JP2004018752A - コンベヤベルト用ゴム組成物およびコンベヤベルト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.12超0.20以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物、および、それを用いるコンベヤベルト。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンベヤベルト用ゴム組成物およびそれを用いるコンベヤベルトに関し、詳しくは、消費電力を低減できるコンベヤベルト用ゴム組成物およびそれを用いるコンベヤベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルトコンベヤは、資材等の輸送によく用いられているが、近年、輸送量の増大、輸送効率の向上等により、大型化および高強力化が要請され、全長が数kmにも及ぶものも少なくない。このため、設備コスト、消費電力が膨らんでおり、低コストおよび低消費電力のベルトコンべヤシステムが求められている。
【0003】
ベルトコンベヤ装置の改良等により、コスト低減および低消費電力化がなされている。例えば、速度制御により省エネルギー化したベルトコンべヤ装置が特開平7−206133号公報に記載されている。
【0004】
ベルトを構成するゴム特性の改良により、ベルトコンべヤの低コスト化および低消費電力化も検討されている。例えば、コンベヤベルトのプーリーに接触するベルト内面ゴムの物性ロスファクター(tanδ)および動的弾性率(E′)を、夫々0.04≦tanδ≦0.12、E′≧20kgf/cm2 としたことを特徴とするコンベヤベルトが、特開平11−139523号公報に記載されている。
【0005】
しかし、該技術は、tanδ値を小さくし低消費電力化を目的としたものであるが、tanδ値をあまりに小さくしすぎると破断強度(TB )および破断伸び(EB )も低下し、引裂き強さおよび耐疲労性に劣る場合があり、高物性のコンベヤベルトが要求されるコンベヤラインに用いることができないという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コンベヤベルトとしたときの消費電力が小さいコンベヤベルト用ゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、かつ、コンベヤベルトとしたときの消費電力が小さいコンベヤベルト用ゴム組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、これらのコンベヤベルト用ゴム組成物を用いる、消費電力の小さい、または、高破断強度、耐摩耗性等を維持し消費電力の小さいコンベヤベルトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、コンベヤベルトに用いられるゴム組成物が省電力化に与える影響について鋭意検討した結果、ゴム組成物の特定の物性を調整することにより省電力化が図れること、組成物の特定の物性について特定の条件式を満たす組成物が特に省電力化が図れること、および、特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックを用いると上記特定の物性の調整が容易で省電力化が図れ、かつ、高破断強度、耐摩耗性が維持できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)の発明を提供する。
なお、以下に示すゴム組成物の特定の物性は、加硫硬化後のものである。
(1)ゴム成分100質量部に対し、以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックを30〜65質量部含有するコンベヤベルト用ゴム組成物。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2 /g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上
ここで、カーボンブラックの配合量は、35〜60質量部が好ましい。
【0009】
(2)周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ここで、tanδは0.130以上0.180以下が好ましく、0.130以上0.170以下が特に好ましい。
【0010】
(3)下記式[1]に示すΔHが、0.23以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M(25) [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )、tanδは、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数、M(25)は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。
ΔHは、0.21以下が好ましく、0.19以下が特に好ましい。
【0011】
(4)下記式[2]に示すΔH(指数)が、0.50以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH(指数)=(SpGr(指数)×tanδ(指数))/M(25(指数)) [2]
ここで、「指数」とあるのは、従来コンベヤベルト用ゴム組成物として用いられている、横浜ゴム社製(JIS S級)のコンベヤベルト用ゴム組成物の各測定値を100とした場合の相対値である。
SpGr、tanδ、M(25)は上記(3)と同様である。
ΔH(指数)は、0.45以下が好ましく、0.40以下が特に好ましい。
【0012】
(5)周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であり、かつ、下記式[1]に示すΔHが、0.23以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M(25) [1]
ここで、SpGr、tanδ、M(25)は上記(3)と同様である。
tanδは0.130以上0.180以下が好ましく、0.130以上0.170以下が特に好ましい。ΔHは、0.21以下が好ましく、0.19以下が特に好ましい。
【0013】
(6)周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であり、かつ、下記式[2]に示すΔH(指数)が、0.50以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH(指数)=(SpGr(指数)×tanδ(指数))/M(25(指数)) [2]
ここで、「指数」とあるのは、上記(4)と同様であり、SpGr、tanδ、M(25)は、上記(3)と同様である。
tanδ(指数)は、0.650以下が好ましく、0.600以下が特に好ましい。ΔH(指数)は、0.50以下が好ましく、0.40以下が特に好ましい。
【0014】
(7)ゴム成分100質量部に対し、以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックを30〜65質量部含有する、(2)〜(6)のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2 /g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上
【0015】
(8)前記ゴム成分が、天然ゴムを30質量%以上含有する、(1)または(7)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(9)前記ゴム成分が、天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴム(SBR)との混合ゴムであり、天然ゴムの含量が30質量%以上である、(1)、(7)または(8)に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
(8)および(9)において、天然ゴムの含量は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
【0016】
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のゴム組成物を用いるコンベヤベルト。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、ベルトコンベヤ装置(システム)におけるエネルギーロス、特に、稼動時にコンベヤベルトがローラを乗り越える際に生じるエネルギーロスに注目して、該エネルギーロスを低減することにより、ベルトコンベヤ装置全体の消費電力を低減できるコンベヤベルト用ゴム組成物を提供することにある。
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」という場合がある)は、その特定の物性を特定の範囲に調整したゴム組成物である。
ここで、「特定の物性」とは、ゴム組成物が加硫硬化した後の物性であって、具体的には、損失係数tanδ、ΔH、ΔH(指数)、tanδおよびΔH、並びに、tanδおよびΔH(指数)であり、本発明のゴム組成物はこれらの特定の物性値が上記範囲を満たすことを特徴とする。
以下、上記特定の物性について説明する。
【0018】
本発明のゴム組成物の特定の物性の1つは、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδであり、この値が、0.120超0.200以下であることを特徴とする。
損失係数tanδは、ゴム組成物の動的性質を表す貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比、tanδ=E”/E’で表され、この値が小さいほどゴム組成物の変形の間に熱として散逸されるエネルギー量(エネルギーロス量)が小さいことを意味し、エネルギーロスの尺度として用いることができる。
一方、tanδ値が小さいと低消費電力化が可能になると考えられるが、tanδ値をあまりに小さくしすぎると破断強度(TB )および破断伸び(EB )も低下し、引裂き強さおよび耐疲労性に劣る場合がある。したがって、本発明では、低消費電力化と上記破断強度、破断伸び等の基本物性とを両立し、高物性のコンベヤベルトが要求されるコンベヤラインにも用いることができるようにtanδ値を特定の範囲にする。
つまり、本発明のゴム組成物のtanδは、0.120超0.200以下であり、好ましくは、0.130以上0.180以下であり、特に好ましくは、0.130以上0.170以下である。
なお、本発明において、上記基本物性は、例えば、破断強度(TB )、破断伸び(EB )、引裂き強さ(TrA)および硬度(Hs)で評価し、所定値以上であれば、基本物性に優れるとする。
【0019】
本発明のゴム組成物の特定の物性の1つは、下記式[1]に示すΔHであり、この値が、0.23以下であることを特徴とする。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M(25) [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )を表し、tanδは、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数を表し、M(25)は、25%伸び時における引張応力(MPa)を表す。
【0020】
上記式[1]は、従来タイヤの分野で用いられている路面との摩擦低減効率の目安となる式であるが、コンベヤベルト用ゴム組成物の消費電力の低減評価においても有効と考えられる。
コンベヤベルトのエネルギーロスにおいて、SpGr値が小さいと、総質量の低減が可能になることから小負荷と同等の低消費電力効果が得られる。tanδは、上記したように、ローラ乗り越え時のゴム組成物の変形によるエネルギーロスに影響する。tanδを特定の値にすることにより低消費電力効果が得られる。またM(25)は、ベルト剛性としての硬度の代用特性と考えることができゴム組成物の撓みの大小に影響する。M(25)値が大きいと撓みが小さくなり低消費電力効果が得られる。
したがって、SpGrとtanδの積をM(25)で除することにより、ゴム組成物がローラを乗り越える時のエネルギーロスを、これらの物性に基づいて総合的に判断でき、上記式[1]を、コンベヤベルト用ゴム組成物に適用することにより、ゴム組成物をコンベヤベルトとしたときの消費電力量の評価に有効である。
【0021】
上記ΔHは小さいほど、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できる。ベルトコンベヤシステムのエネルギーロスの要因は複数考えられるが、本発明は稼動時にコンベヤベルトがローラを乗り越える時のエネルギーロスに注目し低消費電力化を達成するものである。
本発明のゴム組成物では、ΔHは、0.23以下であり、好ましくは、0.21以下であり、特に好ましくは、0.19以下である。
この範囲であれば、ベルトとしての基本物性等を満足させつつ、エネルギーロス低減を達成できると考えられ、ローラ乗り越え時のゴム組成物のエネルギーロスを小さくでき、コンベヤベルトとしたときの消費電力も低減できる。
【0022】
上記式[1]において、SpGr、tanδおよびM(25)を、従来からコンベヤベルト用ゴム組成物として用いられている、横浜ゴム社製(JIS S級)のコンベヤベルト用ゴム組成物の各測定値を100とした場合の相対値で表した、SpGr(指数)、tanδ(指数)およびM(25(指数))で規定する下記式[2]を用いると、従来のコンベヤベルトとの比較がより容易となり、消費電力量の評価により有効である。
ΔH(指数)=(SpGr(指数)×tanδ(指数))/M(25(指数)) [2]
なお、上記式[2]は従来品と比較した指数を用いているが、上記式[2]、および、それに用いる各物性の技術的意義等は、上記式[1]と同様である。
ΔH(指数)は、上記式[1]で1.0未満であれば従来のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いるよりも消費電力量を低減できるといえる。
本発明では、消費電力量を有効に低減するには、ΔH(指数)は、0.5以下であり、好ましくは、0.45以下であり、特に好ましくは、0.40以下である。
この範囲であれば、他のエネルギーロスの要因にかかわらず、上記式[1]と同様に、ローラ乗り越え時のゴム組成物のエネルギーロスを小さくでき、コンベヤベルトとしたときの消費電力も低減できる。
【0023】
例えば、後述する実施例1は、ΔH(指数)が0.33であり消費電力の低減が可能と考えられる。その割合は、比較例1(ΔH(指数)が1.00)に対して約65%程度であるが、実際のベルトコンベヤシステムにおいては、本発明で想定していないエネルギーロス、例えば、システム起動時におけるエネルギーロス等により、約65%の消費電力を低減することはできない場合もあると考えられる。
しかし、ベルトコンベヤシステムにおいては、ローラ乗り越え時のゴム組成物のエネルギーロスがベルトコンベヤシステム全体のエネルギーロスに大きく影響すると考えられるため、損失係数tanδ、比重および引張応力のエネルギーロスに関与すると考えられる物性を用いて規定されるΔHおよびΔH(指数)は、コンベヤベルト用ゴム組成物としてのエネルギーロス量を評価するには、非常に有効である。
【0024】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、tanδ、ΔHおよびΔH(指数)のいずれかが上記値をとれば、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できるが、好ましくは、tanδとΔHまたはtanδとΔH(指数)が上記値を満たすと、基本物性等と低消費電力化を高い水準で両立できる。
すなわち、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であり、かつ、上記式[1]に示すΔHが、0.23以下であるのが好ましい。
ここで、tanδの好ましい範囲は上記と同様であり、0.130以上0.180以下が好ましく、0.130以上0.170以下が特に好ましい。ΔHの好ましい範囲は上記と同様であり、0.21以下が好ましく、0.19以下が特に好ましい。
【0025】
同様の理由により、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であり、かつ、上記式[2]に示すΔH(指数)が、0.50以下であるのが好ましい。
ここで、tanδの好ましい範囲は上記と同様であり、0.130以上0.180以下が好ましく、0.130以上0.170以下が特に好ましい。ΔH(指数)の好ましい範囲は上記と同様であり、0.50以下が好ましく、0.40以下が特に好ましい。
なお、上記式[2]を用いると従来のコンベヤベルトとの比較がより容易となり、消費電力量の評価により有効であるのは上記と同様である。
【0026】
本発明においては、ゴム組成物が上記特定の物性を満たせば、コンベヤベルトとしたときに消費電力量を低減できるが、ローラ乗り越え時におけるエネルギーロスは、ゴム組成物の硬さにも影響する。
そこで、本発明では、上記特定の物性を満たし、かつ、コンベヤベルト用ゴム組成物の硬度(JIS A)が、50以上であるのが好ましく、55以上が特に好ましい。この範囲であれば、ローラ乗り越え時におけるエネルギーロスを低減できる。
【0027】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上記特定の物性を満たすことを特徴とし、上記の特定の物性を満たすかぎり、該組成物に用いられるゴム(成分)、配合剤、添加剤等は特に限定されない。
上記特定の物性を満たすゴム組成物の調製が容易で、特に好適範囲に各物性を調整でき、コンベヤベルトとしたときの消費電力の低減が可能である点で、ゴム成分として天然ゴムを30質量%以上含有するのが好ましく、さらに、高破断強度、耐摩耗性を維持できるため、以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックをゴム成分100質量部に対し30〜65質量部含有するのが好ましい。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2 /g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上
【0028】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物に用いるゴム(成分)は、上記したように特に限定されず、コンベヤベルトに通常用いられるゴムを使用できる。具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴム(NBR、NIR等)等の未加硫ゴムが挙げられる。
これらのゴムの特性、例えば、スチレン量、アクリロニトリル量等は、任意に選択することができる。
【0029】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物に用いるゴム(成分)は、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)が好ましく、これらの混合物がより好ましい。
上記の天然ゴム(NR)等とスチレン−ブタジエンゴム(SBR)混合ゴムにおける天然ゴム(NR)の含量は特に限定されないが、上記特定の物性を満たすゴム組成物の調製が容易で、特に好適範囲に各物性を調整でき、コンベヤベルトとしたときの消費電力をより低減できるため、天然ゴム(NR)を30質量%以上含有するのが好ましく、耐摩耗性、耐カット性に特に優れる点で、40質量%以上含有するのがより好ましく、50質量%以上含有するのが特に好ましい。
【0030】
ここで、天然ゴム(NR)は、シス−1,4−ポリイソプレンが頭尾結合する構造を有するポリマーであり、一般に用いられる天然ゴム(NR)を使用することができる。
【0031】
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、スチレンとブタジエンとの共重合体であり、特にその組成は限定されないが、好ましくは、含有スチレン量が15〜35質量%、特に好ましくは20〜30質量%である。この範囲であると、上記した特定の物性の調整が容易であり、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できる。
また、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、乳化重合SBR、溶液重合SBRがあるが、いずれをも用いることができる。
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は、市販品を利用することができ、例えば、日本ゼオン(株)製のNipol系SBRを利用することができる。より具体的には、Nipol 1502(スチレン含量23.5質量%)等が挙げられる。
【0032】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物に用いるカーボンブラックは以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックである。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2 /g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上
これらの3特性を合わせ持つカーボンブラックを用いると、ゴム組成物の上記特定の物性を容易に所定の値に調整でき、特にtanδを上記範囲内に容易に調整できるためエネルギーロスも小さくなり、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できる。また、高破断強度、耐摩耗性を維持できる。
【0033】
窒素吸着比表面積(N2 SA)は、カーボンブラックの比表面積の尺度と考えられ、この値が80(m2 /g)超であると、ゴム組成物の上記特定の物性を満足できず、特にtanδが大きくなるためエネルギーロスも大きくなる傾向があり、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できない場合、または、コンベヤベルトとしたときの高破断強度、耐摩耗性に劣る場合がある。
窒素吸着比表面積(N2 SA)は、好ましくは78以下であり、特に好ましくは75以下である。
なお、窒素吸着比表面積(N2 SA)は、ASTMD3037−89に準拠して測定することができる。
【0034】
ヨウ素吸着量(IA)は、カーボンブラックの比表面積を測定する尺度と考えられ、この値が70(m2 /g)超であると、ゴム組成物の上記特定の物性を満足できず、特にtanδが大きくなるためエネルギーロスも大きくなる傾向があり、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できない場合、または、コンベヤベルトとしたときの高破断強度、耐摩耗性に劣る場合がある。
なお、ヨウ素吸着量(IA)は、JIS K 6221に準拠して測定することができる。
ヨウ素吸着量(IA)は、好ましくは68以下であり、特に好ましくは66以下である。
【0035】
ジブチルフタレート(DBP)吸油量は、カーボンブラック粒子間のストラクチャーの発達の程度を示す尺度であると考えられ、この値が100(cm3 /100g)未満であると、ゴム組成物の上記特定の物性を満足できず、特にtanδが大きくなるためエネルギーロスも大きくなる傾向があり、コンベヤベルトとしたときの消費電力を低減できない場合、または、コンベヤベルトとしたときの高破断強度、耐摩耗性に劣る場合がある。
なお、ジブチルフタレート(DBP)吸油量は、JIS K 6221に準拠して測定する。
ジブチルフタレート(DBP)吸油量は、好ましくは103(cm3 /100g)以上であり、特に好ましくは130(cm3 /100g)以上である。
【0036】
上記コロイダル特性を満たすカーボンブラックとしては、市販品を使用することができ、例えば、ショウブラックN330T(昭和キャボット(株)製)等が挙げられる。
【0037】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物中のカーボンブラックの配合量は、30〜65質量部である。
30質量部未満では、圧延加工性が劣り、引張強度が低下する場合があり、35質量部以上が好ましい。65質量部超では、ゴム組成物のtanδが増大する傾向にあり、また、組成物の粘度が高くなりムーニースコーチが短縮され、ヤケが生じて圧延ができなくなる場合があり、60質量部以下が好ましい。
カーボンブラックの配合量は、後述する実施例で示すように、損失係数tanδに大きく影響する。したがって、消費電力量と基本物性(例えば、破断強度等)のバランスを考慮して適宜配合量を選択するのが好ましい。
【0038】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上記したゴム成分および特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックの他に、加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤等の架橋剤、加硫遅延剤を含有し、さらに、本発明の目的を損わない範囲で、配合剤、ポリマー等を含有させてもよい。
加硫剤としては、イオウ系、有機過酸化物系、金属酸化物系、フェノール樹脂、キノンジオキシム等の加硫剤が挙げられる。
イオウ系加硫剤としては、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
有機過酸化物系の加硫剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられる。
その他として、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリン等が挙げられる。
【0039】
加硫促進剤としては、例えば、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系等の加硫促進剤が挙げられる。
アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(H)等;グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン等;チオウレア系加硫促進剤としては、例えば、エチレンチオウレア等;チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、2−メルカプトベンゾチアゾールおよびそのZn塩等;チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等;ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、例えば、Na−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等がそれぞれ挙げられる。
【0040】
加硫助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華、ステアリン酸やオレイン酸およびこれらのZn塩等が挙げられる。
【0041】
上記加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤の含量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。0.1質量部未満では、加硫が不十分でゴム組成物が柔らかく、エネルギーロスが大きくなる場合があり、10質量部を超えると、3次元架橋密度が高くなるためEBが小さくゴムの特性(伸縮性等)を損いコンベヤベルトの材料として適さない場合がある。
【0042】
また、本発明のゴム組成物には、加硫遅延剤を含有することもできる。
加硫遅延剤としては、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等の有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体等のニトロソ化合物;トリクロルメラニン等のハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール;サントガードPVI等が挙げられる。
加硫遅延剤の含量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜0.3質量部、好ましくは0.1〜0.2質量部である。0.1質量部未満では、加硫遅延効果が小さく圧延時のヤケを引き起こす場合があり、0.3質量部超では、加硫速度の低下により生産性の低下が懸念される場合がある。
【0043】
添加剤、配合剤としては、例えば、補強剤(充填剤)、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変成付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー(充填剤)、加工助剤等が挙げられる。
【0044】
本発明の組成物の製造は、上記のゴム、上記カーボンブラック、および、通常の各種添加剤等を加え、バンバリーミキサー等で混練し、ついで、混練ロール機等で加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤を混練して行うことができる。
【0045】
本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物は、上記特定の物性を満たすことにより、コンベヤベルトとしたときに消費電力量を低減でき、省電力化が図れる。
また、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物に特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックを配合すると、上記特定の物性を容易に満たすことができ、コンベヤベルトとしたときに消費電力量を低減でき、かつ、高破断強度、耐摩耗性を維持できる。
【0046】
本発明は、また、上記コンベヤベルト用ゴム組成物を用いたコンベヤベルトを提供する。ローラと接触する少なくとも裏側表面のゴム(図1において、外層16)に上記コンベヤベルト用ゴム組成物を用いるのが好ましい。
本発明のコンベヤベルトは、少なくとも上記裏側表面のゴムに上記本発明のゴム組成物を用いた消費電力を低減できるコンベヤベルトであれば、その構造等は特に限定されない。
以下、上記本発明のゴム組成物を用いたコンベヤベルトの一例を示して説明する。
【0047】
図1は、本発明のコンベヤベルトの一実施形態を模式的に示した断面図である。図1において、1はコンベヤベルト、2はカバーゴム層、3は芯体補強層、4は裏カバーゴム層、5は運搬物搬送面、11および16は外層、12および15は内層である。
図1に示したように、本発明のコンベヤベルト1は、芯体補強層3を中心層とし、その両側にカバーゴム層2と裏カバーゴム層4が設けられており、カバーゴム層2は外層11と内層12の2層から構成され、裏カバーゴム層4は外層16と内層15の2層から構成されている。カバーゴム層2、4の外層と内層(外層11と内層12、外層16と内層15)は、それぞれ互いに異なるゴム組成物を用いて形成されている。
【0048】
図1において、カバーゴム層2は、外層11と内層12の2層から構成されているが、本発明において、カバーゴム層2を構成する層の数は、2に限定されず、1でもよく、3以上であってもよい。そして、3以上の場合にも、これらの層は、互いに異なるゴム組成物を用いて形成される。
また、裏カバーゴム層4も同様である。
カバーゴム層2の運搬物搬送面5を構成する外層11は、耐熱性、耐摩耗性、耐油性等に優れたゴム組成物から形成されるのが好ましく、したがって、カバーゴム層2は2層から構成されるのが好ましい。
裏カバーゴム層4の裏側表面(ローラと接触する面)を構成する外層16は、上記したように、消費電力を低減するため、上記本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物から形成され、裏カバーゴム層4の内層15は、製造コスト削減等により他のゴム組成物から形成されるのが好ましく、したがって、カバーゴム層4は2層から構成されるのが好ましい。
【0049】
芯体補強層3の芯体としては、特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるものを適宜選択して用いることができ、例えば、綿布と化学繊維または合成繊維とからなるものにゴム糊を塗布、浸潤させたもの、RFL処理したものを折り畳んだもの、特殊織のナイロン帆布、スチールコード等が挙げられる。
芯体は、単独で用いてもよいし、2種以上のものを積層して用いてもよい。
芯体補強層3の形状も特に限定されず、図1に示すようにシート状であってもよく、ワイヤー状の補強線を並列に埋込むものであってもよい。
【0050】
上記カバーゴム層2の内層12および裏カバーゴム4の内層15を形成するゴム組成物としては、特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるゴム組成物を適宜選択して用いることができる。
該ゴム組成物は、単独で用いてもよいし、2種以上のものを混合して用いてもよい。
【0051】
上記カバーゴム層2の外層11を形成するゴム組成物としては、特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるゴム組成物を、該内層に要求される基本特性(例えば、耐熱性、耐摩耗性、耐油性等)に応じて適宜選択して用いることができる。
【0052】
本発明のコンベヤベルトの製造方法としては、特に限定されず、通常用いられる方法等を採用することができる。
例えば、まず、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ロール等を用いて原料を混練りした後、カレンダー等を用いて各カバーゴム層用にシート状に成形し、次に、得られた各層を芯体補強層を挟み込むように所定の順序で積層し、150〜170℃の温度で10〜60分間加圧することによりコンベヤベルトを製造することができる。
【0053】
本発明のコンベヤベルトは、少なくとも裏カバーゴムの外層に上記本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いるため、消費電力の低減、または、高破断強度、耐摩耗性等を維持し消費電力の低減ができる。
【0054】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物についてさらに詳細に説明する。
(実施例1〜10および比較例1〜4)
第1表および第2表に示す組成で配合(質量部)して、コンベヤベルト用ゴム組成物を調製した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
得られたコンベヤベルト用ゴム組成物について、ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム(ML5up)を測定した。得られた未加硫のゴム組成物をシート状に成形し、148℃、30分加熱加硫し、得られた加硫シートを試験片とし、損失係数(tanδ)、比重(SpGr)、引張応力M(25)、破断強度(TB )、破断伸び(EB )、硬度(HS (JIS−A))および引裂き強さ(TrA)を測定し、また、下記式[1]および[2]によりΔH(M25)およびΔH(M25(指数))を算出し評価した。その結果を第3表および第4表に示す。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M(25) [1]
ΔH(指数)=(SpGr(指数)×tanδ(指数))/M(25(指数)) [2]
【0058】
<損失係数(tanδ)>
東洋精機製作所製粘弾性スペクトロメータを用いて、20℃の測定温度下で、10%伸張させ、振幅±2%の振動を振動数10Hzで与え測定した。
【0059】
<比重(SpGr)>
比重の測定は、JIS K 6268に記載の方法に準拠して行った。
<引張応力(M(25))>
引張応力M(25)は、JIS K 6251に記載の方法に準拠して、25%伸び時における引張応力を測定した。
<ΔH>
上記測定値から、上記式[1]により、ΔHを求めた。
【0060】
<ΔH(指数)>
比較例1の各測定値(SpGr、tanδ、M(25))に対する、実施例1〜10および比較例2〜4の各測定値の相対値を計算した。
その後、上記式[2]により、ΔH(指数)を求めた。
【0061】
<ブランク引張試験>
JIS K 6251に記載の方法に準拠して、破断強度(TB )、破断伸び(EB )を測定した。なお、DIN−X級に定められているTB が25MPa以上、EB が450%以上であるのが好ましい。
硬度(HS )は、JIS K 6253に記載の方法に準拠して測定した。硬度は、50以上が好ましい。
【0062】
<引裂き強さTrA>
JIS K 6252に記載の方法に準拠して、引裂き強さ(TrA)を測定した。なお、引裂き強さは80N/mm以上が好ましい。
【0063】
<ムーニー粘度、ムーニースコーチ>
(1)ムーニー粘度
JIS K 6300に記載の方法に準拠して、L型ローターを用い、測定温度125℃の測定条件で、ローターのシャフトにかかるトルクを測定しムーニー単位で記録しムーニー粘度とした。
粘度−時間曲線を作り、この曲線における最低値を、最低ムーニー粘度とした。なお、最低ムーニー粘度は、90ムーニー単位以下が好ましい。
【0064】
(2)ムーニースコーチタイム(ML5up)
(1)に記載の測定条件で、ローターを回転させ、最低ムーニー粘度よりムーニー粘度が5ムーニー単位だけ上昇するまでに経過した時間(分)を測定した。ムーニースコーチタイム(ML5up)は15分以上が好ましい。
【0065】
<圧延加工性>
上記ムーニー粘度、ムーニースコーチタイムから、ロールによるシート状成形加工のし易さを順に「○」、「△」、「×」の3段階で評価した。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
第3表および第4表から分かるように、実施例1〜10のゴム組成物は、比較例1〜4のゴム組成物に比べて、tanδを上記範囲内に容易に調整でき、ΔHおよびΔH(指数)が非常に小さく、これらのゴム組成物を用いて作製するコンベヤベルトは、消費電力の低減に有効であることが分かる。すなわち、実際のベルトコンベヤにおいても十分な消費電力の低減が可能であると考えられる。
また、TB 、EB 、HS 、TrA、ムーニー粘度、ムーニースコーチ等の基本物性も、従来コンベヤベルトとして用いられている比較例1のゴム組成物と大きな相違はなく、また圧延加工性も良好で、高破断強度、耐摩耗性を維持できゴム組成物としての基本的な物性を保持したまま、消費電力の低減ができる。
【0069】
実施例および比較例では、以下のゴム、添加剤等を用いた。
天然ゴムはTECK BEE HANG製;SBR1は日本ゼオン(株)社製、Nipol1502、スチレン含量23.5%;SBR2は日本ゼオン(株)社製、Nipol1712、スチレン含量23.5%(27.27質量%のアロマオイル含有);BRは日本ゼオン(株)社製、Nipol BR 1220;カーボンブラック1は昭和キャボット(株)製、ショウブラックN220;カーボンブラック2は昭和キャボット(株)製、ショウブラックN339;カーボンブラック3は昭和キャボット(株)製、ショウブラックN335;カーボンブラック4は昭和キャボット(株)製、ショウブラックN330T;イオウは軽井沢精練所製、油処理硫黄;加硫促進剤1はノクセラーCZ−PO、大内新興化学社製;加硫促進剤2はノクセラーNS−P、大内新興化学社製;加硫遅延剤はサントガードPVI DS POWDER、フレキシス社製;亜鉛華は正同化学工業社製、亜鉛華3号;ステアリン酸は日本油脂社製、ビーズステアリン酸NY;老化防止剤1はサントフレックス6PPD、フレキシス社製;老化防止剤2はノクラック224、大内新興化学社製;ワックス1は精工化学社製、サンタイトR、ワックス2は大内新興化学社製、サンノック;オイルは昭和シェル社製、マシン油22を用いた。
【0070】
実施例および比較例に用いたカーボンブラックのコロイダル特性を第5表に示す。
【表5】
【0071】
上記実施例1のコンベヤベルト用ゴム組成物を裏カバーゴム層の外層に用いて、ベルトにしたときの消費電力量を評価した。
<コンベヤベルトの作製>
バンバリーミキサーにより混合したゴム組成物を、押出し圧延機によりカバーゴムの圧延を実施した。それらを最外層に用い、芯体部に補強材としてスチールコードを含むクッションゴムを用い、その上下面にカバーゴムを配置した未加硫ゴム積層体を大型プレスにより加硫することにより、コンベヤベルトを得た。
【0072】
同様にして、比較例1のコンベヤベルト用ゴム組成物を裏カバーゴム層の外層に用いたコンベヤベルトを作製し、消費電力を測定した。
【0073】
実施例1のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いたコンベヤベルトの消費電力量の評価は、上記比較例1のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いたコンベヤベルトの消費電力量に対する相対値で評価した。
コンベヤラインの先端側回転軸と後端側回転軸とを駆動する各モータを備えた全長7732mの従来使用されている装置を用いた。
その結果、実施例1のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いたコンベヤベルトの消費電力量は、比較例1のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いたコンベヤベルトの消費電力量100に対して、70であり、本発明のコンベヤベルト用ゴム組成物を用いるコンベヤベルトは消費電力の低減が実現できる。
【0074】
【発明の効果】
本発明により、コンベヤベルトとしたときの消費電力が小さいコンベヤベルト用ゴム組成物を提供できる。
また、本発明により、高破断強度、耐摩耗性等の基本物性を維持し、かつ、コンベヤベルトとしたときの消費電力が小さいコンベヤベルト用ゴム組成物を提供できる。
さらに、本発明により、これらのコンベヤベルト用ゴム組成物を用いる、消費電力の小さい、または、高破断強度、耐摩耗性等を維持し消費電力の小さいコンベヤベルトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のコンベヤベルトの一実施形態を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1:コンベヤベルト
2:カバーゴム層
3:芯体補強層
4:裏カバーゴム層
5:運搬物搬送面
11、16:外層
12、15:内層
Claims (7)
- ゴム成分100質量部に対し、以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックを30〜65質量部含有するコンベヤベルト用ゴム組成物。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2 /g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上 - 周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
- 下記式[1]に示すΔHが0.23以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M(25) [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )、tanδは、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数、M(25)は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。 - 周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数tanδが、0.120超0.200以下であり、かつ、下記式[1]に示すΔHが、0.23以下であるコンベヤベルト用ゴム組成物。
ΔH=(SpGr×tanδ)/M(25) [1]
ここで、SpGrは、20℃での比重(g/cm3 )、tanδは、周波数10Hz、動歪み2%、20℃における損失係数、M(25)は、25%伸び時における引張応力(MPa)である。 - ゴム成分100質量部に対し、以下に示すコロイダル特性を持つカーボンブラックを30〜65質量部含有する、請求項2〜4のいずれかに記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
1)窒素吸着比表面積(N2 SA)が80(m2 /g)以下
2)ヨウ素吸着量(IA)が70(mg/g)以下
3)ジブチルフタレート(DBP)吸油量が100(cm3 /100g)以上 - 前記ゴム成分が、天然ゴムを30質量%以上含有する、請求項1または5に記載のコンベヤベルト用ゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いるコンベヤベルト。
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