開示される実施形態は、概して、基板キャリアに関し、より具体的には、縦型(鉛直型)及び他の処理システムでの使用に適した保護カバー及び統合型静電チャックを有する基板キャリアに関する。
基板キャリアは、とりわけ建築用ガラスのコーティング、太陽電池パネルの製造、及びフラットパネル及びOLEDディスプレイの製造用に使用される基板処理システム内で基板を位置決めするために時折使用される。基板のサイズは、多くの場合、1平方メートルより大きく、したがって、各基板は、処理の過程で製造業者に大幅な投資を突き付ける。
傷(スクラッチ)は、基板の割れ及びチッピングの開始点を提供し、結果的にその時点までに基板を処理する際に発生した投資の実質的な損失をもたらす可能性があるので、これらの基板を処理するときの裏面の傷は、特に問題である。基板は、基板キャリアの基板支持面に固定されるので、基板支持面の状態は、傷の防止を心に留めながら設計及び監視しなければならない。硬質の基板支持面を有するキャリアは、多くの場合、基板を傷つける、又はさもなければ基板に損傷を与えることになりやすい。逆に、柔らかい基板支持面を有するキャリアは、多くの場合、内部に破片を埋め込ませ、その後、潜在的なスクラッチ源となりやすい。こうして、基板支持面の状態は、良好な製造歩留まりを確保するために重要である。
したがって、基板キャリアに基板を固定するための改良された装置及び方法に対する必要性が存在する。
本明細書に開示された実施形態は、概して、基板及びオプションでマスクをクランプするのに適した基板キャリアシステムであって、除去可能な保護層のスタックを有する基板キャリアシステムに関する。一実施形態では、基板キャリア本体の外側取付面に配置された保護層スタックを有する基板キャリア本体を含む基板キャリアシステムが提供される。基板キャリア本体は、処理チャンバの内外へ輸送されるように構成される。基板キャリア本体は、外側取付面及び電極アセンブリを有する。電極アセンブリは、横方向に離間した複数の電極セットを含む。基板キャリア本体の外側取付面上に配置された保護層スタックは、複数の除去可能な保護層を有する。それぞれの除去可能な保護層は、スタック内の少なくとも1つの他の除去可能な保護層に接着される。複数の除去可能な保護層の最外層は、上に基板をチャッキングするための基板キャリアの基板支持面を画定する。
別の一実施形態では、真空処理システムが提供される。真空処理システムは、真空処理チャンバと、基板キャリアシステムと、輸送機構とを含む。基板キャリアシステムは、外側取付面及び電極アセンブリを有する基板キャリア本体を含む。電極アセンブリは、通電時に基板キャリアシステムに基板を固定するように動作可能である。保護層スタックは、基板キャリア本体の外側取付面に結合される。保護層スタックは、複数の除去可能な保護層を有し、基板キャリアシステムの基板支持面を画定する。輸送機構は、外側取付面の実質的に鉛直な向きを維持したまま、真空処理チャンバの内外へ基板キャリアシステムを移動させるように動作可能である。
更に別の一実施形態では、基板を搬送するための方法が提供される。本方法は、真空処理チャンバから基板キャリアステムを除去する工程と、未処理の基板支持面を画定するための、複数の保護層のうちの下地の保護層を露出させるために、基板キャリアシステムの外側取付面上に配置された保護層スタックを含む複数の保護層のうちの外側保護層を除去する工程と、未処理の基板支持面上に基板をロードする工程と、未処理の基板支持面上に配置された基板を真空処理チャンバ内へ輸送する工程とを含むことができる。
上記に開示された実施形態の上述した構成を詳細に理解することができるように、上記に簡単に要約したより具体的な説明を、以下の実施形態を参照して行う。実施形態のいくつかは添付図面に示されている。しかしながら、添付図面は典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって他の等しく有効な実施形態を除外するように、その範囲を制限していると解釈されるべきではないことに留意すべきである。
除去可能な層の保護層スタックを有する基板キャリアシステムの正面断面図である。
除去可能な層のスタックを通した基板キャリアシステムの一部の側面断面図である。
基板キャリアステムの電極アセンブリへの例示的な電気的接続を示すブロック図である。
一実施形態に係る分配システム内の基板キャリアシステムの側面概略断面図である。
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一実施形態に係る使用される電極アセンブリを過ぎて並進するスプレーバーのシーケンスを示す。
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一実施形態に係る使用される電極アセンブリの2つの動作状態を示す。
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別の一実施形態に係る使用される電極アセンブリの2つの動作状態を示す。
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別の一実施形態に係る使用される電極アセンブリの2つの動作状態を示す。
基板キャリアシステム上に基板を輸送するための方法のプロセスフロー図である。
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。一実施形態で開示された要素を、特に説明することなく、他の実施形態で有益に利用してもよいと理解される。
詳細な説明
開示される実施形態は、概して、基板及びオプションでマスクをクランプするのに適した基板キャリアシステムであって、除去可能な保護層のスタックを有する基板キャリアシステムに関する。除去可能な保護層のスタックは、基板キャリアシステムから基板を保護し、こうして基板を傷つける、又はさもなければ基板に損傷を与える潜在性を低減する。保護層は、個別に除去可能であるので、基板が上で支持される上部保護層は、一度、損傷、摩耗、又は汚染された場合に、基板キャリアシステムを新たな表面に作り替える、又はさもなければ基板キャリアシステムを修理する必要なしに、固定される基板に対する未処理面を提供する下地の保護層を露出させるために容易に除去することができる。本明細書に開示される基板キャリアシステムは、OLEDの製造での使用に特に適しているが、基板キャリアシステムはまた、フラットパネルディスプレイ、太陽電池、建築用ガラス、又は基板の基板キャリアシステムへのチャッキングの改良された制御が望まれる他の平坦な基板処理において有益に利用されてもよい。
図1Aは、保護層スタック150を有する基板キャリアシステム100の正面断面図である。基板キャリアシステム100は、図1Dを参照して更に後述されるように、処理システム50を介して、基板10を、そしてオプションでマスク20を搬送するために使用することができる。基板キャリアシステム100は、基板キャリア本体110と、電極アセンブリ135と、支持台112と、オプションで1以上の電源120と、コントローラ160とを含む。基板キャリア本体110は、保護層スタック150が上に固定される基板支持面114を含む。保護層スタック150は、基板10が上で基板キャリア本体110に固定される基板支持面152を含む。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ135は、基板キャリア本体110の中又は上に配置することができる。支持台112は、基板キャリア本体110及び電極アセンブリ135を支持するために、基板キャリア本体110の下又は後方に配置することができる。支持体112は、加熱及び冷却用の流体リザーバ又はチャネルを含むことができる。支持台112は、基板キャリアシステム100に固定された基板10の急激な温度変化を防止するために、基板10に対して高い熱質量を有することができる。支持台112は、アルミニウムなどの金属材料で作ることができ、約1cm〜約10cmの間の厚さ(例えば、約2.5cmの厚さ)とすることができる。
基板キャリア本体110、したがって外側取付面114は、セラミックス材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、基板キャリア本体110及び/又は外側取付面114は、ポリマーから製造することができる。例えば、基板キャリア本体110は、例えば、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトンなどのポリマー又はポリマーシートから製造することができる。基板キャリア本体110及び外側取付面114は、略多角形の形状(例えば、正方形又は長方形の形状)を有することができる。しかしながら、基板キャリア本体110の外側取付面114は、その代わりに、円形などの他の形状を有してもよいことが理解される。
外側取付面114は、基板キャリア本体110の上部136から底部115まで延びている。外側取付面114は、電極アセンブリ135を完全に覆う。外側取付面114は、基板キャリアシステム100上での輸送及び処理中に、基板10が上に固定される表面を提供する。図1Aでは、保護層スタック150の一部は、下にある外側取付面114の一部を説明するための切り欠きであり、一方、外側取付面114の一部は、下にある電極アセンブリ135の一部を説明するための切り欠きである。
図1Bは、保護層スタック150を通した基板キャリアシステム100の一部の断面図である。保護層スタック150は、集合的に保護層と呼ばれる複数の除去可能な保護層を含む。図1Bには、5つの保護層が保護層1541〜1545として図示されているが、任意の適切な数の保護層154が利用可能である。例えば、保護層スタック150は、2〜約50の間の保護層154(例えば、2〜約50の間の保護層154)を含むことができる。
図1Bに保護層1541として図示される、保護層スタック150の底部保護層154は、基板キャリア本体110の外側取付面114に固定されている。環境に曝露され、図1Bに保護層1545として図示される最も外側の保護層154は、基板10が上にチャッキングされる基板支持面152を画定する。露出された保護層1545が、摩耗したり、損傷したり、又は予防的保守スケジュールの一部として除去されたとき、摩耗した保護層1545は、保護層スタック150から除去され、その後、基板10を上でチャッキングすることができる未使用の又は「新しい」基板支持面152を画定する新たに露出された層の保護層1544を残す。摩耗した保護層154を除去するシーケンスは、最後の保護層1541が最終的に除去されるまで継続でき、その時点で新たな保護層スタック150を基板キャリア本体110の外側取付面114に固定することができる。必要に応じて保護層154のうちの1つが除去されるたびに「新たな」基板支持面152を提供することによって、基板支持面152内に埋め込まれる破片の可能性は低減する。更に、基板支持面152は、保護層スタック150の上部の露出した保護層154を剥離する、又はさもなければ除去することによって容易に交換することができるので、基板キャリア本体110の外側取付面114を新たな表面にする、又はさもなければ基板キャリアシステム100を交換する必要なしに、基板支持面152を埋め込まれた材料又は他の欠陥無しに維持することができ、こうして予防保守コスト及びダウンタイムの大幅な削減を提供する。
保護層154は、ポリマー又は他の適切な材料から製造することができる。保護層154のためのポリマーの使用は、特に、基板キャリア本体110が硬質材料(例えば、セラミックス)から製造される場合に、基板の傷を最小限にする柔らかい表面を提供する。いくつかの実施形態では、保護層154は、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、又は他の適切なポリマーのうちの少なくとも1つから製造することができる。保護層154の各々は、約0.1(約0.00254mm)〜約10ミル(約0.254mm)の間の厚さ(例えば、約0.5ミル(約0.127mm)〜約4ミル(約0.1016mm)の厚さの間)とすることができる。一例では、保護層154のそれぞれは、約2ミル(約0.0508mm)の厚さである。
基板支持面152を画定する最外層が交換を必要とするときに各保護層154が選択的に除去されることを可能とするために、非永久接着層156を保護層154間で使用することができる。一実施形態では、接着層156は、各保護層154が下地の保護層154から剥離除去されることを可能にするシリコンベースの接着剤である。保護層154の底部は、例えば、エッチング又はプラズマ処理によって処理され、これによって接着層156が下地の保護層154に優先的に付着する、及び除去され、これによって一旦上にある保護層154が除去されると、下地の保護層154上で新たに露出された基板支持面152は、実質的に接着剤無しとすることができる。
いくつかの実施形態では、保護層154のうちの1つ、それ以上、又はすべては、摩耗インジケータ158を含むことができる。摩耗インジケータ158は、基板支持面152画定する保護層154が交換を必要としている時期を決定するために使用することができる。一実施形態では、摩耗インジケータ158は、視覚的インジケータ(例えば、保護層154上又は保護層154内に形成された印刷、パターン、又は色)とすることができる。例えば、摩耗インジケータ158は、摩耗除去された場合に、基板支持面152を画定する保護層154が下地の保護層154を露出させるために除去されるべきであることを示す保護層154の着色部とすることができる。別の一例では、摩耗インジケータ158は、基板支持面152が摩耗除去された場合に、保護層154が交換されるべきであることを示すために露出される基板支持面152の下方に配置された保護層154の着色部とすることができる。使用可能な他の摩耗インジケータ158は、溝、止まり穴、凹部、又は露出した基板支持面152を画定する保護層154を除去する必要性を示すために摩耗除去可能な他の表面構造を含む。あるいはまた、露出した基板支持面152を画定する保護層154は、他の基準(例えば、使用期間、露出された基板支持面152上で処理された基板の数、又は視覚検査又は他の検査からの結果など)に基づいて、下地の保護層154を露出させるために除去されてもよい。
戻って図1Aを参照すると、電極アセンブリ135は、横方向に離間した複数の電極セット130を含む。各電極セット130は、第2電極142と交互配置された第1電極141を含む。電極アセンブリ135は、基板キャリア本体110内に埋め込むことができる。例えば、電極アセンブリ135は、基板キャリア本体110を含むセラミックス材料内に埋め込む、又は基板キャリア本体110を含むポリマーシート間に配置することができる。更なる実施形態では、電極アセンブリ135は、基板キャリア本体110上に配置されたプリント基板(PCB)上に配置することができる。電極アセンブリ135をコントローラ160に結合する導体は、基板キャリア本体110又はPCBの上又は中、又は基板キャリア本体110又はPCBの溝内に形成することができる。電極アセンブリ135は、外側取付面114と実質的に同様な形状を有するように設計することができる。いくつかの実施形態では、基板キャリア本体110の外側取付面114を通して見たときの電極アセンブリ135は長方形であり、約0.1m〜約10mの間の範囲の高さと幅の寸法を有することができる。
図1Aに図示の実施形態では、電極アセンブリ135の電極セット130は、鉛直方向の姿勢を有し、横方向に列に離間しているが、他の姿勢も利用可能である。例えば、電極セット130は、格子パターン、円形状配列、円形パターン、又は他のパターンに配置することができる。ほんの数個の個々の電極セット130(例えば、電極セット1301−6)が図1Aに図示されるが、いくつかの実施形態では、電極アセンブリ135を含むより多くの個々の電極セット130が存在することが可能であり、これによって外側取付面114の異なる領域を通して加わるクランプ力を正確に制御するために、個々に制御可能な電極141、142を使用することができる。
上述のように、各々の個々の電極セット130は、電極141、142として図1Aに示される少なくとも2つの交互配置された電極を含む。電極141、142は、コントローラ160によって独立して制御され、これによって異なる電気的特性(例えば、電流、電圧など)を単一の電極セット130内で電極141、142に印加することができる。また、1つの電極セット130を含む各電極141、142は、異なる電極セット130を含む電極141、142とは別に制御することができる。
電源120及びコントローラ160、並びに関連する電気・電子装置及び配線は、基板キャリア本体110内に配置される、又はそうでなければ、基板キャリア本体110に接続される。いくつかの実施形態では、コントローラ160と電源120のうちの一方又は両方は、支持台112の上又は中に配置することができる。他の実施形態では、電源120及びコントローラ160は、基板キャリア本体110に対して遠隔に配置することができる。電源120は、電力を電極セット130に供給するように構成される。電源120は、電池125及びオプションの充電器126を含むことができる。
コントローラ160は、第1グループ131の電極セット130及び第2グループ132の電極セット130を選択するように構成することができ、これによって異なる電圧又は電流が、第2グループ132に対して第1グループ131の電極セット130に供給することができる。以下に更に詳細に説明されるように、第1グループ131の電極セット130は、基板10を基板キャリアシステム110に静電クランプするように使用することができ、第2グループ132の電極セット130は、基板10上のマスク20を基板キャリアシステム100に静電クランプ又は電磁クランプするように使用することができる。どちらの電極セット130が第1グループ131及び第2グループ132に含まれるかは、処理中に変更することができ、これによってマスク20は、基板10の異なる領域にクランプされることが可能となる。
基板キャリアシステム100は、基板キャリア本体110及び基板10の輸送を補助するためのガイドレール116を含むことができる。ガイドレール116は、外側取付面114の平面に実質的に平行な方向を有することができる。ガイドレール116は、基板キャリア本体110の底部115又は支持台112に結合される、又は基板キャリア本体110の底部115又は支持台112から延在することができる。図1Cを参照して以下に更に説明されるように、ガイドレール116は、駆動装置の伝達機構とインターフェース接続するように構成することができる。
図1Bは、一実施形態に係る電極アセンブリ135への例示的な電気的接続を示すブロック図である。電源120は、少なくとも第1クランプ電圧を、オプションでいくつかの実施形態では、第2クランプ電圧と電極セット130へのクランプ電流のうちの1以上を供給するように構成することができる。第1クランプ電圧は、第1クランプ電圧端子121から供給することができる。一実施形態では、第2クランプ電圧は、第2クランプ電圧端子122から供給することができ、一方、別の一実施形態では、クランプ電流は、クランプ電流端子123から供給することができる。クランプ電流は、第1クランプ電圧、第2クランプ電圧、又は他の好適な電圧で供給することができる。
各電極130は、それぞれのスイッチング素子171〜174(例えば、固体スイッチ、コンタクタ、又はリレー)に結合することができる。各スイッチング素子171〜174は、コントローラ160がスイッチング素子171〜174に1以上の制御信号を供給することを可能にするために、それぞれの制御回路181〜184に結合することができる。制御回路181〜184は、個々のハードワイヤード(配線で接続された)接続として示されているが、制御信号を提供するための他の手段(例えば、とりわけ、フィールドバス、又は無線送信機/受信機)を使用することもできる。各スイッチング素子171〜174は、電源120及びコントローラ160への複数の接続(図示せず)を有することができ、これによってスイッチング素子(例えば、スイッチング素子171)は、スイッチング素子171に送信された制御信号に基づいて、電極セット1301を第1クランプ電圧、第2クランプ電圧、又はクランプ電流に結合させることができる。
コントローラ160は、どの個々の電極セット130が、第1グループ131の電極セット130と第2グループ132の電極セット130に含まれるかを選択するように構成することができる。図1Bに示される例では、第1グループ131の電極セット130は、電極セット1301及び電極セット1302を含むようにコントローラ160によって選択され、一方、第2グループ132は、電極セット1303及び電極セット1304を含むように選択される。コントローラ160は、第1グループ131の電極セット130を第1チャッキングモードで動作させるために、少なくとも第1グループ131の電極セット130に第1クランプ電圧を供給するように更に構成することができる。第1チャッキングモードでは、例えば、コントローラ160は、第1グループ131を画定するために電極セット1301及び電極セット1302を選択するように動作させることができる。一度第1グループ131が画定されると、コントローラ160は、スイッチング素子171、172に制御回路181、182を介して制御信号を供給するように動作させることができ、これによって端子121からの第1クランプ電圧は、電極セット1301及び電極セット1302に供給される。第1クランプ電圧は、図1Cに図示されるように、保護層スタック150に基板10を静電クランプするために使用することができる。
保護層スタック150に基板10を静電クランプするために使用される静電気力が徐々に増加して、望ましくない粒子を生成するように基板10が保護層スタック150に接触するのを実質的に防止するために、第1クランプ電圧はランプアップさせることができる。また、第1グループ131内の各電極セット130は、第1グループ131内の他の電極セット130とは独立して制御することができるので、第1グループ131内の電極セット130は、中央から端部へ、又は端部から反対の端部へのシーケンスで通電又はランプアップさせ、これによって基板10と基板支持面152との間にエアポケットがトラップされるのを実質的に防止するように、基板10を保護層スタック150にチャックすることができ、これは最終的にチャックされた基板10の平坦度を改善する。
コントローラ160はまた、第2グループ132の電極セット130を第2チャッキングモードで動作させるために、少なくとも第2グループ132の電極セット130に第2クランプ電圧又はクランプ電流を供給するように構成することができる。第2チャッキングモードでは、例えば、コントローラ160は、クランプ電流を端子123から電極セット1303及び電極セット1304に供給するために、スイッチング素子173、174に制御回路183、184を介して制御信号を供給するように動作させることができる。コントローラ160は、電極アセンブリ135を同時に第1チャッキングモード及び第2チャッキングモードの両方で動作させることができる。第2モードは、図1Cに図示されるように、外側取付面114上に配置された保護層スタック150に基板10の上のマスク20を電磁クランプするために使用することができる。あるいはまた、第2チャッキングモードは、図1Cに図示されるように、保護層スタック150に基板10の上のマスク20を静電クランプするために第2クランプ電圧を供給するために使用することができる。
マスク20を基板10に、及び外側取付面114上に配置された保護層スタック150にクランプするために使用される静電力又は電磁力が徐々に増加してマスク20を基板10に滑らかにクランプするように、第2クランプ電圧又は電流は、ランプアップさせることができる。マスク20を滑らかにチャックすることは、マスク20の位置決め精度を向上させ、同時に望ましくない粒子の生成を実質的に防止する。また、第1グループ131内の各電極セット130は、第1グループ131内の他の電極セット130とは独立して制御することができるので、第1グループ131内の電極セット130は、中央から端部へ、又は端部から反対の端部へのシーケンスで通電又はランプアップさせ、これによってマスク20がたわむのを実質的に防止するように、マスクを保護層スタック150にチャックすることができ、これは最終的にチャックされた基板10上のマスク20の平坦度を改善する。
上記で参照したように、図1Cは、真空処理システム50内に配置された基板キャリアシステム100の概略側面断面図である。基板キャリアシステム100は、処理システム50の異なるチャンバ/モジュールを通って基板10を運ぶ。エレクトロニクス127は、図1Aに見られたコントローラ160及び電源120を表す。電気接続190は、図1Bに示されたコントローラ160と電極アセンブリ135との間の配線及びスイッチング素子を表す。処理システム50は、堆積、エッチング、注入、アニーリング、又は他の処理用に構成することができる。処理システム50は、処理チャンバ55を含むことができる。処理チャンバ55は、基板が上にチャッキングされた基板キャリアシステム100を処理チャンバ55の内外へ移動可能とする大きさの基板アクセスポートを含む。処理チャンバ55は、基板10上に材料を堆積させるためのスプレーバー60を収容することができる。一実施形態では、材料は、処理チャンバ55内において真空で実行される熱蒸着技術を用いて基板10上に堆積させることができる。例えば、スプレーバー60は、有機材料などのOLEDデバイスの製造に適した材料を堆積させるように構成されてもよい。OLEDの製造に適したいくつかの有機材料は、有機金属キレート(例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3))、蛍光及び燐光染料、及び共役デンドリマーを含む。基板キャリアシステム100は、処理システム50内の処理中に基板キャリアシステム100に基板10及びマスク20を搬送及びクランプするために使用することができる。ガイドレール116は、処理チャンバ55内の基板キャリアシステム100の位置決めを補助し、処理チャンバ55内外へ基板が上にチャッキングされた基板キャリアシステム100を移動させるために、搬送機構117とインターフェース接続するように使用することができる。一度基板キャリアシステム100が処理チャンバ55内の処理位置に配置されると、スプレーバー60は、電極アセンブリ135によって基板キャリアシステム100に保持された基板10を横切って並進することができる。図1B及び図1Cを参照すると、コントローラ160は、スプレーバー60が基板10を横切って横断するとき、スプレーバー60の横方向の位置に基づいて、異なる電極セット130に第1クランプ電圧又はクランプ電流と第2クランプ電圧のうちの1以上を供給するために、制御信号を調整することができる。
図2A〜図2Dは、一実施形態に係る、スプレーバー60が電極アセンブリ135を横切って並進するときの、基板キャリアシステム100の電極アセンブリ135を動作させるためのシーケンスを示す。図2A〜図2Dのそれぞれにおいて、電極アセンブリ135の上面図が、電極アセンブリ135の個々の電極セット130に対する異なる横方向位置のスプレーバー60と共に概略的に図示される。上述したように、電極アセンブリ135は、基板キャリア本体110の第1端部211と第2端部212との間に画定された幅寸法210を有する長方形の形状を有することができる。電極セット130は、基板キャリア本体110の第1及び第2端部211、212の間で、幅寸法210の方向に横方向に離間することができる。図2A〜2Dは、7つの個々の電極1301〜1307を示しているが、より多くの又はより少ない個々の電極セット130が存在してもよい。図2A〜図2Dには図示されないコントローラ160は、電極セット1301〜1307として図示されるどの電極セット130が、第1グループ131及び第2グループ132内に配置されるかを選択する。第1グループ131は、典型的には、一連の隣接する電極セット(例えば、図2Aに図示されるような電極セット1301〜1303)を含む。
コントローラ160は、それぞれの個々の電極セット130に対するスプレーバー60の相対位置に応じて、第2グループ132から第1グループ131へ1以上の電極セット130を連続的に切り替えるように構成される。コントローラ160はまた、それぞれの個々の電極セット130に対するスプレーバー60の相対位置に応じて、第1グループ131から第2グループ132へ1以上の電極セット130を連続的に切り替えるように構成される。シーケンスは、図2A〜図2D内で位置61〜64として図示されるスプレーバー60の位置、又は基準(例えば、基板キャリア本体110の第1端部211)に対する他の外部コンポーネントに応じて同期させることができる。一実施形態では、コントローラ160は、電極アセンブリ135及び基板キャリア本体110の第1端部211から第2端部212まで第1グループ131から第2グループ132へ電極セット130を連続的に切り替えるように構成される。
いくつかの実施形態では、処理チャンバ55内に位置する近接センサやリミットスイッチからの通信、又は基板キャリアシステム100から外部の他の信号を使用し、これによって電極アセンブリ135の個々の電極セット130又は基板キャリア本体110に対するスプレーバー60の位置を示す測定値を提供することができる。通信又は信号に応答して、コントローラ160は、どの電極セット130が第1グループ131に属するとして指定され、どの電極セット130が第2グループ132に属するとして指定されるかを選択する。他の実施形態では、静電位置検出センサなどのアナログセンサ(図示せず)が使用され、これによってコントローラ160が処理システム内の基準(例えば、基板キャリア本体110の第1端部211)に対するスプレーバー60の位置を連続的に監視することを可能にすることができる。他の実施形態では、スプレーバー60は、タイミングシーケンスの適時の工程又は点に基づいて、スプレーバー60の位置をコントローラ160が決定することを可能にするコントローラ160によって実行されるタイミングシーケンスに従って、基板10を横切って並進させることができる。
まず図2Aを参照すると、スプレーバー60は、電極アセンブリ135に関連して第1位置61に示されている。コントローラ160は、電極セット130のうちのどれが、第1グループ131に含まれ、第1チャッキングモードで動作するか、そして電極セット130のうちのどれが、第2グループ132に含まれ、第2チャッキングモードで動作するかを選択するように構成される。第1及び第2チャッキングモードがどのように動作するかは、以下で図3A〜図5Bを参照して更に詳細に説明する。コントローラ160によって行われた選択は、どの電極セット130がスプレーバー60に最も近接しているかに基づいてもよい。例えば、コントローラ160は、スプレーバー60のすぐ前の1以上の電極セット130を含み、スプレーバー60の両側の1以上の電極セット130を含むことによって、第2グループ132内の電極セット130を選択することができる。したがって、図2Aの第2グループ132は、スプレーバー60のすぐ前にある電極セット1302と、スプレーバー60のすぐ両側にある電極セット1301、1303を含む。
コントローラ160は、第2グループ132に含まれないすべての電極セット130を含むことによって第1グループ131を選択することができる(例えば、図2Aに図示されるような電極セット1304〜1307)。コントローラ160は、第1グループ131内の電極セット130に第1クランプ電圧を結合するように構成し、第2グループ132の電極セット130に第2クランプ電圧又はクランプ電流を結合する。第1チャッキングモードで動作する第1グループ131内の電極セット1304〜1307は、基板キャリアシステム100に基板10を静電クランプする。第2チャッキングモードで動作する第2グループ132内の電極セット1301〜1303は、基板キャリアシステム100に基板10上のマスク20を静電クランプ又は電磁クランプする。こうして、基板キャリアシステム100は、スプレーバー60のすぐ前、又はスプレーバー60のすぐ近傍にある基板10の領域上のマスク20のみをクランプする。材料が上に積極的に堆積されているスプレーバー60の近傍の基板10の領域上のマスク20のみをクランプすることによって、基板10の上のマスク20の平坦度を向上させながら、マスク20の位置精度を維持する。更に、マスク20の基板10への接触領域を電極セット130の第2グループ132によって画定される領域のみに低減させることによって、粒子生成の可能性が低減され、これは装置の歩留まり及び性能を増加させる。
堆積シーケンスが処理チャンバ55内に継続するにつれて、スプレーバー60は、図2Bに示されるように、電極アセンブリ135に対して第1位置61から第2位置62まで第2端部212へ向かう方向に移動する。スプレーバー60が第1位置61から第2位置62へ並進するにつれて、コントローラ160は、どの電極セット130が第1及び第2グループ131、132に属するかを再決定する。例えば、スプレーバー60が現在第2位置62にある決定に応答したコントローラ160は、1以上の電極セット130(例えば、電極セット1301)を第2グループ132から第1グループ131へと切り替える(すなわち、再割り当てする)。コントローラ160はまた、1以上の電極セット130(例えば、電極セット1304)を第1グループ131から第2グループ132へと切り替える(すなわち、再割り当てする)。
次に図2Cを参照すると、スプレーバー60が、電極アセンブリ135に関連して処理シーケンス内の第3位置63で後に示される。図2Cでは、スプレーバー60は、図2Bに示される第2位置62から図2Cに示される第3位置63まで第2端部212に向かって更に並進している。スプレーバー60が第2位置62から第3位置63まで並進するにつれて、コントローラ160は、どの電極セット130が第1及び第2グループ131、132に属するかを再決定する。例えば、スプレーバー60が現在第3位置63にある決定に応答したコントローラ160は、1以上の電極セット130(例えば、電極セット1302)を第2グループ132から第1グループ131へと切り替える(すなわち、再割り当てする)。コントローラ160はまた、1以上の電極セット130(例えば、電極セット1305)を第1グループ131から第2グループ132へと切り替える(すなわち、再割り当てする)。
次に図2Dを参照すると、スプレーバー60が、電極アセンブリ135に関連して処理シーケンス内の第4位置64で後に示される。図2Dでは、スプレーバー60は、図2Cに示される第3位置63から図2Dに示される第4位置64まで第2端部212に向かって更に並進している。スプレーバー60が第3位置63から第4位置64まで並進するにつれて、コントローラ160は、どの電極セット130が第1及び第2グループ131、132に属するかを再決定する。例えば、スプレーバー60が現在第4位置64にある決定に応答したコントローラ160は、1以上の電極セット130(例えば、電極セット1303)を第2グループ132から第1グループ131へと切り替える(すなわち、再割り当てする)。コントローラ160はまた、1以上の電極セット130(例えば、電極セット1306)を第1グループ131から第2グループ132へと切り替える(すなわち、再割り当てする)。
図2A〜2Dに図示されたシーケンスに示されるように、第1グループ131〜第2グループ132に割り当てられた電極セット130は、スプレーバー60の位置又はコントローラ160によって提供された他の情報に応じて変化する。したがって、基板を横切って増加的に堆積が起こる(例えば、基板10の一端から他端へ進む)実施形態では、第1グループ131〜第2グループ132に割り当てられた電極セット130は、波状のパターンで連続的に(例えば、基板キャリアシステム100を横切って連続的に)切り替えることができ、これによって第2モードで動作する電極アセンブリ135の部分もまた、進行方向前方のグループ132において1以上の電極セット130を第2グループ132に加え、同時に後方のグループ132から第2グループ132の1以上の電極セット130を取り除くことから、連続的に基板キャリアシステム100を横切って並進する。
図2A〜2Dは、電極アセンブリ135の幅寸法210に沿って横方向に離間した電極セット130を示しているが、他の配置(例えば、長方形又は正方形の格子、又は円形配置)を使用することもできる。電極アセンブリ内の電極セットの配置は、処理される基板上の領域の幾何学的形状を一致させるように設計することができる。例えば、基板10の長方形領域を処理する長方形のスプレーバー60は、電極アセンブリ135上で長方形パターンに配置された電極セット130と共に良好に動作する。スプレーバーが複数の方向に並進することができるならば、格子配置の電極セットが有益となるかもしれない。スプレーバーが円形パターンに並進可能ならば、円形配置又は格子配置の電極セットが有益となるかもしれない。
図3A及び図3Bは、一実施形態に係る電極アセンブリ300の2つ(例えば、第1及び第2)の動作状態を示す。電極アセンブリ300は、グランド(例えば、処理システム50の基準グランド又はアースグランド)に保持されるマスク20と共に使用される場合に特に有利である。電極アセンブリ300は、基板キャリアシステム100又は他の基板キャリアシステム内で電極アセンブリ135として使用することができる。電極アセンブリ300は、例えば、図2A〜図2Dを参照して上述したように、電極アセンブリ300の動作を制御するコントローラ160に結合される。電極アセンブリ300は、横方向に離間した複数の電極セット305を含み、それぞれの個々の電極セット3051〜3057は、第2電極312と交互配置された第1電極311を含む。一実施形態では、各第1電極311は、第1セットのフィンガー321を含み、各第2電極312は、第2セットのフィンガー322を含む。第1セットのフィンガー321は、第2セットのフィンガー322と交互配置される。フィンガー321、322を交互配置することは、静電力を発生する電極間のより長いインターフェースを提供し、したがって、より大きな静電力を発生させるのにより少ない電力を使用し、これは一度電力が除去されると減衰するのにより長い時間が掛かり、電力が除去された後の短い間、基板10が基板キャリアシステム100にチャッキングしたままでいることを可能にすると考えられている。
電極アセンブリ300の下に示したグラフ307は、(図2A〜図2Dに示されるような)電極アセンブリ300の電極セット305のスプレーバー60に対する位置に応じて選択された異なる電極セット305の第1電極311及び第2電極312に印加された電圧を示す。例えば、グラフ307は、電極セット3051〜3052、3056〜3057の第1電極311に印加された正の第1クランプ電圧331Aと、電極セット3051〜3052、3056〜3057の第2電極312に印加された負の第1クランプ電圧331Bを示す。あるいはまた、正の第1クランプ電圧331Aは、電極セット3051〜3052、3056〜3057の第2電極312に供給することができ、負の第1クランプ電圧331Bは、電極セット3051〜3052、3056〜3057の第1電極311に印加することができる。正及び負の用語は、マスク20の接地電圧に対する第1クランプ電圧331A及び第1クランプ電圧331Bの振幅を指す。図3A〜図3Bに示した例では、マスク20の接地電圧はほぼゼロボルトであり、第1クランプ電圧331A及び第1クランプ電圧331Bは、マスク20の接地電圧に対して逆極性で実質的に等しい振幅の電圧を有する。各電極311、312に供給される第1クランプ電圧331A、331Bの極性は、動作中に可逆的とすることが可能である。
グラフ307はまた、電極セット3053〜3055の第1電極311に印加された第2クランプ電圧322Aと、マスク20の接地電圧(例えば、約ゼロボルト)と実質的に等しい、電極セット3053〜3055の第2電極312に印加された第2クランプ電圧322Bを示す。あるいはまた、第2クランプ電圧332Aは、電極セット3053〜3055の第2電極312に供給することができ、電極セット3053〜3055の第1電極311に印加される第2クランプ電圧332Bは、マスク20の接地電圧と実質的に等しい。両電極311、312に供給される第2クランプ電圧322Aの極性は、動作中、可逆的とすることができる。第2クランプ電圧322A、322B間の電位差は、第1クランプ電圧331A、331B間の電位差と実質的に等しくすることができるが、第2クランプ電圧322Bは、マスク20の接地電圧に実質的に等しいので、電極アセンブリ300が第2モードで動作する場合、電極アセンブリ300は、単極の静電チャックとして機能する。
上述のように、コントローラ160は、第1グループ301の電極セット305と第2グループ302の電極セット305を選択するように構成することができる。図1Cに図示されるように、第1グループ301内に含まれる電極セット305は、基板10を静電クランプするために使用することができ、第2グループ302内に含まれる電極セット305は、外側取付面114上に配置された保護層スタック150に基板10上のマスク20を静電クランプするために使用することができる。コントローラ360は、少なくとも第1グループ301の電極セット305に第1クランプ電圧331A、331Bを供給することによって、第1グループ301の電極セット305を第1チャッキングモードで動作するように構成することができる。第1クランプ電圧331A、331Bは、約500V〜約10000Vの間(例えば、約3000V)のDC電圧とすることができる。電極311、312は、電極311、312が第1チャッキングモードで動作するとき、基板10への双極の静電チャックとして機能する。双極の静電チャックとして動作した場合、チャッキング力は、一般的に基板10を貫通して延びないので、マスク20ではなく基板10が、第1チャッキングモードで動作する電極アセンブリ300の領域によってチャッキングされる。
コントローラ160はまた、第2グループ302の電極セット305に第2クランプ電圧332Aを供給することによって、第2グループ302の電極セット305を第2チャッキングモードで動作するように構成することができる。第2チャッキングモードで動作するときの電極311、312は、第2クランプ電圧322Bがマスク20の接地電圧と実質的に等しいので、単極の静電チャックとして機能する。第2クランプ電圧332Aは、約600V〜約20000Vの間(例えば、約6000V)のDC電圧とすることができる。第2クランプ電圧332Aは、正又は負の電圧とすることができる。第2クランプ電圧332Aの振幅は、約0.25〜約5倍(例えば、約2倍)正の第1クランプ電圧331Aよりも高くすることができる。第2クランプ電圧322Aと接地されたマスク20との間の高い電位差は、基板10を介してマスク20を基板キャリアシステム100にチャッキングするのに十分である。
いくつかの実施形態は、各電極セット305の各電極311、312は、電極311、312間の2つのリードとコントローラ160を有することができる。各リードは、同じ電圧に保持することができ、これによって両チャッキングモードにおいて電極311、312を介して実質的に電流が流れない。
図3A及び図3Bを参照すると、コントローラ160は、少なくとも1つの電極セット(例えば、電極セット3056)を図3Aに示されるような第1グループ301から図3Bに示されるような第2グループ302へ選択的に切り替えるように構成することができる。コントローラ160はまた、少なくとも1つの電極セット(例えば、電極セット3053)を図3Aに示されるような第2グループ302から図3Bに示されるような第1グループ301へ選択的に切り替えるように構成することができる。コントローラ160は、所定の基準(例えば、電極アセンブリ300に関連する外部コンポーネント(例えば、スプレーバー60)の位置、処理チャンバ55内の電極アセンブリ300の位置)に基づいて、タイミングシーケンス又は他の基準にしたがって、電極セット305のうちのどれが、第1グループ301及び第2グループ302に含まれるかを選択する。
図4A及び図4Bは、別の一実施形態に係る電極アセンブリ400の2つの動作状態を示す。電極アセンブリ400は、電気的に接地している又は浮いているマスク20と共に使用するのに適している。電極アセンブリ400は、基板キャリアシステム100又は他のキャリアシステム内の電極アセンブリ135として使用することができる。電極アセンブリ400は、例えば、図2A〜図2Dを参照して上述したように、電極アセンブリ400の動作を制御するコントローラ160に結合される。電極アセンブリ400は、横方向に離間した複数の電極セット405(電極セット4051〜4057として例示的に図示される)を含む。それぞれの個々の電極セット4051〜4057は、第2電極412と交互配置された第1電極411を含む。一実施形態では、各第1電極411は、第1コイル421を含み、各第2電極412は、第2コイル422を含む。本開示の目的のために、交互配置されたコイルは、第2コイルの上部に配置された1つのコイルを含み、1つのコイルは、他のコイルの上に垂直に重なっておらず、他のコイルの要素と位置合わせされていない。
電極アセンブリ400の下のグラフ407、408は、電極アセンブリ400によって保持された基板10の処理中に異なる期間で電極アセンブリ400の異なる電極セット405に対して第1電極411及び第2電極412に印加した電圧及び電流を示す。例えば、グラフ407は、電極セット4051〜4052、4056〜4057の第1電極411に印加された正の第1クランプ電圧431Aと、電極セット4051〜4052、4056〜4057の第2電極412に印加された負の第1クランプ電圧431Bを示す。あるいはまた、正の第1クランプ電圧431Aは、電極セット4051〜4052、4056〜4057の第2電極412に供給することができ、負の第1クランプ電圧431Bは、電極セット4051〜4052、4056〜4057の第1電極411に印加することができる。各電極411、412に供給される第1クランプ電圧431A、431Bの極性は、動作中、可逆的とすることができる。電極411、412に印加された電圧間の電位差は、電極アセンブリ400がマスク20をチャッキングすることなく基板10をチャッキングする双極の静電チャックとして機能することを可能にする。グラフ407はまた、電極セット4053〜4055の第1電極411に印加される正の第1クランプ電圧431A、及び電極セット4053〜4055の第2電極412に印加される負の第1クランプ電圧431Bを示している。電圧431A、431Bに対するわずかな傾きは、電流が電極セット4053〜4055の電極411、412を通って流れたときの各電極411、412のリードを横切る電圧降下を示している。電極セット4053〜4055の電極411、412を通る電流フローは、磁化可能な材料(例えば、金属含有材料(例えば、INVAR(商標名))から構成されたマスク20を、基板10を介して基板キャリアシステム100にチャッキングする静電力を生成する。
グラフ408は、電極セット4051〜4052、4056〜4057の第1電極411又は第2電極412に供給された、又は誘導された電流435が実質的にないことを示している。グラフ408はまた、電極セット4053〜4055の第1電極411に供給される正のクランプ電流436A、及び電極セット4053〜4055の第2電極412に供給される負のクランプ電流436Bを示している。あるいはまた、正のクランプ電流436Aは、電極セット4053〜4055の第2電極412に供給することができ、負のクランプ電流436Bは、電極セット4053〜4055の第1電極411に印加することができる。
コントローラ160は、電極セット405の第1グループ401及び電極セット405の第2グループ402を選択するように構成することができる。第1グループ401に含まれる電極セット405は、基板10を外側取付面114上に配置された保護層スタック150に静電クランプするために使用することができる。第2グループ402に含まれる電極セット405は、図1Cに図示されるように、基板10の上のマスク20を外側取付面114上に配置された保護層スタック150に電磁クランプするために使用することができる。第2グループ402内の電極セット405を介して流れる電流は、マスク20を基板キャリアシステム100に引き付け、固定する磁場を生成する。コントローラ160は、第1クランプ電圧431A、431Bを電極セット405の少なくとも第1グループ401に供給することによって、電極セット405の第1グループを第1チャッキングモードで動作するように構成することができる。第1チャッキングモードで動作したときの電極411、412は、双極の静電チャックとして機能する。第1クランプ電圧431A、431Bは、約500V〜約10000Vの間(例えば、約3000V)のDC電圧とすることができる。
コントローラ160はまた、電極セット405の第2グループ402に正のクランプ電流436A及び負のクランプ電流436Bを供給することにより、電極セット405の第2グループ402を第2チャッキングモードで動作するように構成することができる。電極セット405は、第2チャッキングモードで動作するとき、双極の電磁チャックとして機能する。正のクランプ電流436A及び負のクランプ電流436Bは、約10mA〜約10A(例えば、約100mA)とすることができる。図4A及び図4Bに示される実施形態では、第1クランプ電圧431は、第1グループ401及び第2グループ402内の電極セット405に印加され、2つのグループ401、402に印加される電圧は、等しいか又は実質的に等しくされる。いくつかの実施形態では、第1クランプ電圧431とは異なる第2クランプ電圧(図示せず)を第2グループ402内の電極セット405に印加することができる。
図4A〜図4Bを参照すると、コントローラ160は、図4Aに示されるような第1グループ401から図4Bに示されるような第2グループ402へ少なくとも1つの電極セット4056を選択的に切り替えるように構成することができる。コントローラ160はまた、図4Aに示されるような第2グループ402から図4Bに示されるような第1グループ401へ少なくとも1つの電極セット4053を選択的に切り替えるように構成することができる。コントローラ160は、所定の基準(例えば、電極アセンブリ400に関連する外部コンポーネント(例えば、スプレーバー60)の位置、処理チャンバ55内の電極アセンブリ400の位置)に基づいて、又はタイミングシーケンスにしたがって、第1グループ401及び第2グループ402に含まれる電極セット405を切り替えることができる。
図5A及び図5Bは、別の一実施形態に係る電極アセンブリ500の2つの動作状態を示す。電極アセンブリ500は、基板キャリアシステム100又は他のキャリアシステム内の電極アセンブリ135として使用することができる。電極アセンブリ500は、電気的に接地されていないか、又は電気的に浮いている磁化可能な材料から構成されるマスク20と共に使用するのに適している。電極アセンブリ500は、例えば、図2A〜図2Dを参照して上述したように、電極アセンブリ500の動作を制御するコントローラ160に結合されている。電極アセンブリ500は、横方向に離間した複数の電極セット505を含み、各電極セット5051〜5057は、第2電極512と交互配置された第1電極511を含む。一実施形態では、各第1電極511は、第1コイル521を含み、一方、各第2電極512は、第2コイル522を含む。第1コイル521は、第2コイル522と交互配置される。
電極アセンブリ500の下のグラフ507、508は、電極アセンブリ500上での電極セット505の位置に応じて異なる電極セット505に対して第1電極511及び第2電極512に誘導された又は印加した電圧及び電流を示す。例えば、グラフ507は、電極セット5051〜5052、5056〜5057の第1電極511に印加された第1クランプ電圧531Aと、電極セット5051〜5052、5056〜5057の第2電極512に印加された実質的にゼロ電圧531Bを示す。あるいはまた、第1クランプ電圧531Aは、電極セット5051〜5052、5056〜5057の第2電極512に供給することができ、実質的にゼロ電圧531Bは、電極セット5051〜5052、5056〜5057の第1電極511に印加することができる。両電極511、512に供給される第1クランプ電圧531A、531Bの極性は、動作中、可逆的とすることができる。グラフ507はまた、電極セット5053〜5055の第1電極511に印加される第1クランプ電圧531A、及び電極セット5053〜5055の第2電極512に印加される第2クランプ電圧532を示している。第2クランプ電圧532に対するわずかな傾きは、電流が電極セット5053〜5055の第2電極512を通って流れたときの電圧降下を示している。両電極511、512に供給される第2クランプ電圧532の極性は、動作中、可逆的とすることができる。いくつかの実施形態では、第1クランプ電圧531Aは、第2クランプ電圧532とは逆極性とすることができる。
グラフ508は、電極セット5051〜5052、5056〜5057の第1電極511又は第2電極512に実質的にゼロ電流535が供給されることを示している。グラフ508はまた、電極セット5053〜5055の第2電極512に供給されるクランプ電流536と、電極セット5053〜5055の第1電極511に供給される実質的にゼロ電流535を示している。あるいはまた、クランプ電流536を、電極セット5053〜5055の第1電極511に供給することができ、実質的にゼロ電流535を、電極セット5053〜5055の第2電極512に印加することができる。
コントローラ160は、電極セット505の第1グループ501と電極セット505の第2グループ502を選択するように構成することができる。第1グループ501内に含まれる電極セット505は、基板10を静電クランプするために使用することができ、第2グループ502内に含まれる電極セット505は、図2Cに図示されるように、外側取付面114上に配置された保護層スタック150に基板10上のマスク20を静電クランプするために使用することができる。電極アセンブリ500を含む一実施形態と共に使用することができるマスク20は、磁化可能な材料(例えば、強磁性化合物)で構成することができる。第2グループ502内の電極セット505を介して流れる電流は、マスク20を基板キャリアシステム100に引き付け、固定する磁場を生成する。コントローラ160は、少なくとも第1グループ501の電極セット505に第1クランプ電圧531Aを供給することによって、第1グループ501の電極セット505を第1チャッキングモードで動作するように構成することができる。第1チャッキングモードで動作するときの電極511、512は、単極の静電チャックとして機能する。第1クランプ電圧531Aは、約500V〜約20000Vの間(例えば、約6000V)のDC電圧とすることができる。
コントローラ160はまた、電極セット505の第2グループ502にクランプ電流536を供給することによって、第2グループ502の電極セット505を第2チャッキングモードで動作するように構成することができる。第2チャッキングモードで動作された場合の電極セット505は、単極の電磁チャックとして機能する。
クランプ電流536は、約10mA〜約10A(例えば、約100mA)とすることができる。クランプ電流536は、低電圧で生成されるので、マスク20をクランプするために利用されるエネルギーは、他のチャッキング技術と比べて低い。いくつかの実施形態では、第1クランプ電圧531Aとは異なる電圧を、第1グループ501に対向するように第2グループ502の電極セット505の第1電極511に印加することができる。第1クランプ電圧531Aは、第2クランプ電圧532よりも約5〜約5000倍高く(例えば、約10倍高く)することができる。いくつかの実施形態では、第2クランプ電圧532は、約100V未満(例えば、約30V未満(例えば、約10V))のDC電圧とすることができる。
図5A及び図5Bを参照すると、コントローラ160は、少なくとも1つの電極セット505(例えば、電極セット5056)を図5Aに示されるような第1グループ501から図5Bに示されるような第2グループ502へ選択的に切り替えるように構成することができる。コントローラ160はまた、少なくとも1つの電極セット505(例えば、電極セット5053)を図5Aに示されるような第2グループ502から図5Bに示されるような第1グループ501へ選択的に切り替えるように構成することができる。コントローラ160は、所定の基準(例えば、電極アセンブリ500に関連する外部コンポーネント(例えば、スプレーバー60)の位置、処理チャンバ55内の電極アセンブリ500の位置)に基づいて、又はタイミングシーケンスにしたがって、第1グループ501及び第2グループ502内に含まれる電極セット505を切り替えることができる。
図6は、基板キャリアシステム(例えば、上記の基板キャリアシステム100)上に基板を搬送するための方法600のプロセスフロー図である。ブロック602では、基板キャリアシステム上に基板を搬送する方法600は、真空処理チャンバ(例えば、上記の処理チャンバ55)から基板キャリアシステムを除去する工程を含む。ブロック604では、未処理の基板支持面152を画定するための、複数の保護層のうちの下地の保護層を露出させるために、基板キャリアステム100の外側取付面114上に配置された保護層スタック150を含む複数の保護層154のうちの外側保護層が除去される。ブロック606では、基板10が、未処理の基板支持面152上にロードされる。基板支持面152上にロードされた基板10は、電極アセンブリに通電することにより、基板キャリアステムに静電的に固定することができる。ブロック608では、未処理の基板支持面152上に配置された基板10は、真空処理チャンバ55内へ搬送される。
オプションで、方法600は、保護層スタック150の摩耗インジケータ158の状態に応じて、外側保護層154が除去されるべきであることを決定する工程を含むことができる。保護層スタック150の外側保護層を除去する工程はまた、下地の保護層154から外側保護層154を剥離する工程を含んでもよい。
方法600は、真空処理チャンバ55内で堆積プロセスを実行する工程を含んでもよい。堆積プロセスは、オプションで、基板を基板キャリアシステム上に配置しながら、真空処理チャンバ内で基板上に有機OLED材料層を堆積させる工程を含むことができる。堆積プロセスは、熱蒸着、プラズマ化学蒸着、又は他の堆積技術であってもよい。
このように、本明細書中に記載の基板キャリアシステムは、基板への最小限のダメージで基板を基板キャリアシステムに静電クランプすることを可能にする保護層スタックを含む。保護層スタックは、基板キャリアシステムの表面に直接チャッキングされる基板に発生する可能性のある欠陥から基板を保護し、これは製品の品質及び製造効率を向上させる。保護層スタックの容易に除去可能な層は、欠陥発生を最小限に抑えた状態にキャリアシステムの基板支持面を維持することを可能にする。
上記は典型的な実施形態を対象としているが、他の及び更なる実施形態は本発明の基本的範囲を逸脱することなく創作することができ、その範囲は以下の特許請求の範囲に基づいて定められる。