JP2017123788A - 炭酸飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭酸ガスの抜けを抑制し、炭酸感を維持することができる炭酸飲料を提供すること。【解決手段】次の成分(A)及び(B);(A)クロロゲン酸類、及び(B)高甘味度甘味料を含有する、炭酸飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸飲料に関する。
炭酸飲料は、飲用したときの口腔内での炭酸ガスによる刺激により、爽快感や清涼感を醸成する嗜好性の高い飲料である。しかしながら、炭酸ガスは飲料から抜けやすいという性質を有しており、炭酸ガスが抜けた、すなわち炭酸ガス濃度が低下した炭酸飲料は、嗜好的に好ましくないものとなる。また、開栓後には圧力が開放されるため、金属缶、瓶、PETボトル等の容器の種類を問わず、炭酸ガスが経時的に抜けやすくなる。更に、開栓後、冷蔵保存したとしても、開栓、閉栓を繰り返すと、飲み干すまでの間に炭酸ガスが抜けてしまう。
このような炭酸ガスの抜けを抑制した炭酸飲料として、例えば、水溶性大豆多糖類を含有してなる炭酸飲料(特許文献1)、水溶性エンドウ多糖類を含有してなる炭酸飲料(特許文献2)、カラメル組成物及び高甘味度甘味料を含有してなる難消化性デキストリン含有容器詰炭酸飲料(特許文献3)等が提案されている。
国際公開第2012/102198号 特開2014−124119号公報 特開2014−14319号公報
本発明の課題は、炭酸ガスの抜けを抑制し、炭酸感を維持することができる炭酸飲料を提供することにある。ここで、本明細書において「炭酸感」とは、炭酸飲料を飲用したときに口腔内で感じられる刺激をいう。
本発明者は、特定のポリフェノール及び特定の甘味料を含有させることにより、炭酸ガスの抜けが抑制され、炭酸感を維持できるだけでなく、甘味の質も改善できることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類、及び
(B)高甘味度甘味料
を含有する、炭酸飲料を提供するものである。
本発明はまた、次の成分(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類、及び
(B)高甘味度甘味料
を炭酸飲料に含有させる、炭酸飲料の炭酸ガスの抜け抑制方法を提供するものである。
本発明は更に、次の(A)及び(B);
(A)クロロゲン酸類、及び
(B)高甘味度甘味料
を有効成分とする、炭酸飲料のガス抜け抑制剤を提供するものである。
本発明によれば、炭酸ガスの抜けが抑制され、炭酸感を維持できるだけでなく、甘味の質も改善された炭酸飲料を提供することができる。
〔炭酸飲料〕
本発明の炭酸飲料は、炭酸ガスの抜けを抑制し、炭酸感を維持するために、成分(A)としてクロロゲン酸類を含有する。
ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。本発明においては上記9種のうち少なくとも1種を含有すればよいが、少なくとも5−カフェオイルキナ酸を含有することが好ましい。
成分(A)としては、市販の試薬を用いてもよいが、成分(A)を豊富に含む植物の抽出物やその精製物を使用することもできる。
植物抽出物としては、成分(A)が含まれていれば特に限定されないが、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ、南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等より得られる抽出物が挙げられる。植物抽出物は、1種又は2種以上含有することができる。中でも、クロロゲン酸類含量等の観点から、コーヒー豆の抽出物が好ましい。
抽出に使用するコーヒー豆は、生コーヒー豆でも、焙煎コーヒー豆でも構わないが、クロロゲン酸類含量等の観点から、生コーヒー豆及び浅焙煎コーヒー豆から選ばれる少なくとも1種が好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値は、 クロロゲン酸類含量等の観点から、27以上が好ましく、29以上がより好ましく、35以上が更に好ましく、また風味の観点から、62未満が好ましく、60以下がより好ましく、55以下が更に好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値の範囲としては、好ましくは27以上62未満、より好ましくは29〜60、更に好ましくは35〜55である。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。
コーヒー豆の種類としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種、アラブスタ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジェロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ等を挙げることができる。
抽出方法及び抽出条件は特に限定されないが、例えば、特開昭58−138347号公報、特開昭59−51763号公報、特開昭62−111671号公報、特開平5−236918号公報等に記載の方法を採用することができる。また、精製方法は特に限定されず、公知の方法を採用することが可能であるが、例えば、イオンクロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等の各種クロマトグラフィー等を1種又は2種以上組み合わせて行うことができる。
本発明の炭酸飲料中の成分(A)の含有量は、炭酸ガスの抜け抑制、炭酸感維持の観点から、0.02質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.06質量%以上が更に好ましく、0.09質量%以上がより更に好ましく、そして0.2質量%以下が好ましく、0.17質量%以下がより好ましく、0.16質量%以下が更に好ましく、0.15質量%以下が更に好ましい。かかる成分(A)の含有量の範囲としては、炭酸飲料中に、好ましくは0.02〜0.2質量%、より好ましくは0.03〜0.17質量%、更に好ましくは0.06〜0.16質量%、更に好ましくは0.09〜0.15質量%である。ここで、本明細書において「成分(A)の含有量」は、上記9種の合計量に基づいて定義される。なお、成分(A)の含有量は、通常知られている分析法に準拠して分析することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明の炭酸飲料は、炭酸ガスの抜けを抑制し、炭酸感を維持するために、成分(B)として高甘味度甘味料を含有する。ここで、本明細書において「高甘味度甘味料」とは、ショ糖と比べて十倍から千倍の甘味を有し、微量の添加で飲食品に甘味を付与することができる人工又は天然の甘味料を意味する。
高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム、ステビア(レバウディオサイド、ステビオサイド)、サッカリン、サッカリンナトリウム、甘草、羅漢果、ネオテーム、マビンリン、ブラゼイン、モネリン、グリチルリチン、アリテーム、チクロ、ズルチン、ネオヘスペリジン等を挙げることができる。成分(B)は、1種又は2種以上を含有することができる。
中でも、成分(B)としては、炭酸ガスの抜け抑制、炭酸感維持の観点から、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム及びステビアから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アセスルファムカリウム、スクラロース及びソーマチンから選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、少なくともアセスルファムカリウムを含有することが更に好ましい。
本発明の炭酸飲料中の成分(B)の含有量は、炭酸ガスの抜け抑制、炭酸感維持の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.015質量%以上がより更に好ましく、また炭酸ガスの抜け抑制、炭酸感維持、甘味の質の観点から、0.2質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。かかる成分(B)の含有量の範囲としては、炭酸飲料中に、好ましくは0.001〜0.2質量%、より好ましくは0.005〜0.15質量%、更に好ましくは0.01〜0.15質量%、更に好ましくは0.015〜0.1質量%である。なお、成分(B)の含有量は、通常知られている高甘味度甘味料の分析法に準拠して分析することが可能であり、例えば、下記の方法を挙げることができる。また、分析は、測定試料の状況に適した分析法により測定することもが可能であり、また測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
(1)アセスルファムカリウム
試料を0.01mol/Lリン酸二水素アンモニウム及びメタノールの混液(容量比1:1)で溶解抽出後、遠心分離する。その後、メンブランフィルターで濾過後、定容する。得られた試料をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定する。測定条件は、カラム;Cosmosil 5 NH2−MS(ナカライテスク(株))、カラム管;内径4.6mm、長さ250mm、カラム温度;40℃、移動相;アセトニトリル1vol%リン酸:リン酸混液(6:4)、流速;1.0mL/分、測定検出波長;230nmにて行う(平成12年3月30日付け衛化第15号 別添「第2版食品中の食品添加物分析法」より)。
(2)スクラロース
試料を水又はエタノールで中和後、超音波抽出を行い、抽出液を固相抽出カラム(例えば、Bond Elut C18(アジレント・テクノロジー株式会社))に通液後、メタノールで洗浄する。得られた洗浄液を濃縮、乾固し、水を加えて定容する。得られた試料をサンプリングしてHPLCにて測定する。この際のHPLC測定条件は、カラム:Shodex Sugar SC1011(昭和電工(株))、カラム管:内径8.0mm、長さ300mm、カラム温度:80℃、移動相:10mM CaSO4溶液、流速:0.6mL/分、検出器:RIにて行う。
(3)ソーマチン
試料中の共存タンパク質を除去する前処理をした後、高速液体クロマトグラフィー分析、MSスペクトルで分析することができる。また、モノクロナール抗体法やポリクロナール抗体法により分析することも可能であり、例えば特開2005−10104号公報を参照することができる。
(4)アスパルテーム
メタノール溶媒を用い、HPLCで分析することができる。HPLC測定条件は、アセスルファムカリウムと同様である。
(5)ステビア
レバウディオサイドは、アセトニトリル−水混合液によって抽出した後、NH2カラムを用いたHPLCにより分析することができる。HPLC測定条件は、カラム;Unisil Q−NH2(ジーエルサイエンス(株))、カラム管;内径4mm、長さ250mm、移動相;CH3CN:H2O(83:17)、流速;1.2mL/分、測定検出波長;210nmにて行う(食衛誌. Vol.21,No.6 「天然甘味料製剤中のステビア成分の分析法」より)。
本発明の炭酸飲料中の成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]は、炭酸ガスの抜け抑制、炭酸感維持の観点から、0.03以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.08以上が更に好ましく、0.1以上がより更に好ましく、そして3.5以下が好ましく、2以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましく、0.85以下がより更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、炭酸飲料中に、好ましくは0.03〜3.5、より好ましくは0.05〜2、更に好ましくは0.08〜1.5、より更に好ましくは0.1〜0.85である。
本発明の炭酸飲料は、成分(C)として酸味料を更に含有することができる。
成分(C)は、有機酸でも、無機酸でも、それらの塩であってもよく、飲食品に使用されるものであれば特に限定されない。成分(C)は、1種又は2種以上含有することができる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、乳酸、酢酸、フマル酸、アジピン酸、フィチン酸、フマル酸等が挙げられる。また、無機酸としては、例えば、リン酸等が挙げられる。塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。中でも、適度な酸味付与の観点から、クエン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、リン酸及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。なお、塩としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
本発明の炭酸飲料中の成分(C)の含有量は、酸味料の種類に応じて適宜決定することができるが、適度な酸味付与の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。成分(C)の含有量の範囲としては、本発明の炭酸飲料中に、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.005〜0.5質量%、更に好ましくは0.01〜0.1質量%である。なお、成分(C)が塩の形態である場合、成分(C)の含有量はその遊離酸量に換算した値とする。また、成分(C)の含有量は、例えば、通常知られているカルボン酸の分析法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することができる。
本発明の炭酸飲料は、成分(D)として糖類を更に含有することができる。ここで、本明細書において「糖類」とは、単糖及び二糖の総称である。成分(D)は、1種又は2種以上含有することができる。
単糖としては、例えば、果糖、ブドウ糖、タガトース、アラビノース、D−プシコース、D−アロース等が挙げられ、二糖としては、例えば、乳糖、トレハロース、麦芽糖、ショ糖、セロビオース等が挙げられる。
本発明の炭酸飲料中の成分(D)の含有量は、糖類の種類に応じて適宜決定することができるが、甘味の質の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が更に好ましく、そして1.0質量%以下が好ましく、 0.8質量%以下がより好ましく、0.6質量%以下が更に好ましい。成分(D)の含有量の範囲としては、本発明の炭酸飲料中に、好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%、更に好ましくは0.4〜0.6質量%である。なお、成分(D)の含有量は、原料に由来するもの、及び新たに加えられたものの総量であり、通常知られている糖類の分析法に準拠して分析することができる。例えば検出器としてRIを用いたHPLC法が挙げられる。
HPLCでは、試料をメンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供する。分析条件は次の通りである。
・カラム:Shodex Asahipack NH2P−50 4E(4.6mmI.D.×250mm
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・検出器:RI
・溶離液:H2O/CH3CN=25/75
本発明の炭酸飲料は、適度な酸味付与の観点から、(E)酸度が、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましく、また風味バランスの観点から、0.7質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。かかる(E)酸度の範囲としては、好ましくは0.005〜0.7質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%、更に好ましくは0.02〜0.3質量%である。ここで、本明細書において「酸度」とは、当該炭酸飲料を、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化ナトリウムで滴定し、当該炭酸飲料中に含まれる全ての酸の濃度をクエン酸相当量として換算したものであり、例えば、後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明の炭酸飲料は、適度な酸味付与、炭酸感の観点から、(A)クロロゲン酸類と(E)酸度との質量比[(E)/(A)]が、0.3以上であることが好ましく、0.5以上がより好ましく、0.72以上が更に好ましく、そして2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、0.95以下が更に好ましい。かかる質量比[(E)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.3〜2、より好ましくは0.5〜1.5、更に好ましくは0.72〜0.95である。
本発明の炭酸飲料は、炭酸ガスを含有する。圧入する炭酸ガスは、炭酸感の観点から、本発明の炭酸飲料中に、ガスボリューム(GV)で1v/v(NTP)以上が好ましく、1.5v/v(NTP)以上がより好ましく、2v/v(NTP)以上が更に好ましく、そして2.9v/v(NTP)以下が好ましく、2.8v/v(NTP)以下がより好ましく、2.7v/v(NTP)以下が更に好ましい。炭酸ガスの含有量の範囲としては、炭酸飲料中に、ガスボリュームで、好ましくは1〜2.9v/v(NTP)、より好ましくは1.5〜2.8v/v(NTP)、更に好ましくは2〜2.7v/v(NTP)である。ここで、本明細書において「ガスボリューム(GV)」とは、1気圧、0℃における容器詰飲料中に溶解している炭酸ガスの容積と飲料の容積比を表す。炭酸ガスの分析は、通常知られている炭酸ガスの測定方法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、後掲の実施例に記載の方法で分析することができる。
本発明は炭酸飲料中の炭酸ガスの抜けを抑制するものであるが、炭酸飲料の炭酸ガスロス率は次の方法で測定するものとする。先ず、容器詰炭酸飲料を常温(20℃±15℃)に取出し、恒温槽にて20℃にて液温を均一にした後、速やかにガスボリューム(GV)測定に供する。測定後、飲料の内容量が3/4となるように飲料の一部を廃棄し、キャップを外した状態で35℃の水浴で30分間放置する。次いで、再び密栓し、恒温槽で20℃に冷却した後、再度ガスボリューム(GV)測定に供する。そして、下記式により炭酸ガスロス率(%)を算出する。
炭酸ガスロス率(%)=[[(再栓前GV)−(再栓後GV)]/(再栓前GV)×100]
炭酸感の観点から、本発明の炭酸飲料中の炭酸ガスロス率は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
本発明の炭酸飲料のpH(20℃)は、風味バランスの観点から、2.5以上が好ましく、2.7以上がより好ましく、2.9以上が更に好ましく、そして3.9以下が好ましく、3.7以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは2.5〜3.9、より好ましくは2.7〜3.7、更に好ましくは2.9〜3.5である。なお、pHの測定方法は、容器詰飲料約100mLを300mLのビーカーに測りとり、スターラーピースを入れてスターラーで激しく20分間攪拌して、炭酸ガスを取り除いた後、20℃に温度調整をして測定するものとする。
また、本発明の炭酸飲料は、所望により、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、泡安定剤、エステル、色素、乳化剤、保存料、調味料、香料、果汁、野菜汁、花蜜エキス、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を含有してもよい。これら添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜選択することができる。
本発明の炭酸飲料は、例えば、成分(A)及び成分(B)、必要により他の成分を炭酸水に配合して容器に充填し、容器詰炭酸飲料として提供することができる。
容器としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、瓶等の通常の包装容器が挙げられる。
また、本発明の炭酸飲料は、加熱殺菌されていてもよい。加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されないが、例えば、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)等を挙げることができる。また、容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、PETボトル等については、カーボネーション前の飲料をあらかじめUHT法により加熱殺菌し、カーボネーション後、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、容器に充填後、コールドスポットで65℃10分以上が確保できる後殺菌を行い、容器詰炭酸飲料を得ることができる。
〔炭酸飲料の炭酸ガスの抜け抑制方法、炭酸飲料の炭酸ガスの抜け抑制剤〕
本発明の炭酸飲料の炭酸ガスの抜け抑制方法は、炭酸飲料中に成分(A)と成分(B)を含有させるものである。また、本発明の炭酸飲料の炭酸ガスの抜け抑制剤は、成分(A)と成分(B)を有効成分として含有するものである。
成分(A)及び成分(B)は、ガスボリュームが、好ましくは1〜2.9v/v(NTP)、より好ましくは1.5〜2.8v/v(NTP)、更に好ましくは2〜2.7v/v(NTP)である炭酸飲料に含有される。ここで、成分(A)、成分(B)、質量比[(B)/(A)]、(E)酸度、及び質量比[(E)/(A)]、pH等の具体的態様は、上記において説明したとおりである。
また、炭酸飲料には、成分(A)及び成分(B)以外の他の成分が含まれていてもよく、例えば、成分(C)、成分(D)、前述の添加剤を挙げることができる。成分(C)、成分(D)及び添加剤の具体的構成は、上記において説明したとおりである。
1.クロロゲン酸類の分析
試料2gに85℃の純水180mLを注ぎ、攪拌した後、バイアルに分注して分析した。
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
・検出器
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
クロロゲン酸類の保持時間
9種のクロロゲン酸類
・モノカフェオイルキナ酸:5.3分、8.8分、11.6分の計3点
・モノフェルラキナ酸 :13.0分、19.9分、21.0分の計3点
・ジカフェオイルキナ酸 :36.6分、37.4分、44.2分の計3点。
ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
2.炭酸ガスの分析
「最新・ソフトドリンクス(最新・ソフトドリンクス編集委員会、株式会社光琳、平成15年9月30日発行)」の1−4−11(2)ガスボリュームに記載の方法に準拠して測定した。
1)測定前に試料を恒温槽にて20℃にし、液温を均一にした。
2)ガスボリューム測定機(アントンパール社製CO2濃度計、CarboQC)にかけ、スニフト操作により、ヘッドスペース中のCO2圧力を測定した。
3.炭酸ガスロス率の測定
容器詰炭酸飲料を常温に取出し、恒温槽にて20℃にて液温を均一にした後、速やかにガスボリューム(GV)測定器に供した。測定後、飲料の内容量が3/4となるように飲料の一部を廃棄し、キャップを外した状態で35℃の水浴で30分間放置した。次いで、再び密栓し、恒温槽で20℃に冷却した後、再度ガスボリューム(GV)測定器に供した。そして、下記式により炭酸ガスロス率(%)を算出した。
炭酸ガスロス率(%)=[[(再栓前GV)−(再栓後GV)]/(再栓前GV)×100]
4.酸度の測定
「日本農林規格(平成24年7月17日農林水産省告示第1690号」(JAS)記載の酸度測定方法に準拠して測定した。
5.炭酸感の評価
5℃にて冷却した各容器詰炭酸飲料の再栓後の炭酸感について、専門パネル10名が下記の基準にしたがって飲用試験し、その後協議により評点を決定した。なお、炭酸感の評価では、容器詰炭酸飲料を開栓後、速やかに閉栓してから再度開栓したものを飲用試験に供した。
炭酸感の評価基準
5:爽快な刺激を強く感じる
4:爽快な刺激をやや強く感じる
3:爽快な刺激をやや感じる
2:刺激がやや弱い
1:刺激が弱い
6.甘味の質の評価
5℃にて冷却した各容器詰炭酸飲料の再栓後の甘味の質について、専門パネル10名が下記の基準にしたがって飲用試験し、その後協議により評点を決定した。なお、炭酸感の評価では、容器詰炭酸飲料を開栓後、速やかに閉栓してから再度開栓したものを飲用試験に供した。
甘味の質の評価基準
5:甘味が豊かで、違和感がない
4:甘味がやや強いが、違和感がない
3:甘味があるが、やや違和感がある
2:甘味がやや弱い
1:甘味が弱い
製造例1
生コーヒー豆抽出エキスの製造
生コーヒー豆400gを95℃の熱水にて、120mL/min.の液量にてドリップ抽出し、2400gの生コーヒー豆抽出液を得た。得られた抽出液をフィルターろ過により微粉除去後、加熱濃縮によりBrix30の生コーヒー豆抽出エキスを得た。生コーヒー豆抽出エキス中のクロロゲン酸類の含有量は15.1質量%、5−カフェオイルキナ酸の含有量は6.3質量%であった。
実施例1〜14及び比較例1
表1に示す割合で炭酸水を除く成分を配合してpH3.0に調整してシロップを得た。次に、そのシロップを108℃にて30秒間加熱殺菌し冷却した後、炭酸水にて2.5ガスボリュームの飲料を調製し、510mL容PETボトルに飲料500mLを充填後、キャップをした。次に、そのPETボトルを65℃にて50分加熱殺菌後、10℃以下に冷却し炭酸飲料を得た。
Figure 2017123788
表1から、クロロゲン酸類及び高甘味度甘味料を含有させることにより、炭酸飲料の炭酸ガスの抜けを抑制し、炭酸感を維持できることが分かる。

Claims (8)

  1. 次の成分(A)及び(B);
    (A)クロロゲン酸類、及び
    (B)高甘味度甘味料
    を含有する、炭酸飲料。
  2. 成分(A)の含有量が0.02〜0.2質量%である、請求項1記載の炭酸飲料。
  3. 成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.03〜3.5である、請求項1又は2記載の炭酸飲料。
  4. 成分(B)がアセスルファムカリウム、スクラロース、ソーマチン、アスパルテーム及びステビアから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
  5. (E)酸度が0.005〜0.7質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
  6. 成分(A)と(E)酸度との質量比[(E)/(A)]が0.3〜2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
  7. 次の成分(A)及び(B);
    (A)クロロゲン酸類、及び
    (B)高甘味度甘味料
    を炭酸飲料に含有させる、炭酸飲料の炭酸ガスの抜け抑制方法。
  8. 次の(A)及び(B);
    (A)クロロゲン酸類、及び
    (B)高甘味度甘味料
    を有効成分とする、炭酸飲料のガス抜け抑制剤。
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