図1は、実施例に係る捜索の概要についての説明図である。本実施例に係る捜索システムでは、捜索対象の候補となる対象者P1は、通信タグ10を付設されている。ここで、本明細書において付設とは、対象者P1の所持品や衣服に装着される、若しくは対象者P1に携行されるなど、対象者P1が移動した場合には該移動に伴って通信タグ10が移動し、通信タグ10の位置が対象者P1の位置と略同一となるようにした状態をいうものとする。通信タグ10は、靴、衣服、杖など、任意の物体に付すことで、対象者P1に付設させることができる。本実施例では、対象者P1の靴に通信タグ10を付設した構成を例に説明を行う。また、対象者P1は、例えば認知症を患った高齢者であり、外出すると行方不明となる可能性がある人物である。
また、通信タグ10が付設された靴は、通信タグ10の付設部の色が靴自体の色と大きく異なるなどの外見的特徴を有することが望ましい。捜索対象の人物であることを目視により確認可能となるためである。通信タグ10は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により、タグIDを周囲に送信する機能を有する。この通信タグ10は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)タグなどを用いることが好適である。さらに、通信タグ10は、位置情報の取得機能や、近距離無線通信よりも通信距離の大きい他の通信機能などを排することで小型かつ省電力とすることが好ましい。
捜索要求元である対象者の家族P2は、対象者P1に関する情報を予め管理装置40に登録する。そして、対象者P1が行方不明となるなど対象者P1の捜索が必要となった場合に、管理装置40に対して対象者P1の捜索を要求する。対象者の家族P2は、例えば、専用の端末あるいは、携帯電話端末やスマートフォンなどの依頼端末20により捜索の要求を行い、また、捜索用端末30が対象者P1に接近した場合には、依頼端末20により接近通知を受ける。さらに、対象者P1が保護された場合には、依頼端末20により保護通知を受ける。なお、ここでは捜索要求元が対象者の家族P2である場合を例示したが、対象者P1が入居している施設の職員など、対象者P1の保護を任された人物が捜索要求元であってもよい。
捜索者P3は、対象者P1の捜索に協力する人物であり、捜索用端末30を携行する。この捜索用端末30は、専用の端末でも良いが、携帯電話端末やスマートフォンなどに捜索用端末30の機能をもたせてもよい。携帯電話端末やスマートフォンなどに捜索用端末30の機能をもたせる場合には、例えば、タグIDの受信機能、送受信装置50との無線通信機能、管理装置40との無線通信機能を有する専用のアプリケーションプログラムをインストールし、管理装置40に捜索用端末30に関する情報を登録すればよい。かかる登録を行うことで、地域職員及びボランティアなどの一般ユーザが捜索者P3として捜索に協力可能となる。
送受信装置50は、通信タグ10、捜索用端末30及び管理装置40との通信を行う装置である。送受信装置50は、住宅、店舗、会社、現金自動預払機(ATM: automatic teller machine)、交通信号機等の公共設備など任意の場所に設置できる。例えば、住宅の警備機器を制御するホームコントローラに送受信装置50としての機能を持たせることが好適である。図1では、1つの送受信装置50を例示したが、この送受信装置50は捜索の対象となる地域に複数設置しておく。
管理装置40は、対象者P1の捜索を管理し、支援する装置である。管理装置40は、通信タグ10のタグIDと、対象者P1の個人情報とを対応付けて管理している。個人情報には、対象者P1の氏名や対象者の家族P2の氏名を含めることができる。また、タグIDには、対象者の家族P2の連絡先なども対応付けることができる。さらに、管理装置40は、複数の送受信装置50について、その所在地(例えば住所)を管理している。なお、管理装置40は捜索を行う地域に設ける必要は無く、遠隔地に設置できる。例えば、警備会社のセンタなどに設ければよい。
次に、捜索の手順について説明する。対象者の家族P2は、対象者P1の捜索が必要となった場合に、管理装置40に対して対象者P1の捜索を依頼端末20により要求する(s1)。一方、送受信装置50に対象者P1が接近すると、通信タグ10と送受信装置50との間で近距離無線通信が可能となり、送受信装置50は、通信タグ10からタグIDを受信する(s2)。送受信装置50は、受信したタグIDを自身の識別情報を付した上で管理装置40に送信する(s3)。
管理装置40は、送受信装置50からタグIDを受信すると、受信したタグIDに基づいて対象者P1を特定し、捜索の要否を判定する(s4a)。具体的には、受信したタグIDについて、対象者の家族P2から捜索要求を受信していた場合に、管理装置40は、対象者P1の捜索が必要であると判定する。そして、管理装置40は、送受信装置50の識別情報とタグIDとを対応付けて捜索に係る情報として記憶する(s4b)。
管理装置40は、対象者P1の捜索が必要であると判定したならば、捜索指示依頼を送受信装置50に対して送信する(s5)。この捜索指示依頼とは、送受信装置50の近傍に所在する捜索用端末30に対象者P1の捜索を指示するよう依頼するものであり、捜索の対象者P1のタグIDなどの情報を含む。
捜索指示依頼を受信した送受信装置50は、自装置の周辺に所在する捜索用端末30に対象者P1の捜索指示を送信する(s6)。捜索指示の送信は、Bluetoothなどの近距離無線通信を用いてもよいし、無線LAN(Local Area Network)などの無線通信を用いてもよい。また、捜索指示には、捜索の対象者P1のタグIDなどの情報を含めておく。
捜索用端末30は、送受信装置50から対象者P1の捜索指示を受信すると、捜索指示を受けた旨を捜索者P3に報知する。捜索者P3は、捜索を行う場合には所定の操作により捜索開始を表明する。捜索用端末30は捜索開始を示す操作を受け付けると、捜索開始通知を管理装置40に送信する(s7)。この捜索開始通知により、管理装置40は、捜索者P3による捜索が開始されたことを認識する。
その後、捜索者P3は、周囲の捜索を行って対象者P1を探す(s7a)。捜索者P3が対象者P1に接近すると、通信タグ10と捜索用端末30との間で近距離無線通信が可能となり、捜索用端末30は、通信タグ10から送信されたタグIDを受信する(s8)。受信したタグIDが捜索指示に示されたタグIDと一致したならば、捜索用端末30は、目的の人物に接近している捜索者P3に報知する。また、目的の人物に接近したことを管理装置40に通知する(s9)。この接近通知を受けた管理装置40は、依頼端末20に接近通知を送信する(s10)。
また、捜索用端末30から報知を受けた捜索者P3が対象者P1を特定し保護する(s11)。このとき、対象者P1の靴に外見的特徴があれば、捜索の手掛かりとなる。また、捜索指示依頼や捜索指示を行う際に捜索の手掛かりとなる情報を含めておき、捜索者P3に通知してもよい。具体的には、対象者P1の年齢、性別、当日の服装などが手掛かりとして利用できる。これらの情報は、プライバシーを考慮し、対象者P1の個人情報からその一部を開示するものである。また、これらの情報を全て最初から通知するのではなく、接近通知を受けた依頼端末20から開示する情報の指定を受け付けるようにしてもよい。例えば、依頼端末20の受信した接近通知を対象者の家族P2が確認し、依頼端末20に開示する情報の指定と保護を求める旨の操作を行うと、依頼端末20が管理装置40に保護要求を送信し(s11a)、保護要求を受信した管理装置40が指定された情報を含む保護指示を管理装置40へ接近通知を送信した捜索用端末30に対して送信するように構成すればよい(s11b)。
捜索者P3は対象者P1を保護すると、捜索用端末30に対して所定の操作を行う。捜索用端末30は、目的の人物を保護したことを管理装置40に通知する(s12)。この保護通知を受けた管理装置40は、依頼端末20に保護通知を送信する(s13)。
なお、管理装置40は、捜索指示依頼の送信(s5)から所定時間が経過しても接近通知を受信しなければ、捜索範囲を拡大する。図2は、捜索範囲の拡大についての説明図である。
管理装置40は、捜索指示依頼の送信(s5)から所定時間が経過しても接近通知を受信しなければ、対象者P1の行動パターンに基づいて対象者P1が所在する可能性のある場所を推定し、推定した場所近傍の送受信装置を選択する(s14)。行動パターンは、対象者P1のそれまでの行動を分析して得たデータであり、その詳細については後述する。
管理装置40は、選択した送受信装置50bに捜索指示依頼を送信する(s15)。図2では、店舗に設けた送受信装置50aと交通信号機に設けた送受信装置50bのうち、交通信号機に設けた送受信装置50bを選択し、捜索指示依頼を送信した状態を示している。
捜索指示依頼を受信した送受信装置50bは、自装置の周辺に所在する捜索用端末30aに対象者P1の捜索指示を送信する(s15)。
捜索用端末30aは、送受信装置50bから捜索指示を受信すると、捜索指示を受けた旨を捜索者P3aに報知する。捜索者P3aは、捜索を行う場合には所定の操作により捜索開始を表明する。捜索用端末30aは捜索開始を示す操作を受け付けると、捜索開始通知を管理装置40に送信する(s16)。この捜索開始通知により、管理装置40は、捜索者P3aによる捜索が開始されたことを認識する。
その後、捜索者P3aは、周囲の捜索を行って対象者P1を探す(s16a)。以降の処理については、図1のs8〜s13に示した処理と同様である。また、送受信装置50bに捜索指示を送信してから所定時間が経過しても接近通知を受信しなければ、さらに送受信装置を追加して選択し、捜索範囲を拡大する。
このように、本実施例に係る捜索システムでは、対象者P1の靴などに通信タグ10を付設し、ホームコントローラなどの送受信装置50が通信タグ10から受信したタグIDを管理装置40に送信し、管理装置40は受信したタグIDが捜索対象に指定されているならば捜索用端末30に捜索指示を送信することで捜索者P3に対象者P1の捜索を依頼する。かかる構成により、対象者P1の近傍に所在する捜索者P3に対してのみ捜索を依頼することができるので、対象者P1や該対象の関係者のプライバシーを保護しつつ、効率的な捜索を実現することができる。
なお、捜索者P3は、捜索用端末30が捜索指示を受信したとしても、捜索を開始しないことを選択できる。すなわち、捜索者P3は、捜索への参加は強制されない。送受信装置50は、対象者P1が保護されるまで継続して周囲の捜索用端末30に捜索指示を送信するので、捜索に参加することのできない捜索者P3が一部存在しても、対象者P1の保護を促すことができる。
次に、図1に示した通信タグ10の内部構成について説明する。図3は、図1に示した通信タグ10の内部構成を示す構成図である。図3に示すように、通信タグ10は、近距離無線通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
近距離無線通信部11は、例えばBLE通信インタフェースである。記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、通信タグ10を一意に特定するタグIDを記憶する。
制御部13は、通信タグ10の動作を制御する制御部であり、近距離無線通信制御部13a及びタグID送信部13bを有する。近距離無線通信制御部13aは、近距離無線通信部11による通信を制御する処理部である。タグID送信部13bは、近距離無線通信制御部13aに定期的にタグID12aを送信させる。
なお、ここでは定期的にタグID12aを周囲に送信する動作を例示したが、近距離無線通信制御部13aが通信相手となる端末を検知して近距離無線通信を確立し、タグID12aを送信する動作であってもよい。また、通信タグ10は受信状態で待機することとし、送受信装置50や捜索用端末30から定期的に発信される信号を受信した場合に、通信タグ10がタグID12aを送信するよう動作させてもよい。
次に、図1に示した送受信装置50の内部構成について説明する。図4は、図1に示した送受信装置50の内部構成を示す構成図である。送受信装置50は、専用の装置であってもよいが、ホームコントローラなどであってもよい。図4に示すように、送受信装置50は、表示部51、入力部52、通信部53、無線通信部54,近距離無線通信部55、記憶部56及び制御部57を有する。
表示部51は、液晶パネルなどの出力インタフェースである。入力部52は、入力操作に用いられるキーやタッチパネルなどの入力インタフェースである。表示部51と入力部52とは、タッチパネルディスプレイとして一体化したものであってもよい。
通信部53は、管理装置40との通信を行なうための通信インタフェースである。無線通信部54は、無線LANなどであり、捜索用端末30との通信などに用いられる。近距離無線通信部55は、通信タグ10や捜索用端末30と近距離無線通信を行うための通信インタフェースである。
記憶部56は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、捜索指示依頼データ56aを記憶する。捜索指示依頼データ56aは、管理装置40から受信した捜索指示依頼の内容を示すデータである。
制御部57は、送受信装置50を全体制御する制御部であり、タグID取得部57a、捜索指示依頼受信部57b及び捜索指示処理部57cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、タグID取得部57a、捜索指示依頼受信部57b及び捜索指示処理部57cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
タグID取得部57aは、近距離無線通信部55により通信タグ10からタグID(図3に示したタグID12a)を取得する処理部である。タグID取得部57aは、取得したタグIDに自装置の識別情報を付して管理装置40に送信する。
捜索指示依頼受信部57bは、管理装置40から捜索指示依頼を受信した場合に、捜索指示依頼データ56aとして記憶部56に格納する処理部である。なお、捜索指示依頼受信部57bは、複数の捜索指示依頼を受信した場合には、それぞれを捜索指示依頼データ56aとして記憶部56に格納する。
捜索指示処理部57cは、記憶部56に格納された捜索指示依頼データ56aに基づいて、捜索指示を行う処理部である。具体的には、捜索指示処理部57cは、自装置の周辺に所在する捜索用端末30に捜索指示を送信する。捜索指示の送信には、無線通信部54又は近距離無線通信部55を用いる。捜索指示には、捜索指示依頼データ56aに示された捜索対象のタグIDや、捜索者P3に開示する情報などを含める。また、捜索指示処理部57cは、捜索に関する情報を周辺の人物(例えば送受信装置50が住居に設置されている場合には住居内の人物)に報知することとしてもよい。この場合には、図示しないスピーカなどにより音声出力を利用して報知を行うことが好適である。
また、捜索指示処理部57cは、管理装置40から捜索終了通知を受信した場合には、対応する捜索指示依頼データ56aの捜索状態を「捜索終了」とし、該捜索指示依頼データ56aについては以降、捜索指示の送信を行わない。若しくは、捜索終了通知を受信した時点で対応する捜索指示依頼データ56aを削除してもよい。
図5は、送受信装置50の記憶部56に格納されるデータの説明図である。図5に示すように捜索指示依頼データ56aは、捜索対象タグID、捜索対象の開示情報、捜索指示依頼受信日時、捜索状態などの項目を有する。
捜索対象タグIDは、捜索対象のタグIDである。捜索対象の開示情報は、捜索対象の個人情報のうち捜索の手掛かりとして開示された情報である。捜索指示依頼受信日時は、当該捜索指示依頼を管理装置40から受信した日時を示す。捜索状態は、「捜索指示依頼受領」、「捜索中」、「捜索終了」など捜索の進捗を示す。
図5の例では、捜索対象タグIDは「T0001」であり、捜索対象の開示情報は「男性 82歳」であり、捜索指示依頼受信日時は「2015/10/16 13:30」であり、捜索状態は「捜索中」である。
なお、捜索状態の「捜索中」とは、いずれかの捜索用端末30に捜索指示を送信し、かつ捜索終了通知を受信していない状態である。捜索状態は初期値が「捜索指示依頼受領」であり、いずれかの捜索用端末30に捜索指示を送信した場合に「捜索中」に更新される。そして、管理装置40から捜索終了通知を受信した場合に「捜索終了」に更新される。捜索状態には、これらの値に限らず、任意の値を設定可能である。
次に、図1に示した捜索用端末30の内部構成について説明する。図6は、図1に示した捜索用端末30の内部構成を示す構成図である。捜索用端末30は、専用の装置であってもよいが、携帯電話端末やスマートフォンなどであってもよい。図6に示すように、捜索用端末30は、表示部31、入力部32、無線通信部33、近距離無線通信部34、記憶部35及び制御部36を有する。
表示部31は、液晶パネルなどの出力インタフェースである。入力部32は、捜索者P3による入力操作に用いられるキーやタッチパネルなどの入力インタフェースである。表示部31と入力部32とは、タッチパネルディスプレイとして一体化したものであってもよい。
無線通信部33は、管理装置40や送受信装置50との通信を行うための通信インタフェースであり、近距離無線通信部34は、通信タグ10や送受信装置50と近距離無線通信を行うための通信インタフェースである。
記憶部35は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、捜索指示データ35aを記憶する。捜索指示データ35aは、送受信装置50から受信した捜索指示の内容を示すデータである。
制御部36は、捜索用端末30を全体制御する制御部であり、タグID取得部36a、捜索指示受信部36b及び捜索結果通知部36cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、タグID取得部36a、捜索指示受信部36b及び捜索結果通知部36cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
タグID取得部36aは、近距離無線通信部34により通信タグ10からタグID(図3に示したタグID12a)を取得する処理部である。
捜索指示受信部36bは、送受信装置50から捜索指示を受信した場合に、捜索指示データ35aとして記憶部35に格納する処理部である。また、捜索指示受信部36bは、捜索指示を受けた旨を捜索者P3に報知する。この報知には、表示部31への表示などを用いることができる。捜索対象について開示された情報がある場合には、開示された情報を捜索の手掛かりとして表示可能である。
入力部32が捜索開始を示す操作入力を受け付けたならば、捜索指示受信部36bは、捜索開始通知を管理装置40に送信する。また、捜索指示受信部36bは、捜索が開始されたことを捜索指示データ35aに登録して管理する。
一方、入力部32が捜索不可を示す操作入力を受け付けたならば、捜索指示受信部36bは、当該捜索指示について捜索不可を選択し、捜索指示データ35aに登録して管理する。そして、捜索指示受信部36bは、捜索指示に係る表示部31の表示を消去する。このように、捜索不可を登録した場合には、送受信装置50から再び捜索指示を受信しても捜索指示に係る報知を行わない。
また、捜索指示に係る報知を行ってから、捜索開始の操作入力も捜索不可の操作入力もないまま所定時間が経過したならば、捜索指示受信部36bは、捜索指示に係る表示部31の表示を消去する。この場合には、捜索不可を登録していないので、送受信装置50から再び捜索指示を受信すれば、捜索指示に係る報知が再度行われることになる。
捜索結果通知部36cは、捜索の結果を通知する処理部である。具体的には、捜索結果通知部36cは、捜索の開始後、タグID取得部36aがタグIDを取得した場合に、受信したタグIDと捜索指示データ35aに示された捜索対象タグIDとが一致するか否かを判定する。
受信したタグIDと捜索対象タグIDとが一致するならば、捜索結果通知部36cは、目的の人物に接近したことを捜索者P3に報知するとともに、接近通知を管理装置40に送信する。
また、捜索結果通知部36cは、目的の人物を保護したことを示す捜索者P3による操作を受け付けたならば、保護通知を管理装置40に送信する。
また、捜索結果通知部36cは、管理装置40から捜索終了通知を受信し、捜索終了通知に示されたタグIDに対応する捜索指示データ35aが記憶部35に存在する場合には、当該捜索指示データ35aにかかる捜索が終了したことを登録するとともに、捜索者P3に報知する。
図7は、捜索用端末30の記憶部35に格納されるデータの説明図である。図7に示すように捜索指示データ35aは、捜索対象タグID、捜索対象の開示情報、捜索指示受信日時、捜索状態などの項目を有する。
捜索対象タグIDは、捜索対象のタグIDである。捜索対象の開示情報は、捜索対象の個人情報のうち捜索の手掛かりとして開示された情報である。捜索指示受信日時は、当該捜索指示を送受信装置50から受信した日時を示す。捜索状態は、「捜索指示受領」、「捜索中」、「捜索不可」、「捜索終了」など捜索の進捗を示す。
図7の例では、捜索対象タグIDは「T0001」であり、捜索対象の開示情報は「男性 82歳」であり、捜索指示依頼受信日時は「2015/10/16 13:37」であり、捜索状態「捜索中」である。
なお、捜索状態の「捜索中」とは、送受信装置50から捜索指示を受信した後、捜索開始通知を送信し、かつ捜索終了通知を送受信していない状態である。捜索状態は初期値が「捜索指示受領」であり、管理装置40に捜索開始通知を送信した場合に「捜索中」に更新される。そして、管理装置40から捜索終了通知を受信した場合に「捜索終了」に更新される。なお、捜索者P3から捜索不可を示す操作入力を受け付けた場合には「捜索不可」に更新される。
次に、図1に示した管理装置40の内部構成について説明する。図8は、図1に示した管理装置40の内部構成を示す構成図である。図8に示すように、管理装置40は、表示部41、入力部42、通信部43、記憶部44及び制御部45を有する。
表示部41は、液晶パネルやディスプレイ装置等である。入力部42は、キーボードやマウス等である。通信部43は、送受信装置50や捜索用端末30と通信するためのインタフェース部である。
記憶部44は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、送受信装置管理データ44a、捜索対象管理データ44b、行動履歴データ44c及び捜索処理データ44dを記憶する。送受信装置管理データ44aは、送受信装置50の所在地などを管理するデータである。捜索対象管理データ44bは、捜索の対象となりうる捜索対象候補を管理するデータである。行動履歴データ44cは、捜索対象候補の行動の履歴を示すデータである。捜索処理データ44dは、対象の捜索に係るデータである。
制御部45は、管理装置40を全体制御する制御部であり、捜索対象管理部45a、捜索要求受付部45b、タグ検知結果受付部45c、行動分析部45d及び捜索処理部45eを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、捜索対象管理部45a、捜索要求受付部45b、タグ検知結果受付部45c、行動分析部45d及び捜索処理部45eにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
捜索対象管理部45aは、捜索対象候補を捜索対象管理データ44bに登録し、捜索対象候補に係る情報を管理する処理部である。捜索対象候補の登録は、例えば、捜索対象候補の家族などにより提供された情報に基づいて行われる。具体的には、捜索対象候補に対応付けられたタグIDである捜索対象候補タグIDと個人情報が登録される。個人情報としては、性別、年齢、氏名、要介護度、投薬情報、住所等を含めることができる。
捜索要求受付部45bは、捜索対象候補の家族などから捜索の要求を受け付ける処理部である。捜索対象管理データ44bでは、捜索対象候補タグIDに捜索対象指定の項目が対応付けられている。捜索要求受付部45bは、捜索の要求を受け付けると、指定された捜索対象候補タグIDの捜索対象指定を「あり」に設定する。そして、捜索の要求を受け付けていない、もしくは捜索の要求を受け付けた後に保護通知を受信した捜索対象候補タグIDの捜索対象指定は「なし」に設定する。すなわち、捜索対象指定「あり」とは、その時点で捜索の対象者であることを示し、捜索対象指定「なし」とはその時点では捜索の対象者ではないことを示す。
さらに、捜索要求受付部45bは、捜索の要求を受け付けた場合に、捜索処理データ44dを生成して記憶部44に格納する。捜索処理データ44dは、捜索処理を一意に識別する捜索処理IDに、捜索対象候補タグID、捜索要求元の情報、捜索対象について開示する情報、危険度、捜索状態、捜索指示依頼を送信した送受信装置、捜索中端末などを対応付けたデータである。
タグ検知結果受付部45cは、通信タグ10からタグIDを受信した送受信装置50が送信したタグIDを受信する処理部である。送受信装置50からタグIDを受信したならば、タグ検知結果受付部45cは、捜索対象管理データ44bを参照し、当該タグIDに対応する捜索対象指定を読み取る。捜索対象指定が「なし」であれば、タグ検知結果受付部45cは、行動分析部45dに以降の処理を行わせ、捜索対象指定が「あり」であれば、タグ検知結果受付部45cは、捜索処理部45eに以降の処理を行わせる。
行動分析部45dは、捜索対象に指定されていないタグIDを受信した場合に、送信元の送受信装置の識別情報に基づいて送受信装置管理データ44aを参照し、送信元の送受信装置の所在地を特定する。行動分析部45dは、特定した所在地、タグID及び日時を対応付けて行動履歴データ44cに登録する。日時は、特定した所在地にタグIDに対応する捜索対象候補が所在した日時を示すものである。この日時は、送受信装置50からタグIDとともに受信することとしてもよいが、タグIDを受信した日時自体を用いることとしてもよい。送受信装置50がタグIDを検知してから管理装置40がタグIDを受信するまでに要する時間は、対象者P1の移動速度に比して十分に小さいと見なせるからである。
行動分析部45dが行動履歴データ44cへのデータの登録を繰り返すことにより、捜索対象候補タグIDと所在地が対応付けられて蓄積される。行動分析部45dは、このようにして蓄積したデータから、捜索対象候補の行動パターンを分析する。行動パターンとしては、あまり移動を行わない、特定の目的地に向かって移動する、特定の交通手段で移動する、無作為に大きく移動する、などの行動の傾向を示す。
捜索処理部45eは、捜索処理を管理する処理部である。まず、捜索処理部45eは、捜索対象に指定されたタグIDを受信した場合に、送信元の送受信装置の識別情報に基づいて送受信装置管理データ44aを参照し、送信元の送受信装置の所在地を特定する。また、捜索処理部45eは、捜索対象の現在の状況の危険度を判定する。危険度は、送信元の送受信装置の所在地が交通量の極めて多い場所であるなど、地域の特定により捜索対象の身に起こりうる危険の可能性や深刻さを評価した値である。また、タグIDに基づいて捜索対象管理データ44bを参照し、捜索対象の要介護度や投薬情報を危険度の判定に用いることもできる。すなわち、要介護度や投薬情報によっては、送信元の送受信装置の所在地に関わらず危険度を高く判定するのである。
また、捜索処理部45eは、送信元の送受信装置に対して捜索指示依頼を送信する。この捜索指示依頼には、捜索対象のタグID、開示された個人情報などの情報を含む。危険度が高い場合には、送信元の送受信装置に加えて、周辺の送受信装置にも捜索指示依頼を送信することとしてもよい。捜索処理部45eは、捜索指示依頼の送信先を捜索処理データ44dに登録する。
捜索処理部45eは、捜索用端末30から捜索開始通知を受信したならば、該捜索用端末30の識別情報を捜索中端末として捜索処理データ44dに登録し、捜索状態を「捜索中」に更新する。
また、捜索処理部45eは、捜索用端末30から接近通知を受信すると、捜索要求元の依頼端末20に接近通知を送信する。
さらに、捜索処理部45eは、捜索用端末30から保護通知を受信すると、対象が保護されたことを捜索処理データ44dに登録するとともに、捜索要求元の依頼端末20に保護通知を送信する。そして、捜索処理データ44dに示された捜索指示依頼を送信した送受信装置50と、捜索中端末に捜索終了通知を送信する。
また、捜索処理部45eは、最後に捜索指示依頼を送信してから接近通知を受信することなく所定時間が経過した場合には、他の送受信装置50にも捜索指示依頼を送信することで、捜索範囲を拡大する。
このとき、捜索処理部45eは、対象者の行動パターンに基づいて、捜索指示依頼の追加の宛先となる送受信装置50を決定する。例えば、行動パターンが「あまり移動を行わない」ことを示しているならば、捜索指示依頼を送信済の送受信装置50の周辺に所在する他の送受信装置50を宛先とする。また、行動パターンが「特定の目的地に向かって移動する」ことを示しているならば、目的地近傍や目的地までの経路上に所在する送受信装置50を捜索指示依頼の追加の宛先とする。
また、危険度が高い場合には、より多くの送受信装置50を追加の宛先として選択することで、早期の保護を期す。なお、要介護度や投薬情報などによっては、緊急対処ができる警備員などの捜索への動員や、医療関係者の派遣を行うこととしてもよい。
また、捜索要求元の依頼端末20に接近通知を送信する際に、保護の要否を確認することとしてもよい。さらに、対象者P1の氏名、顔写真など捜索指示時に開示した情報と比べてより個人を特定できる情報を追加して公開してよいかも確認することとしてもよい。
かかる構成では、捜索処理部45eは、依頼端末20から保護要求を受けた場合、接近通知を送信した捜索用端末30に保護指示を送信する。追加して公開する情報があるならば、この保護指示に追加の情報を含める。捜索者P3は、保護指示を受信すると、追加された情報を利用し、対象者P1を捜索することができる。また、捜索要求元が保護の要否や追加して情報を公開するか否かを判断するための指標となる情報を、保護の要否を確認する際に捜索要求元に提供することも有効である。具体的には、対象者P1の危険度や対象者P1に接近した捜索者P3に関する情報を提供することができる。かかる情報を提供すれば、「危険度が高いので捜索者P3が一般ユーザであっても保護を依頼する」、「一般ユーザの捜索者P3には保護を依頼するが追加の情報は公開しない」などのように状況に応じた判断が可能となる。
また、捜索の要求を受け付けて、捜索対象管理データ44bの捜索対象候補タグIDの捜索対象指定を「あり」に設定してから、所定時間経過しても当該捜索対象候補タグIDを送受信装置50から受信しない場合には、捜索処理部45eが警察等への通報を行うように構成してもよい。捜索対象候補タグIDを送受信装置50から受信していない状態では、捜索の手がかりとなる情報がないために警備会社では対応できないが、対象者P1が危険な状態であることには変わりない。そこで、このような状態では警察等に通報を行うことで、対象者P1の保護を試みるのである。
次に、管理装置40の記憶部44に格納されるデータについて具体的に説明する。図9及び図10は、管理装置40の記憶部44に格納されるデータの説明図である。図9(a)に示すように、送受信装置管理データ44aは、送受信装置の識別情報である送受信装置IDに、その所在地、種別及び管理者を関連付けたデータである。図9(a)に示した例では、送受信装置ID「B0001」である送受信装置が所在地「E県F市・・・」に設置された「ホームコントローラ」であり、「居住者」によって管理されていることを示している。
また、図9(b)に示すように、捜索対象管理データ44bは、捜索対象候補タグIDに対し、個人情報、捜索対象指定及び行動パターンを対応付けたデータである。捜索対象候補タグIDは、捜索対象候補の靴などに付設された通信タグ10のタグIDである。個人情報は、捜索対象候補の登録時に提供された各種情報である。捜索対象指定は、その時点で捜索の対象者として指定されているか否かを示す。行動パターンは、行動分析部45dによる分析の結果である。
図9(b)に示した例では、捜索対象候補タグID「T0001」に対し、個人情報として「性別、年齢、氏名、要介護度、投薬情報、住所」などが対応付けられている。また、捜索対象指定「あり」、行動パターン「移動傾向:小」が対応付けられている。なお、行動パターン「移動傾向:小」とは、当該捜索対象候補者があまり移動を行わない傾向にあることを示している。行動パターンについては適宜分類して設定し、任意の名称を付すことができる。
また、図10(c)に示すように、行動履歴データ44cは、捜索対象者候補タグIDに対し、日時と場所を随時登録したデータである。図10(c)の例では、捜索対象候補タグID「T0001」に対し「2015/10/11 15:02 E県F市・・・」などが対応付けられている。
また、図10(d)に示すように、捜索処理データ44dは、捜索処理IDに、捜索対象候補タグID、捜索要求日時、捜索要求元の情報、捜索対象の開示情報、危険度、捜索状態、捜索指示依頼を送信した送受信装置と送信日時、捜索中端末などを対応付けたデータである。図10(d)に示した例では、捜索処理ID「D0001」が付された捜索処理は、捜索対象候補タグID「T0001」を捜索する処理であることを示している。また、捜索要求は「2015/10/16 13:29」に行われ、捜索を依頼した人物の氏名と連絡先を登録している。さらに、捜索対象について「男性、82歳」であることを開示することを示している。また、捜索処理部45eにより危険度が「高」に設定され、捜索状態が「捜索中」であることを示している。また、ID「B0022」の送受信装置50に対して「2015/10/16 13:30」に捜索指示依頼を送信したことを示している。また、ID「C0017」の捜索用端末30とID「C0203」の捜索用端末30とから捜索開始通知を受信したことを示している。
なお、捜索状態「捜索中」とは、いずれかの送受信装置50に捜索指示依頼を送信して捜索用端末30から捜索開始通知を受信し、かつ保護通知を受信していない状態である。この捜索状態は、初期値が「捜索要求受付」であり、いずれかの送受信装置50に捜索指示依頼を送信した場合に「捜索指示依頼送信済」となる。その後、捜索用端末30から捜索開始通知を受信した場合に「捜索中」に更新され、保護通知を受信した場合に「捜索終了」に更新される。
次に、捜索システムにおける基本的な処理手順について説明する。説明を簡明にするため、捜索対象指定「なし」のタグIDに対する処理と、捜索対象指定「あり」のタグIDに対する処理とをそれぞれ示す。
図11は、捜索対象指定「なし」のタグIDに対する処理の説明図である。図11に示すように、通信タグ10は、送受信装置50に対象者が接近すると、送受信装置50にタグIDを送信する(ステップS101)。送受信装置50は、受信したタグIDを管理装置40に送信する(ステップS201)。
管理装置40は、送受信装置50からタグIDを受信すると、受信したタグIDに基づいて対象者を特定する(ステップS301)。ここでは、捜索対象指定「なし」であるので、管理装置40は、送信元の送受信装置の所在地を特定し、特定した所在地、タグID及び日時を対応付けて行動履歴データ44cに登録することで、行動パターン分析用のデータの蓄積を行う(ステップS302)。そして、蓄積したデータから捜索対象候補の行動パターンを分析する(ステップS303)。
捜索対象指定「あり」のタグIDに対する処理は、捜索者P3が捜索指示に対して協力の意志を示す場合、捜索指示に協力できない意思を示す場合、捜索指示を認識していない場合で異なる。
具体的には、捜索者P3が捜索指示に対して協力の意志を示す場合とは、捜索者P3が捜索用端末30に捜索開始の操作入力を行った場合である。捜索指示に協力できない意思を示す場合とは、捜索者P3が捜索用端末30に捜索不可の操作入力を行った場合である。捜索指示を認識していない場合とは、捜索開始の操作入力も捜索不可の操作入力もないまま所定時間が経過した場合である。
図12は、捜索者が捜索指示に対して協力の意志を示す場合の処理の説明図である。まず、依頼端末20が管理装置40に捜索要求を送信する(ステップS510)。管理装置40は、捜索要求に示された捜索対象候補タグIDの捜索対象指定を「あり」に設定し、捜索処理データ44dを生成して記憶部44に格納することで、捜索対象の登録を行う(ステップS310)。
通信タグ10は、送受信装置50に対象者が接近すると、送受信装置50にタグIDを送信する(ステップS111)。送受信装置50は、受信したタグIDを管理装置40に送信する(ステップS211)。
管理装置40は、送受信装置50からタグIDを受信すると、受信したタグIDに基づいて対象者を特定する(ステップS311)。ここでは、捜索対象指定「あり」であるので、管理装置40は、送受信装置50を捜索指示依頼の送信先として捜索処理データ44dに登録し(ステップS312)、捜索指示依頼を送受信装置50に対して送信する(ステップS313)。
捜索指示依頼を受信した送受信装置50は、自装置の周辺に所在する捜索用端末30に対象者の捜索指示を送信する(ステップS212)。捜索用端末30は、送受信装置50から捜索指示を受信すると、表示部31に捜索指示を表示する(ステップS411)。そして、索開始操作を受け付けると(ステップS412)、管理装置40に捜索開始通知を送信する(ステップS413)。
管理装置40は、捜索用端末30から捜索開始通知を受信したならば、該捜索用端末30の識別情報を捜索中端末として捜索処理データ44dに登録する(ステップS314)。
その後、通信タグ10が捜索用端末30に接近すると、通信タグ10は、捜索用端末30にタグIDを送信する(ステップS112)。捜索用端末30は、受信したタグIDが捜索指示に示されたタグIDと一致したならば、管理装置40に接近通知を送信する(ステップS414)。
また、管理装置40は、捜索用端末30から接近通知を受信すると、捜索要求元の依頼端末20に接近通知を送信する(ステップS315)。接近通知を受信した依頼端末20は、保護要求を管理装置40に送信することができる(ステップS511)。このとき、対象について公開する情報を追加することが可能である。管理装置40は、依頼端末20から保護要求を受けた場合、接近通知を送信した捜索用端末30に保護指示を送信する(ステップS316)。追加して公開する情報があるならば、この保護指示に追加の情報を含める。捜索用端末30は、保護指示を受信したならば、保護指示に示された情報を捜索者P3に報知する。
その後、保護操作を受け付けると(ステップS415)、捜索用端末30は、管理装置40に保護通知を送信する(ステップS416)。保護通知を受けた管理装置40は、捜索要求元の依頼端末20に保護通知を送信する(ステップS317)。そして、捜索処理データ44dに示された捜索指示依頼の送信先と、捜索中端末に捜索終了通知を送信する(ステップS318)。
図13は、捜索者P3が捜索指示に対して協力できない意志を示す場合の処理の説明図である。なお、図13の処理において図12と同じステップ番号を付したものについては同様の処理であるため説明を省略する。
捜索用端末30は、送受信装置50から捜索指示を受信し、表示部31への捜索指示の表示(ステップS411)を行った後、捜索不可操作を受け付けると(ステップS421)、当該捜索指示について捜索不可を選択し(ステップS422)、捜索指示データ35aに登録して管理する(ステップS423)。そして、捜索指示受信部36bは、捜索指示に係る表示部31の表示を消去する(ステップS424)。このように、捜索不可を登録した場合には、送受信装置50が再び捜索指示を送信しても(ステップS221)、捜索指示に係る表示部31の表示を行わない(ステップS425)。
図14は、捜索者P3が捜索指示を認識していない場合の処理の説明図である。なお、図14の処理において図12と同じステップ番号を付したものについては同様の処理であるため説明を省略する。
捜索用端末30が送受信装置50から捜索指示を受信し、表示部31への捜索指示の表示(ステップS411)を行った後、捜索開始の操作入力も捜索不可の操作入力もないまま所定時間が経過したならば(ステップS431)、捜索用端末30は、捜索指示に係る表示部31の表示を消去する(ステップS432)。この場合には、捜索不可を登録していないので、送受信装置50が再び捜索指示を送信すれば(ステップS231)、捜索用端末30は、表示部31への捜索指示の表示を再度行うことになる(ステップS433)。そのため、捜索開始の操作入力を受け付け可能であり、以降の処理は図12と同様となる。また、操作不可の入力を行えば、以降の処理は図13と同様となる。
次に、管理装置40の処理手順について説明する。図15は、管理装置40の処理手順を示すフローチャートである。まず、捜索要求受付部45bは、捜索対象候補の家族などから捜索の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS1001)。
捜索要求受付部45bは、捜索の要求を受け付けると(ステップS1001;Yes)、指定された捜索対象候補タグIDに対応する捜索対象管理データ44bの捜索対象指定を「あり」に設定して更新する(ステップS1002)とともに、当該捜索の要求に対応する捜索処理データ44dを生成して記憶部44に格納する(ステップS1003)。
ステップS1003の後、若しくは捜索の要求を受け付けていない場合(ステップS1001;No)、タグ検知結果受付部45cは、送受信装置50からタグIDを受信したか否かを判定する(ステップS1004)。送受信装置50からタグIDを受信していなければ(ステップS1004;No)、後述する経過時間確認処理を実行し(ステップS1011)、処理を終了する。
送受信装置50からタグIDを受信したならば(ステップS1004;Yes)、タグ検知結果受付部45cは、捜索対象管理データ44bを参照し、当該タグIDに対応する捜索対象候補を特定する(ステップS1005)。そして、その捜索対象指定が「あり」に設定されているか否かを判定する(ステップS1006)。
捜索対象指定が「なし」であれば(ステップS1006;No)、行動分析部45dは、送信元の送受信装置の所在地を特定し、特定した所在地、タグID及び日時を対応付けて行動履歴データ44cに登録することで、行動パターン分析用のデータの蓄積を行う(ステップS1007)。そして、蓄積したデータから捜索対象候補の行動パターンを分析し(ステップS1008)、処理を終了する。
一方、捜索対象指定が「あり」であれば(ステップS1006;Yes)、捜索処理部45eによる後述する捜索処理(ステップS1009)及び後述する保護処理(ステップS1010)を実行し、処理を終了することになる。
図16は、図15に示した捜索処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。捜索処理部45eは、まず、タグIDの送信元の送受信装置の識別情報に基づいて送受信装置管理データ44aを参照し、送信元の送受信装置の所在地を特定する(ステップS1101)。さらに、捜索処理部45eは、送信元の送受信装置の所在地や要介護度、投薬情報などにより危険度を判定する(ステップS1102)。
捜索処理部45eは、特定した所在地及び危険度に基づいて、捜索指示依頼の宛先となる送受信装置50を決定し(ステップS1103)、捜索指示依頼を送信する(ステップS1104)。
ステップS1104の後、捜索処理部45eは、捜索用端末30から捜索開始通知を受信したか否かを判定する(ステップS1105)。捜索開始通知を受信したならば(ステップS1105;Yes)、送信元の捜索用端末30を捜索中端末として捜索処理データ44dに登録する(ステップS1106)。
ステップS1106の後、若しくは捜索開始通知を受信していない場合(ステップS1105;No)、捜索処理部45eは、捜索用端末30から接近通知を受信したか否かを判定する(ステップS1107)。そして、接近通知を受信していなければ(ステップS1107;No)、最後に捜索指示依頼を送信してから所定時間が経過した否かを判定する(ステップS1108)。
最後の捜索指示依頼を送信してから所定時間が経過したならば(ステップS1108;Yes)、捜索処理部45eは、タグIDに基づいて捜索対象管理データ44bを参照し、捜索対象候補の行動パターンを特定する(ステップS1109)。そして、特定した行動パターンを用いて捜索指示依頼の宛先を追加選択し、捜索指示依頼を送信する(ステップS1110)。
ステップS1110の後、もしくは最後の捜索指示依頼を送信してから所定時間が経過していなければ(ステップS1108;No)、捜索処理部45eは、ステップS1105に移行して捜索開始通知を受信したか否かを判定する。
接近通知を受信したならば(ステップS1107;Yes)、捜索処理部45eは、捜索要求元の依頼端末20に接近通知を送信し(ステップS1111)、元の処理に戻る。
図17は、図15に示した保護処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。捜索処理部45eは、捜索用端末30から保護通知を受信したか否かを判定する(ステップS1201)。保護通知を受信していなければ(ステップS1201;No)、ステップS1201に移行することで、保護通知の受信を待機する。
保護通知を受信したならば(ステップS1201;Yes)、捜索処理部45eは、対応する捜索対象候補タグIDの捜索対象指定を「なし」として捜索対象管理データ44bを更新する(ステップS1202)。また、捜索処理部45eは、対応する捜索処理データ44dの捜索状態を「捜索終了」として更新する(ステップS1203)。
その後、捜索処理部45eは、捜索要求元の依頼端末20に保護通知を送信する(ステップS1204)。そして、捜索処理データ44dに示された捜索指示依頼を送信した送受信装置と、捜索中端末に捜索終了通知を送信し(ステップS1205)、元の処理に戻る。
図18は、図15に示した経過時間確認処理の詳細な処理手順を示すフローチャートである。捜索処理部45eは、捜索処理データ44dを1つ選択し(ステップS1301)、送受信装置50からタグIDを受信済であるか否かを判定する(ステップS1302)。
送受信装置50からタグIDを受信していなければ(ステップS1302;No)、捜索処理部45eは、捜索処理データ44dに示された捜索要求日時から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1303)。その結果、捜索要求日時から所定時間が経過していれば(ステップS1303;Yes)、捜索処理部45eは、警察等への通報を行う(ステップS1304)。
ステップS1304の後、若しくは送受信装置50からタグIDを受信済である場合(ステップS1302;Yes)、若しくは捜索要求日時から所定時間が経過していない場合(ステップS1303;No)、捜索処理部45eは、捜索処理データ44dを全て選択済であるか否かを判定する(ステップS1305)。
未選択の捜索処理データ44dが残っていれば(ステップS1305;No)、捜索処理部45eは、ステップS1301に移行して未選択の捜索処理データ44dを1つ選択する。そして、捜索処理データ44dを全て選択済である場合には(ステップS1305;Yes)、処理を終了する。
これまでの説明では、送受信装置を特定の場所に固定して設置し、その所在地を管理装置に予め登録して管理する構成を例示したが、送受信装置の所在地は外部から取得してもよい。
図19は、送受信装置の所在地の取得に係る変形例の説明図である。図19に示したように、車両などの移動体に送受信装置を搭載してもよい。かかる構成では、送受信装置が対象者のタグIDを受信した時の位置情報をGPS(Global Positioning System)などにより特定し、タグIDと位置情報を管理装置140に送信する。
また、住居等に固定された送受信装置であっても、対象者のタグIDを受信し、管理装置140に送信する際に、自装置の設置位置の住所情報を付加して送信することができる。
このように、送受信装置が所在地を特定する情報を送信すれば、管理装置140は送受信装置の所在地を管理せずとも対象者の位置を特定することが可能となる。
上述してきたように、本実施例に係る捜索システムでは、対象者P1の靴などに通信タグ10を付設し、ホームコントローラなどの送受信装置50が通信タグ10から受信したタグIDを管理装置40に送信し、管理装置40は受信したタグIDが捜索対象に指定されているならば捜索用端末30に捜索指示を送信することで捜索者P3に対象者P1の捜索を依頼する。かかる構成により、対象者P1や該対象の関係者のプライバシーを保護しつつ、効率的な捜索を実現することができる。
また、送受信装置に対して捜索指示依頼を送信し、捜索指示依頼を受信した送受信装置が自装置の周囲に所在する捜索用端末30に捜索指示を送信するので、対象者P1の近傍に所在する捜索者P3に対してのみ協力を求めることができる。このように、捜索に協力することができる可能性が高い捜索者P3に対してのみ捜索の協力を求めるため、捜索の効率化を実現することができる。さらに、対象者P1に関する情報を開示する捜索者P3が限定されるので、対象者P1と該対象の関係者のプライバシーに配慮した捜索の実現が可能である。
さらに、対象者P1の位置を随時取得して蓄積し、対象者P1の行動パターンを分析し、分析した行動パターンに基づいて捜索指示依頼の送信先を決定するので、対象者P1を効率的に捜索することができる。
また、捜索指示依頼を送信してから所定時間以上、対象者P1を保護できない場合には、管理装置40は、他の送受信装置50にも捜索指示依頼を送信することで、捜索範囲を拡大することができる。
また、対象者P1の所在地や要介護度などに基づいて危険度を判定し、危険度が高い場合には、最初から複数の送受信装置50に捜索指示依頼を送信する、警備員などを捜索に動員する、などのように捜索指示依頼の内容を決定することで、状況に応じた捜索を実現できる。
また、所定の所在地に固定して設置された送受信装置50を用いるので、送受信装置の所在地を簡易に特定し、かかる所在地を対象者P1の位置情報として利用できる。
また、上述の実施例では、対象者P1が高齢者である場合を例に説明を行ったが、子供など捜索の対象となる可能性のある任意の人物について本発明を適用することができる。また、ペットの首輪などに通信タグ10を付設し、ペットの捜索を行うことができるようにしてもよい。