JP6282369B1 - 香味改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】様々な香気の香料組成物に添加することで従来にない天然感やフレッシュ感を増強できる、新規な香味改善剤を提供すること。【解決手段】種々の香料組成物に添加することで従来にない天然感やフレッシュ感を増強できる、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを有効成分とする香味改善剤、該香味改善剤を含有する香料組成物、および該香味改善剤または香料組成物を含有することで従来にない天然感やフレッシュ感が増強された飲食品、香粧品などの消費財を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は香味改善剤に関し、更に詳しくは、ごく微量配合することで様々な香気特性および/または香味特性を改善可能な、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを有効成分とする香味改善剤に関する。
近年、飲食品、香粧品、医薬品、保健衛生品など様々な物品に対する消費者の要求は、製品の香気にも及んでいる。消費者の天然志向の高まりから、天然感やフレッシュ感に富む香気が求められているが、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にない天然感やフレッシュ感を付与可能で、かつ、汎用性のある香料化合物の開発が緊急の課題となっている。
いくつかのチオール類が、香料素材として有用であることが知られている。例えば、非特許文献1には、1−プロパンチオール(プロピルメルカプタン)は、希釈するとオニオンないしキャベツ香となり、オニオンなどのフレーバーとして使用され、2−プロペン−1−チオール(アリルメルカプタン)は、強いガーリック、オニオン様の拡散性ある匂いがあり、スープ、肉製品、スパイス系のフレーバーとして使用されると記載されている。特許文献1には、分岐鎖状アルカンチオール類がロース肉香味を与えるための香料として有用であると記載されている。非特許文献2には、3−メチル−2−ブテン−1−チオールが焙煎コーヒー豆の香気に寄与していると記載され、特許文献2には3−メチル−2−ブテン−1−チオール、3−メチル−1−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオールがビールの香気成分として使用可能なことが記載されている。非特許文献3および非特許文献4には、1−プロペン−1−チオールがポークやオニオンの揮発性成分として同定されていることが記載されている。
しかしながら、飲食品などの香料素材として使用されている上記した従来のチオール類は、香気や香味の質および強度の点で単調であるか、天然感およびフレッシュ感などの点で十分とはいえず、多様化している賦香製品に、天然感、フレッシュ感、またはその他優れた香味を賦与する要望に十分対応できていなかった。
一方で、本発明の有効成分である2−メチル−3−ブテン−2−チオールは、その香気特性について一切知られておらず、香料化合物としての用途も全く報告のない化合物である。
印藤元一著、合成香料 化学と商品知識(増補改訂版)、化学工業日報社発行、2005年3月22日、第740〜741頁
J.Agric.Food Chem., 1992年, Vol.40, pp.655−658
J.Sci.Food Agric.,2001年, Vol.81, pp.1547−1552
J.Agric.Food Chem., 1992年, Vol.40, pp.111−117
本発明の課題は、天然感およびフレッシュ感にあふれる香りを再現でき、優れた香気および/または香味特性を実現でき、かつ汎用性の高い香味改善剤を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、意外なことに、これまでその香気特性について全く知られていなかった2−メチル−3−ブテン−2−チオールを香料組成物や各種消費財にごく微量配合することで、従来にない天然感やフレッシュ感などが再現され、香気および香味特性を改善できることを見出した。
かくして、本発明は以下のものを提供する。
[1] 下記式(1)で表される2−メチル−3−ブテン−2−チオールを有効成分とする香味改善剤。
[1] 下記式(1)で表される2−メチル−3−ブテン−2−チオールを有効成分とする香味改善剤。
[2] [1]に記載の香味改善剤を含有することを特徴とする、香料組成物。
[3] [1]に記載の香味改善剤を2−メチル−3−ブテン−2−チオールとして0.1ppt〜103ppm含有することを特徴とする、[2]に記載の香料組成物。
[4] [1]に記載の香味改善剤または[2]に記載の香料組成物を2−メチル−3−ブテン−2−チオールとして0.001ppt〜10ppm含有することを特徴とする、消費財。
[5] 下記工程1および工程2を含む、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの製造方法。
[3] [1]に記載の香味改善剤を2−メチル−3−ブテン−2−チオールとして0.1ppt〜103ppm含有することを特徴とする、[2]に記載の香料組成物。
[4] [1]に記載の香味改善剤または[2]に記載の香料組成物を2−メチル−3−ブテン−2−チオールとして0.001ppt〜10ppm含有することを特徴とする、消費財。
[5] 下記工程1および工程2を含む、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの製造方法。
(工程1)下記式(2)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オールを塩基と反応させてアルコキシドを生成させ、該アルコキシドと二硫化炭素およびアルキル化剤とを反応させて式(5)で表されるキサントゲン酸エステルを生成させ、転位反応によって式(6)で表されるジチオカーボネートを得る
(工程2)
下記式(6)で表されるジチオカーボネートとアミン化合物とを反応させて、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを得る
または、
下記式(6)で表されるジチオカーボネートと還元剤とを反応させて、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを得る
これまで、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの化合物の香気特性については何も知られていなかったが、この化合物が非常に幅広い香調において香味改善効果を奏するという、全く予想し得なかった驚くべき効果が本発明者らによって見出された。このような効果は、従来知られているチオール類においては見出されなかったものである。従って、本発明によって、従来にない天然感およびフレッシュ感が再現でき、優れた香気および/または香味特性を実現でき、かつ汎用性の高い、新規な香味改善剤を提供することができる。本発明の香味改善剤は、香料組成物、飲食品、香粧品、保健衛生品、医薬品などの消費財やその他物品の香味および/または香気を改善して嗜好性を高め得る香料組成物の調合素材として有用である。
本発明の実施の態様について更に詳しく説明する。
[香味改善剤]
本発明の香味改善剤は、下記式(1)によって表される2−メチル−3−ブテン−2−チオール(2−methyl−3−butene−2−thiol、CAS番号:124831−34−1)を有効成分として含有することを特徴とする。この化合物自体は、肉様の香気を有する。
[香味改善剤]
本発明の香味改善剤は、下記式(1)によって表される2−メチル−3−ブテン−2−チオール(2−methyl−3−butene−2−thiol、CAS番号:124831−34−1)を有効成分として含有することを特徴とする。この化合物自体は、肉様の香気を有する。
[2−メチル−3−ブテン−2−チオールの製造方法]
本発明者らは、本発明の有効成分である2−メチル−3−ブテン−2−チオールの製造方法を検討し、以下の反応経路に従った合成法によって当該化合物が得られることを見出した。なお、以下に記載する合成法は、2−メチル−3−ブテン−2−チオールが得られる範囲で、当業者が適宜改変し得るものである。
本発明者らは、本発明の有効成分である2−メチル−3−ブテン−2−チオールの製造方法を検討し、以下の反応経路に従った合成法によって当該化合物が得られることを見出した。なお、以下に記載する合成法は、2−メチル−3−ブテン−2−チオールが得られる範囲で、当業者が適宜改変し得るものである。
(工程1)不飽和アルコールからジチオカーボネートの合成
3−メチル−2−ブテン−1−オールを出発物質として、当該アルコールを有機溶媒中で塩基と反応させてアルコキシドに変換し、この反応系に二硫化炭素およびアルキル化剤を添加してアルコキシドをS−アルキル化してキサントゲン酸エステルを得て、このキサントゲン酸エステルの転位反応を引き起こしてジチオカーボネートを得ることができる。この一連の反応を以下に示す。
3−メチル−2−ブテン−1−オールを出発物質として、当該アルコールを有機溶媒中で塩基と反応させてアルコキシドに変換し、この反応系に二硫化炭素およびアルキル化剤を添加してアルコキシドをS−アルキル化してキサントゲン酸エステルを得て、このキサントゲン酸エステルの転位反応を引き起こしてジチオカーボネートを得ることができる。この一連の反応を以下に示す。
この反応に用いる試薬および反応条件は、式(6)のジチオカーボネートが得られる範囲で、任意に調整してよい。以下、具体例を挙げる。
上記反応式において、式(3)および式(4)中、Mは1価の金属イオンを表し、好ましい例として、リチウム、ナトリウム、およびカリウムが挙げられる。式(5)および(6)中、Rは、炭素数1〜7の炭化水素基を表し、好ましい例として炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、より好ましい例としてメチル基が挙げられる。
式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オールの入手方法は限定されず、例えば、市販のものを用いることができる。
式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オールから式(3)のアルコキシドを得る反応に採用する試薬および反応条件は特に限定されず、当該技術分野で公知のものを採用できるが、一般的には、有機溶媒中で、アルコールと塩基(例えば、アルカリ金属または強塩基)とを反応させると、アルコキシドを得ることができる。アルカリ金属は特に限定されないが、好ましい例としてリチウム、ナトリウム、およびカリウムが挙げられる。また、強塩基の例として、水素化ナトリウム(NaH)、水素化カリウム(KH)、アルキルリチウム(メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムなど)などを挙げることができる。この反応に使用するアルカリ金属または強塩基の使用量は、式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オール1モルあたり、通常0.5〜7.0当量、好ましくは1.0〜3.0当量の範囲内とすることができる。なお、本明細書において、記号「〜」を伴う数値範囲は全て、その下限値および上限値を含むものとする。
このアルコキシド化反応の温度条件については、使用する各種試薬に依存するが、通常5℃〜50℃の範囲内でよく、好ましくは15℃〜35℃の範囲内である。反応時間については、通常、数十分〜数時間内で反応が終了する。反応の進行をガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなどでモニタリングしながら反応時間を決定してよい。
式(3)のアルコキシドに二硫化炭素(CS2)を導入する反応については、二硫化炭素の使用量は、式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オール1モルあたり、通常2.0〜10.0当量、好ましくは4.0〜7.0当量の範囲内とすることができる。また、この二硫化炭素導入反応においては、さらに任意の求核剤を併用してもよく、好ましい例としてN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAPとも略称される)が挙げられる。この反応の温度条件については、使用する溶媒などに依存するが、通常10℃〜80℃の範囲内でよく、好ましくは20℃〜60℃の範囲内である。反応時間については、通常、数十分〜数時間内で反応が終了する。反応の進行をガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなどでモニタリングしながら反応時間を決定してよい。
アルキル化剤は特に限定されないが、例えば、当該技術分野でよく使用されるアルキル化剤として、塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキルなどのハロゲン化アルキル、より具体的にはヨードメタン(CH3I)が例示でき、ほかにも、硫酸ジアルキル、炭酸ジアルキル、より具体的には硫酸ジメチル、炭酸ジメチルが例示できる。その使用量は、式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オール1モルあたり、通常2.0〜10.0当量、好ましくは4.0〜7.0当量の範囲内とすることができる。この反応の温度条件については、使用する溶媒などに依存するが、通常10℃〜80℃の範囲内でよく、好ましくは20℃〜60℃の範囲内である。反応時間については、通常、数十分〜数時間内で反応が終了する。反応の進行をガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなどでモニタリングしながら反応時間を決定してよい。
以上の反応に用いることのできる溶媒としては、上記した反応に用いる各種試薬および反応基質である式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オールを溶解する溶媒であれば、特に制限されない。当該技術分野で公知のものを用いることができ、好ましい例として、非プロトン性有機溶媒が挙げられ、より具体的には、メチルt-ブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。その使用量は、式(2)の3−メチル−2−ブテン−1−オールの重量に対して、通常2〜100倍量、好ましくは10〜50倍量の範囲内でよい。
得られた式(5)のキサントゲン酸エステルにおける転位反応によって、式(6)のジチオカーボネートが得られる。この転位反応は、一般的には加熱することで促進される。反応温度は限定されないが、20℃〜150℃の範囲内を例示できる。
工程1の反応の終結には、上記反応系に酸を添加する。このとき用いる酸は限定されないが、好ましい例として酢酸、プロピオン酸、ピバル酸を挙げることができる。得られた式(6)のジチオカーボネートは、適宜任意の方法によって乾燥、濃縮、蒸留またはカラムクロマトグラフィなどによって精製してよく、例えば、乾燥は無水硫酸マグネシウムなどの無水和物やシリカゲルを用いて、減圧濃縮および減圧蒸留によって精製することができる。
(工程2)ジチオカーボネートから2−メチル−3−ブテン−2−チオールの合成
工程1で得られた式(6)のジチオカーボネートをアミン化合物と反応させることによって、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを得ることができる。その反応式を以下に示す。
工程1で得られた式(6)のジチオカーボネートをアミン化合物と反応させることによって、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを得ることができる。その反応式を以下に示す。
この反応に用いる試薬および反応条件は、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールが得られる範囲で、任意に調整してよい。以下、具体例を挙げる。
この反応に用いるアミン化合物は、第一級、第二級、第三級アミンのいずれでもよく、好ましくは、第一級または第二級アミンであり、アルキルアミン、アルカノールアミン、アルキルジアミン、脂環式アミンなどの脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環アミンなどが例示でき、より具体的には、モノエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、シクロヘキシルアミンなどが例示できる。その使用量は、式(6)のジチオカーボネート1モルあたり、通常0.2〜5.0当量、好ましくは1.0〜3.0当量の範囲内とすることができる。使用する反応溶媒は、反応基質である式(6)のジチオカーボネートおよびアミン化合物を溶解する溶媒であれば特に制限されない。当該技術分野で公知の溶媒を用いることができ、好ましい例として非プロトン系溶媒を挙げることができ、具体例として、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒が挙げられる。また、このアミンを用いる反応においては、重合禁止剤を反応系内に添加しておくことが好ましい。好ましい重合禁止剤として、ジブチルヒドロキシトルエン(BHTとも略称する)が挙げられる。溶媒量については、式(6)のジチオカーボネートの重量に対して、通常0〜50倍量、好ましくは0〜5倍量の範囲内でよい。すなわち、溶媒は使用しなくても目的とする反応生成物が得られる。この反応の温度条件については、使用する溶媒などに依存するが、通常5℃〜40℃の範囲内でよく、好ましくは15℃〜30℃の範囲内である。反応時間については、通常、数十分〜数時間内で反応が終了する。反応の進行をガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなどでモニタリングしながら反応時間を決定してよい。
得られた式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールは、必要に応じてカラムクロマトグラフィ、減圧蒸留等の手段を用いて精製してもよい。
または、別法として、式(6)のジチオカーボネートと還元剤とを反応させて、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを得ることもできる。
この還元反応に用いる試薬および反応条件は、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールが得られる範囲で、任意に調整してよい。以下、具体例を挙げる。
この反応に用いる還元剤は、ジチオカーボネートを還元できるものであれば特に限定されない。好ましい例として、ヒドリド還元剤が挙げられる。ヒドリド還元剤の例としては、水素化アルミニウムリチウム(LAHとも略称される)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBALとも略称される)、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Red−Al(登録商標))などが挙げられ、これらのうち、特に好ましい例としてLAHおよびDIBALが挙げられる。還元剤の使用量は、式(6)のジチオカーボネート1モルあたり0.5〜10.0当量、好ましくは1.0〜5.0当量の範囲内とすることができる。使用する溶媒は使用する還元剤に応じて選ぶことができ、例えば、アセトニトリル、ジエチルエーテル、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、塩化メチレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジンなどを単独または任意の割合で使用する方法を示すことができる。これらのうち、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびトルエンが好ましく、その使用量としては、式(6)のジチオカーボネートの重量に対して、10〜100質量部が好ましく、50〜80質量部がより好ましい。この反応の温度条件については、使用する還元剤や溶媒などに依存するが、ヒドリド還元剤による還元であれば、通常−10℃〜10℃の範囲内でよく、好ましくは−5℃〜5℃の範囲内で、氷冷などによって冷却しながら式(6)のジチオカーボネートと還元剤とを反応させる。反応時間については、通常、数時間内で反応が終了する。反応の進行をガスクロマトグラフィーや薄層クロマトグラフィーなどでモニタリングしながら反応時間を決定してよい。
また、ヒドリド還元剤を用いる場合、この還元剤は高い反応性を有するため、還元反応後にはヒドリド還元剤の分解処理を行うことが好ましい。分解処理方法は当該技術分野で種々の方法が知られており、そのいずれも採用できるが、例えば、還元反応を行った系内に、ロッシェル塩(酒石酸カリウムナトリウム)飽和水溶液を添加する、または水酸化ナトリウム水溶液および水を添加するなどしたあと、濾過や分液操作などを行って式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを得てよい。
得られた式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールは、さらに必要に応じてカラムクロマトグラフィ、減圧蒸留等の手段を用いて精製してもよい。
[香料組成物]
本発明の香料化合物は、本発明の香味改善剤を2−メチル−3−ブテン−2−チオールとして所定量含むものである(以下、本発明の香料組成物とも称する)。本発明の香料組成物の種類は特に限定されず、水溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。
本発明の香料化合物は、本発明の香味改善剤を2−メチル−3−ブテン−2−チオールとして所定量含むものである(以下、本発明の香料組成物とも称する)。本発明の香料組成物の種類は特に限定されず、水溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。
本発明の香料組成物中の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度は、香料組成物の配合対象に応じて任意に決定できる。当該濃度の例として、香料組成物の全体質量に対して、0.1ppt〜103ppm(本明細書において、「〜」はすべて、下限値および上限値を含む範囲を意味する)の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を、0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、300ppt、500ppt、700ppt、1ppb、5ppb、10ppb、20ppb、50ppb、100ppb、200ppb、300ppb、500ppb、700ppb、1ppm、10ppm、50ppm、100ppm、500ppmのいずれかとし、上限値を、1000ppm、500ppm、100ppm、50ppm、10ppm、1ppm、700ppb、500ppb、300ppb、200ppb、100ppb、50ppb、20ppb、10ppb、1ppb、700ppt、500ppt、300ppt、100ppt、10ppt、1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。また、好ましい濃度範囲の例として、1ppt〜100ppm、100ppt〜10ppm、および1ppb〜500ppbを挙げることができるが、これらに限定されない。なお、香料組成物の処方や香調にも依存するが、香料組成物中の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度が0.1ppt未満の場合は香味改善効果が低くなり得、また、104ppmを超える場合は配合対象の香料組成物の香気および/または香味特性に好ましくない変質を与え得る。
また、本発明の香料化合物は、有効成分である2−メチル−3−ブテン−2−チオールに加えて、さらに他の任意の化合物または成分を含有し得る。
そのような化合物または成分の例として、各種の合成香料化合物、天然香料化合物、天然精油、柑橘油、動植物エキスなどを挙げることができ、例えば、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。
合成香料化合物の例として、炭化水素化合物としては、α−ピネン、β−ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、プレノール、ヘキサノールなどの直鎖・飽和アルカノール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、3−オクタノール、2,6−ノナジエノールなどの直鎖・不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナール、ヒドロキシシトロネラールなどの直鎖・飽和アルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナールなどの直鎖・不飽和アルデヒド、シトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p−トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オン、アセトインなどの直鎖・飽和および不飽和ケトン、ジアセチル、2,3−ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどの直鎖および環状ジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8−シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2−メチル酪酸エチル、3−メチル酪酸エチル、イソ酪酸2−メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、カプロン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルぺニルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3−メチル−2−フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、オクタン酸、イソバレル酸、カプロン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3−メチル−2−ブテン−1−チオール、3−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、およびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼおよび/またはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
また、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを有効成分とする香料組成物にグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、キラヤサポニン、カゼインナトリウムなどの乳化剤を用いた乳化香料とすること、または、アラビアガムやデキストリンを添加し乾燥させた粉末香料とすることができる。
本発明の香料組成物はさらに、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている成分を含有していてもよい。例えば、水、エタノール等の溶剤や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド等の香料保留剤を含有することができる。
[本発明の用途例]
本発明の香味改善剤および香料組成物は、香味および/または香気を有する物品に所定量配合して使用することができる。配合対象となる物品の例としては、香料組成物、および、飲食品、香粧品、保健衛生品などの消費財が挙げられる。配合によって、香味および/または香気を有する各種物品に対して天然感およびフレッシュ感を増強などして、その香気または香味を改善することができる。
本発明の香味改善剤および香料組成物は、香味および/または香気を有する物品に所定量配合して使用することができる。配合対象となる物品の例としては、香料組成物、および、飲食品、香粧品、保健衛生品などの消費財が挙げられる。配合によって、香味および/または香気を有する各種物品に対して天然感およびフレッシュ感を増強などして、その香気または香味を改善することができる。
本発明の香味改善剤または香料組成物は、単独で消費財などの物品に配合してもよいし、1種または2種以上の水溶性香料、乳化香料組成物、任意の香料化合物、天然精油(例えば、前掲の「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品香料」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」、および「合成香料 化学と商品知識」に記載される香料化合物)、から選択される1種以上と併せて配合してもよい。
本発明の香味改善剤または香料組成物を配合可能な飲食品の例としては、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、みかん、カボス、スダチ、ハッサク、イヨカン、ユズ、シークワーサー、金柑などの各種柑橘風味;ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、アップル、チェリー、プラム、アプリコット、ピーチ、パイナップル、バナナ、メロン、マンゴー、パパイヤ、キウイ、ペアー、グレープ、マスカット、巨峰などの各種フルーツ風味;ミルク、ヨーグルト、バターなどの乳風味;バニラ風味;緑茶、紅茶、ウーロン茶などの各種茶風味;コーヒー風味;ココア風味;スペアミント、ペパーミントなどのミント風味;シナモン、カモミール、カルダモン、キャラウェイ、クミン、クローブ、コショウ、コリアンダー、サンショウ、シソ、ショウガ、スターアニス、タイム、トウガラシ、ナツメグ、バジル、マジョラム、ローズマリー、ローレル、ワサビなどの各種スパイスまたはハーブ風味;アーモンド、カシューナッツ、クルミなどの各種ナッツ風味;ビーフ、ポーク、チキンなどの各種ミート風味;サケ、イワシ、アサリ、シジミ、ホタテ、エビ、カニ、コンブ、ワカメ、ノリなどの各種海産物風味;ワイン、ブランデー、ウィスキー、ラム、ジン、リキュール、日本酒、焼酎、ビールなどの各種酒類風味;などの風味を有する飲食品が挙げられ、より具体的には、コーラ飲料、果汁入炭酸飲料、乳類入炭酸飲料、ビールテイスト飲料などの炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などの食系飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)などのアルコール飲料類;アイスクリーム、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類およびそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなどの菓子類およびそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;パン、スープ、各種インスタント食品などの一般食品類;ドレッシング、たれ、ポン酢、スプレッドなどの調味料類;ジャムなどの果実加工品;などを挙げることができる。
また、本発明の香味改善剤または香料組成物を配合可能な香粧品および保健衛生品の例としては、ベルガモット調、ゼラニウム調、ローズ調、ブーケ調、ヒヤシンス調、ライラック調、ラン調、フローラル調などの香調の香粧品および保健衛生品が挙げられ、より具体的には、香水;シャンプー、リンス、ヘアクリーム、ポマードなどのヘアケア製品;オシロイ、口紅などの化粧品類;フェイス用石鹸、ボディ用石鹸、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤などの保健衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健衛生材料類;室内芳香剤、カーコロンなどの芳香製品;を挙げることができる。
本発明において、消費財などの各種物品中の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度は、その使用目的または物品の種類に応じて任意に決定できる。例えば、当該濃度の例として、物品の全体質量に対して、0.001ppt〜10ppmの範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を、0.001ppt、0.01ppt、0.05ppt、0.1ppt、0.5ppt、1ppt、5ppt、10ppt、50ppt、100ppt、300ppt、500ppt、700ppt、1ppb、10ppb、100ppb、300ppb、500ppb、700ppb、1ppmのいずれか、上限値を、10ppm、1ppm、700ppb、500ppb、300ppb、100ppb、10ppb、1ppb、700ppt、500ppt、300ppt、100ppt、50ppt、10ppt、5ppt、1ppt、0.1ppt、0.01pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、飲食品であれば、飲食品の全体質量に対して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度の濃度として0.01ppt〜100ppb、0.1ppt〜10ppb、および1ppt〜1ppbの範囲内を例示することができ、香粧品であれば、香粧品の全体質量に対して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度の濃度として1ppt〜10ppm、5ppt〜1ppm、および100ppt〜50ppbの範囲内を例示することができるが、これらに限定されない。なお、消費財の種類や香調にも依存するが、消費財中の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度が0.001ppt未満の場合は香味改善効果が低くなり得、また、10ppmを超える場合は配合対象の消費財の香気および/または香味特性に好ましくない変質を与え得る。
なお、本発明において、天然感およびフレッシュ感とは、各種風味に寄与する香気を有する天然原料の果実、葉などそのものを想起させる、またはそれらの加工直後(摘みたて、切りたて、挽きたて、削りたて、など)に感じられる香気を想起させることをいい、コク味とは、口中全体から喉の奥にかけて深い味わいが持続し、かつ、味の骨格がしっかりしていてまろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚をいう。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例2〜7に記載する濃度は、特に断りのない限り全て質量濃度である。
[実施例1]2−メチル−3−ブテン−2−チオールの合成
2−メチル−3−ブテン−2−チオールを以下の手順によって合成した。
2−メチル−3−ブテン−2−チオールを以下の手順によって合成した。
(工程1)3−メチル−2−ブテン−1−オールから2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネートの合成
1Lの4口フラスコに水素化ナトリウム(NaH)鉱油混合物24.3g(NaH含有率60%、607mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAPとも略称する)0.61g、およびテトラヒドロフラン(以下、THFとも略称する)200mLを仕込み、撹拌した。この系内に、3−メチル−2−ブテン−1−オール17.9g(208mmol)をTHF500mlで溶解して得た溶液を、20分かけて滴下した。3時間撹拌した後に、二硫化炭素(CS2)79g(1040mmol)を30分かけて滴下した。滴下後30分撹拌した後に、ヨードメタン(MeI)142.5g(1005mmol)を滴下し、さらに30分撹拌した。
1Lの4口フラスコに水素化ナトリウム(NaH)鉱油混合物24.3g(NaH含有率60%、607mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAPとも略称する)0.61g、およびテトラヒドロフラン(以下、THFとも略称する)200mLを仕込み、撹拌した。この系内に、3−メチル−2−ブテン−1−オール17.9g(208mmol)をTHF500mlで溶解して得た溶液を、20分かけて滴下した。3時間撹拌した後に、二硫化炭素(CS2)79g(1040mmol)を30分かけて滴下した。滴下後30分撹拌した後に、ヨードメタン(MeI)142.5g(1005mmol)を滴下し、さらに30分撹拌した。
次いで、この系内に酢酸65.5g(1009mmol)を加えて反応を完結させた後、水を1000mL加え、有機層を分離して、水層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を上記有機層とあわせて、H2Oで2回洗浄、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧濾過後に得られた濾液を減圧濃縮することで得られた残渣(34g)を減圧蒸留にて精製することで、下記式(6)で表される2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネート23.4g(収率64%)を得た。以上の反応を下記の反応式に示す。
次いで、工程2として、式(6)の2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネートから式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを合成したが、以下に示す2種類の工程のいずれでも、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールを合成することができた。それぞれ、工程2A、工程2Bとして記載する。
(工程2A)2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネートから2−メチル−3−ブテン−2−チオールの合成
50mlのナスフラスコに、工程1で得られた式(6)の2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネート3.0g(17mmol)、下記式(7)で表されるエタノールアミン2.08g(34mmol)、および重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTとも称する)30mgを仕込み、室温にて30分撹拌した。反応系は2層系となっており、上層を気−液分配クロマトグラフィー(以下GLCと略称する)にてサンプリングし原料の消失を確認した。分液操作後に上層を常圧蒸留して、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオール(350mg、収率20%)を得た。この工程2Aの反応を下記の反応式に示す。
50mlのナスフラスコに、工程1で得られた式(6)の2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネート3.0g(17mmol)、下記式(7)で表されるエタノールアミン2.08g(34mmol)、および重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTとも称する)30mgを仕込み、室温にて30分撹拌した。反応系は2層系となっており、上層を気−液分配クロマトグラフィー(以下GLCと略称する)にてサンプリングし原料の消失を確認した。分液操作後に上層を常圧蒸留して、式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオール(350mg、収率20%)を得た。この工程2Aの反応を下記の反応式に示す。
(工程2B)2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネートから2−メチル−3−ブテン−2−チオールの合成
500mLのナスフラスコに水素化アルミニウムリチウム(LAH)5.39g(142mmol)およびジエチルエーテル50mLを仕込み、氷浴を用いて冷却撹拌した。この系内に、式(6)の2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネート25g(142mmol)をジエチルエーテル50mLに溶解して得た溶液を注意深く滴下し、滴下終了後、同温度にて2.0時間撹拌した。GLCにて原料の消失を確認後に、この系内に20%(w/w)ロッシェル塩水溶液200mLを滴下した。滴下終了後、室温にて終夜撹拌した。分液操作後に水層をジエチルエーテル抽出し、先の有機層と混合した。その有機層に20%(w/w)水酸化カリウム水溶液120mLを加えて、室温にて1.0時間撹拌した。分液操作を行い、水層に20%(w/w)クエン酸水溶液200mLを加えて系内を酸性とした後、分液操作を行い式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの粗精製物8.5gを得た。この粗精製物に重合禁止剤としてBHT850mgを加えた後に、常圧蒸留精製することで式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオール(4.9g、収率34%)を得た。この工程2Bの反応を下記の反応式に示す。
500mLのナスフラスコに水素化アルミニウムリチウム(LAH)5.39g(142mmol)およびジエチルエーテル50mLを仕込み、氷浴を用いて冷却撹拌した。この系内に、式(6)の2−メチル−3−ブテン−2−イル メチル ジチオカーボネート25g(142mmol)をジエチルエーテル50mLに溶解して得た溶液を注意深く滴下し、滴下終了後、同温度にて2.0時間撹拌した。GLCにて原料の消失を確認後に、この系内に20%(w/w)ロッシェル塩水溶液200mLを滴下した。滴下終了後、室温にて終夜撹拌した。分液操作後に水層をジエチルエーテル抽出し、先の有機層と混合した。その有機層に20%(w/w)水酸化カリウム水溶液120mLを加えて、室温にて1.0時間撹拌した。分液操作を行い、水層に20%(w/w)クエン酸水溶液200mLを加えて系内を酸性とした後、分液操作を行い式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの粗精製物8.5gを得た。この粗精製物に重合禁止剤としてBHT850mgを加えた後に、常圧蒸留精製することで式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオール(4.9g、収率34%)を得た。この工程2Bの反応を下記の反応式に示す。
以上の工程で得られた式(1)の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの物性は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ1.50(6H,s),1.90(1H,s),4.88(1H,d,J=10.8Hz),5.07(1H,d,J=17.2Hz),6.07(1H,dd,J=10.8,17.2Hz)
13C−NMR(CDCl3,100MHz):δ31.46(2C),44.54,109.61,147.32
MS(m/z):15(2),27(21),41(100),45(10),53(19),59(11),69(68),75(2),81(1),87(3),102(M+,5)
得られた2−メチル−3−ブテン−2−チオールは、肉様の香気を有していた。
1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ1.50(6H,s),1.90(1H,s),4.88(1H,d,J=10.8Hz),5.07(1H,d,J=17.2Hz),6.07(1H,dd,J=10.8,17.2Hz)
13C−NMR(CDCl3,100MHz):δ31.46(2C),44.54,109.61,147.32
MS(m/z):15(2),27(21),41(100),45(10),53(19),59(11),69(68),75(2),81(1),87(3),102(M+,5)
得られた2−メチル−3−ブテン−2−チオールは、肉様の香気を有していた。
[実施例2] ライム様調合香料組成物中の2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度と香気評価
下記表1に記載の一般的な処方に従って、ライム様の基本調合香料組成物を調製した。
下記表1に記載の一般的な処方に従って、ライム様の基本調合香料組成物を調製した。
この基本調合香料組成物に対して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを、濃度(質量濃度)が0.01ppt(比較品1)、0.1ppt(本発明品1)、1ppt(本発明品2)、0.1ppb(本発明品3)、102ppm(本発明品4)、103ppm(本発明品5)、104ppm(比較品2)となるように添加して香料組成物を調製し、それぞれ、本発明品1〜5、ならびに比較品1および2とした。次いで、それぞれの香料組成物について、よく訓練されたパネラー5名による香気評価を行った。香気評価は、30mLサンプル瓶に、調製した各香料組成物の0.1%エタノール溶液を用意し、瓶口の香気、および匂い紙に含浸した当該溶液の香気について行い、上記基本調合香料組成物を対照品として、対照品と比べた香気についてコメントを行った。その結果として、パネラー5名の平均的な評価コメントを、下記表2に示す。
[実施例3] 各種柑橘精油に対する2−メチル−3−ブテン−2−チオールの配合効果
レモン精油、オレンジ精油、グレープフルーツ精油、およびユズ精油のそれぞれ100gに対し、本発明の香味改善剤の有効成分である2−メチル−3−ブテン−2−チオールを0.1μg添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを1ppb含有する新規な香料組成物を調製した。レモン精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品6、オレンジ精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品7、グレープフルーツ精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品8、ユズ精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品9とした。
レモン精油、オレンジ精油、グレープフルーツ精油、およびユズ精油のそれぞれ100gに対し、本発明の香味改善剤の有効成分である2−メチル−3−ブテン−2−チオールを0.1μg添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを1ppb含有する新規な香料組成物を調製した。レモン精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品6、オレンジ精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品7、グレープフルーツ精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品8、ユズ精油に2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加して得た香料組成物を本発明品9とした。
次いで、香料化合物を添加していない各種精油(対照品)と比べた本発明品6〜9の香気について、よく訓練されたパネラー10名による香気評価を行った。具体的には、実施例1と同様にして、それぞれの精油または香料組成物の0.1質量%エタノール溶液を匂い紙に含浸させて香気の官能評価を行った。その結果、パネラー10名の全員が、本発明品6〜9はいずれも、対照品と比べて柑橘特有のピール感が増強され、新鮮な果実からただよう香りを思わせるフレッシュな天然感に富み、香気の持続性も向上したと評価した。
[実施例4]コーヒー飲料への2−メチル−3−ブテン−2−チオールの配合効果
L値21の焙煎コーヒー豆1kgをコーヒーミルにて粉砕し、ペーパーフィルターを用いて熱水10kgで抽出し、コーヒー抽出液7000g(Bx4.8°)を得た。これとは別に、砂糖850g、シュガーエステルP−1570(三菱化学フーズ株式会社製)7.5gおよび水6000gを混合し、加熱溶解した。これに、先に得られたコーヒー抽出液および牛乳2100gを加え、さらに水を加えて全量を40kgとし、10%炭酸水素ナトリウム水溶液にてpHを6.7に調整して、コーヒー調整物を得た。一方で、2−メチル−3−ブテン−2−チオール、または焙煎コーヒー豆の香気に寄与するとされている3−メチル−2−ブテン−1−チオール(上記非特許文献2を参照)を、それぞれ1000gの95%エタノールに1mg添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールまたは3−メチル−2−ブテン−1−チオールを1ppm含有するエタノール溶液を2種類調製した。次いで、各エタノール溶液1mgを前記コーヒー調製物100gに添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを10pptの濃度で含有する賦香品および3−メチル−2−ブテン−1−チオールを10pptの濃度で含有する賦香品を得た。これらの賦香品を、それぞれ200ml缶に190gずつ充填し、ヘッドスペースを窒素置換した後密封し、121℃で20分間加熱殺菌を行い、新規な缶コーヒー飲料を得た。2−メチル−3−ブテン−2−チオールを含有する缶コーヒー飲料を本発明品10とし、3−メチル−2−ブテン−1−チオールを添加したものを比較品3とした。
L値21の焙煎コーヒー豆1kgをコーヒーミルにて粉砕し、ペーパーフィルターを用いて熱水10kgで抽出し、コーヒー抽出液7000g(Bx4.8°)を得た。これとは別に、砂糖850g、シュガーエステルP−1570(三菱化学フーズ株式会社製)7.5gおよび水6000gを混合し、加熱溶解した。これに、先に得られたコーヒー抽出液および牛乳2100gを加え、さらに水を加えて全量を40kgとし、10%炭酸水素ナトリウム水溶液にてpHを6.7に調整して、コーヒー調整物を得た。一方で、2−メチル−3−ブテン−2−チオール、または焙煎コーヒー豆の香気に寄与するとされている3−メチル−2−ブテン−1−チオール(上記非特許文献2を参照)を、それぞれ1000gの95%エタノールに1mg添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールまたは3−メチル−2−ブテン−1−チオールを1ppm含有するエタノール溶液を2種類調製した。次いで、各エタノール溶液1mgを前記コーヒー調製物100gに添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを10pptの濃度で含有する賦香品および3−メチル−2−ブテン−1−チオールを10pptの濃度で含有する賦香品を得た。これらの賦香品を、それぞれ200ml缶に190gずつ充填し、ヘッドスペースを窒素置換した後密封し、121℃で20分間加熱殺菌を行い、新規な缶コーヒー飲料を得た。2−メチル−3−ブテン−2−チオールを含有する缶コーヒー飲料を本発明品10とし、3−メチル−2−ブテン−1−チオールを添加したものを比較品3とした。
一方で、前記コーヒー調製物を200ml缶に190g充填し、以降は本発明品10および比較品3と同様にして、香料化合物を添加していない缶コーヒー飲料を得た。この缶コーヒー飲料を対照品とした。
そして、対照品と比べた本発明品10および比較品3の缶コーヒー飲料について、10名のよく訓練されたパネラーによる香味評価を行った。具体的には、評価基準はコク味について5段階(−5:非常に悪い、−2:やや悪い、0:特徴なし、+2:良い、+5:非常に良い)とし、10名のパネラーの平均点を算出し、香味に関するコメントについては10名のパネラーの評価を総合した。以上の評価結果を下記表3に示す。
表3に示すように、本発明品は、比較品に比べて、コーヒー飲料に天然感、加工したてのフレッシュ感、コク味などの優れた香味を有することが確認された。
[実施例5]各種スパイス風味飲食品への2−メチル−3−ブテン−2−チオールの配合効果
バジル、シソ、およびショウガの各風味の市販のドレッシングそれぞれ100gに対し、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの1ppmエタノール溶液を下記表4に示すように添加して、本発明品11〜13を調製した。また、比較品として、上記各ドレッシング100gに対して、スープ、肉製品、スパイス系のフレーバーとして使用されるといわれる2−プロペン−1−チオール(上記非特許文献1を参照)の1ppmエタノール溶液を下記表4に示すように添加して、比較品4〜6を調製した。
バジル、シソ、およびショウガの各風味の市販のドレッシングそれぞれ100gに対し、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの1ppmエタノール溶液を下記表4に示すように添加して、本発明品11〜13を調製した。また、比較品として、上記各ドレッシング100gに対して、スープ、肉製品、スパイス系のフレーバーとして使用されるといわれる2−プロペン−1−チオール(上記非特許文献1を参照)の1ppmエタノール溶液を下記表4に示すように添加して、比較品4〜6を調製した。
次いで、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加していない各ドレッシングを対照品として、本発明品および比較品について、よく訓練されたパネラー10名による香味評価を行った。香味評価では、対照品、比較品、および本発明品を食し、対照品と比べた天然感、およびコク味の各項目について、5段階(−5:非常に悪い、−2:やや悪い、0:特徴なし、+2:良い、+5:非常に良い)として、10名のパネラーの平均点を算出し、香味に関するコメントについては10名のパネラーの評価を総合した。以上の評価結果を下記表4に示す。
表4に示すように、本発明品はいずれも、対照品および比較品と比べて、天然感、フレッシュ感、呈味などが優れていたことが確認された。
[実施例6]ビールテイスト飲料への2−メチル−3−ブテン−2−チオールの配合効果
市販のノンアルコールビール100gに、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを下記表5に示す濃度となるように配合して新規なノンアルコールビールテイスト飲料を得て、これらを本発明品14〜16とした。また、ビール風味の付与に貢献するとされている3−メチル−1−ブタンチオール(上記特許文献2を参照)を下記表5に示す濃度となるように市販のノンアルコールビールに配合して、比較品7とした。次いで、本発明品および比較品それぞれについて、よく訓練された10名のパネラーによる香味評価を行い、評価点をつけた。評価項目はすっきり感およびコク味とし、各項目について、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加していない市販のノンアルコールビールを対照品として、対照品と比較した5段階(−5:非常に悪い、−2:やや悪い、0:特徴なし、+2:良い、+5:非常に良い)として、10名のパネラーの平均点を算出し、香味に関するコメントについては10名のパネラーの評価を総合した。以上の評価結果を下記表5に示す。
市販のノンアルコールビール100gに、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを下記表5に示す濃度となるように配合して新規なノンアルコールビールテイスト飲料を得て、これらを本発明品14〜16とした。また、ビール風味の付与に貢献するとされている3−メチル−1−ブタンチオール(上記特許文献2を参照)を下記表5に示す濃度となるように市販のノンアルコールビールに配合して、比較品7とした。次いで、本発明品および比較品それぞれについて、よく訓練された10名のパネラーによる香味評価を行い、評価点をつけた。評価項目はすっきり感およびコク味とし、各項目について、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加していない市販のノンアルコールビールを対照品として、対照品と比較した5段階(−5:非常に悪い、−2:やや悪い、0:特徴なし、+2:良い、+5:非常に良い)として、10名のパネラーの平均点を算出し、香味に関するコメントについては10名のパネラーの評価を総合した。以上の評価結果を下記表5に示す。
表5に示すように、本発明品は、対照品および比較品と比べて、すっきりした飲みごたえ、コク味などに優れ、良好で嗜好性の高い香味を有することが確認された。
[実施例7] 各種フルーツ様香料組成物への2−メチル−3−ブテン−2−チオールの配合効果
下記表6および表7に示す一般的な処方にて、グレープおよびパイナップル様基本調合香料組成物を調製した。
下記表6および表7に示す一般的な処方にて、グレープおよびパイナップル様基本調合香料組成物を調製した。
次いで、これらの基本調合香料組成物100gに、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを、グレープ様香料組成物については3μg、パイナップル様香料組成物については10μg配合して、新規な香料組成物を得て(それぞれ、2−メチル−3−ブテン−2−チオールの濃度は30ppb、100ppb)、それぞれ本発明品17、18とした。そして、上記の基本調合香料組成物を対照品として、本発明品17および18について、よく訓練されたパネラー5名による香気評価を行った。具体的には、実施例1および2と同様にして、それぞれの香料組成物の0.1質量%エタノール溶液を匂い紙に含浸させて香気の官能評価を行った。
その結果、5名のパネラー全員が、本発明品は、香気にボリューム感、繊維感があり、天然の果実を想起させるとともに、香気の持続性が良好であるという、対照品では感じられない香気特性を有すると評価した。
[実施例8] フローラル調香料組成物への2−メチル−3−ブテン−2−チオールの配合効果
市販のヒヤシンス精油100gに対し、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを0.5μg添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを5ppb含有する新規な香料組成物を調製し、本発明品19とした。
市販のヒヤシンス精油100gに対し、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを0.5μg添加して、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを5ppb含有する新規な香料組成物を調製し、本発明品19とした。
次いで、2−メチル−3−ブテン−2−チオールを添加していない市販のヒヤシンス精油を対照品として、本発明品19について、よく訓練されたパネラー5名による香気評価を行った。具体的には、実施例1、2、および7と同様にして、精油または香料組成物の0.1質量%エタノール溶液を匂い紙に含浸させて香気の官能評価を行った。その結果、パネラー5名の全員が、本発明品19は、対照品と比べて、ヒヤシンス生花からただよう香りを思わせるフレッシュなフローラル調およびグリーン調の香気が増強され、香り立ちおよび香気の持続性も向上したと評価した。
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