JP6605563B2 - 2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを含有する香料組成物 - Google Patents

2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを含有する香料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを有効成分として含有する香料組成物および該香料組成物を含有する飲食品もしくは香粧品に関する。
近年、消費者の多様化する嗜好、例えば、化粧品業界においては従来にないユニークな香気を有する香粧品へのニーズ、飲食品業界においては消費者の嗜好に合うおいしさや、天然感を有する香気・香味を有する飲食品へのニーズに応じるため様々な技術開発が求められている。
飲食品または香粧品の一つの原料素材である香料についても、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にないユニークな香気・香味特性を有し、香気特性だけでなく、それらの持続性に優れた香料組成物の開発が課題となっている。
なかでも、果実様の香気や香味が付与された飲食品や香粧品は非常に嗜好性が高く、今後も需要の増加が期待されるものの一つである。
果実様の香気や香味を飲食品や香粧品に付与する技術として、例えば、ロタンドンを飲食品に添加する技術が提案されている(特許文献1)。また、特許文献2には、特定のカルボン酸エステルからなる香料が、トロピカルフルーツ様の甘い香りを呈することが記載されている。さらに、特許文献3には、特定のトリエノン化合物、ジエノン化合物およびモノエノン化合物が、天然感、フレッシュ感のある香りを再現できることが記載されている。
2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランは、香料化合物として有用なローズオキシドの合成原料として開示されている(特許文献4、特許文献5、特許文献6)。また、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランそれ自体の有用な合成方法が開示されている(特許文献7)。しかしながら、これらの開示には、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランが香料化合物として有用であることは記載されていない。
特開2016−198026号公報 特開平7−310089号公報 特開2010−83913号公報 特表昭54−500077号公報 特表2011−506552号公報 特表2015−504414号公報 特表2016−519141号公報
特許文献1〜特許文献3の技術によれば、果実の持つ甘さ、フレッシュ感、果汁感といった香気や香味を飲食品や香粧品に付与することができる。しかしながら、近年では、多様な香気・香味が求められており、果実様の香気・香味の中でも、独特な瑞々しさや果実感を付与することができる手段が求められていた。
本発明の目的は、飲食品または香粧品などに独特な香気・香味、特に果実が有する独特な瑞々しさや果実感を有する香気を付与することができる2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを有効成分として含有する香料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行ってきた結果、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランが独特な瑞々しさや果実感といったユニークな香気特性を有すると共に、この化合物を含有する香料組成物を飲食品または香粧品に添加することにより、香気・香味を改良または増強することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は
(1)2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランからなる果実が有する独特な瑞々しさや果実感の付与乃至増強剤であって、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを飲食品の質量を基準として、0.05ppt〜10ppmの濃度範囲で添加させる、果実が有する独特な瑞々しさや果実感の付与乃至増強剤。
(2)2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを飲食品の重量を基準として、0.05ppt〜10ppmの濃度範囲で添加する、飲食品に果実が有する独特な瑞々しさや果実感を付与乃至増強する方法。
を提供する。


本発明の2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランは、果実が有する独特な瑞々しさや果実感を有する香気を付与することができ、他の香料化合物と混合した場合、その香料組成物にユニークな香気特徴を付加し、その香気・香味を改良または増強することができる。また、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを含有する香料組成物を飲食品または香粧品などに添加することにより、その対象となる製品に果実が有する独特な瑞々しさや果実感を有する香気を付加し、また香気・香味を改良または増強する特徴を有し、消費者の嗜好に合うバラエティーに富んだ飲食品または香粧品を提供することが可能となる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明で果実とは、りんご、もも、ベリー類(いちご、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリーなど)、ブドウ、マスカット、ナシ、メロン、さくらんぼ、アセロラ、くり、アーモンド、クルミ、トマト、すいか、かき、うめ、あんず、いちじく、ザクロ、ビワ、キウイ、ドリアン、マンゴー、マンゴスチン、アセロラ、アボカド、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイア、チェリモヤ、バンレイシ、カムカム、グアバ、フェイジョア、タマリンド、ライチ、ランブータン、リュウガン、アサイー、ココナッツなどを指すが、これらの果実に限定されない。
本発明に記載の以下の式(1)に示される、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピラン(以下デヒドロローズオキシドと記す)は、上述の特許文献7に記載する方法、すなわち、イソプレノールおよびプレナールを任意の触媒を用いて調製することができる。
Figure 0006605563
本発明のデヒドロローズオキシドは、そのまま飲食品や香粧品に有効成分量配合することにより果実が有する独特な瑞々しさや果実感を有する香気を付与することができるが、他の成分と混合して香料組成物を調製し、該香料組成物を用いて飲食品や香粧品に果実の香気、特に、果実が有する独特な瑞々しさや果実感を増強することもできる。該香料組成物のデヒドロローズオキシドと共に含有し得る他の香料成分としては、各種の合成香料、天然香料、天然精油、動植物エキスなどを挙げることができる。
ここで、上記デヒドロローズオキシドを「有効成分として含む」とは、所望の香気を発揮するのに充分な量で含むことを意味する。したがって、本実施形態に係る香料組成物は、本発明の一形態に係るデヒドロローズオキシドのみを含有してもよいが、所望の香気を損なわない限りにおいて、他の香料成分や、溶剤等の他の添加剤などを含んでいてもよい。
上記の合成香料として、例えば、炭化水素化合物としてα−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としてブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの直鎖・飽和アルカノール、プレノール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、2,6−ノナジエノールなどの直鎖・不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としてアセトアルデヒド、ヘキサナール、デカナールなどの直鎖・飽和アルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナールなどの直鎖・不飽和アルデヒド、シトロネラール、シトラールなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピンなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物として2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オンなどの直鎖・飽和および不飽和ケトン、アセトイン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、マルトール、エチルマルトール、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどの直鎖および環状ジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フラン・エーテル化合物としてフルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピランなどの環状エーテル類が挙げられる。
エステル化合物として酢酸エチル、酢酸イソアミルなどの脂肪族アルコールの酢酸エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリルなどのテルペンアルコール酢酸エステル、酪酸エチル、カプロン酸エチルなどの脂肪酸と低級アルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としてγ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物として酪酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としてインドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチルなどが挙げられる。
含硫化合物としてメタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネートなどが挙げられる。
天然精油としてはスイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
天然香料としてはヒヤシンスアブソリュート、ローズアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラアブソリュート、ガルバナムレジノイドなどが挙げられる。
また、各種のエキスとしてハーブ・スパイス抽出物、コーヒー・緑茶・紅茶・ウーロン茶抽出物など、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼ・プロテアーゼなどの酵素分解物などが挙げられる。
加えて、他の香料成分として、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P.7−87、平成12年1月14日発行」に記載されている合成香料、天然精油、天然香料、動植物エキス等を挙げることができる。
なお、上記他の香料成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
また、他の添加剤としては、特に制限されず、公知のものが使用できるが、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリアセチン、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド等の溶剤または香料保留剤を挙げることができる。なお、上記他の添加剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上の組み合わせで用いられてもよい。
また、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、キラヤサポニン、カゼインナトリウムなどの乳化剤を添加してもよい。かような乳化剤を添加することにより、本発明の一形態に係る香料組成物は、乳化香料として使用することができる。
さらにまた、アラビアガムやデキストリンなどの乳化香料を添加してもよい。かような乳化香料を添加した後、さらに乾燥することで、本発明の一形態に係る香料組成物は、粉末香料として使用することができる。
本発明のデヒドロローズオキシドを有効成分として含んでなる香料組成物は、上記のようにそれ自体単独で、またはデヒドロローズオキシドを含んでなる香料組成物を調製して、各種の飲食品に添加することにより、果実の香気、特に、果実が有する独特な瑞々しさや果実感を増強することができる。
本実施形態に係る飲食品としては、特に限定されないが、果実の香気、特に、独特な瑞々しさや果実感が求められる飲食品であることが好ましく、例えば、コーラ飲料、果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料などの炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料、ノンアルコールビールなどのソフト飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒などのアルコール飲料類;バター、チーズ、ミルク、ヨーグルトなどの乳製品;アイスクリーム、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類及びそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディー、ガム、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなどの菓子類及びそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;パン、スープ、各種インスタント食品などの一般食品類、歯磨きなどの口腔用組成物を挙げることができるが何ら限定されるものではない。
本実施形態に係る香粧品としては、特に限定されないが、果実の香気、特に、独特な瑞々しさや果実感が求められる香粧品であることが好ましく、例えば、香水;シャンプー、リンス、整髪料(ヘアクリーム、ポマード等)等のヘアケア製品;ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、美容液、パック剤等の化粧品類;サンタン製品、サンスクリーン製品等の日焼け化粧品類;フェイス用石鹸、ボディ用石鹸、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤等の保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;室内芳香剤、カーコロンなどの芳香製品を挙げることができる。
また、香粧品の形態(剤型)としては、特に限定されない。例えば、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、固形状、多層状等の種々の形態に適用可能である。これらの他にも、シート剤、スプレー剤、ムース剤としても適用できる。
本発明の香料組成物におけるデヒドロローズオキシドの含有量は、混合される他の香料成分により異なり一概にはいえないが、通常、該香料組成物の重量を基準として0.5ppb〜10%(以下本明細書では%は質量%を意味し、他の濃度も質量の割合を示す)、好ましくは5ppb〜1%、より好ましくは10ppb〜0.5%、特に好ましくは50ppb〜0.1%範囲とすることができる。
本発明の各種の製品におけるデヒドロローズオキシドの含有量は、製品の種類や形態に応じて異なり一概にはいえないが、通常、製品の重量を基準として0.05ppt〜10ppm、好ましくは0.5ppt〜1ppm、より好ましくは1ppt〜0.5ppm、特に好ましくは5ppt〜0.1ppmの濃度範囲とすることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例に示すデヒドロローズオキシドは、既知の方法、例えば、特許文献7の方法にしたがって調製を行った。
実施例1:マンゴーフレーバーへのデヒドロローズオキシドの添加
表1に示すマンゴーフレーバー処方に基づき香料組成物を調製した。すなわち、デヒドロローズオキシド希釈液(デヒドロローズオキシドが0.1%となるようにエタノールで希釈:デヒドロローズオキシドが香料組成物中に1ppm)を含有するものを本発明品1、デヒドロローズオキシド希釈液を添加していないものを比較品1とした。それぞれのマンゴーフレーバーについて、よく訓練された5名のパネリストにより、におい紙を用いて香気の評価を行い、各パネリストの平均的な官能評価を表2に示した。
Figure 0006605563
Figure 0006605563
表2の官能評価結果から、デヒドロローズオキシドを添加したマンゴーフレーバーは、デヒドロローズオキシドを添加していないマンゴーフレーバーに比べて、果実の瑞々しさや果実感が格段に優れていることが示された。
実施例2:デヒドロローズオキシドの添加濃度による比較
表1のマンゴーフレーバーについて、表1のデヒドロローズオキシド希釈液に代えて希釈液に対するデヒドロローズオキシドの濃度が0.1ppm(香料組成物中に0.1ppb)、1ppm(香料組成物中に1ppb)、10ppm(香料組成物中に10ppb)、100ppm(香料組成物中に100ppb)、0.1%(香料組成物中に1ppm)、1%(香料組成物中に10ppm)、10%(香料組成物中に100ppm)、100%(無希釈:香料組成物中に0.1%)について比較品1をコントロールとして官能評価を実施した。官能評価は10名のよく訓練されたパネリストにより、以下の評価基準で評価を行った。パネリスト10名の平均的な評点を含む官能評価結果を表3に示す。
(評価基準)
比較品1と比較して、
0:比較品1と変化なし;
1:比較品1と比べやや果実の瑞々しさや果実感を想起させる香気有り;
2:比較品1と比べ果実の瑞々しさや果実感を想起させる香気有り;
3:比較品1と比べ強い果実の瑞々しさや果実感を想起させる香気有り。
Figure 0006605563
デヒドロローズオキシドの香料組成物中の濃度が0.1ppbの場合は、コントロールと大差がないが、香料組成物中に1ppb含有させると、果実の瑞々しさが感じられるようになる。さらに濃度を高くすると、果実の瑞々しさや、果実感が増強することが示された。
実施例3:アップルフレーバーへのデヒドロローズオキシドの添加
表4に示す成分を使用しアップルフレーバーを調製した。すなわち、デヒドロローズオキシド希釈液(デヒドロローズオキシドが1%となるようにエタノールで希釈:デヒドロローズオキシドが香料組成物中に10ppm)を含有するものを本発明品8、デヒドロローズオキシド希釈液を添加していないものを比較品3とした。それぞれのアップルフレーバーについて、よく訓練された5名のパネリストにより、におい紙を用いて香気の評価を行い、各パネリストの平均的な官能評価を表5に示した。
Figure 0006605563
Figure 0006605563
表5の官能評価結果から、デヒドロローズオキシドを添加したアップルフレーバーは、デヒドロローズオキシドを添加していないアップルフレーバーに比べて、果実の瑞々しさや果実感が格段に優れていることが示された。
実施例4:ヒヤシンス様調合香料組成物への添加
表6に示すヒヤシンス様調合香料組成物処方に基づき香料組成物を調製し、これを比較品4とした。
Figure 0006605563
比較品4の99.9gにデヒドロローズオキシド希釈液0.1gを添加(デヒドロローズオキシドが1%となるようにジプロピレングリコールで希釈:デヒドロローズオキシドが香料組成物中に10ppm)したものを本発明品9とした。それぞれのヒヤシンス様調合香料組成物について、よく訓練された5名のパネリストにより、におい紙を用いて香気の評価を行い、各パネリストの平均的な官能評価を以下に示した。
その結果、デヒドロローズオキシドを添加した本発明品9のヒヤシンス様調合香料組成物は、デヒドロローズオキシドを添加していない比較品4のヒヤシンス様調合香料組成物に比べて、ヒヤシンスの花の瑞々しさが格段に優れ、ヒヤシンスの特徴をよりとらえていることが示された。
実施例5:マンゴージュースへの添加
市販のマンゴージュースに対して、デヒドロローズオキシドが表7の濃度となるように添加をした。無添加のマンゴージュース(比較品5とする)をコントロール品として10名のよく訓練されたパネリストにより官能評価を行った。官能評価の評価基準は実施例2と同様の評価を行った。パネリスト10名の平均的な評点を含む官能評価結果を表5に示す。
Figure 0006605563
デヒドロローズオキシドをマンゴージュースに0.01pptの濃度となるように添加した場合は、コントロールと大差がないが、マンゴージュース中に0.1ppt含有させると、果実の瑞々しさが感じられるようになる。さらに濃度を高くすると、果実の瑞々しさや、果実感が増強することが示された。また、50ppm含有させると、果実の瑞々しさがむしろ失われるようになっていた。
実施例6:ガムへの添加
表8に示す配合割合にて、実施例1で調製したマンゴーフレーバーの比較品1および本発明品1を使用して、常法によりマスカット果実風味ガム比較品8および本発明品16を調製した。
Figure 0006605563
それぞれのガムについて、よく訓練された5名のパネリストによる比較を行った結果、パネリスト5名全員が、本発明品16のマンゴー果実風味ガムは比較品8と比べて、マンゴーの果実の瑞々しさや、果実感が増強され、マンゴー果実風味ガムの風味が大幅に改善されると評価した。
実施例7:アップルジュースへの添加
実施例3で調製したアップルフレーバー比較品3、本発明品8とりんご濃縮果汁から表9に示した処方でアップルジュース比較品9、本発明品17を調製した。
Figure 0006605563
それぞれのアップルジュースについて、よく訓練された5名のパネリストによる比較を行った結果、パネリスト5名全員が、本発明品17のアップルジュースは比較品9に比べて、アップル果実の瑞々しさや果実感が増強され、アップルジュースの風味が大幅に改善されると評価した。
実施例8:シャンプーへの添加
市販のシャンプーに99.9gに実施例4の表6に示すヒヤシンス様調合香料組成物0.1gを配合したものを比較品10とした。また、比較品10のヒヤシンス様調合香料組成物0.1gに変えて、デヒドロローズオキシドを添加した本発明品9のヒヤシンス様調合香料組成物0.1g配合したシャンプーを調製したものを本発明品18とした。比較品および本発明品18をよく訓練された5名のパネリストによる比較を行った。
その結果、パネリスト5名すべてが、本発明品18のほうが、ヒヤシンスの瑞々しい香りが強調され、香質ならびに強度も優れているとの評価が得られた。

Claims (2)

  1. 2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランからなる果実が有する独特な瑞々しさや果実感の付与乃至増強剤であって、2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを飲食品の質量を基準として、0.05ppt〜10ppmの濃度範囲で添加させる、果実が有する独特な瑞々しさや果実感の付与乃至増強剤。
  2. 2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを飲食品の重量を基準として、0.05ppt〜10ppmの濃度範囲で添加する、飲食品に果実が有する独特な瑞々しさや果実感を付与乃至増強する方法。
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