JP4460815B2 - 焼成用セッター - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はセラミックス系の電子材料部品等の対象物を焼成する際に用いられる焼成用セッターに関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電セラミックスの焼成を例にとって従来技術について説明する。PZT(PbZrTiO3)等を原料とする圧電セラミックスは、次のように形成されている。即ち、原料粉末を成形して未焼成のセラミックス成形体からなる対象物を形成し、この未焼成の対象物を焼成用セッターの載置面に載置する。そして、対象物を焼成用セッターの載置面に載置した状態で、焼成用セッターを焼成炉に装入し、焼成温度(一般的に800〜1400℃)で所定時間加熱保持して焼成することによって、圧電セラミックスは製造されていた。上記した焼成用セッターは、アルミナ製のセラミックス焼成体で形成されており、未焼成のセラミックス成形体からなる対象物を載せるための載置面を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記した圧電セラミックスを焼成するにあたり、未焼成のセラミックス成形体からなる対象物である圧電セラミックスが焼成用セッターの載置面と反応することが往々にしてあった。
【0004】
殊に、低融点、低沸点の元素、たとえばPbを含むPZT系の圧電セラミックスを焼成する場合には、焼成中にPbの一部が周囲に蒸散し、対象物である圧電セラミックスと焼成用セッターの載置面とが反応し、この結果、対象物である圧電セラミックスが汚染され、圧電セラミックスの電気特性が低下する問題が往々にして生じていた。更に、対象物である圧電セラミックスと焼成用セッターの載置面とが反応するため、焼成用セッターの寿命が短かくなる問題が往々にして生じていた。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みなされたものであり、焼成用セッターの載置面に載置されている未焼成または半焼成の対象物と焼成用セッターの載置面との反応を抑制するのに有利であり、これにより未焼成または半焼成の対象物を焼成する際において、対象物の汚染を抑えるのに有利であり、対象物の目標性能の確保、焼成用セッターの寿命の確保に有利な焼成用セッターを提供することを課題とするにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は焼成用セッターについて鋭意開発を進めている。そして焼成用セッターの載置面に、谷底から山頂までの高さが平均で10〜130μmであり径が平均で10〜300μmの島状をなす多数の島状膨出部を間隔を隔てて分散して形成すると共に、Y 、CaO、MgO、または希土類元素(La、Ce、Nd)の少なくとも1種を6〜10mol%含むとともに立方晶のジルコニアからなる安定化ジルコニアで形成すれば、未焼成または半焼成のセラミックス系の対象物を焼成用セッターの載置面に載置した状態で、対象物の焼成温度に加熱して対象物を焼成するときにおいて、対象物が焼成用セッターの載置面に密着することが抑制され、対象物と焼成用セッターの載置面との反応が抑制され、対象物の目標性能の低下の抑制、焼成用セッターの長寿命化に有利であることを知見し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。そして、多数の島状膨出部を間隔を隔てて分散して形成するには、放電痕をもつ放電加工面をもつ成形金型を用い、成形キャビティに装填したセラミックス粉末を放電加工面で加圧し、放電痕を転写することが有効であることを知見し、かかる知見に基づいて本発明方法を完成した。
【0007】
即ち、本発明に係る焼成用セッターは、未焼成または半焼成のセラミックス成形体で形成された対象物が載置される載置面となる上面および下面をもつセラミックス焼成体で形成され、前記対象物を焼成するために前記対象物を前記載置面に載置した状態で焼成炉に装入され 、CaO、MgO、または希土類元素(La、Ce、Nd)の少なくとも1種を6〜10mol%含むとともに立方晶のジルコニアからなる安定化ジルコニアで形成された焼成用セッターであり
前記上面および下面の双方には、相手型の放電加工面の放電痕が転写されて形成され、谷底から山頂までの高さが平均で10〜130μmであり径が平均で10〜300μmの島状をなす多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散しており、且つ、1000μm×800μmの視野において、前記島状膨出部の数は10〜150個であり、
前記焼成用セッターの気孔率は7%以下であり、前記焼成用セッターの厚みは6mm以下であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る焼成用セッターは次の製造方法で形成できる。すなわち、成形キャビティの側面を区画する第1キャビティ型面と、放電痕を有する放電加工面をもつ第2成型キャビティ型面と、放電痕を有する放電加工面をもつ第3成型キャビティ型面とを備える成形金型を用い、成形キャビティに装填したセラミックス粉末を成形金型の第2成型キャビティ型面および第3成型キャビティ型面の放電加工面により300〜2000kgf/cmで加圧することにより、成形金型の第2成型キャビティ型面および第3成型キャビティ型面の放電加工面の放電痕を転写した表出面をもつ圧粉体を形成する工程と、放電痕を転写した表出面をもつ前記圧粉体を焼成温度で焼成する工程とを実施し、請求項1に記載の焼成用セッターを得ることができる
【0009】
本発明によれば、焼成用セッターの載置面である上面、更には下面には、谷底から山頂までの高さが平均で10〜130μmであり径が平均で10〜300μmの島状をなす多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散している。このため、未焼成または半焼成の対象物を焼成用セッターの載置面に載置した状態で、対象物を焼成温度に加熱して焼成するときであっても、未焼成または半焼成の対象物が焼成用セッターの載置面に密着することは、抑制される。この結果、未焼成または半焼成の対象物を焼成用セッターの載置面に載置した状態で、対象物を焼成する際において、対象物と焼成用セッターの載置面とが反応することが抑制される。このため未焼成または半焼成の対象物を焼成するとき、対象物の目標性能が低下することを抑えることができ、焼成用セッターの寿命も長くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
焼成用セッターの載置面の島状膨出部が表面粗さの値が過剰に大きいと、載置面に載せる焼成の対象物が変形する不具合がある。載置面の表面粗さの値が過剰に小さいと、載置面に載せる焼成の対象物と焼成用セッターの載置面とが反応し易い不具合がある。そこで本発明によれば、谷底から山頂までの高さが平均で10〜130μmであり、径が平均で10〜300μmの島状をなす多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散している。このような島状膨出部は放電痕の転写、および、その後の焼成により形成される。島状膨出部の径は平均で50〜300μmとすることができる。更に好ましい形態によれば、焼成用セッターの載置面についてこれの谷底と山頂との間の中間を中間面とすると、中間面から島状膨出部の山頂までの高さが平均で3〜60μmであり、中間面から谷底までの深さが平均で3〜60μmとすることができる。従って焼成用セッターの載置面について、谷底から山頂までの高さは、平均で6〜120μm(120μm=60μm+60μm)とすることができる。
【0011】
殊に焼成用セッターの載置面について、これの谷底と山頂との間の中間を中間面とすると、中間面から島状膨出部の山頂までの高さが平均で3〜20μmであり、中間面から谷底までの深さが平均で3〜30μmとすることができる。従って焼成用セッターの載置面について、谷底から山頂までの高さは、平均で6〜50μm(50μm=20μm+30μm)とすることができる。
【0012】
焼成用セッターの載置面について、1000μm×800μmの顕微鏡視野において、島状膨出部の数は10〜150個とする。殊に20〜100個、20〜50個とすることができる。
【0013】
焼成用セッターはジルコニアを基材とする。ジルコニアは立方晶のジルコニアとされている。焼成用セッターが立方晶のジルコニアを基材として含む場合には、立方晶のジルコニアは極めて安定であるため、未焼成または半焼成の対象物を焼成する際に、対象物と焼成用セッターとの反応を極めて少なくできる。このため焼成用セッターは、長期間にわたり対象物との反応が抑えられ、安定して使用できる。特に、PZT等で形成された対象物を焼成する場合に極めて適しており、焼成用セッターはPZT等で形成された対象物との反応が少なくなり、耐汚染性が向上し、PZT等で形成された対象物の寿命、焼成用セッターの寿命が長くなる。これは、ジルコニアの相変態が起こりにくいためである。
【0014】
換言すれば、本発明の好ましい形態によれば、焼成用セッターは、Y、CaO、MgO、希土類元素(La、Ce、Nd等)の少なくとも1種を6〜10mol%含む安定化ジルコニアで形成されている形態を採用する。この場合ジルコニアが94〜90mol%となる。ジルコニアに、安定化剤としてY、CaO、MgO、あるいは希土類元素を6〜10mol%混合して所定の形状に成形した後に焼成して、焼成用セッターは形成される。これにより立方晶系のジルコニアが形成され、安定化ジルコニア、殊に完全安定化ジルコニアとなる。前記した希土類元素としてはCeが好ましい。ジルコニアにCeを混合したとき、より良好な安定化ジルコニアが得られる。
【0015】
換言すれば、本発明に係る焼成用セッターの材質は、立方晶のジルコニアで形成した安定化ジルコニアとする
【0016】
焼成用セッターの気孔率は7%以下である。この場合、焼成用セッターの緻密化が図れ、焼成用セッターの強度確保に有利であるため、焼成用セッターの厚みを薄くすることができる。焼成用セッターの厚みとしては例えば6mm以下,4mm以下または2mm以下とすることができる。焼成用セッターの厚みを薄くすれば、焼成用セッター内の熱伝導性を高めることができ、焼成用セッターから対象物への熱伝達を向上させるのに有利となり、ひいては対象物の焼成を効果的に行うことができ、対象物の焼成温度を低めにするのに有利となる。
【0017】
本発明の好ましい形態によれば、焼成用セッターの形状としては、平板状でも良く、上面および下面が平行な板状で当該上面に対象物を収納する凹部をもつようなものでもよい。後者の場合、複数の焼成用セッターを上下に重ねて使用することにより、上側の焼成用セッターで、下側の焼成用セッターの凹部が蓋をされて閉じた空間になるので、凹部に収納された対象物がPb等の蒸散しやすい元素を含むセラミックス成形体(例えばPZT)などであっても、その元素の蒸散量が抑えられ、対象物と焼成用セッターとの反応がより少なくなる利点が期待される。
【0018】
本発明にかかる焼成用セッターは次の方法で形成できる。すなわち、成形キャビティを区画すると共に放電痕をもつ放電加工面をもつ成形金型を用い、成形キャビティに装填したセラミックス粉末を成形金型の放電加工面で加圧することにより、成形金型の放電加工面の放電痕を転写した表出面をもつ圧粉体を形成する。放電加工面は放電加工が施された面であり、一般に放電痕を有する。加圧力としては適宜選択できるが、例えば300〜2000kgf/cm(1kgf/cm≒9.8×10Paとすれば、29.4MPa〜196MPa)とすることができる。次に、この圧粉体を焼成温度に加熱して焼成する工程とを実施し、請求項1に記載の焼成用セッターを得る。圧粉体を焼成温度に加熱して焼成する際の加熱雰囲気としては、一般的には酸化雰囲気を採用できる。なお焼成温度は、セラミックスの材質に応じて選択され、例えば800〜1800℃にできるが、これに限定されるものではない。
【0019】
【実施例】
本発明に係る実施例を図面を参照して具体的に説明する。図1に示す成形金型100は、空洞101をもつ主型102と、空洞101に嵌合された第1分割型としての下型104と、空洞101に嵌合される第2分割型としての上型107とを有する。成形キャビティ106は、主型102の空洞101の側面である第1キャビティ型面103と、下型104の上面である第2キャビティ型面105と、上型107の下面である第3キャビティ型面108とで形成されている。主型102、下型104及び上型107は金属である鉄系(材質:例えば炭素鋼、合金鋼(SKD材等)で形成されている。第2キャビティ型面105及び第3キャビティ型面108は、銅電極等の導電材料で形成された電極を用いて放電加工が施された放電加工面で形成されている。放電加工は、銅電極等の導電材料で形成された電極を成形金型(材質:例えば炭素鋼、合金鋼(SKD材等)に接近させた状態で、電極と成形金型との間に電圧を印加し、電極と成形金型との間の微小隙間において放電を生じさせて加工する技術である。
【0020】
まず製造の際には、主型102に下型104を嵌合した状態で、微小なセラミックス粉末200(粒径:10〜200μm)を成形キャビティ106に装填する。そして上型107を下降させて上型107で加圧する。加圧力は約1000kgf/cmとした。セラミックス粉末は上型107と下型104とで加圧圧縮され、板状の圧粉体300となる。圧粉体300を焼成炉に装入して酸化雰囲気において焼成温度(1350〜1550℃,1450℃)に所定時間(約2時間)加熱して焼成する。これにより焼成用セッター1を形成する。焼成用セッター1は、Yを8mol%含む安定化ジルコニアを基材として形成されている。本実施例の焼成用セッター1(厚み1.5〜3mm)は、互いに平行な上面2aおよび下面2cとを有する板状体2を有している。
【0021】
図2は、焼成用セッター1の上面2aを電子顕微鏡(SEM)で観察した状態を模写したものである。図2に示すように、多数の島状膨出部が間隔を隔てて形成されている。図2は1000μm×800μmの視野にほぼ相当する。図2において、島状膨出部の数は20〜30個であった。図4は、焼成用セッター1の上面2aの表面粗さを三次元表面粗さ形状測定機(サーフコム 1400D−3DF)で測定し、それを三次元的に表現したものである。表面粗さの測定範囲は2mm×2mmとした。本実施例によれば、焼成用セッター1の載置面である上面2aについては、谷底から山頂までの高さが平均で10〜130μmであり径が平均で10〜300μmの島状をなす多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散していた。
【0022】
より具体的には、図2によれば、焼成用セッター1の載置面である上面2aについて、島状膨出部の径は平均で50〜00μmであった。更に図4において、上面2aについて谷底と山頂との間の中間を中間面とすると、黒色部分は中間面からの高さが7〜9.4μmの山頂部を示し、点々部分はそれよりも高さが低い部分を示し、×印の部分は中間面からの深さが7〜18.9μmの谷底部分を示す。従って焼成用セッター1の載置面である上面2aについて、谷底から山頂までの高さは、平均で14〜28.3μm(14μm=7μm+7μm,28.3μm=18.9μm+9.4μm)であった。
【0023】
焼成用セッター1の下面2cについても、同様の多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散していた。
【0024】
上記のような島状膨出部が形成される理由としては、放電痕をもつ放電加工面で形成されている第2キャビティ型面105及び第3キャビティ型面108が上面2a及び下面2cに転写され、その転写面が焼成されたことに起因すると推察される。放電加工は、鉄系の第2キャビティ型面105及び第3キャビティ型面108と電極との間の微小隙間で生じた放電により加工を行う技術であり、放電加工面は放電痕を有している。放電痕は、鉄系の第2キャビティ型面105及び第3キャビティ型面108におけるマトリック組織、導電率等の影響によるものと推察される。
【0025】
使用の際には、図1(C)に示すごとく、本実施例に係る焼成用セッター1の上面2aに、対象物5(未焼成のPZT成形体)を載置する。そして対象物5を載置した焼成用セッター1を、大気雰囲気の焼成炉に入れる。そして焼成温度(例えば1330℃)で所定時間(例えば2時間)の条件で、対象物5を焼成する。本実施例によれば、焼成用セッター1の上面2aに対象物5(PZT成形体)を載置した状態で対象物5を焼成しても、対象物5(PZT成形体)の反応および汚染は観測されなかった。更に対象物5(PZT成形体)の焼成回数が増加しても、焼成用セッター1の損傷は抑えられていた。
【0026】
比較例に係る焼成用セッターとして、同様な材質(ジルコニア)のセラミックス焼成体の上面にショット材を投射するショットブラスト処理を施した。この場合、ショット材の材質を炭化珪素(24メッシュ〜200メッシュ=500μm〜50μm)とし、ブラスト圧力を0.2MPa〜1MPaとし、ブラスト時間を1〜5分間とした。図3は比較例に係る焼成用セッターの上面を電子顕微鏡で観察し、模写したものである。図5は、比較例に係る焼成用セッターの上面の表面粗さを前記した三次元表面粗さ形状測定機で測定し、それを三次元的に表現したものである。表面粗さの測定範囲は2mm×2mmとした。図5において、黒色部分は谷底と山頂との中間面からの高さが7〜9.4μmの山頂部を示し、点々部分はそれよりも高さが低い部分を示し、×印の部分は中間面からの深さが7〜18.9μmの谷底部分を示す。図3及び図5から理解できるように、比較例に係る焼成用セッターの載置面である上面では、極微小の突起が極めて多数形成されていた。このような比較例に係る焼成用セッターの載置面では、島状膨出部は形成されておらず、ショットブラスト処理が施されているため、微小な傷が多く、対象物の焼成回数が増加すると破損するおそれがある。更にショットブラスト処理が施されているため、活性面が新たに露出し易く、載置面である上面に載置した対象物と反応するおそれがある。
【0027】
図1(D)は他の実施例に係る焼成用セッター1Bの使用状態を示す。焼成用セッター1Bでは、互いに平行な上面2aおよび下面2cとを有する板状体2を有しており、断面で上方に突出した側部3を有する断面コの字形状をなしており、上面2a側に凹部4mを有する。対象物5の焼成の際には、複数個の焼成用セッター1Bをこれの厚み方向に積層することによって、上方が閉じた空間4が形成されている。板状体2の上面2aと下面2cは互いに実質的に平行である。空間4の開口部の形状は矩形である。このように閉じた空間4において空いている空間部分が狭いので、対象物5の焼成の際に対象物5からの僅かの蒸散で、閉じた空間4内は飽和蒸気圧に達し易く、それ以上の蒸散が抑制されるので、焼成後の対象物5(PZT)は組成変化が少なく、良好な圧電特性を示す。
【0028】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、焼成温度及び焼成時間は上記に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)未焼成または半焼成のセラミックス成形体で形成された対象物が載置される載置面をもつセラミックス焼成体で形成され、前記対象物を焼成するために前記対象物を前記載置面に載置した状態で焼成炉に装入される焼成用セッターにおいて、前記載置面には、相手型(成形金型等)の放電加工面の放電痕が転写された島状をなす多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散していることを特徴とする焼成用セッター。
(付記項2)成形キャビティを区画すると共に放電痕を有する放電加工面をもつ成形金型を用い、成形キャビティに装填したセラミックス粉末を成形金型の放電加工面で加圧することにより、成形金型の放電加工面を転写した表出面をもつ圧粉体を形成する工程と、転写した表出面をもつ前記圧粉体を焼成温度で焼成する工程とを実施し、請求項1に記載の焼成用セッターを得る焼成用セッターの製造方法。
(付記項3)請求項1において、島状膨出部は、放電痕をもつ放電加工面の転写を経て形成されていることを特徴とする焼成用セッター。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、焼成用セッターの載置面に適切な島状膨出部が分散して形成されているため、未焼成または半焼成の対象物を焼成する際において、未焼成または半焼成の対象物と焼成用セッターの上面との反応を抑えることができる。よって、未焼成または半焼成の対象物を焼成する際に対象物の汚染を抑えることができ、更に焼成用セッターの長寿命化にも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る焼成用セッターの製造過程及び使用状態を示す断面図である。
【図2】実施例に係る焼成用セッターの載置面の電子顕微鏡写真を模写した図である。
【図3】比較例に係る焼成用セッターの載置面の電子顕微鏡写真を模写した図である。
【図4】実施例に係る焼成用セッターの載置面の三次元表面粗さ状態を模写した図である。
【図5】比較例に係る焼成用セッターの載置面の三次元表面粗さ状態を模写した図である。
【符号の説明】
図中、1は焼成用セッター、2は板状体、2aは上面、4は空間、5は対象物を示す。

Claims (1)

  1. 未焼成または半焼成のセラミックス成形体で形成された対象物が載置される載置面となる上面および下面をもつセラミックス焼成体で形成され、前記対象物を焼成するために前記対象物を前記載置面に載置した状態で焼成炉に装入され 、CaO、MgO、または希土類元素(La、Ce、Nd)の少なくとも1種を6〜10mol%含むとともに立方晶のジルコニアからなる安定化ジルコニアで形成された焼成用セッターであり
    前記上面および下面の双方には、相手型の放電加工面の放電痕が転写されて形成され、谷底から山頂までの高さが平均で10〜130μmであり径が平均で10〜300μmの島状をなす多数の島状膨出部が間隔を隔てて分散しており、且つ、
    1000μm×800μmの視野において、前記島状膨出部の数は10〜150個であり、
    前記焼成用セッターの気孔率は7%以下であり、前記焼成用セッターの厚みは6mm以下であることを特徴とする焼成用セッター。
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