JP2017206077A - 車両用シートパッド及びその製造方法 - Google Patents
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請求項7に記載の発明の要旨は、少なくとも乗員が当接する側の当たり面部分を軟質ポリウレタン発泡体で形成した車両用シートパッドの製造方法であって、見掛け密度が前記軟質ポリウレタン発泡体よりも小の非通気性発泡体にして、その表面側から裏面側へ貫通する透孔を設け、さらに裏面側に該透孔の孔径よりも大きな窪みを設けて、該窪みの底部に前記透孔に係る裏面側の孔口を配した芯パッドを、裏面側が上型型面に当接するようにして、上型型面にセットし、次いで、下型型面上に軟質ポリウレタン発泡体用原料を注入すると共に型閉じし、その後、意匠面側に前記当たり面部分を形成すると共に、前記透孔及び前記裏面側の孔口を含む前記窪み内を埋めて透孔充填部及び窪み充填部を形成し、さらに内面側は前記芯パッドの表面に接合させた軟質ポリウレタン発泡体の上層パッドを発泡成形したことを特徴とする車両用シートパッドの製造方法にある。請求項8の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項7で、上型型面に陥没穴を形成し、該陥没穴の穴口に前記窪みの窪み口が対向するようにして、前記芯パッドを前記上型型面にセットすることを特徴とする。請求項9の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項7又は8で、芯パッドの非通気性発泡体を発泡ポリプロピレン又は発泡スチロールの成形体とし、さらに前記芯パッドの表面に裏面側へ向けてなだらかに落ち込んで低くなる凹み設け、さらに該凹みの凹底域に前記透孔に係る表面側の孔口を配したことを特徴とする。請求項10の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項8又は9で、陥没穴の穴底に突状部をさらに設け、該突状部と前記窪みの側壁との間、及び該突状部と該窪みの底部との間に隙が残るようにして、前記芯パッドを上型型面にセットすることを特徴とする。
各図は図面を判り易くするため簡略図示し、また本発明と直接関係しない部分を省略する。芯パッドは断面表示のハッチングを省く。
車両用シートパッドの製造方法は、少なくとも乗員が当接する側の当たり面部分41を軟質ポリウレタン発泡体で構成し、該軟質ポリウレタン発泡体の上層パッド4の発泡成形で、その内面4b側を軽量の芯パッド2に接合させる製法である。シートパッドPは、車両用座席シートの座部や背もたれに使用される。ここでは、図7〜図9のような運転座席の座部用クッションパッドに適用する。上層パッド4の発泡成形に先立ち、芯パッド2,発泡型7が用意される。
上層パッド4の発泡成形に先立ち、予め発泡成形される芯パッド2には、表面2a側から裏面2b側へ貫通する透孔23を設け、さらに裏面2b側に該透孔23の孔径よりも大きな窪み24を設ける(図2)。また、芯パッド2は、その表面2aに裏面2b側へ向けてなだらかに落ち込んで低くなる凹み25を設け、該凹み25の凹底域251に透孔23に係る表面2a側の孔口23aを配する。そして、すり鉢状にへこむ窪み24の底部241に透孔23に係る裏面2b側の孔口23bを配する。ここで、芯パッド2の「表面側」,「裏面側」は、車両に取付け姿態にある図9のクッションパッドPでいえば、文字通り紙面の「表面側」,紙面の「裏面側」となる。上層パッド4の「意匠面側」,「内面側」も、車両に取付け姿態にある図9のクッションパッドPでいえば、紙面の「表面側」,紙面の「裏面側」となり、同じ意である。文言を使い分けて部位を特定し易くしている。
符号28は発泡型7に芯パッド2をセットした時、芯パッド2の外壁途中に水平外方へ出っ張る出っ張り部の上端面である。符号29は芯パッド22に設けた開孔で、符号291は裏面側に配される大径部、符号292は小径部、符号293は受面を示す。芯パッド22を図1のように上型9にセットした時、受面293と上型型面91との間にスペースが確保される。
まず、発泡型7を図1の型開状態とする。この型開状態下、芯パッド2の裏面2b側が上型型面91に当接するようにし、且つ陥没穴92の穴口920に窪み24の窪み口240が対向するようにして、芯パッド2を上型型面91にセットする(図2)。本実施形態は突状部93を備えており、突状部93と窪み24の側壁242との間、及び突状部93と窪み24の底部241との間に隙εが残るようにして、芯パッド2が上型型面91にセットされる。
上型型面91への芯パッド2のセット後、椀状にへこむ下型型面81上に、注入ノズルNL等を使用して上層パッド4成形用発泡原料g(軟質ポリウレタン発泡体用原料)を所定量注入する。
一方、上層パッド4の発泡成形で発生する余剰ガス(型内に在った残留ガスも含む。)は、液状の発泡原料gと違って、透孔23の通気抵抗が小さく該透孔23をスムーズに抜け出る(図5の矢印)。発泡原料gが上昇して透孔23にたどり着く前に、大半の余剰ガスが透孔23を通って窪み24内に到達する。しかも、芯パッド表面2aに裏面2b側へ向けてなだらかに落ち込んで低くなる凹み25を設けているので、余剰の発泡ガスは発泡成形の早い段階で集められて凹み25の凹底域251へと向かう。該凹底域251には透孔23の表面2a側の孔口23aが有るので、余剰ガスは速やかに透孔23を通過して窪み24に溜められる。陥没穴92が上型9に設けられると、該陥没穴92にも余剰ガスを溜めることができる。芯パッド2と上層パッド4との接合域に余剰ガスが存在しなくなり、従来の欠肉不具合Fが解消する。
符号441は窪み24内に現れる発泡原料gの最前線がつくった露出面、符号442は窪み側壁242とで隙εを形成した突状部93の突端部分933が露出面441上に残した凹穴である。符号4Aはメイン部、符号4Bはサイド部、符号4Cはバックレストとの合わせ部、符号49は吊溝で、符号491は縦溝、符号492は横溝を示す。
また、図12,図13は、図5,図6に代わる別態様のシートパッドの製造方法を示す。芯パッド2は、裏面2bに柱状凹所26が形成され、該凹所26の凹底261に柱状窪み24が形成されている。窪み24に対向する上型型面91に図5と同じように陥没穴92と突状部93を備えるが、陥没穴92の周縁に筒状隆起部95を形成する。芯パッド裏面2b側が上型型面91に当接するようにして、芯パッド2を上型型面91にセットすると、隆起部95の先端が凹所凹底261に当接する。よって、発泡成形過程で、発泡原料gが透孔23を通って窪み24内だけに終わらず、さらに上昇する万一の場合でも凹所26内に発泡原料gの硬化物を留める。上層パッド4の発泡成形で、図1〜図7と同様、当たり面部分41を含む上層パッド4の本体に加え、透孔充填部43及び窪み充填部44を形成する(図13)。発泡成形で発生する余剰ガスは透孔23を通って窪み24及び陥没穴92へと導かれる。
また、図14,15は、図5,図6に代わる第二の別態様のシートパッドの製造方法を示す。窪み24の大きさを図13の凹所26の大きさにまで拡大して、凹所26をなくした形である。芯パッド2の裏面2b側に透孔23の孔径よりも大きな柱状窪み24を設け、上型型面91に図12と同じように、陥没穴92と突状部93と筒状隆起部95を形成する。芯パッド裏面2b側が上型型面91に当接するようにして、芯パッド2を上型型面91にセットすると、隆起部95の先端が窪み底部241に当接し、また突状部93の先端が透孔23内へ入り込む。上層パッド4の発泡成形で、図1〜図7と同様、当たり面部分41を含む上層パッド4の本体に加え、透孔充填部43及び窪み充填部44を形成する(図15)。隆起部95の先端が窪み底部241に当接することによって、窪み充填部44と窪み24を形成する芯パッド2の側壁242との間に環状溝Rが形成される。発泡成形で発生する余剰ガスは透孔23を通って窪み24及び陥没穴92へ導かれる。
他の構成は図1〜図9のシートパッドの製造方法の説明と同様で、その説明を省く。図1〜図7と同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1〜図9の上記製造方法等で得られるシートパッドP(ここでは「クッションパッド」)は、少なくとも乗員が当接する側の当たり面部分41を軟質ポリウレタン発泡体で形成して、芯パッド2と上層パッド4とを具備するシートパッドPである。
芯パッド2の非通気性発泡体は、既述のごとく発泡ポリプロピレン又は発泡スチロールの成形体であるとより好ましい。軟質ポリウレタン発泡体に比し低コストで、独立気泡として且つ体積の大部分が気体である発泡ポリプロピレンや発泡スチロールの成形体は、軽量にして気密性,保形性があり、適度の保形維持が必要な芯パッド2に好都合となる。
また、図6や図13、図15のように、窪み充填部44の露出面441に、窪み充填部44内へと凹む凹穴442が形成されると、上層パッド4の発泡成形で、突状部93によって凹穴部位での発泡原料gの通過抵抗を大にでき、より好ましくなる。余剰の発泡ガスの通過を可能にする一方、発泡原料gの通過を抑えて窪み24内への流入を少なくする。さらに、図15に示す第二の別態様のシートパッドPでは、窪み充填部44と窪み24を形成する側壁242との間に環状溝Rが設けられ、より好ましいクッションパッドPになっている(詳細後述)。
他の構成は(1)シートパッドの製造方法で述べた構成と同様で、その説明を省く。(1)で述べた符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
このように構成した車両用シートパッド及びその製造方法は、芯パッド2と上層パッド4とを備えて、芯パッド2が軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度よりも見掛け密度が小の非通気性発泡体で形成されるので、軽量化が進む。それでいて、軟質ポリウレタン発泡体で構成された上層パッド4の意匠面4a側に、着座乗員との当たり面部分41が設けられているので、クッション性等の快適性は確保される。
加えて、上型型面91に陥没穴92を形成し、該陥没穴92の穴口920に窪み24の窪み口240が対向するようにして、芯パッド2を上型型面91にセットすると、余剰の発泡ガスを窪み24と共に陥没穴92に余力をもって溜めることができるので、芯パッド2と上層パッド4の接合域での余剰ガスを除去し、従来の欠肉不具合を一挙に解決できる。しかも、窪み24と陥没穴92に溜まった余剰ガスは、その圧力も若干高めになり、発泡成形に必要な分のガスが型外へ抜け出すのを抑え、良好な発泡成形を促す効果も期待できる。
また、芯パッド裏面2bに図13のような凹所26が形成され、凹所26の凹底261に窪み24が形成されると、上層パッド4の発泡成形で、窪み24から発泡原料gが溢れ出ても、凹所26内に溜まるので、発泡原料gの硬化部分がクッションパッドPの裏面に広がって汚すことにはならない。
さらに、図15のごとく窪み充填部44と窪み24を形成する側壁242との間に環状溝Rが形成されると、発泡原料gの硬化部分がクッションパッドPの裏面に広がって悪さをするのをシャットアウトできる。上層パッド4の発泡成形で、図14のごとく筒状隆起部95の先端を窪み底部241に当接させ、且つ筒状隆起部95の外側壁を窪み側壁242に密着又は近接させることができるので、この密着又は近接域を発泡原料gが硬化せずに通って窪み24外へ出るのは不可能に近いからである。また、筒状隆起部95の外径を窪み24より僅かに大きく設定すれば、芯パッド2を上型91にセットする際の取付部としての役割も持たせることもできる。
かくのごとく、本車両用シートパッド及びその製造方法は、上述した種々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
2a 表面(芯パッド表面)
2b 裏面(芯パッド裏面)
23 透孔
24 窪み
25 凹み
26 凹所
4 上層パッド
4a 意匠面(上層パッド意匠面)
4b 内面(上層パッド内面)
41 当たり面部分
43 透孔充填部
44 窪み充填部
441 露出面
442 凹穴
81 下型型面
91 上型型面
92 陥没穴
93 突状部
P シートパッド(クッションパッド)
R 環状溝
ε 隙
Claims (10)
- 少なくとも乗員が当接する側の当たり面部分を軟質ポリウレタン発泡体で形成した車両用シートパッドであって、
非通気性発泡体にして、その表面側から裏面側へ貫通する透孔を設け、さらに裏面側に該透孔の孔径よりも大きな窪みを設けて、該窪みの底部に前記透孔に係る裏面側の孔口を配した芯パッドと、
軟質ポリウレタン発泡体にして、その意匠面側に前記当たり面部分を形成すると共に、前記透孔及び前記裏面側の孔口を含む前記窪み内を埋めるように充填された透孔充填部及び窪み充填部を形成する一方、前記意匠面側と反対の内面側が前記芯パッドの表面に接合する上層パッドと、を具備し、且つ前記軟質ポリウレタン発泡体の見掛け密度よりも前記非通気性発泡体の見掛け密度が小であることを特徴とする車両用シートパッド。 - 前記芯パッドの表面に裏面側へ向けてなだらかに落ち込んで低くなる凹みが設けられ、且つ該凹みの凹底域に前記透孔に係る表面側の孔口が配された請求項1記載の車両用シートパッド。
- 前記芯パッドの非通気性発泡体が発泡ポリプロピレン又は発泡スチロールの成形体である請求項1又は2に記載の車両用シートパッド。
- 前記窪み充填部の露出面に、該窪み充填部内へと凹む凹穴が形成された請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用シートパッド。
- 前記芯パッドの裏面に凹所が形成され、該凹所の凹底に前記窪みが形成された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シートパッド。
- 前記窪み充填部と前記窪みを形成する側壁との間に環状溝が形成された請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用シートパッド。
- 少なくとも乗員が当接する側の当たり面部分を軟質ポリウレタン発泡体で形成した車両用シートパッドの製造方法であって、
見掛け密度が前記軟質ポリウレタン発泡体よりも小の非通気性発泡体にして、その表面側から裏面側へ貫通する透孔を設け、さらに裏面側に該透孔の孔径よりも大きな窪みを設けて、該窪みの底部に前記透孔に係る裏面側の孔口を配した芯パッドを、裏面側が上型型面に当接するようにして、上型型面にセットし、
次いで、下型型面上に軟質ポリウレタン発泡体用原料を注入すると共に型閉じし、
その後、意匠面側に前記当たり面部分を形成すると共に、前記透孔及び前記裏面側の孔口を含む前記窪み内を埋めて透孔充填部及び窪み充填部を形成し、さらに内面側は前記芯パッドの表面に接合させた軟質ポリウレタン発泡体の上層パッドを発泡成形したことを特徴とする車両用シートパッドの製造方法。 - 前記上型型面に陥没穴を形成し、該陥没穴の穴口に前記窪みの窪み口が対向するようにして、前記芯パッドを前記上型型面にセットする請求項7記載の車両用シートパッドの製造方法。
- 前記芯パッドの非通気性発泡体を発泡ポリプロピレン又は発泡スチロールの成形体とし、さらに前記芯パッドの表面に裏面側へ向けてなだらかに落ち込んで低くなる凹み設け、さらに該凹みの凹底域に前記透孔に係る表面側の孔口を配した請求項7又は8に記載の車両用シートパッドの製造方法。
- 前記陥没穴の穴底に突状部をさらに設け、該突状部と前記窪みの側壁との間、及び該突状部と該窪みの底部との間に隙が残るようにして、前記芯パッドを上型型面にセットする請求項8又は9に記載の車両用シートパッドの製造方法。
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