JP2017165598A - 焼成治具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い耐反応性と耐熱衝撃性を備えた焼成治具を提供すること。【解決手段】 本発明の焼成治具は、平均細孔径が1.0μm以下であり、かつ見掛気孔率が5〜20%のジルコニア質セラミックスよりなる。本発明の焼成治具は、耐熱衝撃性だけでなく耐反応性にも優れたものとなっている。【選択図】 図1

Description

本発明は、熱処理時に被熱処理物を保持する焼成治具に関する。
電子部品や半導体デバイス等のデバイスは、焼成プロセス(熱処理プロセス)を経て製造されている。このようなデバイスは、一般に、原料を調合・成形した後、セッターなどの焼成治具の表面上(載置面上)に載置し、加熱炉で高温にて焼成(熱処理)することによりセラミック焼成体とし、次いで、これに電極を形成する等の加工をした後、最終的に組み立てることにより製造される。
電子部品等のデバイスは、例えば、セラミックコンデンサ、セラミック圧電材料、マイクロ波誘電体、高周波用フィルタ、半導体コンデンサ、サーミスタ、セラミックバリスタ、セラミックセンサ等をあげることができ、その原料として、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、希土類酸化物、あるいはこれらの複合物等のセラミックス材料をあげることができる。
これらのデバイスは、セラミックス材料として反応性の高い原料を用いている。原料の反応性が高いことから、焼成(熱処理)時にセラミックス原料と焼成治具とが反応を生じ、焼成体の組成が変化して所望の性能を得られなくなるという問題が生じる。
このような問題に対し、例えば、特許文献1に記載のように、耐反応性が高いジルコニア質セラミックスよりなる焼成治具が用いられてきている。
一般に、焼成治具には、焼成する電子部品に影響がないこと、熱分布による焼成ムラがないこと、変形がないこと、積載重量により割れないこと、熱衝撃で割れないことなどの特性が要求されている。
特開2014−148436号公報
近年は、焼成(熱処理)の処理時間を短くすること(昇温速度及び降温速度を早くすること)が進められ、その結果として、焼成治具において繰り返しの温度変化に強いこと、すなわち耐熱衝撃性の更なる向上が求められている。
従来の焼成治具(セッター)は、多孔質のジルコニア質セラミックスよりなることで、高い耐熱衝撃性を備えたものとなる。しかしながら、耐熱衝撃性を高めることを目的に、細孔の孔径を大きくすることや、気孔率を増加させると、耐反応性が低下するという問題があった。更に、内部の閉じた細孔による微少な温度ムラが生じやすく、電子部品の焼成時に微少な焼成ムラ(温度ムラ)が発生しやすくなっていた。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、高い耐反応性と耐熱衝撃性を備えた焼成治具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は焼成治具の構成について検討を重ねた結果、本発明を完成した。
本発明の焼成治具は、平均細孔径が1.0μm以下であり、かつ見掛気孔率が5〜20%のジルコニア質セラミックスよりなる。
本発明の焼成治具は、微少な気孔を所定の割合で有することで高い耐反応性を維持しながら、耐熱衝撃性が向上したものとなる。
実施形態の焼成治具の形状の一形態を示す斜視図である。 実施形態の焼成治具の形状の一形態を示す斜視図である。 実施形態の焼成治具の形状の一形態を示す斜視図である。 実施例2のセッターの1000倍のSEM写真である。 実施例2のセッターの5000倍のSEM写真である。 比較例5のセッターの1000倍のSEM写真である。 比較例5のセッターの5000倍のSEM写真である。 実施例の耐変形性の試験方法を模式的に示す図である。 実施例の耐変形性の試験方法を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、本発明は、各実施形態のみに限定されることなく、種々変形して実施することができる。
[実施形態]
本形態の焼成治具は、平均細孔径が1.0μm以下であり、かつ見掛気孔率が5〜20%のジルコニア質セラミックスよりなる。
本形態の焼成治具がジルコニア質セラミックスよりなることで、本形態の容器を電子部品の焼成(熱処理)に利用しても、電子部品を汚染することが抑えられる。
ここで、本形態の焼成治具を形成するジルコニア質セラミックスとは、酸化ジルコニウム(ZrO)からなるセラミックスのみを示すものではなく、イットリウム、セリウム、カルシウム、マグネシウム、希土類元素などの元素が酸化ジルコニウムに添加されている部分安定化ジルコニアからなるセラミックスを含む。この部分安定化ジルコニアにおける添加元素の割合は、特に限定されるものではなく、従来公知の割合(例えば、3.0〜8.0mol%)とすることができる。そして、酸化ジルコニウムは、分離困難な酸化ハフニウム(HfO)を含有していてもよい。
また、本形態の焼成治具は、ジルコニア質セラミックスよりなるが、性能に影響を及ぼさない範囲でジルコニア(ZrO)以外の成分を含有していても良い。例えば、不可避不純物を挙げることができる。
また、本形態の焼成治具はジルコニア質セラミックスよりなるが、焼成治具の電子部品との当接部がジルコニア質セラミックスにより形成されていればよい。さらには、本形態の焼成治具全体が、ジルコニア質セラミックスのみからなることが好ましい。
本形態の焼成治具は、平均細孔径が1.0μm以下の細孔を有する。以下、平均細孔径が1.0μm以下の細孔を微細孔と称する。焼成治具が細孔を有することで、耐熱衝撃性が向上する。
詳しくは、本形態では、微細孔を有する。微細孔を有することで、焼成治具の耐反応性の低下が抑えられる。詳しくは、反応性の高いセラミックス材料が用いられる電子部品の焼成(熱処理)を行う場合、焼成治具が緻密である程(気孔率が小さい程)、耐反応性が向上する。本形態では、焼成治具の細孔が微細孔となることで、耐反応性の低下を抑えながら、細孔を有することの効果(耐熱衝撃性の向上)を発揮できる。
そして、本形態では、平均細孔径が1.0μm以下の微細な細孔(気孔)を有する。平均細孔径が1.0μm以下となることで、上記の耐反応性の低下を抑えながら、細孔を有することの効果を発揮できる。更に、細孔が微細孔となることで、加熱時に焼成治具が部分的に温度ムラを生じなくなる。平均細孔径が1.0μmを超えて大きくなると、耐反応性が低下するとともに部分的な微少な温度ムラを生じるようになる。詳しくは、容器内部に細孔(閉じた細孔、閉気孔)が存在すると、当該細孔の熱伝導と当該細孔を区画するジルコニアの熱伝導に差が生じ、微少な温度ムラが生じやすくなる。しかし、細孔の孔径が微少な場合、温度ムラが生じない。
平均細孔径の測定は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ポロシメータを用いて行うことができる。また、本発明において平均細孔径は、メジアン細孔径D50を示す。
本形態の微細孔は、細孔分布曲線(頻度分布曲線)が、シャープなピークを示すことが好ましい。この構成の細孔は、孔径の大きな細孔を有さない。孔径の大きな細孔を持たないことで、上記の効果を確実に発揮できる。平均細孔径が最大細孔径であることが好ましく、最大細孔径が1.0μm以下であることがより好ましい。すなわち、本形態の焼成治具は、細孔径が1.0μm以下の細孔のみを有することがより好ましい。
本形態の焼成治具は、累積細孔分布において大径側から累積10%径(D10),累積50%径(D50),累積90%径(D90)が、(D10−D90)/D50≦0.8の関係を満たすことが好ましい。この特性を満たすことで、上記した細孔分布曲線がシャープなピークをもつこととなる。累積細孔分布は、上記した平均細孔径と同様にポロシメータを用いて測定できる。
本形態の焼成治具は、見掛気孔率が5〜20%である。見掛気孔率がこの範囲となることで、耐熱衝撃性を有するものとなる。見掛気孔率が5%未満では、細孔を備えることの効果が発揮されなくなる。つまり、耐熱衝撃性が低下する。また、見掛気孔率が20%を超えて大きくなると、焼成治具に占める細孔の割合が大きくなり、強度が低下する。好ましい見掛気孔率は、5〜15%であり、より好ましくは5〜10%である。
細孔の気孔率(詳しくは、見掛気孔率)の測定は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ポロシメータを用いて行うことができる。
本形態の焼成治具は、細孔を開気孔の状態で有することが好ましい。開気孔とは、細孔が連続して形成された状態を示す。開気孔を有することで、熱衝撃による体積変化を緩衝できる。また、開気孔を有することで、電子部品の焼成(熱処理)時に、バインダ等の成分の蒸気が生じても、この蒸気を排出できる。開気孔でない細孔は、閉気孔であり、焼成治具の内部で閉塞した状態で存在する。特に細孔径の小さな閉気孔では、熱衝撃による体積変化を緩衝する効果が十分に発揮できなくなる。
本形態の焼成治具は、閉気孔が少ないことが好ましい。閉気孔の気孔率が2.0%以下であることがより好ましい。
閉気孔については、閉じた細孔であり、上記したポロシメータでの測定ができず、焼成治具の体積、当該体積の閉気孔0%の場合(緻密体)の理論質量、測定した焼成治具の質量、から算出することができる。
本形態の焼成治具は、曲げ強度が80MPa以上であることが好ましい。曲げ強度が80MPa以上となることで、焼成治具を用いて熱処理を行ったときに、焼成治具の変形が抑えられる。曲げ強度が80MPa未満となると、焼成治具を用いて熱処理を行ったときに、焼成治具自身に変形が生じやすくなる。焼成治具の変形は、熱処理される電子部品を変形させる。つまり、熱処理により得られる電子部品に変形を生じさせ、電子部品の寸法精度を低下する。曲げ強度は、高いほど好ましく、100MPa以上であることがより好ましい。
本発明での曲げ強度は、JIS R 1601に記載の測定方法で測定する。
本形態の焼成治具は、その形状が限定されるものではない。従来公知の焼成治具の形状と同様の形状とすることができる。例えば、図1〜3に示した形状を挙げることができる。図1には、表面が載置面となる板状の形状の焼成治具1、いわゆる、セッターを示す。図2には、間隔を隔てた状態で複数を積層できるように板状の本体部10を足(突起部11)で支える形状の焼成治具1を示す。図3には、上部が開放した又は蓋部材13で閉塞する槽状部12を有する形状の焼成治具1、いわゆる、匣鉢を示す。
本形態の焼成治具は、熱処理時に載置される被熱処理化合物が限定されるものではない。しかし、電子部品のような反応性の高い物質の熱処理に用いることが好ましい。電子部品以外の反応性の高い被熱処理化合物としては、リチウムイオン二次電池の正極活物質を例示できる。
[製造方法]
本形態の焼成治具は、その製造方法が限定されるものではない。
本形態の焼成治具は、粒径の異なる粉末を混合し、焼成(焼結)することで、製造できる。より詳しくは、微細なジルコニア粒子よりなる微細粉末と、粗大なジルコニア粒子よりなる粗大粉末とを均一に混合し、加熱して焼成(焼結)することで、製造できる。本形態の焼成治具の製造では、必要に応じて有機バインダや水を加えて行うことができる。これらは、焼成温度よりも低い温度で焼失や蒸発する。
この場合、微細粉末と粗大粉末のそれぞれの粉末の粒子径や、それぞれの粉末の混合割合については、目的とする焼成治具の細孔特性により適宜決定できる。例えば、平均粒径が1〜5(μm)の粗大なジルコニア粒子よりなる粗大粉末と、平均粒径が0.1〜0.55(μm)の微細なジルコニア粒子よりなる微細粉末と、を用いて製造できる。
この製造方法は、ジルコニア粉末を混合したときに、造孔剤を含有することなく製造する。造孔剤は、焼成時に消失する粒子よりなるが、形成される細孔の孔径が大きくなる。このため、上記の造孔剤を用いない製造方法によることで、微細な細孔を備えた焼成治具を製造できる。
なお、上記の製造方法によると、焼成時の微細粉末と粗大粉末の粒成長に速度差があり、微細粉末と粗大粉末が焼結することで、粗大粉末の粒子同士の焼結の進行を阻害(又は律速)し、微細な細孔が残留すると考える。
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
本発明の実施例として、板状のセッターを製造した。
(実施例1)
本例は、150×150×3mmの板状のセッターである。本例のセッターは、以下により製造した。
まず、平均粒径(D50)が0.4μmのZrO粉末(微細粉末)を90質量部、D50が2.0μmのZrO粉末(粗大粉末)を10質量部、の割合で準備し、均一になるまで混合する。なお、微細粉末は、8mol%の割合でイットリウムが添加して安定化されている。粗大粉末は、3mol%の割合でイットリウムが添加して安定化されている。製造は、必要に応じて有機バインダや水を加えて行った。
そして、混合粉末を板状に成形し、成形体を1450℃で2時間保持する熱処理(焼結)を施した。熱処理後に、上記の形状に加工する工程を施して、本例のセッターを製造した。なお、成形体の熱処理は、成形体を1400〜1600℃で2〜5時間保持する熱処理から条件を適宜設定することができる。
得られたセッターの平均細孔径及び気孔率をポロシメータで測定したところ、大径側からの累積気孔分布D10:0.20μm、平均細孔径(D50):0.18μm、D90:0.10μmあり、(D10−D90)/D50が0.56であった。また、ポロシメータで測定される気孔率(見掛気孔率であり、開気孔率にあたる)が5.4%であった。
JIS R 1601に記載の方法で強度を測定したところ、137MPaであった。
さらに、閉気孔率、比重(見かけ比重、かさ比重)を算出又は測定し、以下の各例の結果とともに後述の表1に合わせて示した。
(実施例2)
本例のセッターは、微細粉末を80質量部、粗大粉末を20質量部、の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が0.22μmであり、(D10−D90)/D50が0.73であり、見掛気孔率が8.7%であり、強度は119MPaであった。
(実施例3)
本例のセッターは、微細粉末を70質量部、粗大粉末を30質量部、の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が0.56μmであり、(D10−D90)/D50が0.66であり、見掛気孔率が11.2%であり、強度は107MPaであった。
(実施例4)
本例のセッターは、微細粉末を60質量部、粗大粉末を40質量部、の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が0.95μmであり、(D10−D90)/D50が0.53であり、見掛気孔率が19.8%であり、強度は87MPaであった。
(比較例1)
本例のセッターは、微細粉末のみから製造したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、細孔を有しない緻密体であり、見掛気孔率が0%であり、強度は400MPaであった。
(比較例2)
本例のセッターは、微細粉末を95質量部、粗大粉末を5質量部、の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が0.15μmであり、(D10−D90)/D50が0.53であり、見掛気孔率が3.2%であり、強度は155MPaであった。
(比較例3)
本例のセッターは、微細粉末を50質量部、粗大粉末を50質量部、の割合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径が1.08μmであり、(D10−D90)/D50が1.11であり、見掛気孔率が24.7%であり、強度は75MPaであった。
(比較例4)
本例のセッターは、粗大粉末のみから製造したこと以外は、実施例1と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が5.74μmであり、(D10−D90)/D50が1.25であり、見掛気孔率が39.5%であり、強度は64MPaであった。
(比較例5)
本例は、150×150×3mmの板状のセッターである。本例のセッターは、以下により製造した。
まず、微細粉末を95質量部、D50が2.0μmの造孔剤を5質量部、の割合で準備し、均一になるまで混合する。造孔剤は、熱処理時に消失(詳しくは、焼失)する炭素粒子よりなる。
そして、混合粉末を板状に成形し、実施例1と同様に熱処理(焼結)を施した。熱処理後に、上記の形状に加工する工程を施して、本例のセッターを製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が2.11μmであり、(D10−D90)/D50が0.37であり、見掛気孔率が9.7%であり、強度は102MPaであった。
(比較例6)
本例のセッターは、微細粉末を90質量部、造孔剤を10質量部、の割合で混合したこと以外は、比較例5と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が2.23μmであり、(D10−D90)/D50が0.35であり、見掛気孔率が18.4%であり、強度は95MPaであった。
(比較例7)
本例のセッターは、微細粉末を85質量部、造孔剤を15質量部、の割合で混合したこと以外は、比較例5と同様にして製造した。
本例のセッターは、平均細孔径(D50)が2.24μmであり、(D10−D90)/D50が0.36であり、見掛気孔率が26.1%であり、強度は83MPaであった。
[評価]
先ず、実施例2と比較例5のセッターについて、SEM写真を撮影した。詳しくは、それぞれのセッターを破断し、その破断面を撮影した。SEM写真を図4〜図7に示す。
(SEM写真)
実施例2のセッターの1000倍のSEM写真を図4に、5000倍のSEM写真を図5にそれぞれ示した。比較例5のセッターの1000倍のSEM写真を図6に、5000倍のSEM写真を図7にそれぞれ示した。
図4に示したように、実施例2のセッターは、微細な細孔を有することが確認できる。そして、図5から、微細な細孔が連続した状態で形成されていることが確認できる。
対して、図6に示したように、比較例5のセッターは、実施例2よりも細孔径の大きな粗大な細孔を有することが確認できる。そして、図7から、粗大な細孔が閉気孔を形成していることが確認できる。詳しくは、図7中、矢印で示した孔は、閉気孔である。
次に、各例のセッターの評価として、耐反応性、耐熱衝撃性及び耐変形性の評価を下記の通り行った。評価結果を表1に示す。
(耐反応性)
まず、市販のPZT粉体(チタン酸ジルコン酸鉛)を用い、試験用ペレット(φ20mm×2mm)を作製する。
各例のセッターの表面上に、作製したペレットを3枚重ねて載せ、1200℃で2時間焼成し、室温まで冷却(放冷)する。冷却後、焼成したペレットとセッターとの反応及び接着状態を評価した。
評価は、ペレットがセッターと反応・固着を生じていないものを○とし、反応・接着を生じたものを×とした。
(耐熱衝撃性)
各例のセッターを加熱炉内に配置し、180〜300℃の所定の加熱温度まで昇温(加熱)する。所定の加熱温度は、180,200,250,300℃の各温度である。
炉内温度が所定の加熱温度で安定したら、各例のセッターが十分に加熱されたと判断し、加熱炉から各例のセッターを取り出し、室温(25℃)下で放冷(急冷)する。
そして、各例のセッターの温度が室温と同じ温度になったら、再び加熱炉に投入して、所定の加熱温度に昇温(加熱)する。
この所定の加熱温度への昇温(加熱)と、室温への放冷(急冷)を5回繰り返して、セッターに割れが生じない温度を耐熱衝撃温度とした。
評価は、耐熱衝撃温度が250℃以上のものを○とし、250℃未満のものを×とした。
(耐変形性)
各例のセッターを成形し、150×15×2mmの棒状の試験片2を製造する。
得られた試験片2に対し、図8に示したように、120mm間隔で支持具3,3が支持した試験片2の中央部に、支点間距離が30mmの加圧治具4を0.1kgfの荷重で押圧する。このとき、1200℃で、2時間の押圧を加える。
そして、2時間経過後の試験片2の変形量(図9に示したように、加圧されていない状態からの最大変形量)を測定する。
評価は、測定された変形量が3mm以下のものを○とし、3mmを超えていたものを×とした。
表1に示したように、各実施例のセッターは、耐反応性、耐熱衝撃性及び耐変形性の評価のいずれにおいても○となっている。
これに対し、緻密体よりなる比較例1のセッター、及び見掛気孔率が過剰に小さい比較例2のセッターは、細孔を有しないことで、耐熱衝撃性が×となっており、耐熱衝撃性がセッターとして十分でないことがわかる。
平均細孔径及び見掛気孔率が過剰に大きい比較例3〜4のセッターは、細孔を有することによる耐熱衝撃性は○となるが、過剰な細孔により曲げ強度が低くなり、耐反応性及び耐変形性が×となり、セッターとして十分でないことがわかる。
また、原料に造孔剤を用いた比較例5〜7のセッターは、平均細孔径が過剰に大きくなっている。これらのセッターは、耐反応性が×となり、セッターとして十分でないことがわかる。
以上に詳述したように、微細孔を所定の割合で含有した各実施例のセッターは、高い耐反応性と強度を維持しながら、耐熱衝撃性に優れたセッターとなっていることがわかる。
1:焼成治具
2:試験片
3:支持具
4:加圧治具

Claims (3)

  1. 平均細孔径が1.0μm以下であり、かつ見掛気孔率が5〜20%のジルコニア質セラミックスよりなる焼成治具。
  2. 前記細孔は、累積細孔分布において大径側から累積10%径(D10),累積50%径(D50),累積90%径(D90)が、(D10−D90)/D50≦0.8の関係を満たす請求項1記載の焼成治具。
  3. 曲げ強度が80MPa以上である請求項1〜2のいずれか1項に記載の焼成治具。
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