JP2017225466A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、トランス脂肪酸含有量が低く、パーム系油脂やラウリン系油脂を使用しても風味が良好で、かつ、良好な艶感が持続する可塑性油脂組成物を提供することである。本発明の課題は、また、上記可塑性油脂組成物の製造に適した、特定のトリアシルグリセロールを主成分とする添加剤を提供することである。
【解決手段】可塑性油脂組成物中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満である可塑性油脂組成物。
ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
M:炭素数6〜10の脂肪酸
MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
【選択図】なし

Description

本発明は、艶感および口どけに優れた可塑性油脂組成物に関する。
可塑性を有する可塑性油脂組成物は、練り込み、折り込み、スプレッド、コーティングクリームおよびサンドクリームなどの用途に適している。可塑性油脂組成物は、例として、マーガリン、ファットスプレッドおよびショートニングが挙げられる。
従来、可塑性油脂組成物には、加工適性がよいことから、さまざまな原料油の部分水素添加油が使用されていた。一方で、部分水素添加油には、トランス脂肪酸が含まれている。近年のトランス脂肪酸が引き起こす健康問題から、可塑性油脂組成物においても、トランス脂肪酸含有量の低減化が強く求められるようになった。
可塑性油脂組成物のトランス脂肪酸含有量を低減するために、トランス脂肪酸を実質上含まない天然固体脂であるパーム油やパーム核油の利用が進められてきた。しかしながら、パーム油やその分別油である、所謂パーム系油脂は、経日的に油脂結晶が粗大化する傾向にあり、その利用には難点があった。また、パーム核油やヤシ油などのラウリン系油脂は、口どけは良いが、可塑性を維持できる温度範囲が狭い。そのため、ラウリン系油脂の可塑性油脂組成物への配合量は限られる。
上記のような短所を克服するために、パーム油やパーム核油を原料油脂としたエステル交換油脂も開発されてきた。例えば、特開昭62−81497号公報には、パーム油起源の油脂と炭素数22の飽和脂肪酸を含む油脂の混合油をエステル交換して得られる油脂を使用したマーガリンが提案されている。しかしながら、このようなエステル交換油脂を使用しても、可塑性油脂組成物であるマーガリンの艶感は経日的に失われ易い。
また、エステル交換以外の方法として、各種乳化剤を添加することにより、パーム系油脂の結晶成長を抑制する試みも行われてきた(例えば、特開昭62−205738号公報、特開平5−199838号公報および特開平9−176680号公報)。しかしながら、これら乳化剤の利用は、その添加量が多くなる傾向にあり、風味や口どけなどに難点があった。また、パーム系油脂を含有する可塑性油脂組成物の艶感も経日的に失われ易い。
また、可塑性油脂組成物に含まれる油脂全体に占める液状油脂の含有量を高めると、艶感は向上する傾向にある。しかし、口の中に油っぽさが残り、口どけが悪くなる傾向にある。
特開昭62−81497号公報 特開昭62−205738号公報 特開平5−199838号公報 特開平9−176680号公報
従って、トランス脂肪酸含有量が低く、パーム系油脂やラウリン系油脂を使用しても風味が良好で、かつ、良好な艶感が持続する、可塑性油脂組成物の開発が待たれていた。
本発明の課題は、トランス脂肪酸含有量が低く、パーム系油脂やラウリン系油脂を使用しても風味が良好で、かつ、良好な艶感が持続する、可塑性油脂組成物を提供することである。本発明の課題は、また、上記可塑性油脂組成物の製造に適した、特定のトリアシルグリセロールを主成分とする添加剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、可塑性油脂組成物中の油脂に、グリセロールに3分子の炭素数6〜10の脂肪酸(M)がエステル結合したトリアシルグリセロール(MMM)を少量含有させることにより、良好な艶感が持続する可塑性油脂組成物が得られることを見出した。それにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)可塑性油脂組成物中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満である可塑性油脂組成物。
ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
M:炭素数6〜10の脂肪酸
MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
(2)前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%である、(1)の可塑性油脂組成物。
ただし、L、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
(3)前記油脂に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(2)の可塑性油脂組成物。
(4)前記油脂に占める、ラウリン酸含有トリアシルグリセロールの含有量が6〜54質量%である、(1)〜(3)の何れか1つの可塑性油脂組成物。
(5)前記油脂に占める、L2Xの含有量が8〜40質量%である、(1)〜(4)の何れか1つの可塑性油脂組成物。
ただし、XおよびL2Xは、以下を意味する。
X:炭素数16〜24の不飽和脂肪酸
L2X:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のXが結合したトリアシルグリセロール
(6)前記油脂に占める、LX2およびXXXの合計含有量が10〜70質量%である、(1)〜(5)の何れか1つの可塑性油脂組成物。
ただし、LX2およびXXXは、以下を意味する。
LX2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のXが結合したトリアシルグリセロール
XXX:グリセロール1分子に3分子のXが結合したトリアシルグリセロール
(7)2〜70質量%のMMMと、20〜98質量%のL2MおよびLM2と、を含む可塑性油脂組成物用の添加剤。
ただし、M、L、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
M:炭素数6〜10の脂肪酸
L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
(8)前記添加剤に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、(7)の可塑性油脂組成物用の添加剤。
(9)エステル交換油脂であって、前記エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の構成脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜24の飽和の構成脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂である、(7)または(8)の可塑性油脂組成物用の添加剤。
(10)(7)〜(9)の何れか1つの可塑性油脂組成物用の添加剤を、油脂中に0.05〜15質量%含む可塑性油脂組成物。
本発明によると、トランス脂肪酸含有量が低く、パーム系油脂やラウリン系油脂を使用しても風味が良好で、かつ、良好な艶感が持続する可塑性油脂組成物が提供できる。本発明によると、さらに、口どけに優れた可塑性油脂組成物が提供できる。本発明によると、また、上記可塑性油脂組成物の製造に適した、特定のトリアシルグリセロールを主成分とする添加剤が提供できる。
以下、本発明の可塑性油脂組成物について順を追って記述する。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂は、MMMを0.01質量%以上5質量%未満含有する。以下、MおよびMMMは、次を意味する。Mは、炭素数6〜10の脂肪酸である。MMMは、グリセロール1分子に3分子のMがエステル結合しているトリアシルグリセロールである。MMMの、これら3つの脂肪酸(M)は、すべて同一であってもよいし、異なる脂肪酸を含んでいてもよい。さらに、MMMは、複数の異なる化合物の混合物であってもよい。このような混合物の例として、トリオクタノイルグリセロールとトリデカノイルグリセロールとの混合物が挙げられる。MMMの炭素数6〜10の構成脂肪酸は、好ましくは直鎖の飽和脂肪酸である。可塑性油脂組成物に含まれる油脂中のMMMの含有量は、好ましくは0.05〜4質量%であり、より好ましくは0.1〜3質量%であり、さらに好ましくは0.2〜2質量%である。可塑性油脂組成物に含まれる油脂中のMMMの含有量が上記範囲内にあると、可塑性油脂組成物は優れた艶感を有する。
本発明の可塑性油脂組成物中の油脂には、上記MMMが含まれる。このMMMが有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。また、上記MMMの有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数10の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20〜100質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物の好ましい実施の態様の一例として、可塑性油脂組成物に含まれる油脂の0.01質量%以上5質量%未満が以下のMMMである、可塑性油脂組成物が挙げられる。すなわち、このMMMが有する構成脂肪酸全量のうち、95質量%以上を占める構成脂肪酸が、オクタン酸(炭素数8)および/またはデカン酸(炭素数10)である、MMMである。さらに、この構成脂肪酸としてのオクタン酸と、デカン酸と、の質量比は、好ましくは、100:0〜10:90であり、より好ましくは80:20〜20:80である。
本発明の可塑性油脂組成物中の油脂に含まれるMMMとしては、従来公知の方法を用いて製造できる、MMMを40質量%以上(好ましくは60〜100質量%)含有する油脂(以下、MMM油脂とも表す)を使用してもよい。MMM油脂は、例えば、炭素数6〜10の脂肪酸とグリセロールとを、120〜180℃に加熱し、脱水縮合させることにより製造できる。この縮合反応は、減圧下で行うのが好ましい。上記縮合反応には、触媒を用いることができる。しかし、無触媒下で、上記縮合反応を行うことが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物中の油脂は、L2MおよびLM2を合計で0.01〜10質量%含んでもよい。以下、L、L2MおよびLM2は、次を意味する。Lは、炭素数16〜24の飽和脂肪酸である。L2Mは、グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロールである。LM2は、グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロールである。Lは、好ましくは炭素数16〜20の飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の飽和脂肪酸である。また、Lは、好ましくは直鎖の飽和脂肪酸である。本発明の可塑性油脂組成物中の油脂は、L2MおよびLM2を合計で、より好ましくは0.1〜7質量%、さらに好ましくは0.3〜6質量%、最も好ましくは0.5〜5質量%含む。可塑性油脂組成物に含まれる油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量(以下、L2M+LM2とも表す)が上記範囲内にあると、可塑性油脂組成物は、組織の状態が良くなり、艶感が良好に維持される。
上記L2MおよびLM2は、可塑性油脂組成物中の油脂に占める、LM2の含有量に対するL2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、好ましくは0.05〜4.5である。L2M/LM2は、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.55〜2.5である。L2M/LM2が上記範囲内にあると、可塑性油脂組成物の艶感がより良好に維持される。
上記L2MおよびLM2が有する構成脂肪酸中のMの全量のうち、炭素数6の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。また、上記L2MおよびLM2が有する構成脂肪酸中のMの全量のうち、炭素数10の脂肪酸が占める割合は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20〜100質量%あり、さらに好ましくは40〜100質量%であり、最も好ましくは60〜100質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物中の油脂に含まれるL2MおよびLM2としては、従来公知の方法を用いて製造できる、L2MおよびLM2の含有量が40質量%以上(好ましくは60〜100質量%)である油脂(以下、L2M+LM2油脂とも表す)を使用してもよい。L2M+LM2油脂は、例えば、10〜65質量部(より好ましくは20〜55質量部)のMMMと、35〜90質量部(より好ましくは45〜80質量部)のヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸として炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする、極度硬化油)との混合油脂をエステル交換し、分別した油脂であってもよい。また、MMMと、構成脂肪酸として炭素数16以上の脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油など)との混合油脂を、エステル交換した後、極度硬化し、さらに分別した油脂であってもよい。硬化(水素添加)反応およびエステル交換反応は、従来公知の方法が適用できる。エステル交換反応は、ナトリウムメトキシドなどの合成触媒を使用した化学的エステル交換、ならびに、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換、のどちらの方法でも適用できる。分別は、従来公知の、ドライ分別(自然分別)、乳化分別(界面活性剤分別)、ならびに、溶剤分別などの通常の方法が適用できる。
本発明の可塑性油脂組成物は、可塑性油脂組成物中の油脂が、MMMを0.01質量%以上5質量%未満含有する。当該条件が満たされ、食用に適する限り、本発明の可塑性油脂組成物の製造にどのような油脂原料を使用してもよい。例えば、ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレインおよびパームスーパーオレインなど)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、およびココアバター、ならびにこれらの混合油および加工油脂(水素添加油、エステル交換油、分別油)を使用してもよい。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂は上記MMMに加えて、LX2とXXXを含有してもよい。LX2とXXXは、可塑性油脂組成物に好ましい艶感と伸展性を与える。以下、X、LX2およびXXXは、次を意味する。Xは、炭素数16〜24の不飽和脂肪酸である。Xは、好ましくは炭素数16〜20の不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数16〜18の不飽和脂肪酸である。また、Xは、好ましくは直鎖の不飽和脂肪酸である。LX2は、グリセロール1分子に1分子のLと2分子のXがエステル結合したトリアシルグリセロールである。XXXは、グリセロール1分子に3分子のXがエステル結合したトリアシルグリセロールである。LX2とXXXは、可塑性油脂組成物に好ましい艶感と伸展性を与える。しかし、可塑性油脂組成物中の油脂に占める割合が高くなると、口の中に油っぽさが残る傾向にある。従って、可塑性油脂組成物に含まれる油脂中の、LX2およびXXXの合計含有量は、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは16〜63質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂が、上記LX2とXXXの、どちらか一方、もしくは両方、を含有するように、可塑性油脂組成物に含まれる油脂として、LX2およびXXXを豊富に含む油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のLX2およびXXXを含む油脂)を使用してもよい。LX2およびXXXを豊富に含む油脂(以下、LX2+XXX油脂とも表す)の例として、10℃で液体油である油脂が挙げられる。具体的には、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、綿実油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、紅花油、高オレイン酸紅花油、コーン油、米油、スーパーパームオレインなどが挙げられる。LX2+XXX油脂は、また、後述の、非ラウリン系油脂もしくは非ラウリン系油脂のエステル交換油脂、を分別処理した低融点部、であってもよい。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂は、L2Xを含有してもよい。L2XはSFCカーブが縦型のトリアシルグリセロールであり、可塑性油脂組成物の口どけをよくする。本発明の可塑性油脂組成物は、L2Xを使用しても良好な可塑性を有する。以下、L2Xは、次を意味する。L2Xは、グリセロール1分子に2分子のLと1分子のXがエステル結合したトリアシルグリセロールである。可塑性油脂組成物に含まれる油脂中の、L2Xの含有量は、好ましくは8〜40質量%であり、より好ましくは12〜36質量%あり、さらに好ましくは14〜33質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂が、上記L2Xを含有するように、可塑性油脂組成物に含まれる油脂として、L2Xを豊富に含む油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のL2Xを含む油脂)を使用してもよい。L2Xを豊富に含む油脂(以下、L2X油脂とも表す)の例として、ココアバター、パーム油、シア脂、サル脂、アランブラッキア脂、モーラー脂、イリッペ脂、およびマンゴー核油、ならびに、それらの分別油が挙げられる。また、すでに知られているように、パルミチン酸、ステアリン酸、あるいは、それらの低級アルコールエステルと、ハイオレイックヒマワリ油などの高オレイン酸油脂との間で、1,3位選択性リパーゼ製剤を用いて、エステル交換反応をさせた後、必要に応じて分別することにより得られる油脂を使用してもよい。また、L2X油脂は、油脂を構成する脂肪酸の90質量%以上が炭素数16以上である非ラウリン系油脂のエステル交換油脂、もしくは、その分別油であってもよい。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂は、構成脂肪酸として少なくとも1分子のラウリン酸を含むトリアシルグリセロール(ラウリン酸含有トリアシルグリセロール、以下、ラウリンTAGとも表す)を含有してもよい。ラウリンTAGはSFCカーブが縦型のトリアシルグリセロールであり、可塑性油脂組成物の口どけをよくする。本発明の可塑性油脂組成物は、ラウリンTAGを使用しても良好な可塑性を有する。可塑性油脂組成物に含まれる油脂中の、ラウリンTAGの含有量は、好ましくは6〜54質量%、より好ましくは10〜44質量%、さらに好ましくは14〜40質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂が、上記ラウリンTAGを含有するように、可塑性油脂組成物に含まれる油脂として、ラウリンTAGを豊富に含む油脂(40質量%以上、好ましくは60質量%以上のラウリンTAGを含む油脂)を使用してもよい。ラウリンTAGを豊富に含む油脂(以下、ラウリンTAG油脂とも表す)の例として、油脂を構成する脂肪酸全量に占めるラウリン酸の含有量が30質量%以上である、ヤシ油、パーム核油、ババス油などのラウリン系油脂、ならびに、それらの分別油が挙げられる。ラウリンTAG油脂は、また、ラウリン系油脂と油脂を構成する脂肪酸全量のうち90質量%以上が炭素数16以上である非ラウリン系油脂とを含む混合油の、エステル交換油脂であってもよい。非ラウリン系油脂は、パーム系油脂であってもよい。パーム系油脂は、パーム油、パーム油の分別油及びそれらの加工油(硬化、エステル交換及び分別のうち1以上の処理がなされたもの)であれば何れでもよい。パーム系油脂としては、具体的には、パーム油の1段分別油であるパームオレインおよびパームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)およびパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームオレイン(ソフトパーム)およびパームステアリン(ハードステアリン)などが例示できる。
上記の、L2X油脂、ラウリンTAG油脂、および、LX2+XXX油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の構成油脂として含まれることが好ましい。L2X油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油脂中に、好ましくは16〜50質量%、より好ましくは20〜46質量%、さらに好ましくは24〜42質量%含まれる。ラウリンTAG油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油脂中に、好ましくは10〜65質量%、より好ましくは14〜60質量%、さらに好ましくは18〜56質量%含まれる。LX2+XXX油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油脂中に、好ましくは2〜53質量%、好ましくは4〜46質量%、さらに好ましくは8〜42質量%含まれる。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂は、その他のトリアシルグリセロールとして、LLLを含んでもよい。LLLは、グリセロール1分子に3分子のLがエステル結合したトリアシルグリセロールである。可塑性油脂組成物に含まれる油脂中の、LLL含有量は、好ましくは0〜13質量%、より好ましくは1〜11質量%、さらに好ましくは2〜9質量%である。可塑性油脂組成物に含まれる油脂中の、LLL含有量が上記範囲内にあると、可塑性油脂組成物は、良好な可塑性を有する。
本発明の可塑性油脂組成物は、また、乳由来の油脂(バター、乳脂肪ならびにその分別油など)を含有してもよい。本発明の可塑性油脂組成物は、乳由来の油脂を含有しても、口どけに優れ、また、良好な艶感を持続する。本発明の可塑性油脂組成物は、油脂中に乳由来の油脂を、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%、さらに好ましくは15〜40質量%含有する。
本発明の可塑性油脂組成物に含まれる油脂の、MMM含有量、L2M含有量、LM2含有量、L2X含有量、ラウリン酸TAG含有量、LX2含有量、XXX含有量およびLLL含有量は、例えば、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定できる。
本発明の可塑性油脂組成物は、健康上懸念されるトランス脂肪酸の含有量を低減できる。本発明の可塑性油脂組成物のトランス脂肪酸含有量は、好ましくは0〜5質量%であり、より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは0〜1質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物は、油脂以外のその他の成分として、通常ベーカリー食品に用いる油脂組成物に配合される成分を配合できる。その他の成分としては、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩および塩化カリウムなどの塩味剤、酢酸、乳酸およびグルコン酸などの酸味料、糖類、糖アルコール類、ステビアおよびアスパルテームなどの甘味料、β−カロテン、カラメルおよび紅麹色素などの着色料、トコフェロール、茶抽出物(カテキンなど)およびルチンなどの酸化防止剤、小麦蛋白および大豆蛋白などの植物蛋白、全脂粉乳、脱脂粉乳および乳清蛋白などの乳製品、卵および卵加工品、香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類および魚介類など、の食品素材や食品添加物が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物としては、水相を有するマーガリン、ファットスプレッドや、水相を有さないショートニングが挙げられる。水相を有する乳化物の場合は、油中水型乳化物が好ましい。しかし、逆相(水中油型乳化物)であっても、また、複合乳化型であってもよい。油中水型乳化物の場合、水の含有量は、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%である。本発明の可塑性油脂組成物は、油脂を、好ましくは40質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは70〜100質量%含有する。
本発明の可塑性油脂組成物の製造方法は、特に制限されない。本発明の可塑性油脂組成物は、公知の可塑性油脂組成物の製造条件および製造方法により製造できる。具体的には、配合する油溶成分を混合溶解することで製造できる。また、可塑性を付与する場合は、まず、配合する油溶成分を混合溶解した油相を調製する。次に、必要に応じて調製した水相を、油相と混合乳化する。その後、混合乳化物を、冷却し、結晶化させて製造できる。冷却および結晶化は、好ましくは冷却可塑化である。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、さらに好ましくは−5℃/分以上である。この際、徐冷却より急冷却の方が好ましい。また、油相の調製後または混合乳化後は、調製物は、好ましくは殺菌処理される。殺菌方法としては、タンクでのバッチ式や、プレート型熱交換機、掻き取り式熱交換機を用いた連続式が挙げられる。冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンビネーター、パーフェクターなどのマーガリン製造機やプレート型熱交換機などが挙げられる。また、冷却する機器としては、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物は、トランス脂肪酸含有量が低く、パーム系油脂やラウリン系油脂を使用しても風味が良好である。本発明の油脂組成物は、また、口どけに優れ、良好な艶感が持続する特長を有する。本発明の可塑性油脂組成物は、例えば、菓子・パンなどのベーカリー生地への練り込み用や折り込み用、ベーカリー食品へのスプレッド用やコーティング用、ならびに、バタークリームなどのホイップ用など、として使用できる。
本発明は、また、本発明の可塑性油脂組成物の製造に適した、可塑性油脂組成物用の添加剤を提供する。本発明の可塑性油脂組成物用添加剤は、2〜70質量%のMMM、および、20〜98質量%のL2MおよびLM2を含む。本発明の可塑性油脂組成物用の添加剤に占めるMMMの含有量は、好ましくは4〜40質量%であり、より好ましくは8〜25質量%である。本発明の可塑性油脂組成物用の添加剤に占めるL2MおよびLM2の含有量の合計は、好ましくは40〜94質量%であり、より好ましくは55〜88質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物用の添加剤に含まれる、上記L2MおよびLM2は、LM2の含有量に対するL2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、好ましくは0.05〜4.5である。L2M/LM2は、より好ましくは0.3〜3であり、さらに好ましくは0.55〜2.5である。L2M/LM2が上記範囲内にあると、可塑性油脂組成物用の添加剤の使用により、可塑性油脂組成物の艶感は良好に維持される。
本発明の可塑性油脂組成物用の添加剤は、構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10(好ましくは炭素数8〜10)の脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜24(好ましくは炭素数16〜18)の飽和の脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂であってもよい。当該エステル交換油脂は、構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10(好ましくは炭素数8〜10)の脂肪酸が、好ましくは30〜60質量%を占め、より好ましくは35〜55質量%を占める。また、炭素数16〜24(好ましくは炭素数16〜18)の飽和の脂肪酸が、好ましくは40〜70質量%を占め、より好ましくは45〜65質量%を占める。当該エステル交換油脂(以下、MMM+L2M+LM2油脂とも表す)は、MMM、L2MおよびLM2を適当量含むので、そのまま、可塑性油脂組成物用の添加剤として使用できる。
上記エステル交換油脂は、従来公知の方法を用いて製造できる。エステル交換油脂は、例えば、25〜65質量部(より好ましくは30〜60質量部)のMMMと、35〜75質量部(より好ましくは40〜70質量部)のヨウ素価5以下かつ構成脂肪酸全量のうち炭素数16以上の飽和脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油などを原料とする、極度硬化油)との混合油脂をエステル交換することにより得られる。また、エステル交換油脂は、MMMと、構成脂肪酸全量のうち炭素数16以上の脂肪酸の含有量が90質量%以上の油脂(例えば、菜種油、大豆油、パーム油など)との混合油脂をエステル交換した後、極度硬化することにより得られる。水素添加(硬化)反応およびエステル交換反応は、従来公知の方法が適用できる。エステル交換反応は、ナトリウムメトキシドなどの合成触媒を使用した化学的エステル交換、ならびに、リパーゼを触媒とした酵素的エステル交換のどちらの方法でも適用できる。
本発明の可塑性油脂組成物用添加剤は、可塑性油脂組成物に含まれる油脂中に、好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜7質量%含まれる。本発明の可塑性油脂組成物用添加剤を使用した可塑性油脂組成物は、艶感が良好であり、かつ、良好な艶感を維持できる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。なお、本実施例で製造されるマーガリン乃至ショートニングに含まれる乳化剤の量は少量であり、それによる風味への影響はない。
〔分析方法〕
油脂のMMM含有量、L2M含有量、LM2含有量、L2X含有量、LX2含有量、XXX含有量およびLLL含有量は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)に準じて測定した。
油脂のトランス脂肪酸含有量は、AOCS Ce1f−96に準じてガスクロマトグラフィー法で測定した。
〔MMM油脂の調製〕
(MMM油脂−1):構成脂肪酸がカプリル酸とカプリン酸であり、その質量比が75:25である、MMM含有量が100質量%のMMM油脂を合成し、MMM油脂−1とした。
(MMM油脂−2):構成脂肪酸がカプリル酸とカプリン酸であり、その質量比が3:7である、MMM含有量が100質量%のMMM油脂を合成し、MMM油脂−2とした。
〔L2M+LM2油脂の調製〕
(L2M+LM2油脂−1):1モルのトリカプリンと6モルのステアリン酸エチルとを混合し、1,3−位特異性リパーゼによりエステル交換して、エステル交換混合物を得た。エステル交換混合物より脂肪酸エチルを蒸留し、蒸溜残渣を溶剤分別することにより、S10S(1,3−ジステアロイル−2−カプリングリセロール)含有量が94.8質量%である油脂を得、L2M+LM2油脂−1とした。
(L2M+LM2油脂−2):86質量部の菜種油と14質量部のMMM油脂−1とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化したものを溶剤分別することにより、L2MおよびLM2との合計含有量が95.4質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が4.1である油脂を得、L2M+LM2油脂−2とした。
(L2M+LM2油脂−3):70質量部の菜種油と30質量部のMMM油脂−2とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化したものを溶剤分別することにより、L2MおよびLM2との合計含有量が98.1質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が1.6である油脂を得、L2M+LM2油脂−3とした。
(L2M+LM2油脂−4):50質量部の菜種油と50質量部のMMM油脂−2とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化したものを溶剤分別することにより、L2MおよびLM2との合計含有量が97.2質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7である油脂を得、L2M+LM2油脂−4とした。
〔MMM+L2M+LM2油脂の調製〕
(MMM+L2M+LM2油脂−1):50質量部の菜種油の極度硬化油と50質量部のMMM油脂−2とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換することにより、MMMの含有量が19.9質量%、L2MおよびLM2の合計含有量が74.6質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7である油脂を得、MMM+L2M+LM2油脂−1とした。
〔L2X油脂の調製〕
(L2X油脂−1):パーム中融点画分(ヨウ素価45、L2X含有量70.0質量%)をL2X油脂−1とした。
(L2X油脂−2):パーム油(ヨウ素価53、L2X含有量47.8質量%)をL2X油脂−2とした。
〔ラウリンTAG油脂の調製〕
(ラウリンTAG油脂−1):ヤシ硬化油(ヨウ素価1未満、ラウリンTAG含有量81.3質量%)をラウリンTAG油脂−1とした。
(ラウリンTAG油脂−2):50質量部のパームステアリンと50質量部のパーム核オレインとを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。エステル交換油脂を極度硬化した油脂(ヨウ素価1未満、ラウリンTAG含有量55.3質量%)をラウリンTAG油脂−2とした。
(ラウリンTAG油脂−3):60質量部のパーム油と40質量部のパーム核油とを混合し、ナトリウムメチラートを触媒としてランダムエステル交換して、エステル交換油脂を得た。得られたエステル交換油脂(ヨウ素価39、ラウリンTAG含有量52.7質量%)をラウリンTAG油脂−3とした。
〔LX2+XXX油脂の調製〕
(LX2+XXX油脂−1):菜種油(ヨウ素価116、LX2+XXX含有量95.3質量%)をLX2+XXX油脂−1とした。
(LX2+XXX油脂−2):大豆油(ヨウ素価131、LX2+XXX含有量94.6質量%)をLX2+XXX油脂−2とした。
〔可塑性油脂組成物の調製1〕
表1の配合に従って、油脂a、b、cおよび油脂A、Bを混合した。表2の配合に従って、各混合油脂を使用した比較例1〜3および実施例1〜2のマーガリンを、常法に従って製造した。すなわち、マーガリンは、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した後、急冷混捏することにより製造した。以下の基準に従って、5名のパネラーが、各マーガリンの口どけを総合的に評価した。また、以下の基準に従って、5℃に保管した状態での経時的な、艶感および組織の変化、を観察(1週目および5週目)した。結果を表1に示した。
〔可塑性油脂組成物の評価基準〕
口どけ
速やかに溶けて口どけが非常によい ◎
口どけがよい ○
ふつう △
やや油っぽい ▲
べったりとして油っぽい ×
艶感
艶がよく、非常に滑らかに見える ◎
艶がよく、滑らかに見える ○
ふつう △
ややくすんで見える ▲
ざらついて見える ×
組織の状態
きめが細かく、非常によい ◎
きめが細かく、良好 ○
ふつう △
ややきめが粗い ▲
きめがかなり粗い、もしくは粒がある ×
Figure 2017225466
Figure 2017225466
〔可塑性油脂組成物の調製2〕
表3の配合に従って、油脂dおよび油脂C、D、E、Fを混合した。表4の配合に従って、各混合油脂を使用した比較例4および実施例3〜6のマーガリンを、常法に従って製造した。すなわち、マーガリンは、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した後、急冷混捏することにより製造した。〔可塑性油脂組成物の調製1〕と同様の基準に従って、5名のパネラーが、各マーガリンの口どけを総合的に評価した。また、〔可塑性油脂組成物の調製1〕と同様の基準に従って、5℃に保管した状態での経時的な、艶および組織の変化、を観察(1週目および5週目)した。結果を表3に示した。
Figure 2017225466
Figure 2017225466
〔可塑性油脂組成物の調製3〕
表5の配合に従って、油脂eおよび油脂G、H、I、Jを混合した。表4の配合に従って、各混合油脂を使用した比較例5および実施例7〜10のマーガリンを、常法に従って製造した。すなわち、マーガリンは、油相と水相とをそれぞれ調製し、油相に水相を混合、乳化した後、急冷混捏することにより製造した。〔可塑性油脂組成物の調製1〕と同様の基準に従って、5名のパネラーが、各マーガリンの口どけを総合的に評価した。また、〔可塑性油脂組成物の調製1〕と同様の基準に従って、5℃に保管した状態での経時的な、艶および組織の変化、を観察(1週目および5週目)した。結果を表5に示した。
Figure 2017225466
〔可塑性油脂組成物の調製4〕
表6の配合に従って、油脂f、gおよび油脂K、Lを混合した。表7の配合に従って、各混合油脂を使用した比較例6、7および実施例11、12のショートニングを、常法に従って製造した。すなわち、ショートニングは、油相を調製し、急冷混捏することにより製造した。〔可塑性油脂組成物の調製1〕と同様の基準に従って、5名のパネラーが、各ショートニングの口どけを総合的に評価した。また、〔可塑性油脂組成物の調製1〕と同様の基準に従って、5℃に保管した状態での経時的な、艶および組織の変化、を観察(1週目および5週目)した。結果を表6に示した。
Figure 2017225466
Figure 2017225466
〔可塑性油脂組成物用の添加剤〕
上記実施例1〜9および11、12で使用したMMM油脂とL2M+LM2油脂を、実施例1〜9および11、12における配合割合で予め混合したものは、可塑性油脂組成物用の添加剤として使用できる。実施例1〜9および11、12において、可塑性油脂組成物用の添加剤とした場合の各混合物の組成を表8〜10に示した。なお、実施例10で使用したMMM+L2M+LM2油脂−1(MMMの含有量が19.9質量%、L2MおよびLM2の合計含有量が74.6質量%であり、LM2含有量に対するL2M含有量の質量比(L2M/LM2)が0.7)は、それ自体が本発明の可塑性油脂組成物用の添加剤である。
Figure 2017225466
Figure 2017225466
Figure 2017225466

Claims (10)

  1. 可塑性油脂組成物中の油脂に占める、MMMの含有量が0.01質量%以上5質量%未満である可塑性油脂組成物。
    ただし、MおよびMMMは、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸
    MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  2. 前記油脂に占める、L2MおよびLM2の合計含有量が0.01〜10質量%である、請求項1に記載の可塑性油脂組成物。
    ただし、L、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
    L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  3. 前記油脂に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項2に記載の可塑性油脂組成物。
  4. 前記油脂に占める、ラウリン酸含有トリアシルグリセロールの含有量が6〜54質量%である、請求項1〜3の何れか1項に記載の可塑性油脂組成物。
  5. 前記油脂に占める、L2Xの含有量が8〜40質量%である、請求項1〜4の何れか1項に記載の可塑性油脂組成物。
    ただし、XおよびL2Xは、以下を意味する。
    X:炭素数16〜24の不飽和脂肪酸
    L2X:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のXが結合したトリアシルグリセロール
  6. 前記油脂に占める、LX2およびXXXの合計含有量が10〜70質量%である、請求項1〜5の何れか1項に記載の可塑性油脂組成物。
    ただし、LX2およびXXXは、以下を意味する。
    LX2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のXが結合したトリアシルグリセロール
    XXX:グリセロール1分子に3分子のXが結合したトリアシルグリセロール
  7. 2〜70質量%のMMMと、20〜98質量%のL2MおよびLM2と、を含む可塑性油脂組成物用の添加剤。
    ただし、M、L、MMM、L2MおよびLM2は、以下を意味する。
    M:炭素数6〜10の脂肪酸
    L:炭素数16〜24の飽和脂肪酸
    MMM:グリセロール1分子に3分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    L2M:グリセロール1分子に2分子のLと1分子のMが結合したトリアシルグリセロール
    LM2:グリセロール1分子に1分子のLと2分子のMが結合したトリアシルグリセロール
  8. 前記添加剤に占める、前記LM2の含有量に対する前記L2Mの含有量の質量比(L2M/LM2)が、0.05〜4.5である、請求項7に記載の可塑性油脂組成物用の添加剤。
  9. エステル交換油脂であって、前記エステル交換油脂が有する構成脂肪酸全量のうち、炭素数6〜10の構成脂肪酸が、25〜65質量%を占め、炭素数16〜24の飽和の構成脂肪酸が、35〜75質量%を占める、エステル交換油脂である、請求項7または8に記載の可塑性油脂組成物用の添加剤。
  10. 請求項7〜9の何れか1項に記載の可塑性油脂組成物用の添加剤を、油脂中に0.05〜15質量%含む可塑性油脂組成物。
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