JP2017177595A - 樹脂封止装置及び樹脂封止装置の異常検知方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品表面に露出部分を形成した樹脂封止パッケージにおける、露出ピンの摺動不良を適切に検知できる樹脂封止装置及び異常検知方法の提供。【解決手段】第1の金型2に設けられたスプリングピン13は、その先端が電子部品付き基材であるセンサー素子付き基板のセンサー素子の表面に当接し、露出部を形成する。ホルダーベースの上端面には遮光センサーが設置されており、スプリングピン13を構成する被検知ピンの先端を検知する。荷重測定用ローダー40の荷重検知ピンホルダー42は、型駆動装置により駆動する第2の金型3によって押し上げられる部分であり、ガイド部44を介して上昇し、第1の金型2のキャビティに近接していく。荷重検知ピンホルダー42の荷重検知ピン45は先端が露出ピン30の先端に当接して、露出ピン30を押し上げる際の荷重を測定する。【選択図】図3

Description

本発明は、樹脂封止装置及び樹脂封止装置の異常検知方法に関する。
従来、半導体等の電子部品を樹脂で封止して樹脂封止パッケージを製造するインサート成形が行われている。このインサート成形では、電子部品、あるいは電子部品付き基板等を金型内部に固定し、キャビティに溶融した樹脂を充填し硬化させて、電子部品付き基板等と樹脂成形部を一体化している。
また、樹脂封止パッケージに封止されている半導体等の電子部品の種類によっては、電子部品表面に樹脂で封止しない箇所を設定する場合がある。例えば、電子部品が温度センサーや湿度センサー、あるいはカメラ用の各種センサー素子である場合は、素子表面を樹脂で覆わず外部に露出させている。
ここで、インサート成形で、素子表面を外部に露出させた樹脂封止パッケージを製造する場合には、樹脂封止時に素子表面をマスキングする必要があり、例えば、素子表面にスプリングで保持した露出ピンを当接させる方法が存在する。
金型にはキャビティに連通した貫通孔が形成され、この貫通孔を挿通した露出ピンを設け、露出ピンの先端がキャビティの外側に突出した構造となっている。
また、露出ピンはスプリングにより保持され、キャビティに設置される素子表面側に向けて付勢されている。露出ピンは貫通孔に沿って摺動しながら進退動作が可能に構成されている。
露出ピンの先端が素子表面に適切な圧力で当接して素子表面がマスキングされ、この状態で樹脂封止を行うことで、素子表面の露出部が形成された樹脂封止パッケージが製造される。
樹脂封止装置では、上述した露出ピンだけでなく、金型内に貫通孔を設けてピンを挿通させた構造が存在し、例えば、キャビティから成形品を離型するためのイジェクターピンがある。
イジェクターピンは金型内に形成された貫通孔に挿通して設けられ、通常時の後退位置と離型時の突出位置の2つの位置をとるものとなる。イジェクターピンは、成形品の離型時には、押圧装置によりキャビティ側に押し出され、先端が大きく突出して成形品を離型させる。また、通常時には、スプリングの付勢力により後退位置に戻されるものとなる。
イジェクターピンの進退動作では、ピンの動きで出来た隙間に樹脂屑等の異物が混入して、ピンが通常時の後退位置に戻らない現象が生じることがある。そして、イジェクターピンが適正な後退位置に戻らないまま金型が稼働して、大量の成形不良の樹脂封止パッケージが発生する問題があった。
こうしたなか、イジェクターピンの位置検出を行い異常の検知を試みた金型が存在し、例えば、特許文献1に記載の金型が提案されている。
特許文献1に記載された金型では、イジェクターピン基端(根元)に設けられたプレート部に、更に金属プレートを取り付け、この金属プレートの位置を磁気センサーにて検出を行うものとなっている。
特開平7−60806号公報
ここで、特許文献1に記載の金型をはじめ、素子表面を外部に露出させた樹脂封止パッケージを製造する従来の金型や樹脂封止装置では、イジェクターピンの異常検知機構はあっても、上述した露出ピンの異常を適切に検知できる構造は存在しなかった。
より詳細には、露出ピンと貫通孔とのすき間にキャビティ側から樹脂が流れ込み、摺動抵抗力が変化して、露出ピンの摺動不良が生じる問題がある。露出ピンと貫通孔のすき間は10μm以下の微小なサイズであるが、樹脂の流動性が大きいため、樹脂の流れこみを避けることは困難となっている。
また、樹脂の流れ込みだけでなく、露出ピンの長期間の進退動作に伴う摩耗による金属屑の発生や、焼付きによる摩擦力の増大によっても露出ピンの摺動不良が生じる。
露出ピンと貫通孔の内周面との間の摺動抵抗力が変化することで、露出ピンの先端が素子表面と当接した際の荷重に影響が及ぶ。例えば、露出ピンが素子表面に当接する際の押圧力が過剰となり、半導体素子を破損させる場合があった。
また、露出ピンによる素子表面への押圧力が弱くなったり、成形品の離型後に露出ピンが通常位置に戻らず、ピンの先端が素子表面に届かなくなったりする不具合が生じることもある。この結果、素子表面の露出部に樹脂が回り込み、成形不良の樹脂封止パッケージが生じる場合があった。
このような成形不良の樹脂封止パッケージを減らすために、露出ピンの摺動不良の有無を検知可能な機構が求められている。特に、露出ピンの先端が素子表面に当接して、露出ピンがスプリング側へ押し上げられる際の荷重を適切に評価できる機構が望まれている。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、電子部品表面に露出部分を形成した樹脂封止パッケージについて、露出ピンの摺動不良の有無を適切に検知可能な樹脂封止装置及び樹脂封止装置の異常検知方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止用金型は、中空部分が形成された本体と、該本体に設けられた型合わせ面と、該型合わせ面側に設けられ、熱硬化性樹脂を充填するキャビティ凹部と、該キャビティ凹部と前記本体の中空部分に連なって形成された第1の貫通孔と、前記本体の中空部分に連なって同本体の前記第1の貫通孔とは反対側に形成された第2の貫通孔と、前記本体の中空部分に配置され、前記第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部と、該ピン鍔部の前記第1の貫通孔側に同第1の貫通孔を挿通して設けられると共に、前記第1の貫通孔の内周面に沿って摺動して進退可能に構成された露出ピンと、前記ピン鍔部の前記露出ピンが設けられた側と反対側に、前記第2の貫通孔を挿通可能に設けられると共に、その先端が前記第2の貫通孔の外側に突出可能に構成された被検知ピンと、前記本体の前記型合わせ面側と反対側に設けられ、前記第2の貫通孔からの前記被検知ピンの先端の突出を検知する検知センサー部を有する第1の金型と、前記第1の金型の型合わせ面と協働して電子部品付き基材を挟持する型合わせ面を有する第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型を接近させることが可能で、接近させることで型締めを行うことができる型駆動部と、前記第1の金型と前記第2の金型の間に配置可能、かつ前記型駆動部に押される同第2の金型を介して同第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体と、該検知ローダー本体に設けられ、前記露出ピンの先端と当接して、同露出ピンを押す際の荷重を測定する荷重センサー部を有する荷重測定用ローダーと、を備える。
ここで、本体に設けられた型合わせ面を有する第1の金型と、第1の金型の型合わせ面と協働して電子部品付き基材を挟持する型合わせ面を有する第2の金型によって、電子部品付き基材を挟持し、型締めを行うことができる。
また、型合わせ面側に設けられ、熱硬化性樹脂を充填するキャビティ凹部によって、樹脂成形部を設けることが可能となる。
また、中空部分が形成された本体と、本体の中空部分に配置され、第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部によって、第1の金型の内部にピン鍔部を取り付け、ピン鍔部に付勢力を付与することができる。
また、キャビティ凹部と本体の中空部分に連なって形成された第1の貫通孔と、ピン鍔部の第1の貫通孔側に第1の貫通孔を挿通して設けられた露出ピンと、本体の中空部分に配置され、第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部によって、露出ピンを第1の貫通孔に挿通させるものとなる。また、弾性体の付勢力がピン鍔部を介して露出ピンにかかり、露出ピンの先端がキャビティ凹部から突出する方向に付勢された構造とすることができる。この結果、キャビティ凹部に配置される電子部品付き基材の電子部品表面に、露出ピンの先端を当接させてマスキングし、外部に露出させることが可能となる。
また、第1の貫通孔の内周面に沿って摺動して進退可能に構成された露出ピンと、本体の中空部分に配置され、第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部によって、露出ピンの先端と当接する部材に適正な荷重をかけるものとなる。即ち、この荷重が、電子部品付き基材の電子部品表面を露出ピンの先端が押圧する力となる。なお、ここでいう荷重とは主に、弾性体の付勢力と、第1の金型の使用に伴い変化する、露出ピンと第1の貫通孔の内周面との間に生じる摺動抵抗力で構成されるものを意味する。
また、露出ピンは、ピン鍔部を介して弾性体の付勢力を受けるものとなり、露出ピンの先端と当接する電子部品付き基材の種類や、樹脂成形部の厚みが異なる場合にもマスキングが可能となっている。即ち、電子部品付き基材の電子部品表面のサイズや封止成形部の厚みの違いに、弾性体が伸縮して対応するため、電子部品表面に適切な圧力を付与しながらマスキング可能となっている。
本体の中空部分に配置されたピン鍔部と、ピン鍔部の第1の貫通孔側に設けられた露出ピンと、ピン鍔部の露出ピンが設けられた側と反対側に設けられた被検知ピンによって、ピン鍔部と露出ピン及び被検知ピンが一体化した構造となる。即ち、露出ピンの進退動作に伴う位置の変化によって、被検知ピンの位置が変わるものとなる。なお、露出ピンの位置とは、露出ピンの先端がキャビティ凹部を超えて突出した待機位置と、露出ピンの先端に電子部品付き基材の電子部品表面が当接して、露出ピンの先端がキャビティ凹部側に押し込まれた樹脂封止時の位置の2つがある。この露出ピンの待機位置と、樹脂封止時の位置に応じて被検知ピンの位置も変わるものとなる。
また、本体の中空部分に連なって本体の第1の貫通孔とは反対側に形成された第2の貫通孔と、ピン鍔部の露出ピンが設けられた側と反対側に、第2の貫通孔を挿通可能に設けられると共に、その先端が第2の貫通孔の外側に突出可能に構成された被検知ピンによって、被検知ピンが第2の貫通孔を挿通して、被検知ピンの先端が本体の外側に突出可能な構造となる。即ち、例えば、上述したように、露出ピンの進退動作による位置の変更に伴い、被検知ピンの位置が変わり、露出ピンが樹脂封止の位置となった際に、被検知ピンの先端が本体の外側に突出する構造とすることができる。
また、本体の中空部分に連なって本体の第1の貫通孔とは反対側に形成された第2の貫通孔と、ピン鍔部の露出ピンが設けられた側と反対側に、第2の貫通孔を挿通可能に設けられると共に、その先端が第2の貫通孔の外側に突出可能に構成された被検知ピンと、本体の型合わせ面側と反対側に設けられ、第2の貫通孔からの被検知ピンの先端の突出を検知する検知センサー部によって、被検知ピンの先端の突出を検知可能となる。換言すれば、被検知ピンの先端の位置を検知することで、露出ピンの先端の位置を検知可能となる。被検知ピンの先端の位置を検知することで、例えば、露出ピンにかかる摺動抵抗力が大きくなり、露出ピンが樹脂封止時の位置のまま、待機位置に戻らなくなった状態を検知することが可能となる。また、ここで検知する樹脂封止時の位置とは、実際に樹脂を注入する際だけでなく、後述する荷重センサー部を露出ピンの先端に当接させ、露出ピンを押し込んだ際の露出ピンの位置を含むものである。
また、第1の金型と第2の金型を接近させることが可能で、接近させることで型締めを行うことができる型駆動部によって、両金型の型合わせ面で電子部品付き基材を挟持し、型締めを行うことができる。
上述した様な本発明の樹脂封止装置の金型の内部に電子部品付き基材をセットして、型駆動部で両金型を接近させて型締めをした後、キャビティ凹部に溶融した熱硬化性樹脂を充填して硬化させ、型駆動部で両金型を離隔させて型抜きを行うことにより、電子部品を樹脂で封止した樹脂封止パッケージを製造することができる。
また、第1の金型と第2の金型の間に配置可能、かつ型駆動部に押される第2の金型を介して第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体によって、検知ローダー本体を第1の金型に近づけることができる。即ち、例えば、型開きした第1の金型と第2の金型の間に検知ローダー本体を配置して、更に、第1の金型の型合わせ面に検知ローダー本体を接近可能となっている。
また、第1の金型と第2の金型の間に配置可能、かつ型駆動部に押される第2の金型を介して第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体と、検知ローダー本体に設けられ、露出ピンの先端と当接して、露出ピンを押す際の荷重を測定する荷重センサー部を有する荷重測定用ローダーによって、露出ピンを押し込む際の荷重を測定可能となる。即ち、電子部品付き基材の電子部品表面を露出ピンの先端が押圧する力を測定することができる。なお、荷重センサー部による測定は、所定の電子部品表面を樹脂封止することを想定して設定された露出ピンの押し込み位置まで荷重センサー部が露出ピンを押す際の荷重を測定するものとなっている。これにより、第1の金型の使用に伴い変化する、露出ピンと第1の貫通孔の内周面とのすき間に生じる摺動抵抗力を考慮した荷重を測定することができる。
また、荷重センサー部で測定した荷重が設定した範囲から外れた際に、荷重が異常であることを知らせる信号を発する場合には、露出ピンを押し込む際の荷重の異常を確認しやすいものとなり、速やかに樹脂封止装置の稼働を停止することが可能となる。なお、ここでいう荷重の設定した範囲は、例えば、電子部品表面の露出部に樹脂の回り込みを生じにくくするための最低限の荷重の数値を下限値とし、また、電子部品表面が破損せずに耐え得る荷重の数値を上限値とした範囲とすることができる。
また、検知センサー部が、第2の貫通孔からの被検知ピンの先端の突出を検知した際に、検知したことを知らせる信号を発する場合には、摺動不良により、露出ピンが樹脂封止時の位置のまま、待機位置に戻らなくなった状態の異常を確認しやすいものとなり、速やかに樹脂封止装置の稼働を停止することが可能となる。
また、上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止装置の異常検知方法は、金型のキャビティ部に配置される電子部品付き基材の電子部品表面に、弾性体で付勢され、かつ前記金型の内周面に沿って摺動する露出ピンの先端を当接させてマスキングを行う樹脂封止装置の異常検知方法であって、金型に設けられた露出ピンの一端を押圧して、同露出ピンを押し込む際の荷重を測定する荷重測定工程と、金型に設けられた露出ピンの一端が押圧された後の同露出ピンの一端の位置を検知する検知工程とを備える。
ここで、金型に設けられた露出ピンの一端を押圧して、露出ピンを押し込む際の荷重を測定する荷重測定工程によって、露出ピンを押し込む際の荷重を測定可能となる。即ち、電子部品付き基材の電子部品表面を露出ピンの先端が押圧する力を測定することができる。これにより、金型の使用に伴い変化する、露出ピンと金型の内周面とのすき間に生じる摺動抵抗力を考慮した荷重を測定することができる。
また、金型に設けられた露出ピンの一端が押圧された後の露出ピンの一端の位置を検知する検知工程によって、露出ピンの位置を確認可能となる。例えば、露出ピンにかかる摺動抵抗力が大きくなり、露出ピンが樹脂封止時の位置のまま、待機位置に戻らなくなった状態を検知することが可能となる。
また、検知工程は、金型から樹脂封止後の成形品を取り出した後、または、荷重測定工程の後に行う場合には、樹脂封止時または荷重センサーによる荷重測定時に押し込まれた露出ピンが、待機位置に戻るか否かを確認することが可能となる。また、各タイミングで検知を行うことで、露出ピンの摺動不良をより一層検知しやすいものとなる。
また、上記の目的を達成するために本発明の樹脂封止装置は、中空部分が形成された本体と、該本体に設けられた型合わせ面と、該型合わせ面側に設けられ、熱硬化性樹脂を充填するキャビティ凹部と、該キャビティ凹部と前記本体の中空部分に連なって形成された第1の貫通孔と、前記本体の中空部分に連なって同本体の前記第1の貫通孔とは反対側に形成された第2の貫通孔と、前記本体の中空部分に配置され、前記第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部と、該ピン鍔部の前記第1の貫通孔側に同第1の貫通孔を挿通して設けられると共に、前記第1の貫通孔の内周面に沿って摺動して進退可能に構成された露出ピンを有する第1の金型と、前記第1の金型の型合わせ面と協働して電子部品付き基材を挟持する型合わせ面を有する第2の金型と、前記第1の金型と前記第2の金型を接近させることが可能で、接近させることで型締めを行うことができる型駆動部と、前記第1の金型と前記第2の金型の間に配置可能、かつ前記型駆動部に押される同第2の金型を介して同第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体と、該検知ローダー本体に設けられ、前記露出ピンの先端と当接して、同露出ピンを押す際の荷重を測定する荷重センサー部を有する荷重測定用ローダーと、を備える。
ここで、キャビティ凹部と本体の中空部分に連なって形成された第1の貫通孔と、ピン鍔部の第1の貫通孔側に第1の貫通孔を挿通して設けられた露出ピンと、本体の中空部分に配置され、第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部によって、ピン鍔部と一体化した露出ピンを第1の貫通孔に挿通させるものとなる。また、弾性体の付勢力がピン鍔部を介して露出ピンにかかり、露出ピンの先端がキャビティ凹部から突出する方向に付勢された構造とすることができる。この結果、キャビティ凹部に配置される電子部品付き基材の電子部品表面に、露出ピンの先端を当接させてマスキングし、外部に露出させることが可能となる。
また、第1の貫通孔の内周面に沿って摺動して進退可能に構成された露出ピンと、本体の中空部分に配置され、第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部によって、露出ピンの先端と当接する部材に適正な荷重をかけるものとなる。即ち、この荷重が、電子部品付き基材の電子部品表面を露出ピンの先端が押圧する力となる。なお、ここでいう荷重とは主に、弾性体の付勢力と、第1の金型の使用に伴い変化する、露出ピンと第1の貫通孔の内周面との間に生じる摺動抵抗力で構成されるものを意味する。
また、第1の金型と第2の金型の間に配置可能、かつ型駆動部に押される第2の金型を介して第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体と、検知ローダー本体に設けられ、露出ピンの先端と当接して、露出ピンを押す際の荷重を測定する荷重センサー部を有する荷重測定用ローダーによって、露出ピンを押し込む際の荷重を測定可能となる。即ち、電子部品付き基材の電子部品表面を露出ピンの先端が押圧する力を測定することができる。これにより、第1の金型の使用に伴い変化する、露出ピンと第1の貫通孔の内周面との間に生じる摺動抵抗力を考慮した荷重を測定することができる。
本発明に係る樹脂封止装置及び樹脂封止装置の異常検知方法は、電子部品表面に露出部分を形成した樹脂封止パッケージについて、露出ピンの摺動不良の有無を適切に検知可能なものとなっている。
本発明を適用した樹脂封止装置の金型の構造を示す概略断面図である。 金型のスプリングピンの周辺構造を示す要部断面説明図である。 荷重測定用ローダーの構造を示す概略図である。 荷重測定用ローダーがスプリングピンを押し上げる状態を示す概略図である。 荷重測定用ローダーが金型の間に挿入される際の動きを示す概略図である。 本発明を適用した樹脂封止装置の装置構成と配置を示す概略図である。 プレス装置周辺での各装置の移動を示す概略図である。 樹脂封止時の状態を示す概略図である。 樹脂封止工程後の遮光センサーによる検知を示す概略図である。 荷重の測定後の遮光センサーによる検知で非検知状態を示す概略図である。 荷重の測定後の遮光センサーによる検知で検知状態を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
図1に示すように、本発明に係る樹脂封止装置を構成する金型の一例である樹脂封止用金型1は、第1の金型2と、第2の金型3で構成されている。第1の金型2と、第2の金型3は、型駆動装置(図示省略)により第2の金型3を駆動させ、型合わせ面4及び型合わせ面5を合わせた状態で型締めされ、樹脂封止パッケージを製造する。
第1の金型2は、上型ダイセット6及び上型チェス7で構成される。上型ダイセット6は、サポートピラー8を介して上型チェス7を支持する部材である。上型チェス7は、サポートピラー8で支持されたホルダーベース9と、型合わせ面4を含むキャビティバー10を有している。
キャビティバー10は、型合わせ面4に樹脂が注入されるキャビティ11を有する。キャビティ11は、下側チェスの型合わせ面5と協同して成形品を製造する部分である。
また、キャビティバー10は、キャビティ11に樹脂を供給する樹脂通路12を有している。樹脂通路12は、第2の金型3のポット28から樹脂が供給され、キャビティ11に樹脂を供給する経路となる部分である。
上型チェス7にはスプリングピン13が設けられている。より詳細には、スプリングピン13は、ホルダーベース9に設けられた空間と貫通孔、およびキャビティバー10に設けられた貫通孔に配置されている。
スプリングピン13は、その先端が電子部品付き基材であるセンサー素子付き基板のセンサー素子の表面に当接し、樹脂で封止されない露出部を形成する部材である。スプリングピン13の詳細な構造は、別途図面を用いて説明する。
ホルダーベース9の上端面には遮光センサー14が設置されている。遮光センサー14は、スプリングピン13を構成する被検知ピン15の先端を検知する。被検知ピン15の先端はスプリングピンの13の進退動作により位置が変わる。遮光センサー14が検知を行う位置は、センサー付き基板の種類やサイズに応じて適宜設定可能となっている。
ここで、必ずしも、第1の金型2がキャビティ11とスプリングピン13を有する必要はなく、例えば、第2の金型3に、成形品の樹脂成形部を設けるキャビティとスプリングピンを有する構造であってもよい。
また、必ずしも、第2の金型3を駆動させて型締めする構成である必要はなく、第1の金型2を駆動させる構成も採用しうる。
また、被検知ピン15の先端を検知するセンサーは遮光センサー14に限定されるものではなく、被検知ピン15の先端の位置を検知可能なセンサーであれば充分である。但し、被検知ピン15の先端の位置を精度高く検知でき、かつ、簡易な構造となる点から、被検知ピン15の先端を検知するセンサーとして遮光センサー14が採用されることが望ましい。
図1に示すように、第1の金型2は、イジェクターピン16を有している。イジェクターピン16は、成形後の樹脂封止パッケージをキャビティ11から離型させるための部材である。
イジェクターピン16は、型開閉装置(図示省略)により第2の金型3の開閉動作を利用してキャビティ11側に移動し、その先端が樹脂封止パッケージに当接して、成型品を離型させる。イジェクターピン16の一部は、ホルダーベース9とキャビティバー10に設けられた貫通孔を挿通可能に構成されている。
イジェクターピン16の基端(図1でいう上部側)はピンプレート17に固定され、イジェクターピン16とピンプレート17は一体化して進退動作する。イジェクタープレート18に設けられた押圧装置19により、ピンプレート17はホルダーベース9から離間する方向に付勢されている。
図1に示すように、第2の金型3は、下型ダイセット20及び下型チェス21で構成される。下型ダイセット20は、サポートピラー22を介して下型チェス21を支持する部材である。下型チェス21は、サポートピラー22に支持されたホルダーベース23と、型合わせ面5を含むキャビティバー24を有している。
キャビティバー24の型合わせ面5は、上型チェス7の型合わせ面4と当接し、キャビティ11に樹脂が注入されて成形品が製造される。
ここで、樹脂封止用金型1では、上型チェス7にのみキャビティ11が形成され、下型チェス21にはキャビティが形成されていないが、キャビティの形成箇所はこれに限定されるものではない。例えば、成形品の構造により、下型チェス21のキャビティ11と対向する領域に、更にキャビティを設ける構造であってもよい。
第2の金型3は、第1の金型2と同様に、イジェクターピン25を有している。イジェクターピン25は、成形後の樹脂封止パッケージをキャビティ24から離型させるための部材である。
イジェクターピン25は、型開閉装置(図示省略)により第2の金型3の開閉動作を利用してキャビティバー24側に移動して成型品を離型させる。イジェクターピン25の一部は、ホルダーベース23とキャビティバー24に設けられた貫通孔を挿通可能に構成されている。
イジェクターピン25の基端(図1でいう下部側)はピンプレート26に固定され、イジェクターピン25とピンプレート26は一体化して進退動作する。イジェクタープレート27に設けられた押圧装置67により、ピンプレート26はホルダーベース23から離間する方向に付勢されている。
また、下型チェス21には、例えばエポキシ系熱硬化性樹脂でつくられる樹脂タブレットを収容するためのポット28が形成されている。
ポット28は熱硬化性樹脂を溶融させる部分であり、ポット28の内部で溶融した熱硬化性樹脂は、プランジャー29により、型締めした状態の上型チェス7の樹脂通路12側へ押し出される構造となっている。
図2を用いて、樹脂封止用金型1のスプリングピン13の周辺構造について説明する。図2は、型締め前にインローダーが成形材料を樹脂封止用金型1に搬送した後の状態を示している。第2の金型3には、その型合わせ面5に、成形対象となるセンサー素子付き基板38が設置されている。また、ポット28の内側には、溶融前の固形の樹脂タブレット39が載置されている。
スプリングピン13は、露出ピン30と、鍔部31と、被検知ピン15で構成され、各部材が一体化した構造となっている。
鍔部30は、ホルダーベース9に設けられた中空部分である中空部32に配置されている。また、鍔部30は、ホルダーベース9に一端が固定されたスプリング33に取り付けられ、キャビティ11側(図2でいう下部側)に付勢されている。
露出ピン30は、鍔部31と一体化して形成され、キャビティバー10のピン孔34に挿通された構造となっている。露出ピン30の先端35は、センサー素子付き基板38のセンサー素子の表面に当接する部分である。また、露出ピン30の先端35は、後述する荷重センサーとも当接する。
型駆動装置が第2の金型3を押し上げることで、露出ピン30は、先端35がセンサー素子の表面と当接し、スプリング33の付勢力に抗してスプリングピン13が押し上げられる。そして、成形品の種類により設定された位置までスプリングピン13(露出ピン30)が押され、同位置でセンサー素子表面に先端35が所定の圧力を付与してマスキングが実現される。なお、スプリングピン13が押し上げられて止まる位置を、以下では便宜的に「樹脂封止時の位置」と称する。
また、露出ピン30は、鍔部31を介してスプリング33により付勢され、キャビティ11の外部側に向けて突出している。即ち、露出ピン30の先端35が押し上げられていない状態では、キャビティ11の外部側の突出位置で静止している。なお、この突出した位置を、以下では便宜的に「待機位置」と称する。また、図1乃至図3、図9、図10は、露出ピン30の構造を模式的に示しているが、実際の装置において先端35は、待機位置では、キャビティ11よりも外側に突出した構造となっている。
上述したように、露出ピン30はその先端35が押し上げられ、または、押し上げられた状態が解除されることで進退動作するものとなっている。また、露出ピン30は、ピン孔34の内周面に沿って摺動しながら進退動作するものとなっている。
露出ピン30が樹脂封止時の位置に押し上げられる際には、これを押し返そうとする荷重が発生する。この荷重は主に、スプリング33の付勢力と、露出ピンと30とピン孔34の内周面との間で生じる摺動抵抗力で構成されるものとなる。
露出ピン30が樹脂封止時の位置に押し上げられる際の荷重は、センサー素子表面を押す力に相当する。そのため、この荷重の値は、良好な成形品を製造するために、適正な範囲の力の大きさとなることが求められる。
より具体的には、センサー素子表面の露出部に樹脂の回り込みを生じない程の最低限の荷重を下限値とし、また、センサー素子表面が破損せずに耐え得る荷重を上限値とした範囲が考えられる。なお、この下限値と上限値の範囲は、成形品の種類により適宜設定することが可能である。また、センサー素子の耐荷重の理論値等に許容範囲を含めて設定した値を採用してもよい。
図2に示すように、被検知ピン15は、鍔部30に固定して設けられ、ホルダーベース9のピン孔36を挿通可能な構造となっている。被検知ピン15は、スプリングピン13の進退動作に伴い、その先端37の位置が変わり、遮光センサー14の検知位置において検知される部分である。
被検知ピン15の先端37の位置の検出を行うことで、樹脂封止装置は、一体的に構成された露出ピン30の先端35の位置を検出することができる。
スプリングピン13の樹脂封止時の位置では、被検知ピン15の先端37は遮光センサー14に検知される位置となるが、露出ピン30の先端35が押し上げられた状態が解除されると、スプリング33の付勢力によりスプリングピン13は待機位置に戻り、被検知ピン15の先端37は、遮光センサー14に検知されない位置に戻るものとなる。
一方、ピン孔34と露出ピン30との間への樹脂の入り込み等により摺動抵抗力が大きくなると、スプリングピン13が樹脂封止時の位置から待機位置へと戻れずに、押し上げられた状態で静止することがある。この場合、被検知ピン15の先端37は遮光センサー14に検知されたままとなる。即ち、樹脂封止装置は、露出ピン30の摺動不良の状態を検知することができる。
また、樹脂封止装置が、遮光センサー14の検知状態を、信号を介して送信し、ランプの点灯や表示版に文字情報として出力することで、例えば作業者は、検知状態を容易に確認することができるものとなる。
図3を用いて、スプリングピン13の荷重を測定する荷重測定用ローダー40について説明する。荷重測定用ローダー40は、樹脂封止パッケージ成形後の型開きした状態の、第1の金型2と第2の金型3の間に入り、露出ピン30を押し上げて、その荷重を測定する部材である。
荷重測定用ローダー40は、ベース部41と、荷重検知ピンホルダー42を有している。ベース部41は、第2の金型3の型合わせ面5に当接される部分であり、ベース板43と、ガイド部44から構成されている。
荷重検知ピンホルダー42は、型駆動装置(図示省略)により駆動する第2の金型3によって押し上げられる部分であり、ガイド部44を介して上昇し、第1の金型2のキャビティ11に近接していく。また、荷重検知ピンホルダー42は、荷重センサーとして荷重検知ピン45と、検知信号ケーブル46を有している。
図4に示すように、荷重検知ピン45は先端47が露出ピン30の先端35に当接して、露出ピン30を押し上げる際の荷重を測定する。荷重検知ピン45は、既知の圧力センサーを利用することができる。
荷重検知ピン45は、露出ピン30を樹脂封止時の位置まで押し上げ、その際に生じる荷重の測定を行う。測定される荷重は、センサー素子付き基板38により露出ピン30が樹脂封止時の位置まで押し上げられる際に、センサー素子表面を露出ピン30の先端35が押す力に相当するものである。
荷重検知ピン45で荷重を測定することで、樹脂封止装置は、スプリング33の付勢力と、第1の金型2を継続的に使用することで変化していく、露出ピン30とピン孔34との間の摺動抵抗力を反映した荷重を捉えることが可能となる。
上述したように、露出ピン30がセンサー素子表面を押す力(荷重)の値は、適正な範囲の力の大きさであることが求められる。そのため、樹脂封止装置は、荷重検知ピン45で露出ピン30の荷重を測定して、測定値が適正範囲を外れた際に、異常とみなすことが可能となる。測定値の異常は主に、露出ピン30とピン孔34との間の摺動抵抗力の変化に起因して生じるものとなる。
より具体的には、測定した荷重が適正範囲の下限値未満である場合には、露出ピン30の先端35は、センサー素子表面に当接しているが、マスキングのための荷重が不充分な状態、または、センサー素子表面に露出ピンが届いていない状態を反映したものとなる。
また、測定した荷重が適正範囲の上限値を超える場合には、露出ピン30の先端35がセンサー素子表面に過剰な圧力を及ぼす状態を反映したものとなる。
このように、測定した荷重が適正範囲を外れていれば、上下限いずれも、成形不良の樹脂封止パッケージの製造につながる状態を示す指標となる。従って、荷重検知ピン45で露出ピン30の荷重を測定することで、例えば作業者は、成形前に樹脂封止装置に摺動不良が生じているか否かを確認することができる。
また、樹脂封止装置は、荷重検知ピン45で測定した荷重が、適正範囲を外れていた際に、ランプの点灯や表示版に文字情報として出力する、または、自動運転を停止させることで、例えば作業者は、露出ピン30の荷重が異常な状態であることを容易に確認することができるものとなる。
また、図5を用いて、荷重測定用ローダー40が、第1の金型2と第2の金型3の間に挿入される際の動きを示す。図5には、第1の金型2を固定した固定プラテン48と、第2の金型3を固定した可動プラテン49と、タイバー50を示している。
タイバー50は、可動プラテン49が昇降可能に嵌装されている。可動プラテン49は、ボールねじを介して、トグルリンクをサーボモーターで駆動させる昇降駆動部(図示省略)により、所要のストロークで昇降することができる。
荷重測定用ローダー40で荷重を測定する際には、樹脂封止用金型1の横に、荷重測定用ローダー40を保持した荷重ローダー本体51が移動してくる。荷重ローダー本体51は、サーボモーターにより駆動し、その移動位置が制御されている。
図5の下図に示すように、荷重ローダー本体51が所定の位置まで来ると、荷重ローダー本体51は、荷重測定用ローダー40をスライドさせて、片持ち状態のまま、第1の金型2と第2の金型3の間に荷重測定用ローダー40を挿入するものとなる。この後、上述したように、可動プラテン49により上昇する第2の金型3が荷重測定用ローダー40に接触して、樹脂封止装置は、荷重の測定を行うものとなる。
次に、図6を用いて、本発明を適用した樹脂封止装置の装置構成と配置の概略を示す。
図6に示す樹脂封止装置52は、材料供給部53と、樹脂封止用金型1を有するプレス装置54と、インローダー55と、プレヒーター56と、アンローダー57と、荷重測定用ローダー40を保持した荷重ローダー本体51と、収納部58を有している。樹脂封止装置52には複数のプレス装置54が配置されている。
材料供給部53は、ベースプレート59を有し、この上にスリットマガジン(図示省略)が載置され、スリットマガジンをターンテーブル60上に送り出す。スリットマガジンは、複数のスリットが形成された板状部材であり、スリット部分に、複数のセンサー素子付き基板、または、リードフレーム68が並べられる。
また、材料供給部53は、樹脂タブレット39を配置して、昇降可能に構成されたタブレットローダ61を有している。
インローダー55は成形材料をプレス装置54やプレヒーター56に把持搬送する装置である。ターンテーブル60と、タブレットローダ61の位置に、インローダー55が移動して、リードフレーム68と樹脂タブレット39を把持搬送する。インローダー55はサーボモーターにより駆動し、その移動位置が制御されている。
プレヒーター56は、樹脂封止前のリードフレーム68をプレヒーティングして、成形時のリードフレーム68の湾曲等の不具合を抑止するための装置である。
アンローダー57は、金型から離型した後の樹脂封止パッケージを取り出して、収納部58に搬送する装置である。アンローダー57はサーボモーターにより駆動し、その移動位置が制御されている。
収納部58は、離型直後の成形品に付いたカルやランナー等の不要な樹脂を除去するディゲート部62と、不要な樹脂を除去した成形品を収納する収納箱63を有する。このように、樹脂封止装置52は、複数の装置により、成形材料から樹脂封止パッケージを製造する構成となっている。
図7では、プレス装置54と、その周辺でのインローダー55、荷重ローダー本体51及びアンローダー57の移動方向を示している。インローダー55、荷重ローダー本体51及びアンローダー57は、図7での左右方向(符号X1、X2、X3)と、プレス装置54に対して進入する上下方向(符号Y1、Y2、Y3)に移動可能に構成されている。
また、プレス装置54に対して進入した各装置は、樹脂封止用金型1と対応する位置で静止する。なお、荷重ローダー本体51については、図5で説明したように、荷重検知ローダー40をスライドさせて、片持ち状態のまま、第1の金型2と第2の金型3の間に荷重検知ローダー40を挿入する構成となっている。
以下、上述した樹脂封止用金型1を用いた樹脂封止パッケージの製造と、樹脂封止装置52における異常検知方法の流れについて説明する。
[樹脂封止工程]
図8に示すように、樹脂封止時には、第1の金型2と第2の金型3の型合わせ面を当接させて型締めし、第1の金型2のキャビティ11と樹脂通路12、第2の金型3のポット28が閉塞された状態とする。
露出ピン30の先端35は、センサー素子付き基板38のセンサー素子64に当接し、スプリングピン13が上方に押し上げられる。そして、型締めが完了した位置で樹脂封止時の位置となる。
上記のように型締めをした状態で、ポット28で加熱された樹脂タブレットを溶融させながら、プランジャー29を作動させて、ポット28内の溶融した熱硬化性樹脂65を押し出す。
溶融した熱硬化性樹脂65は、樹脂通路12を通ってキャビティ11へ送られて充填される。そして、溶融している熱硬化性樹脂65を保圧して硬化させることにより、センサー素子64を一部封止して、図9に示す樹脂成形部66が形成される。
[樹脂封止工程後の遮光センサーによる検知]
型開きして、成形品67を取り出した後に、遮光センサー14により、被検知ピン15の先端37の位置の検知を行う。図9に示すように、スプリングピン13が待機位置に戻った場合には、被検知ピン15の先端37は遮光センサー14により検知されない。即ち、露出ピン30とピン孔34との間の摺動抵抗により摺動不良が生じていないことを確認することができる。
一方、図示しないが、型開き後に、スプリングピン13が、樹脂封止時の位置に押し上げられたままの状態となり、待機位置に戻らない場合には、被検知ピン15の先端37が遮光センサー14により検知される。即ち、例えば作業者は、露出ピン30とピン孔34との間の摺動抵抗により摺動不良が生じていることを確認することができる。遮光センサー14の検知を確認した後は、例えば作業者は、樹脂封止装置52を停止させ、第1の金型2の保守点検作業を行うものとなる。
[荷重測定用ローダーによる荷重の測定]
遮光センサー14による検知の次に、荷重測定用ローダー40による露出ピン30の荷重の測定を行う。荷重の測定は上述したように、荷重検知ピン45の先端47を露出ピン30の先端35に当接させ、露出ピン30を押し上げて測定する(図3及び図4参照)。
測定した荷重があらかじめ設定した適正範囲に含まれる数値であれば、センサー素子64の表面に対して、露出ピン30が適切な圧力を付与しながらマスキングをできる状態であるものと判定できる。
一方、測定した荷重があらかじめ設定した適正範囲の下限値未満である場合や、上限値を超える場合には、成形不良の樹脂封止パッケージの製造するおそれがあるため、例えば作業者は、樹脂封止装置52を停止させ、第1の金型2の保守点検作業を行うものとなる。
荷重測定用ローダー40による荷重の測定では、荷重を数値で判定することができるため、より厳密に摺動不良の有無を評価することが可能となる。例えば、樹脂封止装置52は、スプリングピン13が押し上げられた後に、樹脂封止時の位置から、完全に待機位置に戻らず、センサー素子表面を押圧する力が不充分となる状態を検知可能となる。このような状態では、被検知ピン15の先端37を遮光センサー14で検知できないことも想定されるため、より厳密な検知と言える。
[荷重の測定後の遮光センサーによる検知]
荷重測定用ローダー40による荷重の測定後に、再度、遮光センサー14により、被検知ピン15の先端37の位置の検知を行う。図10に示すように、スプリングピン13が待機位置に戻った場合には、被検知ピン15の先端37は遮光センサー14により検知されない。即ち、例えば作業者は、露出ピン30とピン孔34との間の摺動抵抗により摺動不良が生じていないことを確認することができる。
一方、図11に示すように、荷重測定用ローダー40による荷重の測定後に、スプリングピン13が、樹脂封止時の位置に押し上げられたままの状態となり、待機位置に戻らない場合には、被検知ピン15の先端37が遮光センサー14により検知される。即ち、例えば作業者は、露出ピン30とピン孔34との間の摺動抵抗により摺動不良が生じていることを確認することができる。このように、樹脂封止装置52は、樹脂封止後と、荷重測定用ローダーによる荷重の測定後に、遮光センサー14による検知を行うことで、例えば作業者は、より一層充分に摺動不良の有無を確認することができるものとなる。
以上のように、本発明に係る樹脂封止装置は、電子部品表面に露出部分を形成した樹脂封止パッケージについて、露出ピンの摺動不良の有無を適切に検知可能なものとなっている。
また、本発明に係る樹脂封止装置の異常検知方法は、電子部品表面に露出部分を形成した樹脂封止パッケージについて、露出ピンの摺動不良の有無を適切に検知可能なものとなっている。
1 樹脂封止用金型
2 第1の金型
3 第2の金型
4 型合わせ面
5 型合わせ面
6 上型ダイセット
7 上型チェス
8 サポートピラー
9 ホルダーベース
10 キャビティバー
11 キャビティ
12 樹脂通路
13 スプリングピン
14 遮光センサー
15 被検知ピン
16 イジェクターピン
17 ピンプレート
18 イジェクタープレート
19 押圧装置
20 下型ダイセット
21 下型チェス
22 サポートピラー
23 ホルダーベース
24 キャビティバー
25 イジェクターピン
26 ピンプレート
27 イジェクタープレート
28 ポット
29 プランジャー
30 露出ピン
31 鍔部
32 中空部
33 スプリング
34 ピン孔
35 露出ピンの先端
36 ピン孔
37 被検知ピンの先端
38 センサー素子付き基板
39 樹脂タブレット
40 荷重測定用ローダー
41 ベース部
42 荷重検知ピンホルダー
43 ベース板
44 ガイド部
45 荷重検知ピン
46 検知信号ケーブル
47 荷重検知ピンの先端
48 固定プラテン
49 可動プラテン
50 タイバー
51 荷重ローダー本体
52 樹脂封止装置
53 材料供給部
54 プレス装置
55 インローダー
56 プレヒーター
57 アンローダー
58 収納部
59 ベースプレート
60 ターンテーブル
61 タブレットローダ
62 ディゲート部
63 収納箱
64 センサー素子
65 熱硬化性樹脂
66 樹脂成形部
67 押圧装置
68 リードフレーム

Claims (6)

  1. 中空部分が形成された本体と、該本体に設けられた型合わせ面と、該型合わせ面側に設けられ、熱硬化性樹脂を充填するキャビティ凹部と、該キャビティ凹部と前記本体の中空部分に連なって形成された第1の貫通孔と、前記本体の中空部分に連なって同本体の前記第1の貫通孔とは反対側に形成された第2の貫通孔と、前記本体の中空部分に配置され、前記第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部と、該ピン鍔部の前記第1の貫通孔側に同第1の貫通孔を挿通して設けられると共に、前記第1の貫通孔の内周面に沿って摺動して進退可能に構成された露出ピンと、前記ピン鍔部の前記露出ピンが設けられた側と反対側に、前記第2の貫通孔を挿通可能に設けられると共に、その先端が前記第2の貫通孔の外側に突出可能に構成された被検知ピンと、前記本体の前記型合わせ面側と反対側に設けられ、前記第2の貫通孔からの前記被検知ピンの先端の突出を検知する検知センサー部を有する第1の金型と、
    前記第1の金型の型合わせ面と協働して電子部品付き基材を挟持する型合わせ面を有する第2の金型と、
    前記第1の金型と前記第2の金型を接近させることが可能で、接近させることで型締めを行うことができる型駆動部と、
    前記第1の金型と前記第2の金型の間に配置可能、かつ前記型駆動部に押される同第2の金型を介して同第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体と、該検知ローダー本体に設けられ、前記露出ピンの先端と当接して、同露出ピンを押す際の荷重を測定する荷重センサー部を有する荷重測定用ローダーと、を備える
    樹脂封止装置。
  2. 前記荷重センサー部で測定した荷重が設定した範囲から外れた際に、荷重が異常であることを知らせる信号を発する
    請求項1に記載の樹脂封止装置。
  3. 前記検知センサー部が、前記第2の貫通孔からの前記被検知ピンの先端の突出を検知した際に、検知したことを知らせる信号を発する
    請求項1または請求項2に記載の樹脂封止装置。
  4. 金型のキャビティ部に配置される電子部品付き基材の電子部品表面に、弾性体で付勢され、かつ前記金型の内周面に沿って摺動する露出ピンの先端を当接させてマスキングを行う樹脂封止装置の異常検知方法であって、
    金型に設けられた露出ピンの一端を押圧して、同露出ピンを押し込む際の荷重を測定する荷重測定工程と、
    金型に設けられた露出ピンの一端が押圧された後の同露出ピンの一端の位置を検知する検知工程とを備える
    樹脂封止装置の異常検知方法。
  5. 前記検知工程は、前記金型から樹脂封止後の成形品を取り出した後、または、前記荷重測定工程の後に行う
    請求項4に記載の樹脂封止装置の異常検知方法。
  6. 中空部分が形成された本体と、該本体に設けられた型合わせ面と、該型合わせ面側に設けられ、熱硬化性樹脂を充填するキャビティ凹部と、該キャビティ凹部と前記本体の中空部分に連なって形成された第1の貫通孔と、前記本体の中空部分に連なって同本体の前記第1の貫通孔とは反対側に形成された第2の貫通孔と、前記本体の中空部分に配置され、前記第1の貫通孔側に弾性体で付勢されたピン鍔部と、該ピン鍔部の前記第1の貫通孔側に同第1の貫通孔を挿通して設けられると共に、前記第1の貫通孔の内周面に沿って摺動して進退可能に構成された露出ピンを有する第1の金型と、
    前記第1の金型の型合わせ面と協働して電子部品付き基材を挟持する型合わせ面を有する第2の金型と、
    前記第1の金型と前記第2の金型を接近させることが可能で、接近させることで型締めを行うことができる型駆動部と、
    前記第1の金型と前記第2の金型の間に配置可能、かつ前記型駆動部に押される同第2の金型を介して同第1の金型の型合わせ面に接近させることが可能な検知ローダー本体と、該検知ローダー本体に設けられ、前記露出ピンの先端と当接して、同露出ピンを押す際の荷重を測定する荷重センサー部を有する荷重測定用ローダーと、を備える
    樹脂封止装置。
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