JP2017185938A - 金属コード−ゴム複合体及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】金属コードとゴムとの耐熱接着性の向上と耐亀裂進展性の向上とを高度に両立したトラックやバスなどの重荷重用タイヤなどのタイヤ、工業用ベルトなどのゴム物品に好適な金属コード−ゴム複合体及びタイヤの提供。【解決手段】ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含む金属コード−ゴム複合体。前記金属コード−ゴム複合体を用いたタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用、重荷重車両などのタイヤ、工業用ベルト等の強度が要求されるゴム物品に好適な金属コード−ゴム複合体及びタイヤに関する。
従来から、自動車用などのタイヤ、工業用ベルト、ゴムクローラ等の強度が要求されるゴム物品には、ゴムを補強して強度及び耐久性を向上させる目的で、ゴム組成物をスチールコード等の金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体が用いられている。ここで、かかる金属コード−ゴム複合体が高い補強効果を発揮するためには、金属コードとゴム組成物とを安定かつ強力に接着することが必要である。
例えば、ゴム物品の典型例である空気入りタイヤでは、そのベルトやカーカスに、ブラスめっきが施されたスチールワイヤの複数本を撚り合わせて成る、又はスチールワイヤの単線から成る、スチールコードをゴムで被覆したゴム複合体を適用し、主にスチールコードによる補強を図っている。そして、スチールコードをタイヤの補強材として活用するには、該スチールコードをその被覆ゴムと確実に接着する必要があり、そのためにスチールコードを構成するワイヤの周面にはブラス(黄銅:Cu、Zn)めっきが施されている。
すなわち、ブラスめっきされたスチールコード等の金属コードを、硫黄を含むゴム組成物で被覆し、該ゴム組成物の加硫と同時にこれらを接着〔ゴム金属接着層(CuxS)等を形成して接着〕させる、いわゆる直接加硫接着が広く用いられている。これまで、この直接加硫接着における金属コードとゴムとの接着性を向上するために、様々な検討が行われている。
例えば、タイヤを一定の時間内に加硫成形するには、コードとゴムとの接着速さやそれらの完全な結合により充分な接着力を確保することが求められる。すなわち、いわゆる初期接着性が要求されるため、ゴム中に接着促進剤としてCo塩などのコバルト含有化合物やNi塩などのニッケル含有化合物を相当の割合で添加したり、硫黄を高い比率で配合すること等が必要となる。
しかしながら、ゴムにCo塩などのコバルト含有化合物を配合した場合、Coを配合してないゴム対比、ゴム劣化や耐亀裂成長性といった物性に大きな問題がある。そこで、ゴム組成物の組成調整と共に、ゴムの接着相手であるワイヤなどの金属コード等についても種々の提案がなされている。
例えば、1)スチールコードとそれを被覆する被覆ゴムとからなるコード・ゴム複合体であって、前記スチールコードは、めっき後に加熱温度400〜800℃かつ加熱時間30〜250秒の加熱処理が施されたスチールワイヤを用いた加熱処理コードからなるとともに、前記被覆ゴムは、未加硫状態において0.3〜1.0%の水分を含有したゴム組成物からなることを特徴とするコ1ード・ゴム複合体(例えば、特許文献1参照)、2)少なくとも1種の有機酸金属塩からなりニッケルとモリブデンの金属分モル比が2/1〜20/1である有機酸金属塩成分を、ゴム成分100重量部に対して金属分換算で0.01〜10重量部配合してなるゴム組成物と、銅含有率60〜70重量%の真鍮めっきが施されたスチールコードと、からなるゴム−スチールコード複合体(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
しかしながら、上記特許文献1及び2のコード・ゴム複合体などは、近年の強度が特に要求されるタイヤ、工業用ベルトなどのゴム物品にかかる物理的、熱的な負荷の増大などから、ゴム劣化や耐亀裂成長性といったゴム物性を阻害する問題が生じたりするなどの課題がある。
そこで、本願出願人は、上記の課題等を生じさせることなく、更に、初期接着性、耐熱接着性などを向上させた金属コード−ゴム複合体として、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であることを特徴とする金属コード−ゴム複合体を出願している(例えば、特許文献3参照)。
この金属コード−ゴム複合体は、従来にない耐熱接着性と耐亀裂進展性に優れたものであるが、タイヤ用などにおいては、近年の重荷重車両のタイヤの大型化、車両の高出力化に対応すべく、走行時の金属コード−ゴム複合体の耐熱接着性とゴムの耐亀裂成長性を更向上させた技術が切望されているのが現状である。
特開2004−306788号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2005−193793号公報(特許請求の範囲、実施例等) 国際公開WO/2014/192811号公報(特許請求の範囲、実施例等)
本出願人は、上記の従来課題及び現状等に鑑み、これを解消しようとするものであり、金属コード−ゴム複合体において、更に、金属コードとゴムとの耐熱接着性の向上と耐亀裂進展性の向上とを高度に両立することができる自動車用、特に重荷重用タイヤなどのタイヤ、並びに、工業用ベルト、ゴムクローラ等の強度が特に要求されるゴム物品に好適な金属コード−ゴム複合体及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題、金属コード−ゴム複合体の開発経過等に鑑み、鋭意検討した結果、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体において、金属コードの表面状態を特定物性となる構成、及び被覆ゴム組成物を特定の配合組成とすることにより、上記目的の金属コード−ゴム複合体及びタイヤが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の金属コード−ゴム複合体は、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含むことを特徴とする。
前記シリカの含有量を5〜50質量部とすることが好ましく、また、前記シランカップリング剤の含有量を前記シリカ量に対し5〜15質量%含有することが好ましい。
前記ゴム組成物は、コバルト含有化合物を含有しないことが好ましい。
前記金属コード−ゴム複合体を用いて重荷重用などのタイヤとすることが好ましい。
本発明によれば、金属コードとゴムとの耐熱接着性の向上と耐亀裂進展性の向上とを高度に両立することができる金属コード−ゴム複合体及びそれを用いた重荷重用タイヤなどに好適なタイヤが提供される。
以下に、本発明についてその実施形態を例示して具体的に説明する。
本発明の金属コード−ゴム複合体は、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含むことを特徴とするものである。
〔金属コード〕
本発明の金属コード−ゴム複合体に用いられる金属コードは、金属ワイヤ(金属鋼線)を複数本撚り合わせてなるもの、または、金属ワイヤの単線からなるものである。
用いる金属ワイヤは、特に限定されないが、例えば、鉄、鋼(ステンレス鋼)、鉛、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、モネル金属合金、ニッケル、亜鉛等の線材が挙げられる。
また、該金属ワイヤは、その表面に常法により作製されるめっき層を有することが好ましく、めっき層としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛めっき層、銅めっき層、ブラス(真鍮)めっき層等が挙げられるが、これらの中でも、ゴム組成物との初期接着性、湿熱接着性の点、好適なゴム金属接着層の形成の点から、ブラス(真鍮)めっき層が好ましい。
このブラス(真鍮)めっき層を構成するバルクのブラスめっき組成は、スチールコード加工性の点、ゴムとの接着性の点からCu(銅)が40〜80質量%、Zn(亜鉛)が20〜60質量%であることが好ましく、更に好ましくは、Cuが55〜70質量%、Znが30〜45質量%であることが望ましい。
金属ワイヤとして、スチールワイヤを挙げ、更に詳細に説明する。スチールワイヤは、鋼、即ち、鉄を主成分(金属鋼線の全質量に対する鉄の質量が50質量%を超える)とする線状の金属である。該金属は、上述の鉄以外の金属を含んでもよい。
スチールワイヤは、作業性及び耐久性の観点から、線径が0.1mm〜5.5mmであることが好ましく、0.15mm〜5.26mmであることがより好ましい。ここで、スチールワイヤの線径とは、スチールワイヤの軸線に対して垂直の断面形状における外周上の二点間の最長の長さをいう。スチールワイヤの軸線に対して垂直の断面形状は特に限定されず、楕円上、矩形状、三角形状、多角形状等であってもよいが、一般に、円状である。なお、タイヤのカーカスやベルトに該スチールワイヤを撚り合わせた金属製補強コードであるスチールコードを用いる場合は、該スチールワイヤの断面形状は円状とし、線径を0.1mm〜0.5mmとすることが好ましく、タイヤのビードコアに用いる場合は、上記断面形状は同様に円状とし、線径を1mm〜1.5mmとすることが好ましい。また、該スチールワイヤはその表面に上記組成となるブラス(真鍮)めっき層を有することが好ましく、このめっき層の厚みは、特に限定されないが、例えば、一般に100〜300nmである。
本発明では、例えば、上記ブラスめっきを周面に施したスチールワイヤなどの金属ワイヤを複数本撚り合わせ、例えば、1×3構造、1×5構造等に撚り合わせることにより、常法によりスチールコードからなる金属コードを得ることができる。
このスチールコードなどのゴム物品補強用に好適な金属コードは、タイヤ用のベルトコード、カーカスコードおよびビードコードからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明では、上記金属コードの表面のN(窒素)原子は、トリート放置性の点などから、2原子%以上60原子%以下であり、かつCu/Zn比が質量基準で、1以上4以下であることが必要であり、好ましくは、金属コードの表面のN原子は、2.1原子%以上55.0原子%以下であり、かつCu/Zn比が1.1以上3.5以下とすることが望ましい。
この金属コードの表面のN原子の割合を2原子%以上とすることにより、本発明の効果を十分に得ることができ、2原子%未満ではトリート放置性が悪化することとなり、60原子%超過であると、ゴムとの初期接着性が悪化する。また、金属コードの表面のCu/Zn比を1以上とすることにより、本発明の効果を十分に得ることができ、1未満では初期接着性が十分でなく、4以下であることで、初期接着性が良好となり、4超過で湿熱劣化性が十分でなくなる。
本発明において、上記金属コードの表面のN(窒素)原子を2原子%以上60原子%以下とする調整は、例えば、トリアゾール化合物(防錆剤)による処理、具体的にはトリアゾール化合物による水溶液に接触させる等の表面処理を好適に組み合わせることにより行うことができ、また、金属コードの表面のCu/Zn比を1以上4以下とする調整は、例えば、酸性緩衝液のpHやトリアゾール水溶液の濃度を好適に組み合わせる処理を施すことにより行うことができる。pHが低いほど、Cu/Zn比の高い金属コードを得ることができる。
酸性緩衝液としては、例えば、pH5.0〜7.2の酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液などが挙げられ、好ましくは、pH5.0〜7.2による酢酸緩衝液が挙げられる。pHが5.0未満であると、Cu/Zn比を4以下とすることができなくなり、またpHが7.2を超えるとCu/Zn比を1以上とすることができない。この緩衝液による表面処理時間としては、例えば、pH5.0〜7.2による酢酸緩衝液を用いた場合は、0.5〜20秒とすることができる。
また、トリアゾール水溶液としては、例えば、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、3−メルカプト−1,2,4ートリアゾールから選ばれる1種類以上のトリアゾール化合物による水溶液が挙げられ、好ましくは、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾールの使用が望ましい。このトリアゾール水溶液の濃度としては、0.01〜20g/Lとすることが好ましく、また、処理時間は、濃度により変動するものであるが、0.1〜30秒とすることができる。
本発明において、「表面」とは、スチールワイヤなどの金属ワイヤ半径方向内側に5(nm)の深さまでの表層領域である。上記金属コードの表面のN原子の測定、並びに、Cu/Zn比の測定は、金属コードを得た後、必要に応じて洗浄処理、乾燥等を行った後、ゴム組成物で被覆する前の金属コードの表面を測定するものである。
また、本発明(後述する実施例を含む)において、上記金属コードの表面のN原子の測定は、X線光電子分光(X-ray photoelectron Spectroscopy:XPS)法により測定される金属コードの表面のN原子を測定したものであり、また、金属コードの表面のCu/Zn比の測定は、上記光電子分光により金属コードの表面のCu/Zn比を測定したものである。
〔金属コード被覆用のゴム組成物〕
本発明の金属コード−ゴム複合体の被覆ゴムに用いるゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含むことを特徴とするものである。
この被覆ゴムに用いるゴム組成物のゴム成分としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、ポリクロロプレンゴム等のジエン系ゴムなどが挙げられる。これらのゴム成分は、一種を単独で用いても良いし、二種以上組み合わせて用いても良い。
本発明に用いるシリカは、後述するように、亀裂の進展を抑止すると共に、耐熱接着性を向上させる成分として配合するものである。
用いることができるシリカとしては、特に制限はなく、市販のゴム組成物に使用されているものが使用でき、中でも湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができる。
特に好ましいシリカとしては、BET比表面積が50〜400m/gとなるものが望ましい。なお、本発明において、BET比表面積は、BET法の一点値により測定されるものである。
これらのシリカの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して、亀裂進展抑制、耐熱接着性向上の観点から、1〜60質量部、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜50質量部、特に好ましくは、10〜50質量部である。
本発明に用いるシランカップリング剤としては、特に限定されないが、下記一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。
このようなシランカップリング剤を用いることにより、亀裂の進展を更に抑止すると共に、耐熱接着性を更に向上させることができる。
以下、下記一般式(I)〜(IV)を順に説明する。
Figure 2017185938
上記式(I)中、R1は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基、R2は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、R3は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但しp及びrの双方が3であることはない。
上記一般式(I)で表わされるシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド、ビス−(3−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド(a=2.1、a=2.5、a=3.75)などが挙げられる。
Figure 2017185938
上記式(II)中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R910C=NO−、R910CNO−、R910N−及び−(OSiR910h(OSiR91011)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は同一でも異なっていても良く、各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j]0.5 −基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基を示し、x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。
上記一般式(II)において、R8、R9、R10及びR11は同一でも異なっていても良く、好ましくは各々炭素数1〜18の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、R5が炭素数1〜18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R12は直鎖、環状又は分枝のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。R7は例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであっても良く、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の置換基を有していても良い。このR7としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基を好ましく挙げることができる。
上記一般式(II)におけるR5、R8、R9、R10及びR11の炭素数1〜18の一価の炭化水素基の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記一般式(II)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
前記一般式(II)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのなかで、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン[Momentive Performance Materials社製、商品名「NXTシラン」(登録商標)]が特に好ましい。
Figure 2017185938
上記式(III)中、R13は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基又は炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基、R14は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、R15は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基、R16は一般式(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)のいずれかの二価の基(R17〜R22は同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2、m3は同一でも異なっていても良く、各々平均値として1以上4未満である。)であり、kは同一でも異なっていても良く、各々平均値として1〜6であり、s及びtは同一でも異なっていても良く、各々平均値として0〜3、但しs及びtの双方が3であることはない。
上記一般式(III)で表わされるシランカップリング剤(C)の具体例として、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH210−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S3−(CH26−S3−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2.5−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S3−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S4−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH210−S2−(CH210−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33等で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2017185938
上記式(IV)中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、Gは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、Zaは同一でも異なっていても良く、各々二つの珪素原子と結合することのできる基で、且つ [−0−]0.5、[−0−G−]0.5又は[−O−G−O−] 0.5から選ばれる基であり、Zbは同一でも異なっていても良く、各々二つの珪素原子と結合することのできる基で、且つ [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、Zcは同一でも異なっていても良く、各々−Cl、−Br、−ORa、RaC(=O)O−、RabC=NO−、RabN−、Ra−、HO−G−O−(Gは上記表記と一致する。)で表される官能基であり、Ra及びRbは同一でも異なっていても良く、各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v、wは同一でも異なっていても良く、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、且つ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていても良く、B部が複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっても良い。
上記一般式(IV)で表わされるシランカップリング剤の具体例としては、下記で示される化学式(V)、化学式(VI)及び化学式(VII)が挙げられる。
Figure 2017185938
Figure 2017185938
Figure 2017185938
上記式中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、x=m、y=nである。
上記化学式(V)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Low−V Silane」、が市販品として入手できる。
また、上記化学式(VI)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Ultra Low−V Silane」、が同様に市販品として入手することができる。
更に、化学式(VII)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT−Z」として挙げることができる。
本発明において、シランカップリング剤は、上記一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物の中で、コスト、本発明の更なる効果を発揮せしめる点から、上記一般式(I)で表わされる化合物が特に好ましい。
本発明においては、シランカップリング剤は一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのシランカップリング剤の配合量は、前記シリカ量に対し3〜15質量%であり、好ましくは、5〜15質量%が望ましい。
このシランカップリング剤の配合量が、前記シリカ量に対し3質量%未満では、本発明の効果を発揮することができず、一方、15質量%超過では、ゴムの硬化が進み耐亀裂成長性が低下となり、好ましくない。
本発明の被覆ゴムに用いるゴム組成物では、ゴム成分100質量部に対して、コバルト含有化合物を0〜1質量部〔0(ゼロ)又は1質量部以下〕とするものである。
用いることができるコバルト含有化合物としては、コバルト(単体)、有機酸のコバルト塩、無機酸のコバルト塩などが挙げられ、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルト、グルコン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を例示することができる。
また、有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩であってもよい。ホウ素を含有する有機酸コバルト塩はコバルト含量が20〜23質量%であるオルトホウ酸コバルト、市販品では、例えば、ローディア社製マノボンドC22.5及びマノボンド680C、Jhepherd社製CoMend A及びCoMend B、大日本インキ化学工業社製YYNBC−II等を例示することができる。
これらのコバルト含有化合物は、従来より、接着促進剤として金属コード−ゴム複合体の被覆ゴム組成物に配合しているものであるが、本発明では、耐熱劣化性及び耐亀裂成長性を改良させる観点から、コバルト含有化合物の含有量をゴム成分100質量部に対して、0〜1質量部、すなわち、0(ゼロ)又は1質量部以下(0<コバルト含有化合物の含有量≦1)とするものであり、好ましくは、更なる耐熱劣化性及び耐亀裂成長性を高度に改良する観点から、0(ゼロ)、または、0.1質量部以下、特に好ましくは、コバルト含有化合物を含有しないこと〔0(ゼロ)〕が望ましい。
なお、本発明において、コバルト含有化合物の含有量はコバルト含有量換算をいう。
用いる被覆ゴム組成物には、上記ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤などの他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、通常ゴム業界で採用される成分を適宜配合してもよい。その他の成分としては、例えば、硫黄等の加硫剤、カーボンブラック等の充填剤、プロセスオイル等の油分、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤、酸化亜鉛、及び、ステアリン酸等が挙げられる。
本発明に用いるゴム組成物は、これら各成分を、常法により混練りし、熱入れ及び押し出しすることにより製造することができる。
〔金属コード−ゴム複合体〕
本発明の金属コード−ゴム複合体の製造は、上記各表面処理が施された金属コードを、必要に応じて、常法により洗浄処理を施した後、該金属コードと上記被覆用ゴム組成物とを接着させる工程を経て製造することができる。
上記各表面処理を経た後の金属コードと上記特性のゴム組成物を接着させることにより、例えば、該金属コードと該ゴム組成物を加圧加熱下で加硫接着により製造することができる。加硫条件としては、特に限定されないが、圧力は、2MPa〜15MPaが好ましく、2MPa〜5MPaがより好ましく、温度は、120〜200℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。加硫時間は、特に限定されないが、3分〜60時間が好ましい。
このように構成される本発明の金属コード−ゴム複合体が、何故、金属コードとゴムとの耐熱接着性と耐亀裂進展性に優れ、金属コードとゴムとの耐熱接着性の向上と耐亀裂進展性の向上とを高度に両立することができるかのメカニズム等は不明な点等も若干あるが、以下のように推察される。
すなわち、本発明の金属コード−ゴム複合体では、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部とすることにより、シリカを配合した当該被覆ゴム組成物はゴム中に破壊核が生まれにくく、亀裂の進展を抑止すると共に、シリカがゴム中のゴム・金属接着界面を破壊する成分を吸着などすることでゴム・金属の接着性を増すことにより、また、シリカと共に、特定の割合で含有したシランカップリング剤によるシリカ−シランカップリング剤の反応によりゴムの弾性率が発現することで耐亀裂進展性が向上すると共に、シリカ−シランカップリング反応で生じるアルコール類が金属コード表面の接着阻害物を取り除くことにより、良好な金属コードとゴムとの接着反応が起こり、ゴム・金属の接着性をより増すこととなる。更に、一般に、加硫反応中やタイヤ使用時のゴム劣化によってアミン類が生じ、これにより接着反応を阻害するが、本発明では、シリカを含有するとアミン類を吸着するため金属コードとゴムとの耐熱接着性がより向上することとなり、また、被覆ゴム組成物中のコバルト含有物を0〜1質量部とすることでポリマーの分子鎖切断が抑制され、耐亀裂進展性が向上することとなる。これらにより、本発明の特定物性となる金属コードと被覆ゴム組成物として少なくともシリカとシランカップリング剤と、コバルト含有化合物とを特定の配合割合で含有した場合に、上記ゴム・金属の接着性の増進効果及び耐熱接着性の向上効果の相乗効果を生み、個々の技術の効果の総和以上を超えた金属コードとゴムとの耐熱接着性の向上と耐亀裂進展性の向上とを高度に両立することができる格別顕著なる効果が発揮されるものとなる。
なお、従来の金属コードは、本発明に用いる金属コードに比べ表面活性が低く、シリカ−シランカップリング反応で生じるアルコール類では金属コードとゴムとの接着反応性の向上効果が表れない。また、シリカを含有せずシランカップリング剤のみでは向上効果はないものである(これらの点等については更に後述する比較例等で詳述する)。
本発明の上記相乗効果を発揮する金属コード−ゴム複合体は、用途は特に限定されるものではないが、トラック・バス、建機などの重荷重用タイヤの他、一般の自動車用などのタイヤ、更に、動伝達ベルト、コンベアベルトなどの工業用ベルト、ゴムクローラー、ホース、免震用のゴム支承体等の各種ゴム製品や部品類に広く使用することができる。
特に、重荷重用のタイヤのプライ(カーカスプライ、ベルトプレイ)、ビード部材などのタイヤ部材の補強材として、本発明の金属コード−ゴム複合体を適用することができる。得られるタイヤは、前記本発明の金属コード−ゴム複合体を用いること以外は、特に限定はなく、公知のタイヤの構成をそのまま採用することができる。
上記金属コード−ゴム複合体を適用したプライはタイヤのカーカスプライ、ベルトプライとして好適に用いられ、さらに該ゴム−金属複合体はタイヤのビード等に好適に用いられる。この金属コード−ゴム複合体を用いたタイヤは、自動車用のタイヤの他、トラック・バス、建機などの重荷重用タイヤに好適となる。同様に、上記金属コード−ゴム複合体は動伝達ベルト、コンベアベルト等の工業用ベルト、ブルトーザー等に使用される無限軌道駆動装置に装着されるゴム製のゴムクローラ、ホース、免震用のゴム支承体等に好適に用いられる。これらの重荷重用を含むタイヤ、工業用ベルト、ゴムクローラなどは、ゴム組成物と金属コードとの接着強度、耐亀裂成長性に優れるためこれらが剥離し難く、それ故に高負荷であるにも関らず耐久性に優れ長寿命となるものである。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜6及び比較例1〜7〕
(金属コードの作製)
下記表1に示す組成となるブラスめっきを施したスチールワイヤ(めっき層の厚さ0.2μm、線径0.3mm)を撚り合わせて1×3構造のスチールコードを作製した。次いで、このコードを下記に示す処理法である処理1:酢酸緩衝液又はリン酸処理液、処理2:防錆剤(トリアゾール化合物)からなる処理液を用いて洗浄し、50℃で1分間乾燥させた。この洗浄処理を終了したスチールコードのワイヤめっき表面のN量(最表面N量:原子%)、Cu/Zn比(最表面Cu/Zn比)をX線光電子分光装置(アルバック・ファイ(株)製、Quantera)にて測定し、これらの結果を下記表1に示す。
なお、X線光電子分光による測定条件は、以下のとおりである。
X線源:単色化Al−Kα線
測定領域:50μmφ
測定ピーク:C1s、O1s、N1s、P2p、Cu2p2/3、Zn2p2/3
データ処理:Multipak(アルバック・ファイ(株)製)
定量:得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量
*Cu/Znは、Cu2p2/3、Zn2p2/3の定量値の比である。
〔処理1:酢酸緩衝液又はリン酸処理液による処理〕
酢酸緩衝液による処理は、0.1N酢酸ナトリウムを酢酸にて表1に示すpHとなるように調整した処理液を用いて、作製したスチールコードを処理時間10秒間で洗浄して表面処理を行った。
リン酸処理液による処理は、表2に示すpH(濃度)となるように調整したリン酸処理液を用いて、作製したスチールコードを処理時間10秒間で洗浄して表面処理を行った。
〔処理2:トリアゾール化合物(防錆剤)による処理〕
トリアゾール化合物(防錆剤)による処理は、表1に示す各トリアゾール化合物を用いて各濃度となるように調整したトリアゾール化合物水溶液を用いて、作製したスチールコードを処理時間10秒間で洗浄して表面処理を行った。
上記洗浄処理を終了したスチールコードを用い、下記表1に示す配合処方のゴム組成物を用いて、以下の方法でコード/ゴム接着性の各評価となる耐熱接着性(指数表示)及び耐亀裂成長性(指数表示)を評価した。これらの結果を下記表1に示す。
(耐熱接着性の評価法)
上記洗浄処理したスチールコードを、12.5mm間隔で平行に並べ、該スチールコードを上下からゴム組成物で被覆し、145℃で80分間加硫して、ゴム組成物とスチールコードとを接着させた。このようにして、厚さ1mmのゴムシートにスチールコードが埋設された、金属コード−ゴム複合体を得た(スチールコードは、ゴムシートの厚さ方向中央に、シート表面に、12.5mm間隔で並んでいる)。
この金属コード−ゴム複合体を80℃、相対湿度40%雰囲気下で7日間劣化させた後、ASTM D 2229に準拠して、各サンプルからスチールコードを引き抜き、スチールコードに付着しているゴムの被覆率を目視観察にて0〜100%で決定し、湿熱劣化性の指標とした。結果は、比較例1を100として、下記表1に指数表示した。指数値が大きい程、耐熱接着性に優れていることを示す。
(耐亀裂成長性の評価方法)
亀裂成長性の評価は、各サンプルについて上島製作所社製の疲労試験機を用いて定応力疲労試験を行い、破断するまでの回数を測定した。その結果を、比較例1を100として下記表1に指数表示した。数値が大きいほど、耐亀裂成長性に優れることを示す。
Figure 2017185938
上記表1中の*1〜*8は、以下のとおりである。
*1:JSR社製、商品名「IR2200」
*2:東海カーボン社製、商品名「シースト3(NSA:79m/g、24M4DBP吸収量:102m/100g)」
*3:東ソー・シリカ社製、商品名「ニップシールAQ」
*4:信越化学工業社製、商品名「ABC−856」、ビス−(3−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド(上記一般式でa=2.5)
*5:シーライオンテクノロジー社製、商品名「NXT SILANE」
*6:大内新興化学工業(株)製、ノクラック6C、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
*7:大内新興化学工業(株)製、ノクセラーDZ、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*8:OMG社製、マノボンドC22.5、コバルト含有量22.5質量%
上記表1から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜6の金属コード−ゴム複合体は、本発明の範囲外なる比較例1〜7に較べて、耐熱接着性及び耐亀裂成長性に優れており、本発明の効果を確認できた。
本発明範囲となる実施例1〜6を具体的に見ると、実施例1〜4は金属コードの表面のN原子量、Cu/Zn比が本発明の範囲内である金属コードと、被覆ゴム組成物がシリカとシランカップリング剤とを特定割合で含有し、コバルト含有化合物を含有しない場合の金属コード−ゴム複合体であり、実施例5は被覆ゴム組成物がコバルト含有化合物を含有する場合の金属コード−ゴム複合体であり、実施例6はシランカップリング剤を他種に代えた場合の金属コード−ゴム複合体であり、これらの場合に、実施例1〜4は実施例5、6に較べ、本発明の効果がより顕著であることが確認できた。
これに対して、比較例1〜7を見ると、比較例1及び2は、金属コードの表面のN原子量、Cu/Zn比などが本発明の範囲外となる金属コード−ゴム複合体であり、比較例3〜7は、金属コードの表面のN原子量、Cu/Zn比が本発明の範囲であっても、比較例3及び4は被覆ゴム組成物の組成が本発明の範囲外(シランカップリング剤含有なし)となる金属コード−ゴム複合体であり、比較例5は、被覆ゴム組成物の組成が本発明の範囲外(シランカップリングの量が超過)となる金属コード−ゴム複合体であり、比較例6及び7は、被覆ゴム組成物の組成が本発明の範囲外(シリカの量が含有なしと超過)となる金属コード−ゴム複合体であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが確認できた。
タイヤ、動伝達ベルト、コンベアベルトなどの工業用ベルト等の各種ゴム製品に有用となる金属コード−ゴム複合体、この金属コード−ゴム複合体を用いたトラックやバス等の重荷重用タイヤなどに好適なタイヤを提供できる。

Claims (6)

  1. ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含むことを特徴とする金属コード−ゴム複合体。
  2. 前記シリカの含有量を5〜50質量部とすることを特徴とする請求項1記載の金属コード−ゴム複合体。
  3. 前記シランカップリング剤の含有量を前記シリカ量に対し5〜15質量%含有ることを特徴とする請求項1又は2記載の金属コード−ゴム複合体。
  4. 前記ゴム組成物は、コバルト含有化合物を含有しないことを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の金属コード−ゴム複合体。
  5. 請求項1〜4の何れか一つに記載の金属コード−ゴム複合体を用いたことを特徴とするタイヤ。
  6. 請求項5に記載のタイヤが重荷重用タイヤであることを特徴とするタイヤ。
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