JP2005279972A - シート用パッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベント孔からの発泡原料の流出を防止しながら、キャビティ内の発泡ガスや空気を最後まで効率よく抜くことで欠肉やコラップスなどの成形不良を防止することができ、作業性にも優れるシート用パッドの製造方法を提供する。
【解決手段】ベント孔24を設けた発泡成形型10のキャビティ22内に発泡原料を注入して発泡させることでシート用パッドを製造する方法において、一部に非通気性膜32が被着された通気性シート材28を、非通気性膜32を発泡原料側に向けてベント孔24を覆うようにキャビティ22内に着脱自在に取り付けて、発泡成形時に、キャビティ22内に発泡充填される発泡原料が通気性シート材28を型面に押し当てることにより、非通気性膜32が通気性シート材28を介してベント孔24を塞ぐようにする。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両用や家具用のシートに用いられる、軟質ポリウレタンフォームなどの弾力性を持つ合成樹脂発泡成形体からなるシート用パッドの製造方法に関するものである。
従来、自動車用シートのためのクッションパッドなどのシート用パッドを製造するに際しては、発泡成形型のキャビティ内に残った発泡ガスや空気を外部に抜くため、下型と上型のすり合わせ面にベントスリットを設けたり、上型にベント孔を設けるといったことがなされている。これは、キャビティ内に気体が残存していると、欠肉やコラップス等の成形不具合が生じるためである。
ところが、図6に示すように、ベント孔100からは気体だけでなく、キャビティ内に充填発泡される発泡原料Pも流出してしまい、発泡原料Pが流出すると成形後のバリ取り工数が増え、原材料のロスにつながることから、排気は可能としつつ発泡原料は極力流出しないような仕様が求められる。
そこで、従来、例えば、下記特許文献1には、通気性の繊維質シートと、これよりも通気性の高い連続気泡性シートとの積層体からなる脱気シートで、キャビティ内からベント孔を塞ぐ技術が開示されている。
また、下記特許文献2には、非通気性シートの一辺を型面に接着してキャビティの内側からベント孔を覆うように取り付け、キャビティ内に充填発泡するポリウレタンフォームにより非通気性シートをベント孔に密着させて、ポリウレタンフォームの流出を防止する技術が開示されている。
特開平5−116158号公報 実開昭60−98617号公報
発泡成形の初期の段階からキャビティ内への充填直前の段階まで、ベント孔を介して効率よく排気を行いながら、充填された発泡原料がベント孔から外部に確実に流出しないようにするためには、図7に示すように、金型110に取り付けた非通気性シート112を弁として、これをキャビティ内に発泡充填されるポリウレタンフォームPにより押し上げて、最終的には該非通気性シート112でベント孔114を塞いでしまう技術が有効である。
しかしながら、この場合、蓋材である非通気性シート112に腰がなくなると、金型110から離れなくなり、ベント孔114が閉じたままとなって欠肉などの原因になってしまう。そのため、通気性シート112を頻繁に交換しなければならず、作業性に劣るという問題がある。また、通気性シート112が金型から剥がれてシート用パッドに付着するという不具合が発生するおそれがある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ベント孔からの発泡原料の流出を防止しながら、キャビティ内の発泡ガスや空気を最後まで効率よく抜くことで欠肉やコラップスなどの成形不良を防止することができ、作業性にも優れるシート用パッドの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のシート用パッドの製造方法は、ベント孔を設けた発泡成形型のキャビティ内に発泡原料を注入して発泡させることでシート用パッドを製造する方法において、一部に非通気性膜が被着された通気性シート材を、前記非通気性膜を発泡原料側に向けて前記ベント孔を覆うようにキャビティ内に着脱自在に取り付けて、発泡成形時に、前記キャビティ内に発泡充填される発泡原料が前記通気性シート材を型面に押し当てることにより、前記非通気性膜が前記通気性シート材を介して前記ベント孔を塞ぐようにするものである。
本発明の製造方法では、発泡成形時、キャビティ内の発泡ガスや空気は通気性シート材を通ってベント孔から排気され、発泡充填される発泡原料により通気性シート材が型面に押し当てられて非通気性膜がベント孔を塞ぐと、ベント孔からの発泡原料の流出が防止される。そして、かかる発泡成形により通気性シート材はシート用パッドに一体化されて、パッドとともに成形型から脱型される。本発明によれば、ベント孔を塞ぐ弁として機能する非通気性膜を、成形型側ではなく、シート用パッドに一体化させる通気性シート材側に設けたので、成形するたびに弁は自動的に交換され、そのため、欠肉などの発生を防止することができるとともに、別途の交換作業も不要となる。また、仮に非通気性膜を型面側に向けて取り付けた場合には、充填される発泡原料の状況によってキャビティ内にガスが残っているにもかかわらず、非通気性膜によりベント孔が塞がれてしまい排気不良となるおそれがあるが、本発明では、非通気性膜を発泡原料側に向けて取り付けるので、ベント孔を塞いだ状態でも通気性シート材を介してある程度の排気が可能となり、よって排気不良を解消することができる。
上記本発明の製造方法において、前記発泡成形型は、上方に開口する凹状をなしシート用パッドの表面側を成形する下型と、該下型の上面開口を開閉するものであってシート用パッドの裏面側を成形する上型とを備えてなり、前記上型には、シート用パッドの裏面側の凸形状を成形するための凹設部が設けられ、該凹設部の頂部に前記ベント孔が設けられてもよく、このような凹設部を持つものの欠肉防止に本発明は特に効果的である。
また、この場合、前記発泡成形型を、前記ベント孔を設けた凹設部側が高くなるように水平面に対して傾斜させて、前記下型に発泡原料を注入するようにしてもよい。このようにベント孔のある凹設部側が高くなるように成形型を傾斜させることにより、ベント孔周辺部が最後に発泡充填されることになるので、最後までベント孔による排気を確保して凹設部の欠肉を一層効果的に防止することができる。
本発明の製造方法においては、前記通気性シート材の縁部にスリットを設け、前記発泡成形型に設けた装着用ピンを該スリットに挿入することで前記通気性シート材を前記発泡成形型の型面に装着するようにしてもよい。通気性シート材を装着するための構造としては、従来は打抜き孔とするのが一般的であるが、その場合、打ち抜きカスが産業廃棄物となるだけでなく、該カスが通気性シート材に付着してキャビティ内に落ちると製品不良にもつながる。これに対し、上記のようなスリットとすれば、打ち抜きカスが皆無となるので、上記不具合を解消することができる。
本発明の製造方法においては、また、前記通気性シート材の片面に非通気性のシートを貼り付けることにより前記非通気性膜を形成するに際し、前記通気性シート材の縁部にノッチを設けておき、該ノッチを目印にして前記非通気性のシートを位置決めして貼り付けてもよく、あるいはまた、前記通気性シート材における前記ベント孔の周辺部に相当する位置に孔を設けておき、該孔を塞ぐように前記非通気性のシートを貼り付けてもよい。これにより、非通気性膜を通気性シート材における所定の位置に確実に設けることができ、発泡成形時の上記弁機構を安定して発揮することができる。
本発明のシート用パッドの製造方法によれば、ベント孔からの発泡原料の流出を防止しながら、キャビティ内の発泡ガスや空気を最後まで効率よく抜くことができるので、かかる残存気体に起因する成型不良を大幅に低減して、製品の不良率、補修率を低減し、コストダウンを図ることができる。また、弁の交換作業が不要であるため、作業性にも優れる。
以下、本発明の1実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態は、自動車用シートのためのシートクッションパッドの製造方法に係るものであり、製造には図1,2に示す発泡成形型10を用いる。
この発泡成形型10は、上方に開口する凹状の下型12と、下型12の一辺側に配されたヒンジ部14を介して回動可能に設けられて下型12の上面開口を開閉する上型16とを備えてなる。詳細には、下型12は、パッドの表面(上面)側を成形する型であり、それに対応した凹部18を有する。また、上型16は、パッドの裏面(下面)側を成形する型であり、上記凹部18を閉じることにより、すり合わせ面20(PL部)の内側において、下型12との間にパッド形状に対応する発泡空間であるキャビティ22を形成する。
発泡成形型10の上部側、即ち上型16には、キャビティ22内の発泡ガスや空気などの気体を型外に抜くためのベント孔24が設けられている。より詳細には、上型16には、シートクッションパッドの裏面側の凸形状を形成するために上方に突出した凹設部26が設けられており、この凹設部26の頂部にベント孔24が設けられている。
発泡成形型10は、図1に示すように、ベント孔24を設けた凹設部26側が高くなるように、水平面に対して所定角度θだけ傾斜して設けられている。凹設部26はシートクッションパッドの後部側に相当するため、発泡成形型10は、パッド前端部に対して後端部が高くなるように傾斜している。これにより、下型12の凹部18に発泡原料を注入したとき、ポリウレタンフォームPがベント孔24の周辺部において最後に充填されるようにすることができる。なお、この傾斜角度θは特に限定されないが、5〜30°程度であることが好ましい。
上型16には、このベント孔24をキャビティ22の内側から覆うように、通気性シート材28が着脱自在に取り付けられている。通気性シート材28は、図2に示すように、矩形状をなし、その四隅が上型16に設けられた装着用ピン30により係止されている。
ここで、通気性シート材28としては、通気性を持つ柔軟なシート材であれば素材は特に限定されず、例えば、粗毛布や不織布などの通気性を有する繊維シートの他、連続気泡ポリウレタンフォームシートなどの連続気泡を持つ軟質合成樹脂発泡シートなどが用いられる。
通気性シート材28の片面には非通気性膜32が被着されている。非通気性膜32は、例えば紙テープなどの通気性を持たない薄いシートを通気性シート材28の表面に貼り付けることにより形成されている。非通気性膜32は、ベント孔24を十分に覆うことができる程度の寸法を有しており、通気性シート材28の中央部に設けられている。図3(a)に示すように、この非通気性膜32を型面側とは反対側の発泡原料側に向けた状態で、しかも、図3(b)に示すように最終的には該非通気性膜32が通気性シート材28を介してベント孔24を塞ぐように、通気性シート材28は上型16に取り付けられる。なお、図3(a)に示すように、取り付け時には、非通気性膜32はベント孔24を塞いでおらず、ベント孔24との間には排気のための十分な空間が確保されている。
上記発泡成形型10を用いてシートクッションパッドを製造する際には、まず、図3(a)に示すように、上型16の凹設部26に、上記した非通気性膜32を有する通気性シート材28を、通気性シート材28を型面側に、非通気性膜32を発泡原料側にそれぞれ向けた状態で、装着用ピン30を介してセットする。この状態ではベント孔24は完全に開状態となっている。
次いで、不図示の注入装置から下型12の凹部18に発泡原料を注入し、図1に示すように上型16を閉じて、ポリウレタンフォームPをキャビティ22内で発泡充填させる。注入に際しては、図1に示すように、下型12の傾斜した下部側を中心に発泡原料を注入することが好ましい。
発泡充填時、図3(a)に示すように、キャビティ22内の発泡ガスや空気などの気体Gは、通気性シート材28の周縁部、即ち非通気性膜32が設けられていない部分で、通気性シート材28を通過して、ベント孔24から型外に排出される。そして、ポリウレタンフォームPの発泡充填に伴って、該フォームPにより通気性シート材28が押し上げられて型面に押し当てられることにより、図3(b)に示すように、非通気性膜32が通気性シート材28を介してベント孔24を塞ぐ。そのため、ベント孔24からのポリウレタンフォームPの流出が防止される。このとき、仮に、キャビティ22内に気体が残存していた場合でも、ベント孔24は非通気性膜32によって直接塞がれているわけではないので、両者間に介在する通気性シート材28を通ってある程度の排気が可能となり、よって不所望に残存する気体に起因する排気不良を解消することができる。一方で、ポリウレタンフォームPについては、型面と非通気性膜32との間で挟まれた通気性シート材28の横方向への浸透はその抵抗が過大であるため、ベント孔24から型外への流出を防止することができる。
このようにしてキャビティ22内でポリウレタンフォームPを発泡硬化させた後、上型16を開いて、脱型することにより、裏面に通気性シート材28と非通気性膜32が一体化されたシートクッションパッドが得られる。
このように上記した実施形態によれば、ベント孔24を塞ぐ弁として機能する非通気性膜32を、成形型10側ではなく、通気性シート材28側に設けたので、成形するたびに弁は自動的に更新され、そのため、毎回同じ排気条件で発泡成形することができ、欠肉などの発生を確実に防止することができる。しかも、成形毎に弁が自動的に交換されることから、別途の交換作業も不要となり、作業性にも優れる。また、上記のように発泡成形型10を傾斜させたことにより、ポリウレタンフォームPが最後に充填されるのをベント孔24の周辺部とすることができ、そのため、最後まで排気を確保して凹設部26での欠肉を効果的に防止することができる。
なお、上記実施形態では、通気性シート材28を凹設部26のみに設定したが、シートクッションパッドの裏面全体に設けて、シートフレームとの接触部における異音を防止するために設けられる裏打ち材としての補強布を兼用させることもできる。その場合にも、本実施形態によれば、上記のように非通気性膜32を発泡原料側に向けて取り付けたため、パッド裏面には通気性シート材28が露出するのみで、非通気性膜32は露出しないため、外観上も、また異音防止効果という点でも不具合にはならない。
図4は、上記実施形態における通気性シート材28の一例を示したものである。この例では、通気性シート材28の四隅に成形型10への装着のためのスリット(線状の切込み)40を設けている。通気性シート材28を装着する際には、上型16の上記装着用ピン30を各スリット40に差し通せばよく、これにより通気性シート材28は上型16の型面に取り付けられる。このような装着のための構成としては、図5に示すように、通気性シート材28の四隅に打抜き孔50を設けることもできるが、スリット40であると、打ち抜きカスが発生せず、それに起因する上記した諸問題も解消されるため、好ましい。
図4に示すように、通気性シート材28の各辺の中央には、V字状のノッチ42が設けられている。このノッチ42は、非通気性膜32となる非通気性のシートを、通気性シート材28の中央部に正確に貼り付けてベント孔24を確実に塞ぐようにするための目印として設けられている。そのため、該非通気性のシートを通気性シート材28に貼り付ける際には、該ノッチ42を目印に上下及び左右を位置合わせして貼り付ける。
図5は、上記実施形態における通気性シート材28の他の例を示したものである。この例では、非通気性膜32の位置合わせの構成として、通気性シート材28におけるベント孔24の周辺部に相当する位置に目印用の孔52を設けている。孔52は、貼り付ける非通気性のシートの四隅に対応させて4個設けられている。そして、該非通気性のシートを貼り付ける際には、これら4つの孔52を目印として、各孔52を非通気性のシートの4つの角部でそれぞれ塞ぐように貼り付ける。このようにしても、非通気性のシートを通気性シート材28の中央部に正確に位置合わせして貼り付けることができる。なお、この例では、上記のように成形型への装着の構成を打抜き孔50としているが、図4と同様にスリットを設けるようにしてもよい。
本発明の1実施形態における発泡成形型の断面図である。 同発泡成形型の斜視図である。 同発泡成形型の要部拡大断面図であり、(a)は発泡前、(b)は発泡後の各状態を示す。 通気性シート材の一例に係る平面図である。 通気性シート材の他の例に係る平面図である。 従来の発泡成形方法における金型の要部断面図である。 従来の他の発泡成形方法における金型の要部断面図である。
符号の説明
10……発泡成形型
12……下型
16……上型
22……キャビティ
24……ベント孔
26……凹設部
28……通気性シート材
30……装着用ピン
32……非通気性膜
40……スリット
42……ノッチ
52……目印用の孔

Claims (6)

  1. ベント孔を設けた発泡成形型のキャビティ内に発泡原料を注入して発泡させることでシート用パッドを製造する方法において、
    一部に非通気性膜が被着された通気性シート材を、前記非通気性膜を発泡原料側に向けて前記ベント孔を覆うようにキャビティ内に着脱自在に取り付けて、発泡成形時に、前記キャビティ内に発泡充填される発泡原料が前記通気性シート材を型面に押し当てることにより、前記非通気性膜が前記通気性シート材を介して前記ベント孔を塞ぐようにすることを特徴とするシート用パッドの製造方法。
  2. 前記発泡成形型は、上方に開口する凹状をなしシート用パッドの表面側を成形する下型と、該下型の上面開口を開閉するものであってシート用パッドの裏面側を成形する上型とを備えてなり、前記上型には、シート用パッドの裏面側の凸形状を成形するための凹設部が設けられ、該凹設部の頂部に前記ベント孔が設けられたことを特徴とする請求項1記載のシート用パッドの製造方法。
  3. 前記発泡成形型を、前記ベント孔を設けた凹設部側が高くなるように水平面に対して傾斜させて、前記下型に発泡原料を注入することを特徴とする請求項2記載のシート用パッドの製造方法。
  4. 前記通気性シート材の縁部にスリットを設け、前記発泡成形型に設けた装着用ピンを該スリットに挿入することで前記通気性シート材を前記発泡成形型の型面に装着することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート用パッドの製造方法。
  5. 前記通気性シート材の片面に非通気性のシートを貼り付けることにより前記非通気性膜を形成するに際し、前記通気性シート材の縁部にノッチを設けておき、該ノッチを目印にして前記非通気性のシートを位置決めして貼り付けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシート用パッドの製造方法。
  6. 前記通気性シート材の片面に非通気性のシートを貼り付けることにより前記非通気性膜を形成するに際し、前記通気性シート材における前記ベント孔の周辺部に相当する位置に孔を設けておき、該孔を塞ぐように前記非通気性のシートを貼り付けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシート用パッドの製造方法。
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