JP2010167598A - ガラス窓外張りフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】透明さを長期にわたって維持できるガラス窓外張りフィルムを提供する。
【解決手段】ガラス窓外張りフィルム1の基材フィルム2の一方の面には耐候層3及び光触媒層4が積層されている。耐候層3は実質厚みが7μmを超えるように形成されている。耐候層3には赤外線吸収剤が含まれている。光触媒層4を形成するチタンアルコキシドの加水分解縮合物中にアルミニウム化合物を含み、アルミニウム化合物中のAl原子と、チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子とが、
15≦{アルミニウム化合物中のAl原子/[アルミニウム化合物中のAl原子+チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子]}×100≦35
の関係を満たす。また、ガラス窓外張りフィルム1は、初期的な光学特性の可視光透過率が70%〜90%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が50〜65%、SWM3000時間後の可視光透過率、日射透過率の変化が10%以下、曇り度が10%以下となるように形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス窓外張りフィルムに関する。
店舗、家屋などの建築物に組み込まれた窓ガラス、トップライト等の透明ガラス建材は、特に昼間時において、野外の太陽光を室内に導入して屋内を明るくする役割を果たす。昨今の環境意識の高まりもあって、昼間時の照明費用の省エネを目的として、建築物に組み込まれる透明ガラス建材の面積は増えつつある。
しかしながら、この透明ガラス建材は、その透明性ゆえに、照明に替わる可視光を充分透過するだけでなく、太陽光に含まれる近紫外光(300〜400nm)や近赤外光(800〜2000nm)をも透過してしまう。このため、紫外光によって室内の意匠物の色褪せを誘発したり、夏期時は赤外光によって室内温度の上昇を誘引したりする等の新たな問題点を生み出している。
これらの問題を解決するためには、所望の波長領域の光を反射させるか、吸収させることが必要になる。光を反射させる方法として、例えば、金属光沢を有する金属薄膜を設置する方法が多く提案されている。しかし、金属薄膜は赤外光や紫外光のみを選択的に反射させることが難しく、一般的に可視光領域の光も反射させてしまうため、そもそもの目的である照明に替わる太陽光の室内への導入と活用には好ましくない。また、例えば、屈折率の異なる層を多層に積層させた光干渉層を設置する方法も考えられるが、同多層膜の光学特性(反射率スペクトル)が入射光の角度によって変化してしまうことが多く、これを回避するためには、一般に数十層以上の多層構造を形成させるという煩雑な工程・コストが必要となる。
一方、光を吸収させる方法は、機能付与も簡便で経済的にも優位であることが多いが、吸収された赤外光が熱緩和され、結果として、赤外線吸収層が新たな発熱層となってしまう。このため、赤外線吸収層をなるべく透明ガラス建材の室外側に設置させられるよう、赤外線吸収層を有するウィンドウフィルムを外貼りすることが肝要となる。
しかしながら、これまでのウィンドウフィルムは、フィルム基材の引っ張り強さが50N/25mm以上、フィルム基材の伸度が60%であることが求められる(JIS A5759:2008参照)。これらの要求性能を満たし、かつ経済的にも有益なフィルム材料はポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルムにほぼ限られる。しかしながら、PETフィルムは、一般的に耐候性が低く、また表面が汚れやすい。このため、外貼りに好適なウィンドウフィルムは事実上存在しない。
他方、ウィンドウフィルムの最表面に防汚機能を付加させる様々な提案がなされている。例えば、特許文献1には、防汚性、耐久性、透明性に優れ、光触媒機能を有するフィルム用コーティング組成物及びコーティングフィルムが提案されている。
特開2000−65558号公報
しかしながら、特許文献1のフィルム用コーティング組成物の光触媒に用いられる酸化チタンは、その強い光触媒活性から、プラスチックへの塗工が容易でない。このため、このようなコーティングフィルムは、例えば、可視光領域における、カーボンアーク式サンシャインウェザーメーター(SWM)S300による加速耐候試験3000時間(SWM3000時間)暴露後(10年相当)の曇り度(Hz)や黄色み度(YI)の値が大きく上昇し、フィルムに黄変や白濁化が発生してしまう場合がある。
さらに、ガラス窓外張りフィルムには、太陽光を十分に取り込むとともに、紫外光による色褪せや赤外光による温度上昇を防ぐことが望まれている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、透明さを長期にわたって維持することができるガラス窓外張りフィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は、透明さを長期にわたって維持し、太陽光を十分に取り込むとともに、紫外光による色褪せや赤外光による温度上昇を防ぐことができるガラス窓外張りフィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のガラス窓外張りフィルムは、
基材フィルムの一方の面に、耐候層、光触媒層、微粘着層、及び、保護フィルムが積層され、他方の面に、粘着層、セパレートフィルムが積層された構造を有し、
前記基材フィルムは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、または、ポリオレフィン系樹脂のいずれかからなり、その引っ張り強さが50N/25mm以上、その伸度が60%以上であって、その厚みが20μm〜400μmであり、
前記耐候層は、下記式(A−1)、下記式(A−2)及び下記式(A−3)に示す繰り返し単位からなる架橋したアクリル共重合体と、ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体と、必要に応じて、硬化触媒としての有機錫化合物および/または4級アンモニウム塩化合物と、を含む組成からなる塗料組成物を、実質厚みが7μmを超えるような膜厚に熱硬化させたアクリル樹脂から形成され、
前記光触媒層は、光照射によって親水化し、暗所保持後に半値幅15nm以下の光を照射した場合の親水化速度が、照射光の波長が370nm以上の領域で、2(1/deg/min/105)未満であり、かつ、照射光の波長が300nm〜360nmの領域の少なくとも一部では、2(1/deg/min/105)以上である光触媒粒子、及び、平均粒径が150nm以下の光半導体粒子以外の金属化合物系微粒子が、チタンアルコキシドの加水分解縮合物中に存在するとともに、前記チタンアルコキシドが有機高分子化合物と加水分解縮合し、その含有率が表面から深さ方向に向かって連続的に変化する複合体を形成し、
前記微粘着層は、その粘着剤が有機系粘着剤からなり、前記光触媒層への接着力が0.2N/25mm以上であるとともに、照射光の波長が300nmであって半値幅が15nm以下の紫外光を、前記保護フィルム剥離直後に前記光触媒層に照射した場合の親水化速度R1と、充分に親水化した後に再び暗所保持し、同様の紫外光を前記光触媒層に照射した場合の親水化速度R2との関係が、R2<10×R1以上であり、
前記粘着層は、施工ガラスへの接着力が2N/25mm以上となる粘着剤から形成され、
前記実質厚みは、前記アクリル共重合体、前記ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体、前記有機錫化合物、及び/または、4級アンモニウム塩化合物の体積分率と前記耐候層の膜厚との積であり、
前記チタンアルコキシドの加水分解縮合物中にアルミニウム化合物を含み、前記アルミニウム化合物中のAl原子と、前記チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子とが、
15≦{アルミニウム化合物中のAl原子/[アルミニウム化合物中のAl原子+チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子]}×100≦35
の関係を満たし、
前記基材フィルム、前記耐候層、及び、前記粘着層の少なくとも1層に紫外線吸収剤を含み、前記光触媒層から前記粘着層までの積層構造における380nm以下の紫外光の遮断率が99%以上であり、
前記基材フィルム、前記耐候層、及び、前記粘着層の少なくとも1層に、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物及び/または金属からなる赤外線吸収剤を含み、
積層フィルム全体での初期的な光学特性として、可視光透過率が70%〜90%の範囲にあり、かつ、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が50〜65%の範囲にあって、サンシャインウェザーメーター3000時間後において、可視光透過率、日射透過率ともにその変化が10%以下であり、曇り度が10%以下である、
ことを特徴とする。
Figure 2010167598

(式中Rはメチル基またはエチル基である。)
で表される繰り返し単位、
Figure 2010167598

(式中Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。式(A−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のRは単結合であり、残りが水素原子である。Rが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(A−2)で表される繰り返し単位と結合している。)
で表される繰り返し単位、
Figure 2010167598

(但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつRがメチル基またはエチル基である場合を除く。)で表される繰り返し単位からなる。
前記光触媒粒子は、例えば、その結晶径が1nm〜10nmの範囲内にある結晶質酸化チタンを含んでなる光半導体粒子であり、
前記チタンアルコキシドの加水分解縮合物中に含まれる当該光半導体粒子の含有割合が3%以上であることが好ましい。
前記光触媒層は、その屈折率と前記基材フィルムの屈折率との差が、シリカ系微粒子を添加することによって、
0.0≦(基材フィルムの屈折率)−(光触媒層の屈折率)<0.2
の関係式を満たすように調整されていることが好ましい。
前記シリカ系微粒子は、例えば、平均粒径40nm未満のシリカ微粒子S1と平均粒径40nm以上80nm未満のシリカ微粒子S2を、その混合比率が80/20≦S1/S2≦50/50となるように調整されている。
前記光触媒層は、その屈折率と前記基材フィルムの屈折率との差が、シリカ系微粒子を添加することによって、
0.0≦(基材フィルムの屈折率)−(光触媒層の屈折率)<0.2
の関係式を満たすように調整されていることが好ましい。
前記シリカ系微粒子は、例えば、平均粒径40nm未満のシリカ微粒子S1と平均粒径80nm以上150nm未満のシリカ微粒子S3を、その混合比率が95/5≦S1/S3≦65/35となるように調整されている。
本発明によれば、透明さを長期にわたって維持することができる。
本発明のガラス窓外張りフィルムの構成を示す図である。
以下、本発明のガラス窓外張りフィルムについて図面を参照して説明する。図1は、本発明のガラス窓外張りフィルムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、ガラス窓外張りフィルム1は、基材フィルム2の一方の面に、耐候層3、光触媒層4、微粘着層5、及び、保護フィルム6が積層され、基材フィルム2の他方の面に、粘着層7、及び、セパレートフィルム8が積層されている。
基材フィルム2は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、または、ポリオレフィン系樹脂のいずれかから形成されている。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどが挙げられ、この中でも、印刷時に受ける熱への耐性や、機械的強度、ガラス窓に直接貼り合わせて使用されるための耐候性処方等から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが最も好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチルの単独重合体、メタクリル酸メチルを主成分として他の共重合性を有する単量体を共重合させた共重合体が挙げられる。他の共重合性を有する単量体としては、例えばアクリル酸またはその金属塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸またはその金属塩;メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル;酢酸ビニル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸;N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系化合物などが挙げられる。これらをメタクリル酸メチルと共重合させる場合は、単独で使用しても、2種以上の化合物を併用してもよい。
ポリカーボネート系樹脂としては、例えば、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族−脂肪族ポリカーボネート等が挙げられる。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルを主成分として他の共重合性を有する単量体を共重合させた共重合体が挙げられる。他の共重合性を有する単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、マレイミドなどが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンを単独あるいは共重合させた高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなど、またプロピレンを単独あるいは共重合させたポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
また、基材フィルム2は、その厚みが20μm〜400μmとなるように形成され、その引っ張り強さが50N/25mm以上、基材フィルム2の伸度が60%以上に形成されている。ここで、引っ張り強さが50N/25mm以上、基材フィルム2の伸度が60%以上とは、JIS A5759に従った、引っ張り強さ及び伸び試験において、基材フィルム2の引っ張り強さが50N/25mm以上、基材フィルム2の伸度が60%以上であることをいう。一般に、ガラスは、地震などの災害時に発生するサッシの変形、人体衝突による衝撃などによって破損し、凶器となって飛散・落下する。このようなガラスの飛散・落下を防止するためには、ガラス飛散防止フィルムのガラスに対する粘着力および基材の強度が必要となる。これらの強度は、ガラスの飛散・落下を防止するのに必要な基材の強度であり、基材フィルム2が、これらの性能を満たすことにより、ガラス飛散防止フィルムとしての飛散防止性能を満たすこととなる。
耐候層3は、アクリル樹脂から形成されている。アクリル樹脂は、下記式(A−1)、下記式(A−2)及び下記式(A−3)で示される繰り返し単位からなる架橋したアクリル共重合体と、ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体と、必要に応じて、硬化触媒としての有機錫化合物および/または4級アンモニウム塩化合物と、を含む組成からなる塗料組成物を熱硬化させることにより形成されている。
Figure 2010167598

(式中Rはメチル基またはエチル基である。)
で表される繰り返し単位、
Figure 2010167598

(式中Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。式(A−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のRは単結合であり、残りが水素原子である。Rが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(A−2)で表される繰り返し単位と結合している。)
で表される繰り返し単位、
Figure 2010167598

(但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつRがメチル基またはエチル基である場合を除く。)で表される繰り返し単位からなる。
上記式(A−1)で表される繰り返し単位に対応するメタクリレートモノマーは、メチルメタクリレートまたはエチルメタクリレートである。
式(A−2)で表される繰り返し単位に対応するメタクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられる。これらは、単独または2種以上を混合して使用できる。
式(A−3)で表される繰り返し単位中のRの炭素数2〜5のアルキル基の具体例としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。
式(A−3)で表される繰り返し単位中のRが単素数2〜5のアルキル基の場合の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体は、各種ジイソシアネート化合物と水とを反応させて得られるビウレット型ポリイソシアネート化合物の前駆体をいう。ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
有機錫化合物としては、例えば、モノブチルチントリス(2−エチルヘキサノエート)、ジメチルチンジネオデカノエート、ジオクチルチンジネオデカノエート、ジメチルヒドロキシチンオレエート、ジブチルチンビス(2−エチルヘキサノエート)、ビス(2−エチルヘキサノエート)チン、モノブチルチントリアセテート、ジブチルチンジアセテート、トリブチルチンモノアセテート、ジブチルチンメチルマレエート、モノブチルチントリ(メチルグリコレート)、モノブチルチントリ(メチルプロピオネート)、モノブチルチントリラウレート、ジブチルチンジラウレート、トリブチルチンモノラウレート、ジブチルチンジ(n−ブチルマレエート)、モノブチルチントリ(ブチルグリコレート)、モノブチルチントリ(ブチルプロピオネート)、モノヘキシルチントリオクトエート、ジヘキシルチンジオクトエート、トリヘキシルチンモノオクトエート、ジヘキシルチンジ(n−オクチルマレート)、モノヘキシルチントリ(オクチルグリコレート)、モノヘキシルチントリ(メチルマレート)、モノオクチルチントリアセテート、ジオクチルチンジアセテート、トリオクチルチンモノアセテート、ジオクチルチンジ(メチルマレート)、モノオクチルチントリ(メチルグリコレート)、モノオクチルチントリ(メチルプロピオネート)、モノオクチルチントリプロピオネート、ジオクチルチンジプロピオネート、トリオクチルチンモノプロピオネート、ジオクチルチンジ(n−プロピルマレート)、モノオクチルチントリ(プロピルグリコレート)、モノオクチルチントリ(プロピルプロピオネート)、モノオクチルチントリオクトエート、ジオクチルチンジオクトエート、トリオクチルチンモノオクトエート、ジオクチルチンジ(n−オクチルマレート)、モノオクチルチントリ(オクチルグリコレート)、モノオクチルチントリ(オクチルプロピオネート)モノオクチルチントリラウレート、ジオクチルチンジラウレート、トリオクチルチンモノラウレート、ジオクチルチンジ(n−ラウリルマレート)、モノオクチルチントリ(ラウリルグリコレート)、モノオクチルチントリ(ラウリルプロピオネート)、n−ブチルチンヒドロキシドオキシド等が挙げられる。
4級アンモニウム塩化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2―ジメチルプロピオネート、2−ヒドロキシエチル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2,2ジメチルペンタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2−エチルー2−メチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2−エチルー2−メチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−ブチルアンモニウム・2−エチル−2−メチルペンタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−オクチルアンモニウム・2,2−ジメチルプロピオネート、2−ヒドロキシプロピル・トリn−オクチルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリアミルアンモニウム・2,2−ジメチルブタノエート、2−ヒドロキシプロピル・トリアミルアンモニウム・2,2−ジメチルペンタノエート等が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を併用してもよい。
耐候層3を形成する方法としては、上記アクリル共重合体、架橋剤としてのビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体と、必要に応じて、硬化触媒としての有機錫化合物および/または4級アンモニウム塩化合物等を溶媒に溶解して、この塗料組成物を基材フィルム2の一方の面に塗布し、次いで該溶媒を加熱等により除去し、さらに加熱して熱硬化(架橋)させることにより形成される。
使用される溶媒として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
基材フィルム2の一方の面に塗布する方法としては、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等、塗布される基材フィルム2の形状に応じて適宜選択することができる。
また、耐候層3は、その実質厚みが7μmを超えるような膜厚となるように形成されている。ここで、実質厚みとは、アクリル共重合体、ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体、有機錫化合物、及び/または、4級アンモニウム塩化合物の体積分率と、耐候層3の膜厚との積をいう。
例えば、耐候層3を形成する樹脂組成物が、紫外線吸収性コーティング剤100質量部及びイソシアネート系硬化剤13重量部(比重1.2)と、導電性微粒子88重量部(比重6.6)との割合で混合した溶液を、耐候層3のドライ膜の厚みが10μmとなるように形成した場合、耐候層3の実質厚みXは、
X={(100+13)/1.2}/[{(100+13)/1.2}+{88/6.6}]×10=8.8μm
となる。
なお、使用する基材フィルム2がポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などから形成されている場合、まれに樹脂中に含まれる添加剤が経時的に表面にブリードアウトして、光触媒表面を汚染し、所望の防汚性を阻害することがある。しかしながら、耐候層3の厚みを2μm以上とすれば、これらの添加剤の表面へのブリードアウトを抑制することもできるため、好適である。
また、これらの塗膜と基材フィルム2の密着性をさらに向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、透明性が損なわれないことを条件に基材の種類に応じて適宜選ばれる。
光触媒層4は、光照射によって親水化する層である。光触媒層4は、チタンアルコキシドが有機高分子化合物と加水分解縮合し、その含有率が表面から深さ方向に向かって連続的に変化する成分傾斜構造を有する複合体を構成している。
チタンアルコキシドの加水分解縮合物とは、チタンアルコキシドに硝酸等の酸触媒を含む水溶液を加えることにより加水分解反応したチタンアルコキシド同士が加水分解縮合して得られたものである。
このようなチタンアルコキシドの中では、チタンテトラアルコキシドが好ましく、該チタンテトラアルコキシドの例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラ−sec−ブトキシドおよびチタンテトラ−tert−ブトキシドなどが好ましく挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加水分解縮合に用いる溶媒としては、アルコール類が好ましく、炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類が、加水分解−縮合反応の制御および縮合物の安定化の点からさらに好ましい。この炭素数3以上のエーテル系酸素を有するアルコール類としては、チタンアルコキシドに対して相互作用を有する溶剤、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどを挙げることができる。これらの中で、特にセロソルブ系溶剤が好ましい。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チタンアルコキシドの加水分解縮合物中には、暗所保持後に半値幅15nm以下の光を照射した場合の親水化速度が、照射光の波長が370nm以上の領域で、2(1/deg/min/105)未満であり、かつ、照射光の波長が300nm〜360nmの領域の少なくとも一部では、2(1/deg/min/105)以上である光触媒粒子、及び、平均粒径が150nm以下の光半導体粒子以外の金属化合物系微粒子が存在する。
また、チタンアルコキシドの加水分解縮合物中には、アルミニウム化合物、例えば、硝酸アルミニウムが含まれている。アルミニウム化合物(硝酸アルミニウム)の添加量は、アルミニウム化合物中のAl原子と、チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子とが、
15≦{アルミニウム化合物中のAl原子/[アルミニウム化合物中のAl原子+チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子]}×100≦35
の関係を満たすように含まれている。硝酸アルミニウムの添加量が15(%)未満では、充分な収縮防止効果が得られないおそれがあり、一方、硝酸アルミニウムの添加量が35(%)より多いと、均一な薄膜を得がたく、また、結晶化しにくいためである。かかる範囲内にすることにより、白濁化を防止することができる。
有機高分子化合物としては、例えば、金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを、共重合させることにより得られる有機高分子化合物を好ましく挙げることができる。
金属を含まないエチレン性不飽和単量体としては、例えば、一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体、
Figure 2010167598

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Xは一価の有機基である。)
好ましくは一般式(III−a)
Figure 2010167598

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは一価の炭化水素基又はエポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基を示す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体を一種又は二種以上混合して使用してもよい。
上記一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体において、Rで示される炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及び各種のブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられる。炭素数3〜10のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基などが、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが、炭素数7〜10のアラルキル基の例としては、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
エポキシ基、ハロゲン原子若しくはエーテル結合を有する炭化水素基としては、これらの基、原子若しくは結合を有する炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基を好ましく挙げることができる。上記置換基のハロゲン原子としては、塩素原子等が挙げられる。
この一般式(III−a)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−グリシドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記一般式(III)で表されるエチレン性不飽和単量体としては、これら以外にもスチレン、α−メチルスチレン、α−アセトキシスチレン、m−、o−又はp−ブロモスチレン、m−、o−又はp−クロロスチレン、m−、o−又はp−ビニルフェノール、1−又は2−ビニルナフタレンなど、さらにはエチレン性不飽和基を有する重合性高分子用安定剤、例えばエチレン性不飽和基を有する、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤なども用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば一般式(IV)
Figure 2010167598

(式中、Rは水素原子又はメチル基、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、Rはメチル基又はエチル基を示す。)
で表される化合物を好ましく挙げることができる。一般式(IV)において、3つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。
この一般式(IV)で表されるエチレン性不飽和単量体の例としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
このカップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この金属を含まないエチレン性不飽和単量体と、カップリング性ケイ素含有基を有するエチレン性不飽和単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合させることにより、カップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物からなる自己傾斜性を有する化合物が得られる。
このようにして得られたカップリング性ケイ素含有基を有する有機高分子化合物をアルコール、ケトン、エーテルなどの適当な溶剤中に溶解させた溶液と、チタンアルコキシドの加水分解・縮合物と、チタン以外の金属化合物単体及び/又はそれを含む反応液を必要により希釈した溶液とを混合することにより、有機高分子化合物中のカップリング性ケイ素含有基が加水分解し、チタンアルコキシドの加水分解縮合物と選択的に反応し、成分傾斜構造を有する光触媒層4用のコーティング組成物が得られる。
また、光触媒層4は、その屈折率と、塗工する基材フィルム2の屈折率との差が、
0.0≦(基材フィルム2の屈折率)−(光触媒層4の屈折率)<0.2
の関係式を満たすように調整されていることが好ましい。光触媒層4の屈折率は、例えば、光触媒層4にシリカ系微粒子を添加することによって調整される。
シリカ系微粒子としては、例えば、シリカ微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたコロイダルシリカが用いられている。コロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒分散型のどちらでも使用できるが、表面の親水性を強める場合は、シリカ微粒子の表面に多数の水酸基が存在する水分散型のものを用いるのが好ましい。また、コーティング組成物のポットライフを長くするためには、多数の水酸基が凝集を招くことがあるため、有機溶媒分散型を用いることが好ましい。
また、水分散型コロイダルシリカはさらに酸性水溶液分散型と塩基性水溶液分散型に分かれる。該水分散型コロイダルシリカは酸性水溶液分散型と塩基性水溶液分散型のどちらでも使用できるが硬化触媒選択の多様性、チタンアルコキシドの適切な加水分解、縮合状態の実現の観点から酸性水溶液分散型コロイダルシリカが好ましく使用される。
かかるコロイダルシリカとして、具体的には、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックスO、触媒化成工業(株)のカタロイドSN、塩基性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックス30、スノーテックス40、触媒化成工業(株)のカタロイドS30、カタロイドS40、有機溶剤に分散させた商品として日産化学工業(株)のMA−ST、IPA−ST、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST、触媒化成工業(株)のOSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1632、OSCAL1732等が挙げられる。
例えば、平均粒径40nm未満のシリカ微粒子S1と、平均粒径40nm以上80nm未満のシリカ微粒子S2とを、その混合比率が80/20≦S1/S2≦50/50となるように調整することにより、光触媒層4の屈折率と基材フィルム2の屈折率との差を0.2未満にする。
また、例えば、平均粒径40nm未満のシリカ微粒子S1と、平均粒径80nm以上150nm未満のシリカ微粒子S3とを、その混合比率が95/5≦S1/S3≦65/35となるように調整することにより、光触媒層4の屈折率と基材フィルム2の屈折率との差を0.2未満にしてもよい。
微粘着層5は、光触媒層4への接着力が、JIS A5759に従った粘着力試験において、0.2N/25mm以上とすることができる有機系粘着剤からなる粘着剤から形成されている。
また、微粘着層5は、照射光の波長が300nmであって半値幅が15nm以下の紫外光を保護フィルム6剥離直後に光触媒層4に照射した場合の親水化速度R1と、充分親水化した後に再び暗所保持し、同様の紫外光を光触媒層4に照射した場合の親水化速度R2との関係が、
R2<10×R1
となるような粘着剤から形成されている。このような粘着剤としては、例えば、従来から一般的に使用されているアクリル系、ウレタン系、シリコーンゴム系、ゴム系などの粘着剤を適宜使用できる。
保護フィルム6は、光触媒層4を保護可能なフィルムであればよく、各種のフィルムを用いることができる。保護フィルム6を設けるのは、摩耗、擦過に弱い光触媒層4を、光触媒活性作用を発現させて使用を開始するまで保護するためである。
粘着層7は、施工ガラスへの接着力がJIS A5759に従った粘着力試験において、2N/25mm以上、好ましくは4N/25mm以上、最も好ましくは8N/25mm以上とすることができる粘着剤から形成されている。かかる粘着力を有することができる粘着剤から形成することにより、ガラスの飛散防止機能・貫通防止機能を発揮することができる。
セパレートフィルム8は、粘着層7及び基材フィルム2を保護するとともに、粘着層7との剥離性を有するフィルムであればよく、粘着層7の粘着剤の種類に応じた各種のフィルムを用いることができる。
また、基材フィルム2、耐候層3、及び、粘着層7の少なくとも1層には紫外線吸収剤が含まれている。紫外線吸収剤は、380nm以下の紫外光を吸収する物質であれば特に制限はないが、以下の化合物が好ましく挙げられる。
紫外線吸収剤の例としては、具体的には、2(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;2,4−ジ−t−ブチルフェニルー3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類、エチル−2−シアノ−3,5−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシエトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−o―オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−i−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−ジスルホベンゾフェノン−ジ−ナトリウム塩、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル類、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどの置換アクリロニトリル類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、紫外線散乱剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)や励起エネルギー吸収剤、ラジカル補足剤などの一種またはこれらを適宜組み合わせて含有させてもよい。
光安定剤の例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2、4−ジイル][(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルイミド]、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N‘−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6、−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、TINUVIN770,123,144,622(以上、Ciba Geigy社)、SANOL LS−770,765,292,2626(以上、三共株式会社製品名)、アデカスタブLA−52,57,62(以上、旭電化株式会社)等のヒンダードアミン類が使用可能である。これらの光安定剤は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、紫外線吸収剤と併用することもできる。
紫外線散乱剤の例としては、主に金属酸化物粉末などの無機系材料を挙げることができ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどを微粒子化した粉末、あるいは二酸化チタン微粒子を酸化鉄で複合化処理してなるハイブリッド無機粉末、酸化セリウム微粒子の表面を非晶質シリカで被覆してなるハイブリッド無機粉末などが挙げられる。紫外線散乱剤とは紫外線を散乱させることによって紫外線遮蔽効果をもたらす材料であるが、紫外線散乱効果は粒子径に大きく影響を受けるので、その平均粒径は5μm以下が好ましく、特に10nm〜2μmの範囲が好ましい。なお、この紫外線散乱剤が光触媒活性を有するものである場合には、粒子表面を水ガラスなどで薄く被覆して光触媒活性をなくしたものを用いることが好ましい。
光触媒層4から粘着層7までの積層構造(光触媒層4、耐候層3、基材フィルム2、及び、粘着層7)における380nm以下の紫外光の遮断率は、99%以上である。色素が380nm以下の紫外線で分解され、退色するのを極力抑止するためである。なお、紫外線の遮断率は、UV−Vissスペクトルより簡便に測定できる。
さらに、基材フィルム2、耐候層3、及び、粘着層7の少なくとも1層には赤外線吸収剤が含まれている。赤外線吸収剤は、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物及び/または金属からなる。赤外線吸収剤としては 、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化鉛、酸化セリウム、酸化ビスマス、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化セシウム、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、六ホウ化ランタンなどが挙げられ、これらを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ガラス窓外張りフィルム1(光触媒層4から粘着層7までの積層構造)は、初期的な光学特性として、可視光透過率が70%〜90%の範囲にあり、かつJIS A5759に準じて算出した日射透過率が50〜65%の範囲にあり、また、サンシャインウェザーメーター3000時間後において、可視光透過率、日射透過率ともにその変化が10%以下であり、曇り度が10%以下であるように設定されている。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。例えば、基材フィルム2へ粘着層7を形成する前に、基材フィルム2の接地面側に事前に印刷による着色を施した後、着色側に粘着層7を積層したフィルムであって、フィルムの少なくとも一部に、一色以上で着色を施してもよい。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の実施例は、本発明の好適な例を示すものであり、本発明がこれらに限定されるものではない。
(合成例1)チタンアルコキシドの加水分解縮合液の合成
エチルセロソルブ149gに、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達株式会社製「商品名:A−1」)76gを攪拌しながら滴下し、溶液(A)を得た。この溶液(A)にエチルセロソルブ58g、蒸留水4.6g、60wt%濃硝酸13gの混合溶液を攪拌しながら滴下し溶液(B)を得た。溶液(B)をその後、30℃で4時間攪拌することによってチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を得た。
(合成例2)有機成分溶液の合成
窒素雰囲気下で、2Lセパラブルフラスコに、メチルイソブチルケトン700g、メタクリル酸メチル337g、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン43gを添加し、60℃まで昇温した。この混合溶液に、アゾビスイソブチロニトリル3.3gを溶かしたメチルイソブチルケトン117gを滴下して重合反応を開始し、30時間攪拌して有機成分溶液(D)を得た。
(実施例1)
(1)耐候プライマー付PETフィルムの作成
紫外線吸収剤が練り込まれたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部と導電性微粒子(石原産業株式会社製「SNS−10M」)88重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液を、ドライ膜の厚みが10μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成した(耐候層3の実質厚み8.8μm)。
(2)コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分との塗布膜
エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得た。続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST」(平均粒径20nm))13.9gの順番で混合し、その後32℃の温浴で24時間攪拌してコロイダルシリカと硝酸アルミニウムとを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した。なお、硝酸アルミニウムの添加量は15%である。
コーティング液(H)を耐候プライマー付きPETフィルム(E)上に約10μmのウエット厚みで塗布し、ドライ厚みが100nmになるようにマイヤーバーを用いて塗布した。
当該サンプルの特性を表1に示す。また、初期特性として可視光透過率、JIS A5759に準じて算出した日射透過率、JIS K7350によるカーボンアーク式サンシャインウェザーメーター(SWM)(スガ試験機製、S300)による加速耐候試験3000時間(SWM3000時間)暴露した後の耐候特性を表1に示す。なお、以下の実施例2〜10、比較例1〜9についても同様に、サンプルの構造、初期特性、SWM3000時間暴露した後の耐候特性を表1に示す。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。なお、断熱効果の評価は、五方を断熱材で囲まれた空間(内寸15cm×15cm×3cm)の上方に、試験片(3mm厚のソ−ダライムガラスにサンプルフィルムを貼合)を、フィルム貼合面が外側になるように設置し、その上方60cmより熱線(近赤外ヒーターの出力を50%に設定)を照射して照射5分後の室内温度を測定し、この測定した室内温度とフィルム未貼合サンプルでの室内温度との温度差により温度抑制効果を確認した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が6%であり、可視光透過率が73%(変化量−5%)、日射透過率が52%(変化量−5%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないことが確認できた。また、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例2)
耐候プライマー付PETフィルムの作成において、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部と導電性微粒子(石原産業株式会社製「SNS−10M」)39重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液をドライ膜の厚みが10μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成したこと以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が89%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が65%であった。また、断熱効果の評価により、7℃の温度抑制効果があることを確認した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が4%であり、可視光透過率が86%(変化量−3%)、日射透過率が64%(変化量−2%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例3)
耐候プライマー付PETフィルムの作成において、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部と導電性微粒子(石原産業株式会社製「SNS−10M」)150重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液をドライ膜の厚みが11μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成したこと以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が72%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が50%であった。また、断熱効果の評価により、14℃の温度抑制効果があることを確認した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が7%であり、可視光透過率が68%(変化量−6%)、日射透過率が47%(変化量−7%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例4)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ54gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)7.7gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を43g加えてよく攪拌し溶液(G)を得た(硝酸アルミニウムの添加量35%)以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が5%であり、可視光透過率が73%(変化量−5%)、日射透過率が52%(変化量−5%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例5)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、および、コロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST(平均粒径20nm)」)11.1g、コロイダルシリカb(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−L(平均粒径50nm)」)2.8gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカb/コロイダルシリカa=20/80wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。親水化速度は、実施例1と比較して2.1倍に向上した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が7%であり、可視光透過率が74%(変化量−4%)、日射透過率が52%(変化量−5%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例6)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST(平均粒径20nm)」)7.0g、コロイダルシリカb(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−L(平均粒径50nm)」)7.0gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカb/コロイダルシリカa=50/50wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。親水化速度は、実施例1と比較して2.0倍に向上した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が7%であり、可視光透過率が74%(変化量−4%)、日射透過率が53%(変化量−4%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例7)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST(平均粒径20nm)」)3.5g、コロイダルシリカb(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−L(平均粒径50nm)」)10.4gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカb/コロイダルシリカa=75/25wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。親水化速度は、実施例1と大差なかった。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が8%であり、可視光透過率が73%(変化量−5%)、日射透過率が52%(変化量−5%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例8)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST(平均粒径20nm)」)13.2g、コロイダルシリカc(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−ZL(平均粒径100nm)」)0.7gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1に同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカc/コロイダルシリカa=5/95wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。親水化速度は、実施例1と比較して2.5倍に向上した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が8%であり、可視光透過率が73%(変化量−5%)、日射透過率が52%(変化量−6%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例9)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST(平均粒径20nm)」)9.0g、コロイダルシリカc(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−ZL(平均粒径100nm)」)4.9gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカc/コロイダルシリカa=35/65wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。親水化速度は、実施例1と比較して2.1倍に向上した。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が7%であり、可視光透過率が74%(変化量−4%)、日射透過率が52%(変化量−5%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(実施例10)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST(平均粒径20nm)」)7.6g、コロイダルシリカc(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−ZL(平均粒径100nm)」)6.3gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカc/コロイダルシリカa=45/55wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果があることを確認した。親水化速度は、実施例1と大差なかった。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が7%であり、可視光透過率が74%(変化量−4%)、日射透過率が53%(変化量−4%)と、長期の暴露に拘わらず高い透明性を示した。また、SWM3000時間暴露した後の透過型電子顕微鏡写真と制限視野回折像結果から、膜中に存在している結晶質酸化チタンの結晶径は10nmを超えないこと、及び、結晶質酸化チタンが非晶質酸化チタン中に分散している様子を確認した。
(比較例1)
耐候プライマー付PETフィルムの作成において、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液をドライ膜の厚みが9μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成したこと以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が93%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が68%であった。しかしながら、断熱効果の評価により、温度抑制効果は認められなかった。
(比較例2)
耐候プライマー付PETフィルムの作成において、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部と導電性微粒子(石原産業株式会社製「SNS−10M」)18重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液をドライ膜の厚みが9μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成したこと以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が90%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が66%であった。しかしながら、断熱効果の評価により、4℃の温度抑制効果しか認められなかった。
(比較例3)
耐候プライマー付PETフィルムの作成において、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部と導電性微粒子(石原産業株式会社製「SNS−10M」)200重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液をドライ膜の厚みが12μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成したこと以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、JIS A5759に準じて算出した日射透過率は48%であり、断熱効果の評価によって、16℃の温度抑制効果が認められたが、可視光透過率が69%と低くなった。
(比較例4)
耐候プライマー付PETフィルムの作成において、紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「HB3」、厚み50μm)の片面に、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)がハイブリッドされた紫外線吸収性コーティング剤(日本触媒株式会社製「UV−G301」)100質量部と導電性微粒子(石原産業株式会社製「SNS−10M」)88重量部とイソシアネート系硬化剤(住友バイエルウレタン株式会社製「デスモジュールN3200」)を13質量部の割合で混合した酢酸エチル溶液をドライ膜の厚みが7μmになるようにマイヤーバーで塗布した後、熱架橋させて耐候プライマー付PETフィルム(E)を作成した(耐候層3の実質厚み6.1μm)こと以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が83%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が61%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果が認められた。
一方、SWM3000時間暴露した後の曇り度(Hz)の値が13%、可視光透過率が66%(変化量−20%)と、長期の暴露で高い透明性を維持できなかった。
(比較例5)
エチルセロソルブ35gと1−プロパノール51gとを混合し、攪拌している中に、上記記載のチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を4.2g加えた。次に、この液に硝酸0.35gと水6.7gとを混合した液をゆっくりと加えた。続いて、この液を攪拌しながら、酸化チタンスラリー(住友化学株式会社製「PC201」)0.48gをゆっくりと滴下した。その後、攪拌しながらコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:IPA−ST」、平均粒径20nm)2.2gを滴下させ、その後、約30℃の温浴で4時間攪拌させて、光触媒トップコート液(I)を作成した。
次に、実施例1と同じ方法で作成した、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液の塗布膜上に上記光触媒トップコート液(I)を約10μmのウエット厚みで塗布し、ドライ厚みが50nmになるようにマイヤーバーを用いて塗布した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が76%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果が認められた。
一方、SWM3000時間暴露した後の可視光透過率が73%(変化量−4%)、日射透過率が52%(変化量−5%)であったものの、曇り度(Hz)の値が11%であり、長期の暴露で高い透明性をわずかに維持できなかった。
(比較例6)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ21gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)3.0gを溶解させ、続いて、合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を80g加えてよく攪拌し溶液(G)を得た(硝酸アルミニウムの添加量10%)以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が78%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果が認められた。
一方、SWM3000時間暴露した後の可視光透過率が75%(変化量−4%)、日射透過率が52%(変化量−5%)であったものの、曇り度(Hz)の値が21%であり、長期の暴露で高い透明性をわずかに維持できなかった。
(比較例7)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ58gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)8.3gを溶解させ、続いて、合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を38g加えてよく攪拌し溶液(G)を得た(硝酸アルミニウムの添加量40%)以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果が認められたが、初期Hzの値が3.1%と少し高かった。
一方、SWM3000時間暴露した後の可視光透過率が74%(変化量−4%)、日射透過率が53%(変化量−4%)であったものの、曇り度(Hz)の値が12%であり、長期の暴露で高い透明性を維持できなかった。
(比較例8)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて、合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST」、平均粒径20nm)2.4g、コロイダルシリカb(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−L」平均粒径50nm)11.5gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカb/コロイダルシリカa=83/17wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果が認められた。しかしながら、親水化速度が実施例1と比較して0.7倍に低下した。
(比較例9)
コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物の調合において、エチルセロソルブ29gに硝酸アルミニウム・九水和物(和光純薬工業株式会社製、純度99%)4.2gを溶解させ、続いて、合成例1で作成したチタンアルコキシドの加水分解縮合液(C)を71g加えてよく攪拌し溶液(G)を得、続いて、合成例2で作成した有機成分溶液(D)7.3g、メチルイソブチルケトン236g、エチルセロソルブ139g、溶液(G)104g、およびコロイダルシリカa(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST」、平均粒径20nm)7.0g、コロイダルシリカc(日産化学工業株式会社製「商品名:スノーテックスIPA−ST−ZL」平均粒径100nm)7.0gの順番で混合し、その後、32℃の温浴で24時間攪拌して、コロイダルシリカと硝酸アルミニウムを混合したチタンアルコキシドの加水分解物と有機成分とのコーティング液(H)を作成した以外は、実施例1と同じ方法でサンプルを作成した。コーティング液(H)中のコロイダルシリカc/コロイダルシリカa=50/50wt%であった。
表1に示すように、当該サンプルの光学特性は、可視光透過率が77%、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が55%であった。また、断熱効果の評価により、11℃の温度抑制効果が認められた。しかしながら、親水化速度が実施例1と比較して0.7倍に低下した。
Figure 2010167598
1 ガラス窓外張りフィルム
2 基材フィルム
3 耐候層
4 光触媒層
5 微粘着層
6 保護フィルム
7 粘着層
8 セパレートフィルム

Claims (4)

  1. 基材フィルムの一方の面に、耐候層、光触媒層、微粘着層、及び、保護フィルムが積層され、他方の面に、粘着層、セパレートフィルムが積層された構造を有し、
    前記基材フィルムは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、または、ポリオレフィン系樹脂のいずれかからなり、その引っ張り強さが50N/25mm以上、その伸度が60%以上であって、その厚みが20μm〜400μmであり、
    前記耐候層は、下記式(A−1)、下記式(A−2)及び下記式(A−3)に示す繰り返し単位からなる架橋したアクリル共重合体と、ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体と、必要に応じて、硬化触媒としての有機錫化合物および/または4級アンモニウム塩化合物と、を含む組成からなる塗料組成物を、実質厚みが7μmを超えるような膜厚に熱硬化させたアクリル樹脂から形成され、
    前記光触媒層は、光照射によって親水化し、暗所保持後に半値幅15nm以下の光を照射した場合の親水化速度が、照射光の波長が370nm以上の領域で、2(1/deg/min/105)未満であり、かつ、照射光の波長が300nm〜360nmの領域の少なくとも一部では、2(1/deg/min/105)以上である光触媒粒子、及び、平均粒径が150nm以下の光半導体粒子以外の金属化合物系微粒子が、チタンアルコキシドの加水分解縮合物中に存在するとともに、前記チタンアルコキシドが有機高分子化合物と加水分解縮合し、その含有率が表面から深さ方向に向かって連続的に変化する複合体を形成し、
    前記微粘着層は、その粘着剤が有機系粘着剤からなり、前記光触媒層への接着力が0.2N/25mm以上であるとともに、照射光の波長が300nmであって半値幅が15nm以下の紫外光を、前記保護フィルム剥離直後に前記光触媒層に照射した場合の親水化速度R1と、充分に親水化した後に再び暗所保持し、同様の紫外光を前記光触媒層に照射した場合の親水化速度R2との関係が、R2<10×R1以上であり、
    前記粘着層は、施工ガラスへの接着力が2N/25mm以上となる粘着剤から形成され、
    前記実質厚みは、前記アクリル共重合体、前記ビウレット型ポリイソシアネート化合物前駆体、前記有機錫化合物、及び/または、4級アンモニウム塩化合物の体積分率と前記耐候層の膜厚との積であり、
    前記チタンアルコキシドの加水分解縮合物中にアルミニウム化合物を含み、前記アルミニウム化合物中のAl原子と、前記チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子とが、
    15≦{アルミニウム化合物中のAl原子/[アルミニウム化合物中のAl原子+チタンアルコキシドの加水分解縮合物中のTi原子]}×100≦35
    の関係を満たし、
    前記基材フィルム、前記耐候層、及び、前記粘着層の少なくとも1層に紫外線吸収剤を含み、前記光触媒層から前記粘着層までの積層構造における380nm以下の紫外光の遮断率が99%以上であり、
    前記基材フィルム、前記耐候層、及び、前記粘着層の少なくとも1層に、金属酸化物、金属窒化物、金属ホウ化物及び/または金属からなる赤外線吸収剤を含み、
    積層フィルム全体での初期的な光学特性として、可視光透過率が70%〜90%の範囲にあり、かつ、JIS A5759に準じて算出した日射透過率が50〜65%の範囲にあって、サンシャインウェザーメーター3000時間後において、可視光透過率、日射透過率ともにその変化が10%以下であり、曇り度が10%以下である、
    ことを特徴とするガラス窓外張りフィルム。
    Figure 2010167598

    (式中Rはメチル基またはエチル基である。)
    で表される繰り返し単位、
    Figure 2010167598

    (式中Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。式(A−2)で表される繰り返し単位において少なくとも一部のRは単結合であり、残りが水素原子である。Rが単結合の場合はウレタン結合を介して、他の式(A−2)で表される繰り返し単位と結合している。)
    で表される繰り返し単位、
    Figure 2010167598

    (但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつRがメチル基またはエチル基である場合を除く。)で表される繰り返し単位からなる。
  2. 前記光触媒粒子は、その結晶径が1nm〜10nmの範囲内にある結晶質酸化チタンを含んでなる光半導体粒子であり、
    前記チタンアルコキシドの加水分解縮合物中に含まれる当該光半導体粒子の含有割合が3%以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス窓外張りフィルム。
  3. 前記光触媒層は、その屈折率と前記基材フィルムの屈折率との差が、シリカ系微粒子を添加することによって、
    0.0≦(基材フィルムの屈折率)−(光触媒層の屈折率)<0.2
    の関係式を満たすように調整され、
    前記シリカ系微粒子は、平均粒径40nm未満のシリカ微粒子S1と平均粒径40nm以上80nm未満のシリカ微粒子S2を、その混合比率が80/20≦S1/S2≦50/50となるように調整されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス窓外張りフィルム。
  4. 前記光触媒層は、その屈折率と前記基材フィルムの屈折率との差が、シリカ系微粒子を添加することによって、
    0.0≦(基材フィルムの屈折率)−(光触媒層の屈折率)<0.2
    の関係式を満たすように調整され、
    前記シリカ系微粒子は、平均粒径40nm未満のシリカ微粒子S1と平均粒径80nm以上150nm未満のシリカ微粒子S3を、その混合比率が95/5≦S1/S3≦65/35となるように調整されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のガラス窓外張りフィルム。
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