JP5515461B2 - コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト - Google Patents
コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト Download PDFInfo
- Publication number
- JP5515461B2 JP5515461B2 JP2009160972A JP2009160972A JP5515461B2 JP 5515461 B2 JP5515461 B2 JP 5515461B2 JP 2009160972 A JP2009160972 A JP 2009160972A JP 2009160972 A JP2009160972 A JP 2009160972A JP 5515461 B2 JP5515461 B2 JP 5515461B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rubber
- conveyor belt
- rubber composition
- mass
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
このため、設備コスト、消費電力が膨らんでおり、低コストおよび低消費電力のベルトコンベヤシステムが求められており、特に、ベルトを構成するゴム特性の改良により、ベルトコンベヤの低コスト化および低消費電力化が検討されている。
1)窒素吸着比表面積(N2SA)が80(m2/g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3/100g)以上」や、「周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。」が提案されている(特許文献2参照。)。
前記ゴム成分中の天然ゴムとポリブタジエンゴムとの量比(NR/BR)が、80/20〜25/75であり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜35質量部であり、
前記シリカの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5〜25質量部であり、
前記シランカップリング剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜3質量部であり、
前記ジエチレングリコールの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜4.5質量部である、コンベヤベルト用ゴム組成物。」が提案されている(特許文献4参照。)。
即ち、本発明は、下記(1)〜(5)を提供する。
上記ガラスバルーンの、レーザー回折粒度計により測定した平均粒径が、20〜100μmであり、
上記ガラスバルーンの平均膜厚が、0.9〜1.5μmであり、
上記ガラスバルーンの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して2〜15質量部であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
上記天然ゴムと上記ブタジエンゴムとの量比(NR/BR)が、25/75〜90/10である上記(2)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が、20〜60m2/gであり、
上記カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量が、30〜140cm3/100gであり、
上記カーボンブラックの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して1〜50質量部である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
上記下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成される、コンベヤベルト。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、ゴム成分とガラスバルーンを含有し、上記ガラスバルーンの平均粒径が20〜100μmであり、上記ガラスバルーンの平均膜厚が0.9〜1.5μmであり、上記ガラスバルーンの含有量が上記ゴム成分100質量部に対して2〜15質量部であるゴム組成物である。
次に、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の各成分について詳述する。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物に含有するゴム成分は特に限定されず、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)等のジエン系ゴムのほか、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の非ジエン系ゴムも用いることができる。
ジエン系ゴムの含有割合が上述の範囲であると、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度がより向上し、コンベヤベルトとしての基本物性を良好に維持することができる。
上記ジエン系ゴムとしては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、天然ゴムおよびブタジエンゴムを併用する場合の量比(NR/BR)は、25/75〜90/10であるのが好ましく、50/50〜90/10であるのがより好ましく、70/30〜85/15であるのが更に好ましい。
天然ゴムおよびブタジエンゴムの含有割合が上述の範囲であると、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度が更に向上し、コンベヤベルトとしての基本物性をより良好に維持することができる。また、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の後述するエネルギーロス指数(ΔH)もより良好な範囲となるため、消費電力の低減をより十分に図ることができる。
末端変性ブタジエンゴムは、末端が変性されたブタジエンゴムであれば特に限定されない。また、ブタジエンゴムの末端変性方法としては、例えば、変性剤を使用してBRの末端(活性末端)を変性する方法を用いることができる。
このような変性剤としては、具体的には、例えば、四塩化スズ、四臭化スズなどのハロゲン化スズ;トリブチルスズクロライドなどのハロゲン化有機スズ化合物;四塩化ケイ素、クロロトリエチルシランなどのケイ素化合物;フェニルイソシアネートなどのイソシアネート基含有化合物;N−メチルピロリドン(NMP)などのアミド化合物;ラクタム化合物;尿素化合物;イソシアヌル酸誘導体;等が挙げられる。これらのうち、N−メチルピロリドンが好ましい。
具体的には、例えば、日本ゼオン社製のNipol BR1250H(重量平均分子量:57万、NMP変性)等が挙げられる。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物に含有するガラスバルーンは、平均粒径が20〜100μmであり、平均膜厚が0.9〜1.5μmであるガラス中空体であれば特に限定されず、従来公知の各種のガラスバルーンを用いることができる。
ここで、上記平均粒径は、レーザー回折粒度計による測定値であり、上記平均膜厚は、電子顕微鏡を用いて測定した値の平均値である。
ガラスバルーンの平均粒径および/または平均膜厚が上述の範囲であると、ガラスバルーン自体の強度が高く、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度がより向上し、コンベヤベルトとしての基本物性をより良好に維持することができる。また、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の後述するエネルギーロス指数(ΔH)もより良好な範囲となるため、消費電力の低減をより十分に図ることができる。
ここで、上記90体積%残存圧力は、窒素法により測定した値である。具体的には、ガラスバルーンとタルクとを混合した試料に対して、乾燥窒素ガスを用いて加圧した際の比重の変化を利用し、体積が10%減じた際の圧力を測定した値である。
具体的には、例えば、グラスバブルズK−46(平均粒径:75μm、平均膜厚:1.13μm、90体積%残存圧力:38MPa、住友スリーエム社製)、グラスバブルズVS−5500(平均粒径:70μm、平均膜厚:1.31μm、90体積%残存圧力:42MPa、住友スリーエム社製)、グラスバブルズS60HS(平均粒径:45μm、平均膜厚:1.31μm、90体積%残存圧力:124MPa、住友スリーエム社製)等が挙げられる。
上記ガラスバルーンを上述の範囲で含有することにより、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の物性に悪影響を与えずに、後述する損失係数tanδを低く維持したまま25%伸び時における引張応力(M25)を大きくすることができる。その結果、エネルギーロス指数(ΔH)が良好な範囲となるため、消費電力の低減を十分に図ることができる。
これは、後述する比較例4〜6にも示すように、特定の平均粒径よりも大きいガラスバルーンを使用した場合には、引張応力(M25)を大きくできるものの比重や損失係数tanδも大きくなってしまう結果、消費電力の低減が図れないことを考慮すると、非常に優れた効果であることが分かる。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、カーボンブラックを含有するのが好ましい態様の1つである。
上記カーボンブラックとしては、具体的には、例えば、HAF(High Abrasion Furnace)、SAF(Super Abrasion Furnace)、ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、FEF(Fast Extruding Furnace)、GPF(General Purpose Furnace)、SRF(Semi−Reinforcing Furnace)、FT(Fine Thermal)、MT(Medium Thermal)等が挙げられる。
ここで、窒素吸着比表面積は、カーボンブラックがゴム分子との吸着に利用できる表面積の代用特性であり、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」に従い測定した値である。
また、ジブチルフタレート吸油量は、カーボンブラックがゴム分子を内蔵できるストラクチャーの代用特性であり、JIS K6217−4:2001「第4部:DBP吸収量の求め方」に従い、アブソープトメーターで測定した値である。
具体的には、例えば、SRF−HS(窒素吸着比表面積:32m2/g、ジブチルフタレート吸油量:140cm3/100g、東海カーボン社製)、SRF−HS(窒素吸着比表面積:29m2/g、ジブチルフタレート吸油量:152cm3/100g、東海カーボン社製)、FEF−HS(窒素吸着比表面積:42m2/g、ジブチルフタレート吸油量:160cm3/100g、東海カーボン社製)等が挙げられる。
上記カーボンブラックを上述の範囲で含有することにより、着色のみならず、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の硬度、破断強度、破断伸び等の基本物性(特に、伸び)がより良好となり、また、後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれもより良好な範囲となるため消費電力の低減をより十分に図ることができる。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、架橋剤として、上記ゴム成分のゴムとゴムとの間に硫黄を介した化学結合(架橋)を生起させるイオウ系加硫剤を含有するのが好ましい態様の1つである。
上記イオウ系加硫剤としては、具体的には、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
イオウ系加硫剤の含有量が上述の範囲であると、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれもより良好な範囲となるため消費電力の低減をより十分に図ることができる。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、シランカップリング剤を含有するのが好ましい態様の1つである。
上記シランカップリング剤は、ゴム用途に使用されるポリスルフィド系シランカップリング剤を用いるのが好ましい。
上記ポリスルフィド系シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等が挙げられる。
これらのうち、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドであるのが、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度がより向上する理由から好ましい。
具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69、デグッサ社製)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si75、デグッサ社製)等が例示される。
シランカップリング剤の含有量が上述の範囲であると、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の加硫後の破断強度がより向上する。これは、シランカップリング剤と上記シリカとの化学結合が増大するためであると考えられる。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上述した各成分以外に、ジエチレングリコールを含有するのが好ましい態様の1つである。
上記ジエチレングリコールは、(CH2OHCH2)2Oの化学式で表される化合物である。
上記ジエチレングリコールとしては、日本触媒社製の市販品を用いることができる。
ジエチレングリコールの含有量が上述の範囲であると、得られる本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物の後述する損失係数tanδおよびエネルギーロス指数(ΔH)がいずれもより良好な範囲となるため消費電力の低減をより十分に図ることができる。これは、シリカと上記ゴム成分との間の分子間の相互作用を低減することができるためであると考えられる。
有機過酸化物系の加硫剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられる。
その他として、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリン等が挙げられる。
アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(H)等が挙げられる。
グアニジン系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。
チオウレア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、エチレンチオウレア等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのZn塩等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等が挙げられる。
チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、Na−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等が挙げられる。
これらの配合剤は、ゴム用組成物用の一般的なものを用いることができる。それらの配合量も特に制限されず、任意に選択できる。
具体的には、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数tanδを0.056〜0.062程度と低く維持しつつ、25%伸び時における引張応力(M25)を0.80〜1.25MPa程度に向上させ、下記式[1]に示すエネルギーロス指数(ΔH)を0.076程度以下とすることができる。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M25 [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3)、tanδは、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて測定した損失係数、M25は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。
損失係数tanδは、ゴム組成物の動的性質を表す貯蔵弾性率E′と損失弾性率E″との比、tanδ=E″/E′で表され、この値が小さいほどゴム組成物の変形の間に熱として散逸されるエネルギー量(エネルギーロス量)が小さいことを意味し、エネルギーロスの尺度として用いることができる。
一方、tanδ値が小さいと低消費電力化が可能になると考えられるが、上述したように、tanδ値をあまりに小さくしすぎると破断強度(TB)および破断伸び(EB)も低下するため、コンベヤベルトの稼動が安定しない。
本発明では、上述したゴム成分およびガラスバルーンを特定量含有し、上述した各種配合剤を所望により含有することにより、tanδを0.056〜0.062程度に低く維持したまま引張応力(M25)を0.80〜1.25MPa程度に大きくすることができる。
エネルギーロス指数(ΔH)は、上記式[1]により表される。
上記式[1]は、従来タイヤの分野で用いられている路面との摩擦低減効率の目安となる式であるが、コンベヤベルト用ゴム組成物の消費電力の低減評価においても有効と考えられる。
上記式[1]中のSpGrは、20℃での比重(g/cm3)を示す。この値が小さいと総質量の低減が可能になることから小負荷と同等の低消費電力効果が得られる。
また、上記式[1]中のtanδは、ローラ乗り越え時のゴム組成物の変形によるエネルギーロスに影響する。この値が小さいと低消費電力効果が得られる。
また、上記式[1]中のM25は、25%伸び時における引張応力(MPa)を示すが、ベルト剛性としての硬度の代用特性と考えることができるため、ゴム組成物の撓みの大小に影響する。この値が大きいと撓みが小さくなり低消費電力効果が得られる。なお、本発明において、M25は、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物を148℃、30分の条件で加硫させて得られた加硫物から3号ダンベル状に打ち抜いた試験片を用い、JIS K6251-2004に準じて、引張速度500mm/分での引張試験を行い、25%伸び時における引張応力(M25)[MPa]を室温にて測定した値である。
したがって、上記式[1]の技術的な意義は、SpGrとtanδの積をM25で除することにより、これらの物性に基づいて、ゴム組成物がローラを乗り越える時のエネルギーロスを総合的に判断でき、コンベヤベルト用のゴム組成物が、消費電力の低減を図るコンベヤベルトに適しているか否かの指標となることにある。
本発明では、上述したゴム成分およびガラスバルーンを特定量含有し、上述した各種配合剤を所望により含有することにより、損失係数tanδを低く維持したまま25%伸び時における引張応力(M25)を大きくできる結果、消費電力の低減を十分に図ることできるエネルギーロス指数(0.076程度以下)とすることができる。
また、加硫は、通常行われる条件で行うことができる。具体的には、例えば、温度140〜150℃程度、0.5時間の条件下、加熱することにより行われる。
以下に、図1を用いて本発明のコンベヤベルトを説明するが、本発明のコンベヤベルトの構造は、下面カバーゴム層の裏面表面に上述した本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いていれば特にこれに限定されない。
図1に示すように、コンベヤベルト1は、補強層3を中心層とし、その両側に上面カバーゴム層2と下面カバーゴム層4が設けられており、上面カバーゴム層2は外層11と内層12の2層から構成され、下面カバーゴム層4は外層16と内層15の2層から構成されている。ここで、上面カバーゴム層2および下面カバーゴム層4の外層と内層(外層11と内層12、外層16と内層15)は、それぞれ互いに異なるゴム組成物を用いて形成されていてもよい。
上面カバーゴム層2の運搬物搬送面5を構成する外層11は、耐熱性、耐摩耗性、耐油性等に優れたゴム組成物から形成されるのが望ましく、また、上面カバーゴム層2の内層12は、補強層3および外層11の接着に寄与するため、上面カバーゴム層2は外層と内層の2層から構成されていることが好ましい。
下面カバーゴム層4の裏面表面を構成する外層16は上述した本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成され、また、下面カバーゴム層4の内層15は製造コストや補強層3との接着性が重視されることから他のゴム組成物から形成されるのが望ましいため、カバーゴム層4は2層から構成されていることが好ましい。
また、補強層3の形状は特に限定されず、図1に示すようにシート状であってもよく、ワイヤー状の補強線を並列に埋込むものであってもよい。
下面カバーゴム層の厚さがこの範囲であると、高温の運搬物を搬送に用いる場合であっても、ゴムの劣化等により生ずるベルトの反り返り(カッピング)を防ぐことができる。
(実施例1〜8、比較例1〜7)
ゴム成分100質量部に対して、下記第1表に示す組成成分(質量部)で、各コンベヤベルト用ゴム組成物を調製した。得られた各ゴム組成物について、加硫後の各種物性を以下に示す方法により測定し評価した。その結果を下記第1表に示す。
(1)硬度
得られた未加硫ゴム組成物を148℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で30分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜いた。
この試験片について、JIS K6253:2006の「タイプAデュロメータ硬さ試験」に準じて、ショアA硬度を測定した。
ショアA硬度が50以上であれば、コンベヤベルトとして適切な硬度を有するものとして評価できる。
得られた各ゴム組成物を、148℃、30分間、加硫し、加硫ゴム組成物を調製した。
調製した各加硫ゴム組成物から3号ダンベル状に打ち抜いた試験片を用い、JIS K6251-2004に準じて、引張速度500mm/分での引張試験を行い、25%伸び時における引張応力(M25)[MPa]、破断強度(TB)[MPa]および破断伸び(EB)[%]を室温にて測定した。
破断強度が15MPa以上であれば、高破断強度を有するものとして評価できる。
破断伸びが400%以上であれば、高破断伸びを有するものとして評価できる。
調製した各加硫ゴム組成物から短冊状(長さ20mm×幅5mm×厚み2mm)に切り抜いた試験片を用い、東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメータを用いて損失係数tanδを測定した。測定は、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与えて行った。
調製した各加硫ゴム組成物の20℃での比重をJIS K0061:2001に記載の「化学製品の密度及び比重測定方法」に従い測定した。
次いで、比重ならびに上記で測定したM25および損失係数tanδの値を用い、調製した各加硫ゴム組成物のエネルギーロス指数(ΔH)を、上記式[1]から求めた。
・天然ゴム(NR):RSS#3
・BR:Nipol BR1250H(重量平均分子量:57万、末端NMP変性、日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:FEF(窒素吸着比表面積:35m2/g、ジブチルフタレート吸油量:101cm3/100g、東海カーボン社製)
・シリカ:含水微粉ケイ酸(窒素吸着比表面積:215m2/g、ジブチルフタレート吸油量:280cm3/100g、ニップシールAQ、日本シリカ工業社製)
・セラミックバルーン:E−SPHERES SL75(平均粒径:45μm、太平洋セメント社製)
・ガラスバルーン1:グラスバブルズK−20(平均粒径:110μm、平均膜厚:0.89μm、90体積%残存圧力:3.4MPa、住友スリーエム社製)
・ガラスバルーン2:グラスバブルズK−46(平均粒径:75μm、平均膜厚:1.13μm、90体積%残存圧力:38MPa、住友スリーエム社製)
・ガラスバルーン3:グラスバブルズVS−5500(平均粒径:70μm、平均膜厚:1.31μm、90体積%残存圧力:42MPa、住友スリーエム社製)
・ガラスバルーン4:グラスバブルズS60HS(平均粒径:45μm、平均膜厚:1.31μm、90体積%残存圧力:124MPa、住友スリーエム社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・老化防止剤:ノクラック6C(大内新興化学工業社製)
・ジエチレングリコール:日本触媒社製
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69、デグッサ社製)
・アロマオイル:A−OMIX(三共油化工業社製)
・加硫剤:硫黄(油処理硫黄、細井化学工業社製)
・加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(ノクセラーNS、大内新興化学工業社製)
また、平均粒径等が所定の範囲にないガラスバルーン1を用いて調製した比較例4〜6のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物に比べて、引張応力(M25)は向上するものの比重およびtanδが大きくなり、その結果、エネルギーロス指数(ΔH)も同等以上となり、消費電力の低減が十分に図れないゴム組成物であることが分かった。
更に、平均粒径等が所定の範囲にあるガラスバルーン2を特定量以上含有させて調製した比較例7のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物に比べて、消費電力の低減を図れるゴム組成物となるものの、破断強度が悪く、コンベヤベルトとしての基本物性を維持できないことが分かった。
2:上面カバーゴム層
3:補強層
4:下面カバーゴム層
5:運搬物搬送面
11、16:外層
12、15:内層
Claims (5)
- ゴム成分とガラスバルーンを含有し、
前記ガラスバルーンの、レーザー回折粒度計により測定した平均粒径が、20〜100μmであり、
前記ガラスバルーンの平均膜厚が、0.9〜1.5μmであり、
前記ガラスバルーンの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して2〜15質量部であるコンベヤベルト用ゴム組成物。 - 前記ゴム成分の90質量%以上がジエン系ゴムである請求項1に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
- 前記ジエン系ゴムとして天然ゴム(NR)およびブタジエンゴム(BR)を併用し、
前記天然ゴムと前記ブタジエンゴムとの量比(NR/BR)が、25/75〜90/10である請求項2に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。 - 更に、カーボンブラックを含有し、
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が、20〜60m2/gであり、
前記カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量が、30〜140cm3/100gであり、
前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1〜50質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。 - 上面カバーゴム層、補強層および下面カバーゴム層からなるコンベヤベルトであって、
前記下面カバーゴム層の少なくとも裏面表面が、請求項1〜4のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物により形成される、コンベヤベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009160972A JP5515461B2 (ja) | 2009-07-07 | 2009-07-07 | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009160972A JP5515461B2 (ja) | 2009-07-07 | 2009-07-07 | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011016876A JP2011016876A (ja) | 2011-01-27 |
JP5515461B2 true JP5515461B2 (ja) | 2014-06-11 |
Family
ID=43594906
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009160972A Expired - Fee Related JP5515461B2 (ja) | 2009-07-07 | 2009-07-07 | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5515461B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN117683285B (zh) * | 2024-02-02 | 2024-05-03 | 河北铁科翼辰新材科技有限公司 | 一种耐油高尺寸精度道岔橡胶垫板及其制备方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06340776A (ja) * | 1993-01-12 | 1994-12-13 | Michitsugu Kikuchi | 滑り易いゴム配合組成物 |
DE10012407A1 (de) * | 2000-03-15 | 2001-09-20 | Bayer Ag | Polyether enthaltende Kautschukmischungen |
JP4517554B2 (ja) * | 2001-08-02 | 2010-08-04 | 東レ株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物および成形品ならびにシャーシまたは筐体 |
DE102006008670A1 (de) * | 2006-02-24 | 2007-08-30 | Degussa Gmbh | Kautschukmischungen |
-
2009
- 2009-07-07 JP JP2009160972A patent/JP5515461B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011016876A (ja) | 2011-01-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4286298B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP5999014B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP2010095584A (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP5487567B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP5999267B2 (ja) | コンベヤベルト用コートゴム組成物 | |
JP5907211B2 (ja) | ゴム組成物及びこれを用いるコンベヤベルト | |
JP5262312B2 (ja) | コンベヤベルト用コートゴム組成物 | |
WO2012032896A1 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
WO2015054779A1 (en) | Rubber compositions and uses thereof | |
JP6620105B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物、及びコンベヤベルト | |
JP4561046B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP2004018752A (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP6904328B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP5515461B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
EP3483210A1 (en) | Rubber composition, conveyor belt, and belt conveyor | |
WO2018110396A1 (ja) | ゴム組成物、コンベアベルト用カバーゴム、及び、コンベアベルト | |
JPWO2019240252A1 (ja) | 金属コード−ゴム複合体並びにそれを用いたタイヤ用ベルト又はカーカス、及びタイヤ | |
JP2010013262A (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物、コンベヤベルトの製造方法およびコンベヤベルト | |
JP5482071B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト | |
JP4268946B2 (ja) | サイド補強用ゴム組成物およびそれを用いたランフラットタイヤ | |
US20200190290A1 (en) | Rubber composition, inner peripheral cover rubber, conveyor belt, and belt conveyor | |
JP4411941B2 (ja) | 空気浮上式コンベヤベルトカバー用ゴム組成物 | |
JP6772702B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物、及び、コンベヤベルト | |
JP7485925B2 (ja) | コンベヤベルト用ゴム組成物及びコンベヤベルト | |
JP2004210948A (ja) | ゴム組成物、その複合体及びそれを用いたタイヤ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120705 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130911 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20131001 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131202 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140304 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140317 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5515461 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |