JP2017206451A - (3r,5r,8s)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2h)−アズレノンおよび香料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】果実のフレッシュ感、果実の果汁感を増強することのできる香料組成物、およびそれを用いた果実の香味、特に、果実のフレッシュ感、果汁感が増強された飲食品を提供する。【解決手段】新規な(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノンおよび該化合物を有効成分として含有する香料組成物を果実の香味を有する食品に添加することにより果実のフレッシュ感、果汁感を増強することができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノンおよび該化合物を有効成分として含有する香料組成物並びに該化合物を香料組成物に含有させる果実香味含有飲食品用香料組成物のフレッシュな果実感増強方法に関する。
オレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘果実類;りんご、もも、ナシなどのソフトフルーツ類;キウイ、マンゴー、アボカドなどのトロピカルフルーツ類に代表される果実は我々の食卓に彩りを添え、生で食する他、ジュースとして欠くことのできない身近な食品である。加工食品の分野でも果実は様々な製品ジャンルに使用され、果実風味を持つフレーバーは香料産業において、最も重要な製品として位置付けられている。
果実の重要な香気成分として、シス−3−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセナール、オクタナール、デカナールに代表される鎖状アルデヒド類;ヘキサノール、イソアミルアルコールなどの低級鎖状アルコール類;ゲラニオール、リナロール、シトラール、シトロネラールなどに代表されるモノテルペンアルコール類、モノテルペンアルデヒド類;酢酸エチル、酪酸エチルなどの低級脂肪酸エステル類が知られている。
さらに、果実の香気を特徴づける重要な香気成分としては、例えば、ももに存在するγ−デカラクトン、ナシに存在するシス−3−ノネノールやその酢酸エステル、熱帯産果実であるマンゴーに存在するγ−オクタラクトンなどが知られている。特に、熱帯産果実においては3−スルファニルヘキセナールなどの含硫化合物が重要な香気成分であり、香料として使用した場合、それぞれの果実を特徴付ける香気の表現が可能となる。
また、柑橘果実の香気を特徴づける重要な香気成分は果実果皮油の低揮発(高沸点)成分にも見出されている。例えば、オレンジ中のシネンサール、レモン、特に完熟したレモン中のメチルエピジャスモネート、グレープフルーツ中のヌートカトンなどが知られており、これらの香気成分は柑橘類のベースノートを構成している。これらの成分を香料として使用した場合、それぞれの柑橘を特徴付ける果皮の香りの再現が可能となる。
これらの果実の果汁は、加工食品に用いるためには食品衛生の面から加熱殺菌することが必要であるため、生果実の絞りたて果汁であっても香味の変化が生じる。特に、需要が拡大している熱帯産果実では検疫のため殺虫処理が必要であり、加熱・蒸熱処理によって新鮮な生果実の風味が損なわれる問題点が指摘されている。そこで、加熱によって損なわれた果汁風味を回復するために香料を添加することが行われる。その際に、果実のフレッシュ感、果汁感を増強し、果汁の甘さとコクが付与される香料化合物の検索が課題となっている。
一方、ロタンドン((3S,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン)は生薬として香附子(こうぶし)と呼ばれるカヤツリグサ科のハマスゲの塊茎より単離・構造決定された(非特許文献1)。中国では漢方薬、日本では香道で用いられる沈香(Agarwood)中の成分としても知られている(非特許文献2)。また、虫に対して忌避効果を持つことから、害虫忌避剤(特許文献1)、害虫防除剤(特許文献2)としての利用も報告されている。近年では、ロタンドンはスパイシー、コショウ様香気が特徴であるシラーズワインおよびそのワイン用のブドウの、スパイシー、コショウ様香気の原因成分であることが報告されている。また、黒コショウや白コショウには数ppm含有され、それらの重要香気成分であること、マジョラム、オレガノ、ローズマリー、バジル、タイムなどのスパイス中にも微量含まれていることが報告されている(非特許文献3)。
特開平4−321613号公報 特開平6−16516号公報
TetrahedronLetters、1967年、8巻47号、p4661−4667 Phytochemistry、1991年、30巻10号、p3343−3347 Journal of Agricultural and Food Chemistry、2008年、56巻10号、p3738−3744
近年、飲食品等に使用する香料においても天然感、フレッシュ感を表現する素材が多く見いだされ、従来の香料物質と組み合わせることで、消費者の多様な要求に対応可能となってきた。しかし、果実の香気を再現する素材は多数見出されているが、果実のフレッシュ感、果実の果汁感を表現する素材が見出されていないのが現状である。
したがって、本発明の目的は、果実のフレッシュ感や果汁感を増強する香料組成物、およびそれを用いた果実の香味、特に、果実のフレッシュ感、果汁感が増強された飲食品を提供することにある。
本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意検討し、先にロタンドンを有効成分とする果実香味増強剤、および柑橘香味増強剤を提案した(特願2015−79683、特願2015−79684)。さらに検討を進めた結果、文献未記載の立体異性体である(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノンが、(3S,5R,8S)体とは異なり、ウッディ・シトラス様の香気を有しており、柑橘果実類、ソフトフルーツ類、トロピカルフルーツ類などの果実香味含有飲食品用香料組成物に添加することにより、フレッシュな果実感を増強・改善することができることを見出し本発明の完成に至った。
本発明は、以下の香料組成物および飲食品の果実香味増強方法を提供することができる。
[1]下記式(1)
Figure 2017206451
で表される(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン。
[2][1]の式(1)の化合物を有効成分として含有することを特徴とする香料組成物。
[3][1]の式(1)の化合物を有効成分として含有することを特徴とする果実香味含有飲食品用香料組成物。
[4][1]の式(1)の化合物を果実含有飲食品用香料組成物に含有させることを特徴とする、前記香料組成物のフレッシュな果実感増強方法。
[5][1]の式(1)の化合物を果実香味含有飲食品に含有させることを特徴とする、前記飲食品の果実香味増強方法。
[6]下記式(1)の(3R,5R,8S)体と、下記式(2)の(3S,5R,8S)体との異性体混合物を有効成分として含有することを特徴とする香料組成物。
Figure 2017206451
[7]異性体混合物中の(3R,5R,8S)体:(3S,5R,8S)体の質量比が0.5:99.5〜99.5:0.5である、[6]に記載の香料組成物。
本発明の前記式(1)の化合物を有効成分とする香料組成物は、飲食品などに用いることにより果実のフレッシュ感や果汁感を増強することができ、前記式(1)の化合物は香料組成物の調合素材として有用である。
以下、本発明の前記式(1)の(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン(以下、(3R,5R,8S)体と言うこともある。)および香料組成物について、さらに詳細に説明する。
本発明の(3R,5R,8S)体は、従来文献未記載の新規化合物である。(3R,5R,8S)体は、下記製造工程で示すように、ロタンドンを異性化することにより得ることができる。
Figure 2017206451
この異性化反応は、塩基の存在下に温度−20℃〜100℃にて、1時間〜72時間程度反応させることにより行われる。反応に使用される塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(例:水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)、アルカリ金属水素化物(例:水素化ナトリウム、水素化カリウムなど)、有機リチウム化合物(例:n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウムなど)、アルカリ金属アミド(例:リチウムアミド、カリウムアミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミドなど)、アルカリ金属ヘキサメチルジシラジド、アルカリ金属アルコラート(例:ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなど)などを挙げることができ、塩基の使用量としては、式(2)のロタンドンに対して塩基を0.01〜5当量加えて反応することにより異性体混合物として得ることができる。異性化反応終了後は、常法により酸洗浄、水洗、微アルカリ洗浄などを行った後脱水し、シリカゲルカラムクロマトグラフィやHPLCなどの分離手段を用いて分離することにより、高純度の式(1)の(3R,5R,8S)体を得ることができる。出発物質である式(2)のロタンドンは、非特許文献3に記載の方法により合成するか、市販のペッパーオイルから蒸留法、クロマト法を単独あるいは組み合わせる分画方法で得ることができる。
本発明の式(1)の(3R,5R,8S)体は、そのまま飲食品に極微量配合して果実の香味、特に、フレッシュ感や果汁感を増強することができる。ここで果実とは、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジ、ベルガモット、グレープフルーツ、ユズ、ダイダイ、カボス、スダチ、シークヮーサー、レモン、ライム、ナツミカン、ハッサク、イヨカン、マンダリンオレンジ、ウンシュウミカンなどの柑橘果実類、りんご、もも、ベリー類(いちご、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリーなど)、ナシ、メロン、さくらんぼ、アセロラ、くり、アーモンド、クルミ、トマト、すいか、かき、うめ、あんず、いちじく、ザクロ、ビワ、キウイ、ドリアン、マンゴー、マンゴスチン、アボカド、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイア、チェリモヤ、バンレイシ、カムカム、グアバ、フェイジョア、タマリンド、ライチー、ランブータン、リュウガン、アサイー、ココナッツなどを指すが、これらの果実に限定されない。
本発明の式(1)の(3R,5R,8S)体は、他の成分と混合して香料組成物を調製し、該香料組成物を用いて飲食品に果実の香味、特に、フレッシュ感や果汁感を増強することもできる。該香料組成物の式(1)の(3R,5R,8S)体と共に含有し得る他の香料成分としては、各種の合成香料、天然香料、天然精油、動植物エキスなどを挙げることができる。
例えば、炭化水素化合物としてα−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としてブタノール、ペンタノール、プレノール、ヘキサノールなどの直鎖・飽和アルコール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、2,6−ノナジエノールなどの直鎖・不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としてアセトアルデヒド、ヘキサナール、デカナールなどの直鎖・飽和アルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナールなどの直鎖・不飽和アルデヒド、シトロネラール、シトラールなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピンなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物として2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オンなどの直鎖・飽和および不飽和ケトン、アセトイン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどの直鎖および環状ジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フラン・エーテル化合物としてフルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピランなどの環状エーテル類が挙げられる。
エステル化合物として酢酸エチル、酢酸イソアミルなどの脂肪族アルコールの酢酸エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリルなどのテルペンアルコール酢酸エステル、酪酸エチル、カプロン酸エチルなどの脂肪酸と低級アルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としてγ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物として酪酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としてインドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチルなどが挙げられる。
含硫化合物としてメタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネートなどが挙げられる。
天然精油としてはスイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
また、各種のエキスとしてハーブ・スパイス抽出物、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶抽出物など、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼ・プロテアーゼなどの酵素分解物などが挙げられる。
他の香料成分としては「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、頁8−87、平成12年1月14日発行」に記載されている合成香料、天然精油、天然香料、動植物エキス等を挙げることができる。
本発明の式(1)の(3R,5R,8S)体を有効成分とする香料組成物は、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている、水、エタノールなどの溶剤、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、グリセリン、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ハーコリン、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸ジグリセリドなどの香料保留剤を含有することができる。
また、式(1)の(3R,5R,8S)体を有効成分とする香料組成物にグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、キラヤサポニン、カゼインナトリウムなどの乳化剤を用いた乳化香料として、また、アラビアガムやデキストリンを添加し乾燥させた粉末香料とすることができる。
本発明の式(1)の(3R,5R,8S)体は、式(2)の(3S,5R,8S)体(ロタンドン)と混合した異性体混合物として使用することもでき、該異性体混合物をそのまま飲食品に極微量配合して果実の香味、特に、フレッシュ感や果汁感を増強することができ、または該異性体混合物を含有する香料組成物を調製して、各種の飲食品に極微量添加することにより、果実の香味、特に、フレッシュ感や果汁感を増強することができる。該異性体混合物における(3R,5R,8S)体と(3S,5R,8S)体の質量比は特に限定されないが、例えば、(3R,5R,8S)体:(3S,5R,8S)体の質量比が0.5:99.5〜99.5:0.5の範囲を例示することができる。
本発明の式(1)の(3R,5R,8S)体または前記異性体混合物並びにそれらを有効成分として含有する香料組成物により果実の香味、特に、フレッシュ感や果汁感を増強することができる飲食品の具体例としては、コーラ飲料、果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料などの炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒などのアルコール飲料類;バター、チーズ、ミルク、ヨーグルトなどの乳製品;アイスクリーム、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類及びそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなどの菓子類及びそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;パン、スープ、各種インスタント食品などの一般食品類、歯磨きなどの口腔用組成物を挙げることができるが何ら限定されるものではない。
本発明の香料組成物における式(1)の(3R,5R,8S)体の含有量は、混合される他の香料成分により異なり一概にはいえないが、通常、該香料組成物の重量を基準として0.5ppb〜1%、好ましくは5ppb〜0.1%の濃度範囲とすることができる。
果実の香味、特に、フレッシュ感や果汁感を増強する際の上記した各種の製品への式(1)の(3R,5R,8S)体の含有量は、製品の種類や形態に応じて異なり一概にはいえないが、通常、製品の重量を基準として0.05ppt〜0.001%、好ましくは0.5ppt〜1ppmの濃度範囲とすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1:(3R,5R,8S)体の調製
下記のスキームにより(3R,5R,8S)体を調製した。
Figure 2017206451
すなわち、50mLフラスコにロタンドン100mgを仕込み、1MのEtONa/EtOH溶液を5mL加え、室温で一晩撹拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、飽和塩化アンモニウム溶液、水および飽和食塩水で洗浄した後、濃縮した。得られた濃縮物[式(2):式(1)=約1:1]をHPLCにて分離し、式(1)の(3R,5R,8S)体(本発明品1)を14mg得た。
HPLC条件
カラム:TCI Chiral(4.6×250mm,5μm) × CHIRALP AK IA(4.6×250mm,5μm)
流速:2mL/min カラム温度:40℃
移動相:Hexane/EtOH=90/10 検出:230nm
式(1)の(3R,5R,8S)体の物性値
H−NMR(CDCl,400MHz):δ 4.72(1H,br d),4.69(1H,app quint,J=1.2),2.96(1H,ddq,J=10.8,3.6,7.6),2.64(1H,app quint,J=7.2),2.57(1H,dd,J=18.8,6.4),2.52(1H,dd、J=15.2,10.8),2.39(1H,dt,J=15.2,2.0),2.01(1H,d,J=1.6),1.96(1H,d,J=1.6),1.95−1.72(3H,overlapping m),1.75(3H,s),1.50(1H,m),1.15(3H,d,J=6.8),1.01(3H,d,J=7.2)
13C−NMR(CDCl,100MHz):δ 208.1,177.4,150.8,145.4,109.0,46.2,43.1,37.2,36.1,32.6,30.9,26.9,20.4,19.3,16.7.
MS(m/z):219(16),218(M,100),203(41),175(28),163(15),162(19),161(28),148(13),147(38),137(28),135(16),134(22),133(24),121(16),120(18),119(31),109(12),105(31),95(14),93(20),91(35),79(22),69(12),67(17),65(11),53(11).
実施例2:(3R,5R,8S)体または(3S,5R,8S)体を添加した香料組成物の評価
下記表1に示すオレンジフレーバー処方に基づき香料組成物を調製した。実施例1で得られた本発明品1の(3R,5R,8S)体希釈液A((3R,5R,8S)体が0.1%となるようにエタノールで希釈)を含有するものを本発明品2、(3S,5R,8S)体希釈液B((3S,5R,8S)体が0.1%となるようにエタノールで希釈)を含有するものを比較品2、それらの成分を添加していないものを比較品1とした。それぞれのオレンジフレーバーについて、よく訓練された5名のパネラーにより、におい紙を用いて香気の評価を行い、各パネラーの平均的な官能評価を表2に示した。
Figure 2017206451
Figure 2017206451
表2の官能評価結果から、(3R,5R,8S)体を添加したオレンジフレーバーは、(3S,5R,8S)体を添加したオレンジフレーバーに比べて、果実のフレッシュ感や果汁感が格段に優れていることが示された。
実施例3:アルコール飲料(柑橘味)への使用例
実施例2で調製したオレンジフレーバー比較品1、本発明品2および比較品2を使用して、表3に示した配合処方により常法によりオレンジ風味アルコール飲料比較品3、本発明品3および比較品4を調製した。
Figure 2017206451
それぞれのアルコール飲料について、よく訓練された5名のパネラーによる比較を行った結果、パネラー5名全員が、本発明品3のアルコール飲料は比較品3および比較品4に比べて、絞りたてのオレンジ果汁を連想させるフレッシュ感や果汁感が付与され、アルコール飲料の風味が大幅に改善されると評価した。
実施例4:マンゴー様調合香料組成物への添加検討
果実様調合香料組成物として、下記表4に示す成分を使用しマンゴーフレーバー(比較品5、本発明品4、比較品6)を調製した。それぞれのマンゴーフレーバーについて、よく訓練された5名のパネラーにより、におい紙を用いて香気の評価を行った結果、5名のパネラーの全てが、(3R,5R,8S)体を添加したマンゴーフレーバー本発明品4は、(3S,5R,8S)体を添加したマンゴーフレーバー比較品6に比べて、果実のフレッシュ感や果汁感が格段に優れていると評価した。
Figure 2017206451
実施例5:マンゴー果実風味ガムへの使用例
下記表5に示す配合割合にて、実施例4で調製したマンゴーフレーバー比較品5、本発明品4および比較品6を使用して、常法によりマンゴー果実風味ガム比較品7、本発明品5および比較品8を調製した。
Figure 2017206451
それぞれの風船ガムについて、よく訓練された5名のパネラーによる比較を行った結果、パネラー5名全員が、本発明品5のマンゴー果実風船ガムは比較品7および比較品8に比べて、絞りたてのマンゴー果汁を連想させるフレッシュ感や果汁感が付与され、風船ガムの風味が大幅に改善されると評価した。
実施例6:りんご様調合香料組成物への添加検討
果実様調合香料組成物として、下記表6に示す成分を使用しアップルフレーバー(比較品9、本発明品6、比較品10)を調製した。それぞれのアップルフレーバーについて、よく訓練された5名のパネラーにより、におい紙を用いて香気の評価を行った結果、5名のパネラーの全てが、(3R,5R,8S)体を添加したアップルフレーバー本発明品6は、(3S,5R,8S)体を添加したマンゴーフレーバー比較品10に比べて、果実のフレッシュ感や果汁感が格段に優れていると評価した。
Figure 2017206451
実施例7:りんごジュース飲料への使用例
実施例6で調製したアップルフレーバー比較品9、本発明品6および比較品10とりんご濃縮果汁から表7に示した処方でりんごジュース比較品11、本発明品7および比較品12を調製した。
Figure 2017206451
それぞれのりんごジュースについて、よく訓練された5名のパネラーによる比較を行った結果、パネラー5名全員が、本発明品7のりんごジュースは比較品11および比較品12に比べて、絞りたてのりんご果汁を連想させるフレッシュ感や果汁感が付与され、りんごジュースの風味が大幅に改善されると評価した。
実施例8:異性体混合物の評価
実施例2で調製したオレンジフレーバー本発明品2に使用されている(3R,5R,8S)体について、その一部を(3S,5R,8S)体に置き換えてオレンジフレーバーを調製し、専門パネラーにて評価した結果、(3R,5R,8S)体が0.5質量%以上であれば、(3R,5R,8S)体のシトラス感が付与され、フレッシュ感や果汁感を増強させる効果が高まることがわかった。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 2017206451
    で表される(3R,5R,8S)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2H)−アズレノン。
  2. 請求項1に記載の式(1)の化合物を有効成分として含有することを特徴とする香料組成物。
  3. 請求項1に記載の式(1)の化合物を有効成分として含有することを特徴とする果実香味含有飲食品用香料組成物。
  4. 請求項1に記載の式(1)の化合物を果実香味含有飲食品用香料組成物に含有させることを特徴とする、前記香料組成物のフレッシュな果実感増強方法。
  5. 請求項1に記載の式(1)の化合物を果実香味含有飲食品に含有させることを特徴とする、前記飲食品の果実香味増強方法。
  6. 下記式(1)の(3R,5R,8S)体と、下記式(2)の(3S,5R,8S)体との異性体混合物を有効成分として含有することを特徴とする香料組成物。
    Figure 2017206451
  7. 異性体混合物中の(3R,5R,8S)体:(3S,5R,8S)体の質量比が0.5:99.5〜99.5:0.5である、請求項6に記載の香料組成物。
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