以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態にかかる水晶振動デバイスの製造方法について説明する前に、まず、水晶振動デバイスについて説明する。以下では、水晶振動デバイスの一例として、図5〜図11に示すような水晶振動子10を挙げて説明する。
−水晶振動子−
図5に示すように、水晶振動子10は、水晶振動板2と、水晶振動板2の第1励振電極221(図8参照)を覆い、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221を気密封止する第1封止部材3と、この水晶振動板2の他主面212に、水晶振動板2の第2励振電極222(図9参照)を覆い、第1励振電極221と対になって形成された第2励振電極222を気密封止する第2封止部材4とを備えている。水晶振動子10では、第1封止部材3と第2封止部材4とが水晶振動板2を介して積層して接合されることによって、略直方体状のサンドイッチ構造のパッケージ12が構成される。
水晶振動子10では、水晶振動板2及び第1封止部材3が接合されるとともに、水晶振動板2及び第2封止部材4が接合されることで、パッケージ12の内部空間13が形成され、このパッケージ12の内部空間13に、水晶振動板2の両主面211,212に形成された第1励振電極221及び第2励振電極222を含む振動部22が気密封止されている。水晶振動子10は、例えば、1.0×0.8mmのパッケージサイズであり、小型化と低背化とを図ったものである。また、小型化に伴い、パッケージ12では、キャスタレーションを形成せずに、貫通孔(第1〜第3貫通孔)を用いて電極の導通を図っている。
次に、サンドイッチ構造の水晶振動子10の各構成について、図5〜11を用いて説明する。なお、ここでは、水晶振動板2と第1封止部材3と第2封止部材4が接合されていない夫々単体として構成されている各部材について説明を行う。
水晶振動板2は、図8,9に示すように、水晶からなる圧電基板であって、その両主面(一主面211、他主面212)が平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。水晶振動板2として、厚みすべり振動を行うATカット水晶板が用いられている。図8,9に示す水晶振動板2では、水晶振動板2の両主面211,212が、XZ´平面とされている。このXZ´平面において、水晶振動板2の短手方向(短辺方向)に平行な方向がX軸方向とされ、水晶振動板2の長手方向(長辺方向)に平行な方向がZ´軸方向とされている。なお、ATカットは、人工水晶の3つの結晶軸である電気軸(X軸)、機械軸(Y軸)、及び光学軸(Z軸)のうち、Z軸に対してX軸周りに35°15′だけ傾いた角度で切り出す加工手法である。ATカット水晶板では、X軸は水晶の結晶軸に一致する。Y´軸及びZ´軸は、水晶の結晶軸のY軸及びZ軸からそれぞれ35°15′傾いた軸に一致する。Y´軸方向及びZ´軸方向は、ATカット水晶板を切り出すときの切り出し方向に相当する。
水晶振動板2の両主面211,212に一対の励振電極(第1励振電極221、第2励振電極222)が形成されている。水晶振動板2は、略矩形に形成された振動部22と、この振動部22の外周を取り囲む外枠部23と、振動部22と外枠部23とを連結する連結部(保持部)24とを有しており、振動部22と連結部24と外枠部23とが一体的に設けられた構成となっている。連結部24は、振動部22と外枠部23との間の1箇所のみに設けられており、連結部24が設けられていない箇所は空間(隙間)22bになっている。また、図示していないが、振動部22及び連結部24は、外枠部23よりも薄く形成されている。このような外枠部23と連結部24との厚みの違いにより、外枠部23と連結部24の圧電振動の固有振動数が異なることになり、連結部24の圧電振動に外枠部23が共鳴しにくくなる。
連結部24は、振動部22の+X方向かつ−Z´方向に位置する1つの角部22aのみから、−Z´方向に向けて外枠部23まで延びている(突出している)。このように、振動部22の外周端部のうち、圧電振動の変位が比較的小さい角部22aに連結部24が設けられているので、連結部24を角部22a以外の部分(辺の中央部)に設けた場合に比べて、連結部24を介して圧電振動が外枠部23に漏れることを抑制することができ、より効率的に振動部22を圧電振動させることができる。また、連結部24を2つ以上設けた場合に比べて、振動部22に作用する応力を低減することができ、そのような応力に起因する圧電振動の周波数シフトを低減して圧電振動の安定性を向上させることができる。
振動部22の一主面側に第1励振電極221が設けられ、振動部22の他主面側に第2励振電極222が設けられている。第1励振電極221、第2励振電極222には、外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)に接続するための引出電極(第1引出電極223、第2引出電極224)が接続されている。第1引出電極223は、第1励振電極221から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン27に繋がっている。第2引出電極224は、第2励振電極222から引き出され、連結部24を経由して、外枠部23に形成された接続用接合パターン28に繋がっている。このように、連結部24の一主面側に第1引出電極223が形成され、連結部24の他主面側に第2引出電極224が形成されている。第1励振電極221及び第1引出電極223は、例えば一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。第2励振電極222及び第2引出電極224は、例えば他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、この下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動板2の両主面211,212には、水晶振動板2を第1封止部材3及び第2封止部材4に接合するための振動側封止部25が夫々設けられている。水晶振動板2の一主面211の振動側封止部25に、第1封止部材3に接合するための振動側第1接合パターン251が形成されている。また、水晶振動板2の他主面212の振動側封止部25に、第2封止部材4に接合するための振動側第2接合パターン252が形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、上述した外枠部23に設けられており、平面視で環状に形成されている。振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252は、水晶振動板2の両主面211,212の外周縁に近接するように設けられている。水晶振動板2の一対の第1励振電極221、第2励振電極222は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
振動側第1接合パターン251は、例えば一主面211上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2511と、下地PVD膜2511上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2512とからなる。振動側第2接合パターン252は、例えば他主面212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜2521と、下地PVD膜2521上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜2522とからなる。つまり、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とは、同一構成からなり、複数の層が両主面211,212の振動側封止部25上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。このように、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252とでは、下地PVD膜2511,2521が単一の材料(Ti(もしくはCr))からなり、電極PVD膜2512,2522が単一の材料(Au)からなり、下地PVD膜2511,2521よりも電極PVD膜2512,2522の方が厚い。また、水晶振動板2の一主面211に形成された第1励振電極221と振動側第1接合パターン251とは同一厚みを有し、第1励振電極221と振動側第1接合パターン251との表面が同一金属からなり、水晶振動板2の他主面212に形成された第2励振電極222と振動側第2接合パターン252とは同一厚みを有し、第2励振電極222と振動側第2接合パターン252との表面が同一金属からなる。また、振動側第1接合パターン251と振動側第2接合パターン252は、非Snパターンである。
また、水晶振動板2には、図8,9に示すように、一主面211と他主面212との間を貫通する1つの貫通孔(第1貫通孔26)が形成されている。第1貫通孔26は、水晶振動板2の外枠部23に設けられている。第1貫通孔26は、第2封止部材4の接続用接合パターン453に繋がるものである。
第1貫通孔26には、図5,8,9に示すように、一主面211と他主面212とに形成された電極の導通を図るための貫通電極261が、第1貫通孔26の内壁面に沿って形成されている。そして、第1貫通孔26の中央部分は、一主面211と他主面212との間を貫通した中空状態の貫通部分262となる。第1貫通孔26の外周囲には、接続用接合パターン264,265が形成されている。接続用接合パターン264,265は、水晶振動板2の両主面211,212に設けられている。
水晶振動板2の一主面211に形成された第1貫通孔26の接続用接合パターン264は、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。また、水晶振動板2の一主面211には、第1引出電極223に繋がる接続用接合パターン27が形成されており、この接続用接合パターン27も、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン27は、振動部22(第1励振電極221)を挟んで、接続用接合パターン264とはZ´軸方向の反対側に設けられている。つまり、振動部22のZ´軸方向の両側に、接続用接合パターン27,264が設けられている。
同様に、水晶振動板2の他主面212に形成された第1貫通孔26の接続用接合パターン265は、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。また、水晶振動板2の他主面212には、第2引出電極224に繋がる接続用接合パターン28が形成されており、この接続用接合パターン28も、外枠部23において、X軸方向に沿って延びている。接続用接合パターン28は、振動部22(第2励振電極222)を挟んで、接続用接合パターン265とはZ´軸方向の反対側に設けられている。つまり、振動部22のZ´軸方向の両側に、接続用接合パターン28,265が設けられている。
接続用接合パターン27,28,264,265は、振動側第1接合パターン251,振動側第2接合パターン252と同様の構成であり、振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン27,28,264,265は、例えば水晶振動板2の両主面211,212上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動子10では、第1貫通孔26及び接続用接合パターン27,28,264,265は、平面視で内部空間13の内方(接合材11a,11bの内周面の内側)に形成される。内部空間13は、平面視で振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252の内方(内側)に形成される。内部空間13の内方とは、後述する接合材11a,11b上を含まずに厳密に接合材11a,11bの内周面の内側のことをいう。第1貫通孔26及び接続用接合パターン27,28,264,265は、振動側第1接合パターン251及び振動側第2接合パターン252とは電気的に接続されていない。
第1封止部材3は、図6,7に示すように、水晶により形成された略直方体状の基板であり、この第1封止部材3の他主面312(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、第1封止部材3として、上述した水晶振動板2と同様のATカット水晶板が用いられている。
第1封止部材3の他主面312には、水晶振動板2に接合するための封止側第1封止部32が設けられている。封止側第1封止部32には、水晶振動板2に接合するための封止側第1接合パターン321が形成されている。封止側第1接合パターン321は、平面視で環状に形成されている。封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3の他主面312の外周縁に近接するように設けられている。封止側第1接合パターン321は、第1封止部材3の封止側第1封止部32上の全ての位置において同一幅とされる。
この封止側第1接合パターン321は、例えば第1封止部材3上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜3211と、下地PVD膜3211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜3212とからなる。なお、下地PVD膜3211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜3212にはAuが用いられている。また、封止側第1接合パターン321は、非Snパターンである。具体的には、封止側第1接合パターン321は、複数の層が他主面312の封止側第1封止部32上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。
第1封止部材3の他主面312、つまり、水晶振動板2との対向面には、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27と接合される接続用接合パターン35,36が形成されている。接続用接合パターン35,36は、第1封止部材3の短辺方向(図7のX軸方向)に方向に沿って延びている。接続用接合パターン35,36は、第1封止部材3の長辺方向(図7のZ´軸方向)に所定の間隔を隔てて設けられており、接続用接合パターン35,36のZ´軸方向の間隔は、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27のZ´軸方向の間隔(図8参照)と略同じになっている。接続用接合パターン35,36は、配線パターン33を介して互いに接続されている。配線パターン33は、接続用接合パターン35,36の間に設けられている。配線パターン33は、Z´軸方向に沿って延びている。配線パターン33は、水晶振動板2の接続用接合パターン264,27とは接合されないようになっている。
接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、封止側第1接合パターン321と同様の構成であり、封止側第1接合パターン321と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、例えば第1封止部材3の他主面312上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動子10では、接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、平面視で内部空間13の内方(接合材11a,11bの内周面の内側)に形成される。接続用接合パターン35,36及び配線パターン33は、封止側第1接合パターン321とは電気的に接続されていない。
第2封止部材4は、図10,11に示すように、水晶により形成された略直方体状の基板であり、この第2封止部材4の一主面411(水晶振動板2に接合する面)は平坦平滑面(鏡面加工)として形成されている。本実施の形態では、第2封止部材4として、上述した水晶振動板2と同様のATカット水晶板が用いられている。
第2封止部材4の一主面411には、水晶振動板2に接合するための封止側第2封止部42が設けられている。封止側第2封止部42には、水晶振動板2に接合するための封止側第2接合パターン421が形成されている。封止側第2接合パターン421は、平面視で環状に形成されている。封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4の一主面411の外周縁に近接するように設けられている。封止側第2接合パターン421は、第2封止部材4の封止側第2封止部42上の全ての位置において同一幅とされる。
この封止側第2接合パターン421は、例えば第2封止部材4上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4211と、下地PVD膜4211上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4212とからなる。なお、下地PVD膜4211には、Ti(もしくはCr)が用いられ、電極PVD膜4212にはAuが用いられている。また、封止側第2接合パターン421は、非Snパターンである。具体的には、封止側第2接合パターン421は、複数の層が他主面412の封止側第2封止部42上に積層して構成され、その最下層側からTi層(もしくはCr層)とAu層とが蒸着形成されている。
また、第2封止部材4の他主面412(水晶振動板2に面しない外方の主面)には、外部に電気的に接続する一対の外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)が設けられている。一外部電極端子431、他外部電極端子432は、図5,11に示すように第2封止部材4の他主面412の平面視長手方向両端に夫々位置する。これら一対の外部電極端子(一外部電極端子431、他外部電極端子432)は、例えば他主面412上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜4311,4321と、下地PVD膜4311,4321上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜4312,4322とからなる。一外部電極端子431及び他外部電極端子432は、第2封止部材4の他主面412のうち1/3以上の領域を夫々占めている。
第2封止部材4には、図5,10,11に示すように、一主面411と他主面412との間を貫通する2つの貫通孔(第2貫通孔45、第3貫通孔46)が形成されている。第2貫通孔45は、一外部電極端子431及び水晶振動板2の接続用接合パターン265に繋がるものである。第3貫通孔46は、他外部電極端子432及び水晶振動板2の接続用接合パターン28に繋がるものである。
第2貫通孔45、第3貫通孔46には、図5,10,11に示すように、一主面411と他主面412とに形成された電極の導通を図るための貫通電極451,461が、第2貫通孔45、第3貫通孔46の内壁面夫々に沿って形成されている。そして、第2貫通孔45、第3貫通孔46の中央部分は、一主面411と他主面412との間を貫通した中空状態の貫通部分452,462となる。第2貫通孔45、第3貫通孔46夫々の外周囲には、接続用接合パターン453,463が形成されている。
接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の一主面411に設けられており、水晶振動板2の接続用接合パターン265,28と接合される。接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の短辺方向(図10のX軸方向)に方向に沿って延びている。接続用接合パターン453,463は、第2封止部材4の長辺方向(図10のZ´軸方向)に所定の間隔を隔てて設けられており、接続用接合パターン453,463のZ´軸方向の間隔は、水晶振動板2の接続用接合パターン265,28のZ´軸方向の間隔(図9参照)と略同じになっている。
接続用接合パターン453,463は、封止側第2接合パターン421と同様の構成であり、封止側第2接合パターン421と同一のプロセスで形成することができる。具体的には、接続用接合パターン453,463は、例えば第2封止部材4の一主面411上に物理的気相成長させて形成された下地PVD膜と、当該下地PVD膜上に物理的気相成長させて積層形成された電極PVD膜とからなる。
水晶振動子10では、第2貫通孔45、第3貫通孔46及び接続用接合パターン453,463は、平面視で内部空間13の内方に形成されている。第2貫通孔45、第3貫通孔46及び接続用接合パターン453,463は、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。また、一外部電極端子431、他外部電極端子432も、封止側第2接合パターン421とは電気的に接続されていない。
上記構成の水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4を含む水晶振動子10では、水晶振動板2と第1封止部材3とが振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321を重ね合わせた状態で拡散接合され、水晶振動板2と第2封止部材4とが振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図5に示すサンドイッチ構造のパッケージ12が製造される。これにより、パッケージ12の内部空間13、つまり、振動部22の収容空間が気密封止される。
そして、振動側第1接合パターン251及び封止側第1接合パターン321自身が拡散接合後に生成される接合材11a(図5参照)となり、この接合材11aによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合される。振動側第2接合パターン252及び封止側第2接合パターン421自身が拡散接合後に生成される接合材11bとなり、この接合材11bによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。接合材11a,11bは、平面視で環状に形成され、平面視で略一致する位置に設けられている。つまり、接合材11a,11bの内周縁が略一致する位置に設けられ、接合材11a,11bの外周縁が略一致する位置に設けられている。
水晶振動板2の第1、第2励振電極221,222から一外部電極端子431、他外部電極端子432までの配線がいずれも、平面視で、封止部としての接合材11a,11bの内方に設けられている。接合材11a,11bは、平面視で、外縁形状及び内縁形状が略矩形に形成されており、パッケージ12の外周縁に近接するように形成されている。これにより、水晶振動板2の振動部22のサイズを大きくすることが可能になっている。なお、接合材11a,11bの内周縁と、振動部22及び外枠部23の間の空間22bとの距離は、パッケージ12の短辺側のほうが、長辺側よりも大きくなっている。
また、この際、上述した接続用接合パターン同士も重ね合わせられた状態で拡散接合される。具体的には、水晶振動板2の接続用接合パターン264及び第1封止部材3の接続用接合パターン35が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン27及び第1封止部材3の接続用接合パターン36が拡散接合される。また、水晶振動板2の接続用接合パターン265及び第2封止部材4の接続用接合パターン453が拡散接合される。水晶振動板2の接続用接合パターン28及び第2封止部材4の接続用接合パターン463が拡散接合される。
そして、接続用接合パターン264及び接続用接合パターン35自身が拡散接合後に生成される接合材14a(図5参照)となり、この接合材14aによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合される。接続用接合パターン27及び接続用接合パターン36自身が拡散接合後に生成される接合材14bとなり、この接合材14bによって水晶振動板2と第1封止部材3とが接合される。また、接続用接合パターン265及び接続用接合パターン453自身が拡散接合後に生成される接合材14cとなり、この接合材14cによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。接続用接合パターン28及び接続用接合パターン463自身が拡散接合後に生成される接合材14dとなり、この接合材14dによって水晶振動板2と第2封止部材4とが接合される。これらの接合材14a〜14dは、貫通孔の貫通電極と接合材14a〜14dとを導通させる役割、及び接合箇所を気密封止する役割を果たす。なお、接合材14a〜14dは、平面視で封止部としての接合材11a,11bよりも内方に設けられるため、図5では破線で示している。
−水晶振動デバイスの製造方法−
次に、本実施の形態にかかる水晶振動デバイスの製造方法について、図1〜4を参照して説明する。ここでは、水晶振動デバイスの製造方法の一例として、上述した水晶振動子10(図5〜図11参照)の製造方法について説明する。
本実施の形態にかかる水晶振動子10の製造方法は、図1に示すように、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)で形成された第1封止部材用ウエハと、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)で形成された水晶振動板用ウエハと、第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)で形成された第2封止部材用ウエハとを積層することによって、図2に示すような水晶ウエハ(ウエハの積層体)100を形成する積層工程(ST14)と、水晶ウエハ100から水晶振動子10のパッケージ12の個片化を行う個片化工程(ST15)とを有する。なお、第1封止部材用ウエハ形成工程、水晶振動板用ウエハ形成工程、及び第2封止部材用ウエハ形成工程の順序は特に限定されない。第1封止部材用ウエハ形成工程、水晶振動板用ウエハ形成工程、及び第2封止部材用ウエハ形成工程を並行して行ってもよい。
ここで、水晶ウエハ100について、図2〜4を参照して説明する。水晶ウエハ100は、図4に示すように、第1封止部材用ウエハ100Bと、水晶振動板用ウエハ100Aと、第2封止部材用ウエハ100Cとが積層された積層体として構成されている。
水晶ウエハ100は、図2に示すように、水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された構成になっている。図2の例では、水晶ウエハ100において、平面視略矩形に形成された複数のパッケージ12がマトリックス状に配列されており、縦方向(図2のX軸方向)及び横方向(図2のZ´軸方向)にそれぞれ8つのパッケージ12が配列され、合計64のパッケージ12が備えられている。なお、パッケージ12の数は一例であって、上記の数に限定されるものではない。
水晶ウエハ100は、複数のパッケージ12を支持するための支持部(桟部)101を備えている。支持部101は、水晶ウエハ100のZ´軸方向に沿って延びている。支持部101の両端部は、水晶ウエハ100のフレーム部(外枠部)102に一体的に連結されている。支持部101は、水晶ウエハ100のX軸方向に所定の間隔を隔てて複数(図2では8つ)設けられている。フレーム部102は、平面視で一辺が開放された略矩形の枠体であって、略「コ」字状に形成されている。フレーム部102の開放された一辺に対応する箇所に支持部101が設けられており、この支持部101とフレーム部102とによって環状の枠体が一体的に形成されるようになっている。
支持部101には、複数(図2では8つ)のパッケージ12が支持されている。パッケージ12は、水晶ウエハ100のZ´軸方向に所定の間隔を隔てて配列されている。支持部101は、平面視でパッケージ12の一辺側に設けられている。本実施の形態では、支持部101は、パッケージ12の一方の長辺側(図2の+X方向側)に設けられている。
パッケージ12は、連結部(折り取り部)を介して支持部101に連結されている。連結部は、水晶ウエハ100のZ´軸方向に所定の間隔を隔てて設けられた第1、第2連結部131,132を含む構成となっている。第1、第2連結部131,132は、平面視でパッケージ12の一方の長辺12aから支持部101まで延びている。つまり、第1、第2連結部131,132の一端側(図2の−X方向側)がパッケージ12の一方の長辺に連結され、第1、第2連結部131,132の他端側(図2の+X方向側)が支持部101に連結されている。パッケージ12は、第1、第2連結部131,132のみによって、水晶ウエハ100の支持部101に支持されている。つまり、平面視で、パッケージ12の外周縁は、第1、第2連結部131,132が連結された箇所を除いて、空間(隙間)に面している。
第1、第2連結部131,132は、同様の構成になっており、平面視で、パッケージ12の中心を通りパッケージ12の長辺12aに垂直な直線(例えば、後述する直線L1)に対して略線対称な形状になっている。以下では、第1連結部131について代表して説明することとし、第2連結部132についての説明を省略する。
図3に示すように、第1連結部131は、支持部101側の端部131aの幅(Z´軸方向の幅)W11が、パッケージ12の長辺12a側の端部131bの幅(Z´軸方向の幅)W12よりも大きくなっている(W11>W12)。第1連結部131の端縁(端辺)131c,131dのうち、外側端縁131c、つまり、パッケージ12の長辺12aの中央位置12cから遠い側(図3の−Z´方向側)の端縁は、平面視でパッケージ12の角部(頂点)12eに連結されている。そして、第1連結部131の外側端縁131cにおいて、支持部101側の端縁131eが、パッケージ12の長辺12a側の端縁131fよりも、平面視で外側(図3の−Z´方向側)へ向けて突出されている。言い換えれば、支持部101側の端縁131eが、パッケージ12の長辺12a側の端縁131fよりも、平面視で上記中央位置12cを通り長辺12aに垂直な直線L1から遠い位置に設けられている。支持部101側の端縁131eと上記直線L1との距離W13が、長辺12a側の端縁131fと上記直線L1との距離W14よりも大きくなっている(W13>W14)。
本実施の形態では、第1連結部131の外側端縁131cは、上記直線L1に対し傾斜する直線に沿って設けられている。詳細には、外側端縁131cは、平面視で、パッケージ12の他方の長辺12bの中央位置12dを通る直線L2に沿って設けられている。この場合、直線L2は、パッケージ12の他方の長辺12bの中央位置12dと、上述したパッケージ12の角部12eとを通る直線になっている。第1連結部131において、パッケージ12の短辺を支持部101側へ延長した直線よりも外側(図3の−Z´方向側)に突出された部分が、略三角形に形成されている。なお、外側端縁131cの全体を直線L2に沿って形成してもよいが、外側端縁131cのうち支持部101側の部分を曲線状に形成していてもよい。
第1連結部131の内側端縁131d、つまり、パッケージ12の長辺12aの中央位置12cから近い側(図3の+Z´方向側)の端縁は、支持部101側の端縁131gが、パッケージ12の長辺12a側の端縁131hよりも、平面視で内側(図3の+Z´方向側)へ向けて突出されている。言い換えれば、支持部101側の端縁131gが、パッケージ12の長辺12a側の端縁131hよりも、平面視で上記直線L1に近い位置に設けられている。支持部101側の端縁131gと上記直線L1との距離W15が、長辺12a側の端縁131hと上記直線L1との距離W16よりも小さくなっている(W15<W16)。
本実施の形態では、第1連結部131の内側端縁131dは、曲線状に形成されている。具体的には、内側端縁131dにおいて、支持部101側の端縁131gと、長辺12a側の端縁131hとの間の部分、言い換えれば、両端部以外の部分は、角が設けられていない形状(角のない形状)になっている。この場合、内側端縁131dは、上記直線L1上に中心を有する円弧の一部になっている。内側端縁131dとパッケージ12の長辺12aとの接続部12fにおいて、内側端縁131dの接線とパッケージ12の長辺12aとのなす角θ1が、90度未満であることが好ましい。なお、内側端縁131dは、直線状(例えば、外側端縁131cと対称な形状)であってもよく、あるいは、複数の円弧が組み合わされた波形の形状であってもよい。
また、第1連結部131のパッケージ12側の端部131bには、溝部(凹部)133が形成されている。溝部133は、パッケージ12の長辺12aに沿って設けられている。つまり、溝部133は、水晶ウエハ100のZ´軸方向に沿って延びている。溝部133は、内側端縁131dとパッケージ12の長辺12aとの接続部12fからパッケージ12の角部12eに向けて(図3の−Z´方向側に向けて)延びている。本実施の形態では、溝部133は、パッケージ12の角部12eまで到達しておらず、溝部133は、パッケージ12の角部12eと間隔を隔てて設けられている。つまり、溝部133は、パッケージ12の角部12eまで到達しておらず、パッケージ12の角部12eの近傍は、溝部が形成されない部分になっている。なお、溝部133がパッケージ12の角部12eまで到達していてもよい。
上述したように、水晶ウエハ100は、第1封止部材用ウエハ100Bと、水晶振動板用ウエハ100Aと、第2封止部材用ウエハ100Cとが積層された構成となっている(図4参照)。水晶振動板用ウエハ100A、第1封止部材用ウエハ100B、及び第2封止部材用ウエハ100Cは、平面視では、上述した水晶ウエハ100(図2参照)と同様の形状になっている。
水晶振動板用ウエハ100Aは、図4に示すように、上述した水晶振動板2(図8,9参照)が複数、集合された構成になっている。図4の例では、水晶振動板用ウエハ100Aにおいて、複数の水晶振動板2がマトリックス状に配列されており、縦方向(図4のX軸方向)及び横方向(図4のZ´軸方向)にそれぞれ8つの水晶振動板2が配列され、合計64の水晶振動板2が備えられている。そして、水晶振動板用ウエハ100Aにおいては、上述した水晶ウエハ100の場合と同様に、水晶振動板2が、第1、第2連結部131A,132Aによって支持部101Aに支持されている。支持部101Aの両端部は、フレーム部102Aに一体的に連結されている。第1、第2連結部131A,132Aの水晶振動板2側の端部には、溝部(スリット)133A,133Aが形成されている。溝部133A,133Aは、水晶振動板用ウエハ100Aの両面に形成されていることが好ましいが、少なくとも片面に形成されていればよい。なお、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2には、上述した振動部22や外枠部23、第1励振電極221、第2励振電極222や、振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、第1貫通孔26等が形成されているが、図4では図示を省略している。
第1封止部材用ウエハ100Bは、図4に示すように、上述した第1封止部材3(図6,7参照)が複数、集合された構成になっている。図4の例では、第1封止部材用ウエハ100Bにおいて、複数の第1封止部材3がマトリックス状に配列されており、縦方向(図4のX軸方向)及び横方向(図4のZ´軸方向)にそれぞれ8つの第1封止部材3が配列され、合計64の第1封止部材3が備えられている。そして、第1封止部材用ウエハ100Bにおいては、上述した水晶ウエハ100の場合と同様に、第1封止部材3が、第1、第2連結部131B,132Bによって支持部101Bに支持されている。支持部101Bの両端部は、フレーム部102Bに一体的に連結されている。第1、第2連結部131B,132Bの第1封止部材3側の端部には、溝部133B,133Bが形成されている。溝部133B,133Bは、第1封止部材用ウエハ100Bの両面に形成されていることが好ましいが、少なくとも片面に形成されていればよい。なお、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3には、上述した封止側第1接合パターン321、配線パターン33、接続用接合パターン35,36等が形成されているが、図4では図示を省略している。
第2封止部材用ウエハ100Cは、図4に示すように、上述した第2封止部材4(図10,11参照)が複数、集合された構成になっている。図4の例では、第2封止部材用ウエハ100Cにおいて、複数の第2封止部材4がマトリックス状に配列されており、縦方向(図4のX軸方向)及び横方向(図4のZ´軸方向)にそれぞれ8つの第2封止部材4が配列され、合計64の第2封止部材4が備えられている。そして、第2封止部材用ウエハ100Cにおいては、上述した水晶ウエハ100の場合と同様に、第2封止部材4が、第1、第2連結部131C,132Cによって支持部101Cに支持されている。支持部101Cの両端部は、フレーム部102Cに一体的に連結されている。第1、第2連結部131C,132Cの第2封止部材4側の端部には、溝部133C,133Cが形成されている。溝部133C,133Cは、第2封止部材用ウエハ100Cの両面に形成されていることが好ましいが、少なくとも片面に形成されていればよい。なお、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4には、上述した封止側第2接合パターン421、一外部電極端子431、他外部電極端子432、第2貫通孔45、第3貫通孔46等が形成されているが、図4では図示を省略している。
そして、第1封止部材用ウエハ100Bと第2封止部材用ウエハ100Cとが水晶振動板用ウエハ100Aを介して積層して接合されることによって、図2に示すように、サンドイッチ構造の水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された水晶ウエハ100が形成される。この場合、水晶ウエハ100の第1、第2連結部131,132は、第1封止部材用ウエハ100Bの第1、第2連結部131B,132Bと、水晶振動板用ウエハ100Aの第1、第2連結部131A,132Aと、第2封止部材用ウエハ100Cの第1、第2連結部131C,132Cとが積層された構成になっている。第1封止部材用ウエハ100Bの第1、第2連結部131B,132B、水晶振動板用ウエハ100Aの第1、第2連結部131A,132A、及び第2封止部材用ウエハ100Cの第1、第2連結部131C,132Cは、上述した水晶ウエハ100の第1、第2連結部131,132と同様の構成になっている(図3参照)。第1封止部材用ウエハ100Bの第1、第2連結部131B,132B、水晶振動板用ウエハ100Aの第1、第2連結部131A,132A、及び第2封止部材用ウエハ100Cの第1、第2連結部131C,132Cは、平面視で略一致する位置に設けられている。
また、水晶ウエハ100の溝部133,133は、第1封止部材用ウエハ100Bの少なくとも片面に形成された溝部133B,133B、水晶振動板用ウエハ100Aの少なくとも片面に形成された溝部133A,133A、及び第2封止部材用ウエハ100Cの少なくとも片面に形成された溝部133C,133Cを含む構成になっている。第1封止部材用ウエハ100Bの溝部133B,133B、水晶振動板用ウエハ100Aの溝部133A,133A、及び第2封止部材用ウエハ100Cの溝部133C,133Cは、上述した水晶ウエハ100の溝部133,133と同様の構成になっている。
次に、図1に例示する水晶振動子10の製造方法の各工程について説明する。
第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)は、図4に示すような第1封止部材用ウエハ100Bを形成する工程である。第1封止部材用ウエハ100Bは、上述したように、平面視略矩形の複数の第1封止部材3が集合された構成になっており、具体的には、各第1封止部材3が、平面視で第1封止部材3の一辺側に当該第1封止部材3とは離間して設けられた支持部101Bに、第1、第2連結部131B,132Bを介して連結された構成になっている。
第1封止部材用ウエハ形成工程では、水晶素板(ATカット水晶板)に、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3、支持部101B、フレーム部102B、第1、第2連結部131B,132B、及び溝部133B,133Bを形成する。また、各第1封止部材3において、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング、MBE、レーザーアブレーションなどのPVD法(例えば、フォトリソグラフィ等の加工におけるパターンニング用の膜形成法)により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン35,36、及び配線パターン33を形成する。ここで、各第1封止部材3の他主面312の封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン35,36、及び配線パターン33を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで封止側第1接合パターン321、接続用接合パターン35,36、及び配線パターン33を一括して形成することができる。
水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)は、図4に示すような水晶振動板用ウエハ100Aを形成する工程である。水晶振動板用ウエハ100Aは、上述したように、平面視略矩形の複数の水晶振動板2が集合された構成になっており、具体的には、各水晶振動板2が、平面視で水晶振動板2の一辺側に当該水晶振動板2とは離間して設けられた支持部101Aに、第1、第2連結部131A,132Aを介して連結された構成になっている。
水晶振動板用ウエハ形成工程では、水晶素板(ATカット水晶板)に、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2、支持部101A、フレーム部102A、第1、第2連結部131A,132A、及び溝部133A,133Aを形成する。各水晶振動板2において、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、振動部22と外枠部23との間の空間22b、及び第1貫通孔26を形成する。
また、各水晶振動板2において、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング、MBE、レーザーアブレーションなどのPVD法(例えば、フォトリソグラフィ等の加工におけるパターンニング用の膜形成法)により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、第1励振電極221、第2励振電極222、第1引出電極223、第2引出電極224、振動側第1接合パターン251、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン27,28,264,265を形成する。ここで、各水晶振動板2の一主面211の第1励振電極221、第1引出電極223、振動側第1接合パターン251、及び接続用接合パターン27,264を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで第1励振電極221、第1引出電極223、振動側第1接合パターン251、及び接続用接合パターン27,264を一括して形成することができる。同様に、各水晶振動板2の他主面212の第2励振電極222、第2引出電極224、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン28,265を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで第2励振電極222、第2引出電極224、振動側第2接合パターン252、及び接続用接合パターン28,265を一括して形成することができる。
第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)は、図4に示すような第2封止部材用ウエハ100Cを形成する工程である。第2封止部材用ウエハ100Cは、上述したように、平面視略矩形の複数の第2封止部材4が集合された構成になっており、具体的には、各第2封止部材4が、平面視で第2封止部材4の一辺側に当該第2封止部材4とは離間して設けられた支持部101Cに、第1、第2連結部131C,132Cを介して連結された構成になっている。
第2封止部材用ウエハ形成工程では、水晶素板(ATカット水晶板)に、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4、支持部101C、フレーム部102C、第1、第2連結部131C,132C、及び溝部133C,133Cを形成する。各第2封止部材4において、例えば、ウェットエッチングを行うことによって、第2貫通孔45及び第3貫通孔46を形成する。
また、各第2封止部材4において、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング、MBE、レーザーアブレーションなどのPVD法(例えば、フォトリソグラフィ等の加工におけるパターンニング用の膜形成法)により下地PVD膜や電極PVD膜を形成することで、封止側第2接合パターン421、一外部電極端子431、他外部電極端子432、及び接続用接合パターン453,463を形成する。ここで、各第2封止部材4の一主面411の封止側第2接合パターン421、及び接続用接合パターン453,463を同一の構成とすることができ、この場合、同一のプロセスで封止側第2接合パターン421、及び接続用接合パターン453,463を一括して形成することができる。
積層工程(ST14)は、第1封止部材用ウエハ形成工程(ST11)で形成された第1封止部材用ウエハ100Bと、水晶振動板用ウエハ形成工程(ST12)で形成された水晶振動板用ウエハ100Aと、第2封止部材用ウエハ形成工程(ST13)で形成された第2封止部材用ウエハ100Cとを積層することによって、水晶ウエハ100を形成する工程である。つまり、積層工程では、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3と、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4とを積層する。
具体的には、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の振動側第1接合パターン251と、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の封止側第1接合パターン321とを重ね合わせた状態で拡散接合させ、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の振動側第2接合パターン252と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の封止側第2接合パターン421とを重ね合わせた状態で拡散接合させる。
また、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン264と、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の接続用接合パターン35とを拡散接合させる。水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン27と、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の接続用接合パターン36とを拡散接合させる。水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン265と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の接続用接合パターン453とを拡散接合させる。水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の接続用接合パターン28と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の接続用接合パターン463とを拡散接合させる。
なお、積層工程では、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3と、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2とを接合した後に、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4とを接合してもよいし、あるいは、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2と、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4とを接合した後に、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3と、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2とを接合してもよい。
上記の積層工程により、略直方体状の水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された水晶ウエハ100が形成される。各パッケージ12において、第1封止部材3と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有し、第2封止部材4と水晶振動板2とは、1.00μm以下のギャップを有する。つまり、第1封止部材3と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下であり、第2封止部材4と水晶振動板2との間の接合材11の厚みが、1.00μm以下(具体的には、本実施の形態のAu−Au接合では0.15μm〜1.00μm)である。なお、比較として、Snを用いた従来の金属ペースト封止材では、5μm〜20μmとなる。
積層工程後の水晶ウエハ100では、第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の第1連結部131Bと、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の第1連結部131Aと、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の第1連結部131Cとが、平面視で略一致する位置に設けられている。第1封止部材用ウエハ100Bの各第1封止部材3の第2連結部132Bと、水晶振動板用ウエハ100Aの各水晶振動板2の第2連結部132Aと、第2封止部材用ウエハ100Cの各第2封止部材4の第2連結部132Cとが、平面視で略一致する位置に設けられている。
個片化工程(ST15)では、水晶ウエハ100の各パッケージ12の第1封止部材3を、例えば棒状の押圧部材によって押圧することにより、水晶ウエハ100から各パッケージ12を折り取って(分離させて)、パッケージ12を個片化させる。この際、パッケージ12(第1封止部材3)の第1、第2連結部131,132が設けられた箇所とは反対側の箇所を押圧することが好ましい。具体的には、パッケージ12の他方の長辺12bの中央位置12d(図3参照)を押圧することが好ましい。
本実施の形態によれば、個片化工程において、水晶振動子10のパッケージ12が複数、集合された水晶ウエハ100から、各パッケージ12を折り取りによって容易に個片化することができる。以下、この点について説明する。
個片化工程では、水晶ウエハ100の各パッケージ12の第1、第2連結部131,132が設けられた箇所とは反対側の箇所を押圧することにより、パッケージ12が個片化されるようになっている。この際、各パッケージ12の水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4のそれぞれに第1、第2連結部131A,132A,131B,132B,131C,132Cが設けられているので、第1、第2連結部131A,132A,131B,132B,131C,132Cにおいて水晶振動板2、第1封止部材3、及び第2封止部材4のそれぞれを容易に分離させることができる。具体的には、水晶振動板用ウエハ100Aの第1、第2連結部131A,132Aと水晶振動板2との接続箇所、つまり、水晶振動板2の一方の長辺において、水晶振動板2と第1、第2連結部131A,132Aとを分離させることができる。同様に、第1封止部材用ウエハ100Bの第1、第2連結部131B,132Bと第1封止部材3との接続箇所、つまり、第1封止部材3の一方の長辺において、第1封止部材3と第1、第2連結部131B,132Bとを分離させることができる。第2封止部材用ウエハ100Cの第1、第2連結部131C,132Cと第2封止部材4との接続箇所、つまり、第2封止部材4の一方の長辺において、第2封止部材4と第1、第2連結部131C,132Cとを分離させることができる。したがって、水晶ウエハ100から各パッケージ12を折り取りによって容易に個片化することができる。
また、個片化工程での折り取りの際、押圧による応力が、水晶ウエハ100の第1連結部131(第2連結部132についても同様)の内側端縁131dとパッケージ12の長辺12aとの接続部12fに最も集中しやすくなっている。そこで、本実施の形態では、接続部12fを起点として水晶ウエハ100に破断を発生させ、この破断を水晶ウエハ100のZ´軸方向に沿って略直線状に進行させることによって、パッケージ12の個片化を容易に行えるようにしている。
本実施の形態では、第1連結部131の支持部101側の端部131aの幅W11が、パッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の長辺12a側の端部131bの幅W12よりも大きくなっており、第1連結部131の外側端縁131cにおいて、支持部101側の端縁131eが、パッケージ12の長辺12a側の端縁131fよりも、平面視でパッケージ12の長辺12aの中央位置12cから遠い位置に設けられている。また、第1連結部131の長辺12a側の端部131bに、Z´軸方向に延びる溝部133が設けられている。これにより、個片化工程において、接続部12fを起点として発生した破断を水晶ウエハ100のZ´軸方向に沿ってスムーズに進行させ、パッケージ12を水晶ウエハ100から容易に分離させることができ、割れ、チッピング等の折り取り痕の発生を抑制して、パッケージ12の外観不良の発生を抑制することができる。
また、溝部133によって、パッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の折り取りに必要な押圧力(加圧力)を小さくすることができ、個片化工程での折り取りの際にパッケージ12に加えられるダメージを小さくすることができる。この場合、第1封止部材用ウエハ100Bの両面に溝部133B,133Bを形成し、水晶振動板用ウエハ100Aの両面に溝部133A,133Aを形成し、さらに、第2封止部材用ウエハ100Cの両面に溝部133C,133Cを形成することによって、折り取りの際のパッケージ12のダメージをより小さくすることができる。
また、溝部133が水晶ウエハ100のX軸方向に垂直な方向(この場合、Z´軸方向)に沿って形成されており、溝部133がパッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の角部12eと間隔を隔てて設けられているので、ウェットエッチングによって溝部133を形成する場合、水晶ウエハ100の異方性によるパッケージ12の角部12eの欠損(面取り)を抑制することができる。
また、第1連結部131の内側端縁131dが、両端部以外の部分が角のない形状とされているので、内側端縁131dとパッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の長辺12aとの接続部12fに折り取りの際の応力を確実に集中させることができ、水晶ウエハ100の破断を接続部12fにおいて確実に発生させることができる。
また、第1、第2連結部131,132が、パッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の+X方向側の長辺12aに設けられているので、ウェットエッチングを行う際、水晶ウエハ100の異方性によって水晶振動板2の振動部22(図8参照)の+X方向側の角部に欠損(面取り)が発生することを抑制できる。つまり、第1、第2連結部131,132がパッケージ12の−X方向側の長辺12bに設けられる場合に比べて、振動部22をより矩形に近い形状に形成することができる。
ここで、個片化工程において、パッケージ12の他方の長辺12bの中央位置12d付近を押圧した場合、パッケージ12を変形させようとする力が、押圧箇所(ここでは、パッケージ12の長辺12bの中央位置12d)と、第1、第2連結部131,132の支持部101側への接続箇所(ここでは、外側端縁131cの支持部101側の端縁131e)とを結ぶ直線(ここでは、直線L2)上に最も大きく作用すると考えられる。そして、直線(張力線)の内側の領域では、押圧に起因する変形や、それに伴った破断(破壊)が発生すると考えられ、上述したように、接続部12fを起点として破断を発生させ、水晶ウエハ100のZ´軸方向に沿って略直線状に破断を進行させることが可能である。つまり、張力線の内側の領域では、押圧に起因する破断等をある程度コントロールすることが可能である。一方、張力線の外側の領域では、形状の乱れや、結晶の方位、状態、その他外的因子に影響される変形や破断(破壊)が発生すると考えられ、この変形や破断は、上述した張力線の内側の領域とは異なり、想定外の位置及び方向に発生する可能性があり、コントロールすることが困難と考えられる。
本実施の形態では、第1連結部131(第2連結部132についても同様)の外側端縁131cが、平面視で、上記張力線に対応する直線L2に沿って設けられているので、折り取りのために破断が必要な箇所、具体的には、パッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の角部12eと接続部12fとの間の箇所を全て張力線(直線L2)の内側の領域に含ませることができる。これにより、折り取りのために必要な箇所に限って破断を発生させることができ、パッケージ12の外観不良の発生を抑制することができる。
上記実施の形態では、水晶振動デバイスを水晶振動子としたが、水晶振動子以外の水晶振動デバイス(例えば水晶発振器)にも本発明を適用することが可能である。
また、上記実施形態では、第1、第2連結部131,132をパッケージ12(水晶振動板2、第1封止部材3、第2封止部材4)の長辺12a側に設けたが、パッケージ12の短辺側に第1、第2連結部を設ける構成としてもよい。
本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。