JP2017222775A - 防振ゴム用組成物及びその架橋物 - Google Patents

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友訓 原田
剛 今岡
Takeshi Imaoka
剛 今岡
太郎 尾▲崎▼
Taro Ozaki
太郎 尾▲崎▼
船山 俊幸
Toshiyuki Funayama
俊幸 船山
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Abstract

【課題】エピクロロヒドリン系重合体を用いた、良好な防振特性及び耐圧縮永久歪性を有するゴム材料、及びゴム材料のための組成物を提供することを課題とする。【解決手段】エピクロロヒドリン系重合体、アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤、キノキサリン系架橋剤を含有することを特徴とする組成物を架橋してなるエピクロロヒドリン系ゴム材料が、良好な防振特性及び耐圧縮永久歪性を有することを見出した。【選択図】なし

Description

本発明は、エピクロロヒドリン系重合体を必須成分とする防振ゴム用組成物及びその組成物を架橋してなる防振ゴム用材料に関し、耐圧縮永久歪性に優れた防振ゴム用材料を与えるゴム組成物を提供するものである。
エピクロロヒドリン系ゴム材料はその耐熱性、耐油性、耐オゾン性等を活かして、自動車用途では燃料ホースやエアー系ホース、チューブ材料として幅広く使用されている。しかしながら、近年における排ガス規制対策や省エネルギー対策の実施、エンジンの高性能化およびコンパクト化等によるエンジンルーム内の温度上昇あるいは自動車部品のメンテナンスフリー化などに伴って、ゴム材料に対するさらなる耐熱性、および耐久性の向上が望まれている。
従来こうしたゴム材料、特に防振ゴムには天然ゴムが用いられることが多かった。しかしながら、近年の高温環境下での使用において天然ゴムは耐熱性及び耐オゾン性等が不十分であった。
また、耐熱性の良い防振ゴム組成物として、主鎖に二重結合を持たない耐熱性に優れるEPDMをゴム成分として用いた防振ゴム組成物が開示されている(特許文献1,2)。
本出願人は、耐熱性に優れた防振ゴムを与えるための防振ゴム用組成物として、エピクロロヒドリン系重合体を用いた検討をしている(特許文献3)。しかし、より物性に優れた配合の検討が求められている。
特開2005−113093 特開2009−298949 特開2015−34192
エピクロロヒドリン系重合体を用いた、良好な防振特性及び耐圧縮永久歪性を有するゴム材料、及びゴム材料のための組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、エピクロロヒドリン系重合体、アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤、キノキサリン系架橋剤を含有することを特徴とする組成物を架橋してなるエピクロロヒドリン系ゴム材料が、良好な防振特性及び耐圧縮永久歪性を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
項1 (A)エピクロロヒドリン系重合体、(B)アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤、(C)キノキサリン系架橋剤を含有することを特徴とする防振ゴム用組成物。
項2 (D)脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を更に含有する項1に記載の防振ゴム用組成物。
項3 (E)受酸剤を含有することを特徴とする項1又は2に記載の防振ゴム用組成物。
項4 項1〜3いずれかに記載するゴム組成物を架橋してなる防振ゴム用材料。
項5 項4に記載する防振ゴム用材料からなる自動車用防振ゴム。
本発明により得られたゴム材料は、良好な防振特性及び耐圧縮永久歪性を有するために自動車用防振ゴムに好適である。
以下に本発明の防振ゴム用組成物及び防振ゴム用組成物を架橋してなる防振ゴム用材料について詳細に説明する。本発明の防振ゴム用組成物は(A)エピクロロヒドリン系重合体、(B)アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤、(C)キノキサリン系架橋剤を含有する。
本発明の防振ゴム用組成物に用いられる(A)エピクロロヒドリン系重合体は、エピクロロヒドリン由来の構成単位を有する重合体であり、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、n−ブチレンオキサイド等のアルキレンオキシド類、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n−グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のグリシジル類に由来する構成単位を含んでいてもよい。具体的に例示すれば、エピクロロヒドリン単独重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等を挙げることができ、エピクロロヒドリン単独重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体であることが好ましい。これら単独重合体、又は共重合体の分子量は特に制限されないが、通常ムーニー粘度表示でML1+4(100℃)=30〜150程度である。これらの単独重合体又は共重合体を一種、又は二種以上併用して使用することができる。
(A)エピクロロヒドリン系重合体としては、耐熱性の点で、エピクロロヒドリンに基づく重合単位を10mol%以上含有することが好ましく、20mol%以上含有することがより好ましく、25mol%以上含有することが特に好ましい。エピクロロヒドリンに基づく重合単位については、塩素含有量等より算出することができる。塩素含有量はJIS K7229に記載の方法に従い、電位差滴定法によって求めることができる。
エピクロロヒドリンーエチレンオキサイド共重合体の場合、エピクロロヒドリンに基づく重合単位は、下限が10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、25mol%以上であることが特に好ましく、上限が95mol%以下であることが好ましく、75mol%以下であることがより好ましく、65mol%以下であることが特に好ましい。エチレンオキサイドに基づく重合単位は、下限が5mol%以上であることが好ましく、25mol%以上であることがより好ましく、35mol%以上であることが特に好ましく、上限が90mol%以下であることが好ましく、80mol%以下であることがより好ましく、75mol%以下であることが特に好ましい。
エピクロロヒドリンーエチレンオキサイドーアリルグリシジルエーテル三元共重合体の場合、エピクロロヒドリンに基づく重合単位は、下限が10mol%以上であることが好ましく、20mol%以上であることがより好ましく、25mol%以上であることが特に好ましく、上限が95mol%以下であることが好ましく、75mol%以下であることがより好ましく、65mol%以下であることが特に好ましい。エチレンオキサイドに基づく重合単位は、下限が4mol%以上であることが好ましく、24mol%以上であることがより好ましく、34mol%以上であることが特に好ましく、上限が89mol%以下であることが好ましく、79mol%以下であることがより好ましく、74mol%以下であることが特に好ましい。アリルグリシジルエーテルに基づく重合単位は、下限が1mol%以上であることが好ましく、上限が10mol%以下であることが好ましく、8mol%以下であることがより好ましく、7mol%以下であることが特に好ましい。
エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロロヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体の共重合組成については、塩素含有量、ヨウ素価により求められる。
塩素含有量はJIS K7229に記載の方法に従い、電位差滴定法によって測定する。得られた塩素含有量からエピクロロヒドリンに基づく構成単位のモル分率を算出する。
ヨウ素価はJIS K6235に準じた方法で測定する。得られたヨウ素価からアリルグリシジルエーテルに基づく構成単位のモル分率を算出する。
エチレンオキサイドに基づく構成単位のモル分率は、エピクロロヒドリンに基づく構成単位のモル分率、アリルグリシジルエーテルに基づく構成単位のモル分率より算出する。
本発明の防振ゴム用組成物に用いられるシリカ系充填剤はアミノ系シランカップリング剤で処理されたものである。
シリカ系充填剤はCTAB吸着比表面積が70〜150m/gであることが好ましく、75〜145m/gであることがより好ましい。
CTAB吸着比表面積は、シリカ表面に対するCTABの吸着量から算出したシリカの比表面積(m/g)である。シリカのCTAB吸着比表面積はJISK6430に準じて測定することができる。またCTABとは臭化n−ヘキサドデシルトリメチルアンモニウムのことを指す。
シリカ系充填剤のCTAB吸着比表面積の測定方法は次のとおりである。
CTAB標準液(0.0151mol/L)を調製し、これをシリカ試料に添加する。攪拌下で懸濁液を生成させ、シリカ表面にCTABを吸着させる。液相の分離後、非吸着のCTABを濁り滴定によって求める。シリカ表面に対するCTAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nmとしてCTABの吸着量から、比表面積を算出する。
シリカ系充填剤は、特に限定されず、例えば、湿式法シリカ(含水ケイ酸)、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等である。湿式法シリカが好ましい。湿式法シリカとは、ケイ酸ナトリウム水溶液をまたはアルカリ土類金属ケイ酸塩を、酸分解する等により製造される含水ケイ酸の微粒子で、二酸化ケイ素を主体としたゴム用充填材である。
シリカ系充填剤を処理するアミノ系シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン等が例示される。
アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤の製造方法としては、シリカ系充填剤100重量部に対して、アミノ系シランカップリング剤を3〜15重量部を反応させることが好ましく、5〜13重量部を反応させることが好ましく、9〜11重量部を反応させることが特に好ましい。
アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤の製造方法において、シリカ系充填剤とアミノ系シランカップリング剤との反応を促進するために、酸等を用いることができる。
アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤の製造においては、シリカ系充填剤とアミノ系シランカップリング剤の反応をより促進するために加熱処理を施してもよく、加熱方法や時間、温度など特に制限はない。具体的には、ナウターミキサーやリボンブレンダー、ヘンシェルミキサーなどを用いて加熱攪拌し、その後、加熱オーブンなどで加熱する等を例示することができる。撹拌温度及び時間は、一般的には20〜200℃で、1分〜24時間である。
本発明の防振ゴム用組成物において、(B)アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤の含有量は(A)エピクロロヒドリン系重合体100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましく、15〜50重量部であることがより好ましく、20〜30重量部であることが特に好ましい。(B)アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤の含有量が10重量部未満であると架橋が不十分となり、70重量部を超えるとコンパウンド粘度が増大し加工性が困難になる。
本発明の防振ゴム用組成物において、(C)キノキサリン系架橋剤としては、2,3−ジメルカプトキノキサリン、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8− ジメチルキノキサリン−2,3−ジチカーボネート等が挙げられ、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネートであることが好ましい。(C)キノキサリン系架橋剤は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の防振ゴム用組成物において、(C)キノキサリン系架橋剤の含有量は、(A)エピクロロヒドリン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることが特に好ましい。(C)キノキサリン系架橋剤の含有量が0.1重量部未満では架橋が不十分となり、10重量部を超えると架橋物が剛直になりすぎて、エピクロロヒドリン系ゴム組成物を架橋して得られる架橋物として通常期待される物性が得られなくなる恐れがある。
本発明の防振ゴム用組成物において、(D)脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を更に含有することが好ましく、脂肪酸ナトリウム塩及び/又は脂肪酸カリウム塩であることが特に好ましい。
脂肪酸ナトリウム塩としては、炭素数6〜30の脂肪酸のナトリウム塩であることが好ましく、炭素数12〜24の脂肪酸のナトリウム塩であることが好ましく、ステアリン酸、オレイン酸、セバシン酸のナトリウム塩であることが特に好ましい。
脂肪酸カリウム塩としては、炭素数6〜30の脂肪酸のカリウム塩であることが好ましく、炭素数12〜24の脂肪酸のカリウム塩であることが好ましく、ステアリン酸、オレイン酸、セバシン酸のカリウム塩であることが特に好ましい。
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下DBUと略)の塩としては、DBU−炭酸塩、DBU−ステアリン酸塩、DBU−2−エチルヘキシル酸塩、DBU−安息香酸塩、DBU−サリチル酸塩、DBU−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、DBU−フェノール樹脂塩、DBU−2−メルカプトベンゾチアゾール塩、DBU−2−メルカプトベンズイミダゾール塩であることが好ましく、DBU−フェノール樹脂塩が特に好ましい。
本発明の防振ゴム用組成物において、(D)脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物の含有量は、(A)エピクロロヒドリン系重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.3〜5重量部であることが特に好ましい。
本発明の防振ゴム用組成物において、架橋剤に応じて公知の(E)受酸剤を使用でき、金属化合物及び/又は無機マイクロポーラス・クリスタルが用いられる。
金属化合物としては、周期表第II族(2族および12族 金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表第IV族(4族および14族)の非鉛系金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物が挙げられる。
前記金属化合物の具体例としては、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ナトリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸錫、等を挙げることができる。特に好ましい受酸剤としては酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、消石灰、生石灰が挙げられる。
無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を意味し、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミナホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、ハイドロタロサイト類、チタン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。特に好ましい受酸剤としては、ハイドロタルサイト類が挙げられる。
ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM−5などの各種ゼオライト及びこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが好ましい。
前記ハイドロタルサイト類は下記一般式(1)
MgZnAl(OH)(2(X+Y)+3Z−2)CO・wHO (1)
[式中、xとy はそれぞれx+y=1〜10の関係を有する0〜10の実数、zは1〜5の実数、wは0〜10の実数をそれぞれ示す]で表わされる。
ハイドロタルサイト類の具体例として、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)14CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO、MgZnAl(OH)12CO・3.5HO、MgZnAl(OH)12CO、Mg4.3Al(OH)12.6CO・3.5HO等を挙げることができる。
本発明の防振ゴム用組成物において、(E)受酸剤の含有量は、(A)エピクロロヒドリン系重合体100重量部に対して、0.2〜50重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることが特に好ましい。(E)受酸剤の含有量が0.2重量部未満では架橋が不十分となり、50重量部を超えると架橋物が剛直になりすぎて、エピクロロヒドリン系ゴム組成物を架橋して得られる架橋物として通常期待される物性が得られなくなる恐れがある。
本発明の防振ゴム用組成物には、本発明の効果を損なわない限り、上記以外の配合剤、例えば、滑剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、架橋促進剤、架橋遅延剤等を任意に配合できる。さらに本発明の特性が失われない範囲で、当該技術分野で通常行われている、ゴム、樹脂等のブレンドを行うことも可能である。
本発明による防振ゴム用組成物を製造するには、従来ポリマー加工の分野において用いられている任意の混合手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いることができる。
本発明の架橋物は、本発明の防振ゴム用組成物を通常100〜200℃ に加熱することで得られる。架橋時間は温度により異なるが、通常0.5〜300分の間である。架橋成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、スチーム缶、エアーバス、赤外線或いはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
本発明の架橋物は、静的ばね定数(Ks)と動的ばね定数(Kd)との比で表される静動比(Kd/Ks)が1.42以下であることが好ましく、1.40以下であることが好ましい。
本発明の架橋物は、JIS K6257促進老化試験A−2法に準じて耐熱性の試験(100℃×70時間)におけるJIS K6262に準じて耐圧縮永久歪試験を行った場合の、耐圧縮永久歪性が10%以下であることが好ましく、8%以下であることが好ましい。
本発明のゴム材料は、鉄道車両用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム、免震ゴム支承等の防振、免震ゴムに好適に用いることができ、特にエンジンマウント等の耐熱性を必要とする自動車用防振ゴムの構成部材として有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこの記載に限定されるものではない。
表1に示す配合で各材料をニーダーおよびオープンロールで混練し、厚さ2〜2.5mmの未架橋ゴムシートを作製した。また、引張特性、耐熱性の評価のために得られた未架橋ゴムシートを170℃で15分プレス架橋し、2mm厚の一次架橋物を得た。さらにこれをエア・オーブンで150℃で2時間加熱し、二次架橋物を得た。得られた二次架橋物を用い、JIS K6251に準じて引張試験を、JIS K6262に準じて耐圧縮永久歪試験を、JIS K6257促進老化試験A−2法に準じて耐熱性の試験を行った。動特性は(株)鷺ノ宮製作所製ダイナミックサーボで測定を行った。測定条件は、静的ばね定数は試験片を0〜3mmに圧縮する際の1〜2mm区間の静的荷重と変位の比で、動的ばね定数は試験片のプリセット圧縮率が5%、ひずみ振幅が±0.1%、周波数が100Hzのときの動荷重と変位の比である。
各試験方法より得られた試験結果を表2に示す。各表中M300は引張試験に定める300%伸び時の引張応力、Tbは引張試験に定める引張強さ、Ebは引張試験に定める伸び、HsはJIS K6253の硬さ試験に定める硬さをそれぞれ意味する。また、ΔTb、ΔEb、Hsch.は其々耐熱老化試験前後における、引張強さの変化率、伸びの変化率、硬度の差(基準は耐熱老化試験前)を示すものである。
*1 株式会社大阪ソーダ製「エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体:エピクロマーCG−102」
*2 130℃で24時間乾燥させ揮発分を0重量%としたシリカ(DSL.ジャパン株式会社製カープレックス#67)100重量部に対し、シランカップリング剤(東京化成工業株式会社製:トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン)10重量部を混合し、2Lヘンシェルミキサー(株式会社カワタ製、スーパーミキサーピッコロ)を用い室温にて600rpmで45分攪拌して得た。
*3 DSL.ジャパン株式会社製「カープレックス#67」(CTAB吸着比表面積140m/g)
*4 東京化成工業株式会社製「トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シラン」
*5 協和化学工業株式会社製「DHT-4A」
*6 Rheine−Chemie社製 「レノグランNAST−50/ACM(GE1858)」(50%ステアリン酸ナトリウム)
表2の実施例1より、本発明の防振ゴム用組成物を架橋してなる架橋物は、優れた耐熱性、耐圧縮永久歪性、動特性を有しており、防振ゴム用途に好適であることが示された。
本発明により、エピクロロヒドリン系ゴムをベースとした引張強度及び耐熱性の改良された組成物およびその架橋ゴム材料を提供することができる。したがって、同組成物から、鉄道車両用防振ゴム、産業機械用防振ゴム、建築用免震ゴム、免震ゴム支承等の防振、免震ゴムに好適に用いることができ、特にエンジンマウント等の耐熱性を必要とする自動車用防振ゴムの構成部材へ好適に応用することができる。

Claims (5)

  1. (A)エピクロロヒドリン系重合体、(B)アミノ系シランカップリング剤で処理されたシリカ系充填剤、(C)キノキサリン系架橋剤を含有することを特徴とする防振ゴム用組成物。
  2. (D)脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸カリウム塩、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7の塩からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を更に含有する請求項1に記載の防振ゴム用組成物。
  3. (E)受酸剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防振ゴム用組成物。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載するゴム組成物を架橋してなる防振ゴム用材料。
  5. 請求項4に記載する防振ゴム用材料からなる自動車用防振ゴム。
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