JP2017152268A - 電池用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はリチウムイオン二次電池が電気自動車など、過酷な使用環境となる用途に広く展開されることを想定し、その安全性をよりいっそう高めるために、従来、両立が困難であった電極接着性と低熱収縮性を両立させ、且つ、イオン透過性、ピン抜け性の優れた電池用セパレータの提供を目指したものである。【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に多孔質層を積層した電池用セパレータであって、多孔質層はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子を含み、フッ素系樹脂の結晶化度が36%以上、70%未満であるとともに、フッ素系樹脂が重量平均分子量0.9×106〜1.5×106のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であり、無機粒子の含有量はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子の合計に対して40体積%以上、75体積%未満である電池用セパレータ。【選択図】なし

Description

本発明はポリオレフィン微多孔膜と多孔質層とを有する積層微多孔膜であり、この積層微多孔膜を用いた耐熱性とピン抜け性に優れた電池用セパレータに関する。
電池用セパレータは電池特性、電池生産性及び電池安全性に深く関わっており、機械的特性、耐熱性、透過性、寸法安定性、孔閉塞特性、溶融破膜特性などが要求される。近年では、さらに電池サイクル特性向上の観点から電極材料との接着性の向上、生産性向上の観点から電解液浸透性の向上などが電池用セパレータには要求されている。そのため、電池用セパレータとして一般に用いられているポリオレフィン微多孔膜に多孔質層を積層することで電池用セパレータとしての機能を向上させることが検討されている。
多孔質層としては耐熱性や電解液浸透性を併せ持つポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、電極接着性に優れたフッ素系樹脂などが好適に用いられている。
フッ素系樹脂は電極接着性に優れる樹脂である。フッ素系樹脂からなる多孔質層は前記ポリアミドイミド樹脂などを用いた場合と比べ熱収縮率が大きく、リチウムイオン電池に組み入れた際、耐熱性に劣る。耐熱性を改良するためにフッ素系樹脂に無機粒子や有機粒子を添加する方法も提案されているが、粒子添加により電極接着性が低下する。すなわち、電極接着性と耐熱性を両立させるのは極めて困難であった。
また、巻回型電池は帯状の正極、帯状の負極及びセパレータをピンの周囲に巻回した後、渦巻状の電極巻回体からピンを抜く工程を経て製造される。電極巻回体を製造する際にピンとセパレータとが直接接触するためセパレータには良好なピン抜け性が求められる。ピン抜け性が悪い場合、ピンと接触しているセパレータがピン抜き時にピンに引きずられてしまい、電極巻回体の内周部がタケノコ状に突出し、電極巻回体の正負極間の絶縁構造が失われてしまうなどの問題が生じる。セパレータのピン抜け性を改善するため、セパレータの静摩擦係数あるいは動摩擦係数を特定の値以下とすることが提案されている。
特許文献1の実施例では、ポリエチレンセパレータ膜上に無機物粒子とポリビニリデンフルオライドを含む共重合体からなるバインダーとの混合物(無機物粒子/バインダー=90/10(重量%))のアセトン溶液を塗布して得られる、熱的安定性と優れたイオン透過性を有する有無機複合多孔性セパレータ膜が開示されている。
特許文献2では多孔質基材の少なくとも一方の面に形成された、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなり、結晶化度が20〜35%の接着性多孔質層が積層された非水系二次電池用セパレータが開示されており、実施例では、ポリエチレン微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂のジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール混合溶媒溶液を塗布し、凝固液浸漬することで固化させ、次いで水洗、乾燥することによって、接着性多孔質層を積層した、イオン透過性と電極との接着性を両立させた非水系二次電池用セパレータを得ている。
特許文献3では樹脂多孔質膜表面に耐熱性微粒子を70体積%以上含有する耐熱多孔質層を形成させた非水電解質電池用セパレータが開示されており、具体的に実施例1ではポリエチレン製多孔質膜にPVdFのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(固形分比率15質量%):600gと、NMP:1000gとの溶解液にアルミナ粉末:3000gを加えた混合溶液を塗布し、乾燥させることによって高温時の寸法安定性に優れた非水電解質電池用セパレータを得ている。
特許文献4の実施例ではポリエチレン多孔性膜上に無機物粒子、ポリフッ化ビニリデン系共重合体からなるバインダー及びアセトンの混合物を含むスラリーと前記バインダーとアセトンのみからなるスラリーを塗布し、同時に乾燥させることによって、多孔性有機無機複合内部層と多孔性高分子外郭層の2層を積層した電極に対する接着性が良好なセパレータを開示している。
特許文献5では、ピンと、ピンとが接触するセパレータとの滑り性を良好とするため、ピンと接触するセパレータ表面層の静摩擦係数を低くすることが開示されており、特許文献6では、セパレータ表面層の動摩擦係数を低くすることが開示されている。
特許文献1〜4に開示されているセパレータはいずれもポリオレフィン系多孔質膜に電極との接着性機能を有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層、またはポリフッ化ビニリデン系樹脂と耐熱性微粒子を含む多孔質層を積層した電池用セパレータである。一般に、電極との接着性を向上させるにはポリフッ化ビニリデン系樹脂などの接着性機能を有する樹脂の比率を高くする。接着性の観点から考えれば、前記樹脂のみからなる多孔質層が理想である。しかしながら、一方で、熱収縮を抑制する効果が低下し、電池に組み込んだ際に安全性が確保できない場合がある。熱収縮率を抑制するため、耐熱性微粒子を添加し、その比率を高くすれば抑制する効果は大きくなると考えられるが、電極との接着性が低下する。すなわち、単にポリフッ化ビニリデン系樹脂と耐熱性微粒子との比率を調整したのみでは接着性と熱収縮を抑制する効果を十分に満足できないのが実情である。さらに、非水二次電池の高性能化に伴い、セパレータには高いイオン透過性が求められる。しかしながら、ポリオレフィン系多孔質膜に多孔質層を積層することによるイオン透過性の悪化は避けられない。透気抵抗度の小さい(換言すれば開孔率の大きい)ポリオレフィン系多孔質膜を用いて多孔質層を積層する方法もあるが、開孔率の大きいポリオレフィン系多孔質膜は機械的強度が低く、今後、急速に進むであろう低コスト化、高容量化に伴う、高速加工化、セパレータの薄膜化の要求に対して、適当な手段とは言えない。
すなわち、電極に対する接着性と熱収縮率の抑制(低熱収縮性)とを両立させ、多孔質層を積層による透気抵抗度の上昇幅を小さく抑え、さらに良好なピン抜け性を有する電池用セパレータは存在しなかった。
特表2008−524824号公報 特許第4988973号公報 特開2008−123996号公報 特表2013−506259号公報 特開2011−126275号公報 特開2014−12857号公報
本発明者らは電池、特にリチウムイオン二次電池が電気自動車など、過酷な使用環境となる用途に広く展開されることを想定し、その安全性をよりいっそう高めるために両立が困難であった電極接着性と低熱収縮性を両立させ、且つ、イオン透過性、ピン抜け性の優れた電池用セパレータの提供を目指したものである。
本発明はポリオレフィン微多孔膜に多孔質層を積層した積層微多孔膜であるが、多孔質層におけるフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子の比率を最適化し、フッ素系樹脂の結晶化度を特殊な制御技術をもって制御したものである。これにより本発明の積層微多孔膜を用いた電池用セパレータは電極接着性、低熱収縮性、イオン透過性、ピン抜け性を満足させることができる。
上記課題を解決するために本発明の電池用セパレータは以下の構成を有する。
すなわち、
(1)ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に多孔質層を積層した電池用セパレータであって、多孔質層はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子とを含み、フッ素系樹脂が結晶化度36%以上、70%未満であるとともに、重量平均分子量0.9×10〜1.5×10のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であり、無機粒子の含有量はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子の合計に対して40体積%以上、75体積%未満である電池用セパレータ、である。
(2)本発明の電池用セパレータは、架橋高分子粒子の平均粒径が1〜5μmであり、無機粒子の平均粒径より大きいことが好ましい。
(3)本発明の電池用セパレータは、架橋高分子粒子の含有量がフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子の合計に対して1体積%以上、10体積%以下であることが好ましい。
(4)本発明の電池用セパレータは、架橋高分子粒子が架橋ポリスチレン粒子及び/又は架橋アクリル系樹脂粒子であることが好ましい。
(5)本発明の電池用セパレータは、架橋アクリル系樹脂粒子が架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子であることが好ましい。
(6)本発明の電池用セパレータは、架橋高分子粒子が球状であることが好ましい。
(7)本発明の電池用セパレータは、無機粒子が二酸化チタン、アルミナ、ベーマイトからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
(8)本発明の電池用セパレータは、式(1)を満足する電池用セパレータ。
20≦Y−X≦100・・・・・式(1)
Xはポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度(sec/100ccAir)
Yは電池用セパレータの透気抵抗度(sec/100ccAir)であることが好ましい。
(9)本発明の電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔膜の厚さが25μm以下であることが好ましい。
(10)本発明の電池用セパレータは、リチウムイオン二次電池用セパレータとして用いることが好ましい。
本発明によれば、電極接着性と低熱収縮性を両立させ、且つイオン透過性、ピン抜け性の優れた電池用セパレータが得られる。
本発明のポリオレフィン微多孔膜と多孔質層とを有する積層微多孔膜、及び積層微多孔膜を用いた電池用セパレータについて概要を説明するが、当然この代表例に限定されるものではない。
1.ポリオレフィン微多孔膜
まず、本発明のポリオレフィン微多孔膜について説明する。
ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィン樹脂は、単一物からなるポリオレフィンや、2種以上のポリオレフィンの混合物であってもよいし、異なるオレフィンの共重合体でもよい。ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレンが好ましいが、孔閉塞性能の観点から、ポリエチレンがより好ましい。上記樹脂により形成されるポリオレフィン微多孔膜は電気絶縁性、イオン透過性などの基本特性に加え、電池異常昇温時に電流を遮断し、過度の昇温を抑制する孔閉塞効果を具備する。
ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどが挙げられ、エチレンの単独重合体であってもよいし、エチレン以外のα−オレフィンを少量含有する共重合体であってもよい。エチレン以外のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル、スチレン等が好適である。これらポリエチレンの調製に用いる重合触媒には特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。
ポリエチレンは単一物でもよいが、2種以上のポリエチレンからなる混合物であることが好ましい。ポリエチレン混合物としては重量平均分子量(Mw)の異なる2種類以上の超高分子量ポリエチレンの混合物や、同様に高密度ポリエチレンの混合物、中密度ポリエチレンの混合物や低密度ポリエチレンの混合物を用いてもよい。また、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンからなる群から選ばれた2種以上ポリエチレンの混合物を用いてもよい。なかでも、Mwが5×10以上の超高分子量ポリエチレンと、Mwが1×10以上〜5×10未満のポリエチレンとからなる混合物が好ましい。
超高分子量ポリエチレンの重量平均分子量は5×10〜1.5×10が好ましく、より好ましくは1×10〜1×10、さらに好ましくは1×10〜5×10である。重量平均分子量が1×10以上〜5×10未満のポリエチレンとして、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、Mwが異なる2種以上のポリエチレンの混合物や、密度が異なる2種以上のポリエチレンの混合物のいずれも使用することが出来る。特に、高密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
超高分子量ポリエチレンの含有量の上限は、ポリオレフィン樹脂の総量に対して40重量%が好ましく、より好ましくは30重量%、さらに好ましくは10重量%であり、下限は1重量%が好ましく、より好ましくは2重量%、さらに好ましくは5重量%である。超高分子量ポリエチレンの含有量が上記好ましい範囲内であるとポリオレフィン微多孔膜の厚さを薄膜化させた場合であっても、十分な引っ張り強度が得られる。なお、引っ張り強度は100MPa以上が好ましい。上限は特に定めない。
ポリオレフィン樹脂の融点(軟化点)は、異常反応時における孔閉塞機能の観点から、70〜150℃が好ましく、より好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは100〜130℃である。
ポリオレフィン微多孔膜は上記の各種特徴を満足する範囲内ならば目的に応じた製造方法を自由に選択することができる。製造方法としては、発泡法、相分離法、溶解再結晶法、延伸開孔法、粉末焼結法などがあり、これらの中では微細孔の均一化、コストの点で相分離法が好ましい。
相分離法による製造方法としては、例えば、ポリオレフィン樹脂と成形用溶剤とを加熱溶融混練し、得られた溶融混合物をダイより押出し、冷却することによりゲル状成形物を形成し、得られたゲル状成形物を少なくとも一軸方向に延伸し、成形用溶剤を除去することによってポリオレフィン微多孔膜を得る方法が挙げられる。
ポリオレフィン微多孔膜は、単層膜であってもよいし、二層以上からなる多層膜であってもよい。多層膜の各層はポリエチレンからなる層、ポリプロピレンからなる層、ポリエチレンとポリプロピレンからなる層や、ポリオレフィンの分子量や平均孔径の異なる層などが挙げられる。積層膜の場合、少なくとも一つの最外層のポリエチレンが前記ポリエチレンの分子量、および分子量分布が前記を満足することが好ましい。
二層以上からなる多層膜の製造方法としては、例えばa層及びb層を構成するポリオレフィンのそれぞれを成形用溶剤と溶融混練し、得られた溶融混合物をそれぞれの押出機から1つのダイに供給し各成分を構成するゲルシートを一体化させて共押出する方法や、各層を構成するゲルシートを重ね合わせて熱融着する方法のいずれでも作製できる。共押出法の方が、高い層間接着強度を得やすく、層間に連通孔を形成しやすいために高い透過性を維持しやすく、生産性にも優れているためにより好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜の厚さの上限は25μmが好ましく、より好ましくは20μm、さらに好ましくは16μmであり、下限は3μmが好ましく、より好ましくは5μmである。ポリオレフィン微多孔膜の厚さが上記好ましい範囲内であると、実用的な膜強度と孔閉塞機能を保有させることができ、電池ケースの単位容積当たりの面積が制約されず、今後、進むであろう電池の高容量化に適する。
ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度の上限は500sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは400sec/100ccAirであり、下限は50sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは70sec/100ccAir、さらに好ましくは100sec/100ccAirである。
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率の上限は70%が好ましく、より好ましくは60%、さらに好ましくは55%であり、下限は30%が好ましく、より好ましくは35%、さらに好ましくは40%である。
ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度および空孔率が上記好ましい範囲内であると、ポリオレフィン微多孔膜を電池用セパレータとして用いた場合、電池の充放電特性を発揮できる。また、機械的強度と絶縁性を得たポリオレフィン微多孔膜を用いた電池は充放電時に短絡が起こる可能性が低くなる。
ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径は、孔閉塞性能の観点から、0.01〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.07〜0.2μmである。ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径が上記好ましい範囲内であると、多孔質層を構成する樹脂がポリオレフィン微多孔膜の細孔に入り込みやすく、これによりアンカー効果が得られポリオレフィン微多孔膜と多孔質層との間で適度な剥離強度が得られる。一方で、樹脂の入り込みによる透気抵抗度の大幅な悪化を抑えることができる。また、ポリオレフィン微多孔膜の孔閉塞温度におけるシャットダウン応答が緩慢になることもなく、孔閉塞温度が高温側にシフトすることもない。
2.多孔質層
次に、多孔質層について説明する。
本発明における多孔質層はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子を含有し、多孔質層におけるフッ素系樹脂の結晶化度は36%以上、70%未満である。フッ素系樹脂の結晶化度の下限は40%以上が好ましく、より好ましくは45%以上であり、結晶化度の上限は65%以下が好ましく、より好ましくは60%以下である。フッ素系樹脂の結晶化度が上記好ましい範囲内であると、優れた耐熱性、電極接着性が得られ、搬送中における無機粒子や架橋高分子粒子の脱落も抑制することができる。
本発明に用いるフッ素系樹脂は、電極接着性、耐熱性、電解液浸透性を向上させるものであれば特に制限されない。耐熱性および電極接着性の観点から、フッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデン/フッ化オレフィン共重合体、フッ化ビニル単独重合体及びフッ化ビニル/フッ化オレフィン共重合体からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。特に好ましいものはポリフッ化ビニリデン又はフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンで共重合体である。これらの重合体は電極接着性を有し、非水電解液とも親和性が高く、非水電解液に対する化学的、物理的な安定性が高いため、高温下での使用にも電解液との親和性を十分維持できる。
フッ素系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、結晶化度を制御する上で重要な因子である。フッ素系樹脂の重量平均分子量の下限は0.9×10が好ましく、より好ましくは1.0×10、さらに好ましくは1.1×10であり、上限は2.0×10が好ましく、より好ましくは1.5×10、さらに好ましくは1.4×10である。フッ素系樹脂の重量平均分子量が上記好ましい範囲内であるとフッ素系樹脂の結晶化度を上記好ましい範囲内にしやすくなる。フッ素系樹脂は市販されている樹脂を用いることができる。例えば、KFポリマーW#7300やKFポリマーW#9300(呉羽化学工業(株)製)等が挙げられる。
無機粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ、ベーマイトなどが挙げられる。特に、フッソ系樹脂の結晶成長性、コスト、入手のしやすさから二酸化チタン、アルミナ、ベーマイトからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好適である。無機粒子の形状は真球形状、略球形状、板状が挙げられるが特に限定されない。
無機粒子の含有量の下限は、フッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子との合計に対して、40体積%以上が好ましく、より好ましくは45体積%以上、さらに好ましく50体積%以上であり、上限は75体積%未満が好ましく、より好ましくは70体積%以下である。
無機粒子の平均粒径は、ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径の1.5倍以上、50倍以下であることが好ましい。より好ましくは2.0倍以上、20倍以下である。無機粒子の平均粒径が上記好ましい範囲内であると、フッ素系樹脂と無機粒子が混在した状態でポリオレフィン微多孔膜の細孔を塞ぐことなく透気抵抗度を維持し、さらに電池組み立て工程において前記粒子が脱落し、電池の重大な欠陥を招くのを防ぐ。
架橋高分子粒子としては、塗工液に用いる溶媒および非水電解液に対する溶解性が低いものであれば特に限定されない。架橋高分子粒子は、好ましくは架橋ポリスチレン粒子及び/又は架橋アクリル系樹脂粒子が挙げられる。特に、架橋メタクリル酸メチル(PMMA)粒子はフッ素系樹脂溶液中で均一に分散しやすく好適である。
架橋高分子粒子は球状であることが好ましい。球状であることによって、帯状の正極、帯状の負極及びセパレータをピンの周囲に巻回した後、渦巻状の電極巻回体からピンを抜く工程において、電極巻回体の内周部がタケノコ状に突出すことなくピンを抜くことが容易となりやすい。
架橋高分子粒子の平均粒径の上限は5μmが好ましく、より好ましくは4μmであり、下限は1μmが好ましく、より好ましくは1.5μmである。なお、架橋高分子粒子の平均粒径は無機粒子の平均粒径より大きくすることが良好なピン抜け性を得る上で好ましい。架橋高分子粒子の平均粒径が上記好ましい範囲内であれば十分な多孔質層表面に適度な突起を形成することができ、優れたピン抜け性が得られ、架橋高分子粒子が搬送中に脱落することも抑制できる。
架橋高分子粒子の含有量の下限はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子との総体積に対して、1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましく3体積%以上であり、上限は10体積%以下が好ましく、より好ましくは9体積%以下、さらに好ましくは8体積%以下である。架橋高分子粒子の含有量を上記好ましい範囲内であると、電極接着性、耐熱性、ピン抜け性、透気抵抗度の上昇幅抑制の良好なバランスが得られやすい。
多孔質層の膜厚は1〜5μmが好ましく、より好ましくは1〜4μm、さらに好ましくは1〜3μmである。膜厚が1μm以上であれば、電極に対する接着性が確保され、ポリオレフィン微多孔膜が融点以上で溶融収縮することを防ぎ、破膜強度と絶縁性を確保できる。膜厚が5μm以下であれば、巻き嵩を抑えることができ、今後、進むであろう電池の高容量化に適している。さらに、カールが大きくなるのを防ぎ、電池組み立て工程での生産性の向上に繋がる。また、ポリオレフィン微多孔膜の占める割合を最適化することで十分な孔閉塞機能が得られ異常反応を抑制できる。
多孔質層の空孔率は30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜70%である。所望の空孔率にするには、無機粒子の濃度、バインダー濃度などを適宜調整することにより得られる。多孔質層の空孔率が上記好ましい範囲であると多孔質層を積層して得られた積層微多孔膜は膜の電気抵抗が低く、大電流が流れやすく、また膜強度が維持される。
3.積層微多孔膜
ポリオレフィン微多孔膜に多孔質層を積層する方法について説明する。
フッ素系樹脂を可溶であり、水と混和する溶剤とフッ素系樹脂とのフッ素系樹脂溶液と、無機粒子と、架橋高分子粒子とを有する塗工液をポリオレフィン微多孔膜に湿式塗布法を用いて塗布し、続いてこれを特定の湿潤環境下に置き、フッ素系樹脂と溶剤とを相分離させ、水浴(凝固浴)に投入してフッ素系樹脂を凝固させることによって多孔質層は得られる。
フッ素系樹脂を可溶であり、かつ、水と混和する溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、リン酸ヘキサメチルトリアミド(HMPA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、3−クロロナフタレン、パラクロロフェノール、テトラリン、アセトニトリルなどが挙げられ、フッ素系樹脂の溶解性に応じて自由に選択できる。
塗工液を塗布する方法としては、例えば、ディップ・コート法、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、マイヤーバーコート法、パイプドクター法、ブレードコート法およびダイコート法などが挙げられ、これらの方法は単独であるいは組み合わせて行うことができる。塗工液は塗工時まで極力外気に触れないように密閉保管することが好ましい。
本発明において、多孔質層におけるフッ素系樹脂の結晶化度を36%以上、70%未満とするには前記フッ素系樹脂を用いるだけではなく、塗布後に特定の湿潤環境下に一定時間置き、相分離させながら無機粒子を核として結晶化を促進させることが重要である。本明細書でいう湿潤環境下とは単に湿度が高い環境下という意味ではなく、微粒化した水滴が充満したゾーン(以下、湿潤ゾーンと略記する場合がある。)を通過させることをいう。
微粒化した水滴の粒径は50〜500μmが好ましい。水滴の粒径は公知のレーザー法によって求めることができる。また、微粒化した水滴が充満した状態とは30cmの間隔をおいて幅1cm、内径5cmの黒色リングが視認できない状態をいう。微粒化した水滴は気液混合方式の2流体ノズルから圧搾空気と水を供給することによって得ることができる。水の供給量は湿潤ゾーン容積にもよるが1m当たりおよそ2〜5L/hrの供給で前記充満状態を作ることができる。
湿潤ゾーンの通過時間は1秒以上、好ましくは2秒以上、より好ましくは3秒以上である。上限は特に定めないが10秒もあれば十分である。湿潤ゾーンの通過後から凝固槽入り口までの通過時間は0.5秒以上10秒以下が好ましい。上記好ましい範囲内であると塗膜表面のみならず塗膜の深部にまで結晶化度を高めることができる。なお、2流体ノズルから噴霧される気流は直接、塗工面にあたらないように配置するのが好ましい。気流が直接、塗工面にあたると透気抵抗度の上昇幅が大きくなる場合があるためである。
凝固浴内ではフッ素系樹脂が凝固し、フッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子とが空隙を有する立体構造を形成する。凝固浴内での浸漬時間は3秒以上とすることが好ましい。3秒未満では、十分に樹脂成分の凝固が行われない場合がある。上限は制限されないが、10秒もあれば十分である。
フッ素系樹脂に対する良溶媒を1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%含有する水溶液(凝固浴)に浸漬した後の未洗浄の微多孔膜を浸漬させ、その後、純水に浸漬させることで溶剤を除去する洗浄工程、100℃以下の熱風による乾燥工程を経て、積層微多孔膜を得ることができる。
溶剤を除去するための洗浄工程は、加温、超音波照射やバブリングといった一般的な手法を用いることができる。各浴槽内の濃度を一定に保ち、さらに洗浄効率を上げるために、空気または不活性ガスで多孔質層内部の溶液を押し出す手法、ガイドロールによって物理的に膜内部の溶液を絞り出す手法などを用いることが挙げられる。
本発明の積層微多孔膜は電池用セパレータとして用いるのが好ましい。ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、銀−亜鉛電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池などの電池用セパレータとして用いることができるが、特にリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。
積層微多孔膜の電極接着性は200mN/10mm以上が好ましく、より好ましくは250mN/10mm以上、さらに好ましくは300mN/10mm以上である。積層微多孔膜の熱収縮性は、130℃における収縮率が15%以下が好ましく、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは12%以下である。積層微多孔膜の電極接着性と熱収縮性が上記好ましい範囲内であれば電池に組み込んだときに安全性を保ちやすい。
積層微多孔膜の膜厚の上限は30μmが好ましく、より好ましくは25μmであり、下限は5μmが好ましく、より好ましくは7μmである。積層微多孔膜の膜厚が上記好ましい範囲内であると十分な機械強度と絶縁性を確保できる。また、電池内に充填できる電極面積を確保できるため容量の低下を回避することができる。
積層微多孔膜の透気抵抗度は、もっとも重要な特性のひとつであり、好ましくは50〜600sec/100ccAir、より好ましくは100〜500sec/100ccAir、さらに好ましくは100〜400sec/100ccAirである。所望の透気抵抗度にするには、多孔質層の空孔率を調整し、バインダーのポリオレフィン微多孔膜への浸み込み程度を調整することにより得られる。積層微多孔膜の透気抵抗度が上記好ましい範囲内であると、十分な絶縁性が得られ、異物詰まり、短絡および破膜を防ぐ。また、膜抵抗を抑えることで実使用可能な範囲の充放電特性、寿命特性が得られる。
透気抵抗度の上昇幅(ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度と、積層微多孔膜の透気抵抗度との差)は、ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度をX(sec/100ccAir)、積層微多孔膜の透気抵抗度Y(sec/100ccAir)とすると、20sec/100ccAir≦Y−X≦100sec/100ccAirが好ましく、より好ましくは20sec/100ccAir≦Y−X≦80sec/100ccAir、さらに好ましくは20sec/100ccAir≦Y−X≦50sec/100ccAirである。透気抵抗度の上昇幅が上記好ましい範囲内であれば十分な接着性と良好なイオン透過性が得られる。
以下、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法で測定した値である。
1.電極接着性(剥離強度)
次のようにして正極を作製した。リチウム含有複合酸化物であるLiCoMgO(正極活物質)94質量部に、導電助剤としてカーボンブラック3質量部を加えて混合し、この混合物に重量平均分子量が28万のポリフッ化ビニリデン(KFポリマーW#1100(呉羽化学工業(株)製)を3質量部含むNMP溶液を加えて混合して正極合剤含有スラリーとした。この正極合剤含有スラリーを、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗付して乾燥し、その後、ロールプレス機により圧縮成形して総厚さを100μmにし、正極を作製した。
正極および積層微多孔膜をそれぞれ2cm×20cmの大きさに切り出した。次いで積層微多孔膜の多孔質層面にプロピレンカーボネートを十分染みこませ、正極の活物質面と積層微多孔膜の多孔質層面を合わせ、貼り合わせ面の温度を100℃に保持しながら1MPaの圧力で6分間プレスした。
その後、23℃、50%RH条件下で引張り試験機((株)エー・アンド・デイ製「テンシロンRTM−100」)を用いて、ピール法(剥離速度100mm/分、180°剥離)にて正極と積層微多孔膜の剥離強度を測定した。測定開始から測定終了までの100mmの間において、経時的に測定し、測定値の平均値を算出し、幅10mm当たりの値に換算して剥離強度とした。なお、前記剥離界面において、ポリオレフィン微多孔膜側に多孔質層の一部が残存する場合があるが、この場合も正極と積層微多孔膜の剥離強度として算出した。
2.結晶化度
実施例及び比較例で得た積層微多孔膜の多孔質層を片刃のカミソリ刃でかき取り、Si無反射板上にコロジオン-エタノール溶液で固定した。このサンプルを微小部X線回折法で測定した。測定条件を以下に示す。
微小部X線回折法
X線源 CuKα線
出 力 50kV、22mA
スリット系 1.0mm ピンホール
検出器 2次元PSPC
カメラ長 約15cm
測定範囲中心 2θ=25°
積算時間 30分/1フレーム
3.透気抵抗度
テスター産業(株)製のガーレー式デンソメーターB型を使用して、積層微多孔膜をクランピングプレートとアダプタープレートの間にシワが入らないように固定し、JIS P8117に従って任意の5点を測定し、その平均値を透気抵抗度[sec/100ccAir]として用いた。
透気抵抗度の上昇幅は次式より求めた。
透気抵抗度の上昇幅 Y−X
Xは微多孔膜の透気抵抗度(sec/100ccAir)
Yは積層微多孔膜の透気抵抗度(sec/100ccAir)
4.熱収縮率
ポリオレフィン微多孔膜及び積層微多孔膜の耐熱性は、試料(10cm×10cm)を130℃のオーブンで60分間フリーで保管したときのMDとTDの初期寸法に対する変化率の平均値から求めた。
5.膜厚
接触式膜厚計((株)ミツトヨ製“ライトマチック”(登録商標)series318)を使用して20点の測定値を平均することによって求めた。超硬球面測定子φ9.5mmを用い、加重0.01Nの条件で測定した。
6.ピン抜け性
直径4.0mmの円柱形状ピンを用いた方法によりピン抜け性を評価した。まず、幅40mmのセパレータを、200gの引張荷重(セパレータ幅あたり5g/mm)をかけて、直径4.0mmの円柱形状ピンの周囲に5周巻き付けた。この巻回されたセパレータから円柱状ピンを引き抜き、ピン抜け性を評価した。ピン抜け性の評価は、タケノコ状の突出量が1mm未満を良好、1mm以上を不良と判断した。
7.無機粒子と架橋高分子粒子の平均粒径測定
粒度分布測定装置 Multisizer3 (ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
8.粒子の脱落性
底面積5.5cm×6cmからなる取っ手の付いた重り(1143g)の底面に、多孔質層を外側としてシワなく平らになるように積層微多孔膜を固定した。これを画用紙(大王製紙株式会社製、C−55、くろ)上で20cm分1往復させた後、多孔質層の脱落物の画用紙への付着の有無を目視で確認した。
良好:多孔質層の脱落物が画用紙への付着が確認できない。
不良:多孔質層の脱落物が画用紙への付着が白点となり確認できる。
実施例1
(塗工液の調整)
フッ素系樹脂としてポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(VdF/HFP=92/8(重量比)、重量平均分子量が100万)、と、無機粒子としてアルミナ粒子(平均粒径0.5μm)と、架橋高分子粒子として球状架橋PMMA粒子(東洋紡績(株)製、タフチック(登録商標)F−200、平均粒径3μm)との配合比は体積比で24/70/6となるように塗工液を調合した。
まず、フッ素系樹脂をN−メチル−2−ピロリドンに完全に溶解させたのちアルミナ粒子を添加し、これを酸化ジルコニウムビーズ(東レ(株)製、“トレセラム”(登録商標)ビーズ、直径0.5mm)と共にポリプロピレン製の容器に入れ、ペイントシェーカー((株)東洋精機製作所製)で6時間分散させ後、濾過限界5μmのフィルターで濾過した。次いで、この混合液に球状架橋PMMA粒子を添加し、プロペラ式攪拌機を用いて均一になるように分散させ、塗工液を調合した。得られた塗工液はN−メチル−2−ピロリドンに対する固形分濃度は17重量%であった。
(多孔質層の積層)
浸漬コート法にてポリエチレン微多孔膜(厚さ9μm、透気抵抗度400sec/100ccAir)の両面に塗工液を均等に塗布し、引き続き温度25℃、微粒化した水滴が充満した湿潤ゾーン中に2秒間通過させ、連続して0.5秒後に水溶液中(凝固槽)に3秒間進入させ、純水で洗浄した後、70℃の熱風乾燥炉を通過させることで乾燥して最終厚み13μmの電池用セパレータを得た。
実施例2
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で47/48/5とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例3
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で51/44/5とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例4
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で19/75/6とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例5
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で25/74/1とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例6
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で24/68/8とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例7
架橋高分子粒子として球状架橋PMMA粒子(積水化成工業(株)製、テクポリマー(登録商標)SSX−101、平均粒径1μm)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例8
フッ素系樹脂としてPVdF(呉羽化学工業(株)製、KFポリマーW#7300、重量平均分子量100万を超える)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例9
フッ素系樹としてポリフッ化ビニリデンの変性ポリマーであるKFポリマーW#9300(呉羽化学工業(株)製、重量平均分子量100万を超える)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例10
ポリオレフィン微多孔膜としてポリエチレン微多孔膜(厚さ12μm、透気抵抗度450sec/100ccAir)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例11
ポリオレフィン微多孔膜としてポリエチレン微多孔膜(厚さ5μm、透気抵抗度380sec/100ccAir)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例12
湿潤ゾーンの通過時間を1.5秒とし、湿潤ゾーン出口から凝固槽入り口までの通過時間を0.4秒とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例13
湿潤ゾーンの通過時間を3.0秒とし、湿潤ゾーン出口から凝固槽入り口までの通過時間を0.8秒とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
実施例14
ポリオレフィン微多孔膜として、表層にポリエチレンからなる微多孔膜と、内層にポリエチレンとポリプロピレンからなる微多孔膜とを有する3層構造の積層ポリオレフィン微多孔膜(厚さ10μm、層厚比(35/30/35)、透気抵抗度200sec/100ccAir)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。積層ポリオレフィン微多孔膜の内層はポリエチレンとポリプロピレンとを重量比で1:1とした。
比較例1
湿潤ゾーンを通過させず直接凝固槽に投入させた以外は実施例2と同様にして電池用セパレータを得た。
比較例2
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で12/82/6とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
比較例3
フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で58/38/4とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
比較例4
架橋高分子粒子を添加せず、フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で25/75/0とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
比較例5
フッ素系樹脂として、PVdF(Solvay社製、Solef1015、重量平均分子量57万)を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
比較例6
フッ素系樹脂として、PVdF(呉羽化学工業(株)製、KFポリマーW#1100、重量平均分子量28万、を用いた以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
比較例7
無機粒子を添加せず、フッ素系樹脂/無機粒子/架橋高分子粒子の配合比を体積比で95/0/5とした以外は実施例1と同様にして電池用セパレータを得た。
表1は実施例1〜13、比較例1〜7での電池用セパレータの製造条件を示す。表2はポリオレフィン微多孔膜及び電池用セパレータの特性を示す。
なお、実施例1〜13の電池用セパレータは粒子の脱落性が良好であった。
Figure 2017152268
Figure 2017152268

Claims (10)

  1. ポリオレフィン微多孔膜の少なくとも片面に多孔質層を積層した電池用セパレータであって、多孔質層はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子を含み、フッ素系樹脂が結晶化度36%以上、70%未満であるとともに、重量平均分子量0.9×10〜1.5×10のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であり、無機粒子の含有量はフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子の合計に対して40体積%以上、75体積%未満である電池用セパレータ。
  2. 架橋高分子粒子の平均粒径が1〜5μmであり、無機粒子の平均粒径より大きい請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 架橋高分子粒子の含有量がフッ素系樹脂と無機粒子と架橋高分子粒子の合計に対して1体積%以上、10体積%以下である請求項1又は2に記載の電池用セパレータ。
  4. 架橋高分子粒子が架橋ポリスチレン粒子及び/又は架橋アクリル系樹脂粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  5. 架橋アクリル系樹脂粒子が架橋ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子である請求項4に記載の電池用セパレータ。
  6. 架橋高分子粒子が球状である請求項1〜5のいずれかに記載の電池用セパレータ
  7. 無機粒子が二酸化チタン、アルミナ、ベーマイトからなる群から選ばれる1種以上を含む請求項1〜6のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  8. 式(1)を満足する請求項1〜7のいずれかに記載の電池用セパレータ。
    20≦Y−X≦100・・・・・式(1)
    Xはポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度(sec/100ccAir)
    Yは電池用セパレータの透気抵抗度(sec/100ccAir)
  9. ポリオレフィン微多孔膜の厚さが25μm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  10. リチウムイオン二次電池用セパレータとして用いる請求項1〜9のいずれかに記載の電池用セパレータ。
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