以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、水晶振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合について説明する。
本形態にかかる水晶振動子101では、図1に示すように、水晶振動板2と、水晶振動板2の第1励振電極221(図4参照)を覆い、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221を気密封止する第1封止部材3と、この水晶振動板2の他主面212に、水晶振動板2の第2励振電極222(図5参照)を覆い、第1励振電極221と対になって形成された第2励振電極222を気密封止する第2封止部材4が設けられている。この水晶振動子101では、水晶振動板2と第1封止部材3とが接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが接合されてサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
そして、水晶振動板2を介して第1封止部材3と第2封止部材4とが接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、このパッケージ12の内部空間13に、水晶振動板2の両主面211,212に形成された第1励振電極221及び第2励振電極222を含む振動部22が気密封止されている。本形態にかかる水晶振動子101は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第1〜第3貫通孔)を用いて電極の導通を図っている。
次に、上記した水晶振動子101の各構成について、図1〜7を用いて説明する。なお、ここでは、水晶振動板2と第1封止部材3と第2封止部材4が接合されていない夫々単体として構成されている各部材について説明を行う。
水晶振動板2は、図4,5に示すように、圧電材料である水晶からなり、その両主面(一主面211,他主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。これらの一主面211と他主面212とは平行面である。本形態では、水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図4,5に示す水晶振動板2では、水晶振動板2の両主面211,212が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板2の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板2の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、及び光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸及びZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸及びZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y´軸方向及びZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
水晶振動板2の中央部分には略矩形に形成された振動部22を有しており、その両主面(一主面211,他主面212)に一対の励振電極(第1励振電極221,第2励振電極222)が形成されている。第1励振電極221,第2励振電極222には、後述する外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)に接続するための引出電極(第1引出電極223,第2引出電極224)が接続されている。
つまり、振動部22の一主面側に第1励振電極221が形成され、当該第1励振電極221に対向するとともに振動部22の他主面側に第2励振電極222が形成されている。
また、第1励振電極221には、後述する連結部24を経由して外枠23部へと延出され、最終的に一外部電極端子431に接続される第1引出電極223が形成され、第2励振電極222には、後述する連結部24を経由して外枠23部へと延出され、最終的に他外部電極端子432に接続される第2引出電極224が形成されている。
また、水晶振動板2の振動部22の外周に形成され水晶振動板2の厚み方向に貫通(一主面211と他主面212との間を貫通)する切り抜き部21と、振動部22と切り抜き部21との外周を取り囲んだ状態で形成された外枠部23と、振動部22と外枠部23を接続するとともに水晶振動板2のZ´軸方向に延出された1つの連結部(保持部)24とを有しており、水晶振動板2は振動部22と連結部24と外枠部23とが一体的に設けられた構成となっている。これら振動部22と連結部24と外枠部23の両主面(一主面,他主面)は、お互いに同じ面もしくは厚みが異なる平行面として形成されている。本形態では、振動部22と連結部24の厚みが同じ厚みで、これらの厚みより外枠部23の厚みが厚く形成されているため、振動部22と連結部24との両主面(一主面,他主面)がそれぞれ同じ面となり、振動部22と連結部24との両主面(一主面,他主面)に対して外枠部23の両主面(一主面,他主面)は平行な面となる。なお、本形態に限らず、振動部22と連結部24の厚みを変更してもよく、例えば、外枠部23が最も厚く形成し、振動部22が次に厚くなるように形成し、連結部24が最も薄くなるように形成してもよい。また、振動部22の一部に厚みの異なる領域を形成しメサ形状あるいは逆メサ形状としてもよい。
つまり、本形態では、連結部24は、振動部22と外枠部23との間のZ´軸方向に1箇所のみに設けられており、振動部22の+X方向かつ−Z´方向に位置する1つの角部22aのみから、−Z´方向に向けて外枠部23まで延びている(Z´軸方向に突出している)。連結部24が設けられていない箇所が切り抜き部21としての空間(隙間)になっている。このように、振動部22の外周端部のうち、圧電振動の変位が比較的小さい角部22aの1カ所にのみにZ´軸方向に延出された1つの連結部24が設けられているので、連結部24を角部22a以外の部分(辺の中央部)に設けた場合に比べて、連結部24を介して圧電振動が外枠部23に漏れることを抑制することができ、より効率的に振動部22を圧電振動させることができる。また、連結部24を2つ以上設けた場合に比べて、振動部22に作用する応力を低減することができ、そのような応力に起因する圧電振動の周波数シフトを低減して圧電振動の安定性を向上させることができる。また、小型化に有利な外枠部付きの水晶振動板2とすることができる。
また、図示していないが、振動部22及び連結部24は、外枠部23よりも薄く形成されているとともに、水晶振動板2としての一主面211と他主面212と同じ面方向となる振動部22の一主面2201と他主面2202、および連結部24の一主面2401と他主面2402を有している。このような外枠部23と連結部24との厚みの違いにより、外枠部23と連結部24の圧電振動の固有振動数が異なることになり、連結部24の圧電振動に外枠部23が共鳴しにくくなる。
そして、図8(図4のC−C線に沿った拡大断面図)に示すように、連結部24は、平行な一主面2401と他主面2402、当該一主面2401と他主面2402に対して傾いた傾斜面K1,K2,K3,K4を有する連結部の一側面2403と他側面2404とを有している。本形態では水晶振動板の各主面において、連結部24のX軸方向の両端部から連結部24の中央部に向かってそれぞれ1つの傾斜面を有している。連結部24のX軸方向の一端部から中央部に向かう(図8では−X軸側の端部から+X軸方向)傾斜面としては、水晶振動板の一主面側に傾斜面K1を有し、水晶振動板の他主面側に傾斜面K2とをそれぞれ有している。傾斜面K1には隣接する一主面2401が形成され、傾斜面K2には隣接する他主面2402が形成されている。連結部24のX軸方向の他端部から中央部に向かう(図8では+X軸側の端部から−X軸方向)傾斜面としては、水晶振動板の一主面側に傾斜面K3を有し、水晶振動板の他主面側に傾斜面K4とをそれぞれ有している。傾斜面K3には隣接する一主面2401が形成され、傾斜面K4には隣接する他主面2402が形成されている。図8では、連結部の一主面2401側(水晶振動板の一主面側)と連続する(接する)傾斜面を傾斜面K1,K3とし、連結部の他主面2402側(水晶振動板の一主面側)と連続する(接する)傾斜面を傾斜面K2,K4として図示している。また、連結部24の各側面に形成される複数の傾斜面K1,K2,K3,K4については、ATカットの水晶振動板に対してフッ素系のエッチング液によりウェットエッチングの手法により形成することで、人工水晶の結晶方位に対応したエッチングレート差が生じて傾斜面K1,K2,K3,K4を形成することができる。
より具体的には、水晶振動板2における振動部22と外枠部23と連結部24が形成される領域に対して、フォトリソグラフィの手法によりレジスト膜などを形成する。レジスト膜が覆われていない切り抜き部21の領域に対しては水晶振動板の素地部分が露出されるようになり、フッ素系のエッチング液に浸漬されることで、人工水晶の結晶方位に応じたエッチングレート差を生じながら、切り抜き部21が掘り込まれる。そして、連結部24をZ´軸方向に延出することで、連結部24の一側面2403と他側面2404とはX軸方向に沿った面方向となった状態でフッ素系のエッチング液によりウェットエッチングが施される。以上により、連結部の一主面2401と他主面2402からそれぞれ外側に緩やかに張り出した傾斜面K1,K2,K3,K4を有する斜面を有する状態でウェットエッチングが施される。より具体的には、一主面と他主面、一側面の傾斜面K1と傾斜面K2、他側面の傾斜面K3と傾斜面K4の少なくとも6面を有する断面略6角形状以上の多角形状の断面からなる連結部が得られる。本形態では図8に示すように断面略6角形状の連結部を図示している。これにより、連結部24の一側面2403と他側面2404の表面積を増大させることができるだけでなく、各主面から各側面の稜部を鈍角な領域として構成できるため、後述する引出電極を形成する際の電極面積を拡大し、主面と側面をつなぐ稜部における引出電極の断線が抑制できる。
そして、第1引出電極223は、第1励振電極221から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン27に繋がっている。第2引出電極224は、第2励振電極222から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン28に繋がっている。この時、図4,図5,図8に示すように、第1引出電極223は、水晶振動板の一主面側で、連結部24の一端(-X側)の傾斜面K1とこれに隣接(連続する)する一主面2401の一部に少なくとも形成され、第2引出電極224は、水晶振動板の他主面側で、連結部24の他端(+X側)の傾斜面K4とこれに隣接(連続する)する他主面2402の一部に少なくとも形成されるとともに、第1引出電極223と第2引出電極224とは連結部24(水晶振動板)の一主面2401と他主面2402とで重畳しない位置で形成されている。なお、第1引出電極223と第2引出電極224とは連結部24の一主面2401と他主面2402とで重畳しない状態で形成するためには、第1引出電極223は連結部24の一端(-X側)で連結部24の一主面2401のX軸方向の幅寸法の半分以下の寸法で形成されており、第2引出電極224は連結部24の他端(+X側)で連結部24の他主面2402のX軸方向の幅寸法の半分以下の寸法で形成されていることが望ましい。
なお、上記構成に限らず、第1引出電極223は、連結部24の一主面2401の一部と当該一主面2401に連続する一側面2403の傾斜面K1とこれに連続する傾斜面K2に形成され、第2引出電極224は、連結部24の他主面2402の一部と当該他主面2402に連続する他側面2404の傾斜面K4とこれに連続する傾斜面K3に形成され、各側面(2403,2404)全面にそれぞれ形成されていてもよい。さらに、第1引出電極223と第2引出電極224とが連結部24の一主面2401と他主面2402とで重畳しない位置で形成されていれば、第1引出電極223は、連結部24の一主面2401の一部と傾斜面K1とK2を含む一側面2403の全面と他主面2402の一部に連続して形成され、第2引出電極224は連結部24の他主面2402の一部と傾斜面K4とK3を含む他側面2404の全面と一主面2401の一部に連続して形成されていてもよい。
第1励振電極221は、振動部22の一主面2201上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第1引出電極223は、連結部24の一主面2401の一部と一側面2403上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第2励振電極222は、振動部22の他主面2202上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第2引出電極224は、連結部24の他主面2402の一部と他側面2404上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
以上のように構成された連結部24に対して、第1引出電極223と第2引出電極224とを形成することで、第1引出電極と第2引出電極とを形成するための有効面積を拡大することができ、稜部分での断線が生じにくくなるため、各引出電極の導通抵抗を劣化させることがなくなる。また、第1引出電極223と第2引出電極224とが短絡することがなくなるだけでなく、連結部24の一主面2401と他主面2402に対して第1引出電極223と第2引出電極224とが水平な状態でお互いに対面して形成されることがなくなるため、連結部24での不要な励振を生じさせず、スプリアス振動の抑制と浮遊容量の軽減に有効な構成とすることができる。
なお、上記実施形態に限らず、連結部24は、X軸方向の両端部から水晶振動板の各主面において、2つ以上の傾斜面を形成してもよいし、水晶振動板の各主面に対応した一主面と他主面を構成することなく、X軸方向の両端部から複数の傾斜面のみで構成したものであってもよい。
例えば、図9では、変形例としての連結部24Aを示しており、水晶振動板の各主面に対応した一主面と他主面を構成することなく、X軸方向の両端部から連結部24Aの中央部に向かってそれぞれ3つの傾斜面のみで構成している。具体的に、水晶振動板の一主面側では、連結部24AのX軸方向の一端部(図9では−X軸側の端部)に傾斜面K11、傾斜面K11から中央部に向かって隣接する傾斜面K12、傾斜面K12からさらに中央部に向かって隣接する傾斜面K13を有し、連結部24AのX軸方向の他端部(図9では+X軸側の端部)に傾斜面K31、傾斜面K31から中央部に向かって隣接する傾斜面K32、傾斜面K32からさらに中央部に向かって隣接する傾斜面K33を有しており、傾斜部K13と傾斜部K33とが連結部24Aの中央部で隣接している。
また、水晶振動板の他主面側では、連結部24AのX軸方向の一端部(図9では−X軸側の端部)に傾斜面K21、傾斜面K21から中央部に向かって隣接する傾斜面K22、傾斜面K22からさらに中央部に向かって隣接する傾斜面K23を有し、連結部24AのX軸方向の他端部(図9では+X軸側の端部)に傾斜面K41、傾斜面K41から中央部に向かって隣接する傾斜面K42、傾斜面K42からさらに中央部に向かって隣接する傾斜面K43を有しており、傾斜部K23と傾斜部K43とが連結部24Aの中央部で隣接している。
そして、第1引出電極223Aは、水晶振動板の一主面側で、連結部24Aの一端(-X側)の傾斜面K11とこれに隣接(連続する)する傾斜面K12に形成され、第2引出電極224Aは、水晶振動板の他主面側で、連結部24Aの他端(+X側)の傾斜面K41とこれに隣接(連続する)する傾斜面42に形成されるとともに、第1引出電極223Aと第2引出電極224Aとは水晶振動板の一主面側と他主面側とで重畳しない位置で形成されている。
水晶振動板2の両主面211,212には、水晶振動板2を第1封止部材3及び第2封止部材4に接合するための振動側封止部25が夫々設けられている。水晶振動板2の一主面211の振動側封止部25に、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成されている。また、水晶振動板2の他主面212の振動側封止部25に、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、上述した外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、水晶振動板2の両主面211,212の外周縁に近接するように設けられている。水晶振動板2の一対の第1励振電極221,第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
振動側第1接合パターン251は、一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2511と、下地PVD膜2511上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2512とからなる。振動側第2接合パターン252は、他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2521と、下地PVD膜2521上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2522とからなる。つまり、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とは、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212の振動側封止部25上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。このように、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とでは、下地PVD膜2511,2521が単一の材料(Ti(もしくはCr))からなり、電極PVD膜2512,2522が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜2511,2521よりも電極PVD膜2512,2522の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251とは同一厚みを有し、第1励振電極221と振動側第1接合パターン251との表面が同一金属からなり、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252とは同一厚みを有し、第2励振電極222と振動側第2接合パターン252との表面が同一金属からなる。また、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252は、非Snパターンである。
ここで、第1励振電極221、第1引出電極223及び振動側第1接合パターン251を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで第1励振電極221、第1引出電極223及び振動側第1接合パターン251を一括して形成することができる。同様に、第2励振電極222、第2引出電極224及び振動側第2接合パターン252を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで第2励振電極222、第2引出電極224及び振動側第2接合パターン252を一括して形成することができる。詳細には、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング、MBE、レーザーアブレーションなどのPVD法(例えば、フォトリソグラフィ等の加工におけるパターンニング用の膜形成法)により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、一括して膜形成を行い、製造工数を減らすことができ、コスト低減に寄与することができる。
また、水晶振動板2には、図4,5に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する1つの貫通孔(第1貫通孔26)が形成されている。第1貫通孔26は、水晶振動板2の外枠部23に設けられている。第1貫通孔26は、後述する第2封止部材4の接続用接合パターン453に繋がるものである。
第1貫通孔26には、図1,4,5に示すように、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極261が、第1貫通孔26の内壁面に沿って形成されている。そして、第1貫通孔26の中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分262となる。第1貫通孔26の外周囲には、接続用接合パターン264,265が形成されている。接続用接合パターン264,265は、水晶振動板2の両主面211,212に設けられている。
水晶振動板2の一主面211に形成された第1貫通孔26の接続用接合パターン264は、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。また、水晶振動板2の一主面211には、第1引出電極223に繋がる接続用接合パターン27が形成されており、この接続用接合パターン27も、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン27は、振動部22(第1励振電極221)を挟んで、接続用接合パターン264とはZ´軸方向の反対側に設けられている。つまり、振動部22のZ´軸方向の両側に、接続用接合パターン27,264が設けられている。
同様に、水晶振動板2の他主面212に形成された第1貫通孔26の接続用接合パターン265は、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。また、水晶振動板2の他主面212には、第2引出電極224に繋がる接続用接合パターン28が形成されており、この接続用接合パターン28も、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン28は、振動部22(第2励振電極222)を挟んで、接続用接合パターン265とはZ´方向の反対側に設けられている。つまり、振動部22のZ´方向の両側に、接続用接合パターン28,265が設けられている。
接続用接合パターン27,28,264,265は、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252と同様の構成であり、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン27,28,264,265は、水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動子101では、第1貫通孔26及び接続用接合パターン27,28,264,265は、平面視で内部空間13の内方(接合材11の内周面の内側)に形成される。内部空間13は、平面視で振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の内方(内側)に形成される。内部空間13の内方とは、後述する接合材11上を含まずに厳密に接合材11の内周面の内側のことをいう。第1貫通孔26及び接続用接合パターン27,28,264,265は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
第1封止部材3には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm2]以下の材料が用いられている。具体的には、第1封止部材3は、図2,3に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
この第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32には、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されている。封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3の他主面312の外周縁に近接するように設けられている。封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3の封止側第1封止部32上の全ての位置において同一幅とされる。
この封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3211と、下地PVD膜3211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3212とからなる。なお、本形態では、下地PVD膜3211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜3212にはAuが用いられている。また、封止側第1接合パターン321は、非Snパターンである。具体的には、封止側第1接合パターン321は、複数の層が他主面312の封止側第1封止部32上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。
第1封止部材3の他主面312、つまり、水晶振動板2との対向面には、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27と接合される接続用接合パターン35,36が形成されている。接続用接合パターン35,36は、第1封止部材3の短辺方向(図3のA1方向)に方向に沿って延びている。接続用接合パターン35,36は、第1封止部材3の長辺方向(図3のA2方向)に所定の間隔を隔てて設けられており、接続用接合パターン35,36のA2方向の間隔は、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27のZ´軸方向の間隔(図4参照)と略同じになっている。接続用接合パターン35,36は、配線パターン33を介して互いに接続されている。配線パターン33は、接続用接合パターン35,36の間に設けられている。配線パターン33は、A2方向に沿って延びている。配線パターン33は、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27とは接合されないようになっている。
接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、封止側第1接合パターン321と同様の構成であり、封止側第1接合パターン321と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、第1封止部材3の他主面312上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動子101では、接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、平面視で内部空間13の内方(接合材11の内周面の内側)に形成される。接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。なお、水晶振動子101では、図3のA1方向は、図4のX軸方向に一致し、図3のA2方向は、図4のZ´軸方向に一致する。
第2封止部材4には、曲げ剛性(断面二次モーメント×ヤング率)が1000[N・mm2]以下の材料が用いられている。具体的には、第2封止部材4は、図6,7に示すように、1枚のガラスウエハから形成された直方体の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。
この第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されている。封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4の一主面411の外周縁に近接するように設けられている。封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4の封止側第2封止部42上の全ての位置において同一幅とされる。
この封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4211と、下地PVD膜4211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4212とからなる。なお、本形態では、下地PVD膜4211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜4212にはAuが用いられている。また、封止側第2接合パターン421は、非Snパターンである。具体的には、封止側第2接合パターン421は、複数の層が他主面412の封止側第2封止部42上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。
また、第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)が設けられている。一外部電極端子431,他外部電極端子432は、図1,7に示すように第2封止部材4の他主面412の平面視長手方向両端に夫々位置する。これら一対の外部電極端子(一外部電極端子431,他外部電極端子432)は、他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4311,4321と、下地PVD膜4311,4321上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4312,4322とからなる。一外部電極端子431及び他外部電極端子432は、第2封止部材4の他主面412のうち1/3以上の領域を夫々占めている。
第2封止部材4には、図1,6,7に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する2つの貫通孔(第2貫通孔45,第3貫通孔46)が形成されている。第2貫通孔45は、一外部電極端子431及び水晶振動板2の接続用接合パターン265に繋がるものである。第3貫通孔46は、他外部電極端子432及び水晶振動板2の接続用接合パターン28に繋がるものである。
第2貫通孔45,第3貫通孔46には、図1,6,7に示すように、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極451,461が、第2貫通孔45,第3貫通孔46の内壁面夫々に沿って形成されている。そして、第2貫通孔45,第3貫通孔46の中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分452,462となる。第2貫通孔45,第3貫通孔46夫々の外周囲には、接続用接合パターン453,463が形成されている。
接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の一主面411に設けられており、水晶振動板2の接続用接合パターン265,28と接合される。接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の短辺方向(図6のB1方向)に方向に沿って延びている。接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の長辺方向(図6のB2方向)に所定の間隔を隔てて設けられており、接続用接合パターン453,463のB2方向の間隔は、水晶振動板2の接続用接合パターン265,28のZ´軸方向の間隔(図5参照)と略同じになっている。
接続用接合パターン453,463は、封止側第2接合パターン421と同様の構成であり、封止側第2接合パターン421と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の一主面411上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動子101では、第2貫通孔45,第3貫通孔46及び接続用接合パターン453,463は、平面視で内部空間13の内方に形成されている。第2貫通孔45,第3貫通孔46及び接続用接合パターン453,463は、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。また、一外部電極端子431,他外部電極端子432も、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。なお、水晶振動子101では、図6のB1方向は、図5のX軸方向に一致し、図6のB2方向は、図5のZ´軸方向に一致する。
上記の構成からなる水晶振動子101では、従来の技術のように別途接着剤等の接合専用材を用いずに、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図1に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。なお、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材11となり、振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材11となる。接合材11は、平面視で環状に形成される。本形態では、水晶振動板2の第1、第2励振電極221,222から一外部電極端子431,他外部電極端子432までの配線がいずれも、平面視で接合材11の内方に設けられている。接合材11は、平面視で、パッケージ12の外周縁に近接するように形成されている。これにより、水晶振動板2の振動部22のサイズを大きくすることが可能になっている。
この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。具体的には、水晶振動板2の接続用接合パターン264及び第1封止部材3の接続用接合パターン35が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン27及び第1封止部材3の接続用接合パターン36が拡散接合される。また、水晶振動板2の接続用接合パターン265及び第2封止部材4の接続用接合パターン453が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン28及び第2封止部材4の接続用接合パターン463が拡散接合される。そして、夫々の接続用接合パターン同士が拡散接合後に生成される接合材14となる。拡散接合によって形成されたこれらの接合材14は、貫通孔の貫通電極と接合材14とを導通させる役割、及び接合箇所を気密封止する役割を果たす。なお、接合材14は、平面視で封止用の接合材11よりも内方に設けられるため、図1では破線で示している。
ここで、第1貫通孔26と第2貫通孔45とが平面視で重畳しないように配置されている。具体的には、図6に示すように、正面視では(図6のB1方向から見ると)、第1貫通孔26と第2貫通孔45とは上下に一直線上に並んで配置されている。図6では、便宜上、第2封止部材4の上方に設けられる水晶振動板2に形成された第1貫通孔26を2点鎖線で示している。一方、側面視では(図6のB2方向から見ると)、第1貫通孔26と第2貫通孔45とは上下に一直線上に並ばないようにオフセットされて配置されている。より詳細には、接合材14(接続用接合パターン265,453)の長手方向(B1方向)の一端部に第1貫通孔26が接続され、接合材14の長手方向の他端部に第2貫通孔45が接続されている。そして、第1貫通孔26の貫通電極261と第2貫通孔45の貫通電極451とが接合材14を介して電気的に接続されている。このように、第1貫通孔26と第2貫通孔45とを平面視で重畳しないように配置することによって、水晶振動板2の振動部22を気密封止した内部空間13の気密性を確保するうえでより好ましい構造となる。
そして、上述のようにして製造されたパッケージ12では、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本形態のAu−Au接合では0.01μm〜1.00μm)である。なお、比較として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm〜20μmとなる。
なお、本形態では、サンドイッチ構造の水晶振動子101において、第1封止部材3の他主面312、つまり、水晶振動板2との対向面に、水晶振動板2の第1励振電極221に接続される配線パターン33が設けられており、この配線パターン33の少なくとも一部が、平面視で、振動部22と外枠部23との間の空間と重畳する位置に設けられており、配線パターン33は、平面視で、第1励振電極221,第2励振電極222とは重畳しない位置に設けられていることがより好ましい。
このように構成することで、第1封止部材3の他主面312を配線パターン33の配置領域として有効活用することができ、振動部22のサイズを確保しつつ、水晶振動子101の小型化を図ることができる。つまり、水晶振動板2に配線パターン33の配置領域を別途確保する必要がなくなり、その分だけ振動部22のサイズを大きくすることが可能になる。したがって、水晶振動子101の小型化の要請を満たすために、振動部22のサイズを必要以上に小さくしなくてもよくなる。
また、第1封止部材3の他主面312が平坦面に形成されているので、第1封止部材3の厚さを抑えることができ、その分、水晶振動子101の低背化に寄与することができる。つまり、第1封止部材3の他主面312に凹部が設けられている場合、凹部の深さに相当する分だけ第1封止部材3の厚さが増加することが懸念される。しかし、第1封止部材3の他主面312を平坦面に形成することによって、第1封止部材3の厚さが増加することを抑制することができ、水晶振動子101の低背化に寄与することができる。この場合、水晶振動板2の振動部22及び連結部24が、外枠部23よりも薄く形成されているので、水晶振動子101の低背化を図りながら、振動部22と第1封止部材3及び第2封止部材4との接触を抑制する点で有効である。
また、本形態では、第1封止部材3及び第2封止部材4にガラスを用いているが、これに限定されるものではなく、水晶を用いてもよい。
なお、上記に示した本発明の実施形態及び実施例はいずれも本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。上記各実施形態では、水晶振動デバイスを水晶振動子としたが、水晶振動子以外の水晶振動デバイス(例えば、水晶発振器)にも本発明を適用することが可能である。