましい。好ましくは、化合物iii)は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジオールもしくはトリオールであり、ここでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)は特に好ましい。
ジオールもしくはトリオールの例は、以下である:1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチル(diemthyl)−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジヒドロキシアセトン(dihydroxyaceton)、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3−メトキシ−1,3−プロパンジオール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオール、3−メトキシ−2,3−プロパンジオール、2−メトキシメチル−1,3−プロパンジオール、3−エトキシ−1,3−プロパンジオール、3−エトキシ−1,2−プロパンジオール、3−エトキシ−2,3−プロパンジオール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−オクタンジオール、1,4−オクタンジオール、1,5−オクタンジオール、1,6−オクタンジオール、1,7−オクタンジオール、1,2−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ウンデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタエチレングリコール、ペンタプロピレングリコール、ヘキサエチレングリコール(hexaethylenglycol)、ヘキサプロピレングリコール(hexaapropylenglycol)、ヘプタエチレングリコール(heptaethylen−glycol)、ヘプタプロピレングリコール、オクタエチレングリコール、オクタプロピレングリコール、ノナ−エチレングリコール、ノナプロピレングリコール、デカエチレングリコール、デカプロピレングリコール、cis−もしくはtrans−1,2−シクロ(cylo)ペンタンジオール、cis−もしくはtrans−1,3−シクロペンタンジオール、cis−もしくはtrans−1,2−シクロヘキサンジオール、cis−もしくはtrans−1,3−シクロヘキサンジオール、cis−もしくはtrans−1,4−シクロヘキサンジオール、cis−もしくはtrans−1,2−シクロヘプタンジオール、cis−もしくはtrans−1,3−シクロヘプタンジオール、cis−もしくはtrans−1,4−シクロヘプタンジオール、1,2,3−シクロペンタントリオール、1,2,4−シクロペンタントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオール、1,2,4−シクロヘキサントリオール、1,2,3−シクロヘプタントリオール、1,2,4−シクロヘプタントリオール、1,2,3−プロパントリオール、3−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ヒドロキシメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−ブタントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、2,3,5−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘプタントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、1,2,3−オクタントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,3−ノナントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,3−デカントリオール、1,2,10−デカントリオール、1,2,3−ウンデカントリオール、1,2,11−ウンデカントリオール、1,2,3−ドデカントリオール、1,1,12−ドデカントリオール、2,2,−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,3,4−ブタンテトラオール、1,2,3,4−ペンタンテトラオール、1,2,3,5−ペンタンテトラオール、1,2,3,4−ヘキサンテトラオール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,2,3,4−ヘプタンテトラオール、1,2,3,7−ヘプタンテトラオール、1,2,3,4−オクタンテトラオール、1,2,3,8−オクタンテトラオール、1,2,3,4−ノナンテトラオール、1,2,3,9−ノナンテトラオール、1,2,3,4−デカンテトラオール、1,2,3,10−デカンテトラオール、トリメチロールプロパノール、ペンタエリスリトール、糖様マンニット、ソルビトールもしくはアラビトール、ヘキサンヘキサオール(hexanehexol)、1,2,3,4,5−ペンタンペンタオール(pentanepentol)および1,2,3,4,5,6−ヘキサンヘキサオール。最も好ましいさらなる成分は、以下のようなジオールおよび/もしくはトリオールである:1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、グリコール;およびポリエチレングリコール(PEG)。上記PEGは、好ましくは、周囲温度より低い融点を有する。それは、約800ダルトンもしくはより小さい、好ましくは、約600ダルトンもしくはより小さい、より好ましくは、約400ダルトンもしくはより小さい、およびさらにより好ましくは、約300ダルトンもしくはより小さい平均分子量を有し得る;上記平均分子量は、0〜約800ダルトンの間、約100〜約600ダルトンの間、もしくは約200ダルトン〜約400ダルトンの間であり得る。用語「約(about)」とは、PEGの平均分子量に言及する場合、10ダルトン、25ダルトンもしくは50ダルトンの変動が許容可能であることを意味する。より高い分子量のPEG(例えば、1000の平均分子量もしくはより高い)は好ましくないが、それらは、分子量分布のうちの5%、10%もしくは20%未満の量で存在してもよい。PEG 400の融点は、約4℃〜約8℃であり、PEG 600は、約20℃〜約25℃である。上記組成物中で使用されるPEGの融点は、37℃もしくはより低くても、32℃もしくはより低くても、27℃もしくはより低くても、22℃もしくはより低くても、15℃もしくはより低くても、10℃もしくはより低くても、または5℃もしくはより低くてもよく;融点が低いほど好ましい。
化合物iii)を表す好ましい化合物は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、またはジオールもしくはトリオールであり、上記ジオールもしくはトリオールは、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、およびジプロピルグリコールから選択され、ここでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)は、特に好ましい。
上記組成物中の成分iii)の合計量は、10〜30%(11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%を含む)であり、ここで先に言及される化合物の組み合わせが使用され得る。化合物iii)の好ましい量は、15〜30%であり、特に好ましいのは、20%である。その与えられる量が、%(v/v)単位にある(液体成分が使用される場合)か、または%(w/v)単位にある(固体化合物が添加される場合)かのいずれかであることは、理解されるものとする。
化合物iv)として、上記組成物は、水、特に、蒸留水もしくは再蒸留(dd)水またはウルトラクリーン水(ultraclean water)を含む。「ウルトラクリーン」とは、水が、RNAsesおよび上記生物学的物質の細胞もしくは生物学的(高)分子の安定性に影響を及ぼす他の残余物を、本質的に含まない、好ましくは完全に含まないことを意味する。「本質的に含まない」とは、0.1%より少ない、好ましくは、0.01%より少ない、より好ましくは、0.001%より少ない、および特に好ましくは、0.0001%より少ない(wt/vもしくはv/v)夾雑物が水の中に含まれることを意味する。
上記水は、上記組成物に、少なくとも10容積%、好ましくは、少なくとも15容積%、さらにより好ましくは、少なくとも20容積%の量で添加され、最も好ましくは、水は、100%になるまで帳尻を合わせた量で、上記組成物に添加される。
その最終組成物のpH値は、pH2〜pH5の範囲に(範囲、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9を含む)、(好ましくはpH2〜pH4、より好ましくは、pH2.1〜3および特に好ましくは、pH2.2〜2.5の範囲に)あるものとする。上記pHは、多量の酸に起因して、化合物i)〜iv)の組み合わせによって得られるか、またはさらなる酸もしくは適切な塩基性化合物(例えば、NaOH)の添加によって調節され得るかのいずれかである。さらに、上記pHは、望ましいpH範囲において緩衝化する、上記組成物に含まれる適切な緩衝剤(例えば、酢酸Na)によって調節され得る。
最も単純な実施形態において、上記組成物は、ここまでで述べられるように、さらに多くの成分を含まず、従って、上記組成物は、成分(i)〜iv)および必要に応じてpH調節因子から本質的になる。「本質的になる」とは、0.1%未満、好ましくは、0.01%未満、より好ましくは、0.001%未満、および特に好ましくは、0.0001%(wt/vもしくはv/v)未満のさらなる成分もしくは夾雑物が、上記組成物中に含まれることを意味する。
上記固定用組成物は、生物学的細胞含有サンプルの、特に、液体サンプルに関しての、処理および/もしくは貯蔵のために使用され得る。このようなサンプルは、水性溶液、例えば、緩衝液または細胞培養培地中に細胞を含む液体サンプル;任意の体液もしくは体液の混合物、例えば、血液(全血もしくは選択的に精製された血液部分)、血清、血漿、脳脊髄液(分泌液(liquor))、尿、精液(sperm)、リンパ液、涙液、唾液、痰、滲出液、腹水、または任意の固形組織(すなわち、腫瘍組織)から解離された細胞;環境水サンプル;食品もしくは飲料サンプルあるいは類似物であり得る。本発明によれば、目的のサンプルは、細胞、特に、ヒトもしくは動物の細胞、例えば、哺乳動物もしくは昆虫の細胞;植物細胞;微生物(例えば、細菌、酵母、原生生物、藻類もしくは真菌)を含むそのようなサンプルである。
好ましい生物学的サンプルは、生体分子、例えば、核酸(例えば、RNA、特に、mRNA、siRNA、miRNA、snRNA、tRNA、hnRNAもしくはリボザイム、DNA、特に、ゲノムDNA、プラスミドもしくはオルガネラのDNA、合成もしくは改変の核酸あるいはPNA(ペプチド核酸));タンパク質もしくはオリゴペプチド、特に、酵素、ホルモン、増殖因子;あるいは他の目的の生体分子を含む細胞を含むそのようなものから選択される。
上記サンプルはさらに、ウイルス、ウイロイド、プリオン、脂質、炭水化物、オリゴサッカリド、ポリサッカリド、プロテオグリカン(proteoglucanes)、糞便物質、ふけ、毛髪、皮膚断片、代謝生成物、オルガネラ、例えば、クロロプラストもしくはミトコンドリア、小胞もしくは類似物を含み得る。
細胞は、単一の細胞、細胞凝集物としてサンプル中に、または組織/組織断片、もしくはそれらのうちのいずれかの混合物中に含まれ得る。好ましいサンプルは、細胞懸濁物および/もしくは小さな組織断片、例えば、器官の吸引に由来する細針吸引物、もしくは体腔の洗浄物を含むそのようなものである。上述のように、細針吸引は、液体および組織/細胞の生物学的サンプルを調査するために使用される侵襲性の低い診断手順である。この技術において、細い中空のニードルが、細胞をサンプリングするために、上記塊の中に挿入される。細針吸引物はしばしば、小さな組織サンプルおよびリンパ液もしくは血液のような体液中の単一の細胞の混合物からなる。細針吸引によって得られ得る任意のサンプルは、本発明によれば好ましく、ここで哺乳動物の身体のサンプルは、特に好ましい。このようなサンプルとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:甲状腺、リンパ節、膵臓、乳房、肺、肝臓、表在性の(皮膚直下の)しこりもしくは塊、分泌液、脳、脾臓、胃、心臓、腸、胆嚢、膀胱、腎臓、筋組織、結合組織のサンプル。細針吸引の全ての一般的な取り扱い工程もしくは特徴(例えば、本願の導入部分において上記で説明されるもの)は、本発明に従って行われ得る。
細胞は、酵素および/もしくは機械による離解によって単離され得る。保存および/もしくは貯蔵の前に、維持もしくは増殖のために、生きている細胞として培養された細胞懸濁物が、使用され得る。固定溶液と接触させる前に、上記サンプルの細胞は、例えば、ペレットへと遠心分離することによって、または任意の他の一般に公知の手段によって、洗浄および/もしくは集められ得、それらは、スライドもしくは他の基材上に集められ得る。
血液および他の単一細胞懸濁物に関しては、細胞は、沈降法もしくは密度勾配遠心分離法、被覆されたもしくは被覆されていないプラスチックプレート上でのパニング、またはこれらの組み合わせによって、濃縮もしくは集められ得る。好ましくは、上記細胞は、細針吸引物中に含まれるヒトもしくは動物の身体の細胞であり、これは、疾患に罹患しているかもしくはその疑いのある(正常もしくは病的な)動物もしくはヒト被験体から得られる、癌性の(良性もしくは悪性)または前癌性のものであってもよいし、他の病状に罹患していてもよい。従って、特に、安定化されるか、貯蔵されるか、そして/または処理されることになっている上記細胞は、好ましくは、それらが採取される身体に主に由来する。しかし、これは、それらが採取される身体以外の他の供給源に由来する、上記サンプル中にさらに含まれる細胞が存在し得る(例えば、微生物もしくはウイルス)ことを排除しない。上記細胞は、剖検もしくは生検(例えば、カテーテル法もしくは瀉血)または他の流体収集によって得られ得る。細胞(特に、予め収集されるか、もしくは上記サンプル内になおあるかのいずれか)は、好ましくは、上記固定用組成物と、身体から取り出された後の1〜30分以内でもしくはインビトロ培養で接触させられるが、この時間は、それらを氷上で冷却することによって延ばされ得る。さらに、保存および/もしくは貯蔵された細胞が使用され得るが、これは、あまり望ましくない。
上記固定用組成物と接触させる前もしくは固定後のいずれか、またはその両方で上記サンプルの一部は、細胞学のために加工処理され得る。固定前に、上記サンプルの一部は、スライド上に塗抹され得、染色ありもしくはなしで、顕微鏡検査され得る。検出可能である比色定量部分、酵素部分、蛍光部分、ルミネッセント部分、磁性部分、もしくは放射性部分で直接的にもしくは間接的に標識された抗原もしくは抗体は、上記固定用組成物との接触後ですら、上記サンプル細胞と接触させられ得る。細胞は、上記固定用組成物との接触前もしくは接触後に、抗体パニングもしくはソーティング、または他のアフィニティークロマトグラフィーによって抗原発現に従って同定および/もしくは単離され得る。サイトメーターは、DNA/RNA含有量、サイズ、生存性、蛍光標識抗体の結合、またはこれらの組み合わせによって、このような細胞を分析し得るか、またはセルソーターは、上述のものによって、このような細胞を分離し得る。磁石は、抗体被覆磁性ビーズを結合する細胞をアフィニティー精製し得る。細胞は、細胞周期、分裂、増殖、もしくはオルガネラによって特徴付けられ得る。負の選択もしくは正の選択(例えば、アフィニティーもしくはソーティング技術)は、細胞集団を単離するために使用され得る。
上記細胞はさらに、上記固定組成物との接触後に、上記サンプル中に貯蔵され得る。上記細胞は、その細胞形態および生体分子の内容物の本質的な分解なしに、数時間もしくはさらには数日間にわたって貯蔵され得る。上記固定されたサンプルの貯蔵は、室温(20℃±3℃)において1時間より長く約7日間まで、もしくは低温(例えば、10〜4℃)で14日間まで、行われ得る。
従って、本発明によれば、細胞含有液体サンプルの処理のための方法が提供され、上記方法は、以下の工程を包含する:
a)液体サンプルを集める工程、
b)上記液体サンプルのうちの少なくとも一部と、先に記載されるとおりの固定用組成物とを接触させる工程、
c)上記工程b)のサンプルを混合する工程、
d)必要に応じて、上記サンプルを貯蔵する工程。
この方法によって、上記液体サンプルに含まれる細胞は固定され、従って、上記細胞の細胞形態、ならびにそれらの内容物および上記含まれる生体分子の完全性を維持する。
工程a)において、上記液体サンプルが集められる。上記収集は、当該分野で公知の任意の方法によって行われ得るが、好ましくは、上記液体サンプルをシリンジもしくはピペットの中へと引くことによって行われる。
工程a)と工程b)との間に、上記サンプルの一部は、放出され得(例えば、上記サンプルは、分割される)、例えば、スライド上に塗抹され得るか、または上記サンプル内容物のさらなる試験のために、別の容器に移され得る。
工程b)において、上記液体サンプルの少なくとも一部、例えば、残りは、上記のとおりの固定用組成物と接触させられる。これは、例えば、上記サンプルを、容器の中に含まれる上記固定用組成物へと注入することによって行われ得る。
上記液体サンプル中の細胞を固定するために、上記液体サンプルは、上記固定用組成物と、1:10〜1:1000の比で接触させられ、ここで上記引用される範囲内の任意の比が使用され得る(例えば、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:125、1:50、1:175、1:200、1:250、1:300、1:400、1:500、1:600、1:700、1:800、1:900もしくはその間の比)。好ましい範囲は、1:20〜1:50である。
よって、上記最終サンプル組成物(上記液体サンプルおよび上記固定用組成物の組み合わせ)中の成分i)〜iv)の濃度は、少なくとも27,3%の上記アルコール 成分i)、少なくとも1,82%の上記酸 成分ii)、少なくとも9%の上記ヒドロキシル化合物 iii)および少なくとも15%の水であることが好ましい。上記成分の各々の濃度は、上記成分の各々に関して上記で定義される濃度範囲および上記液体サンプルと上記固定用組成物とを合わせるための比を考慮することによって計算され得る。
工程c)において、上記最終サンプル組成物は、混合される。上記混合する工程は、例えば、上記組成物を含む容器を転倒混和(turning)することによって、またはボルテックスし、ピペットで吸引排出することによって、もしくは振盪することによって行われ得るが、これらに限定されない。
工程d)によれば、上記最終サンプル組成物は、必要に応じて、上記で記載されるとおり、室温(20℃±3℃)において数分間、数時間にわたって、もしくは7日まで、または低温(例えば、10〜4℃)で、貯蔵され得る。上記最終サンプル組成物は、上記含まれる細胞の中の細胞形態および生体分子の内容物の本質的な分解なしに、数時間、もしくはさらには数日間にわたって、貯蔵され得る。
上記最終サンプル組成物を混合した直ぐ後もしくは貯蔵した後のいずれかに、上記サンプル中に含まれる細胞を、さらに処理もしくは調査し得る。従って、工程c)もしくは工程d)の後の上記最終サンプル組成物のうちの少なくとも一部は、以下の方法:細胞学的調査、生体分子単離および/もしくは包埋物質での上記細胞の包埋、のうちの少なくとも1つによってさらに処理される。細胞学的調査は、セルソーティング、細胞遠心分離、塗抹法、膜濾過、細胞染色、解剖、ハイブリダイゼーションもしくは免疫組織化学および顕微鏡検査を含み得る;生体分子単離は、核酸、タンパク質、ペプチドもしくはペプチド−核酸のうちの少なくとも1つの単離を包含し得、ここで上記示される生体分子のうちの1種は、混合物としてもしくは別個に単離され得る(例えば、核酸は、DNAおよびRNAの混合物として単離され得るか、またはDNAおよびRNAは、別個に単離され得、さらに1つの核酸の種々の種が、より大きなRNAから小さなRNAのように、分離され得る);上記細胞の浸透もしくは包埋は、上記細胞と、パラフィン、鉱油、非水溶性ワックス、セロイジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アガー、ゼラチン、ニトロセルロース、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、もしくは他のプラスチック媒体のうちの少なくとも1つとを接触させることによって行われ得る。これら方法全てに関して、上記細胞は、所望であれば、処理前に、例えば、遠心分離もしくは濾過によって、濃縮もしくは集められ得る。
本発明の方法の好ましい実施形態において、上記処理もしくは調査法のうちの1つより多くが、上記サンプルのアリコートで行われる。例えば、上記目的の細胞を含む最終サンプル組成物は、いくつかのアリコートに分割され得、1つのアリコートが、任意の一般に公知の細胞学的方法によって調査され、さらなるアリコートは、目的の生体分子の単離のために使用され、第3のアリコートは、適切な包埋物質中に上記細胞を包埋するために使用される。当然のことながら、その上、1つもしくは2つのアリコートのみが、さらなる試験のために取り出されてもよく、ここで上記最終サンプル組成物のうちの残余物は、貯蔵される。上記最終サンプル組成物のさらなる処理を含む、集められたサンプルの処理のための例示的方法は、図1に示される。
前述の処理もしくは調査法に関しては、任意の公知の方法が、本発明を限定することなく使用され得る。例えば、任意の適切な細胞染色剤は、上記細胞を染色するために使用され得、任意の適切な核酸プローブもしくは任意の抗体が、ハイブリダイゼーションもしくは免疫組織化学(immuno−histchemistry)のために使用され得、任意の公知の核酸単離法が行われ得、そして/または上記サンプルの細胞の包埋もしくは浸透に適した任意の技術が、使用され得る。
本発明によれば、本明細書で記載される方法において使用できる溶液、組成物、手段および/もしくはデバイスを含むキットが提供され得る。
よって、このようなキットは、少なくとも上記で記載されるとおりの固定用組成物を含む。さらに、上記キットは、以下の成分のうちの少なくとも1つを含み得る:
A)液体サンプルを集めるための手段、好ましくは、シリンジ、チューブ、容器、カップ、ニードル、穿刺もしくは吸引デバイス、
B)上記サンプル中に含まれる細胞の調査のための手段、好ましくは、スライド、ピペット、膜、フィルタ、
C)生体分子単離のための手段および/もしくは溶液、
D)細胞染色のための手段および/もしくは溶液、
E)サンプル包埋もしくは浸透のための手段および/もしくは溶液。
これら任意選択のさらなる成分から、A)液体サンプルを集めるための任意の手段、が上記キットの中に含まれることは、特に好ましい。
C)に従う生体分子単離のための手段もしくは溶液は、例えば、上記サンプルの細胞を溶解するための溶解溶液、上記サンプルの所望の生体分子もしくは望ましくない残余物のいずれかを結合するための固体支持物質、上記サンプル中の望ましい/望ましくない化合物を上記固体支持物質に結合させるためのサンプル状態の適応を可能にする結合溶液、望ましい生体分子を洗浄するための洗浄溶液または任意の他の適切な手段であり得る。
D)に従う細胞染色のための手段もしくは溶液は、特に、染色のために上記細胞を予備処理するための溶液および/もしくは染色溶液、すなわち、従来の細胞学的染色のための色素もしくは免疫細胞化学(immuncytochemistry)染色のための抗体である。
E)に従うサンプル包埋もしくは浸透のための手段もしくは溶液は、特に、上述のとおりの包埋物質(例えば、パラフィン、鉱油、非水溶性ワックス、セロイジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アガー、ゼラチン、ニトロセルロース、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、もしくは他のプラスチック媒体のうちの少なくとも1つなど)、および必要に応じて、所望の形状を形成するための型である。
他方で、上記手段B)、C)、D)およびE)は同様に、本発明のキットの外側にあってもよいが、上記手段は、それぞれ、本発明の固定剤もしくは固定された生物学的サンプルと組み合わせて使用される。例えば、生体分子単離のための手段および/もしくは溶液C)、または細胞染色のための手段および/もしくは溶液D)は、いくつか公知であり得、上記単離もしくは染色法に関して市場で提供され得る。
よって、本発明の固定用組成物で固定されたサンプルが、さらなる調査、例えば、生体分子単離、サンプル/細胞染色またはサンプル包埋もしくは浸透のために使用されることは、本発明の中に同様に包含されることは、理解されるものとする。これら方法において、生体分子単離のための、サンプル/細胞染色、包埋もしくは浸透のための手段/溶液として働くのに適した任意の手段もしくは溶液は、上記サンプルのさらなる処理のために使用され得る。本発明の固定用溶液と先に接触させたサンプルを使用する任意のこのようなさらなる処理は、本発明の中に包含されると見做される。生体分子単離のための、細胞染色のための、および/またはサンプル包埋もしくは浸透のためのキットもしくは溶液は、非常に多くのおよび種々の実施形態において、市場に提供され、本発明のサンプルのさらなる処理のために使用され得る。
本明細書中上記で記載される物質および方法は全て、同じサンプルから出発して少なくとも1つ、好ましくは1つより多くの分析法によって、生体の外側で任意の生物学的物質を分析するために適している。
図1:従来の細胞学的検査のために集められた液体生物学的サンプルからの固定、細胞学的染色および生体分子精製のための方法のスキーム。 図2は、貯蔵後の、種々の固定用溶液中での血液タンパク質の沈殿量を示す(実施例2を参照のこと)。 図3:種々の固定用溶液中での固定および貯蔵後の腫瘍細胞の顕微鏡画像(実施例3を参照のこと)。 図4は、成分(iii)を変動させて、本発明に従う固定用組成物中で固定された細胞の形態および上記固定された細胞から単離されたRNAを示す(実施例4を参照のこと)。 図5は、成分(i)、(ii)および(iv)の含有量を変動させて、本発明に従う固定用組成物中で固定された細胞の形態、ならびに上記固定された細胞から単離されたRNAを示す(実施例5を参照のこと)。 図6は、酸の最終濃度を変動させて、本発明に従う固定用組成物中で固定された細胞の形態を示す(実施例6を参照のこと)。 図7は、成分(ii)および(iv)の含有量を変動させて、本発明に従う固定用組成物中で固定された細胞の形態、ならびに上記固定された細胞から単離されたRNAを示す(実施例7を参照のこと)。 図8は、pH値を変動させて、本発明に従う固定用組成物中で固定された細胞の形態、ならびに上記固定された細胞から単離されたRNAを示す(実施例8を参照のこと)。 図9は、本発明に従う固定用組成物中で固定しかつ2つの異なる染色法によって染色した細胞の形態、ならびに上記固定された細胞から単離されたRNAのRNA分析データを示す(実施例9を参照のこと)。 図10は、本発明に従う固定用溶液(「FNA−固定」)でもしくは中性緩衝化ホルマリン(「NBF」)で固定した固形組織の形態保存を示す(実施例10を参照のこと)。 図11:固定された細胞中の転写物レベルを決定するためのRT−qPCRのct値(実施例11を参照のこと)。 図12:人工細胞ブロックの固定および調製後の、腫瘍細胞、全血および肝臓抽出物の混合物の顕微鏡画像(実施例12を参照のこと)。
実施例
以下の実施例は、本明細書で記載されるとおりの組成物および方法を使用することによる、細胞含有液体サンプルの調査法および結果を記載している。上記実施例は、本発明を例証すると理解されるものとするが、本発明を具体的に示される実施形態に限定するとは理解されないものとする。
以下の実施例で使用されるとおりの実験手順:
別段記載されなければ、以下の実施例のサンプルを、以下のとおり調製および処理した:
細胞および細胞抽出物の調製
ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞を、単層として、McCoy’s 5A改変培地中で増殖させた。採取するために、細胞をPBSで洗浄し、EDTAでの一般的処理によってプレートから剥がし、McCoy’s培地で再懸濁した。細胞数を、Neubauer−Zaehlkammerで細胞を計数することによって決定した。細胞を培地でさらに希釈して、計算した濃度(例えば、10/ml)に達するようにした。細胞のアリコート(例えば、1ml)を遠心分離し、そのペレットを、ある容積の液体(例えば、100μl 培地、全血もしくは血漿)中で再懸濁して、上記液体固定用組成物でのその後の固定のために、液体中に計算した細胞数(例えば、10 細胞)を受けた。
ラット組織抽出物の調製:
切除の直ぐ後に、ラット組織を、標準的生検カセットのグリッドを通して押し込み、150μl PBS(リン酸緩衝化食塩水)と穏やかに混合した。あるいは、組織を、小片へと切り刻んだ。
細胞学的染色:
上記最終サンプル組成物(FNA固定剤および上記生物学的物質含有サンプルの混合物)のうちの1mlまでを、EZ漏斗の中に満たし、サイトスピン4細胞遠心分離機(Cytospin 4 cytocentrifuge)(Shandon)で顕微鏡用スライド上に直接遠心分離した。スライドを数秒間風乾し、パパニコロウに従う染色(パパニコロウ・ヘマトキシリンで1分間核染色、パパニコロウ Lsg OG6(2a)で3分間ケラチン染色およびパパニコロウ Lsg EA50で3分間細胞質染色)、またはMerckのキットもしくは染色試薬を使用するH&E染色(30秒間ヘマトキシリンおよび1分間エオシン)による染色に使用した。
固定されたサンプルからのRNA抽出:
上記最終サンプル組成物のうちの1mlまでを、遠心分離した。そのペレットを、RNeasy溶解緩衝液RLTで再懸濁し、QIAShredderでホモジナイズした。エチル−アルコールで結合条件を調節した後、上記溶解物をRNeasyミニカラムに載せ、RNAを、遠心分離によって上記カラムのシリカ膜に結合させた。数回の洗浄工程および任意選択の、DNaseでのカラム上での消化の後に、上記RNAを水で溶離した。
FNA固定剤で固定した固形組織の加工処理およびパラフィン包埋:
ラット組織を、最大厚1〜2mmを有する小片へと切り出した。固定を、生検カセット中で行った。加工処理を、80%、90%、99%(2回) エタノール、続いて、イソプロパノール(2回)、キシレン(2回)、低融点パラフィンと1:1混合したキシレン中でのインキュベーション、浸透および低融点パラフィン中の包埋によって、Leica TP1020自動化プロセッサー(Leica,Wetzlar,Germany)上で行った。4μm厚を有する切片をスライドに載せ、脱パラフィンし、再び湿潤化(rehydrate)し、顕微鏡分析のために染色した。
細胞ブロックの調製:
上記最終サンプル組成物(FNA固定剤および上記生物学的物質を含むサンプルの混合物)のうちの1mlのアリコートを、遠心分離した。その得られたペレットを、1滴の融解したアガロース(5% 低融点超純粋アガロース(live technologies製))、すなわち、約50〜100μlと混合した。硬化させた後、上記アガロースブロックとその封入された生物学的物質を、標準的カセットの中へと移し、加工処理し、上記で記載されるとおりにパラフィン包埋し、切片にし、H&Eで染色した。
実施例1
実施例1は、図1に示されるとおりのいくつかの分析方法でのサンプルの考えられる取り扱いを記載する。
方法説明:
細針吸引標本をシリンジの中に集め、スライド上の塗抹物を、風乾もしくはアルコール固定、続いて、細胞学的染色のために調製した後、その残りのサンプルを、細胞形態および生体分子の保存のために、本発明に従う固定用組成物を含むチューブへと直接分与した。上記生物学的サンプルを、上記チューブを10回転倒混和(inverting)することによって、または短時間のボルテックス工程によって、上記固定用組成物と混合した。このようにして作業することによって、分子に都合の良い新たな固定剤での固定は、従来の診断に干渉しない。
上記生物学的サンプルの核酸、タンパク質および細胞形態は、室温で安定であった。固定した標本は、輸送され得、そして/またはチューブ中で数日間貯蔵され得る。アリコートを、細胞学的染色のために細胞遠心機(cytofuge)を使用して、顕微鏡用スライド上に遠心分離し得る。代わりにもしくはさらに、アリコートを遠心分離し得、その得られた細胞ペレットを、細胞ブロックの調製のために、加工処理およびパラフィン包埋し得る。RNA、DNA、もしくはmiRNAを含む全RNAを、専用プロトコルを使用して(例えば、RNeasyおよびQIAamp製品ラインの)緩衝液で精製し得る。
プロトコル概要(スキームは図1を参照のこと):
1.FNA標本を集める。
2.吸引物の適切なサンプルをスライドに分与する。
3.塗抹物を調製し、風乾もしくはアルコールで固定し、従来の細胞学的検査のために染色する。
4.残りのFNA標本を、上記液体生物学的サンプル中の細胞形態および生体分子の保存のために、上記固定用組成物で満たされたチューブもしくは容器の中に分与する。上記固定されたFNA標本を輸送および/もしくは貯蔵する。
5.上記固定されたFNAサンプルのアリコートの細胞遠心分離を行い、細胞学的検査のために染色する。
6.生体分子を別のアリコートから抽出する。
7.任意選択:パラフィン包埋細胞ブロックの調製のためにアリコートを使用する。
実施例2:種々の固定剤中での血液タンパク質の沈殿
15mlファルコンチューブの中に、5ml 固定用溶液(1〜4)を、100μl ヒト全血と混合し、上記混合物を、室温で静置して貯蔵した。上記固定用組成物は、以下のとおりであった:
(1)PAXgene Tissue Fix(PreAnalytics)
(2)PreservCyt(Cytyc)
(3)95% エタノール p.a.
(4)本発明に従う固定用組成物: 50% EtOH、6% 酢酸、20% DEGMEA、ad 100% ddHO。
組成物(1)は、24時間後に500μl 褐色ペレットを、組成物(2)は、24時間後に2ml 褐色ペレットを、組成物(3)は、24時間後に500μl 固体の赤色ペレットを、そして組成物(4)は、4日後に200μl 白色ペレットを与えた。結果を図2に示す。
実施例3:細胞学的染色に対する血液タンパク質沈殿物の影響
カップの中で、1mlの固定用組成物(1〜6)をそれぞれ、全血由来の50μlのヒト血漿および2×10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞と混合した;室温で24時間後、顕微鏡用スライド上でのサイトスピン遠心分離機での遠心分離およびパパニコロウに従う染色を行った。図3において、上記細胞を400×の元の倍率で示す。使用した固定用組成物:(1)Surepath(BD)、(2)PreservCyt(Cytyc)、(3)95% エタノール p.a.、(4)PAXgene Tissue FIX(PreAnalytics)、(5)本発明に従う固定用組成物(60%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、20%[v/v] エチレングリコール、ddHOでad 100%)、(6)本発明に従う固定用組成物(60%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、10%[v/v] エチレングリコール、ddHOでad 100%)。
組成物(1)〜(4)を用いると、腫瘍細胞形態は、沈殿した血漿タンパク質によってわかりにくくなった。細胞質と核の間の区別は、細胞質部分の激しい収縮に起因して、ほとんど不可能であった。細胞核は、凝集しているようであり、クロマチン構造は認識できなかった。
組成物(5)〜(6)を用いると、血漿タンパク質は薄い層を形成したが、これは細胞形態をわかりにくくしなかった。細胞質および核は無傷であり、クロマチン構造は、核小体とともに無傷であり、中期染色体は、明らかに同定できた。結果を図3に示す。
実施例4:種々の成分(iii)を含む本発明に従う固定用組成物と混合した液体サンプル中での腫瘍細胞の形態およびRNA保存
10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞の細胞ペレットを、100μlの細胞培養培地で再懸濁し、(1)〜(11)として以下で記載されるとおりの種々の成分(iii)を含む、本発明に従う4mlの固定用組成物と混合し、4日間、室温で貯蔵した。100μlのアリコート各々を、細胞遠心分離機で顕微鏡用スライド上に遠心分離し、パパニコロウに従って染色した(1000×の元の倍率で図4に示す)。さらに、同じ最終サンプル組成物のうちの1mlのアリコート各々を遠心分離し、そのペレットを、溶解緩衝液中に再懸濁し、RNAを上記に記載されるとおりに抽出した。RNAを、Agilent Bioanalyzerで分析した(ゲル画像を、3回の独立した複製物に関して、それぞれ細胞画像の右側に示す)。
組成物(1)〜(11)において、上記固定用組成物は、50%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、20%[v/v] 水、および20%[v/v] さらなる成分(iii)(pH未調節)から構成された。以下のさらなる成分(iii)を使用した:(1)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、(2)グリセリン、(3)ポリエチレングリコール200、(4)ポリエチレングリコール300、(5)ヘキサントリオール、(6)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(7)2,3−ブタンジオール、(8)1,3−プロパンジオール、(9)2−メチル−2,4−ペンタンジオール、(10)ジプロピルグリコール、(11)1,3−ブタンジオール。図4に認められ得るように、腫瘍細胞の形態は、十分に保存された。細胞質および核は、目に見えた。上記核内では、核小体および中期染色体のようなクロマチン構造が同定され得る。固定された細胞の抽出物に由来するRNAは、周囲温度での4日間の貯蔵後にも高品質であった。リボソームの(ribosomale)18sおよび28s rRNAについての明瞭なバンドが、高分子量RNAを示す、Agilent Bioanalyzerによって生成されたゲル画像で認められ得る。
実施例5:ヒト血漿、ならびに種々の容積のアルコール、水および酸を含む固定用組成物と混合した腫瘍細胞の形態およびRNA保存の比較
2×10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞の細胞ペレットを、50μlのヒト血漿で再懸濁し、種々の量のアルコール、水および酸を有する1mlの固定用組成物(1)〜(7)と混合し、周囲温度で貯蔵した。1時間の貯蔵後、複製物を、サイトスピンで顕微鏡用スライド上に遠心分離し、パパニコロウに従って染色した(図5に400×の元の倍率で示される);独立して、複製物を6日間貯蔵し、遠心分離し、ペレットを、溶解緩衝液中に再懸濁し、RNAを上記に記載されるとおりに抽出した。RNAをAgilent Bioanalyzerで分析した(ゲル画像は、2回の独立した複製物に関して図5に示される)。
(1)60%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、20%[v/v] 水、および10%[v/v] エチレングリコール、
(2)60%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、10%[v/v] 水、および20%[v/v] エチレングリコール、
(3)60%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、30%[v/v] エチレングリコール、
(4)60%[v/v] エタノール、15%[v/v] 酢酸、10%[v/v] 水、および15%[v/v] エチレングリコール、
(5)60%[v/v] エタノール、15%[v/v] 酢酸、および25%[v/v] エチレングリコール、
(6)70%[v/v] エタノール、15%[v/v] 酢酸、および15%[v/v] 水、
(7)70%[v/v] エタノール、15%[v/v] 酢酸、および15%[v/v] エチレングリコール。
図5で認められ得るように、腫瘍細胞の形態は、全てのサンプルにおいて十分に保存された。全血由来の血漿タンパク質は、薄い層として目に見えたが、上記細胞形態をわかりにくくしなかった。細胞質および核は無傷であった。核小体および中期染色体のようなクロマチン構造は、同定され得る。
サンプル1および2において、固定された細胞および血漿の抽出物由来のRNAは、Agilent Bioanalyzerによって生成されたゲル画像上でリボソームの18sおよび28s rRNAについての明瞭なバンドによって示されるとおり、周囲温度で6日間の貯蔵後に高分子量のものであった。
実施例6:細胞保存および細胞学的染色(cell cytology preservation and staining)に対する本発明に従う固定剤中の酸濃度の影響
10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞の細胞ペレットを、50μlの細胞培養培地で再懸濁し、40μl ヒト血漿および8μl ヒト全血の添加なし(図6: 1〜3)もしくは添加あり(図6: 4〜6)のいずれかで、(1)〜(3)として以下で記載されるとおりの種々の成分を含む本発明に従う4mlの固定用組成物と混合した。培養細胞および固定剤の混合物、または培養細胞、血漿、全血および固定剤の混合物を、7日間、室温で貯蔵した。貯蔵後に、1mlのアリコート各々を、細胞遠心分離機で顕微鏡用スライド上に遠心分離し、パパニコロウに従って染色した(図6: 1〜6)(400×の元の倍率)。
(1)50%[v/v] エタノール、10%[v/v] 酢酸、20%[v/v] 水、および20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
(2)50%[v/v] エタノール、5%[v/v] 酢酸、25%[v/v] 水、および20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
(3)50%[v/v] エタノール、2%[v/v] 酢酸、28%[v/v] 水、および20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート。
組成物(1)〜(2)の場合、上記腫瘍細胞の形態は、十分に保存された。細胞質は、核から区別できた。上記核内で、上記核小体の位置特定は、可能であった。有糸分裂細胞は、容易に同定できた(図6、1および2において矢印で示される)。対照的に、酸の有意に低い濃度を有する組成物(3)の場合、腫瘍細胞におけるクロマチンは、凝集しているようであった。全体的に、上記細胞の染色はより濃く、詳細はあまり認めることができず、これは、有糸分裂細胞の同定を困難にした。さらに、細胞は、収縮しているようであり、組成物(1)〜(2)で固定した細胞と比較して、細胞質画分が低下しているようであった。
ヒト血漿および全血を、細針吸引物を摸倣するために細胞および固定剤の混合物に添加した場合、別の差異が明らかになった。組成物(1)〜(2)の場合、ヒト血漿は、薄い層を形成したが、これは、細胞形態をわかりにくくしなかった(図6: 4および5)。赤血球は、空の殻として認めることができた。腫瘍細胞の細胞質および核は、なお無傷であり、クロマチン構造は区別されて現れ、核小体および中期染色体は同定可能であった。低下した量の酸を含む組成物(3)とは対照的に、上記ヒト血漿タンパク質は沈殿するようであり、赤血球は破壊され、腫瘍細胞は、細胞質の画分の低下とともに収縮した(図6: 6)。
実施例7:ヒト全血と種々の量の水および酸を有する本発明に従う固定用組成物とを混合した腫瘍細胞の形態およびRNA保存
本発明に従う5mlの種々の固定用組成物(1)〜(6)を、10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞および100μlのヒト全血と、それぞれ混合した。固定された細胞および血液の混合物を、周囲温度で7日間貯蔵した。100μlのアリコート各々を、細胞遠心分離機で顕微鏡用スライド上に遠心分離し、パパニコロウに従って染色した(図7に400×の元の倍率で示される);さらに1mlのアリコートを遠心分離し、そのペレットを溶解緩衝液中に再懸濁し、RNAを上記に記載されるとおりに抽出した。RNAを、Agilent Bioanalyzerで分析した(ゲル画像を、3回の独立した複製物に関して図7に示す)。
(1)25%[v/v] 水、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ad 100%[v/v]エチルアルコール、
(2)25%[v/v] 水、6%[w/v] 酢酸、25%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ad 100%[v/v]エチルアルコール、
(3)20%[v/v] 水、6%[w/v] 酢酸、25%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ad 100%[v/v]エチルアルコール、
(4)20%[v/v] 水、10%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ad 100%[v/v]エチルアルコール、
(5)25%[v/v] 水、10%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ad 100%[v/v]エチルアルコール、
(6)25%[v/v] 水、10%[w/v] 酢酸、15%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ad 100%[v/v]エチルアルコール。
図7で認められ得るように、腫瘍細胞および白血球の形態は、十分に保存され、細胞質、核およびクロマチン構造は目に見えた。白血球は、上記腫瘍細胞から区別され得る。赤血球は、空の殻として目に見えた。赤血球ならびに血漿タンパク質は、上記腫瘍細胞の形態をわかりにくくしなかった。固定された細胞および全血の抽出物由来のRNAは、Agilent Bioanalyzerによって生成されたゲル画像上でリボソームの18sおよび28s rRNAの明瞭なバンドによって示されるように、周囲温度で7日間の貯蔵後にも高分子量のものであった(図7を参照のこと)。
実施例8:種々のpHを有する本発明に従う固定用組成物で固定した腫瘍細胞および全血の混合物における形態およびRNA保存
種々のpH(水酸化ナトリウムで調節)を有する本発明に従う5mlの固定用組成物(1)〜(3)を、100μl ヒト全血および10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞と混合し、7日間貯蔵した。
(1)「FNA−1」: 50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、pH未調節、ddHOでad 100%、
(2)「FNA−2」: 50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、pH3、ddHOでad 100%、
(3)「FNA−3」: 50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、pH3.3、ddHOでad 100%。
100μlのアリコートを、それぞれ、細胞遠心分離機で顕微鏡用スライド上に遠心分離し、パパニコロウに従って染色した(図8A、1000×の元の倍率);
1mlの3つの複製物各々を、遠心分離し、その得られたペレットを、溶解緩衝液RLT中で再懸濁し、RNAを上記に記載されるとおりに抽出した。RNAを、Agilent Bioanalyzerで分析した(図8B)。
上記腫瘍細胞および上記白血球の形態は、十分に保存され、細胞質、核およびクロマチン構造が目に見えた。分葉性の核(multilobed nuclei)を有する好中球のような白血球の種々のタイプは、例えば、リンパ球(lymphozyte)から区別され得る。赤血球は、空の殻として目に見える。
抽出物由来のRNAは、周囲温度で7日間の貯蔵後にも高品質であった。
実施例9:本発明に従う固定用組成物で固定した、腫瘍細胞、全血、およびラット脾細胞抽出物の混合物における形態およびRNA保存
本発明に従う5mlの固定用組成物(50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ddHOでad 100%、pH未調節)を、50μl ラット全血、100μl ラット脾臓抽出物および10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞と混合し、7日間貯蔵した。
100μlのアリコート各々を、サイトスピンで顕微鏡用スライド上に遠心分離し、パパニコロウ(PAP)に従って、もしくはヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した;(図9A:1000×の元の倍率を参照のこと);
1mlの3つの複製物各々を遠心分離し、そのペレットを、溶解緩衝液RLT中に再懸濁し、RNAを上記に記載されるとおりに抽出した。RNAを、Agilent Bioanalyzerで分析した(図9B)。
腫瘍細胞、白血球ならびに脾細胞の形態は保存され、細胞質、核およびクロマチン構造は目に見える。より大きな腫瘍細胞は、種々の細胞タイプの混合物内で同定され得る。核小体もしくは中期染色体のようなクロマチン構造は、区別され得る。赤血球は、空の殻として目に見えた。パパニコロウでの染色もしくはH&Eでの染色の間に定性的な差異は存在しないようである(図9Aを参照のこと)。
実施例10:中性緩衝化ホルマリン(NBF)での固定と比較した、本発明に従う固定用組成物で固定した固形ラット組織の形態保存
ラット組織(1.脾臓、2.食道、3.腸)を、約1〜2mmの最大厚を有する小片へと切り出し、24時間、室温で、10mlの本発明に従う固定用組成物(50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ddHOでad 100%、pH未調節(図10中の「FNA−固定」))または中性緩衝化ホルマリン(「NBF」)中で固定した。固定した組織をカセットの中に入れ、加工処理し、Leica TP1020自動化組織プロセッサーでパラフィン包埋した。4μm厚を有する切片を脱パラフィンし、H&Eで染色し、顕微鏡で分析した(結果は、図10、400×の元の倍率に示される)。
種々の組織タイプの形態保存は、NBFとFNA−固定剤との間で匹敵した。脾臓組織において、赤脾髄および白脾髄は、区別され得、食道において、上皮細胞、平滑筋細胞の種々の層および結合組織は、目に見えた。一般に、形態は、本発明の固定用組成物を使用した場合には、より高いコントラストおよびより良好なクロマチン区別とともに現れた。
実施例11:本発明に従う固定用組成物で固定した単一の細胞における転写物レベルの凍結
RT−qPCRにおける相対的転写物レベルの決定のために、RNAを、10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞から単離し、1mlの本発明に従う固定用組成物(50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ddHOでad 100%、pH未調節)の中で固定した。5分後、10分後、20分後もしくは60分後に、RNAを上記細胞から単離した。デルタCt値計算の参照として、RNAを、上記固定用組成物中でのインキュベーションなしでRNeasy溶解緩衝液RLT(Qiagen)中で直接溶解した10 細胞の細胞ペレットからも単離した。
1工程定量的RT−PCRアッセイを、p53遺伝子、IL8遺伝子、cFos遺伝子、IL1β遺伝子、βアクチン遺伝子および18s遺伝子のmRNA内にあるアンプリコンに関して行った。Ct値を、デルタCtとして示す。デルタCtを、(本発明に従う固定用組成物中で5分間、10分間、20分間もしくは60分間にわたって固定したRNAから得られたCt値)−(直接溶解した細胞のRNAで得られたCt値)として計算した。
RT−qPCRのデルタCt値を図11に示す。
実施例12:種々のpHを有する本発明に従う固定用組成物で固定した、腫瘍細胞、全血および肝臓抽出物の混合物での細胞ブロックの調製
5mlの本発明に従う固定用組成物(50%[v/v] エタノール、6%[w/v] 酢酸、20%[v/v] ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ddHOでad 100%)(pH未調節(A)もしくは水酸化ナトリウムでpH3に調節(B))を、100μl ラット全血、ラット肝臓抽出物および10 培養ヒト卵巣腺癌(SK−OV3)細胞と混合した。7日間、周囲温度で貯蔵した後、1mlのアリコート各々を遠心分離し、パラフィン中の細胞ブロックを、上記で記載されるとおりに調製した。4μmの切片を脱パラフィンし、H&Eで染色した(図12:400×の元の倍率)。
腫瘍細胞、白血球、ならびに肝臓細胞の形態は、保存された。腫瘍細胞は、種々の染色、ならびにより大きな核および核 対 細胞質の種々の比に基づいて、同定され得、そして肝臓細胞から区別され得る。さらに、より小さな血液の白血球が同定され得る。赤血球は、空の殻として現れたか、または完全に破壊された。肝臓および腫瘍内では、核小体もしくは中期染色体のようなクロマチン構造が区別され得る。

Claims (15)

  1. ホルマリン非含有固定用組成物であって、前記組成物は、
    i)エタノールもしくはイソプロパノールから選択される、30〜70容積%のアルコール、
    ii)2〜15%の有機酸、
    iii)i)とは異なる10〜30%のヒドロキシル化合物
    iv)少なくとも10容積%の水、
    を含み、2〜5の範囲のpHを有する、固定用組成物。
  2. 成分i)〜iv)および必要に応じてpH調節因子から本質的になる、請求項1に記載の固定用組成物。
  3. 前記化合物iii)は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(DEGMEA)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、またはジオールもしくはトリオールであり、前記ジオールもしくはトリオールは、好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、およびジプロピルグリコールから選択される、請求項1または2に記載の固定用組成物。
  4. ii)前記有機酸は、酢酸もしくはプロピオン酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の固定用組成物。
  5. 前記組成物は、
    ii)40〜60容積% エタノールもしくはイソプロパノール、好ましくはエタノール、
    iii)4〜10%の有機酸、好ましくは酢酸、
    iv)i)とは異なる15〜30%のヒドロキシル化合物、
    v)少なくとも10容積%、好ましくは少なくとも20容積%の水、
    を含むか、好ましくは、これらからなる、2〜5の範囲のpHを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の固定用組成物。
  6. 生物学的細胞含有サンプル、好ましくは液体細胞含有サンプル、特に、細針吸引サンプルの処理および/もしくは貯蔵のための、請求項1〜5のいずれかに記載の固定用組成物の使用。
  7. 細胞含有液体サンプルの処理のための方法であって、前記方法は、
    a)液体サンプルを集める工程、
    b)前記液体サンプルのうちの少なくとも一部と、請求項1〜5のいずれかに記載の固定用組成物とを接触させる工程、
    c)工程b)の前記サンプルを混合する工程、
    d)必要に応じて、前記サンプルを貯蔵する工程、
    を包含する、方法。
  8. 工程c)の後もしくは工程d)の後の前記サンプルもしくは前記サンプルのうちの少なくとも一部は、以下の方法:細胞学的調査、生体分子単離、濾過・浸透および/もしくは包埋物質での前記細胞の包埋、のうちの少なくとも1つによってさらに処理される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記方法のうちの1種より多くが、同じサンプルのアリコートで行われる、請求項8に記載の方法。
  10. 以下の特徴:
    i)前記細胞学的調査は、セルソーティング、細胞遠心分離、塗抹法もしくは膜濾過、細胞染色、解剖、ハイブリダイゼーション法もしくは免疫組織化学法および顕微鏡検査のうちの少なくとも1つ
    を含む;
    ii)前記生体分子単離は、核酸、タンパク質、ペプチド、ペプチド−核酸のうちの少なくとも1つの単離を含む;
    iii)前記浸透もしくは包埋物質は、パラフィン、鉱油、非水溶性ワックス、セロイジン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アガー、ゼラチン、ニトロセルロース、メタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、もしくは他のプラスチック媒体から選択される、
    のうちの1つもしくはより多くによって特徴付けられる、請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記細胞含有液体サンプルは、水性溶液、好ましくは緩衝液もしくは細胞培養培地;任意の体液、好ましくは血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、精液、リンパ液、涙液、唾液、痰、滲出液、腹水;環境水サンプル;食品もしくは飲料サンプル中の細胞を含み、最も好ましいサンプルは、細針吸引物である、請求項6に記載の使用または請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記細胞は、ヒトもしくは動物、特に、哺乳動物もしくは昆虫細胞;植物細胞;または微生物、特に、細菌、酵母、原生生物、藻類もしくは真菌に由来する、請求項6に記載の使用または請求項7〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 細胞含有液体サンプルの保存のためのキットであって、前記キットは、請求項1〜5に記載の固定用組成物、および必要に応じてさらに、以下のさらなる成分:
    A)液体サンプルを集めるための手段、好ましくはシリンジ、チューブ、容器、カップ、ニードル、穿刺もしくは吸引デバイス、
    B)前記サンプル中に含まれる細胞の調査のための手段、好ましくはスライド、ピペット、膜、フィルタ、
    C)生体分子単離のための手段および/もしくは溶液、
    D)細胞染色のための手段および/もしくは溶液、
    E)サンプル包埋のための手段および/もしくは溶液、
    のうちの少なくとも1つを含み、ここでさらなる成分としてA)が好ましい、キット。
  14. 生体分子単離、サンプル/細胞染色またはサンプル包埋もしくは浸透のための、請求項1〜5のいずれかに記載の固定用組成物との接触後の、または請求項7〜11のいずれかに記載の方法で処理された、生物学的サンプルの使用。
  15. 生体の外側にある生物学的物質の分析のための方法であって、ここで請求項1〜5のいずれかに記載の組成物、請求項7〜12のいずれかに記載の方法、または請求項13に記載のキットが使用される、方法。

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