図1は、実施例1に係る捜索の概要についての説明図である。本実施例1に係る捜索システムでは、捜索対象となる対象者P1は、通信タグ10を装着した靴を履いている。対象者P1は、例えば認知症を患った高齢者であり、外出すると行方不明となる可能性がある人物である。
また、通信タグ10が装着された靴は、通信タグ10の装着部の色が靴自体の色と大きく異なるなどの外見的特徴を有しており、捜索対象の人物であることを目視により確認可能である。通信タグ10は、近距離無線通信により、タグIDを周囲に送信する機能を有する。この通信タグ10は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)タグなどを用いることが好適である。さらに、通信タグ10は、位置情報の取得機能や、近距離無線通信よりも通信距離の大きい他の通信機能などを排することで小型かつ省電力とすることが好ましい。
対象者の家族P2は、対象者P1が捜索により発見された場合に連絡を受け、対象者P1の引き取りを行う人物であり、連絡先端末20を携行する。ここでは対象者P1の家族を例示したが、対象者P1が入居している施設の職員など、対象者P1の保護を任された人物であってもよい。
捜索者P3は、対象者P1の捜索に協力する人物であり、捜索用端末30を携行する。捜索者P3は、例えば地域のボランティアなど、比較的責任のない人物を含めることができる。
管理装置40は、対象者P1の捜索を管理し、支援する装置である。管理装置40は、通信タグ10のタグIDと、対象者P1の個人情報とを対応付けて管理している。個人情報には、対象者P1の氏名や家族P2の氏名を含めることができる。また、タグIDには、家族P2の連絡先なども対応付けることができる。なお、管理装置40は捜索を行う地域に設ける必要は無く、遠隔地に設置できる。例えば、警備会社のセンタなどに設ければよい。
警備隊員P5は、例えば警備会社の職員である。警備隊員P5は、管理装置40からの指示に応じ、対象者の家族P2に代わって対象者P1の引き取りを行うことができる。警察官P6は、例えば管理装置40から対象者P1に関する情報を受け取り、対象者P1の捜索や確保を行う。
次に、捜索の手順について説明する。まず、捜索者P3は、対象者P1の靴を目視し、その外見的特徴から対象者P1が捜索対象の人物であることを確認する。このようにして対象者P1を発見した捜索者P3は、対象者P1に接近して話しかけ、確保する。
捜索者P3に対象者P1が接近すると、通信タグ10と捜索用端末30との間で近距離無線通信が可能となり、捜索用端末30は、通信タグ10からタグIDを受信する。捜索用端末30は、タグIDに対応付けられた連絡先端末20に対象者P1の発見を通知する(s1)。
タグIDに対応付けられた連絡先は、捜索者P3には開示されず、捜索者P3はタグID自体など、対象者P1やその家族P2の個人情報を含まない情報のみを確認可能である。捜索者P3は、対象者P1の発見を管理装置40に報告する(s2)。捜索者P3による報告は、少なくともタグIDを含む。また、捜索用端末30が通話接続を行い、捜索者P3が発見時の状況を説明することとしてもよい。なお、タグIDの管理装置40への報告は、捜索者P3が口頭にて行ってもよいが、捜索用端末30が自動で送信してもよい。
管理装置40は、捜索用端末30からタグIDを含む発見の報告を受けると、対象者P1の発見をその地域の警察官P6と対象者の家族P2に伝える(s3)。このとき、管理装置40は、タグIDに基づいて個人情報を参照し、対象者の家族P2及び警察官P6に対して個人情報を含む必要な情報を開示する。また、捜索者P3から状況の説明があった場合には、その状況も開示することができる。
対象者の家族P2は、管理装置40から開示された情報に基づき、対象者P1の引き取りに向かうことになる。対象者の家族P2が現場に行けない場合は、対象者の家族P2は、管理装置40に警備隊員の派遣を依頼することができる(s4)。
警備隊員の派遣を依頼された管理装置40は、最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行う。この派遣指示には、対象者P1の氏名等の個人情報を必要に応じて含めることが望ましい。警備隊員P5は、管理装置40からの指示に応じ、家族P2に代わって現場に急行し、対象者P1の引き取りを行う(s5)。
このように、本実施例に係る捜索システムでは、対象者P1は、外見的特徴を有する靴に通信タグ10を装着し、捜索用端末30を携行した捜索者P3が接近することで捜索用端末30に通信タグ10のタグIDを読み取らせる。そして、捜索者P3に個人情報を開示することなくタグIDを管理装置40に通知させ、タグIDと個人情報とを対応付けて管理する管理装置40が必要に応じて個人情報を開示する。かかる構成により、捜索者P3に個人情報を開示することなく、捜索者P3を動員可能である。このため、対象者P1や家族P2のプライバシーを保護しつつ、効率的な捜索を実現することができる。
次に、図1に示した通信タグ10の内部構成について説明する。図2は、図1に示した通信タグ10の内部構成を示す構成図である。図2に示すように、通信タグ10は、近距離無線通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。
近距離無線通信部11は、例えばBLE通信インタフェースである。記憶部12は、例えば、不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、通信タグ10を一意に特定するタグIDを記憶する。
制御部13は、通信タグ10の動作を制御する制御部であり、近距離無線通信制御部13a及びタグID送信部13bを有する。近距離無線通信制御部13aは、近距離無線通信部11による通信を制御する処理部であり、所定範囲内に通信相手となる端末が存在する場合に当該端末との近距離無線通信を確立する。タグID送信部13bは、近距離無線通信制御部13aにより確立された近距離無線通信によってタグID12aを送信する処理部である。
なお、ここでは通信相手となる端末を検知して近距離無線通信を確立し、タグID12aを送信する動作を例示したが、定期的にタグID12aを周囲に送信する動作であってもよい。また、通信タグ10は受信状態で待機することとし、捜索用端末30から定期的に発信される信号を受信した場合に、通信タグ10がタグID12aを送信するよう動作させてもよい。
次に、図1に示した捜索用端末30の内部構成について説明する。図3は、図1に示した捜索用端末30の内部構成を示す構成図である。捜索用端末30は、専用の装置であってもよいが、携帯電話端末やスマートフォンなどであってもよい。図3に示すように、捜索用端末30は、表示部31、入力部32、無線通信部33、近距離無線通信部34、GPS信号受信部35、記憶部36及び制御部37を有する。
表示部31は、液晶パネルなどの出力インタフェースである。入力部32は、捜索者P3による入力操作に用いられるキーやタッチパネルなどの入力インタフェースである。表示部31と入力部32とは、タッチパネルディスプレイとして一体化したものであってもよい。
無線通信部33は、管理装置40や連絡先端末20との通信を行うための通信インタフェースであり、近距離無線通信部34は、通信タグ10と近距離無線通信を行うための通信インタフェースである。GPS信号受信部35は、GPS(Global Positioning System)人工衛星からの信号を受信するための通信インタフェースである。
記憶部36は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、捜索対象データ36aを記憶する。捜索対象データ36aは、タグIDと通知先とを対応付けたデータである。通知先は、管理装置40のアドレスと連絡先端末20のアドレスとを含む。なお、アドレスには、電話番号を含めることができる。
制御部37は、捜索用端末30を全体制御する制御部であり、タグID取得部37a、位置情報取得部37b、捜索結果通知部37c及び無線通信処理部37dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、タグID取得部37a、位置情報取得部37b、捜索結果通知部37c及び無線通信処理部37dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
タグID取得部37aは、近距離無線通信部34により通信タグ10からタグID(図2に示したタグID12a)を取得する処理部である。
位置情報取得部37bは、タグID取得部37aがタグIDを取得した場合に、GPS信号受信部35により受信した信号に基づいて捜索用端末30の位置情報を算定する処理部である。
捜索結果通知部37cは、タグID取得部37aがタグIDを取得した場合に、捜索対象データ36aを参照し、管理装置40及び連絡先端末20に対象者P1の発見を通知する処理部である。この通知には、タグIDと位置情報取得部37bにより算定された位置情報とを含める。捜索用端末30の識別情報等をさらに含めてもよい。
また、捜索結果通知部37cは、タグID取得部37aがタグIDを取得した場合に、表示部31にタグIDなどを表示することで、捜索者P3への報知を行う。この報知には、管理装置40との通話を促す表示を含めてもよい。
無線通信処理部37dは、無線通信部33を用い、捜索用端末30と管理装置40との通話接続を行う処理部である。捜索者P3は、この通話接続により対象者P1の発見の報告や状況の説明を行うことができる。
さらに、無線通信処理部37dは、管理装置40から対処情報を受信した場合には、受信した対処情報を表示部31に表示することで、捜索者P3への対処情報の報知を行う。このため、捜索者P3は、事前に対象者P1の個人情報を知らなくとも、対処情報に従って適切な対処を行うことができる。
次に、図1に示した連絡先端末20の内部構成について説明する。図4は、図1に示した連絡先端末20の内部構成を示す構成図である。連絡先端末20は、専用の装置であってもよいが、携帯電話端末やスマートフォンなどであってもよい。図4に示すように、連絡先端末20は、表示部21、入力部22、無線通信部23、記憶部24及び制御部25を有する。
表示部21は、液晶パネルなどの出力インタフェースである。入力部22は、対象者の家族P2による入力操作に用いられるキーやタッチパネルなどの入力インタフェースである。表示部21と入力部22とは、タッチパネルディスプレイとして一体化したものであってもよい。
無線通信部23は、管理装置40や捜索用端末30との通信を行うための通信インタフェースである。記憶部24は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、捜索対象データ24aを記憶する。捜索対象データ24aは、タグIDと個人情報とを対応付けたデータである。個人情報は、対象者P1の氏名等である。
制御部25は、連絡先端末20を全体制御する制御部であり、捜索結果受信部25a及び無線通信処理部25bを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、捜索結果受信部25a及び無線通信処理部25bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
捜索結果受信部25aは、捜索用端末30や管理装置40から捜索結果を受信した場合に、受信した内容を表示部21に表示制御することで、対象者の家族P2に報知を行う処理部である。この報知により、対象者の家族P2は、対象者P1が発見されたこと、対象者P1の位置、対象者P1の状況を知り、対象者P1の引き取りに向かうことができる。
無線通信処理部25bは、無線通信部23を用い、連絡先端末20と管理装置40との通話接続を行う処理部である。対象者の家族P2は、この通話接続により対象者P1の発見の報告や状況の説明を受けることができる。また、対象者の家族P2は、通話接続により管理装置40に警備隊員の派遣を依頼することができる。
次に、図1に示した管理装置40の内部構成について説明する。図5は、図1に示した管理装置40の内部構成を示す構成図である。図5に示すように、管理装置40は、表示部41、入力部42、通信部43、記憶部44及び制御部45を有する。
表示部41は、液晶パネルやディスプレイ装置等である。入力部42は、キーボードやマウス等である。通信部43は、捜索用端末30や連絡先端末20と通信するためのインタフェース部である。また、通信部43は、警察官P6への連絡や警備隊員P5への派遣指示にも用いられる。
記憶部44は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、捜索対象データ44aを記憶する。捜索対象データ44aは、タグIDに通知先及び個人情報を対応付けたデータである。通知先は、連絡先端末20のアドレスを示す。個人情報は、対象者P1の氏名、対象者の家族P2の氏名や住所等である。また、対象者P1に対して行うべき対処がある場合には、その対処も個人情報に含まれる。例えば、対象者P1に持病があり、特定の手当が必要である場合には、その手当の情報が対処の内容として個人情報に含められる。
制御部45は、管理装置40を全体制御する制御部であり、捜索結果受信部45a、捜索対象特定部45b及び捜索結果処理部45cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、捜索結果受信部45a、捜索対象特定部45b及び捜索結果処理部45cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
捜索結果受信部45aは、捜索用端末30から捜索結果を受信する処理部である。この捜索結果には、タグIDと捜索用端末30の位置情報を含む。捜索用端末30の識別情報等をさらに含んでもよい。さらに、捜索結果に日時情報を付加してもよい。日時情報は、位置情報とともに受信してもよいし、位置情報の受信日時を用いてもよい。また、捜索結果受信部45aは、捜索用端末30と通話接続し、管理装置40のオペレータが捜索者P3からの状況説明を受けることができるようにする。管理装置40のオペレータは、捜索者P3から状況説明があった場合には、その内容を入力部42により入力することで捜索結果に含める。
捜索対象特定部45bは、捜索結果に含まれるタグIDにより捜索対象データ44aを検索し、捜索対象を特定する処理部である。この捜索対象特定部45bの処理により、発見された対象者P1の個人情報、対象者の家族P2の通知先および個人情報が特定されることになる。
捜索結果処理部45cは、対象者P1の発見をその地域の警察官P6と対象者の家族P2に伝える処理を行う。このとき、捜索結果処理部45cは、捜索対象特定部45bによる特定の結果に基づいて、対象者の家族P2及び警察官P6に対して位置情報や個人情報を含む必要な情報を開示する。また、捜索者P3から状況の説明があった場合には、その状況も開示することができる。捜索結果処理部45cによる発見の報告や情報の開示は、データの送信により行ってもよいし、オペレータが通話により行ってもよい。また、その双方を行うこととしてもよい。
また、捜索結果処理部45cは、捜索用端末30に対して各種対処情報を通知することで、捜索者P3に対処情報を報知させる。対処情報としては、例えば救護措置の実施、所定の場所への誘導、関係機関への通報などがある。どのような対処が必要であるかは、個人情報に含められているものが利用できる。また、捜索者P3からの報告された状況により対処を決定することもできる。さらに、個人情報と状況とを加味して対処を決定することも可能である。また、捜索結果の送信元の捜索用端末30に限らず、近傍に所在する捜索用端末30に応援要請を行うこともできる。例えば、全ての捜索用端末30の位置情報を定期的に取得して管理しておけば、対象者P1の近傍に所在する捜索用端末30を特定し、特定した捜索用端末30に応援要請を送信可能である。
また、捜索結果処理部45cは、対象者の家族P2から警備隊員の派遣を依頼された場合には、対象者P1の位置情報に基づいて最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行う。この派遣指示には、対象者P1の氏名等の個人情報を必要に応じて含める。
次に、捜索システムの動作について説明する。図6は、実施例1に係る捜索システムの動作を説明する説明図である。捜索者P3が対象者P1に接近すると、通信タグ10は、捜索用端末30にタグIDを送信する(ステップS101)。
捜索用端末30は、タグIDを受信すると、GPS人工衛星から受信した信号に基づいて位置情報を算定し(ステップS301)、管理装置40及び連絡先端末20に対象者P1の発見を通知する(ステップS302)。さらに、捜索用端末30は、管理装置40と通話接続し、捜索者P3に発見の報告と状況の説明を行わせる(ステップS303)。
対象者P1の発見を通知された管理装置40は、タグIDから対象者P1を特定し(ステップS401)、対象者P1の個人情報を読み出して(ステップS402)、連絡先端末20に対象者P1の発見を通知する(ステップS403)。管理装置40からの発見の通知には、捜索用端末30からの発見の通知よりも詳細な情報が含まれる。管理装置40が有する個人情報に加えて捜索者P3から説明された状況などを含めることができるためである。また、管理装置40は、必要に応じて捜索用端末30に対処情報を送信する(ステップS404)。
対象者P1の発見を通知された連絡先端末20は、管理装置40に対して警備隊員の派遣依頼を行うことができる(ステップS201)。警備隊員の派遣依頼を受けた管理装置40は、対象者P1の位置情報に基づいて最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行う(ステップS405)。
次に、図1に示した捜索の手順について詳細に説明する。図7〜図10は、実施例1に係る捜索の手順の詳細を説明する説明図である。図7に示すように、捜索者P3は、対象者P1の靴を目視し、その外見的特徴から対象者P1が捜索対象の人物であることを確認する。このようにして対象者P1を発見した捜索者P3は、対象者P1に接近して話しかけ、確保する(s1−1)。
対象者の家族P2が捜索依頼を行うことで、対象者P1がどこかにいることは周知されており、また、対象者P1が外見的特徴のある靴を履いていることも事前に伝えられているため、捜索者P3は、対象者P1の個人情報を知らずとも身柄の確保ができる。従来であれば、対象者P1は名札を持たされるなど個人情報が分かる状態であったが、靴の外見的特徴で識別可能とすることにより、対象者P1の個人情報を公開する必要が無く、捜索の対象であることだけが分かればよいため、対象者P1のプライバシーが保護される。
捜索者P3に対象者P1が接近すると、通信タグ10と捜索用端末30との間で近距離無線通信が可能となり、捜索用端末30は、通信タグ10からタグIDを受信する(s1−2)。捜索用端末30は、タグIDに対応付けられた連絡先端末20に対象者P1の発見を自動的に通知する(s1−3)。そして、対象者の家族P2は、発見されたときの位置情報を捜索用端末30から取得できる(s1−4)。
次に、図8に示すように、捜索用端末30が管理装置40に対して対象者P1の発見を通知する(s2−1)。この通知には、少なくともタグIDを含む。さらに、捜索用端末30が管理装置40と通話接続を行い、捜索者P3に発見時の状況を説明させる(s2−2)。
捜索者P3が対象者の家族P2に直接に発見を通知することとすると、対象者の家族P2の個人情報を公開する必要がある。そこで、本捜索システムでは、管理装置40を介在させることで、対象者の家族P2の個人情報を非公開としている。また、捜索者P3は管理装置40に対象者P1の発見を伝える手段をもつため、捜索者P3が善意で対象者P1の身柄を確保したときに、その後の対応に困ることがない。そのため、自治体などで対象者P1を見守りたいという気持ちを殺がない。そして、管理装置40は、広域を統括して無休で稼働可能であるので、自治体ごとに捜索用の拠点を用意する場合のように人員や時間の制限を受けることがない。
次に、図9に示すように、管理装置40は、対象者の家族P2への情報提供(s3−1)と警察官P6への情報提供(s3−2)を行う。提供される情報には、対象者P1が発見され、身柄が確保されたことと、対象者P1の位置情報とが含まれる。
警察官P6に情報提供を行うことで、警察官P6が対象者P1と接触した場合にもスムーズな処理が可能である。従来では、警察官P6が対象者P1の情報を得る術が無く、適切な対応が難しい場合があったが、このように対象者P1の情報を提供することにより、警察官P6と円滑に連携して対象者P1の捜索と保護を行うことができる。
対象者の家族P2は、既に捜索用端末30から発見の報告を受けているが、管理装置40からの情報提供により、対象者P1の現在の状況について詳細且つ正確な情報を得ることができる。
また、対象者の家族P2が現場に行けない場合、図10に示すように、対象者の家族P2は、管理装置40に警備隊員の派遣を依頼することができる(s4)。従来では、対象者の家族P2が対象者P1の引き取りに向かう必要があったが、警備隊員の派遣を依頼し、対象者P1の引き取りを代行してもらうという新たな選択肢が得られる。警備隊員P5が24時間体勢で待機していれば、時間を気にせず依頼が可能であり、また、対象者の家族P2が遠隔地にいる場合にも有効である。
警備隊員の派遣を依頼された管理装置40は、最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行う(s5−1)。警備隊員P5は、管理装置40からの指示を受けて出動し(s5−2)、家族P2に代わって現場に急行し、対象者P1の引き取りを行う。
警備隊員P5は、管理装置40から必要に応じて対象者P1とその家族P2の個人情報を開示されているため、対象者P1を引き取って円滑に家族P2に引き渡すことができる。
上述してきたように、実施例1に係る捜索システムでは、対象者P1は、外見的特徴を有する靴に通信タグ10を装着し、捜索用端末30を携行した捜索者P3が接近することで捜索用端末30に通信タグ10のタグIDを読み取らせる。そして、捜索者P3に個人情報を開示することなくタグIDを管理装置40に通知させ、タグIDと個人情報とを対応付けて管理する管理装置40が必要に応じて個人情報を開示する。かかる構成により、捜索者P3に個人情報を開示することなく、捜索者P3を動員可能である。このため、対象者P1や家族P2のプライバシーを保護しつつ、効率的な捜索を実現することができる。
また、捜索用端末30がタグIDを読み取った場合に位置情報を取得して連絡先端末20や管理装置40に送信するので、通信タグ10に位置情報取得機能を持たせることなく対象者P1の位置を特定することができる。
実施例1では、捜索者P3が対象者P1の捜索を最初から能動的に行うケースを想定している。また、捜索用端末30には、捜索者P3には開示されないものの、連絡先端末20のアドレス等の個人情報が記憶されている。本実施例2では、対象者P1を捜索して確保する変形例として、対象者P1に偶然接近した捜索者P3に対して対象者P1の確保を依頼し、また、捜索用端末30における個人情報の記憶を不要とする構成について説明する。
図11は、実施例2に係る捜索の概要についての説明図である。まず、対象者P1が行方不明となると、対象者の家族P2は、連絡先端末20から管理装置40に捜索依頼を行う(s1)。この捜索依頼では、不特定多数の捜索者P3に協力してもらうために、対象者P1の識別情報と、対象者P1の当日の服装など、必要な情報を管理装置40に渡す。
管理装置40では、捜索の対象となる可能性のある候補者について、識別情報、タグID、個人情報を対応付けて管理している。識別情報は、タグIDと同一であってもよく、本実施例2ではタグIDと識別情報が同一である場合を例に説明する。また、個人情報には、氏名、顔写真、身長など捜索の手掛かりになる情報を含めておくことが望ましい。
管理装置40は、連絡先端末20から捜索依頼を受信すると、捜索依頼に示された識別情報(タグID)に対応する候補者を捜索の対象者P1として登録する。また、捜索依頼に当日の服装などの情報が含まれていれば、それらの情報を対象者P1に対応付ける。
対象者P1は、実施例1と同様に、通信タグ10を装着した靴を履いている。通信タグ10は、近距離無線通信により、タグIDを周囲に送信する機能を有する。但し、実施例2では、通信タグ10が装着された靴は、外見的特徴を有していなくともよい。
1又は複数の捜索者P3は、捜索用端末130を携行している。捜索用端末130は、所定範囲内に通信相手となる端末が存在する場合に当該端末との近距離無線通信を行う。そのため、捜索者P3が対象者P1とすれ違うなどによって、通信タグ10と捜索用端末130との距離が所定範囲内となったならば、通信タグ10と捜索用端末130との間で近距離無線通信が行われる。
捜索用端末130は、近距離無線通信によって通信タグ10からタグIDを取得し(s2)、自端末の位置情報とともに管理装置40に送信する(s3)
管理装置40は、捜索用端末130からタグIDを受信すると、受信したタグIDが捜索の対象者P1に対応付けられているか否かを判定する。受信したタグIDが捜索の対象者P1に対応するタグIDであれば、管理装置40は、捜索用端末130に確保依頼を送信する(s4)。この確保依頼には、対象者P1の顔写真、身長、服装など、捜索の手掛かりになる情報を含めて送信する。
また、受信したタグIDが捜索の対象者P1に対応するタグIDであれば、管理装置40は、連絡先端末20に発見の通知を行う(s5)。発見の通知を受けた対象者の家族P2は、タグIDとともに管理装置40に送信された捜索用端末130の位置情報、すなわち、対象者P1が発見された場所を知ることができる。
一方、捜索用端末130は、管理装置40から確保依頼を受信したならば、確保依頼に示された情報を捜索者P3に報知する。捜索者P3は、確保依頼の報知を受けて、周囲に確保すべき対象者P1が居ることを知る。そして、確保依頼に示された情報を手掛かりに対象者P1を特定し、確保を行う(s6)。
捜索者P3は対象者P1を確保すると、捜索用端末130から管理装置40に確保報告を送信する(s7)。管理装置40は、捜索用端末130から確保報告をうけたならば、対象者の家族P2に確保を通知する(s8)。
対象者の家族P2は、管理装置40から確保の通知を受けて、対象者P1の引き取りに向かうことになる。対象者の家族P2が現場に行けない場合は、対象者の家族P2は、管理装置40に警備隊員の派遣を依頼することができる(s9)。
警備隊員の派遣を依頼された管理装置40は、最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行う。この派遣指示には、対象者P1の氏名等の個人情報を必要に応じて含めることが望ましい。警備隊員P5は、管理装置40からの指示に応じて出動し、家族P2に代わって現場に急行し、対象者P1の引き取りを行う(s10)。
次に、図11に示した捜索用端末130の内部構成について説明する。図12は、図11に示した捜索用端末130の内部構成を示す構成図である。図12に示すように、捜索用端末130は、記憶部36に捜索対象データを記憶しておらず、制御部37に確保依頼受付部137aをさらに有する点が図3に示した捜索用端末30と異なる。
従って、捜索結果通知部37cは、タグID取得部37aがタグIDを取得した場合に、管理装置40のみに通知を行うことになる。確保依頼受付部137aは、管理装置40から確保依頼を受信した場合に、確保依頼に示された情報を表示部31に表示することで、捜索者P3への報知を行う処理部である。
捜索者P3は、確保依頼に示された情報を手掛かりに対象者P1を特定し、確保を行うことになる。捜索者P3が対象者P1を確保した際に所定の操作を行うと、確保依頼受付部137aは、管理装置40に確保報告を送信する。
その他の構成及び動作は、図3に示した捜索用端末30と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
次に、実施例2に係る捜索システムの動作について説明する。図13は、実施例2に係る捜索システムの動作を説明する説明図である。まず、連絡先端末20は、管理装置40に捜索依頼を送信する(ステップS211)。捜索依頼には、対象者P1の識別情報(タグID)と、対象者P1の当日の服装など、必要な情報を含む。
管理装置40は、連絡先端末20から捜索依頼を受信すると、捜索依頼に示された識別情報(タグID)に対応する候補者を捜索の対象者P1として登録する(ステップS411)。このとき、捜索依頼に当日の服装などの情報が含まれていれば、それらの情報を対象者P1に対応付ける。
捜索者P3が対象者P1に接近すると、通信タグ10は、捜索用端末130にタグIDを送信する(ステップS111)。
捜索用端末130は、タグIDを受信すると、GPS人工衛星から受信した信号に基づいて位置情報を算定し(ステップS311)、位置情報とともにタグIDを管理装置40に送信する(ステップS312)。
管理装置40は、捜索用端末130からタグIDを受信すると、受信したタグIDが捜索の対象者P1に対応付けられているか否かを判定する(ステップS412)。受信したタグIDが捜索の対象者P1に対応するタグIDであれば、管理装置40は、対象者P1の個人情報を読み出して(ステップS413)、捜索用端末130に確保依頼を送信する(ステップS414)。また、管理装置40は、連絡先端末20に発見の通知を行う(ステップS415)。
捜索者P3が対象者P1を確保すると、捜索用端末130は管理装置40に確保報告を送信する(ステップS313)。捜索用端末130から確保報告を受信した管理装置40は、連絡先端末20に確保通知を送信する(ステップS416)。
確保通知を受信した連絡先端末20は、管理装置40に対して警備隊員の派遣依頼を行うことができる(ステップS212)。警備隊員の派遣依頼を受けた管理装置40は、対象者P1の位置情報に基づいて最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行う(ステップS417)。
次に、実施例2に係る管理装置40の動作を説明する。図14は、実施例2に係る管理装置の動作を示すフローチャートである。管理装置40の捜索対象特定部45bは、まず、連絡先端末20から捜索依頼を受信したか否かを判定する(ステップS1001)。その結果、捜索依頼を受信してなければ(ステップS1001;No)、そのまま処理を終了する。
連絡先端末20から捜索依頼を受信したならば(ステップS1001;Yes)、捜索対象特定部45bは、捜索依頼に示された識別情報(タグID)に対応する候補者を捜索の対象者P1として登録する(ステップS1002)。この登録は、例えば捜索対象データ44aとして登録された複数の候補者のうち、該当するタグIDに捜索対象であることを示すフラグを対応付けることで行えばよい。即ち、実施例2では、捜索対象データ44aは、捜索される可能性のある候補者を登録したものであり、その時点で捜索の対象であるとは限らない。捜索対象データ44aのうち、捜索対象であることを示すフラグを対応付けられた人物のみがその時点での捜索の対象者P1となる。
管理装置40の捜索結果受信部45aは、捜索用端末130からタグIDを受信したか否かを判定する(ステップS1003)。捜索用端末130からタグIDを受信したならば(ステップS1003;Yes)、捜索対象特定部45bは、受信したタグIDが捜索の対象者P1として登録されているか否かを判定する(ステップS1004)。
タグIDを受信していない場合(ステップS1003;No)、又は受信したタグIDが捜索対象に該当しない場合(ステップS1004;No)、ステップS1003に移行する。
受信したタグIDが捜索の対象者P1に対応するタグIDであれば(ステップS1004;Yes)、管理装置40の捜索結果処理部45cは、対象者P1の個人情報を読み出して(ステップS1005)、捜索用端末130に確保依頼を送信する(ステップS1006)。また、捜索結果処理部45cは、連絡先端末20に発見通知を送信する(ステップS1007)。
ステップS1007の後、捜索結果処理部45cは、捜索用端末130から確保報告を受信したか否かを判定する(ステップS1008)。確保報告を受信していなければ(ステップS1008;No)、捜索結果処理部45cは、ステップS1008に移行し、確保報告を待つ。
捜索用端末130から確保報告を受信したならば(ステップS1008;Yes)、捜索結果処理部45cは、連絡先端末20に確保通知を送信する(ステップS1009)。この確保通知の送信に伴い、対象者P1を捜索対象から除外する。捜索対象からの除外は、捜索対象であることを示すフラグを解除することで行う。従って、対象者P1であった人物に関する情報は候補者として捜索対象データ44aに残ることになる。確保通知の送信並びに捜索対象からの除外の後、捜索結果処理部45cは、連絡先端末20から警備隊員派遣依頼を受信したか否かを判定する(ステップS1010)。
連絡先端末20から警備隊員派遣依頼を受信していなければ(ステップS1010;No)、捜索結果処理部45cは、そのまま処理を終了する。連絡先端末20から警備隊員派遣依頼を受信したならば(ステップS1010;Yes)、捜索結果処理部45cは、対象者P1の位置情報に基づいて最寄りの警備隊員詰所に派遣指示を行った上で(ステップS1011)、処理を終了する。
上述してきたように、実施例2に係る捜索システムでは、捜索者P3は、事前に捜索が必要であることを知らずとも、また、捜索用端末130に事前に個人情報を記憶させていなくとも、対象者P1の捜索に寄与することができる。
実施例1及び実施例2では、確保が必要な対象者P1を捜索者P3が捜索する場合について説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、対象の位置情報を取得して管理し、任意のタイミングで対象の位置を確認できるよう構成してもよい。また、捜索者P3が携行する捜索用端末30に限らず、固定の設備でタグIDを読み取るように構成してもよい。実施例3では、固定の設備を利用し、対象の位置情報を管理する捜索システムについて説明する。
図15は、実施例3に係る捜索システムの説明図である。図15に示した捜索システムでは、捜索対象となる対象者P1は、通信タグ10を装着した靴を履いている。通信タグ10は、近距離無線通信により、タグIDを周囲に送信する機能を有する。この通信タグ10は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)タグなどを用いることが好適である。さらに、通信タグ10は、位置情報の取得機能や、近距離無線通信よりも通信距離の大きい他の通信機能などを排することで小型かつ省電力とすることが好ましい。
捜索者P3は、捜索用端末30を携行する。捜索用端末30は、通信タグ10が所定範囲内に所在する場合に通信タグ10からタグIDを取得し、捜索用端末30の位置情報とともに管理装置140に送信する。この位置情報は、例えばGPSなどを用いて算定する。
ここで、対象者P1は、位置情報の管理の対象であり、確保を行う必要は無い。そのため、捜索者P3が対象者P1を識別して確保し、管理装置140に報告する、といった能動的な行動は不要である。捜索者P3が対象者P1とすれ違うなど、その距離が所定範囲内となった場合に、捜索者P3の捜索用端末30が自動的に対象者P1の位置情報を管理装置140に送信するのである。このように、捜索者P3の能動的な行動が不要であるため、通信タグ10が装着された靴は、外見的特徴を有していなくともよい。
また、捜索者P3の捜索用端末30の他、固定の設備も通信タグ10からのタグIDの取得と管理装置140への送信とを行う。図15では、住宅に設けられたホームコントローラ150が住宅外の所定範囲内に所在する通信タグ10を検知し、タグIDを取得して管理装置140に送信する構成を示している。
ホームコントローラ150は、設置された住宅の内部を監視対象とし、住宅内で異常が発生した場合に所定の通報先に通報を行う装置である。本実施例3では、このホームコントローラ150に、住宅の外に所在する通信タグ10を検知する機能を付加している。言い換えれば、ホームコントローラ150は、住宅の内側と外側の双方を監視対象としているのである。
ホームコントローラ150は、通信タグ10からタグIDを受信したならば、タグIDと位置を特定する情報とを管理装置140に送信する。位置を特定する情報は、ホームコントローラ150が設置された住宅の住所などを用いることができる。また、ホームコントローラ150の識別情報と位置情報とが管理装置140で管理されているならば、ホームコントローラ150の識別情報が位置を特定する情報となる。
図15では、通信タグ10からのタグIDの取得と管理装置140への送信とを行う固定の設備としてホームコントローラ150を例示したが、ビルなどに設ける保安設備、自動販売機など、任意の設備に同様の機能を持たせることができる。また、飲食店やバス停などに専用の設備を設置してもよい。
図16は、位置情報の管理と問い合わせについての説明図である。図16に示すように、通信タグ10を装着した靴を履いた対象者P1がホームコントローラ150の近傍を通ると、ホームコントローラ150は通信タグ10からタグIDを取得し(s21)、タグIDと位置を特定する情報とを管理装置140に送信する(s22)。
管理装置140は、通信タグ10のタグIDと、対象者P1の個人情報とを対応付けて管理しており、タグIDと位置を特定する情報とを受信したならば、特定される位置情報を同一のタグIDに関連付ける。タグIDと位置を特定する情報とを受信する度に位置情報は追加して関連付けられるため、タグIDの移動の履歴と最新の位置情報が管理装置140により管理されることになる。
そして、対象者の家族P2がタグIDを指定して管理装置140に位置情報を問い合わせれば(s23)、対象者P1の移動の履歴と最新の位置情報が連絡先端末20に送信される(s24)。
次に、図15に示した管理装置140の内部構成について説明する。図17は、図15に示した管理装置140の内部構成を示す構成図である。図17に示すように、管理装置140は捜索対象データ144aに位置情報が追加され、制御部45が位置履歴管理部145aをさらに有する点が図5に示した管理装置40と異なる。その他の構成及び動作は、図5に示した管理装置40と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
捜索対象データ144aは、タグIDに通知先、個人情報及び位置情報を対応付けたデータである。通知先は、連絡先端末20のアドレスを示す。個人情報は、対象者P1の氏名、対象者の家族P2の氏名や住所等である。位置情報は、タグIDとともに受信した位置を特定する情報により特定され、タグIDに関連付けられる。また、各位置情報に日時情報を付加してもよい。
位置履歴管理部145aは、捜索対象データ144aの位置情報を管理する処理部である。位置履歴管理部145aは、タグIDと位置を特定する情報とを受信した場合に、位置情報を特定し、同一のタグIDに関連付けて捜索対象データ144aを更新する。このとき、各位置情報に日時情報を付加することが望ましい。日時情報は、位置を特定する情報とともに受信してもよいし、位置を特定する情報の受信日時を用いてもよい。
また、位置履歴管理部145aは、連絡先端末20から位置情報の問い合わせを受けた場合に、指定されたタグIDに対応する捜索対象データ144aを読み出し、移動の履歴と最新の位置情報を連絡先端末20に送信する。
次に、物品の位置情報の管理について説明する。図18は、物品の位置情報の管理についての説明図である。図18では、利用者が鞄の中に通信タグ10を収納して移動している。この状態で住宅H1の近傍を通過すると、住宅H1のホームコントローラ150が通信タグ10からタグIDを受信し、管理装置140に送信する。管理装置140では、タグIDの受信により、位置情報の追加が行われる。
その後、利用者が鞄を置き忘れ、その状態で住宅H2の近傍を通過すると、住宅H2のホームコントローラ150では通信タグ10からのタグIDの取得ができないため、管理装置140における位置情報の更新は行われない。
そして、鞄の置き忘れに気付いた利用者がタグIDを指定して管理装置140に問い合わせれば、住宅H1の位置情報が最新の位置情報として提供されるため、利用者は自身の移動経路と照らし合わせ、住宅H1の近傍から住宅H2の近傍に移動するまでの間に鞄を置き忘れたと知ることができる。
また、鞄が他者に持ち去られた場合にも、鞄の位置情報の履歴と最新の位置情報を取得できるので、持ち去られた鞄の追跡が可能となる。
上述してきたように、実施例3に係る捜索システムでは、対象者P1は、靴に通信タグ10を装着し、捜索用端末30やホームコントローラ150に通信タグ10のタグIDを読み取らせる。そして、捜索者P3などに個人情報を開示することなくタグIDと位置情報とを管理装置140に通知させ、タグIDと個人情報とを対応付けて管理する管理装置140がタグIDの位置情報を管理する。かかる構成により、捜索者P3やホームコントローラ150に個人情報を開示することなく、対象者P1の位置を管理することができる。
なお、上述の実施例1および実施例2では、対象者P1の靴に通信タグ10を装着する構成を例に説明を行ったが、対象者P1の服に通信タグ10を付ける、杖に通信タグ10を付けて対象者P1に携行させるなど、任意の方法で対象者P1に通信タグ10を付すことができる。
また、上述の実施例1および実施例2では、対象者P1が高齢者である場合を例に説明を行ったが、子供など捜索の対象となる可能性のある任意の人物について本発明を適用することができる。また、ペットの首輪などに通信タグ10を付し、ペットの捜索を行うことができるようにしてもよい。
この他、上述の各実施例に限定されず、本発明は適宜変形して実施することができる。例えば、実施例1のように捜索者P3が対象者P1を能動的に捜索する場合であって、捜索者P3が複数動員されている場合には、1の捜索者P3が対象者P1を確保した時点で他の捜索者P3に捜索が終了したことを通知するように構成してもよい。
また、実施例2のように対象者P1に偶然接近した捜索者P3に確保依頼を行う場合には、捜索者P3が確保依頼を断ることができるようにしてもよい。このように、捜索者P3が自身の都合により確保依頼を断ることができるようにすれば、捜索者P3に生ずる責任を緩和でき、より多くの人物が捜索者P3として登録することを期待できるので、結果として捜索の効率化が実現できる。なお、捜索者P3が確保依頼を断った場合でも、対象者P1の位置情報は有効であるので、付近に所在する他の捜索者P3に確保依頼を送信することで、対象者P1の速やかな確保が可能である。
また、対象者P1の位置情報から対象者P1の移動経路を予測し、捜索者P3を動員するよう構成してもよい。例えば、駅のホームに設けた設備により対象者P1の位置を特定したならば、移動先の駅を予測し、予測した駅に捜索者P3を配備して対象者P1の確保にあたらせることができる。
また、警備隊員P5が対象者P1の引き取りを行った場合、例えば対象者P1をタクシーなどに乗せて対象者の家族P2のもとに届けることが考えられるが、このときタクシーに搭載された機器に対象者P1の個人情報を提供するよう構成してもよい。対象者P1の住所や対象者の家族P2の連絡先などをタクシー乗務員が確認することで、適切な対応が期待できるためである。
また、捜索用端末30や捜索用端末130が読み取ったタグIDの数を管理するように構成することもできる。特に、捜索用端末130では、捜索者P3が意識せずにタグIDを取得するのであるが、取得したタグIDは、捜索への貢献度の指標として有用である。また、複数の捜索用端末30,130からタグIDの取得状況を得て集計することで、捜索が有効に機能しているか否かを地域ごとに評価することができる。