WO2023095812A1 - スチールコード-ゴム複合体及びタイヤ - Google Patents

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Definitions

  • the boron-containing compound is not particularly limited as long as it contains boron, and examples thereof include boric acid, ammonium borate, zinc borate, and tetrafluoroboric acid. Of these, boric acid is preferred from the viewpoint of availability, low cost, and the like. These may be used individually by 1 type, and may be used in combination of 2 or more types.
  • composition of the outermost surface of each steel wire produced as described above was determined using X-ray photoelectron spectroscopy (XPS, Quantum 2000, manufactured by ULVAC-PHI Co., Ltd.), phosphorus (P), zinc (Zn) and cobalt (Co) amounts (atomic %) were measured.
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Abstract

コバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムとスチールコードとの接着性に優れた、スチールコード-ゴム複合体を提供することを目的とする。 上記課題を解決するべく、本発明は、1本又は複数本のスチールワイヤを有するスチールコードに、ゴム組成物を被覆させてなる、スチールコード-ゴム複合体であって、 前記ゴム組成物は、ゴム成分と、下記一般式(1): [式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるアミン系老化防止剤と、を含み、前記スチールワイヤは、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、リンを0.3~1.7原子%、亜鉛を2.5~14原子%、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を0.01~2.0原子%含有するブラスめっき層を有することを特徴とする。

Description

スチールコード-ゴム複合体及びタイヤ
 本発明は、スチールコード-ゴム複合体及びタイヤに関するものである。
 自動車用タイヤ、ホース等、特に強度が要求されるゴム物品には、ゴムを補強して強度及び耐久性を向上させる目的で、スチールコード等の金属補強材を被覆ゴムで被覆したスチールコード-ゴム複合体が用いられている。ここで、かかるスチールコード-ゴム複合体が高い補強効果を発揮し、信頼性を得るためには、該被覆ゴムと金属補強材との間に安定かつ強力な接着が必要である。
 被覆ゴムと金属補強材との間にこうした高い接着性を発揮するスチールコード-ゴム複合体を得るため、亜鉛、真鍮等でめっきされたスチールコード等の金属補強材を硫黄が配合された被覆ゴムに埋設し、加熱加硫時にゴムの加硫と同時にこれらを接着させる、いわゆる直接加硫接着が広く用いられている。これまで、該直接加硫接着による前記被覆ゴムと金属補強材との間のさらなる接着性向上のため、該直接加硫接着に関する様々な検討が行われている。
 例えば、特許文献1には、ブラスめっきしたスチールワイヤを湿式伸線して製造された複数本のフィラメントを撚り合わせてなるスチールコード-ゴム複合体補強用スチールコードの製造方法において、スチールワイヤ伸線時に使用する湿式潤滑剤中に、スチールコードと被覆ゴムの接着改良剤としてレゾルシンを添加することにより、フィラメント表面にかかるレゾルシンを付着させる方法が開示されている。
 また、特許文献2には、使用するスチールワイヤ及びスチールコードの表面を酸性或いはアルカリ性の溶液で洗浄し、接着反応阻害剤であるリン化合物(スチールコード製造時使用の潤滑剤由来)を除去することで被覆ゴムとの接着性を向上させる技術が開示されている。
 しかしながら、特許文献1の技術では、スチールフィラメント伸線時の発熱によってレゾルシンが変質してしまうことがあり、その場合にはスチールコードと被覆ゴムの接着改良剤としての充分な効果を期待できないため、さらなる改善の必要があった。
 また、特許文献2の技術では、洗浄処理後のスチールコード表面における低減されたリン化合物の量や、銅と亜鉛との割合、その他の組成については具体的に示されておらず、かかる観点からのより詳細な検討も望まれていた。
 また、一般にタイヤ等に用いられている直接加硫接着における被覆ゴムと金属補強材との初期接着性を向上させるために、被覆ゴムに接着プロモーターであるコバルト塩を配合したゴム組成物が採用されているものの、被覆ゴムの劣化及び亀裂成長性等に対する耐久性の向上の観点からすれば、かかるコバルト塩を可能なかぎり低減するのが望ましい。
 そのため、特許文献3には、スチールコードとゴムとの初期接着性及び耐熱接着性の向上を目的として、めっき層の最表面において特定の金属(リン、亜鉛、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属)が特定の割合で存在するよう制御したスチールコードを開示している。
特開2004-66298号公報 特開2001-234371号公報 国際公開第2011/30547号
 特許文献2の技術によれば、コバルト等の接着促進剤を減少もしくは無添加とした場合にあっても、良好なゴムとスチールコードとの接着性を得ることができる。
 しかしながら、タイヤのようなゴム物品の高性能化に伴って、ゴムとスチールコードとの接着性については、ますます要求は厳しくなるものと考えられている。例えば、スチールコードとコーティングゴムとの接着において要求される性能としては、初期接着性だけでなく、タイヤが実使用時に劣化環境に曝された際に接着界面の劣化に起因する故障を生じないことや、タイヤ製造工程におけるトラブルの防止、配合コストの抑制等、様々な条件を満足することが必要となっている。
 また、環境への負荷の観点から、ゴムやスチールコードに含まれるコバルトは、できるだけ低減することが望ましく、コバルトを使用しない場合やコバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムとスチールコードとの接着性に優れる技術の開発が望まれていた。
 そのため、本発明の目的は、コバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムとスチールコードとの接着性に優れた、スチールコード-ゴム複合体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、スチールコード使用部材の耐久性に優れたタイヤを提供することにある。
 上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
 本発明のスチールコード-ゴム複合体は、1本又は複数本のスチールワイヤを有するスチールコードに、ゴム組成物を被覆させてなる、スチールコード-ゴム複合体であって、
 前記ゴム組成物は、ゴム成分と、下記一般式(1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
[式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるアミン系老化防止剤と、を含み、
 前記スチールワイヤは、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、リンを0.3~1.7原子%、亜鉛を2.5~14原子%、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を0.01~2.0原子%含有するブラスめっき層を有し、
 下記式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする。
 0.3≦A/(A+B)≦0.6 ・・・(I)
 0.06≦(A/(A+B))/C≦6 ・・・(II)
A:XPS法により測定された、前記ブラスめっき層の最表面における亜鉛の含有比率(原子%)
B:XPS法により測定された、前記ブラスめっき層の最表面における銅の含有比率(原子%)
C:前記ゴム組成物における前記アミン系防止剤の含有量(ゴム成分100質量部に対する質量部)
 上記構成によって、コバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムとスチールコードとの優れた接着性を実現できる。
 また、本発明のスチールコード-ゴム複合体では、前記ゴム成分が、イソプレン骨格ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。良好な耐久性を維持しつつ、ゴムとスチールコードとの接着性をより向上できるためである。
 さらに、本発明のスチールコード-ゴム複合体では、前記一般式(1)中のR及びRが、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることが好ましい。ゴムとスチールコードとの接着性をより向上できるためである。
 さらにまた、本発明のスチールコード-ゴム複合体では、前記ゴム組成物における前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。良好な耐久性を維持しつつ、ゴムとスチールコードとの接着性をより向上できるためである。
 なお、本発明のスチールコード-ゴム複合体では、前記ゴム組成物が、コバルト化合物を含まないことが好ましい。環境への負荷をより低減できるためである。
 本発明のタイヤは、上述した本発明のスチールコード-ゴム複合体を備えることを特徴とする。
 上記構成によって、スチールコード使用部材の優れた耐久性を実現できる。
 本発明によれば、コバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムとスチールコードとの接着性に優れた、スチールコード-ゴム複合体を提供できる。また、本発明によれば、スチールコード使用部材の耐久性に優れたタイヤを提供できる。
 以下に、本発明のスチールコード-ゴム複合体及びタイヤについて、その実施形態に基づいて詳細に説明する。
<スチールコード-ゴム複合体>
 本発明のスチールコード-ゴム複合体は、めっき層が形成された1本又は複数本のスチールワイヤを有するスチールコードに、ゴム組成物を被覆させてなる、スチールコード-ゴム複合体である。
(スチールコード)
 前記スチールコードを構成するスチールワイヤは、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、リンを0.3~1.7原子%、亜鉛を2.5~14原子%、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を0.01~2.0原子%含有するブラスめっき層を有する。
 ここで、前記スチールワイヤの最表面とは、かかるスチールワイヤ表面からその深さ方向の厚みがXPS(X線光電子分光)法により測定される領域を意味し、より具体的には、ブラスめっき層を有するスチールワイヤの表面にX線を照射した際に発生する光電子の放出深さに相当する数nm程度の厚みを意味する。
 前記スチールワイヤは、かかるスチールワイヤの最表面を上記XPS法により測定した際、その最表面に、リンが0.3~1.7原子%、好ましくは0.4~1.6原子%、より好ましくは0.5~1.5原子%の量で含まれる。
 リンの含有量が0.3原子%未満であると、スチールコードの活性が高く保存などの取り扱いに不備が生じやすくなったり、ゴムと複合化させるときの条件が狭くなったりする等のおそれがあり、1.7原子%を超えると、ブラスめっき付きスチールコードと被覆ゴムとの初期接着速度が低下するおそれがある。
 また、前記スチールワイヤの最表面には、亜鉛が2.5~14原子%、好ましくは4.95~13.5原子%、より好ましくは5.0~13原子%の量で含まれる。
 亜鉛の含有量が2.5原子%未満であると、得られるスチールコード-ゴム複合体の接着耐久性が不充分となるおそれがあり、14原子%を超えると、スチールコードと被覆ゴムとの初期接着速度が低下するおそれがある。
 さらに、前記スチールワイヤの最表面には、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属が0.01~2.0原子%、好ましくは0.02~1.5原子%、より好ましくは0.05~1.0原子%の量で含まれる。かかる金属が0.01原子%未満であると、被覆ゴムとの接着性が低下するおそれがあり、2.0原子%を超えてもやはり同様のおそれがある。
 ここで、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属としては、例えば、クロム(Cr)、鉄(Fe)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等が挙げられる。なかでも、コバルトが好ましい。コバルトは、さらなる接着性向上を図るべく、接着プロモーターとして通常多くの被覆ゴムに配合されるが、かかる被覆ゴム中に含有されるコバルトの量によっては、熱や湿気、酸化に対する被覆ゴム自体の耐久性が低下する要因となりかねない。しかしながら、かかるコバルトをブラスめっき付きスチールコードに存在させることで、被覆ゴム中のコバルト含有量を低減することができるとともに、ゴム物性の低下を効果的に抑制しつつコストを削減することも可能となる。
 そして、本発明のスチールコード-ゴム複合体においては、前記スチールワイヤが、下記式(I)を満たすことを特徴とする。
 0.3≦A/(A+B)≦0.6 ・・・(I)
 ここで、「A」は、XPS法により測定された、前記ブラスめっき層の最表面における亜鉛の含有比率(原子%)を示し、「B」は、XPS法により測定された、前記ブラスめっき層の最表面における銅の含有比率(原子%)を示す。
 前記スチールワイヤ最表面(前記ブラスめっき表面)での前記亜鉛及び前記銅の合計含有量に対する前記亜鉛の含有比率(A/(A+B))が上記範囲を満たすことで、ゴムとスチールコードとの間の接着性を向上させることができる。同様の観点から、前記比率(A/(A+B))は、0.35~0.6であることが好ましい。
 なお、前記スチールコードは、例えば、以下の方法により製造することができる。
 スチールワイヤの周面にブラスめっきを施し、次いで伸線加工を施す。かかるめっき組成は、通常銅が70質量%以下、好ましくは60~65質量%であり、亜鉛が30質量%以上、好ましくは35~40質量%である。得られたスチールワイヤの表面を、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を金属塩として含む水溶液に浸漬した後、これらスチールワイヤを複数本撚り合せてもよく、またこれらスチールワイヤを複数本撚り合せてスチールコードとした後、該スチールコードの表面を上記金属塩を含む水溶液に浸漬してもよい。
 かかる金属塩としては、水に対して高い溶解性を示す限り特に制限されないが、例えば、金属塩化物、炭酸金属塩、硝酸金属塩、硫酸金属塩、酢酸金属塩、クエン酸金属塩、グルコン酸金属塩、アセチルアセトン金属塩等が挙げられる。なかでも、この金属塩を含む水溶液が後述する好適なpH値を実現するには、酢酸金属塩であるのが好ましい。
 前記金属塩を含む水溶液は、その濃度が通常0.001~1mol/L、好ましくは0.005~0.5mol/L、より好ましくは0.01~0.2mol/Lであり、そのpHは通常5.7~7.6、好ましくは5.9~7.1である。上記範囲内の濃度とpH値とを有する金属塩を含む水溶液であると、ブラスめっきに悪影響を及ぼすおそれがないとともに、スチールコードの最表面において、リン、亜鉛及びイオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を所定の量で存在させることが可能となる。また、かかるpH値は、環境上や製造時における安全性に配慮する観点からも好適である。
 なお、前記金属塩を含む水溶液にスチールコードを浸漬する時間は、適宜設定すればよいが、通常0.05~30秒、好ましくは0.1~20秒である。
 このような浸漬処理を介することで、スチールワイヤ又はスチールコードの表面が洗浄され、本発明のスチールコード被覆用ゴム組成物で形成される被覆ゴムとの接着を阻害するといわれている成分(ZnO或いはリン化合物等)が程よく除去されることによって、前記スチールコードと被覆ゴムとの初期接着性をより向上させることができる。
 なお、前記ブラスめっき層の平均厚みは、特に限定はされないが、0.13~0.30μmであることが好ましい。前記ブラスめっき層の平均厚みが0.13μm未満では、鉄地が露出する部分が増加して初期接着性が阻害され、一方、0.30μmを超えると、ゴム物品使用中の熱によって過剰に接着反応が進行して、脆弱な接着しか得られなくなるおそれがある。
(ゴム組成物)
 本発明のスチールコード-ゴム複合体は、前記スチールコードを被覆するゴム組成物をさらに備える。ここで、前記ゴム組成物は、ゴム成分と、下記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤と、を含む。
・老化防止剤
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
[式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]
 前記ゴム組成物中に、上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤を含むことによって、ゴムのスチールコードとの接着面の劣化を抑えることができ、優れた接着性を長期間維持することができる。
 上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤は、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)と同様にフェニレンジアミン部分を含むものの、該フェニレンジアミン部分以外には二重結合を有しない点で、老化防止剤6PPDと異なるため、環境への負荷が少ない。
 また、一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤は、ゴム組成物の耐オゾン性を向上させ、老化後の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の維持率の低下を抑制する作用も有する。
 ここで、上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である。RとRは、同一でも異なってもよいが、合成上の観点から、同一であることが好ましい。
 また、前記一価の飽和炭化水素基の炭素数は、1~20が好ましく、3~10がより好ましく、6及び7が特に好ましい。飽和炭化水素基の炭素数が20以下であると、単位質量当たりのモル数が大きくなるため、老化防止効果が大きくなり、ゴムとスチールコードとの接着力低下をより抑制でき、ゴム組成物の耐オゾン性も向上する。同様の観点から、上記一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることが好ましい。
 ここで、前記一価の飽和炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、また、シクロアルキル基には、置換基としてさらにアルキル基等が結合していてもよい。
 前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,4-ジメチルペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられ、これらの中でも、1,4-ジメチルペンチル基が好ましい。
 前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
 また、上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤として、具体的には、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(老化防止剤CCPD)等が挙げられる。これらの中でも、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(CCPD)が好ましく、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)が特に好ましい。前記アミン系老化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 また、前記ゴム組成物中の前記アミン系老化防止剤の含有量は、特に限定はされないが、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上である場合には、ゴム組成物の耐オゾン性や、ゴムとスチールコードとの接着性を十分に確保することができ、老化後のゴム組成物の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の低下も十分に抑制することができる。一方、前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下の場合には、発熱性等のゴム物性への悪影響をより確実に抑えることができ、タイヤ用途に適したものとなる。
 さらに、ゴム組成物の耐オゾン性や、ゴムとスチールコードとの接着性の観点から、前記アミン系老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。さらにまた、前記アミン系老化防止剤の含有量は、他のゴム物性へ悪影響を抑える観点から、前記ゴム成分100質量部に対して4質量部以下であることがより好ましい。
 そして、本発明のスチールコード-ゴム複合体では、上述した、スチールワイヤ最表面(前記ブラスめっき表面)での亜鉛及び銅の合計含有量に対する亜鉛の含有比率(A/(A+B))と、前記ゴム組成物中の前記アミン系老化防止剤の含有量(B(前記ゴム成分100質量部に対する質量部))とが、下記式(II)を満たすことを特徴とする。
 0.06≦(A/(A+B))/C≦6 ・・・(II)
 前記スチールワイヤの、前記スチールワイヤ最表面(前記ブラスめっき表面)での亜鉛及び銅の合計含有量に対する亜鉛の含有比率を制御することによる接着力向上効果と、一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤による接着力を長期間維持する効果との相乗効果が得られ、ゴムとスチールコードとの接着性を長期間にわたって高めることが可能になる。
 つまり、本発明のスチールコード-ゴム複合体は、0.06≦(A/(A+B))/C≦6を満たすことによって、コバルトの含有量が少ない場合であっても、優れたゴムとスチールコードとの接着性を安定的に実現できる。同様の観点から、前記(A/(A+B))/Cは、0.12~3であることが好ましい。
 なお、前記ゴム組成物は、上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤以外の老化防止剤(その他の老化防止剤)を含むことができる。前記その他の老化防止剤としては、例えば、キノリン系老化防止剤が挙げられる。該キノリン系老化防止剤は、キノリン部分又はその誘導体部分(ジヒドロキノリン部分等)を有する老化防止剤である。
 前記キノリン系老化防止剤は、前記ゴム組成物に含有することで耐オゾン性を向上させ、老化後の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の維持率の低下を抑制する作用を有する。
 前記キノリン系老化防止剤は、ジヒドロキノリン部分を有することが好ましく、1,2-ジヒドロキノリン部分を有することがより好ましい。
 前記キノリン系老化防止剤として、具体的には、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体(老化防止剤TMDQ)、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、6-アニリノ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等が挙げられる。
 前記キノリン系老化防止剤は、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体(老化防止剤TMDQ)を含むことが好ましい。2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体を含むキノリン系老化防止剤は、ゴム組成物の耐オゾン性を向上させる効果が高く、また、ゴム組成物を変色させ難いという利点も有する。
 なお、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体としては、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの二量体、三量体、四量体等が挙げられる。
 前記ゴム組成物中のキノリン系老化防止剤の含有量は、前記アミン系老化防止剤の含有量に対する前記キノリン系老化防止剤の含有量の質量比で0.27~0.7の範囲であることが好ましい。
 例えば、ゴム物性への悪影響を抑えつつ、耐オゾン性を十分に確保し、老化後の接着性や、ゴム組成物の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の低下を十分に抑制できる観点からは、前記キノリン系老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。前記キノリン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上の場合には、ゴム組成物の耐オゾン性を十分に確保することができ、老化後の接着性や、ゴム組成物の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の低下を十分に抑制することができる。一方、キノリン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下の場合には、ゴム物性(発熱性等)への悪影響を抑え、タイヤ用途に適したものとすることができる。
 また、耐オゾン性や接着性をより高める観点から、前記ゴム組成物中のキノリン系老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好まし。さらに、他のゴム物性へ悪影響をより確実に抑える観点から、前記ゴム成分100質量部に対して4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
・ゴム成分
 前記ゴム組成物中のゴム成分は、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
 例えば、前記ゴム成分として、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム及びその他の変性天然ゴムの他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)、クロロプレンゴム(CR)等の各種合成ゴム等のジエン系ゴムが挙げられる。
 なお、前記ゴム成分は、本発明の効果を損なわない限度において、非ジエン系ゴムを含むこともできる。
 また、前記ゴム成分は、低ロス性を低下させることなく、耐久性を向上できる観点からは、前記ジエン系ゴムとして、イソプレン骨格ゴム(天然ゴム、合成イソプレンゴム等のイソプレン単位を主たる骨格とするゴム)、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
・硫黄
 また、前記ゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。前記ゴム組成物が硫黄を含むことで、加硫可能となり、ゴム組成物の耐久性が向上する。
 前記硫黄としては、種々の硫黄を使用できるが、不溶性硫黄よりも普通の硫黄(可溶性硫黄(粉末硫黄)等)が好ましく、また、オイルトリート硫黄等も好ましい。ここで、不溶性硫黄は、二硫化炭素に対して不溶な硫黄(無定形の高分子硫黄)であり、可溶性硫黄(粉末硫黄)は、二硫化炭素に対して可溶な硫黄である。
 前記硫黄の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部の範囲であることが好ましく、1~10質量部の範囲であることがより好ましく、1~5質量部の範囲であることがさらに好ましい。
・充填材
 さらに、前記ゴム組成物は、必要に応じて、充填材を配合することができる。前記充填材としては、例えばカーボンブラックが挙げられる。前記カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
 さらにまた、前記ゴム組成物は、前記充填材としてシリカを用いることもできる。シリカを用いる場合は、シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定する)は40~350m/gであることが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が80~350m/gの範囲にあるシリカがさらに好ましく、BET表面積が120~350m/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。
 また、前記シリカの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
 さらに、前記カーボンブラックと前記シリカの総配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下にすることが好ましい。
 前記シリカの種類については、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
 上述した中でも、前記シリカは、湿式シリカであることが好ましく、沈降シリカであることがより好ましい。これらのシリカは、分散性が高く、低発熱性の改善を図り、且つ、耐亀裂性をより向上できる。なお、沈降シリカとは、製造初期に、反応溶液を比較的高温、中性~アルカリ性のpH領域で反応を進めてシリカ一次粒子を成長させ、その後酸性側へ制御することで、一次粒子を凝集させる結果得られるシリカのことである。
 また、前記シリカは、市販品でもよく、例えば、ローディア社のZeosilPremium 200MP(商品名)として、入手することができる。
 なお、前記シリカは、一種のみ用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
 前記ゴム組成物がシリカ充填する場合、さらにシランカップリッグ剤を配合することができる。シランカップリング剤としては、例えばビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシーリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン及び3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
 さらにまた、前記カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、シランカップリング剤の好ましい配合量は、質量比(シランカップリング剤/シリカ)が(1/100)~(20/100)であることが好ましい。(1/100)以上であれば、ゴムの低発熱性向上の効果をより好適に発揮することとなり、(20/100)以下であれば、タイヤ用ゴムのコストが低減し、経済性が向上するからである。さらには好ましくは、質量比(3/100)~(20/100)であり、特に好ましくは、質量比(4/100)~(10/100)である。
・ホウ素化合物
 また、前記ゴム組成物は、スチールコードと被覆ゴムとの間における接着耐久性をより向上させる観点及び防錆効果を充分に発揮させる観点から、ホウ素含有化合物をさらに含むこともできる。
 具体的には、前記ゴム成分100質量部に対し、かかるホウ素含有化合物をホウ素換算で0.005~0.08質量部、好ましくは0.01~0.06質量部、より好ましくは0.02~0.055質量部の量で含むのが好適である。ホウ素含有化合物のホウ素換算量が0.005質量部未満であると、スチールコードと被覆ゴムとの間における接着耐久性を充分に向上させることができないおそれがあり、0.08質量部を超えると、ゴムの初期加硫速度が低下するおそれがあり、スチールコードと被覆ゴムとの初期接着速度の低下をもたらす要因ともなり得る。
 なお、前記ホウ素含有化合物としては、ホウ素を含有するものであれば特に制限されないが、例えば、ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛及びテトラフルオロホウ酸が挙げられる。なかでも、入手容易性、低廉である等の観点から、ホウ酸が好適である。これらは一種単独で用いてもよく、二種以上組み合わせて用いてもよい。
・その他成分
 なお、前記ゴム組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば、加硫促進剤、ビスマレイミド化合物、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、樹脂、ワックス、オイル等の、ゴム工業界で通常使用されている添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜含むことができる。
 前記その他の成分の中でも、前記ゴム組成物は、加硫促進剤をさらに含むことが好ましい。
 前記加硫促進剤を含むことによって、加硫を促進させ、前記ゴム組成物の加硫後の強度をより高めることができる。
 前記加硫促進剤の種類については、特に限定はされず、グアニジン系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の加硫促進剤が挙げられる。これらの加硫促進剤は、一種のみ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
 また、上述した加硫促進剤の中でも、前記ゴム組成物の加硫後の強度をより高めることができる観点からは、スルフェンアミド系の加硫促進剤を用いることが好ましい。
 前記スルフェンアミド系の加硫促進剤としては、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-メチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-エチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-プロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ヘプチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オクチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-2-エチルヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-デシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ドデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ステアリル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジメチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジエチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジヘプチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジオクチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジ-2-エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジドデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジステアリル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。
 これらの中でも、前記加硫促進剤は、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを少なくとも含むことがより好ましい。
 さらに、前記加硫促進剤の含有量は、加硫後のゴム組成物の低発熱性と耐亀裂性とをさらに向上する観点から、ゴム成分100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、また、2.0質量部以下であることが好ましく、1.8質量部以下であることがより好ましく、1.6質量部以下であることがさらに好ましい。
 また、前記その他成分のうち、亜鉛華(ZnO)については、加硫促進助剤として用いられる。
 前記ゴム組成物が亜鉛華をさらに含むことによって、加硫を促進させ、前記ゴム組成物の加硫後の強度をより高めることができる。
 ここで、前記亜鉛華の含有量については、特に限定はされないが、前記ゴム組成物の低発熱性と耐亀裂性とをさらに向上する観点からは、前記ゴム成分100質量部に対して、5~13質量部であることが好ましく、7~10質量部であることがより好ましい。
 なお、前記ゴム組成物は、ゴムとコードとの接着性を高める観点からは、コバルト化合物を含むこともできる。コバルト化合物の種類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
 ただし、前記ゴム組成物は、環境への負荷の観点からは、コバルトを含まない(コバルトフリー)のゴム組成物であることが好ましい。なお、前記ゴム組成物中にコバルトを含まないとは、ゴム組成物中に積極的にコバルトを配合しないことを意味し、不可避的にコバルトが含まれる場合や、スチールコードからゴムへと移行したコバルトは除くものとする。
 なお、前記ゴム組成物の製造方法は、特に限定はされない。
 例えば、上述した各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を使用して混練りすることによって製造することができる。
 また、前記ゴム組成物の各成分の混練は、全一段階で行ってもよく、二段階以上に分けて行ってもよい。
 ここで、なお、前記スチールコードを前記ゴム組成物によって被覆する方法としては、特に限定はされないが、例えば以下に示す方法を用いることができる。
 前記めっき処理された所定の本数のスチールコードを、所定の間隔で平行に並べ、これらのスチールコードを上下両側から、前記ゴム組成物からなる厚さ0.5mm程度の未加硫のゴムシートでコーティングした後、例えば160℃程度の温度で、20分間程度加硫処理する。
 このようにして得られたスチールコード・ゴム複合体は、ゴムとコードとの接着性に優れる。
 なお、本発明のスチールコード・ゴム複合体の用途は、特に限定はされない。例えば、各種自動車用タイヤ、ホース、ゴムクローラなど、特に強度が要求されるゴム物品に用いられる補強材として用いることができる。特に、各種自動車用ラジアルタイヤのベルト、カーカスプライ、ワイヤーチェーファーなどの補強部材として好適に用いることができる。
<タイヤ>
 本発明のタイヤは、上述した本発明のスチールコード-ゴム複合体を備えることを特徴とする。
 タイヤを構成する部材として、本発明のスチールコード-ゴム複合体を用いることによって、ゴムとスチールコードとの接着性を改善できるため、スチールコード-ゴム複合体を使用した部材の耐久性を向上させることができる。
 また、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
 なお、本発明のタイヤの製造方法は特に限定されず、常法に基づき製造することができる。一般に、各種成分を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で各部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが製造される。例えば、ゴム組成物を混練の上、得られたゴム組成物でスチールコードをゴム引きして未加硫のベルト、未加硫のカーカス、及び他の未加硫部材を積層し、未加硫積層体を加硫することでタイヤを得ることができる。
 以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1、比較例1~3>
 表2に示す成分組成A、B又はCに従って、ゴム組成物を調製した。
 その後、後述するスチールコード1及び2を、ゴム組成物で被覆し、評価を行った。
 各実施例及び比較例のサンプルの、被覆したゴム組成物の種類、スチールコードの種類、A(ブラスめっき層の最表面における亜鉛の含有比率)、B(ブラスめっき層の最表面における銅の含有比率)、C(一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤の含有量)、A/(A+B)及び(A/(A+B))/Cについては、表1に示す。
 なお、各実施例及び比較例の中で用いられる、スチールコード1及び2は次の通り作製した。
(1)スチールコード1
 銅 63.0質量%、亜鉛 37.0質量%、にて、銅、亜鉛の順に直径1.7 mmのスチールワイヤにブラスめっきを繰り返し、その後 550℃において5秒間熱拡散処理を行い、所望する二元系めっきを得た後、伸線加工を施し、めっき平均厚み0.25μm、直径0.30mmのスチールワイヤを得た。得られた各スチールワイヤを用いて、1×3×0.30(mm)構造の撚りコードであるスチールコード1を作製した。
(2)スチールコード2
 上述したスチールコード1と同様の条件でスチールコードを得た後、得られたスチールコードを0.1mol/Lの酢酸コバルト水溶液中に10秒間浸漬させ、余分な付着液をエアーブローで除去した後、50℃で30秒間乾燥させることで、スチールコード2を作製した。
 なお、上記の通り作製した各スチールワイヤの最表面の組成は、X線光電子分光(X-ray photoelectron Spectroscopy:XPS、Quantum 2000、アルバックファイ(株)製)を用いて、リン(P)、亜鉛(Zn)及びコバルト(Co)の量(原子%)を測定した。
<評価>
 以下の条件で、各サンプルのスチールコード-ゴム複合体の初期接着性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)初期接着性
 上述したスチールコード1及び2を、等間隔で平行配列したものの両面を、上記各ゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを用いて被覆し、145℃で20分間加硫して、ゴム組成物とスチールコードとを接着させた。このようにして、厚さ2mmのゴムシートにスチールコードが埋設された、スチールコード-ゴム複合体を得た。
 加硫直後の各サンプルからスチールコードを剥離し、スチールコードに付着しているゴムの被覆率を、目視観察にて0~100%で決定して初期接着性の指標とした。得られた被覆率を表1に示す。なお、被覆率は高いほど初期接着性に優れることを示す。
(2)湿熱接着性
 上述したスチールコード1及び2を、等間隔で平行配列したものの両面を、上記各ゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを用いて被覆し、145℃で40分間加硫して、ゴム組成物とスチールコードとを接着させた。このようにして、厚さ2mmのゴムシートにスチールコードが埋設された、スチールコード-ゴム複合体を得た。
 得られたスチールコード-ゴム複合体を、75℃、相対湿度95%雰囲気下で7日間劣化させた後、各サンプルからスチールコードを剥離し、スチールコードに付着しているゴムの被覆率を目視観察にて0~100%で決定し、温熱劣化性の指標とした。得られた被覆率を表1に示す。なお、被覆率は高いほど湿熱接着性に優れることを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
1* 老化防止剤1:アミン系老化防止剤、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン
2* 老化防止剤2:アミン系老化防止剤、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン
3* コバルト塩:ネオデカン酸コバルトホウ素化合物
4* その他薬品:表2に記載した各成分以外に含有する成分の合計量
 表1の結果から、実施例のサンプルについては、各比較例のサンプルに比べて、初期接着性について優れた効果を示すことがわかる。
 本発明によれば、コバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムとスチールコードとの接着性に優れた、スチールコード-ゴム複合体を提供できる。また、本発明によれば、スチールコード使用部材の耐久性に優れたタイヤを提供できる。
 

Claims (6)

  1.  1本又は複数本のスチールワイヤを有するスチールコードに、ゴム組成物を被覆させてなる、スチールコード-ゴム複合体であって、
     前記ゴム組成物は、ゴム成分と、下記一般式(1):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるアミン系老化防止剤と、を含み、
     前記スチールワイヤは、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、リンを0.3~1.7原子%、亜鉛を2.5~14原子%、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を0.01~2.0原子%含有するブラスめっき層を有し、
     下記式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする、スチールコード-ゴム複合体。
     0.3≦A/(A+B)≦0.6 ・・・(I)
     0.06≦(A/(A+B))/C≦6 ・・・(II)
    A:XPS法により測定された、前記ブラスめっき層の最表面における亜鉛の含有比率(原子%)
    B:XPS法により測定された、前記ブラスめっき層の最表面における銅の含有比率(原子%)
    C:前記ゴム組成物における前記アミン系防止剤の含有量(ゴム成分100質量部に対する質量部)
  2.  前記ゴム成分が、イソプレン骨格ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載のスチールコード-ゴム複合体。
  3.  前記一般式(1)中のR及びRが、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスチールコード-ゴム複合体。
  4.  前記ゴム組成物における前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のスチールコード-ゴム複合体。
  5.  前記ゴム組成物は、コバルト化合物を含まないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のスチールコード-ゴム複合体。
  6.  請求項1~5のいずれか1項に記載のスチールコード-ゴム複合体を備えることを特徴とする、タイヤ。
     
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011030547A1 (ja) * 2009-09-09 2011-03-17 株式会社ブリヂストン ブラスめっき付きスチールコード及びスチールコード-ゴム複合体並びにこれらを用いたタイヤ
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