JP2017225918A - 水処理システム - Google Patents
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Abstract
Description
下水と雨水を同一の管で処理場へと集約する合流式下水道では、一般的に日最大計画汚水量を超える流入下水は、簡易処理として最初沈殿池における固形分の除去、そしてその後の消毒処理を経て、公共用水域へと放流される。簡易処理では、従来の生物処理がなされないため、放流先への環境負荷低減という観点では、簡易処理量を減らし、生物処理量を増加させることが望ましい。
そこで、本発明は、原水(被処理水)の流入量が急激に増加するような場合であっても、活性汚泥の流出を抑制すると共に生物処理量を確保し得る水処理システムを提供する。
また、原水(被処理水)の流入量が急激に増加するような場合であっても、活性汚泥の流出を抑制できることから、公共用水域への環境負荷を低減することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図1に示すように、水処理装置2は、被処理水である下水の流入側より順に、最初沈殿池4、好気槽(反応槽)5及び最終沈殿池6を備える。好気槽(反応槽)5は、図1に示すように4段又は4槽直列に設けられており、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5には、第2MLSS計11bが設置されている。なお、以下では、好気槽(反応槽)5が4槽直列に設けられる場合を一例として示すが、槽数はこれに限られるものではなく適宜設定される。
また、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5には、第1接続配管17を介して最初沈殿池4からの上澄み液である下水(被処理水)が流入すると共に、返送ポンプ10が設置された返送汚泥配管21を介して最終沈殿池6より返送汚泥(活性汚泥20)が流入し、活性汚泥中の硝化細菌により、アンモニア性窒素(NH4−N)を硝酸性窒素(NO3−N)へ酸化する硝化が行われる。また、好気性従属栄養細菌による有機物酸化が行われる。
最終沈殿池6は、第2接続配管18を介して最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5から流入する生物処理後の被処理水である下水を、上澄み液と活性汚泥20とに重力沈降により沈降分離する設備である。沈降分離後の上澄み液は、処理水として流出配管19により系外に放流される。
また、最初沈殿池4及び最終沈殿池6には、底面に沈殿する汚泥又は活性汚泥20を掻き寄せる汚泥掻寄機(図示せず)が設けられている。汚泥掻寄機は、所定の間隔でチェーンに取り付けられた複数のフライト、最初沈殿池4及び最終沈殿池6の水上部に設置された駆動装置により回転力が伝達される駆動軸の両端に設けられた駆動スプロケットホイール、駆動スプロケットホイールの下流側に配置された中間軸の両端に設けられた従動スプロケットホイール、中間軸の両端に設けられた従動スプロケットホイールの下流側であって最初沈殿池4及び最終沈殿池6の底面付近に配置されたテール軸の両端に設けられた従動スプロケットホイール、及び最初沈殿池4と最終沈殿池6の底面付近であってテール軸の両端に設けられた従動スプロケットホイールの上流側に配置されたヘッド軸の両端に設けられた従動スプロケットホイールを備える。複数のフライトが所定間隔にて取り付けられたチェーンが、これら、駆動スプロケットホイール及び従動スプロケットホイールに2条平行に張架され、駆動装置により循環駆動される。フライトは、この2条平行に張架されたチェーンを渡るように所定間隔にて取り付けられた平板形状を有する。そして、最初沈殿池4と最終沈殿池6のそれぞれにおいて、下流側から上流側へ向かう方向に沿ってチェーンが移動する際、チェーンに取り付けられたフライトにより、最初沈殿池4の底面に沈殿する汚泥及び最終沈殿池6の底面に沈殿する活性汚泥20は、それぞれ汚泥ピットに掻き寄せられる。最初沈殿池4の汚泥ピットに掻き寄せられた汚泥は排出され、また、最終沈殿池6の汚泥ピットに掻き寄せられた活性汚泥20は、返送ポンプ10により、返送汚泥配管21を介して、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5へと返送され、再度一連の生物処理に供される。
また、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5には、第2MLSS計11bが設置され、第2MLSS計11bにより計測されるMLSS計測値は、信号線を介して制御装置3へ出力される。流出配管19には、最終沈殿池6の上澄み液である処理水のMLSS濃度を計測する第1MLSS計11aが設置されている。第1MLSS計11aにより計測される処理水のMLSS計測値は、信号線を介して制御装置3へ出力される。
図2は、図1に示す制御装置3の機能ブロック図である。図2に示すように、制御装置3は、汚泥流出判定部31、風量弁開度制御部32、計測値取得部33、少なくとも詳細後述する各種設定値又は過去の実績データ等を含む情報を格納する記憶部34、通信I/F35、入力I/F36、及び出力I/F37を備え、これらは相互に内部バス39を介して接続されている。また、入力I/F36は入力部38に接続され、入力部38を介して入力される各種設定値を取り込む。入力部38を介して入力される各種設定値は、処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)及び最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)等を含み、入力I/F36及び内部バス39を介して記憶部34の所定の記憶領域に格納される。なお、処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)及び最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)は、例えば、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。
風量弁開度制御部32は、汚泥流出判定部31により最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性ありと判定された場合、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値、及び記憶部34に格納される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)に基づき、風量弁9の開度を求め開度指令値として、内部バス39及び出力I/F37を介して風量弁9へ出力する。
図3は、図2に示す制御装置3の処理フローを示すフローチャートである。
ステップS101では、入力部38を介して、処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)及び最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)が設定入力され、入力I/F36及び内部バス39を介して記憶部34の所定の記憶領域に格納される。ここで、処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、年間の処理水のMLSS濃度の平均値に対して一定量加えた値、もしくは一定率乗じた値を処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)として設定する。また、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)についても同様に、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、降雨発生時の前日における最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS濃度の平均値に対して一定量減じた値、もしくは一定率除した値を最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)として設定する。
ステップS103では、汚泥流出判定部31は、取得した時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)と、予め設定入力され記憶部34に格納される処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)とを比較する。比較の結果、時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)が処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)よりも大きい場合はステップS104へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)が処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)以下の場合はステップS105へ進む。
一方、ステップS104では、汚泥流出判定部31は、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定し、ステップS106へ進む。
ステップS107では、風量弁開度制御部32は、取得した時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t)2)と、予め設定入力され記憶部34に格納される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)とを比較する。比較の結果、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t)2)が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)よりも大きい場合はステップS108へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t)2)が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)以下の場合はステップS109へ進む。
制御装置3は、このように図3に示すステップS101からステップS109の処理を繰り返し実行する。
本実施例では、降雨時の流入下水量(流入被処理水量)の増加等により、最終沈殿池6から活性汚泥が多量に流出する可能性がある場合、好気槽(反応槽)5内のMLSS濃度計測値が低下するように、曝気風量を低減する。一般的に、第2MLSS計11bは、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内の上部に浸漬されており、曝気風量を低減し、活性汚泥を重力沈降させると、MLSS計測値としては低下する。そのため、MLSS計測値を通常よりも低濃度になるように曝気風量を制御することで、好気槽(反応槽)5において活性汚泥を確実に重力沈降させることができ、好気槽(反応槽)5の上端部(例えば、越流堰又は越流トラフ)から最終沈殿池6へ流出する活性汚泥量を減少できる。ここで曝気風量の下限値としては、例えば、予め降雨時における流入下水(流入被処理水)の流量増加を模擬し、好気槽(反応槽)5の散気部7より曝気される曝気風量を種々変更し、活性汚泥が重力沈降し得る曝気風量を求め、下限値として設定すれば良い。なお、仮に曝気風量を低減しすぎると散気部7を介して散気配管22へと好気槽(反応槽)5内の被処理水が逆流する現象が生じ得る。よって、少なくともこの逆流が生じることのない曝気風量が下限値として設定される。以上の構成から、最終沈殿池6からの活性汚泥の流出を抑制できる。
また、本実施例では、最終沈殿池6の上澄み液を処理水として通流する流出配管19に、第1MLSS計11aを設置する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、第1MLSS計11aに代えて、最終沈殿池6の上澄み液を処理水として通流する流出配管19に、SS計を設置する構成とすることが望ましい。この場合、図3のステップS101にて設定される処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)に代えて、処理水のSS基準値(SStgt)が設定される。また、ステップS102では、時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)に代えて、時刻tにおける処理水のSS計測値(SS(t))が取得され、ステップS103では、時刻tにおける処理水のSS計測値(SS(t))と、予め設定入力され記憶部34に格納される処理水のSS基準値(SStgt)とが比較される。そして、汚泥流出判定部31は、時刻tにおける処理水のSS計測値(SS(t))が処理水のSS基準値(SStgt)よりも大きい場合、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定する。なお、処理水のSS基準値(SStgt)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、年間の処理水の濁度平均値に対して一定量加えた値、もしくは一定率乗じた値を処理水のSS基準値(SStgt)として設定する。また、最終沈殿池6内の上部に浸漬するようSS計を設置する構成としても良い。
また、第1MLSS計11aに代えてカメラを設置し、カメラにより撮像される画像に基づき最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があるか否かを判定する構成としても良い。この場合、汚泥流出判定部31は、カメラにより取り込まれた撮像画像を画像処理し、画像内における輝度等の平均値を求め、予め設定された閾値と比較し、活性汚泥の流出を判定する。予め設定された閾値は記憶部34に格納される。
また、原水である下水(被処理水)の流入量が急激に増加するような場合であっても、活性汚泥の流出を抑制できることから、公共用水域への環境負荷を低減することが可能となる。
なお、図5では、第2MLSS計11b、濁度計13、及び風量計12からの計測値を1つの信号線に重畳する信号配線として表記しているが、これは、図面の記載の便宜上このように表記したものであり、実際には、それぞれの計測器毎に設けられた信号線を介して、通信I/F35に並列に入力される信号配線となっている。
風量弁開度制御部32は、汚泥流出判定部31により最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性ありと判定された場合、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値、及び記憶部34に格納される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)に基づき、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS濃度がMLSS基準値(MLSStgt2)以下になるよう曝気風量を低減する制御と、好気槽(反応槽)5内を撹拌するのに十分な曝気風量とする制御とを、所定の時間間隔で交互に実行するよう、風量弁9へ開度指令値を、内部バス39及び出力I/F37を介して出力する。
図6は、図5に示す制御装置3の処理フローを示すフローチャートである。
ステップS201では、入力部38を介して、処理水の濁度基準値(TBef_tgt)及び最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)が設定入力され、入力I/F36及び内部バス39を介して記憶部34の所定の記憶領域に格納される。ここで、処理水の濁度基準値(TBef_tgt)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、年間の処理水の濁度平均値に対して一定量加えた値、もしくは一定率乗じた値を処理水の濁度基準値(TBef_tgt)として設定する。また、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)についても同様に、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、降雨発生時の前日における最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS濃度の平均値に対して一定量減じた値、もしくは一定率除した値を最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)として設定する。
ステップS203では、汚泥流出判定部31は、取得した時刻tにおける処理水の濁度計測値(TBef(t))と、予め設定入力され記憶部34に格納される処理水の濁度基準値(TBef_tgt)とを比較する。比較の結果、時刻tにおける処理水の濁度計測値(TBef(t))が処理水の濁度基準値(TBef_tgt)よりも大きい場合はステップS204へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける処理水の濁度計測値(TBef(t))が処理水の濁度基準値(TBef_tgt)以下の場合はステップS205へ進む。
一方、ステップS204では、汚泥流出判定部31は、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定し、ステップS206へ進む。
ステップS207では、風量弁開度制御部32は、取得した時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t)2)と、予め設定入力され記憶部34に格納される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)とを比較する。比較の結果、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t)2)が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)よりも大きい場合はステップS208へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t)2)が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)以下の場合はステップS209へ進む。
また、最下流側(最終段)以外の好気槽(反応槽)5に設けられる複数の散気部7は、第2散気配管22bを介してブロワ8に接続され、最下流側(最終段)以外の好気槽(反応槽)5に空気が供給される。複数の散気部7と第2風量弁9bとを接続する第2散気配管22bであって、第2風量弁9b側には第2風量計12bが設置され、第2風量計12bにより計測される第2散気配管22bを通流する空気の風量計測値、すなわち、第2曝気風量計測値(Qair2)は、信号線を介して制御装置3へ出力される。水処理装置2aのその他の構成は、図1に示した実施例1の構成と同様であるため説明を省略する。
風量弁開度制御部32は、汚泥流出判定部31により最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性ありと判定された場合、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値、及び記憶部34に格納される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt2)に基づき、第1風量弁9aの開度を求め開度指令値として、内部バス39及び出力I/F37を介して第1風量弁9aへ出力する。また、風量弁開度制御部32は、第2風量計12bにより計測される第2曝気風量計測値(Qair2)に基づき、一定風量又は好気槽(反応槽)5への下水(被処理水)の流入流量に比例するよう第2風量計12bの開度を制御する。
図9は、図8に示す制御装置3の処理フローを示すフローチャートである。
ステップS301では、計測値取得部33は、通信I/F35及び内部バス39を介して、第1風量計12aにより計測された第1曝気風量計測値(Qair1)及び第2風量計12bにより計測された第2曝気風量計測値(Qair2)を取得し、内部バス39を介して風量弁開度制御部32へ転送すると共に記憶部34の所定の記憶領域に格納する。
ステップS304では、汚泥流出判定部31は、取得した時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)と、予め設定入力され記憶部34に格納される処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)とを比較する。比較の結果、時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)が処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)よりも大きい場合はステップS305へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t)1)が処理水のMLSS基準値(MLSStgt1)以下の場合はステップS306へ進む。
一方、ステップS305では、汚泥流出判定部31は、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定し、ステップS308へ進むと共に、ステップS307へ進む。
風量弁開度制御部32は、汚泥流出判定部31により最終沈殿池6から活性汚泥が流出していないと判定された場合、現在の運転を継続するよう対応する開度指令値を、風量弁9へ内部バス39及び出力I/F37を介して出力する。
図12は、図11に示す制御装置3bの処理フローを示すフローチャートである。
ステップS401では、入力部38を介して最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)が設定入力され、入力I/F36及び内部バス39を介して記憶部34の所定の記憶領域に格納される。ここで、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、降雨発生時の前日における最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS濃度の平均値に対して一定量減じた値、もしくは一定率除した値を最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)として設定する。
ステップS403では、汚泥流出判定部31は、取得した時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t))と、予め設定入力され記憶部34に格納される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)とを比較する。比較の結果、時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t))が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)よりも小さい場合はステップS404へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t))が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)以上の場合はステップS405へ進む。ここで、時刻tにおける最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値(MLSS(t))が最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS基準値(MLSStgt)よりも小さくなる状況は、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内で曝気により循環する活性汚泥をMLSS濃度として計測することから、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5好気槽内の活性汚泥量が減少していること、すなわち、最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内の活性汚泥が最終沈殿池6へ流出していることを意味する。
一方、ステップS404では、汚泥流出判定部31は、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定し、ステップS406へ進む。
ステップS407では、風量弁開度制御部32は、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))を低減するよう流量調整弁15を制御しステップS402へ戻る。すなわち、例えば、流量調整弁15が閉鎖状態の場合、流量調整弁15を開放状態とすることで、最初沈殿池4の上澄み液である下水(被処理水)の一部が流量調整弁15を介して簡易処理水配管23を通流する。これにより、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量が低減される。
また、本実施例では、汚泥流出判定部31は、MLSS計11による最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値から活性汚泥の流出状況を判定する構成としたがこれに限られるものではない。例えば、沈砂池(図示せず)より流入配管16を通流する下水(被処理水)もしくは最初沈殿池4より流出する上澄み液の流量、流入配管16を通流する処理水もしくは最終沈殿池6の上澄み液の濁度推定値に基づき活性汚泥の流出状況を判定する構成としても良い。
流量計14により計測される最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5へ流入する最初沈殿池4からの上澄み液の流入流量計測値、MLSS計11により計測される処理水のMLSS計測値、及び凝集剤注入量計測部25により計測される凝集剤注入量は、信号線を介して制御装置3cへ出力される。水処理装置2cのその他の構成は、図1に示した実施例1の構成と同様であるため説明を省略する。
風量弁開度制御部32は、汚泥流出判定部31により最終沈殿池6から活性汚泥が流出していないと判定された場合、現在の運転を継続するよう対応する開度指令値を、風量弁9へ内部バス39及び出力I/F37を介して出力する。
図15は、図14に示す制御装置3cの処理フローを示すフローチャートである。
ステップS501では、処理水のMLSS基準値(MLSStgt)及び最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)が設定入力され、入力I/F36及び内部バス39を介して記憶部34の所定の記憶領域に格納される。ここで、処理水のMLSS基準値(MLSStgt)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。例えば、年間の処理水のMLSS濃度の平均値に対して一定量加えた値、もしくは一定率乗じた値を処理水のMLSS基準値(MLSStgt)として設定する。また、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。
ステップS503では、汚泥流出判定部31は、取得した時刻tにおける最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))と、予め設定入力され記憶部34に格納される最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)とを比較する。比較の結果、時刻tにおける最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))が最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)以下の場合はステップS504へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))が最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))よりも大きい場合はステップS505へ進む。
一方、ステップS505では、汚泥流出判定部31は、内部バス39を介して計測値取得部33より、時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t))を取得する。ここで、取得される時刻tにおける処理水のMLSS計測値(MLSS(t))は、MLSS計11により計測され、通信I/F35を介して計測値取得部33に転送され、上述のようにノイズ除去等の処理が施された処理水のMLSS計測値である。
一方、ステップS508では、汚泥流出判定部31は、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定し、ステップS509へ進む。
ステップS511では、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)が設定入力され、入力I/F36及び内部バス39を介して記憶部34の所定の記憶領域に格納される。ここで、最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)は、記憶部34に格納される過去の実績データ(過去の任意の期間の運転データ)に基づき設定される。
ステップS513では、汚泥流出判定部31は、取得した時刻tにおける最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))と、予め設定入力され記憶部34に格納される最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)とを比較する。比較の結果、時刻tにおける最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))が最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値(Qin_tgt)以下の場合はステップS514へ進む。一方、比較の結果、時刻tにおける最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))が最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値(Qin(t))よりも大きい場合はステップS505へ進む。
一方、ステップS515では、汚泥流出判定部31は、最終沈殿池6から活性汚泥が流出する可能性があると判定し、ステップS516へ進む。
ステップS517では、凝集剤注入量制御部41は、凝集剤注入量を増加させるよう、内部バス39及び出力I/F37を介して凝集剤注入設備24へ、凝集剤注入量の指令値を出力し、ステップS512へ戻る。
このように、図16に示す処理フローでは、汚泥流出判定部31が、流量計14により計測される最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値と、予め設定入力された最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量基準値のみに基づき、最終沈殿池6からの活性汚泥の流出を判定する構成とした点が、図15に示した処理フローと異なる。
また、本実施例では、汚泥流出判定部31は、流量計14により計測される最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値を用いて活性汚泥の流出状況を判定する構成、また、流量計14により計測される最上流側(初段)の好気槽(反応槽)5への流入流量計測値及び処理水のMLSS計測値を用いて最終沈殿池6から活性汚泥の流出状況を判定する構成としたが、これに代えて、最終沈殿池6の上澄み液の濁度計測値、或は、凝集剤が注入される最下流側(最終段)の好気槽(反応槽)5内のMLSS計測値を用いて濃度からから活性汚泥の流出状況を判定する構成としても良い。
2,2a,2b,2c・・・水処理装置
3,3a,3b,3b・・・制御装置
4・・・最初沈殿池
5・・・好気槽(反応槽)
6・・・最終沈殿池
7・・・散気部
8・・・ブロワ
9・・・風量弁
9a・・・第1風量弁
9b・・・第2風量弁
10・・・返送ポンプ
11・・・MLSS計
11a・・・第1MLSS計
11b・・・第2MLSS計
12・・・風量計
12a・・・第1風量計
12b・・・第2風量計
13・・・濁度計
14・・・流量計
15・・・流量調整弁
16・・・流入配管
17・・・第1接続配管
18・・・第2接続配管
19・・・流出配管
20・・・活性汚泥
21・・・返送汚泥配管
22・・・散気配管
22a・・・第1散気配管
22b・・・第2散気配管
23・・・簡易処理水配管
24・・・凝集剤注入設備
25・・・凝集剤注入量計測部
31・・・汚泥流出判定部
32・・・風量弁開度制御部
33・・・計測値取得部
34・・・記憶部
35・・・通信I/F
36・・・入力I/F
37・・・出力I/F
38・・・入力部
39・・・内部バス
40・・・流量調整弁開度制御部
41・・・凝集剤注入量制御部
Claims (7)
- 少なくとも好気槽を含む反応槽と、前記好気槽に設けられた散気部と、前記散気部へ空気を供給するブロワと、前記好気槽から流入する上澄み液に含まれる活性汚泥を沈降処理する最終沈殿池と、を有する水処理装置と、
前記好気槽内のMLSS濃度を計測するMLSS計及び/又は前記最終沈殿池からの処理水のSS濃度を計測するSS計と、
前記MLSS計及び/又は前記SS計からの計測値に基づき、前記最終沈殿池から活性汚泥の流出の有無を判定する汚泥流出判定部と、前記汚泥流出判定部による判定結果に基づき、少なくとも、前記好気槽への被処理水の流入流量、曝気風量、及び前記好気槽へ注入する凝集剤注入量のうちいずれか一つを制御する制御部と、を有する制御装置と、を備えることを特徴とする水処理システム。 - 請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記制御部は、前記汚泥流出判定部による判定結果が活性汚泥流出有りとの場合、前記好気槽への前記被処理水の流入流量又は曝気風量を低減し、若しくは、前記好気槽へ注入する凝集剤の注入量を増加させることを特徴とする水処理システム。 - 請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、
少なくとも予め設定されたMLSS目標値を格納する記憶部を備え、
前記汚泥流出判定部は、前記好気槽に設置される前記MLSS計からの計測値が前記MLSS目標値よりも小さい場合、活性汚泥流出有りと判定することを特徴とする水処理システム。 - 請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、
少なくとも予め設定されたSS目標値を格納する記憶部を備え、
前記汚泥流出判定部は、前記SS計からの計測値が前記SS目標値よりも大きい場合、汚泥流出有りと判定することを特徴とする水処理システム。 - 請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記最終沈殿池からの処理水のSS濃度を計測するSS計と、前記好気槽内のMLSS濃度を計測するMLSS計と、を備え、
前記制御装置は、
少なくとも予め設定された、前記最終沈殿池からの処理水のSS目標値と、前記好気槽内のMLSS目標値であるMLSS目標値と、を格納する記憶部を備え、
前記汚泥流出判定部は、前記SS計による計測値が前記SS目標値よりも大きい場合、活性汚泥流出有りと判定し、
前記制御部は、前記MLSS計による計測値が前記MLSS目標値よりも大きい場合、前記MLSS計による計測値及び前記MLSS目標値との差分に基づき前記好気槽への曝気風量を低減することを特徴とする水処理システム。 - 請求項5に記載の水処理システムにおいて、
前記水処理装置は、複数直列に設けられた好気槽を備え、最下流側の好気槽の散気部と前記ブロワを接続する第1散気配管に設置される第1風量弁と、前記最下流側の好気槽を除く他の好気槽の散気部と前記ブロワを接続する第2散気配管に設置される第2風量弁とを有し、
前記MLSS計は前記最下流側の好気槽に設置され、
前記制御部は、前記汚泥流出判定部による判定結果が活性汚泥流出有りとの場合、前記第2風量弁の開度を一定風量となるよう又は前記好気槽へ流入する被処理水の流入流量に比例するよう制御すると共に、前記第1風量弁の開度を前記MLSS計による計測値及び前記MLSS目標値との差分に基づき制御することを特徴とする水処理システム。 - 請求項4に記載の水処理システムにおいて、
前記記憶部は、更に前記好気槽内のMLSS目標値を格納すると共に、
前記制御部は、前記汚泥流出判定部による判定結果が活性汚泥流出有りとの場合、前記好気槽内を撹拌可能な曝気風量とする制御と、前記MLSS計からの計測値が前記好気槽内のMLSS目標値以下となるよう曝気風量を低減する制御と、を所定の時間間隔で交互に実行することを特徴とする水処理システム。
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