以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、センサ機器としての反射型の光電センサに本発明を適用した場合を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施の形態における光電センサを正面側から見た斜視図であり、図2は、図1に示す光電センサを背面側から見た斜視図である。また、図3は、図1に示す光電センサの模式断面図であり、図4は、図1に示す光電センサの要部の分解斜視図である。まず、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態における光電センサ1の概略的な構成について説明する。
図1ないし図4に示すように、光電センサ1は、全体として略直方体形状の外形を有しており、筐体10と、レンズ部材20と、透光板24と、投光素子31および受光素子32が実装された投受光用回路基板30と、表示操作部33と、表示用透光部材34と、各種のブラケット41〜43と、ケーブル50と、ブッシュ60と、固定部材70とを主として備えている。
筐体10は、箱形状の本体ケース10Aと、平板状の本体カバー10Bとを含んでいる。本体ケース10Aは、光電センサ1の前面10a、後面10b、上面10c、下面10dおよび右側面10fを主として構成しており、本体カバー10Bは、光電センサ1の左側面10eの一部を構成している。ここで、前面10aは、透光板24が組付けられている面であり、後面10bは、前面10aとは反対側に位置する面である。また、上面10cは、表示操作部33が組付けられている面であり、下面10dは、上面10cとは反対側に位置する面である。
これら本体ケース10Aおよび本体カバー10Bは、たとえば金属製の部材にて構成されており、好適にはステンレス製の部材にて構成される。本体ケース10Aは、たとえば金属射出成形(MIM:Metal Injection Molding)によって製作され、本体カバー10Bは、たとえば金属板をプレス加工することによって製作される。
図4に示すように、本体ケース10Aの左側面10eに相当する部分には、側面開口部14が設けられており、当該側面開口部14を覆うように本体カバー10Bが組付けられている。本体カバー10Bは、たとえばその周縁が全周にわたってレーザ溶接されることにより、本体ケース10Aに固定されている。
これにより、本体ケース10Aおよび本体カバー10Bからなる筐体10の内部には、収容空間11が形成されることになり、当該収容空間11に、上述したレンズ部材20や投受光用回路基板30、表示操作部33、ブラケット41〜43等の各種の内部構成部品が収容されている。なお、側面開口部14は、上述した各種の内部構成部品を本体ケース10Aの内部に組付けるための開口部である。なお、表示操作部33については、これがなくとも光電センサとしては成立する。
図3および図4に示すように、本体ケース10Aの前面の所定位置には、前面開口部12が設けられている。図1、図3および図4に示すように、前面開口部12は、透光板24によって覆われており、当該透光板24をさらに覆うように、透光板用カバー18が本体ケース10Aに組付けられている。
透光板用カバー18は、その所定位置に窓部18a1を有するたとえば金属製の部材からなり、好適にはステンレス製の部材にて構成される。透光板用カバー18は、たとえば金属板をプレス加工することによって製作される。
透光板24と本体ケース10Aとの間には、パッキンの一種であるOリング91が介装されており、この状態において透光板用カバー18が本体ケース10Aに組付けられることにより、透光板24と本体ケース10Aとの間の隙間がOリング91によって埋め込まれている。これにより、本体ケース10Aの前面開口部12が設けられた部分において、筐体10の内部に位置する収容空間11が、筐体10の外部の空間から封止されることになる。
ここで、上述した前面開口部12は、筐体本体(金属製の部材からなる本体ケース10Aおよび本体カバー10B)以外の部材(すなわちカバー部材)でこれを覆う必要がある部位であり、上記透光板24が、このカバー部材に該当する。一方、上記透光板用カバー18は、カバー部材である透光板24を筐体本体に固定するための部材であり、固定用カバーに該当する。
なお、本実施の形態における光電センサ1は、このうちの固定用カバーである透光板用カバー18の本体ケース10Aに対する組付構造に特徴を有するものであるが、その詳細については後述することとする。
図3および図4に示すように、本体ケース10Aの上面の所定位置には、上面開口部13が設けられている。図1、図3および図4に示すように、上面開口部13に面する部分の収容空間11には、表示操作部33が位置しており、当該表示操作部33および上面開口部13が、表示用透光部材34によって覆われている。さらに、表示操作部用カバー19が、表示用透光部材34を覆うように本体ケース10Aに組付けられている。
表示操作部用カバー19は、その所定位置に窓部19a1および孔部19a2を有するたとえば金属製の部材からなり、好適にはステンレス製の部材にて構成される。表示操作部用カバー19は、たとえば金属板をプレス加工することによって製作される。
表示用透光部材34と本体ケース10Aとの間には、パッキンの一種であるOリング92が介装されており、この状態において表示操作部用カバー19が本体ケース10Aに組付けられることにより、表示用透光部材34と本体ケース10Aとの間の隙間がOリング92によって埋め込まれている。これにより、本体ケース10Aの上面開口部13が設けられた部分において、筐体10の内部に位置する収容空間11が、筐体10の外部の空間から封止されることになる。
ここで、上述した上面開口部13も、筐体本体(金属製の部材からなる本体ケース10Aおよび本体カバー10B)以外の部材(すなわちカバー部材)でこれを覆う必要がある部位であり、上記表示用透光部材34が、このカバー部材に該当する。一方、上記表示操作部用カバー19は、カバー部材である表示用透光部材34を筐体本体に固定するための部材であり、固定用カバーに該当する。
なお、本実施の形態における光電センサ1は、このうちの固定用カバーである表示操作部用カバー19の本体ケース10Aに対する組付構造にも特徴を有するものであるが、その詳細については後述することとする。
表示操作部33は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等で構成された表示部と、感度調整ボリュームおよび動作切換えスイッチを含む操作部と、これら表示部および操作部を構成する各種の電子部品が実装された表示操作用回路基板とを含んでいる。当該表示操作用回路基板は、図示しない配線等によって投受光用回路基板30と電気的に接続されている。
なお、図1,図3および図4においては、表示操作部33を構成する部材のうち、感度調整ボリュームの操作摘みおよび動作切換えスイッチの操作摘みを特に符号33aにて示している。また、上述した表示用透光部材34は、表示部から出射された光が外部から視認可能となるように、当該光を拡散させるための表示レンズ部34aを含んでいる。
図3に示すように、筐体10の内部の空間である収容空間11のうち、前面開口部12の後方の位置には、レンズ部材20が配置されており、さらにレンズ部材20の後方の位置には、投受光用回路基板30が配置されている。また、レンズ部材20と透光板24との間に位置する部分の前面開口部12には、これらの間の距離を保つためのスペーサ44が配置されている。
レンズ部材20に面する側の投受光用回路基板30の主表面のうち、その上方の位置には、たとえば半導体発光ダイオードや半導体レーザダイオード(LD:Laser Diode)等からなる投光素子31が実装されており、投受光用回路基板30の上記主表面のうち、その下方の位置には、たとえば半導体フォトダイオード(PD:Photodiode)等からなる受光素子32が実装されている。
レンズ部材20のうちの投光素子31に対向する部分には、投光レンズ21が設けられており、レンズ部材20のうちの受光素子32に対向する部分には、受光レンズ22が設けられている。
これにより、光電センサ1においては、投光素子31から出射された光が投光レンズ21および透光板24を介して光電センサ1の外部の空間へと放射され、その反射光が透光板24および受光レンズ22を介して受光素子32にて検出されることになる。
なお、上述したレンズ部材20、投受光用回路基板30ならびに表示操作部33は、筐体10の内部に組付けられた各種のブラケット41〜43等によって収容空間11内において保持されている。
投受光用回路基板30は、その表裏面に導電パターンが形成されており、上述した投光素子31および受光素子32に加えて各種の電子部品が実装されている。これにより、投受光用回路基板30には、各種の電気回路が設けられている。当該電気回路には、たとえば、投光素子31を駆動するための駆動回路、受光素子32にて検出された光を光電変換することで所定の出力信号に変換する信号処理回路、外部から供給される電力を所定の電源仕様に変換して出力する電源回路等が含まれる。
投受光用回路基板30の下端寄りの所定位置には、後述するケーブル50の芯線51に含まれる導電線51aが接続されるランド(不図示)が設けられている。当該ランドとケーブル50の導電線51aとの接続は、たとえば半田付け等によって行われ、これによりケーブル50が上述した各種の電気回路に電気的に接続されることになる。
図1ないし図3に示すように、ケーブル50は、導電線51aを含む芯線51と、芯線51を覆うシース52とからなる複合ケーブルにて構成されている。ここで、ケーブル50は、芯線51を覆うとともにシース52によって覆われるシールド材をさらに含んでいてもよい。なお、シース52は、たとえば樹脂製であり、より好適にはポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリウレタン(PUR)樹脂およびフッ素系樹脂のいずれかにて構成される。
図3および図4に示すように、筐体10の後面側であってかつ下面側の位置を構成する本体ケース10Aの外表面には、凹部15が設けられている。当該凹部15の底面には、筐体10の内部に設けられた収容空間11と、筐体10の外部の空間とに連通するように、ケーブル挿通用開口部16が設けられている。
ケーブル50は、本体ケース10Aに設けられたケーブル挿通用開口部16に挿通するように配置されており、一端が筐体10の内部に引き込まれて上述した投受光用回路基板30に電気的に接続されているとともに、他端が筐体10の外部に引き出されている。
ケーブル50の所定位置には、筒状の形状を有するブッシュ60が装着されている。ブッシュ60は、ゴム製の部材からなり、好適には、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フッ素系ゴムのいずれかにて構成される。
また、本体ケース10Aの凹部15内には、環状形状を有する固定部材70が嵌着されており、これによりケーブル50が筐体10に固定されている。固定部材70は、たとえば金属製の部材からなり、好適には真鍮にて構成される。
ここで、ブッシュ60は、ケーブル50に装着された状態で当該ケーブル50ごと、ケーブル挿通用開口部16に圧入されており、さらに固定部材70は、ブッシュ60を圧縮するように凹部15に圧入されている。これにより、固定部材70は、ブッシュ60をケーブル50との間で挟み込むとともに、ブッシュ60を凹部15の底面との間で挟み込んでいる。
そのため、これら部分においてブッシュ60がケーブル50および本体ケース10Aに密着することにより、当該部分において、筐体10の内部に位置する収容空間11が、筐体10の外部の空間から封止されることになる。
図5は、図1に示す光電センサの透光板用カバーおよび表示操作部用カバーの筐体に対する溶接個所を示す右側面図であり、図6は、図1に示す光電センサの透光板用カバーおよび透光板を取り除いた正面図である。また、図7は、図1に示す光電センサの要部の図6中に示すVII−VII線に沿った模式断面図であり、図8は、図1に示す光電センサの透光板用カバーの筐体に対する模式的な組付図である。次に、これら図5ないし図8を参照して、上述した前面開口部12近傍における各種部品の組付構造について詳説する。
図5を参照して、前面開口部12を覆うように設けられた透光板24を筐体10の前面10aに対して組付ける透光板用カバー18は、筐体10の前面10a近傍の位置に固定されている。
ここで、図7および図8に示すように、透光板用カバー18は、筐体10の前面10aの一部を覆う第1板状部18aと、筐体10の左側面10eの一部を覆う第2板状部18bと、筐体10の右側面10fの一部を覆う第3板状部18cとを含んでいる。なお、当該透光板用カバー18を用いて組付けられる透光板24の組付構造部においては、筐体10の前面10aが第1外表面に該当し、筐体10の左側面10eが第2外表面に該当し、筐体10の右側面10fが第3外表面に該当する。
本実施の形態においては、筐体10が略直方体形状を有しているため、左側面10eは、前面10aから連続して延びることで前面10aとの間に出隅部10g1を構成しており、右側面10fは、前面10aから連続して延びることで前面10aとの間に出隅部10h1を構成している。なお、透光板用カバー18を用いて組付けられる透光板24の組付構造部においては、前面10aおよび左側面10eによって構成される出隅部10g1が第1出隅部に該当し、前面10aおよび右側面10fによって構成される出隅部10h1が第2出隅部に該当する。
透光板用カバー18の第1板状部18aには、透光板24を露出させるための上述した窓部18a1が設けられている。ここで、透光板24は、筐体10の前面10a上に配置されており、これにより透光板用カバー18の透光板24に面する部分は、当該透光板24を介して筐体10の前面10aを覆うことになる。
一方、透光板用カバー18の第2板状部18bの所定位置には、2つの位置決め用孔部18b1が設けられており、透光板用カバー18の第3板状部18cの所定位置には、2つの位置決め用孔部18c1が設けられている。これら位置決め用孔部18b1,18c1は、後述する透光板用カバー18を筐体10に対して位置決めするための位置決め部APの一部となる。
上述した構成を有することにより、透光板用カバー18は、筐体10の前面10a近傍の位置において、筐体10の前面10a、左側面10eおよび右側面10fに跨って配置されることになる。
透光板用カバー18は、レーザ溶接によって筐体10に固定されており、より詳細には、第2板状部18bおよび第3板状部18cが、それぞれ筐体10の左側面10eおよび右側面10fに溶接されることで筐体10に組付けられている。
ここで、図5に示すように、筐体10の左側面10eと透光板用カバー18の第2板状部18bとを接合する溶接部WPは、互いに距離を隔てて2箇所設けられており、その各々は、筐体10の前面10aから可能な限り離れた位置に設けられている。より詳細には、筐体10の左側面10eと透光板用カバー18の第2板状部18bとを接合する2つの溶接部WPの一方は、透光板用カバー18の第2板状部18bの上部側の位置であってかつ当該第2板状部の後部側の位置に設けられており、上述した2つの溶接部の他方は、透光板用カバー18の第2板状部18bの下部側の位置であってかつ当該第2板状部の後部側の位置に設けられている。
このように筐体10の前面10aから溶接部WPを離して配置することにより、レーザ溶接の際に筐体10が発熱することで生じ得る透光板24およびOリング91の変形や破損を防止することが可能になる。また、上記のように溶接個所を狭い面積に限定しつつ、これら溶接個所を互いに離すことにより、レーザ溶接の際に筐体10に生じる発熱量を低減することができ、これによっても透光板24およびOリング91の変形や破損を抑制することができる。
ここで、上述した2つの溶接部WPの各々が、前面開口部12の開口面の法線方向において、環状溝部10a1の底面よりも筐体10の内部側の位置に設けられていてもよい。このように構成した場合には、透光板24およびOリング91から溶接部WPを相当程度に離して配置することができるため、透光板24およびOリング91の変形や破損を抑制することができる。また、このように構成した場合には、レーザ光を照射する際に、レーザ光の照射方向において溶接個所の直下にOリング91が位置しないことになるため、過ってOリングが溶融されてしまうことが回避できることにもなる。
個々の溶接部WPの形状は、溶接面積を狭い面積に限定する観点から、ライン状またはスポット状等とされることが好ましい。なお、照射するレーザ光のスポット径は、たとえば数十[μm]以上1.0[mm]以下に調整されることが好ましい。
なお、ここでは、その図示は省略するが、筐体10の右側面10fと透光板用カバー18の第3板状部18cとを接合する溶接部WPについても、筐体10の左側面10eと透光板用カバー18の第2板状部18bとを接合する溶接部WPと左右対称の位置に設けられている。
図6に示すように、透光板用カバー18が組付けられる部分の筐体10の外表面には、前面10aの一部が後面10b側に向けて落ち込むとともに、左側面10eの一部および右側面10fの一部がそれぞれ右側面10f側および左側面10e側に向けて落ち込むように段差部が形成されており、これにより透光板用カバー18は、当該段差部に嵌め込まれている。
当該段差部の底面を規定する筐体10の前面10aの所定位置には、上述した前面開口部12が位置しており、この前面開口部12を取り囲む位置には、さらに環状溝部10a1が設けられている。この環状溝部10a1は、Oリング91が嵌め込まれる空間を規定するものである。
前面開口部12は、その開口面の法線方向に沿って見た場合に略矩形状の外形を有しており、環状溝部10a1は、そのコーナ部C1が曲線状である概ね矩形状の形状を有している。これにより、環状溝部10a1に嵌め込まれるOリング91も、組付後において環状溝部10a1の形状に倣うことになり、そのコーナ部が曲線状である概ね矩形状の形状を有することになる。
ここで、当該Oリング91の曲線状のコーナ部に対応した位置(すなわち、当該コーナ部と上下方向の高さが同じ位置であってかつ左側面10e上および右側面10f上の位置)に上述した溶接部WPを設けることとすれば、Oリング91から溶接部WPまでの距離がより大きく確保できることになるため、上述したOリング91の変形や破損をさらに抑制することができる。
上述した段差部の底面を規定する筐体10の左側面10eには、2つの位置決め用突起10e1が設けられており、上述した段差部の底面を規定する筐体10の右側面10fには、2つの位置決め用突起10f1が設けられている。これら位置決め用突起10e1,10f1は、上述した透光板用カバー18の第2板状部18bおよび第3板状部18cに設けられた位置決め用孔部18b1,18c1にそれぞれ対応して設けられている。
この位置決め用突起10e1,10f1は、対応する位置決め用孔部18b1,18c1と対となって位置決め部APを構成するものであり、当該位置決め用突起10e1,10f1が対応する位置決め用孔部18b1,18c1に嵌まり込むことで、透光板用カバー18が筐体10に対して位置決めされることになる。この位置決め部APを利用することにより、レーザ溶接に先立って透光板用カバー18を筐体10に対して位置決めして仮固定することが可能になり、レーザ溶接の作業性が向上することになる。
上述した透光板24の筐体10への組付けは、以下の手順にて行なわれる。なお、当該手順が実施されるに先立って、筐体10(あるいは本体カバー10Bが組付けられる前の本体ケース10A)の内部には、予めレンズ部材20や投受光用回路基板30、ブラケット41〜43、スペーサ44等の各種の内部構成部品が収容される。
図8に示すように、まず、筐体10の前面10aに設けられた環状溝部10a1に、Oリング91が嵌め込まれる。これにより、Oリング91は、その軸方向(当該Oリング91に設けられた貫通孔の延びる方向、すなわち図8における上下方向)の一端側が環状溝部10a1内に収容され、当該軸方向の他端側が環状溝部10a1から食み出した状態となる。
次に、環状溝部10a1から一部が食み出したOリング91上に、透光板24が載置される。その際、環状溝部10a1の外側内周面から連続して前方に向けて延びる部分の本体ケース10Aに嵌め込まれるように透光板24が載置されることにより、透光板24の位置決めが行なわれる。なお、図8においては、作図の都合上、実際の作業とは天地が逆に記載されている。
次に、Oリング91上に載置された透光板24を覆うように、透光板用カバー18が筐体10の前面10aに被せられる。その際、透光板用カバー18の第2板状部18bが筐体10の左側面10eの外側に配置されるとともに、透光板用カバー18の第3板状部18cが筐体10の右側面10fの外側に配置されるように、透光板用カバー18が筐体10の前端部に装着され、またその際、透光板用カバー18が、筐体10に設けられた上述した段差部内に嵌め込まれるようにする。
これにより、筐体10の左側面10e側において、位置決め用突起10e1が位置決め用孔部18b1に嵌まり込むことになり、筐体10の右側面10f側において、位置決め用突起10f1が位置決め用孔部18c1に嵌まり込むことになる。その結果、透光板用カバー18が筐体10に仮固定されることになる。
この透光板用カバー18が筐体10に仮固定された状態においては、透光板用カバー18によって透光板24が筐体10側に向けて押し付けられた状態で保持されることになり、さらに筐体10側に向けて押し付けられた透光板24によってOリング91が前後方向に圧縮され、Oリング91が環状溝部10a1内に完全にまたはほぼ完全に収容された状態となる。
ここで、本実施の形態においては、透光板用カバー18が上述した如くの形状を有することにより、一種の板バネとして機能することになる。そのため、図8において示すように、予め第2板状部18bおよび第3板状部18cが、それらの先端同士が互いに近づく方向に傾斜するように成形されていることにより、透光板用カバー18の筐体10への装着後において、当該透光板用カバー18が有する弾性力により、第2板状部18bおよび第3板状部18cがそれぞれ筐体10の左側面10eおよび右側面10fに圧接することになり、当該仮固定状態が確実に維持できることになる。
なお、当該構成を採用した場合には、透光板用カバー18の筐体10への装着に際して、図8において矢印AR1,AR2に示すように、第2板状部18bおよび第3板状部18cを互いに遠ざかる方向に向けて広げて装着することになる。
また、本実施の形態においては、筐体10の上述した出隅部10g1,10h1にそれぞれ予め面取り部が形成されている。当該面取り部を設けることにより、透光板用カバー18の装着の際に、当該透光板用カバー18の第2板状部18bおよび第3板状部18cの浮き上がりが防止できることになり、上述した仮固定状態を確実に実現することができる。
なお、当該構成を採用した場合には、透光板用カバー18の筐体10への装着に際して、上述した面取り部によって第2板状部18bおよび第3板状部18cが案内されることになるため、容易に透光板用カバー18を筐体10に装着することが可能になる。
さらに、透光板用カバー18の第1板状部18aの第2板状部18bに連続する部分18a3(すなわち、第1板状部18aの第2板状部18b側の端部)と、透光板用カバー18の第1板状部18aの第3板状部18cに連続する部分18a4(すなわち、第1板状部18aの第3板状部18c側の端部)とが、いずれも組付後において筐体10の前面10aから遠ざかるように曲成されていてもよい(図7参照)。これによっても、透光板用カバー18の装着の際に、当該透光板用カバー18の第2板状部18bおよび第3板状部18cの浮き上がりが防止できることになり、上述した仮固定状態を確実に実現することができる。
次に、上述した仮固定状態を維持したまま、レーザ光を透光板用カバー18の第2板状部18bの所定位置ならびに第3板状部18cの所定位置に照射することにより、透光板用カバー18と筐体10とのレーザ溶接が行なわれる。これにより、上述した溶接部WPが形成されることになり、透光板用カバー18が筐体10に対して固定されることになる。
なお、レーザ溶接に際しては、外部から荷重をかけることにより、仮固定状態にある透光板用カバー18の第1板状部18aを筐体10の前面10a側に向けて押し付けた状態として当該レーザ溶接を行なうことが好ましい。このようにすれば、仮固定状態において、Oリング91が環状溝部10a1内に完全には収容されていない場合において、これを環状溝部10a1内に完全に収容されるようにすることができ、当該状態においてレーザ溶接が行なえることになる。
図9は、図1に示す光電センサの表示操作部用カバーおよび表示用透光部材を取り除いた上面図である。また、図10は、図1に示す光電センサの要部の図9中に示すX−X線に沿った模式断面図であり、図11は、図1に示す光電センサの表示操作部用カバーの筐体に対する模式的な組付図である。次に、これら図9ないし図11と前述の図5とを参照して、上述した上面開口部13近傍における各種部品の組付構造について説明する。なお、当該上面開口部13近傍における各種部品の組付構造は、上述した前面開口部12近傍における各種部品の組付構造と基本的に同様であるため、その詳細についてはここでは説明を繰り返さない。
図9を参照して、上面開口部13を覆うように設けられた表示用透光部材34を筐体10の上面10cに対して組付ける表示操作部用カバー19は、筐体10の上面10c近傍の位置に固定されている。
ここで、図10および図11に示すように、表示操作部用カバー19は、筐体10の上面10cの一部を覆う第1板状部19aと、筐体10の左側面10eの一部を覆う第2板状部19bと、筐体10の右側面10fの一部を覆う第3板状部19cとを含んでいる。なお、当該表示操作部用カバー19を用いて組付けられる表示用透光部材34の組付構造部においては、筐体10の上面10cが第1外表面に該当し、筐体10の左側面10eが第2外表面に該当し、筐体10の右側面10fが第3外表面に該当する。
本実施の形態においては、筐体10が略直方体形状を有しているため、左側面10eは、上面10cから連続して延びることで上面10cとの間に出隅部10g2を構成しており、右側面10fは、上面10cから連続して延びることで上面10cとの間に出隅部10h2を構成している。なお、表示操作部用カバー19を用いて組付けられる表示用透光部材34の組付構造部においては、上面10cおよび左側面10eによって構成される出隅部10g2が第1出隅部に該当し、上面10cおよび右側面10fによって構成される出隅部10h2が第2出隅部に該当する。
表示操作部用カバー19の第1板状部19aには、表示用透光部材34の表示レンズ部34aを露出させるための上述した窓部19a1ならびに表示操作部33の操作摘み33aを露出させるための上述した孔部19a2が設けられている(図4参照)。ここで、表示用透光部材34は、筐体10の上面10c上に配置されており、これにより表示操作部用カバー19の表示用透光部材34に面する部分は、当該表示用透光部材34を介して筐体10の上面10cを覆うことになる。
一方、表示操作部用カバー19の第2板状部19bの所定位置には、2つの位置決め用孔部19b1が設けられており、表示操作部用カバー19の第3板状部19cの所定位置には、2つの位置決め用孔部19c1が設けられている。
上述した構成を有することにより、表示操作部用カバー19は、筐体10の上面10c近傍の位置において、筐体10の上面10c、左側面10eおよび右側面10fに跨って配置されることになる。
表示操作部用カバー19は、レーザ溶接によって筐体10に固定されており、より詳細には、第2板状部19bおよび第3板状部19cが、それぞれ筐体10の左側面10eおよび右側面10fに溶接されることで筐体10に組付けられている。
これにより、図7に示すように、筐体10の左側面10eと表示操作部用カバー19の第2板状部19bとの当接部には、溶接部WPが形成されることになり、また、筐体10の右側面10fと表示操作部用カバー19の第3板状部19cとの当接部にも、溶接部WPが形成されることになる。なお、図5に示すように、これら溶接部WPの形成位置は、上述した透光板用カバー18を筐体10に固定するための溶接部WPの形成位置に準じている。
また、ここでは、その図示は省略するが、筐体10の右側面10fと表示操作部用カバー19の第3板状部19cとを接合する溶接部WPについても、筐体10の左側面10eと表示操作部用カバー19の第2板状部19bとを接合する溶接部WPと左右対称の位置に設けられている。
図9に示すように、表示操作部用カバー19が組付けられる部分の筐体10の外表面には、上面10cの一部が下面10d側に向けて落ち込むとともに、左側面10eの一部および右側面10fの一部がそれぞれ右側面10f側および左側面10e側に向けて落ち込むように段差部が形成されており、これにより表示操作部用カバー19は、当該段差部に嵌め込まれている。
当該段差部の底面を規定する筐体10の上面10cの所定位置には、上述した上面開口部13が位置しており、この上面開口部13を取り囲む位置には、さらに環状溝部10c1が設けられている。この環状溝部10c1は、Oリング92が嵌め込まれる空間を規定するものである。
上面開口部13は、その開口面の法線方向に沿って見た場合に略矩形状の外形を有しており、環状溝部10c1は、そのコーナ部C2が曲線状である概ね矩形状の形状を有している。これにより、環状溝部10c1に嵌め込まれるOリング92も、組付後において環状溝部10c1の形状に倣うことになり、そのコーナ部が曲線状である概ね矩形状の形状を有することになる。
上述した段差部の底面を規定する筐体10の左側面10eには、2つの位置決め用突起10e2が設けられており、上述した段差部の底面を規定する筐体10の右側面10fには、2つの位置決め用突起10f2が設けられている。これら位置決め用突起10e2,10f2は、上述した表示操作部用カバー19の第2板状部19bおよび第3板状部19cに設けられた位置決め用孔部19b1,19c1にそれぞれ対応して設けられている。
また、図11において示すように、表示操作部用カバー19の第2板状部19bおよび第3板状部19cは、それらの先端同士が互いに近づく方向に傾斜するように成形されている。
さらに、図10に示すように、筐体10の上述した出隅部10g2,10h2には、それぞれ面取り部が形成されている。
加えて、図10に示すように、表示操作部用カバー19の第1板状部19aの第2板状部19bに連続する部分19a3(すなわち、第1板状部19aの第2板状部19b側の端部)と、表示操作部用カバー19の第1板状部19aの第3板状部19cに連続する部分19a4(すなわち、第1板状部19aの第3板状部19c側の端部)とは、いずれも組付後において筐体10の上面10cから遠ざかるように曲成されている。
このような表示用透光部材34の組付構造部とすることにより、透光板24の組付構造部とすることにより得られる効果と同様の効果が得られることになる。
以上において説明したように、本実施の形態における光電センサ1においては、カバー部材としての透光板24および表示用透光部材34の外側の領域において、固定用カバーとしての透光板用カバー18および表示操作部用カバー19が、互いに距離を隔てた複数箇所の接合部によって筐体10に対してレーザ溶接により接合されている。
このレーザ溶接による接合によって透光板用カバー18および表示操作部用カバー19を固定することにより、従来のスナップフィットによる固定の場合に問題となった公差の積み上げの問題が大幅に解消できる。すなわち、レーザ溶接による固定を行なうことにより、当該レーザ溶接の際に透光板用カバー18および表示操作部用カバー19が正しく筐体10に仮固定されていたならば、封止性能に影響を与える公差としては、透光板24および表示用透光部材34の公差と、Oリング91,92の公差のみとなる。
このうち、Oリング91,92の公差は、当該Oリング91,92が弾性変形し易い部材であることを考慮すれば、その公差の影響は非常に小さく、結果として透光板24および表示用透光部材34の公差のみが現実的には問題となる。
しかしながら、従来の如くの公差の積み上げが生じないことから、透光板24および表示用透光部材34を通常の公差で管理することとした場合にも、当該公差による封止性能の低下は、顕著に小さいものとなる。したがって、上記構成を採用することにより、パッキンの反発力に余裕度を高くもたせることが可能になり、長期間にわたって安定して高い封止性能を得ることが可能になる。そのため、たとえば切削油等の油や腐食性が高い薬品等が大量に使用されるような相対的に厳しい環境下においても高い信頼性を確保することが可能になる。
また、本実施の形態における光電センサ1とした場合には、透光板用カバー18および表示操作部用カバー19として、透光板24および表示用透光部材34覆う部分から、レーザ溶接による接合部が設けられた部分までの距離を相当程度に小さくできるため、光電センサの小型化が可能になり、さらには光電センサの外観の意匠性が損なわれてしまうことを軽減できる。
したがって、本実施の形態における光電センサ1とすることにより、封止のために必要となる容積が小さくて済み、かつ長期間にわたって安定して高い封止性能を得ることができる封止構造を備えた光電センサとすることが可能になる。
なお、上記構成の光電センサ1とした場合には、透光板用カバー18および表示操作部用カバー19が筐体10に対してレーザ溶接によって固定されるものであるため、従来のスナップフィットを用いた固定に比べて、これら透光板用カバー18および表示操作部用カバー19が筐体10から脱落する可能性を大幅に低減できる効果も得られる。
また、上記構成の光電センサ1とした場合には、透光板用カバー18および表示操作部用カバー19として、従来に比してより小さいものが使用できるため、透光板用カバー18および表示操作部用カバー19の剛性が高まることにもなり、これら透光板用カバー18および表示操作部用カバー19に生じ得る反りの発生を抑制することもできる。したがって、レーザ溶接による溶接個所を最小化することもでき、レーザ溶接による熱的な影響を大幅に排除することができるばかりでなく、生産性の向上も図れることになる。なお、上記構成の光電センサ1においては、筐体10の3つの外表面に跨った形状の透光板用カバー18および表示操作部用カバー19を利用することとしているため、この意味において透光板用カバー18および表示操作部用カバー19の剛性が高まることになる。
また、上記構成の光電センサ1においては、筐体10の3つの外表面に跨った形状の透光板用カバー18および表示操作部用カバー19を利用することとしているため、溶接による接合方向と、パッキンを圧縮する圧縮方向とを異ならせることができることになり、熱的な歪み等に対しても高い耐性を有する組付構造とすることができるとともに、より強固に透光板用カバー18および表示操作部用カバー19を筐体10に固定することが可能になり、結果として筐体10からこれらが脱落してしまうおそれを大幅に低減することができる。
さらには、上記構成の光電センサ1においては、透光板用カバー18および表示操作部用カバー19の、透光板24および表示用透光部材34覆う部分から、レーザ溶接による接合部が設けられた部分までの距離を相当程度に小さくしつつも、Oリング91,92や透光板24および表示用透光部材34といった比較的熱に弱い材質の部材との間の距離を相当程度に大きく確保しているため、レーザ溶接を採用することによる熱的な影響の発生を十分に排除することが可能となっている。したがって、当該構成の光電センサ1とした場合にも、歩留まりの低下といった問題が発生することもなく、製造コストの削減に寄与できることにもなる。
上述した本発明の実施の形態においては、固定用カバーとしての透光板用カバー18および表示操作部用カバー19として、筐体の3つの外表面に跨って組付けられる構成とした場合を例示して説明を行なったが、必ずしもそのように構成する必要はなく、これら透光板用カバー18および表示操作部用カバー19を平板状の部材にて構成することも可能である。その場合にも、カバー部材としての透光板24および表示用透光部材34の外側の領域において、これら透光板用カバー18および表示操作部用カバー19を、互いに距離を隔てた複数箇所の接合部によって筐体10に対してレーザ溶接により接合することにより、封止のために必要となる容積が小さくて済み、かつ長期間にわたって安定して高い封止性能を得ることができる封止構造を備えた光電センサとすることができる。
また、上述した本発明の実施の形態においては、透光板24の組付構造部および表示用透光部材34の組付構造部のいずれにも本発明が適用されてなる光電センサを例示して説明を行なったが、これらのいずれかのみに本発明を適用することとしてもよい。さらには、これら透光板24の組付構造部および表示用透光部材34の組付構造部以外の他のカバー部材の組付構造部に本発明を適用することも当然に可能である。
さらには、上述した本発明の実施の形態においては、反射型の光電センサに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに制限されるものではなく、本発明は、他の形式の光電センサや光電センサ以外のセンサ機器にも当然にその適用が可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。