WO2023095808A1 - 金属コード被覆用ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

金属コード被覆用ゴム組成物及びタイヤ Download PDF

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Abstract

劣化環境に曝された際にも優れた接着性を有する金属コード被覆用ゴム組成物を提供することを目的とする。 前記課題を解決するべく、本発明は、ゴム成分と、ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物と、一般式(1):[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるアミン系老化防止剤と、を含み、前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物の含有量(A)と、前記アミン系老化防止剤の含有量(B)と、の質量比(A/B)が、0.004~100であることを特徴とする。

Description

金属コード被覆用ゴム組成物及びタイヤ
 本発明は、金属コード被覆用ゴム組成物及びタイヤに関するものである。
 従来から、自動車用などのタイヤ、工業用ベルト、ゴムクローラ等の強度が要求されるゴム物品には、ゴムを補強して強度及び耐久性を向上させる目的で、ゴム組成物中に金属材料を埋設したゴム- 金属複合体が用いられている。ここで、かかるゴム- 金属複合体が高い補強効果を発揮するためには、金属材料とゴム組成物とを安定かつ強力に接着することが必要である。
 一般に、金属材料とゴム組成物との間の高い接着性を実現するため、亜鉛、ブラス(黄銅:Cu、Zn)等でめっきされたスチールコード等の金属体を、硫黄を含むゴム組成物で被覆し、該ゴム組成物の加硫と同時にこれらを接着〔ゴム金属接着層(CuxS)等を形成して接着〕させる、いわゆる直接加硫接着が広く用いられている。
 例えば、高い耐水接着性を有するゴム- 金属複合材およびそれを用いた空気入りタイヤを提供するために、ジエン系ゴム100質量部に対しベンゾチアゾール系防錆剤及び/又はベンゾトリアゾール系防錆剤を0.05~10質量部配合してなるゴム組成物に、直接加硫接着により、ブラス(黄銅)めっきされたスチールコードなどの金属製補強コードを埋設させてなるゴム-金属複合材、並びに、該ゴム-金属複合材を用いた空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
 ただし、特許文献1のゴム-金属複合材において、ゴム組成物にベンゾチアゾール系防錆剤、ベンゾトリアゾール系防錆剤などを用いると、初期接着に悪影響を及ぼすという問題がある。特に、ベンゾチアゾール系防錆剤、ベンゾトリアゾール系防錆剤などの含窒素環化合物にベンゼン環を有する場合には、ゴムとの相溶性が高く、金属材料表面を十分に保護できない点に課題があり、また、該含窒素環化合物にメルカプト基(-SH)を有すると加硫時に悪影響が生じ、初期接着を確保できなかったり、さらに、長鎖のアルキル基を有するとゴムとの相溶性が高く、金属材料表面を十分に保護できないなどの課題がある。
 そのため、特許文献2には、ゴム中に配合された特定の含窒素環化合物によって、ゴム金属接着層等の形成を好適にコントロールし、金属材料の表面が保護されることによって、過大なゴム金属接着層の形成を防止し、金属との接着力を高める技術が開示されている。
特開2011-241391号公報 特開2014-231580号公報
 特許文献2の技術によれば、良好なゴムとスチールコードとの接着性を得ることができる。
 しかしながら、近年、タイヤのようなゴム物品の高性能化に伴って、ゴムとスチールコードとの接着性については、ますます要求は厳しくなるものと考えられており、スチールコードとコーティングゴムとの接着において要求される性能としては、初期接着性だけでなく、タイヤが実使用時に劣化環境に曝された際に接着界面の劣化に起因する故障を生じないことや、タイヤ製造工程におけるトラブルの防止、配合コストの抑制等、様々な条件を満足することが必要となっている。
 また、環境への負荷の観点から、ゴムやスチールコードに含まれるコバルトは、できるだけ低減することが望ましく、コバルトを使用しない場合やコバルトの使用量が少ない場合であっても、ゴムと金属コードとの接着性に優れる技術の開発が望まれていた。
 そのため、本発明の目的は、劣化環境に曝された際にも優れた接着性を有する金属コード被覆用ゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ゴムと金属コードとの接着性に優れた部材を備えるタイヤを提供することにある。
 上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、ゴム成分と、
 ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物と、
 下記一般式(1):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
[式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるアミン系老化防止剤と、を含み、
 前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物の含有量(A)と、前記アミン系老化防止剤の含有量(B)と、の質量比(A/B)が、0.004~100であることを特徴とする。
 上記構成によって、劣化環境に曝された際にも優れた接着性を実現できる。
 また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.02~10質量部であることが好ましい。初期接着性及び劣化環境に曝された際の接着性をより高いレベルで両立できるためである。
 さらに、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記含窒素環状化合物が、トリアゾール、トリアゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。劣化環境に曝された際の接着性をより向上できるためである。
 また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記トリアゾール誘導体又は前記イミダゾール誘導体が、側鎖に炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアミノアルキル基又はアミノ基を有することが好ましい。初期接着性及び劣化環境に曝された際の接着性をより高いレベルで両立できるためである。
 さらに、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。初期接着性及び劣化環境に曝された際の接着性をより高いレベルで両立できるためである。
 また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記ゴム成分が、イソプレン骨格ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。良好な耐久性を維持しつつ、劣化環境に曝された際の接着性をより向上できるためである。
 さらにまた、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記一般式(1)中のR及びRが、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることが好ましい。劣化環境に曝された際の接着性をより向上できるためである。
 本発明のタイヤは、上述した本発明の金属コード被覆用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
 上記構成によって、ゴムと金属コードとの接着性に優れた部材を備えることができる。
 本発明によれば、劣化環境に曝された際にも優れた接着性を有する金属コード被覆用ゴム組成物を提供することが可能となる。また、本発明によれば、ゴムと金属コードとの接着性に優れた部材を備えるタイヤを提供することが可能となる。
 以下に、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物及びタイヤを、その実施形態に基づいて詳細に説明する。
<金属コード被覆用ゴム組成物>
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、ゴム成分と、ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物と、アミン系老化防止剤と、を含む。
 以下、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物の構成成分について説明する。
(ゴム成分)
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物のゴム成分については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。
 例えば、前記ゴム成分として、例えば、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム、脱蛋白天然ゴム及びその他の変性天然ゴムの他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)、ハロゲン化ブチルゴム(HR)、クロロプレンゴム(CR)等の各種合成ゴム等のジエン系ゴムが挙げられる。
 なお、前記ゴム成分は、本発明の効果を損なわない限度において、非ジエン系ゴムを含むこともできる。
 また、前記ゴム成分は、低ロス性等の物性を低下させることなく、耐久性を向上できる観点からは、前記ジエン系ゴムとして、イソプレン骨格ゴム(天然ゴム、合成イソプレンゴム等のイソプレン単位を主たる骨格とするゴム)、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
(ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物)
 また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、前記ゴム成分に加えて、ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物を含む。
 ゴム中に配合された特定の含窒素環化合物によって、ゴム金属接着層等の形成を好適にコントロールし、金属材料の表面が保護されることによって、過大なゴム金属接着層の形成を防止し、金属との接着力を大きく増大させることができる。
 用いることができる含窒素環状化合物としては、ベンゼン環及びメルカプト基を有しない含窒素環状化合物であれば制限されないが、コスト、本発明の効果が高い点から、トリアゾール、トリアゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
 ここで、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体については、側鎖に炭素数1~3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)、炭素数1~3のアミノアルキル基(アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基)、又は、アミノ基を有することが好ましい。
 具体的に用いることができるトリアゾール及びトリアゾール誘導体としては、例えば、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、1-メチル-1,2,3-トリアゾール、2-メチル-1,2,3-トリアゾール、4-メチル-1,2,3-トリアゾール、4,5-ジメチル-1,2,3-トリアゾール、1-メチル-1,2,4-トリアゾール、3-メチル-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール、3,5-ジエチル-1,2,4-トリアゾールなどが挙げられ、これらは、一種を単独で用いても良いし、二種以上組み合わせて用いても良い。
 また、具体的に用いることができるイミダゾール及びイミダゾール誘導体としては、例えば、イミダゾール、2-アミノイミダゾール、4-アミノイミダゾール、5-アミノイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-メチル-4-エチルイミダゾールなどが挙げられ、これらは、一種を単独で用いても良いし、二種以上組み合わせて用いても良い。
 これらの中でも、本発明の効果を更に発揮せしめる点などから、トリアゾール及びトリアゾール誘導体が好ましく、特に好ましくは、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、3ーアミノ-1,2,4-トリアゾール、4ーアミノ-1,2,4-トリアゾール、イミダゾールから選択されたものであることが望ましい。
 なお、上記で具体的に例示した含窒素環状化合物は、既知であり、市販品(試薬を含む)が存在する場合には当該市販品を用いてもよいし、また、自ら合成することによりこれを入手してもよい。含窒素環状化合物を自ら合成する製法については、本願出願時の技術常識を参酌することにより、当業者には自明である。
 本発明では、ゴム組成物に上記ベンゼン環及びメルカプト基を有しない含窒素環状化合物を用いることにより、ゴム中に配合された該含窒素環化合物によって、ゴム金属接着層等の形成を好適にコントロールし、金属材料の表面が保護されることによって、過大なゴム金属接着層の形成を防止し、金属との接着力を大幅に増大させ、加硫時に悪影響を及ぼすことなく、目的の金属との初期接着性、劣化環境に曝された際の接着性に優れ、被覆ゴムの耐久性に優れたものすることができる。
 なお、本発明の範囲外となるベンゼン環を有する含窒素環状化合物、例えば、ベンゾトリアゾール類ではゴムとの相溶性が高く、金属材料表面を十分に保護できないものとなり、また、該化合物にメルカプト基(-SH)を有する場合、例えば、トリアゾール誘導体であってもメルカプト基(-SH)を有する3-メルカプト-1,2-トリアゾールなどでは、加硫時に悪影響が生じ、初期接着を確保できなくなったり、さらに、長鎖のアルキル基を有する場合、例えば、炭素鎖長の長さが8以上の化合物などでは、ゴムとの相溶性が高く、金属材料表面を十分に保護できないものとなる。
 また、前記含窒素環状化合物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、0.02~10質量部であることが好ましく、0.1~5質量部であることがより好ましい。
この含窒素環状化合物の含有量が、ゴム成分100質量部に対し、0.02質量部以上であることで本発明の効果を十分に得ることができ、0.02質量部未満では、劣化環境に曝された際の接着性が確保できないおそれがある。一方、10質量部以下であることで初期接着が良好となり、10質量部超過では、初期接着が悪化するおそれがある。
(老化防止剤)
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、上述したゴム成分及び含窒素環状化合物に加えて、 下記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤をさらに含む。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
[式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]
 ゴム組成物中に、上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤を含むことによって、ゴムの金属コードとの接着面の劣化を抑えることができ、優れた接着性を長期間維持することができる。
 上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤は、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)と同様にフェニレンジアミン部分を含むものの、該フェニレンジアミン部分以外には二重結合を有しない点で、老化防止剤6PPDと異なるため、環境への負荷が少ない。
 また、一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤は、ゴム組成物の耐オゾン性を向上させ、老化後の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の維持率の低下を抑制する作用も有する。
 ここで、上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である。RとRは、同一でも異なってもよいが、合成上の観点から、同一であることが好ましい。
 また、前記一価の飽和炭化水素基の炭素数は、1~20が好ましく、3~10がより好ましく、6及び7が特に好ましい。飽和炭化水素基の炭素数が20以下であると、単位質量当たりのモル数が大きくなるため、老化防止効果が大きくなり、ゴムと金属コードとの接着力低下をより抑制でき、ゴム組成物の耐オゾン性も向上する。同様の観点から、上記一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることが好ましい。
 ここで、前記一価の飽和炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、また、シクロアルキル基には、置換基としてさらにアルキル基等が結合していてもよい。
 前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,4-ジメチルペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられ、これらの中でも、1,4-ジメチルペンチル基が好ましい。
 前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
 また、上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤として、具体的には、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(老化防止剤CCPD)等が挙げられる。これらの中でも、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(CCPD)が好ましく、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)が特に好ましい。前記アミン系老化防止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物中の前記アミン系老化防止剤の含有量は、特に限定はされないが、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上である場合には、ゴム組成物の耐オゾン性や、ゴムと金属コードとの接着性を十分に確保することができ、老化後のゴム組成物の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の低下も十分に抑制することができる。一方、前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下の場合には、発熱性等のゴム物性への悪影響をより確実に抑えることができ、タイヤ用途に適したものとなる。
 さらに、ゴム組成物の耐オゾン性や、ゴムと金属コードとの接着性の観点から、前記アミン系老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、3質量部以上であることが特に好ましい。さらにまた、前記アミン系老化防止剤の含有量は、他のゴム物性へ悪影響を抑える観点から、前記ゴム成分100質量部に対して4質量部以下であることがより好ましい。
 そして、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物では、前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物の含有量(A)と、前記アミン系老化防止剤の含有量(B)と、の質量比(A/B)が、0.004~100であることを特徴とする(0.004≦A/B≦100)。
 前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物を含むことによる初期接着性及び劣化環境に曝された際の接着性を向上させる効果と、一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤を含むことによる接着力を長期間維持する効果との相乗効果が得られ、ゴムと金属コードとの劣化環境に曝された際の接着性を長期間にわたって高めることが可能になる。
 つまり、本発明の金属コード-ゴム複合体は、0.004≦A/B≦100を満たすことによって、環境に曝された際の接着性を安定的に実現できる。同様の観点から、前記A/Bは、0.04~10であることが好ましく、0.2~2であることがより好ましい。
 なお、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、上記一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤以外の老化防止剤(その他の老化防止剤)を含むことができる。前記その他の老化防止剤としては、例えば、キノリン系老化防止剤が挙げられる。該キノリン系老化防止剤は、キノリン部分又はその誘導体部分(ジヒドロキノリン部分等)を有する老化防止剤である。
 前記キノリン系老化防止剤は、ゴム組成物に含まれることによって、耐オゾン性を向上させ、老化後の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の維持率の低下を抑制する作用を有する。
 前記キノリン系老化防止剤は、ジヒドロキノリン部分を有することが好ましく、1,2-ジヒドロキノリン部分を有することがより好ましい。
 前記キノリン系老化防止剤として、具体的には、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体(老化防止剤TMDQ)、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、6-アニリノ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等が挙げられる。
 前記キノリン系老化防止剤は、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体(老化防止剤TMDQ)を含むことが好ましい。2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体を含むキノリン系老化防止剤は、ゴム組成物の耐オゾン性を向上させる効果が高く、また、ゴム組成物を変色させ難いという利点も有する。
 なお、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合体としては、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの二量体、三量体、四量体等が挙げられる。
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物中のキノリン系老化防止剤の含有量は、前記アミン系老化防止剤の含有量に対する前記キノリン系老化防止剤の含有量の質量比で0.27~0.7の範囲であることが好ましい。
 例えば、ゴム物性への悪影響を抑えつつ、耐オゾン性を十分に確保し、老化後の接着性や、ゴム組成物の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の低下を十分に抑制できる観点からは、前記キノリン系老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることが好ましい。前記キノリン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上の場合には、ゴム組成物の耐オゾン性を十分に確保することができ、老化後の接着性や、ゴム組成物の切断時伸び(EB)及び引張強さ(TB)の低下を十分に抑制することができる。一方、キノリン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して5質量部以下の場合には、ゴム物性(発熱性等)への悪影響を抑え、タイヤ用途に適したものとすることができる。
 また、耐オゾン性や接着性をより高める観点から、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物中のキノリン系老化防止剤の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.3質量部以上であることがより好ましく、0.5質量部以上であることがさらに好まし。さらに、他のゴム物性へ悪影響をより確実に抑える観点から、前記ゴム成分100質量部に対して4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。
(硫黄)
 また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、加硫剤として硫黄を含むことが好ましい。硫黄を含むことで、加硫可能となり、金属コード被覆用ゴム組成物の耐久性が向上する。
 前記硫黄としては、種々の硫黄を使用できるが、不溶性硫黄よりも普通の硫黄(可溶性硫黄(粉末硫黄)等)が好ましく、また、オイルトリート硫黄等も好ましい。ここで、不溶性硫黄は、二硫化炭素に対して不溶な硫黄(無定形の高分子硫黄)であり、可溶性硫黄(粉末硫黄)は、二硫化炭素に対して可溶な硫黄である。
 前記硫黄の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部の範囲であることが好ましく、1~10質量部の範囲であることがより好ましく、1~5質量部の範囲であることがさらに好ましい。
(充填材)
 さらに、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、必要に応じて、充填材を配合することができる。前記充填材としては、例えばカーボンブラックが挙げられる。前記カーボンブラックとしては、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
 さらにまた、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、前記充填材としてシリカを用いることもできる。シリカを用いる場合は、シリカのBET比表面積(ISO5794/1に準拠して測定する)は40~350m/gであることが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が80~350m/gの範囲にあるシリカがさらに好ましく、BET表面積が120~350m/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。
 また、前記シリカの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
 さらに、前記カーボンブラックと前記シリカの総含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下にすることが好ましい。
 前記シリカの種類については、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
 上述した中でも、前記シリカは、湿式シリカであることが好ましく、沈降シリカであることがより好ましい。これらのシリカは、分散性が高く、低発熱性の改善を図り、且つ、耐亀裂性をより向上できる。なお、沈降シリカとは、製造初期に、反応溶液を比較的高温、中性~アルカリ性のpH領域で反応を進めてシリカ一次粒子を成長させ、その後酸性側へ制御することで、一次粒子を凝集させる結果得られるシリカのことである。
 また、前記シリカは、市販品でもよく、例えば、ローディア社のZeosilPremium 200MP(商品名)として、入手することができる。
 なお、前記シリカは、一種のみ用いてもよいし、二種以上を用いてもよい。
 なお、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物がシリカ充填する場合、さらにシランカップリッグ剤を配合することができる。シランカップリング剤としては、例えばビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシーリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン及び3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
 さらにまた、前記カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、シランカップリング剤の好ましい配合量は、質量比(シランカップリング剤/シリカ)が(1/100)~(20/100)であることが好ましい。(1/100)以上であれば、ゴムの低発熱性向上の効果をより好適に発揮することとなり、(20/100)以下であれば、タイヤ用ゴムのコストが低減し、経済性が向上するからである。さらには好ましくは、質量比(3/100)~(20/100)であり、特に好ましくは、質量比(4/100)~(10/100)である。
(加硫促進剤)
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、上述したゴム成分、含窒素環状化合物、老化防止剤、並びに、任意成分としての充填材及びシランカップリング剤に加えて、加硫促進剤をさらに含むことが好ましい。
 前記加硫促進剤を含むことによって、加硫を促進させ、金属コード被覆用ゴム組成物の加硫後の強度をより高めることができる。
 ここで、前記加硫促進剤の種類については、特に限定はされず、グアニジン系、アルデヒド-アミン系、アルデヒド-アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の加硫促進剤が挙げられる。これらの加硫促進剤は、一種のみ用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
 また、上述した加硫促進剤の中でも、金属コード被覆用ゴム組成物の加硫後の強度をより高めることができる観点からは、スルフェンアミド系の加硫促進剤を用いることが好ましい。
 前記スルフェンアミド系の加硫促進剤としては、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-メチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-エチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-プロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ヘプチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オクチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-2-エチルヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-デシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ドデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-ステアリル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジメチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジエチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジプロピル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジペンチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジヘプチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジオクチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジ-2-エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジドデシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N-ジステアリル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。
 これらの中でも、前記加硫促進剤は、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを少なくとも含むことがより好ましい。
 さらに、前記加硫促進剤の含有量は、金属コード被覆用ゴム組成物の低発熱性と耐亀裂性とをさらに向上する観点から、ゴム成分100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、また、2.0質量部以下であることが好ましく、1.8質量部以下であることがより好ましく、1.6質量部以下であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
 なお、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、上述したゴム成分、含窒素環状化合物、老化防止剤、並びに、任意成分としての充填材、シランカップリング剤及び加硫促進剤の他にも、その他の成分を、発明の効果を損なわない程度に含むことができる。
 その他の成分としては、例えば、軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、樹脂、ワックス、オイル等の、ゴム工業界で通常使用されている添加剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜含むことができる。
 前記その他成分のうち、亜鉛華(ZnO)については、加硫促進助剤として用いられる。
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物が亜鉛華をさらに含むことによって、加硫を促進させ、金属コード被覆用ゴム組成物の加硫後の強度をより高めることができる。
 ここで、前記亜鉛華の含有量については、特に限定はされないが、金属コード被覆用ゴム組成物の低発熱性と耐亀裂性とをさらに向上する観点からは、前記ゴム成分100質量部に対して、5~13質量部であることが好ましく、7~10質量部であることがより好ましい。
 なお、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、金属コードとの接着性を高める観点からは、コバルト化合物を含むこともできる。コバルト化合物の種類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。また、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物は、環境への負荷の観点からは、コバルトを含まない(コバルトフリー)のゴム組成物であっても良い。
 本発明の金属コード被覆用ゴム組成物の製造方法は、特に限定はされない。
 例えば、上述した各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を使用して混練りすることによって製造することができる。
 なお、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物の各成分の混練は、全一段階で行ってもよく、二段階以上に分けて行ってもよい。
<金属コード-ゴム複合体>
 本発明の金属コード-ゴム複合体は、上述した本発明の金属コード被覆用ゴム組成物と、該金属コード被覆用ゴム組成物が被覆された金属コードと、を備えることを特徴とする。
 金属コードのコーティングゴムとして、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物を用いることによって、得られた金属コード-ゴム複合体は、低発熱性と耐亀裂性との両立が可能となる。
 ここで、前記金属コードを本発明の金属コード被覆用ゴム組成物によって被覆する方法としては、特に限定はされないが、例えば以下に示す方法を用いることができる。
 ブラスめっきされた所定の本数の金属コードを、所定の間隔で平行に並べ、これらの金属コードを上下両側から、本発明のゴム組成物からなる厚さ0.5mm程度の未加硫のゴムシートでコーティングした後、例えば160℃程度の温度で、20分間程度加硫処理する。
 このようにして得られた金属コード-ゴム複合体は、低発熱性と耐亀裂性との両立に加えて、優れた金属-ゴム接着性を有する。
 また、前記金属コードは、金属製のモノフィラメント及びマルチフィラメント(撚りコード又は引き揃えられた束コード)のいずれでも良く、その形状は制限されない。金属コードが撚りコードである場合の撚り構造についても特に制限はなく、単撚り、複撚り、層撚り、複撚りと層撚りの複合撚りなどの撚り構造が挙げられる。これらの金属コードとしては、例えば、スチール、鉄、銅等の金属からなるコードが挙げられ、ゴム組成物との接着性を好適に確保する観点から表面にめっき処理、接着剤処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
 前記フィラメントの表面には、めっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、例えば、亜鉛(Zn)めっき、銅(Cu)めっき、スズ(Snめっき、ブラス(銅-亜鉛(Cu-Zn))めっき、ブロンズ(銅-スズ(Cu-Sn))めっき、銅、亜鉛及びコバルトを含む3元系めっき等が挙げられる。これらの中でも、ブラスめっきや、銅、亜鉛及びコバルトを含む3元系めっきであることが好ましい。
 なお、本発明の金属コード-ゴム複合体の用途は、特に限定はされない。例えば、各種自動車用タイヤ、ホース、ゴムクローラなど、特に強度が要求されるゴム物品に用いられる補強材として用いることができる。特に、各種自動車用ラジアルタイヤのベルト、カーカスプライ、ワイヤーチェーファーなどの補強部材として好適に用いることができる。
<タイヤ>
 本発明のタイヤは、上述した本発明の金属コード被覆用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
 タイヤを構成する部材中に、本発明の金属コード被覆用ゴム組成物、ひいては金属コード-ゴム複合体を用いることによって、ゴムと金属コードとの接着性に優れた部材が得られ、ひいてはタイヤの耐久性についても改善を図ることができる。
 また、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
 なお、本発明のタイヤの製造方法は特に限定されず、常法に基づき製造することができる。一般に、各種成分を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で各部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが製造される。例えば、本発明のゴム組成物を混練の上、得られたゴム組成物で金属コードをゴム引きして未加硫のベルト、未加硫のカーカス、及び他の未加硫部材を積層し、未加硫積層体を加硫することでタイヤを得ることができる。
<実施例1、比較例1及び2>
 表2に示す成分組成A、B及びCに従って、金属コード被覆用ゴム組成物を調製した。
 上述したスチールコードを、等間隔で平行配列したものの両面を、上記各ゴム組成物からなる厚さ1mmのゴムシートを用いて被覆し、145℃で40分間加硫して、ゴム組成物とスチールコードとを接着させた。このようにして、厚さ2mmのゴムシートにスチールコードが埋設された、スチールコード-ゴム複合体を得た。
 各実施例及び比較例のサンプルの、被覆したゴム組成物の種類、スチールコードの種類、A(含窒素環状化合物の含有量)、B(一般式(1)で表されるアミン系老化防止剤の含有量)及びA/Bについては、表1に示す。
 なお、各実施例及び比較例の中で用いられるスチールコードは、次の通り作製した。
 銅 63.0質量%、亜鉛 37.0質量%、にて、銅、亜鉛の順に直径1.7 mmのスチールワイヤにめっきを繰り返し、その後 550℃において5秒間熱拡散処理を行い、所望する二元系めっきを得た後(通常めっき)、伸線加工を施し、めっき平均厚み0.25μm、直径0.30mmのスチールワイヤを得た。得られた各スチールワイヤについて、撚線工程を経てスチールコードを作製した。
<評価>
 以下の条件で、各サンプルの金属コード-ゴム複合体の湿熱劣化後の接着性について評価を行った。評価結果を表1に示す。
(1)湿熱劣化後の接着性
 得られたスチールコード-ゴム複合体を、75℃、相対湿度95%雰囲気下で2日間劣化させた後、各サンプルからスチールコードを剥離し、スチールコードに付着しているゴムの被覆率を目視観察にて0~100%で決定し、温熱劣化性の指標とした。得られた被覆率を表1に示す。なお、被覆率は高いほど湿熱接着性に優れることを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
*1 老化防止剤1:アミン系老化防止剤、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン
*2 老化防止剤2:アミン系老化防止剤、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン
*3 含窒素環状化合物:1,2,4-トリアゾール
*4 コバルト塩:ネオデカン酸コバルトホウ素化合物
*5 その他薬品:表2に記載した各成分以外に含有する成分の合計量
 表1の結果から、実施例のサンプルについては、各比較例のサンプルに比べて、湿熱劣化後の接着性のいずれについても、優れた効果を示すことがわかる。
 本発明によれば、劣化環境に曝された際にも優れた接着性を有する金属コード被覆用ゴム組成物を提供することが可能となる。また、本発明によれば、ゴムと金属コードとの接着性に優れた部材を備えるタイヤを提供することが可能となる。
 

Claims (8)

  1.  ゴム成分と、
     ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物と、
     下記一般式(1):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    [式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるアミン系老化防止剤と、を含み、
     前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物の含有量(A)と、前記アミン系老化防止剤の含有量(B)と、の質量比(A/B)が、0.004~100であることを特徴とする、金属コード被覆用ゴム組成物。
  2.  前記ベンゼン環及びメルカプト基を含有しない含窒素環状化合物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.02~10質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の金属コード被覆用ゴム組成物。
  3.  前記含窒素環状化合物が、トリアゾール、トリアゾール誘導体、イミダゾール及びイミダゾール誘導体からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属コード被覆用ゴム組成物。
  4.  前記トリアゾール誘導体又は前記イミダゾール誘導体が、側鎖に炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアミノアルキル基又はアミノ基を有することを特徴とする、請求項3に記載の金属コード被覆用ゴム組成物。
  5.  前記アミン系老化防止剤の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して0.1~5質量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属コード被覆用ゴム組成物。
    ゴム組成物。
  6.  前記ゴム成分が、イソプレン骨格ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属コード被覆用ゴム組成物。
  7.  前記一般式(1)中のR及びRが、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属コード被覆用ゴム組成物。
  8.  請求項1又は2に記載の金属コード被覆用ゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
     
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