JP2020042897A - セパレータ - Google Patents
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Abstract
Description
h(0)=Pd(0)/d×100
ここに、
Pd(0):1mN/分の負荷速度で30秒間圧入し0.5mNの圧力に達したときの押込み深さ。
d:セパレータの初期厚み。
Δh=h(60)−h(0)
ここに、
h(60):1mN/分の負荷速度で30秒間圧入し0.5mNの圧力に達した後、60秒間0.5mNで保持したときの押込み深さの、初期厚みに対する押込み深さ率。
なお、「押込み深さ」という用語は、「押込み変位」と同じ意味である。また「押込み深さ率」という用語は、「押込み率」、「押込み変位率」と同じ意味である。
多孔性フィルムは、三次元的に不規則に連結した網目構造を有する多孔質のフィルムであり、多孔性フィルムを構成する要素の一つである。多孔性フィルムとしては膜や不織布等を挙げることができ、特にその種類を限定しないが、ポリオレフィン樹脂からなる多孔性フィルムが好ましく例示される。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びポリペンテン等が挙げられる。
本発明のセパレータは、多孔層を有していてもよい。多孔層は、上記多孔性フィルムの少なくとも一面に形成された層であり、多孔性フィルムの片面のみに形成されてもよいし、両面に形成されてもよい。
多孔層は接着性樹脂を備えている。接着性樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリクロロエチレン共重合体、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアリーレート、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。これらの中でも、フッ素原子を含む樹脂、および/またはアクリル樹脂が好ましく、特にポリフッ化ビニリデン(PVDF)を好ましく挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
多孔層は、前記接着性樹脂に加え、フィラーを含んでもよい。フィラーとしては、無機粒子及び/又は有機粒子がより好ましい。無機粒子としては、特に限定するものではないが、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、非晶性シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカーアルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカ等が挙げることができる。また、必要に応じて耐熱性架橋高分子粒子を添加してもよい。耐熱性架橋高分子粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋メタクリル酸メチル粒子などが挙げられる。無機粒子の形状は、真球形状、略球形状、板状、針状、多面体形状が挙げられるが、特に限定されない。
多孔層は、樹脂を含む塗工液を多孔性フィルムの表面に塗布して形成される。例えば、塗工液は、多孔層の形成に用いる樹脂を溶解することができ、かつ水と混和する溶媒で樹脂等を溶解又は分散して調製される。塗工液を多孔性フィルムの表面に塗布する方法としては、当業界に知られた通常のコーティング方法を挙げることができ、そのような方法の一例として、ディップコーティング法、ワイヤーバー法、グラビアコーティング法、キス法、ダイコーティング法、ロールコーティング法、コンマコーティングが挙げられる。
本発明でいう押込み深さ率h(0)は、後述する押込み試験で、セパレータに圧子を接触させ、負荷をかけ始めてから30秒後に0.5mNの負荷に達したときの圧子の押込み深さPd(0)を圧子を接触させる前のセパレータの初期厚さdで除した値である。本発明の押込み深さ率h(0)は、5以上20以下である。押込み深さ率h(0)が5より小さいと、正極材及び/又は負極材とセパレータとの間に脱落物、塵などといった微少な固形物や突起物が存在したとき、大きな空間ができて充放電が不均一になることでサイクル性が悪くなる場合がある。押込み深さ率h(0)が20より大きくなると、絶縁不良を生じる場合があり、二次電池の生産歩留まりが悪くなる。これは、正極材及び負極材とセパレータを巻回するときの巻取り応力やアルミラミネート袋に挿入して真空封緘するときの圧力、また真空封緘後のアルミラミネートされた電池セルの形を整えるための成形圧力などで、正極材及び/又は負極材とセパレータの間に介在した脱落物、塵などといった微少な固形物や突起物が、絶縁検査試験の電圧に耐えられない程度、セパレータに押し込まれることによって生じているものと考えられる。押込み深さ率h(0)が5以上20以下であることにより、たとえ正極材および、または負極材とセパレータの間に塵などといった微少な固形物や正極材や負極材の表面に突起物が存在したとしても、絶縁不良を生じることが無く、二次電池の生産歩留まりの低下を抑えることができるので好ましい。押込み深さ率h(0)は、好ましくは、5以上18以下である。
本発明でいうクリープ率Δhは、押込み試験で、セパレータに圧子を接触させて負荷をかけ始めてから30秒後に0.5mNの負荷に達した後、60秒間負荷を保持したときの押込み深さ、つまり圧子接触開始から90秒後の押込み深さPd(60)を圧子を接触させる前のセパレータの初期厚さdで除した押込み率h(60)と押込み深さ率h(0)との差であり、式2で示される値である。
式2 Δh=h(60)−h(0)=Pd(60)/d−Pd(0)/d 。
本発明は、押込み深さ率h(0)及びクリープ率Δhを所定の範囲内にするために、多孔質フィルムに熱アニール処理を行うことで調整できる。例えば、多孔質フィルムを加熱炉内に設置されたロールを介して走行させて養生する方法、多孔質フィルムをロール状に巻き取った状態で加熱炉内に保持する方法が挙げられる。加熱炉内に設置されたロールを介して走行させる熱アニール処理は、具体的には、加熱炉の温度、加熱炉の通過時間や搬送時のフィルム張力を、そのほかの物性を損なわない程度に行うことができる。アニール処理効果が十分に発揮されない場合がある。100度を超えると、多孔質フィルムが柔らかくなる場合があり、押込み深さ率h(0)やクリープ率Δhが大きくなったり、多孔質フィルムにたるみが発生してしわが発生する場合がある。加熱炉の温度は、40度から100度の範囲であると、押込み深さ率h(0)及びクリープ率Δhを所定の範囲内にすることができる。加熱炉の通過時間は、加熱炉の温度により適宜調整されるが、40秒から120秒の範囲が好ましい。40秒未満であると、熱処理の効果が十分に発揮されない場合がある。120秒より長いと、多孔質フィルムが柔らかくなる場合があり、押込み深さ率h(0)やクリープ率Δhが大きくなったり、多孔質フィルムにたるみが発生してしわが発生する場合がある。加熱炉通過時間が、40秒から120秒の範囲であると、押込み深さ率h(0)及びクリープ率Δhを所定の範囲内にすることができる。搬送時のフィルム張力は、3MPaから10MPaの範囲が好ましい。ここでいうフィルム張力は、多孔質フィルムのMD方向に掛かる引っ張り応力を多孔質フィルムの断面積、すなわち、多孔質フィルムの幅と厚さで除した値を言う。フィルム張力が3MPa以下であると、多孔質フィルムを搬送する際、シワが発生したり、蛇行したりしてしまう場合がある。10MPaを超えると、多孔質フィルムが塑性変形して延伸してしまい、押込み深さ率h(0)やクリープ率Δhが大きくなったり、多孔質フィルムにたるみが発生してしわが発生する場合がある。3MPaから10MPaの範囲であると、押込み深さ率h(0)及びクリープ率Δhを所定の範囲内にすることができる。
各評価は、以下のように行った。
本発明でいう押込み試験は、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法で測定した。図1に示す測定の模式図を用いて説明する。先ず、セパレータ1に皺が入らないように、MD方向の両端部を把持部2および把持部3で固定した。次いで、把持部2と把持部3までのセパレータ1の長さが1%伸張するように、スクリューねじ5を廻し、曲率半径300mmの鏡面仕上げのSUS台座4にセパレータを固定した。
次いで、SUS台座4に固定したセパレータ1にバーコビッチ型ダイヤモンド圧子6を接触させ、負荷速度1mN/分で30秒間負荷を増加させ、負荷が0.5mNまで達した後(図2(A))、60秒間、負荷0.5mNで保持し(図2(B))、次いで、1mN/分の除荷速度で負荷0mNまで除荷した(図2(C))。この際、バーコビッチ型ダイヤモンド圧子6がセパレータ1に押し込まれた押込み深さをアントンパール社製UNHT3を用いて計測した。TD方向に50μm間隔で10点、そこからMD方向に50μm間隔で5点の合計50点の押込み試験を実施し、50点の測定の平均カーブより、h(0)、Pd(0)およびΔhを求めた。
圧子:バーコビッチ型ダイヤモンド圧子
負荷速度:1mN/分
負荷時間:30秒 (最大負荷荷重:0.5mN)
保持時間:60秒
除荷速度:1mN/分。
(正極の作製)
PVDFを1.2質量部含むN−メチル−2−ピロリドン溶液をコバルト酸リチウム97質量部、カーボンブラック1.8質量部に加えて混合し、正極合剤含有スラリーとした。この正極合剤含有スラリーを、厚みが20μmのアルミ箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥して正極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成型して集電体を除いた正極層の密度を3.6g/cm3にして正極を作製した。
カルボキシメチルセルロースを1.0質量部含む水溶液を人造黒鉛98質量部、スチレンブタジエンラテックス1.0質量部を加えて混合して負極合剤含有スラリーとした。この負極合剤含有スラリーを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して乾燥して負極層を形成し、その後、ロールプレス機により圧縮成形して集電体を除いた負極層の密度を1.45g/cm3にして、負極を作製した。
上記正極、負極にタブ付けされたものと後述の方法で作製されたセパレータを、電池セル捲回装置使用して300mAhの扁平巻回体を作製した。その後、アルミラミネート袋内に上記扁平巻回体を設置し、(電解液(EC/EMC/DEC=6/3/1、LiPF6,1mol/L)を充填した。)その後、アルミラミネート袋を真空封緘し、次いで60度、5MPaの圧力で5分間プレスを行い、これを試験用扁平捲回セルとした。
耐電圧試験装置(菊水電子(株)製、TOS5051A)を用いて、前記扁平捲回セルの正極端子と負極端子に50Vの電圧を10秒間負荷し、電流が流れなかったものを合格、電流が流れたものを不合格とした。
絶縁不良の検査で、不合格の数量が扁平捲回セル1000個あたり、5個以下である場合を「◎」、6個以上15個以下を「○」、16個以上である場合を「×」とした。
(塗工液の調製)
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂((株)クレハ製、製品名KFポリマーW#9300)50体積部と、粒径(D50)1.0μmのアルミナ粒子50体積部とを、有効成分が10質量%となるようにN−メチル−2−ピロリドンに加えて混合及び分散させ、塗工液とした。
2、3 把持部
4 SUS台座
5 スクリューねじ
6 バーコビッチ型ダイヤモンド圧子
Claims (4)
- 多孔性フィルムを含んでなるリチウムイオン二次電池用セパレータであって、
前記セパレータを、
バーコビッチ型ダイヤモンド圧子を用いたナノインデンテーション法で1mN/分の負荷速度で30秒間圧入し0.5mNの圧力に達したときの次式で示す押込み深さ率h(0)が5以上20以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。
h(0)=Pd(0)/d×100
ここに、
Pd(0):1mN/分の負荷速度で30秒間圧入し0.5mNの圧力に達したときの押込み深さ。
d:セパレータの初期厚み。 - 次式で示すクリープ率Δhの値が3以下であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
Δh=h(60)−h(0)
ここに、
h(60):1mN/分の負荷速度で30秒間圧入し0.5mNの圧力に達した後、60秒間0.5mNで保持したときの押込み深さの、初期厚みに対する押込み深さ率。 - 膜厚が3μm以上、20μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 前記多孔性フィルムの少なくとも片面に多孔層が積層されてなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
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