JP2017119435A - 化粧板及びその施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光触媒を担持した化粧板の表面に貼着された保護フィルムを剥離した場合でも、光触媒の機能が低下することのない化粧板を提供する。【解決手段】基材上にチタニアからなる光触媒が担持された化粧板であって、前記光触媒上にアクリル系粘着剤を介して保護フィルムが剥離可能なように積層されてなることを特徴とする化粧板。【選択図】 図1

Description

本発明は、化粧板及びその施工方法に関する。
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの機能性物質を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した化粧板が提供されている。
特許文献1には、化粧板用の表面紙に、シリコーンバインダを含浸したシリコーン樹脂含浸表面紙を順次積層し、熱圧成形後、光触媒コーティング剤を塗布してなる防汚性化粧板が開示されている。
しかしながら、このような光触媒がコーティングされた化粧板は、積み重ねた状態で施工現場まで運搬するため、運搬中に触媒担持層に傷がついてしまい、光触媒の機能を低下させてしまうという問題があった。
そこで、特許文献2には、ポリオレフィン系フィルムに、α−オレフィンを主成分とするα−オレフィン(共)重合体0〜40重量%、プロピレン(共)重合体1〜40重量%、スチレン・イソブチレン共重合体からなるスチレン系エラストマー30〜96重量%、及び、スチレン系モノマー/脂肪族系モノマー共重合体からなるオリゴマー1〜40重量%にて構成される粘着剤が塗布された保護フィルムを建設部材に貼り付けた積層体とし、化粧板の運搬時の傷の発生を防止する技術が開示されている。
特開2003−276117号公報 特許第5443893号
しかしながら、上記した特許文献2に記載の積層体は、化粧板を施工現場に運搬し、保護フィルムを剥離すると、粘着剤は、光触媒が担持されている側に転着されてしまうか、又は、光触媒が保護フィルムに転着してしまい、光触媒の機能が低下するという新たな問題が発生する。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、光触媒を担持した化粧板の表面に貼着された保護フィルムを剥離した場合でも、光触媒の機能が低下することのない化粧板及びその施工方法を提供することを目的とする。
本発明の化粧板は、基材上にチタニアからなる光触媒が担持された化粧板であって、
上記光触媒上にアクリル系粘着剤を介して保護フィルムが剥離可能なように積層されてなることを特徴とする。
なお、本発明でいうチタニアは、酸化チタンと同義である。
本発明の化粧板によれば、上記光触媒上にアクリル系粘着剤を介して保護フィルムが剥離可能なように積層されており、光触媒の機能により光触媒の表面に接触するアクリル樹脂は分解するので、光触媒の表面にアクリル系粘着剤は残存せず、また、アクリル系粘着剤に光触媒が付着して化粧板から離脱することはないので、光触媒の機能が低下しにくく、光触媒の機能に基づく防汚性や抗ウィルス性が低下しない。
また、基材表面(または、表面樹脂層もしくは耐酸化性樹脂層)に接着したアクリル樹脂は分解されず、アクリル系粘着剤の基材(または、表面樹脂層もしくは耐酸化性樹脂層)への粘着力は低下しないので、保護フィルムは、光触媒の間に存在するアクリル系粘着剤の粘着力で保持され、搬送時や輸送時に基材(または、表面樹脂層もしくは耐酸化性樹脂層)から剥がれにくい。このため、化粧板を施工現場等に運搬する場合においても、上記化粧板が傷つきにくく、光触媒の機能に基づく防汚性や抗ウィルス性が低下しない。
上記本発明の作用・効果について、詳しく考察すると以下のようになる。
本発明の化粧板においては、光触媒であるチタニア(TiO)の表面では、光照射により、電子と正孔が生じるが、電子は酸素を還元して、スーパーオキサイドアニオンを、正孔は水を酸化してヒドロキシラジカルを生成する。このラジカルは、電子や水素と結びつき易く、活性酸素と称される。これらラジカルを有するラジカル基は、極性の高い樹脂と反応して、樹脂の結合を切断する。一方、正孔は、また樹脂から電子を奪う酸化分解反応により、樹脂の結合を切断する。
本発明の化粧板では、保護フィルム上に形成されたアクリル系粘着剤の層は、光触媒であるチタニアおよびチタニアの間から露出する基材表面に接触する。上記アクリル系粘着剤は、極性が高い樹脂であるため、ラジカル基と反応しやすく、上記した酸化分解反応も進行し、チタニアからなる光触媒によりアクリル系粘着剤の樹脂の結合が切断されてしまうため、チタニアに接しているアクリル系粘着剤の粘着力は、局所的に低下する。
一方、チタニアからなる光触媒の間に存在し、基材に接着しているアクリル系粘着剤は、光触媒に直接接触していないため、アクリル樹脂の結合は切断されない。従って、アクリル系粘着剤の基材への粘着力は低下しない。このため、保護フィルムは、光触媒の間に存在するアクリル系粘着剤の粘着力で保持され、保護フィルムは、搬送時や輸送時に基材から剥がれにくい。
上記のように、チタニアからなる光触媒に接するアクリル系粘着剤の粘着力は低下するため、保護フィルムを剥がした際に、チタニアがアクリル系粘着剤に付着して化粧板表面から脱離することがなく、またアクリル系粘着剤がチタニア上に残存してチタニアの機能を低下させることもない。
特許文献2(特許第5443893号)に記載されているような、スチレンやイソブチレンの重合体を含むいわゆるゴム系粘着性は、極性が低い粘着剤であるためチタニアとの反応性が低く、局所的な分解反応が生じにくいため、光触媒の表面にアクリル系粘着剤が残存しやすく、また、アクリル系粘着剤に光触媒が付着して化粧板から離脱しやすい。
なお、保護フィルムを剥がした際に、アクリル系粘着剤が化粧板に若干残存する場合があるが、可視光や紫外線を照射することにより、アクリル系粘着剤の分解除去を促すことができる。
なお、上記のような効果を発揮するためには、保護フィルムの粘着性を0.14〜6.2N/25mmに調整することが望ましい。
上記アクリル系粘着剤は、アクリルポリマーからなる粘着剤であり、アクリルモノマーを選択し共重合させることにより、必要な機能を持ったアクリルポリマーが合成され、粘着剤として使用できる。
アクリル系粘着剤の種類としては、溶剤系、エマルジョン系、UV硬化型等が挙げられる。
上記アクリル系粘着剤としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタアクリレート及びアクリル酸の各モノマーを、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリレート/アクリル酸=85/15/3の重量割合で配合し、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobis(isobutyronitrile))を触媒とし、窒素気流下、酢酸エチル中で重合して得た重合度Mw=70〜80万、固形分30%の再剥離型アクリル粘着剤等を使用することができる。
本発明の化粧板において、保護フィルムは、ポリオレフィン樹脂からなることが望ましい。
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂のなかでは、柔らかく、変形し易いため、基材から剥離させ易いからである。
本発明の化粧板において、保護フィルムの厚さは、40〜110μmであることが望ましい。
上記範囲の厚さの保護フィルムは、変形させ易く、光触媒を有する基材表面の凹凸面に追従して食い込むこともないので、好適に使用することができる。
保護フィルムの厚さが40μm未満であると、保護フィルムが光触媒を有する基材表面の凹凸面に追従して食い込み、より密着してしまうため、剥離しにくくなる。一方、保護フィルムの厚さが110μmを超えると、厚すぎるために変形しにくく、剥離させにくくなる。
本発明の化粧板では、気温50℃以上、湿度60%以上の環境で保管されても問題が発生しない。
すなわち、本発明の化粧板は、光触媒上にアクリル系粘着剤を介して保護フィルムが剥離可能なように積層されており、上述した作用・効果により、気温50℃以上、湿度60%以上の環境で保管されても、保護フィルムの剥離により光触媒の機能は低下しないので、夏場において、日本の倉庫に保管されても問題が発生しない。
次に、本発明の化粧板における具体的な構成を説明する。
本発明の化粧板は、(1)基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に担持された光触媒からなるか、(2)基板と、上記基板上に担持された光触媒からなるか、(3)基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上の中間体に担持された光触媒からなるか、(4)基板と、上記基板上の中間体と、その中間体上に担持された光触媒からなるか、(5)基板と表層樹脂層からなる積層体もしくは基板などの基材上に耐酸化性樹脂からなる樹脂層を設け、当該耐酸化性樹脂からなる樹脂層上に光触媒を担持してなる、ことが望ましい。
上記中間体は、無機粒子(以下、セラミック粒子という)、金属体、樹脂体及び無機繊維から選ばれる少なくとも1種がよい。金属体としては、金属のメッシュ状、ドット状のパターンを用いることができる。金属としては、銅や銀などを使用することができる。また、樹脂体としては、耐酸化性の樹脂を用いることができる。耐酸化性の樹脂としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂などを使用できる。無機繊維としては、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミックファイバーなどを使用できる。上記無機粒子(セラミック粒子)は、特に限定されるものではないが、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と同じものが好ましい。
上記中間体を介して光触媒を担持することで、光触媒が、直接表層樹脂層に接触して、表層樹脂層を酸化分解して、化粧板の表層樹脂層や基板を退色、劣化することを防止できるからである。また、中間体により形成される表面の凹凸がアンカー効果を発現して保護フィルムを密着させた場合に、保護フィルムと化粧板との密着性を向上させることができる。なお、上記のように、中間体は表層樹脂層上ではなく、直接基材上に形成されていてもよい。
本発明の化粧板においては、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、該表層樹脂層上に露出して配置されたセラミック粒子と、上記セラミック粒子の露出面上に担持された光触媒とからなる化粧板を用いることが望ましい。チタニアとの接着性に優れるからである。
本発明の化粧板においては、上記基板と表層樹脂層からなる積層体もしくは基板などの基材の表面における光触媒の存在量が0.01〜0.21g/mが望ましく、0.03〜0.21g/mであることがさらに望ましい。本発明の化粧板で、基板上の表層樹脂層もしくは基板など基材の表面における光触媒(チタニア)の存在量が0.01〜0.21g/mであると、ノロウィルスやインフルエンザウィルスなどのウィルスに対して光触媒の機能を充分に発揮することができ、かつ、光触媒によって化粧板の意匠性が低下することを防止できる。
前記基板と表層樹脂層からなる積層体もしくは基板上などの基材の表面における光触媒の存在量が0.01g/m未満の場合、光触媒の量が少なすぎるため、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮できない。一方、基板と表層樹脂層からなる積層体もしくは基板上などの基材の表面における光触媒の存在量が0.21g/mを超えると、光触媒によって化粧板の意匠性が低下する。
なお、本発明の化粧板において、基材は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層とから構成されていてもよく、基板のみでもよい。
前述のように、光触媒がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、光触媒は表層樹脂層に直接接触しない。このため、光触媒による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する光触媒の脱落を防止することができる。また、光触媒がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、光触媒の表層樹脂層中への埋没がなく、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムが剥離された後は、光触媒は、化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、光触媒としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、基板と表層樹脂層からなる積層体もしくは基板などの基材上に耐酸化性樹脂からなる樹脂層を設け、当該耐酸化性樹脂からなる樹脂層上に光触媒を担持してもよい。
セラミック粒子同様に、光触媒は基板と表層樹脂層からなる積層体や基板などの基材に直接接触しない。このため、光触媒による基板と表層樹脂層からなる積層体や基板などの基材の劣化を防ぐことができ、基板と表層樹脂層からなる積層体や基板などの基材の変色や基板と表層樹脂層からなる積層体や基板などの基材の劣化等に起因する光触媒の脱落を防止することができる。
上記耐酸化性樹脂としては、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂を使用することができる。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の等電点は、光触媒の等電点よりも高いことが望ましい。ここで等電点とは、溶液の水素イオン濃度を変化させたとき、溶質となる粒子の正と負の電荷が全体としてゼロになり、電場をかけても移動しないような状態で、粒子全体の電荷平均が0となるときの水素イオン指数であり、その値をpHとして表す。この等電点は物質により規定される値であり、チタニアからなる光触媒の等電点はpH2.0〜6.7であり、それに対し、セラミック粒子は、光触媒の等電点よりも高い等電点となるものを用いることができる。特に、セラミック粒子の等電点は、pH7以上であることがより望ましい。なお、等電点の測定方法としては、電気泳動法(JIS R1638)により行うことができる。
セラミック粒子としては、具体的には、セリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、アルミニウム、珪素、鉄、コバルト、銅、クロム、ニッケル、錫、カドミウム、マグネシウム、マンガン、タングステン、バナジウム、イットリウムなどから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子、酸化アルミニウム含有粒子、シリカ含有粒子、珪藻土からなるセラミック粒子を用いることができる。また、等電点に関し、アルミナ(Al)の等電点は、pH:7.4〜9.2、ベーマイト(AlOOH)の等電点は、pH7.7〜9.4、カドミウム水酸化物(Cd(OH))の等電点は、pH10.5以上、酸化カドミウム(CdO)の等電点は、pH7.7、鉄水和物(Fe(OH))の等電点は、pH12、酸化鉄(Fe)の等電点は、pH12、酸化銅(CuO)の等電点は、pH9.5、銅水和物(Cu(OH))の等電点は、pH7.7である。これらの成分を複合化した場合、セラミック粒子としての等電点が、光触媒の等電点よりも高いことが望ましい。
セラミック粒子は、菌やウィルスを引き寄せやすいという作用を有する。そもそも、菌やウィルスは、タンパク質や脂肪を含んでいるため、アニオン物質であり、アニオン物質は、その対極であるカチオン物質に引き寄せられるという性質を有する。つまり、化粧板の表層に存在する菌やウィルスは、セラミック粒子に引き寄せられ、セラミック粒子に担持された光触媒により、菌やウィルスを減少させることができ、また、菌やウィルスが増殖しないので、抗菌や抗ウィルスの効果を得やすくなる。セラミック粒子でない粒子の場合、化粧板の表層に存在する菌やウィルスが光触媒に接触する頻度が低いので、菌やウィルスが残存または増殖し、抗菌や抗ウィルスの効果を得にくいのである。
また、セラミック粒子は、チタニアからなる光触媒を一定間隔で担持しやすいという性質を有する。セラミック粒子でない粒子に光触媒を担持させると、光触媒の間隔が狭くなりやすい。そのため、菌やウィルスと光触媒との接触頻度が低下し、想定される菌やウィルスの減少作用が発揮されなくなる。その結果、菌やウィルスを減少させるのに時間を要し、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しにくくなる。これに対して、本発明で用いるセラミック粒子は、一定間隔に担持されるので、菌やウィルスが光触媒との接触頻度の低下がなく、所望の時間で菌やウィルスを減少させ、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しやすくなる。このように、セラミック粒子は、光触媒の担持を一定間隔にさせ、菌やウィルスを引き寄せるという効果があり、抗菌や抗ウィルス効果を向上させることができる。光触媒に、菌やウィルスが接触すると、光触媒は、菌やウィルスを全分解させるか、又は、一部を損傷させることができるので、菌やウィルスを減少させることができる。
上記した効果は、セラミック粒子に光触媒を担持させることにより得られる。
本発明の化粧板では、セラミック粒子として、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。アルミナは、セラミック粒子の中で最も利用しやすい上に、上記で説明した菌やウィルスを減少させる作用を効率的に利用することができる。また、アルミン酸ストロンチウムは、蓄光作用があるので、光がない環境下でも菌やウィルスを減少させる作用を長時間持続させることができる。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmであることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、光触媒を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、光触媒を担持するセラミック粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
本発明の化粧板において、基材の表層に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。光触媒の固定化を補強することができるからである。
本発明の化粧板において、チタニアからなる光触媒としては、可視光応答型光触媒が挙げられる。この可視光応答型光触媒の具体例としては、例えば、チタニアに白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、鉄、銅などを担持させたものなどが挙げられる。具体的には、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、又は、炭素ドープチタニア触媒であることが望ましい。また、上記チタニアからなる光触媒は、銅もしくは銅化合物を含むことが望ましい。
上記光触媒は、光触媒としての機能を充分に発揮することができるからである。
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有することが望ましい。
本発明の化粧板の施工方法は、上記した本発明の化粧板を被施工体に貼付けた後、保護フィルムを剥離除去することを特徴とする。
本発明の化粧板の施工方法によれば、上記化粧板は、保護フィルムを貼った状態で施工現場まで運搬され、接着材で壁、床、天井あるいは家具などの被施工体の表面に貼りつけられ、接着剤が硬化した後、保護フィルムが剥離される。このため、化粧板表面が運搬や施工作業で傷つくことがない。
本発明の化粧板は、基材上にチタニアからなる光触媒が担持された化粧板であって、上記光触媒上にアクリル系粘着剤を介して保護フィルムが剥離可能なように積層されているので、運搬等において、光触媒を担持した化粧板の表面に貼着された粘着剤保護フィルムを剥離した場合でも、光触媒の機能が低下することがなく、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮することができる。
また、基材表面に接着したアクリル樹脂は分解されず、アクリル系粘着剤の基材への粘着力は低下しないので、保護フィルムは、光触媒の間に存在するアクリル系粘着剤の粘着力で保持され、搬送時や輸送時に基材から剥がれにくい。このため、化粧板を施工現場等に運搬する場合においても、上記化粧板が傷つき、光触媒の機能に基づく防汚性や抗ウィルス性が低下しない。
本発明の化粧板の施工方法によれば、上記した本発明の化粧板は、保護フィルムを貼った状態で施工現場まで運搬され、接着材で被施工体の表面に貼りつけられ、接着剤が硬化した後、保護フィルムが剥離されるので、化粧板表面が運搬や施工作業で傷つくことがない。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。 図2は、本発明の化粧板を構成するセラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。 図3(a)は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。以下に説明する本発明の一実施形態に係る化粧板を、以下では、単に本発明の化粧板ということとする。
本発明の化粧板10は、基板11と基板11の表面上に積層されるメラミン樹脂等からなる表層樹脂層12を有し、セラミック粒子13が表層樹脂層12上に露出して配置され、チタニアからなる光触媒14がセラミック粒子13上に担持されている。
また、表層樹脂層12の表面及びセラミック粒子13の周囲には、アクリル系粘着剤15が存在し、アクリル系粘着剤15は保護フィルム16に粘着されるとともに、セラミック粒子13の間に存在する表層樹脂層12にも粘着している。このように、セラミック粒子13の一部は、表層樹脂層12に埋まっているとともに、他の一部は、アクリル系粘着剤15中に存在する。光触媒14は、アクリル系粘着剤15中に存在する。なお、本発明の基材18は、基板11と表層樹脂層12とから構成される。
本発明の化粧板10によれば、光触媒14に接触したアクリル樹脂は結合が切断され、分解するため、光触媒14の表面にアクリル系粘着剤15は残存せず、また、アクリル系粘着剤15に光触媒14が付着して化粧板10から離脱することはないので、光触媒14の機能が低下しにくく、光触媒14の機能に基づく防汚性や抗ウィルス性が低下しない。
一方、チタニアからなる光触媒14の間に存在し、表層樹脂層12に接しているアクリル系粘着剤15は、光触媒14に直接接触していないため、アクリル樹脂の結合は切断されない。従って、アクリル系粘着剤15の表層樹脂層12への粘着力は 低下しない。このため、保護フィルム16は、光触媒14の間に存在するアクリル系粘着剤15の粘着力で保持され、搬送時や輸送時に表層樹脂層12から剥がれにくく、化粧板10を施工現場等に運搬する場合においても、化粧板が傷つきにくく、光触媒の機能に基づく防汚性や抗ウィルス性が低下しない。
本発明の基材を構成する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃材等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃材を積層させて基板とすることもできる。
マグネシアセメント不燃材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃材からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、基板の片面又は両面にメラミン樹脂含浸紙を積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
また、本発明の基材を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。
上記アクリル系粘着剤は、アクリルポリマーからなる粘着剤であり、アクリルモノマーを選択し共重合させることにより、必要な機能を持ったアクリルポリマーが合成され、粘着剤として使用できる。
アクリル系粘着剤の種類としては、溶剤系、エマルジョン系、UV硬化型等が挙げられる。
本発明の化粧板で用いるアクリル系粘着剤としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタアクリレート及びアクリル酸の各モノマーを、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリレート/アクリル酸=85/15/3の重量割合で配合し、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobis(isobutyronitrile))を触媒とし、窒素気流下、酢酸エチル中で重合して得た重合度Mw=70〜80万、固形分30%の再剥離型アクリル粘着剤等を使用することができる。
上記アクリル系粘着剤には、アクリル樹脂の特性に応じ、粘着付与剤、軟化剤、架橋剤、充填剤等を添加して製造することができる。
本発明の化粧板で用いる保護フィルムは、ポリオレフィン樹脂からなることが望ましい。
上記ポリオレフィン樹脂は、単純なアルケン(又は、オレフィン)をモノマーとして合成される高分子化合物であり、上記オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂のなかでは、特に柔らかく、変形し易いポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。柔らかく、変形し易いと、基材から剥離させ易いからである。
本発明の化粧板において、保護フィルムの厚さは、40〜110μmであることが望ましい。
上記範囲の厚さの保護フィルムは、変形させ易く、光触媒を有する基材表面の凹凸面に追従して食い込むこともないので、好適に使用することができる。
保護フィルムの厚さが40μm未満であると、保護フィルムが光触媒を有する基材表面の凹凸面に追従して食い込み、より密着してしまうため、剥離しにくくなる。一方、保護フィルムの厚さが110μmを超えると、厚すぎるために変形しにくく、剥離させにくくなる。
本発明の化粧板において、表層樹脂層における光触媒の存在量は、0.01〜0.21g/mであることが望ましく、0.03〜0.20g/mであることがより望ましく、0.05〜0.19g/mであることがさらに望ましい。
表層樹脂層における光触媒の存在量が0.01g/m未満の場合、光触媒の量が少なすぎるため、充分な抗菌性、抗ウィルス性を発揮できない。一方、表層樹脂層における光触媒の存在量が0.21g/mを超えると、光触媒の量が多すぎるため、化粧板の外観を損ねることがある。
本発明の化粧板においては、上記表層樹脂層上には、セラミック粒子が露出して配置され、上記光触媒は、上記セラミック粒子の露出面上に担持されていることが望ましい。
光触媒がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、光触媒は表層樹脂層に直接接触しない。このため、光触媒による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する光触媒の脱落を防止することができる。また、光触媒がセラミック粒子の露出面上に担持されていると、光触媒の表層樹脂層中への埋没がなく、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムが剥離された後は、光触媒は、化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、光触媒としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、表層樹脂層上に耐酸化性樹脂からなる樹脂層を設け、当該耐酸化性樹脂からなる樹脂層上に光触媒を担持してもよい。
セラミック粒子同様に、光触媒は表層樹脂層に直接接触しない。このため、光触媒による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する光触媒の脱落を防止することができる。
上記耐酸化性樹脂としては、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂を使用することができる。
シリコーン樹脂としては、具体的には、国際公開第2012/117929号、国際公開第2014/073341号に記載されたシリコーン樹脂や市販のシリコーン樹脂等を使用することができる。
セラミック粒子としては、光触媒の等電点より高い等電点を有し、光触媒を担持することができる粒子であれば特に限定されないが、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は0.1〜55μmであることが望ましく、0.5〜5μmであることがより望ましい。セラミック粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、セラミック粒子が表層樹脂層に埋まり易くなり、光触媒がセラミック粒子に担持されにくくなる傾向にあり、セラミック粒子の平均粒子径が55μmを超えると、セラミック粒子が脱落したり、表層樹脂層に凹凸が形成されたりするため、化粧板の外観及び意匠性に不具合が生じる傾向にある。セラミック粒子の平均粒子径が0.5〜5μmであると、光触媒としての機能性が発揮されて、化粧板の外観及び意匠性においても問題とならない。
本発明の化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、光触媒を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、光触媒を担持するセラミック粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
図2を用いて、セラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を説明する。
本発明の化粧板おける面積率とは、図2における表層樹脂層全体の表面積Aに対する、その上にセラミック粒子13が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積Bの割合を意味する。セラミック粒子が、上記表層樹脂層表面に対して面積率で5%未満しか露出しないと、光触媒の機能性が充分に発揮できない傾向にある。
本発明の化粧板において、チタニアからなる光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、又は、炭素ドープチタニア触媒であることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
本発明の化粧板において、表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。セラミック粒子の表層に無機ゾルを付着させた後、光触媒を担持し、乾燥させることにより、光触媒を無機ゾルの乾燥体で固定化し、光触媒をより強固に固定化することができるからである。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル等を用いることができるが、シリカゾルを用いることが望ましい。
次に、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記表層樹脂層については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
本発明の化粧板においても説明したが、基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な表層樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面にメラミン樹脂等の樹脂含浸紙を積層する積層工程と、メラミン樹脂等の樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対する樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
基板上に表層樹脂層を有する表層樹脂層表面に、セラミック粒子を固定する方法としては、例えば、セラミック粒子を含むスプレー液を表層樹脂層表面に吹き付け、乾燥後、熱圧着する方法をとることができる。上記方法により、樹脂表面上にセラミック粒子を露出して固定させることができる。
また、樹脂フィルムの表面を粗化し、この粗化面にセラミック粒子等の中間体を担持した後、セラミック粒子等の中間体の担持面がメラミン樹脂等の樹脂含浸紙に接するように当該樹脂フィルムを積層し、加熱加圧して樹脂を硬化させた後、樹脂フィルムを除去することでセラミック粒子等の中間体を表層樹脂層に転写することが望ましい。樹脂フィルムの表面は、コロナ放電、サンドブラスト、スクラッチ処理から選ばれる少なくとも1種以上の方法で粗化されることが望ましい。
樹脂フィルムの粗化面は、JIS B 0601に基づく算術平均粗さ(Ra)が0.05〜50μmであることが望ましく、0.1〜10μmが好適である。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種以上の材質が望ましい。
本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子を表層樹脂層表面に熱圧着する際、セラミック粒子吹き付け面と熱圧着プレス面との間にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる離形クッション材を介在させて行うことができる。これによって、セラミック粒子が表層樹脂層内に埋没するのを防止することができ、表層樹脂層の表面上に露出して固定することができる。
本発明の化粧板の他の製造工程としては、転写フィルムにセラミック粒子を含むスプレー液を吹き付け、次いで、表層樹脂層を有する基板の樹脂表面に、転写フィルムのセラミック粒子付着面を対向させて、セラミック粒子を熱転写する方法が挙げられる。
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させる際には、メラミン樹脂溶液中に、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含ませることによって、表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含浸する方法を用いることができる。
表層樹脂層の表面上に露出して固定されたセラミック粒子の表面に光触媒を担持させる方法としては、例えば、セラミック粒子を固定した表層樹脂層に、光触媒を含む溶液をスプレー等により塗布し、溶媒を除去する方法が挙げられる。
なお、表層樹脂層に塗布した光触媒の量は、使用した光触媒を含む溶液の量から算出することができる。
また、塗布されている光触媒の存在量は、以下のようにして測定することができる。まず、化粧板の表面に担持された光触媒を分離する。分離の方法は光触媒を溶解させることができればどのような方法を用いてもよいが、弗酸、熱濃硫酸および溶解アルカリ塩などを用いて、化粧板の表面から光触媒を溶出させる。
続いて、得られた溶出液を用いて、ICP(誘導結合プラズマ)発光分光法で含有量を分析する。
銅担持チタニア触媒では酸化チタンと銅が光触媒であるので、酸化チタンの含有量に酸化物係数を乗じた値と、銅の含有量に酸化物係数を乗じた値との和が光触媒の含有量である。また、光触媒の含有量を分析した化粧板の面積で除すると存在量を得ることができる。酸化物係数とは、酸化物の組成式に占める測定元素の比率である。
一方、オレフィン樹脂からなる保護フィルム上に、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタアクリレート及びアクリル酸の各モノマーを共重合させることにより得たアクリル系粘着剤を塗工して粘着層を形成し、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムを製造する。
この後、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムを、光触媒が担持された表層樹脂層上にアクリル系粘着剤が光触媒に接触するように載置し、押圧して保護フィルムを接着させ、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムが貼着された化粧板の製造を終了する。
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
表層樹脂層がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等の表面に撥水性を付与することができる。光触媒をセラミック粒子の露出面上に担持させる際に、図3(a)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及びシランカップリング剤を含有しない場合には、セラミック粒子13表面だけでなく、表層樹脂層12表面に光触媒14が付着することがある。一方、図3(b)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する場合には、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層12表面の撥水性によって、光触媒14は、表層樹脂層12の表面を避け、極力、セラミック粒子13の表面に付着するようになり、表層樹脂層12の表面に直接接触する光触媒14の量をさらに低減することができる。また、表層樹脂層がシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等に硬化性を付与することができ、セラミック粒子を熱圧着する際に、表層樹脂層中に埋没することを防ぐことができる。
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させることで、セラミック粒子を埋没させずに固定化させることができ、表層樹脂層に光触媒が付着しにくくする効果がある。具体的には、工程中に過剰となった光触媒が表層樹脂層に付着しても、洗浄工程後に除去しやすいということである。さらに、菌やウィルスなどを含む汚染水が親水性のセラミック粒子や光触媒に引き寄せられやすくなり、機能性が発現しやすくなる。特に、表層樹脂層にメラミン樹脂を用いた場合には、上記の作用、効果を得やすい。
さらに、本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子等の中間体の表層に無機ゾルを付着させることが望ましい。光触媒の固定化を補強することができるからである。無機ゾルとしてはシリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル等を用いることができ、シリカゾルを用いることが望ましい。
また、本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子等の中間体の表層にシリカゾルなどの無機バインダを介して光触媒を結合させることができるが、光触媒と無機バインダの混合液をスプレーにて吹き付け、無機バインダを乾燥、硬化させた後、アルコールなどの洗浄液を吹き付けてセラミック粒子等の中間体以外の表層樹脂層に付着した光触媒を除去することができる。光触媒や無機バインダは樹脂表面とは密着しないため、アルコールなどで簡単に除去することができる。また、アルコールを染み込ませた布などで光触媒をふき取ってもよい。
本発明の化粧板の施工は、以下のような手順で行う。
軸組や鉄筋などの軸組みにパーチクルボードや石膏ボードなどの壁の下地材などの被施工体を取り付ける。化粧板の基材側裏面(光触媒が担持されていない面側)に接着剤を塗布するか、両面テープを張り付ける。この接着剤塗布面もしくは両面テープ貼着層を被施工体に当接させて接着して貼付ける。接着剤の硬化後、保護フィルムを剥離することで施工が完了する。光触媒が基材の両面に担持されている場合は、化粧板の側面に接着剤もしくは両面テープを貼りつけて、軸組みなどの被施工体に当接させて接着して貼りつける。その後、保護フィルムを剥離することで施工が完了する。
接着剤は、酢酸ビニル系接着剤、ゴム系接着剤が望ましい。
(実施例1)
(一次メラミン含浸工程)
所定の色彩が印刷された厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬した。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させた。
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経たロール紙を、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させた。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断した。
(アルミナ粒子スプレー工程)
平均粒子径0.5μmのγアルミナ粒子とエタノールからなるスプレー液を調製した。スプレー液を常温でスプレーに充填させて、切断したメラミン樹脂含浸紙に吹き付けた。
(乾燥工程)
アルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙を乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度110℃、乾燥時間2分となるように乾燥させた。
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたアルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙をアルミナ粒子吹き付け面が外面となるように積層し、プレス機のプレス面とメラミン樹脂含浸紙のアルミナ粒子吹き付け面との間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した。これにより、メラミン樹脂含浸層上にアルミナ粒子が露出して固定された表層樹脂層が得られた。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製した。上記工程で得られたアルミナ粒子が表面に露出して配置されたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリカゾルの乾燥体を介してアルミナ粒子上に上記光触媒が担持された機能性化粧板の製造を完了した。光触媒に担持された光触媒の固形分重量は、0.11g/mであった。
(実施例2)
(パターン層用メラミン樹脂含浸紙作製工程)
厚さ0.2mmのチタン紙(酸化チタン含有量15重量%)の一方の表面にパターンをグラビア印刷する。このチタン紙をメラミン樹脂溶液中に浸漬し、溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、チタン紙にメラミン樹脂を含浸させた。
メラミン樹脂溶液を含浸させたチタン紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃で30秒間乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断し、パターン層用メラミン樹脂含浸紙を得た。
(耐酸化性樹脂シート作製工程)
厚さ0.2mmのオーバーレイ紙(タルク含有量0.5重量%)に、アクリルシリコーン樹脂エマルジョン(チタン工業株式会社製 PCU−103)を、固形分重量に換算して77g/mとなるように含浸させた。アクリルシリコーン樹脂エマルジョンを含浸させたオーバーレイ紙は、乾燥機により、温度100℃で30秒間乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断し、耐酸化性樹脂シートを得た。
(組合せ工程)
厚み0.3mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、チタン紙に印刷された色彩面が上記コア紙とは反対側となるように上記パターン層用メラミン樹脂含浸紙を積層し、プレス機のプレス面とパターン層用メラミン樹脂含浸紙との間にPETからなる離型クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した(第1積層工程)。
さらにその上に耐酸化性樹脂シートを積層して、プレス機のプレス面と上記耐酸化性樹脂シートとの間にステンレス板を介在させ、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した(第2積層工程)。これにより、基板の片面に耐酸化性樹脂層を形成することができた。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCu−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製した。上記工程で得られた基板の耐酸化性樹脂層の表面に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、シリカゾルの乾燥体を介して上記光触媒が担持された機能性化粧板の製造を完了した。化粧板に担持された光触媒の固形分重量は、0.11g/mとした。
(アクリル系粘着剤を有する保護フィルムの製造)
2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタアクリレート及びアクリル酸の各モノマーを、2−エチルヘキシルアクリレート/メチルメタアクリレート/アクリル酸=85/15/3の重量割合で配合し、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobis(isobutyronitrile))を触媒とし、窒素気流下、酢酸エチル中で重合して得た重合度Mw=70〜80万、固形分30%の再剥離型アクリル粘着剤を、厚さ65±10μmのポリエチレンフィルムの表面に、固形分で25g/mとなるように塗工し、100℃で3分間乾燥して粘着層を形成し、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムとした。
(アクリル系粘着剤を有する保護フィルムの貼着)
上記工程で得た機能性化粧板の光触媒担持面に粘着層が接触するように、アクリル系粘着剤を有する保護フィルムを載置し、押圧してアクリル系粘着剤を有する保護フィルムを機能性化粧板の表面に貼着した。
(比較例1)
実施例1で製造、使用した再剥離型アクリル粘着剤に変えて、以下の方法で製造したゴム系粘着剤を使用した外は、実施例1と同様にして特許文献2(特許第5443893号)に記載されているようなゴム系粘着剤を有する保護フィルムを製造した。
ポリイソプレン(日本ゼオン社製 Nipol IR2200(登録商標))30質量部、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(クレイトンポリマージャパン製 クレイトンD1107CP(登録商標))51質量部及び固形状ポリイソブチレン(BASF社製 オパノールB100(登録商標))19質量部からなる固形状ゴム成分100質量部に対して、液状ポリイソブチレン(新日本石油化学社製 ハイモール4H(登録商標))10質量部、テルペン系樹脂(ヤスハラケミカル社製 YSレジンPX1150N(登録商標))55質量部、並びに、脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製 クレイトンB170(登録商標))20質量部を添加し、溶融混合した。
次に、流動パラフィン(カネダ株式会社製 ハイコールM352(登録商標))25質量部、中鎖脂肪酸トリグリセリド(日光ケミカル社製 トリエスターF810(登録商標))5質量部、及び、ジブチルヒドロキシトルエン〔老化防止剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 イルガノックス565(登録商標)〕2質量部を100℃で熱溶融したものを、上記工程で得られた組成物に添加混合した。次いで、L−メントールを、全体に対して12質量%の割合となるように加えてゴム系粘着剤とした。
(剥離後のアクリル系粘着剤を有する保護フィルムに対する光触媒付着の有無の評価)
実施例1及び実施例2で得られた光触媒が担持された化粧板を70℃で24時間放置したのち、保護フィルムを剥離し、アクリル系粘着剤が接着された側の保護フィルムについて、蛍光X線分析装置を用いてチタンの元素マッピングを行った。その結果、実施例1、実施例2のいずれもアクリル系粘着剤が接着された側の保護フィルムには、炭素元素と酸素元素が検出されたが、チタン元素は全く検出されず、アクリル系粘着剤中には、チタニアが剥がれて付着している可能性はないことが判明した。
(抗ウィルス性評価)
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた光触媒が担持された化粧板を70℃で24時間放置したのち、保護フィルムを剥離し、抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じて抗ウィルス性に関する測定を行った。保護フィルムの影響を調べるために、実施例と同じ製造方法で製造し保護フィルムを貼りつけない化粧板についても同様に測定した。
測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度で表すこととした。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用した。ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果である。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。ウィルス不活度の値が高いほど、抗ウィルス性に優れるといえる。
実施例1、実施例2及び保護フィルムでマスキングしない化粧板とも、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度が830個/ミリリットル以下という結果であり、ウィルス不活度に換算すると99.99%以上相当になり、高い抗ウィルス性を有することが確認された。このため、光触媒の表面に粘着剤が付着していないと考えられる。
一方、比較例1の化粧板では、ウィルス不活度に換算すると99.8%であり、粘着剤によるウィルス失活機能の低下が疑われる。
10 化粧板
11 基板
12 表層樹脂層
13 セラミック粒子
14 光触媒
15 アクリル系粘着剤
16 保護フィルム
18 基材
A 表層樹脂層全体の表面積
B セラミック粒子が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積
上記のように、チタニアからなる光触媒に接するアクリル系粘着剤の粘着力は低下するため、保護フィルムを剥がした際に、チタニアがアクリル系粘着剤に付着して化粧板表面から脱離することがなく、またアクリル系粘着剤がチタニア上に残存してチタニアの機能を低下させることもない。
特許文献2(特許第5443893号)に記載されているような、スチレンやイソブチレンの重合体を含むいわゆるゴム系粘着は、極性が低い粘着剤であるためチタニアとの反応性が低く、局所的な分解反応が生じにくいため、光触媒の表面に粘着剤が残存しやすく、また、粘着剤に光触媒が付着して化粧板から離脱しやすい。
なお、保護フィルムを剥がした際に、アクリル系粘着剤が化粧板に若干残存する場合があるが、可視光や紫外線を照射することにより、アクリル系粘着剤の分解除去を促すことができる。
なお、上記のような効果を発揮するためには、保護フィルムの粘着性を0.14〜6.2N/25mmに調整することが望ましい。

Claims (15)

  1. 基材上にチタニアからなる光触媒が担持された化粧板であって、
    前記光触媒上にアクリル系粘着剤を介して保護フィルムが剥離可能なように積層されてなることを特徴とする化粧板。
  2. 前記保護フィルムは、ポリオレフィン樹脂からなる請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記保護フィルムの厚さは、40〜110μmである請求項1又は2に記載の化粧板。
  4. 前記化粧板は、気温50℃以上、湿度60%以上の環境で保管される請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
  5. 前記化粧板は、基板と、前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、前記表層樹脂層上に露出して配置されたセラミック粒子と、前記セラミック粒子の露出面上に担持された光触媒とからなる請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
  6. 前記セラミック粒子は、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子である請求項5に記載の化粧板。
  7. 前記セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmである請求項5又は6記載の化粧板。
  8. 前記基材の表面における光触媒の存在量は、0.01〜0.21g/mである請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板。
  9. 前記基材表層に無機ゾルの乾燥体を有している請求項1〜8のいずれかに記載の化粧板。
  10. 前記チタニアからなる光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、又は、炭素ドープチタニア触媒である請求項1〜9のいずれかに記載の化粧板。
  11. 前記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する請求項5〜10のいずれかに記載の化粧板。
  12. 前記基材上には、耐酸化性樹脂からなる樹脂層が形成され、前記耐酸化性樹脂からなる樹脂層上にチタニアが担持されている請求項1〜11のいずれかに記載の化粧板。
  13. 前記チタニアからなる光触媒は、銅もしくは銅化合物を含む請求項1〜12のいずれかに記載の化粧板。
  14. 前記チタニアからなる光触媒は、金属体、樹脂体もしくは無機繊維を介して基材表面に担持されてなる請求項1〜13のいずれかに記載の化粧板。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の化粧板を被施工体に貼付けた後、保護フィルムを剥離除去することを特徴とする化粧板の施工方法。
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