JP2008260657A - 圧電磁器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化を図りつつ、圧電歪み特性の劣化を抑えることができる圧電磁器の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る圧電磁器(圧電体層2)の製造方法は、主成分としてTiO原料とZrO原料とPbO原料とを含み、且つ、副成分としてPが添加された圧電材料を焼成して、圧電磁器を作製する圧電磁器の製造方法であって、圧電材料には、TiO原料及びZrO原料に含まれるPが40ppm以上350ppm以下の範囲で混入され、圧電材料に含まれるPのうち、副成分として添加されるPの割合が30%以下であることを特徴とする。このような製造方法によれば、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が実現し、圧電歪み特性の劣化が抑えられることを発明者らは見い出した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電磁器の製造方法に関するものである。
従来より、例えば、発音体、センサ、アクチュエータ等の種々の用途に、圧電素子が利用されている。そして、圧電素子としては、単板圧電素子や積層型圧電素子が知られている。単板圧電素子は、一対の電極層間に圧電磁器からなる圧電体層を備える構造を有している。また、積層型圧電素子は、圧電体層と内部電極とが交互に積層された構造の素体を有している。この積層型圧電素子において、素体は、その積層方向の両端面が複数の圧電体層からなる保護層によって覆われていることが一般的である。
このような圧電素子に利用される圧電磁器の材料は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
特開平5−24917号公報
上述のような圧電磁器の圧電体層においては、焼成時に生じる歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が望まれていた。発明者らは、リンを含む圧電材料を用いることで、歪みの緩和や結晶粒成長の安定化を実現できることを見い出した。ただし、圧電材料中のリンは圧電歪み特性に悪影響を及ぼしてしまうため、発明者らは、圧電歪み特性についての研究を重ね、ついに圧電歪み特性の劣化を抑制する技術を見い出した。
つまり、本発明は、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化を図りつつ、圧電歪み特性の劣化を抑えることができる圧電磁器の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、圧電磁器に用いられる圧電材料にPが含有されており、そのPがPとして、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料から所定範囲の量だけ混入し、且つ、圧電材料に副成分として添加されるPが所定割合以下である場合に、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が実現し、且つ、圧電歪み特性の劣化が抑えられることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る圧電磁器の製造方法は、主成分としてTiO原料とZrO原料とPbO原料とを含み、且つ、副成分としてPが添加された圧電材料を焼成して、圧電磁器を作製する圧電磁器の製造方法であって、圧電材料には、TiO原料及びZrO原料に含まれるPが40ppm以上350ppm以下の範囲で混入され、圧電材料に含まれるPのうち、副成分として添加されるPの割合が30%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化を図りつつ、圧電歪み特性の劣化を抑えることができる圧電磁器の製造方法が提供される。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するにあたり最良と思われる形態について詳細に説明する。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。
まず、本発明の実施形態に係る製造方法によって作製される圧電素子について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態に係る圧電素子を示す斜視図である。図1に示す圧電素子1は、単板圧電素子であり、圧電磁器の圧電体層2と、この圧電体層2を挟むように配置された一対の電極層3A及び3Bとを備える。この圧電素子1においては、電極3A、3B間に電圧が印加されるとこれらに挟まれた圧電体層2に電界が生じ、この圧電体層2が変位(伸縮動作)する。
圧電体層2は、主としてPZT系圧電体セラミックの圧電材料から構成される層である。また、圧電体層2の圧電材料中にはリン元素が含まれている。圧電材料において、リン元素は、原子、酸化物又は圧電体層2に含まれている他の金属等との化合物の形態で含まれる。リン元素は、圧電体層2中に均一に分散していることが好ましい。
電極層3A,3Bは、主に金属から構成される導電性の層である。電極層3A,3Bに含まれる金属としては、Ag、Au、Cu、Ni、Pdやこれらの合金(例えば、Ag−Pd合金)等が挙げられる。
次に、上記圧電素子を作製する手順について、図2を参照しつつ説明する。図2は、本発明の実施形態に係る圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。
圧電素子1を作製する際は、まず、出発原料を用意する(ステップ11)。この出発原料は、PZT系圧電材料であり、主成分としてPbO、TiO、ZrO、ZnO、Nb等の粉体原料を含み、副成分としてP試薬(若しくは、P10試薬、HPO試薬)を含んでいる。そして、これらの原料が所定の組成比となるようにそれぞれの原料を秤量する。このとき、P試薬の量は、圧電材料に含まれるPの30%以下の割合となるように調整される。
次に、安定化ジルコニアボールをメディアに用いたボールミルによって、上記出発原料の湿式混合を24時間程度行う(ステップS12)。続いて、混合された原料を乾燥させる(ステップS13)。そして、混合された原料に対し、例えば850℃程度の温度で2時間程度の加熱処理を施す仮焼成をおこなう(ステップS14)。これにより、主にPb、Zr、Ti元素を含有したペロブスカイト構造を有する複合型酸化物圧電材料の原料組成物が得られる。
この原料組成物をボールミルにより湿式粉砕した後(ステップS15)、これを乾燥させ(ステップS16)、原料組成物の粉体(圧電磁器粉体)を得る。続いて、圧電磁器粉体にポリビニルアルコール系等のバインダーを加えて造粒をおこない(ステップS17)、これをプレス成形等により角板状に成形する(ステップS18)。これにより、圧電磁器となる圧電体成形物が得られる。
得られた圧電体成形物を、安定化ジルコニアセッター等に載置した後、大気雰囲気中で加熱することにより、圧電体成形物中に含まれるバインダー等を除去する脱脂処理を行う(ステップS19;脱バインダー)。そして、圧電体成形物に対し、密閉された容器中で、例えば1050〜1200℃、2時間程度の加熱を行う焼成処理(本焼成)を行う(ステップS20)。
最後に、得られた焼成体の両面に銀ペーストを焼き付けて、電極層3A,3Bを形成する(ステップS21)。これにより、焼成された圧電磁器である圧電体層2と、その両面に焼き付けられた電極層3A,3Bとで構成される図1の圧電素子1が得られる。
以上で説明したように、発明者らは、圧電磁器に用いられる圧電材料にPが含有されており、そのPがPとして、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料から所定範囲の量だけ混入し、且つ、圧電材料に副成分として添加されるPが所定割合以下である場合に、焼成時における歪みの緩和及び結晶粒成長の安定化が実現し、且つ、圧電歪み特性(d31)の劣化が抑えられることを見い出した。
具体的には、圧電材料中のTiO粉末原料及びZrO粉末原料のリン元素の含有量は、Pに換算してモル基準で40ppm以上350ppm以下の範囲に調整される。すなわち、この量のリン元素が圧電材料に混入されている。このリン元素の含有量が40ppm未満であると、焼成による圧電材料の焼結が不十分となり、圧電体層2の密度が低下して十分な変位が得られ難くなる場合がある。一方、リン元素の含有量が350ppmを超えると圧電歪み定数(d31)の値が実用的なレベルを下回ってしまう。
そして、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料からPをPとして混入させて、副成分として圧電材料に添加するP試薬の添加割合を30%以下に下げることで、上記圧電歪み特性の劣化が効果的に抑制されることを、下記実施例において確認した。それにより、P試薬を添加して圧電材料中のP含有量を増加させる場合に比べて、圧電歪み定数を所定の基準値以上に維持しつつ、より多くのPを圧電材料中に含有させることができるため、さらなる歪み緩和及び結晶粒成長の安定性の向上を図ることができるようになる。
なお、上述した方法ではなく、電極層3A,3Bとなる電極ペースト(例えば、Ag−Pd合金を含むペースト)を圧電体成形物に塗布した後、脱バインダー処理(ステップS19)及び本焼成(ステップS20)をおこなうことでも、図1の圧電素子1と同様の素子を得ることができる。この場合には、電極ペースト層に含まれる金属が、本焼成の際に圧電体成形物中に拡散し易くなるが、圧電体成形物中に金属と反応し易いリン元素が分散されているため、金属の拡散は圧電体成形物中で均一に生じるようになる。その結果、圧電体成形物がリン元素を含まない場合に比して、焼結による圧電体成形物(圧電体層2)の収縮が均一に生じるようになる。その結果、圧電体層2は、歪みが少ない形状を有するものとなり、圧電素子1全体も歪みが少ないものとなる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(第1実施例)
まず、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体(出発原料)を得た。この出発原料には、Pを含有するTiO及びZrOと、PbO、ZnO、Nbとが含まれている。そして、これらの出発原料を、焼成後にPb0.99[(Zn1/3 Nb2/30.1 Ti0.44 Zr0.46]Oの組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、ステップS17に示すように、その圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、ステップS18に示すプレス成形を約196MPaで行い、一辺が約20mm、厚さ1.5mmのサイズを有する角板状の圧電体成形物を得た。
その後、ステップS19に示すように、圧電体成形物の脱バインダーを行い、ステップS20に示すように、圧電体成形物をマグネシア(MgO)の密閉容器に入れ、1150℃で2時間加熱する本焼成を行った。これにより、角板状の圧電磁器を得た。
最後に、得られた圧電磁器を、高さ1.0mmに加工し、さらにその両面に銀焼付電極を形成して、図1に示す圧電素子と同様の単板圧電素子(12mm×3mm)を作製した。さらに、この単板圧電素子に、120℃のシリコーン油中で分極処理(処理条件:3kV/mm、15分)を行った。
以上のようにして得られた単板圧電素子の圧電歪み定数(d31)を測定した。測定方法としては、インピーダンスアナライザーを用いて測定した素子の静電容量、共振周波数及び反共振周波数から、圧電歪み定数を算出した。また、圧電磁器の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、圧電粒子の平均粒子径を円相当径として画像処理ソフト(Mac View)を用いて測定した。
(比較例)
上述した実施例と同様に、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体を得た。この出発原料には、TiO、ZrO、PbO、ZnO、Nbが含まれており、これにP試薬が添加されている。そして、Pが添加された出発原料を、焼成後にPb0.99[(Zn1/3 Nb2/30.1 Ti0.44 Zr0.46]Oの組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、ステップS17に示すように、その圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、ステップS18に示すプレス成形を約196MPaで行い、一辺が約20mm、厚さ1.5mmのサイズを有する角板状の圧電体成形物を得た。
その後、ステップS19に示すように、圧電体成形物の脱バインダーを行い、ステップS20に示すように、圧電体成形物をマグネシア(MgO)の密閉容器に入れ、1150℃で2時間加熱する本焼成を行った。これにより、角板状の圧電磁器を得た。
最後に、得られた圧電磁器を、高さ1.0mmに加工し、さらにその両面に銀焼付電極を形成して、図1に示す圧電素子と同様の単板圧電素子(12mm×3mm)を作製した。さらに、この単板圧電素子に、120℃のシリコーン油中で分極処理(処理条件:3kV/mm、15分)を行った。
以上のようにして得られた単板圧電素子の圧電歪み定数を、実施例同様に測定した。また、圧電磁器の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、圧電粒子の平均粒子径を円相当径として画像処理ソフト(Mac View)を用いて測定した。
上記実施例及び比較例により測定した圧電歪み定数は、以下の表1及び図3のグラフに示すとおりであった。ここで、図3のグラフの横軸は、圧電材料中のP含有量(ppm)を示しており、縦軸は圧電歪み定数(pC/N)を示している。
これらの測定結果(表1及び図3のグラフ)から、圧電材料中にPを直接添加した比較例に比べて、圧電材料にTiO粉末原料及びZrO粉末原料からPを混入させた実施例のほうが、圧電歪み定数の値が高くなることがわかった。さらに、圧電材料中のTiO粉末原料及びZrO粉末原料のリン元素の含有量が、Pに換算してモル基準で350ppm以下である場合には、圧電歪み定数が実用上十分な値(200pC/N以上)となった。一方、Pが350ppmを超えると、圧電歪み定数が200pC/Nを下回ってしまった。そのため、圧電材料にTiO原料及びZrO原料から混入させるPは350ppm以下であることが好ましい。
また、実施例及び比較例における顕微鏡写真は図4に示すとおりであった。この写真から、圧電粒子の平均粒子径を測定した結果、図5に示すグラフが得られた。ここで、図5のグラフの横軸は、圧電材料のP含有量(ppm)を示しており、縦軸は圧電粒子の平均粒子径(μm)を示している。
これらの測定結果(図4の写真及び図5のグラフ)から、同じ濃度のPを圧電材料中に含有させるとき、圧電材料中にPを直接添加した場合(比較例)に比べて、圧電材料にTiO粉末原料及びZrO粉末原料からPを混入させた場合(実施例)のほうが、圧電磁器が、大きな平均粒子径の圧電粒子で構成されることがわかる。つまり、所定のP含有量範囲(40ppm以上350ppm以下)において、任意の含有量で比較した場合、比較例に係る平均粒径よりも実施例に係る平均粒径のほうが大きくなる。このように実施例では比較例に比べて平均粒子径が大きくなるため、実施例に係る圧電磁器のほうがより高い焼結性を実現することができる。
(第2実施例)
まず、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体(出発原料)を得た。この出発原料には、Pを含有するTiO及びZrOと、PbO、ZnO、Nbとが含まれている。この出発原料には、所定量のP試薬が添加されている。そして、これらの出発原料を、焼成後にPb0.94 Sr0.05[(Zn1/3 Nb2/30.1 (Mg1/3 Nb2/30.2Ti0.38 Zr0.32]OにNiOが0.4wt%含まれる組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、ステップS17に示すように、その圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、ステップS18に示すプレス成形を約196MPaで行い、一辺が約20mm、厚さ1.5mmのサイズを有する角板状の圧電体成形物を得た。
その後、ステップS19に示すように、圧電体成形物の脱バインダーを行い、ステップS20に示すように、圧電体成形物をマグネシア(MgO)の密閉容器に入れ、1100℃で2時間加熱する本焼成を行った。これにより、角板状の圧電磁器を得た。
最後に、得られた圧電磁器を、高さ1.0mmに加工し、さらにその両面に銀焼付電極を形成して、図1に示す圧電素子と同様の単板圧電素子(12mm×3mm)を作製した。さらに、この単板圧電素子に、120℃のシリコーン油中で分極処理(処理条件:3kV/mm、15分)をおこなった。
以上のようにして得られた単板圧電素子の圧電歪み定数(d31)を測定した。測定方法としては、インピーダンスアナライザーを用いて測定した素子の静電容量、共振周波数及び反共振周波数から、圧電歪み定数を算出した。
なお、この実施例では、圧電材料に含まれるPの総量(P総量)が35ppm、150ppm、250ppm、350ppm、400ppmである試料をそれぞれ準備し、圧電材料中のTiO原料及びZrO原料から混入するPの量(P混入量)を250ppm、150ppm、35ppmとして、その不足分をPの試薬の量(P添加量)で補うようにしている。
上記実施例により測定した圧電歪み定数は、以下の表2〜4に示すとおりであった。なお、P添加量(ppm)は、原料化合物から換算した圧電体セラミックス1モルに対する値である。


なお、測定結果として、上記実施例1〜3におけるP総量とd31特性との関係を示すグラフを図6に、上記実施例1〜3における添加割合とd31特性との関係を示すグラフを図7に示す。ここで、図6のグラフの横軸は、圧電材料のP総量(ppm)を示しており、縦軸はd31特性(pC/N)を示している。また、図7のグラフの横軸は、P添加量の添加割合(%)を示しており、縦軸はd31特性(pC/N)を示している。
上述した実施例1〜3と同様に、図2に示すステップS11〜S16を実施して、圧電材料の原料組成物の粉体を得た。この出発原料には、Pを含有するTiO及びZrOと、PbO、ZnO、Nbとが含まれているが、上記実施例1〜3とは異なり、P試薬は添加されていない。そして、Pが添加された出発原料を、焼成後にPb0.94 Sr0.05[(Zn1/3 Nb2/30.1 (Mg1/3 Nb2/30.2Ti0.38 Zr0.32]OにNiOが0.4wt%含まれる組成を有する圧電磁器が得られるように秤量し配合した。
次に、ステップS17に示すように、その圧電材料の原料組成物の粉体に、ポリビニルアルコール系のバインダーを加えて造粒した後、ステップS18に示すプレス成形を約196MPaで行い、一辺が約20mm、厚さ1.5mmのサイズを有する角板状の圧電体成形物を得た。
その後、ステップS19に示すように、圧電体成形物の脱バインダーを行い、ステップS20に示すように、圧電体成形物をマグネシア(MgO)の密閉容器に入れ、1150℃で2時間加熱する本焼成を行った。これにより、角板状の圧電磁器を得た。
最後に、得られた圧電磁器を、高さ1.0mmに加工し、さらにその両面に銀焼付電極を形成して、図1に示す圧電素子と同様の単板圧電素子(12mm×3mm)を作製した。さらに、この単板圧電素子に、120℃のシリコーン油中で分極処理(処理条件:3kV/mm、15分)をおこなった。
以上のようにして得られた単板圧電素子の圧電歪み定数を、実施例1〜3同様に測定した。測定した圧電歪み定数は、以下の表5及び図6に示すとおりであった。
すなわち、同じ濃度のPを圧電材料中に含有させるとき、圧電材料にTiO粉末原料及びZrO粉末原料から所定の含有量範囲(40ppm以上350ppm以下)でPを混入させることで、平均粒径が大きくなって圧電磁器の焼結性が向上し、且つ、上記測定結果(表2〜5、図7のグラフ)からわかるとおり、副成分として圧電材料に添加するP試薬の添加割合を30%以下に下げることで、圧電歪み定数が実用上十分な値(200pC/N以上)となった。
それにより、P試薬を添加して圧電材料中のP含有量を増加させる場合に比べて、圧電歪み定数を所定の基準値以上に維持しつつ、より多くのPを圧電材料中に含有させることができるため、さらなる歪み緩和及び結晶粒成長の安定性の向上を図ることができるようになる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、圧電素子として、単板圧電素子を例に説明したが、適宜積層型圧電素子にも適用することができる。
本発明の実施例に係る圧電素子を示す斜視図である。 図1に示した圧電素子の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定結果を示した顕微鏡写真である。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。 本発明の実施例に係る測定結果を示したグラフである。
符号の説明
1…圧電素子、2…圧電体層、3A,3B…電極層。

Claims (1)

  1. 主成分としてTiO原料とZrO原料とPbO原料とを含み、且つ、副成分としてPが添加された圧電材料を焼成して、圧電磁器を作製する圧電磁器の製造方法であって、
    前記圧電材料には、前記TiO原料及び前記ZrO原料に含まれるPが40ppm以上350ppm以下の範囲で混入され、
    前記圧電材料に含まれるPのうち、前記副成分として添加されるPの割合が30%以下である、圧電磁器の製造方法。
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