JP6768331B2 - 金属コード−ゴム複合体及びタイヤ - Google Patents
金属コード−ゴム複合体及びタイヤ Download PDFInfo
- Publication number
- JP6768331B2 JP6768331B2 JP2016077185A JP2016077185A JP6768331B2 JP 6768331 B2 JP6768331 B2 JP 6768331B2 JP 2016077185 A JP2016077185 A JP 2016077185A JP 2016077185 A JP2016077185 A JP 2016077185A JP 6768331 B2 JP6768331 B2 JP 6768331B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- metal cord
- group
- cord
- metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Tires In General (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
例えば、タイヤを一定の時間内に加硫成形するには、コードとゴムとの接着速さやそれらの完全な結合により充分な接着力を確保することが求められる。すなわち、いわゆる初期接着性が要求されるため、ゴム中に接着促進剤としてCo塩などのコバルト含有化合物やNi塩などのニッケル含有化合物を相当の割合で添加したり、硫黄を高い比率で配合すること等が必要となる。
例えば、1)スチールコードとそれを被覆する被覆ゴムとからなるコード・ゴム複合体であって、前記スチールコードは、めっき後に加熱温度400〜800℃かつ加熱時間30〜250秒の加熱処理が施されたスチールワイヤを用いた加熱処理コードからなるとともに、前記被覆ゴムは、未加硫状態において0.3〜1.0%の水分を含有したゴム組成物からなることを特徴とするコ1ード・ゴム複合体(例えば、特許文献1参照)、2)少なくとも1種の有機酸金属塩からなりニッケルとモリブデンの金属分モル比が2/1〜20/1である有機酸金属塩成分を、ゴム成分100重量部に対して金属分換算で0.01〜10重量部配合してなるゴム組成物と、銅含有率60〜70重量%の真鍮めっきが施されたスチールコードと、からなるゴム−スチールコード複合体(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
この金属コード−ゴム複合体は、従来にない耐熱接着性と耐亀裂進展性に優れたものであるが、タイヤ用などにおいては、近年の重荷重車両のタイヤの大型化、車両の高出力化に対応すべく、走行時の金属コード−ゴム複合体の耐熱接着性とゴムの耐亀裂成長性を更向上させた技術が切望されているのが現状である。
前記シリカの含有量を5〜50質量部とすることが好ましく、また、前記シランカップリング剤の含有量を前記シリカ量に対し5〜15質量%含有することが好ましい。
前記ゴム組成物は、コバルト含有化合物を含有しないことが好ましい。
前記金属コード−ゴム複合体を用いて重荷重用などのタイヤとすることが好ましい。
本発明の金属コード−ゴム複合体は、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含むことを特徴とするものである。
本発明の金属コード−ゴム複合体に用いられる金属コードは、金属ワイヤ(金属鋼線)を複数本撚り合わせてなるもの、または、金属ワイヤの単線からなるものである。
用いる金属ワイヤは、特に限定されないが、例えば、鉄、鋼(ステンレス鋼)、鉛、アルミニウム、銅、黄銅、青銅、モネル金属合金、ニッケル、亜鉛等の線材が挙げられる。
また、該金属ワイヤは、その表面に常法により作製されるめっき層を有することが好ましく、めっき層としては、特に限定されないが、例えば、亜鉛めっき層、銅めっき層、ブラス(真鍮)めっき層等が挙げられるが、これらの中でも、ゴム組成物との初期接着性、湿熱接着性の点、好適なゴム金属接着層の形成の点から、ブラス(真鍮)めっき層が好ましい。
このブラス(真鍮)めっき層を構成するバルクのブラスめっき組成は、スチールコード加工性の点、ゴムとの接着性の点からCu(銅)が40〜80質量%、Zn(亜鉛)が20〜60質量%であることが好ましく、更に好ましくは、Cuが55〜70質量%、Znが30〜45質量%であることが望ましい。
スチールワイヤは、作業性及び耐久性の観点から、線径が0.1mm〜5.5mmであることが好ましく、0.15mm〜5.26mmであることがより好ましい。ここで、スチールワイヤの線径とは、スチールワイヤの軸線に対して垂直の断面形状における外周上の二点間の最長の長さをいう。スチールワイヤの軸線に対して垂直の断面形状は特に限定されず、楕円上、矩形状、三角形状、多角形状等であってもよいが、一般に、円状である。なお、タイヤのカーカスやベルトに該スチールワイヤを撚り合わせた金属製補強コードであるスチールコードを用いる場合は、該スチールワイヤの断面形状は円状とし、線径を0.1mm〜0.5mmとすることが好ましく、タイヤのビードコアに用いる場合は、上記断面形状は同様に円状とし、線径を1mm〜1.5mmとすることが好ましい。また、該スチールワイヤはその表面に上記組成となるブラス(真鍮)めっき層を有することが好ましく、このめっき層の厚みは、特に限定されないが、例えば、一般に100〜300nmである。
このスチールコードなどのゴム物品補強用に好適な金属コードは、タイヤ用のベルトコード、カーカスコードおよびビードコードからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
この金属コードの表面のN原子の割合を2原子%以上とすることにより、本発明の効果を十分に得ることができ、2原子%未満ではトリート放置性が悪化することとなり、60原子%超過であると、ゴムとの初期接着性が悪化する。また、金属コードの表面のCu/Zn比を1以上とすることにより、本発明の効果を十分に得ることができ、1未満では初期接着性が十分でなく、4以下であることで、初期接着性が良好となり、4超過で湿熱劣化性が十分でなくなる。
本発明において、上記金属コードの表面のN(窒素)原子を2原子%以上60原子%以下とする調整は、例えば、トリアゾール化合物(防錆剤)による処理、具体的にはトリアゾール化合物による水溶液に接触させる等の表面処理を好適に組み合わせることにより行うことができ、また、金属コードの表面のCu/Zn比を1以上4以下とする調整は、例えば、酸性緩衝液のpHやトリアゾール水溶液の濃度を好適に組み合わせる処理を施すことにより行うことができる。pHが低いほど、Cu/Zn比の高い金属コードを得ることができる。
また、トリアゾール水溶液としては、例えば、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、3−メルカプト−1,2,4ートリアゾールから選ばれる1種類以上のトリアゾール化合物による水溶液が挙げられ、好ましくは、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾールの使用が望ましい。このトリアゾール水溶液の濃度としては、0.01〜20g/Lとすることが好ましく、また、処理時間は、濃度により変動するものであるが、0.1〜30秒とすることができる。
また、本発明(後述する実施例を含む)において、上記金属コードの表面のN原子の測定は、X線光電子分光(X-ray photoelectron Spectroscopy:XPS)法により測定される金属コードの表面のN原子を測定したものであり、また、金属コードの表面のCu/Zn比の測定は、上記光電子分光により金属コードの表面のCu/Zn比を測定したものである。
本発明の金属コード−ゴム複合体の被覆ゴムに用いるゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部含むことを特徴とするものである。
この被覆ゴムに用いるゴム組成物のゴム成分としては、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴム、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム、ポリクロロプレンゴム等のジエン系ゴムなどが挙げられる。これらのゴム成分は、一種を単独で用いても良いし、二種以上組み合わせて用いても良い。
用いることができるシリカとしては、特に制限はなく、市販のゴム組成物に使用されているものが使用でき、中でも湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロイダルシリカ等を使用することができる。
特に好ましいシリカとしては、BET比表面積が50〜400m2/gとなるものが望ましい。なお、本発明において、BET比表面積は、BET法の一点値により測定されるものである。
このようなシランカップリング剤を用いることにより、亀裂の進展を更に抑止すると共に、耐熱接着性を更に向上させることができる。
以下、下記一般式(I)〜(IV)を順に説明する。
上記一般式(II)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)10−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S3−(CH2)6−S3−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2.5−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S3−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S4−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)10−S2−(CH2)10−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3等で表される化合物が好適に挙げられる。
また、上記化学式(VI)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT Ultra Low−V Silane」、が同様に市販品として入手することができる。
更に、化学式(VII)で表されるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商標「NXT−Z」として挙げることができる。
本発明においては、シランカップリング剤は一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。
このシランカップリング剤の配合量が、前記シリカ量に対し3質量%未満では、本発明の効果を発揮することができず、一方、15質量%超過では、ゴムの硬化が進み耐亀裂成長性が低下となり、好ましくない。
用いることができるコバルト含有化合物としては、コバルト(単体)、有機酸のコバルト塩、無機酸のコバルト塩などが挙げられ、例えば、塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルト、グルコン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト、ホウ酸ネオデカン酸コバルト、アセチルアセトナートコバルト等を例示することができる。
また、有機酸の一部をホウ酸等で置き換えた複合塩であってもよい。ホウ素を含有する有機酸コバルト塩はコバルト含量が20〜23質量%であるオルトホウ酸コバルト、市販品では、例えば、ローディア社製マノボンドC22.5及びマノボンド680C、Jhepherd社製CoMend A及びCoMend B、大日本インキ化学工業社製YYNBC−II等を例示することができる。
なお、本発明において、コバルト含有化合物の含有量はコバルト含有量換算をいう。
本発明に用いるゴム組成物は、これら各成分を、常法により混練りし、熱入れ及び押し出しすることにより製造することができる。
本発明の金属コード−ゴム複合体の製造は、上記各表面処理が施された金属コードを、必要に応じて、常法により洗浄処理を施した後、該金属コードと上記被覆用ゴム組成物とを接着させる工程を経て製造することができる。
上記各表面処理を経た後の金属コードと上記特性のゴム組成物を接着させることにより、例えば、該金属コードと該ゴム組成物を加圧加熱下で加硫接着により製造することができる。加硫条件としては、特に限定されないが、圧力は、2MPa〜15MPaが好ましく、2MPa〜5MPaがより好ましく、温度は、120〜200℃が好ましく、130〜170℃がより好ましい。加硫時間は、特に限定されないが、3分〜60時間が好ましい。
すなわち、本発明の金属コード−ゴム複合体では、ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を0〜1質量部とすることにより、シリカを配合した当該被覆ゴム組成物はゴム中に破壊核が生まれにくく、亀裂の進展を抑止すると共に、シリカがゴム中のゴム・金属接着界面を破壊する成分を吸着などすることでゴム・金属の接着性を増すことにより、また、シリカと共に、特定の割合で含有したシランカップリング剤によるシリカ−シランカップリング剤の反応によりゴムの弾性率が発現することで耐亀裂進展性が向上すると共に、シリカ−シランカップリング反応で生じるアルコール類が金属コード表面の接着阻害物を取り除くことにより、良好な金属コードとゴムとの接着反応が起こり、ゴム・金属の接着性をより増すこととなる。更に、一般に、加硫反応中やタイヤ使用時のゴム劣化によってアミン類が生じ、これにより接着反応を阻害するが、本発明では、シリカを含有するとアミン類を吸着するため金属コードとゴムとの耐熱接着性がより向上することとなり、また、被覆ゴム組成物中のコバルト含有物を0〜1質量部とすることでポリマーの分子鎖切断が抑制され、耐亀裂進展性が向上することとなる。これらにより、本発明の特定物性となる金属コードと被覆ゴム組成物として少なくともシリカとシランカップリング剤と、コバルト含有化合物とを特定の配合割合で含有した場合に、上記ゴム・金属の接着性の増進効果及び耐熱接着性の向上効果の相乗効果を生み、個々の技術の効果の総和以上を超えた金属コードとゴムとの耐熱接着性の向上と耐亀裂進展性の向上とを高度に両立することができる格別顕著なる効果が発揮されるものとなる。
なお、従来の金属コードは、本発明に用いる金属コードに比べ表面活性が低く、シリカ−シランカップリング反応で生じるアルコール類では金属コードとゴムとの接着反応性の向上効果が表れない。また、シリカを含有せずシランカップリング剤のみでは向上効果はないものである(これらの点等については更に後述する比較例等で詳述する)。
上記金属コード−ゴム複合体を適用したプライはタイヤのカーカスプライ、ベルトプライとして好適に用いられ、さらに該ゴム−金属複合体はタイヤのビード等に好適に用いられる。この金属コード−ゴム複合体を用いたタイヤは、自動車用のタイヤの他、トラック・バス、建機などの重荷重用タイヤに好適となる。同様に、上記金属コード−ゴム複合体は動伝達ベルト、コンベアベルト等の工業用ベルト、ブルトーザー等に使用される無限軌道駆動装置に装着されるゴム製のゴムクローラ、ホース、免震用のゴム支承体等に好適に用いられる。これらの重荷重用を含むタイヤ、工業用ベルト、ゴムクローラなどは、ゴム組成物と金属コードとの接着強度、耐亀裂成長性に優れるためこれらが剥離し難く、それ故に高負荷であるにも関らず耐久性に優れ長寿命となるものである。
(金属コードの作製)
下記表1に示す組成となるブラスめっきを施したスチールワイヤ(めっき層の厚さ0.2μm、線径0.3mm)を撚り合わせて1×3構造のスチールコードを作製した。次いで、このコードを下記に示す処理法である処理1:酢酸緩衝液又はリン酸処理液、処理2:防錆剤(トリアゾール化合物)からなる処理液を用いて洗浄し、50℃で1分間乾燥させた。この洗浄処理を終了したスチールコードのワイヤめっき表面のN量(最表面N量:原子%)、Cu/Zn比(最表面Cu/Zn比)をX線光電子分光装置(アルバック・ファイ(株)製、Quantera)にて測定し、これらの結果を下記表1に示す。
なお、X線光電子分光による測定条件は、以下のとおりである。
X線源:単色化Al−Kα線
測定領域:50μmφ
測定ピーク:C1s、O1s、N1s、P2p、Cu2p2/3、Zn2p2/3
データ処理:Multipak(アルバック・ファイ(株)製)
定量:得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量
*Cu/Znは、Cu2p2/3、Zn2p2/3の定量値の比である。
酢酸緩衝液による処理は、0.1N酢酸ナトリウムを酢酸にて表1に示すpHとなるように調整した処理液を用いて、作製したスチールコードを処理時間10秒間で洗浄して表面処理を行った。
リン酸処理液による処理は、表2に示すpH(濃度)となるように調整したリン酸処理液を用いて、作製したスチールコードを処理時間10秒間で洗浄して表面処理を行った。
トリアゾール化合物(防錆剤)による処理は、表1に示す各トリアゾール化合物を用いて各濃度となるように調整したトリアゾール化合物水溶液を用いて、作製したスチールコードを処理時間10秒間で洗浄して表面処理を行った。
上記洗浄処理したスチールコードを、12.5mm間隔で平行に並べ、該スチールコードを上下からゴム組成物で被覆し、145℃で80分間加硫して、ゴム組成物とスチールコードとを接着させた。このようにして、厚さ1mmのゴムシートにスチールコードが埋設された、金属コード−ゴム複合体を得た(スチールコードは、ゴムシートの厚さ方向中央に、シート表面に、12.5mm間隔で並んでいる)。
この金属コード−ゴム複合体を80℃、相対湿度40%雰囲気下で7日間劣化させた後、ASTM D 2229に準拠して、各サンプルからスチールコードを引き抜き、スチールコードに付着しているゴムの被覆率を目視観察にて0〜100%で決定し、湿熱劣化性の指標とした。結果は、比較例1を100として、下記表1に指数表示した。指数値が大きい程、耐熱接着性に優れていることを示す。
亀裂成長性の評価は、各サンプルについて上島製作所社製の疲労試験機を用いて定応力疲労試験を行い、破断するまでの回数を測定した。その結果を、比較例1を100として下記表1に指数表示した。数値が大きいほど、耐亀裂成長性に優れることを示す。
*1:JSR社製、商品名「IR2200」
*2:東海カーボン社製、商品名「シースト3(N2SA:79m/g、24M4DBP吸収量:102m3/100g)」
*3:東ソー・シリカ社製、商品名「ニップシールAQ」
*4:信越化学工業社製、商品名「ABC−856」、ビス−(3−トリエトキシシリルエチル)ポリスルフィド(上記一般式でa=2.5)
*5:シーライオンテクノロジー社製、商品名「NXT SILANE」
*6:大内新興化学工業(株)製、ノクラック6C、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
*7:大内新興化学工業(株)製、ノクセラーDZ、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*8:OMG社製、マノボンドC22.5、コバルト含有量22.5質量%
本発明範囲となる実施例1〜6を具体的に見ると、実施例1〜4は金属コードの表面のN原子量、Cu/Zn比が本発明の範囲内である金属コードと、被覆ゴム組成物がシリカとシランカップリング剤とを特定割合で含有し、コバルト含有化合物を含有しない場合の金属コード−ゴム複合体であり、実施例5は被覆ゴム組成物がコバルト含有化合物を含有する場合の金属コード−ゴム複合体であり、実施例6はシランカップリング剤を他種に代えた場合の金属コード−ゴム複合体であり、これらの場合に、実施例1〜4は実施例5、6に較べ、本発明の効果がより顕著であることが確認できた。
これに対して、比較例1〜7を見ると、比較例1及び2は、金属コードの表面のN原子量、Cu/Zn比などが本発明の範囲外となる金属コード−ゴム複合体であり、比較例3〜7は、金属コードの表面のN原子量、Cu/Zn比が本発明の範囲であっても、比較例3及び4は被覆ゴム組成物の組成が本発明の範囲外(シランカップリング剤含有なし)となる金属コード−ゴム複合体であり、比較例5は、被覆ゴム組成物の組成が本発明の範囲外(シランカップリングの量が超過)となる金属コード−ゴム複合体であり、比較例6及び7は、被覆ゴム組成物の組成が本発明の範囲外(シリカの量が含有なしと超過)となる金属コード−ゴム複合体であり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが確認できた。
Claims (6)
- ゴム組成物を金属コードに被覆してなる金属コード−ゴム複合体であって、金属コードの表面のN原子が2原子%以上60原子%以下、かつCu/Zn比が1以上4以下であり、前記ゴム組成物がゴム成分100質量部に対して、シリカを1〜60質量部、シランカップリング剤を前記シリカ量に対し3〜15質量%含有し、コバルト含有化合物を含有しないことを特徴とする金属コード−ゴム複合体。
- 前記シリカの含有量を5〜50質量部とすることを特徴とする請求項1記載の金属コード−ゴム複合体。
- 前記シランカップリング剤の含有量を前記シリカ量に対し5〜15質量%含有ることを特徴とする請求項1又は2記載の金属コード−ゴム複合体。
- 前記ゴム成分は、天然ゴム及び/又はイソプレンゴムのみであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の金属コード−ゴム複合体。
- 請求項1〜4の何れか一つに記載の金属コード−ゴム複合体を用いたことを特徴とするタイヤ。
- 請求項5に記載のタイヤが重荷重用タイヤであることを特徴とするタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016077185A JP6768331B2 (ja) | 2016-04-07 | 2016-04-07 | 金属コード−ゴム複合体及びタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016077185A JP6768331B2 (ja) | 2016-04-07 | 2016-04-07 | 金属コード−ゴム複合体及びタイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017185938A JP2017185938A (ja) | 2017-10-12 |
JP6768331B2 true JP6768331B2 (ja) | 2020-10-14 |
Family
ID=60044588
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016077185A Active JP6768331B2 (ja) | 2016-04-07 | 2016-04-07 | 金属コード−ゴム複合体及びタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6768331B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3808895A4 (en) * | 2018-06-14 | 2022-03-23 | Bridgestone Corporation | CORDED METALLIC-RUBBER COMPOSITE, BELT OR TIRE CARCASS USING THE SAME, AND TIRE |
EP3981911A4 (en) * | 2019-06-06 | 2023-07-12 | Bridgestone Corporation | COMPOSITE OF STEEL CABLE AND RUBBER AND PNEUMATIC TIRE |
JP7397637B2 (ja) * | 2019-09-30 | 2023-12-13 | 株式会社ブリヂストン | 金属-ゴム複合体、コンベヤベルト、ホース、ゴムクローラ及びタイヤ |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01259040A (ja) * | 1987-11-07 | 1989-10-16 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 複合材料 |
JPH0229325A (ja) * | 1988-03-10 | 1990-01-31 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 金属とゴムとの複合物 |
JP4299480B2 (ja) * | 2001-09-20 | 2009-07-22 | 住友ゴム工業株式会社 | 金属ワイヤの製造方法、およびその金属ワイヤを用いた金属コード |
JP5630976B2 (ja) * | 2008-08-05 | 2014-11-26 | 株式会社ブリヂストン | シリカ充填ゴムにおける揮発性有機化学物質の発生が少ないアミノアルコキシ変性シルセスキオキサン類 |
WO2012114667A1 (ja) * | 2011-02-24 | 2012-08-30 | 株式会社ブリヂストン | ゴム-金属ワイヤー複合体及びそれを用いたタイヤ |
EP2807286A4 (en) * | 2012-01-25 | 2015-09-02 | Bridgestone Americas Tire | CONTINUOUS METHOD FOR COATING WIRE STRENGTHS |
JP5727989B2 (ja) * | 2012-11-08 | 2015-06-03 | 住友ゴム工業株式会社 | スチールコード被覆、スチールコード隣接ストリップ又はタイガム用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
JP6316286B2 (ja) * | 2013-05-30 | 2018-04-25 | 株式会社ブリヂストン | 金属コード−ゴム複合体の製造方法 |
US20140374009A1 (en) * | 2013-06-20 | 2014-12-25 | The Goodyear Tire & Rubber Company | Adhesion of a reinforcing cord for a rubber matrix |
JP6215694B2 (ja) * | 2013-12-27 | 2017-10-18 | 住友ゴム工業株式会社 | 空気入りタイヤ |
-
2016
- 2016-04-07 JP JP2016077185A patent/JP6768331B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017185938A (ja) | 2017-10-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6316286B2 (ja) | 金属コード−ゴム複合体の製造方法 | |
JP5037947B2 (ja) | ゴム組成物と黄銅製又は黄銅メッキが施された被着物との加硫接着方法、ゴム物品用補強材、ゴム−補強材複合体及び空気入りタイヤ | |
JPWO2019240252A1 (ja) | 金属コード−ゴム複合体並びにそれを用いたタイヤ用ベルト又はカーカス、及びタイヤ | |
WO2017047587A1 (ja) | 金属コード-ゴム複合体 | |
JP5459079B2 (ja) | タイヤ用ゴム組成物およびタイヤ | |
JP6768331B2 (ja) | 金属コード−ゴム複合体及びタイヤ | |
WO2011030547A1 (ja) | ブラスめっき付きスチールコード及びスチールコード-ゴム複合体並びにこれらを用いたタイヤ | |
JP6518147B2 (ja) | 金属コード−ゴム複合体 | |
WO2012039476A1 (ja) | ゴム-金属複合体の製造方法、ゴム-金属複合体、タイヤ、免震用のゴム支承体、工業用ベルト、及びクローラー | |
JP7358465B2 (ja) | スチールコード-ゴム複合体及び空気入りタイヤ | |
JP2014526568A (ja) | 空気式車両用タイヤ | |
JP4762744B2 (ja) | ゴム組成物及び空気入りタイヤ | |
JP3995780B2 (ja) | エンジンマウント用ゴム組成物 | |
JP5563233B2 (ja) | スチールコード接着用ゴム組成物及び空気入りタイヤ | |
JP6168850B2 (ja) | ゴム−金属複合体 | |
CN111295418B (zh) | 橡胶组合物、金属-橡胶复合体和轮胎 | |
JP6694805B2 (ja) | 重荷重用タイヤ | |
JP7485510B2 (ja) | スチールコード-ゴム複合体及びそれを用いたタイヤ、ホース、クローラ又はコンベア | |
JP2005068277A (ja) | ラジアルタイヤ | |
JP5482071B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
WO2020145275A1 (ja) | スチールコード・ゴム複合体、タイヤ、クローラ、コンベアベルト及びホース | |
JP7402182B2 (ja) | 金属コード被覆用ゴム組成物、スチールコード・ゴム複合体、タイヤ及び化工品 | |
JP2003096242A (ja) | 接着性ゴム組成物及び空気入りタイヤ | |
JP5515461B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
WO2024127727A1 (ja) | 金属コード-架橋ゴム複合体及びタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181220 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200107 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20191226 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20200228 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200421 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200923 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6768331 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |