JP2017206028A - 化粧板 - Google Patents

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克年 堀野
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和紘 伊藤
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Abstract

【課題】表層樹脂層の劣化を防ぎ、機能性に優れた化粧板を提供する。【解決手段】基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置される酸化アルミニウム含有粒子と、上記酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持されるチタニア含有光触媒とを有し、上記表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率は、0.5〜1.5であることを特徴とする化粧板。【選択図】 図1

Description

本発明は、化粧板に関する。
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの機能性物質を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した化粧板が提供されている。
特許文献1には、抗菌・抗ウィルス性等の機能を有する機能材を含有する樹脂塗膜で被覆されて機能材が表面近傍で固定化されていることを特徴とする機能性建材が提案されている。
特許文献2には、紙の表面に抗菌性金属を担持させたカルシウム系セラミックス焼成物粉末よりなる抗菌剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂を塗布することで抗菌性ポリエステル化粧板を得る製造方法が提案されている。
特許文献3には、水酸化アルミニウム粉末表面に酸化チタンを担持させた光触媒担持多孔体を化粧板の表面に固定した化粧板を開示する。
特開2008−80210号公報 特開平07−304619号公報 特開2002−285691号公報 特開平04−307065号公報
図4は、従来の化粧板(例えば、特許文献4)を模式的に示す概略断面図である。
この化粧板3では、光触媒などの機能性物質17が表層樹脂層12に固定されている。
図4に示した化粧板3では、化粧板の表層樹脂は施工後に紫外線の照射を受けることにより、経時的に抗菌、抗ウイルス機能が低下するという問題が生じた。この原因は、明確ではないが、表層樹脂層が紫外線で劣化し、表層樹脂とともに光触媒も脱落してしまうためではないかと推定している。
また、化粧板の表層に機能性物質を添加又は塗布する場合があるが、このような場合、機能性物質は表層の表層樹脂層に埋まってしまい表層における露出部が少ないため、充分な機能性が発現できないという問題があった。さらに、化粧板には、ウィルス不活度が99.9%以上(大腸菌に対して不活化されていないウィルス濃度が1000分の1以下)相当となる高い抗菌性、抗ウィルス性を要求される場合もあり、このような場合、その機能性を充分に発現できないという課題もあった。
さらに、光触媒が表層樹脂層に埋没しないように、特許文献3のように水酸化アルミニウムの表面に光触媒を担持して、これを化粧板表面に固定する方法があるが、特許文献3では、酸化チタンの担持量は0.45重量%であり、99.58%の水酸化アルミニウムとのモル比からTi/Al比を計算すると、0.45/79.87/(99.55×0.9958)/77.98=0.0044であり、このような化粧板を抗ウイルス化粧板として転用したとしても十分に抗ウイルス機能を発揮できないとの問題も見られた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、メラミン樹脂等からなる表層樹脂層の劣化を防ぎ、経時劣化による抗菌、抗ウイルス機能の低下がない、機能性に優れた化粧板を提供することを目的とする。特に、抗菌性、抗ウィルス性に優れた化粧板を提供することを目的とする。
本発明の化粧板は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置される酸化アルミニウム含有粒子と、上記酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持されるチタニア含有光触媒とを有し、上記表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率は、0.5〜1.5であることを特徴とする。
本発明の化粧板は、表層樹脂層上に露出して配置された酸化アルミニウム含有粒子と、上記酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持されたチタニア含有光触媒とを有し、表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率が0.5〜1.5であるため、優れた抗菌性、抗ウィルス性を有しつつ、耐候性に優れる。
本発明の化粧板は、表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率が1.5以下であるので、酸化アルミニウム含有粒子の表面が完全にチタニア含有光触媒に覆われず、化粧板の表層に存在する菌やウィルスが、酸化アルミニウム含有粒子に引き寄せられる作用を有し、優れた抗菌性、抗ウィルス性を有しつつ、耐候性に優れる。また、チタニアの屈折率は、酸化アルミニウムの屈折率よりも大きいので、Ti/Alのモル比率が1.5を超えると、化粧板の光透過性が減少し、白濁しやすくなるため、化粧板の意匠性に影響を及ぼすことがある。
表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率が0.5未満の場合、チタニア含有光触媒の量が少なく、また耐候性が充分ではないため、抗菌性、抗ウィルス性が時間とともに低下してしまう。
なお、本発明の化粧板における表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率は、表層樹脂層を走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型分光分析(SEM/EDXともいう)を用いて元素分析することにより求めることができる。
本発明の化粧板において、酸化アルミニウム含有粒子の等電点は、チタニア含有光触媒の等電点よりも高いことが望ましい。ここで等電点とは、溶液の水素イオン濃度を変化させたとき、溶質となる粒子の正と負の電荷が全体としてゼロになり、電場をかけても移動しないような状態で、粒子全体の電荷平均が0となるときの水素イオン指数であり、その値をpHとして表す。この等電点は物質により規定される値であり、その一例として、チタニア含有光触媒の等電点はpH5〜6であるものが多く、それに対して、酸化アルミニウム含有粒子は、チタニア含有光触媒の等電点よりも高い等電点となるものを用いることが望ましく、酸化アルミニウム含有粒子の等電点がpH7以上であることがより望ましい。なお、等電点の測定方法としては、電気泳動法(JIS R1638)により行うことができる。
本発明の化粧板において、酸化アルミニウム含有粒子を構成する酸化アルミニウム以外の成分としては、セリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、珪素、鉄、コバルト、銅、クロム、ニッケル、錫、カドミウム、マグネシウム、マンガン、タングステン、バナジウム、イットリウムなどが挙げられ、これらの成分は金属であってもよく、酸化物、水酸化物、水和物などであってもよく、酸化アルミニウムと複合化していてもよい。また、等電点に関し、酸化アルミニウム(Al)の等電点は、pH:7.4〜9.2、ベーマイト(AlOOH)の等電点は、pH7.7〜9.4、カドミウム水酸化物(Cd(OH))の等電点は、pH10.5以上、酸化カドミウム(CdO)の等電点は、pH7.7、鉄水和物(Fe(OH))の等電点は、pH12、酸化鉄(Fe)の等電点は、pH12、酸化銅(CuO)の等電点は、pH9.5、銅水和物(Cu(OH))の等電点は、pH7.7である。これらの成分を複合化し、酸化アルミニウム含有粒子としての等電点が、チタニア含有光触媒の等電点よりも高いことが望ましい。
酸化アルミニウム含有粒子は、菌やウィルスを引き寄せやすいという作用を有する。そもそも、菌やウィルスは、タンパク質や脂肪を含んでいるため、アニオン物質であり、アニオン物質は、その対極であるカチオン物質に引き寄せられるという性質を有する。つまり、化粧板の表層に存在する菌やウィルスは、酸化アルミニウム含有粒子に引き寄せられ、酸化アルミニウム含有粒子に担持されたチタニア含有光触媒により、菌やウィルスを減少させることができ、また、菌やウィルスが増殖しないので、抗菌や抗ウィルスの効果を得やすくなる。酸化アルミニウム含有粒子でない粒子の場合、化粧板の表層に存在する菌やウィルスがチタニア含有光触媒に接触する頻度が低いので、菌やウィルスが残存または増殖し、抗菌や抗ウィルスの効果を得にくいのである。
また、酸化アルミニウム含有粒子は、チタニア含有光触媒を一定間隔で担持しやすいという性質を有する。酸化アルミニウム含有粒子でない粒子にチタニア含有光触媒を担持させると、チタニア含有光触媒同士の間隔が狭くなりやすい。そのため、菌やウィルスとチタニア含有光触媒との接触頻度が低下し、想定される菌やウィルスの減少作用が発揮されなくなる。その結果、菌やウィルスを減少させるのに時間を要し、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しにくくなる。これに対して、本発明で用いる酸化アルミニウム含有粒子は、一定間隔に担持されるので、菌やウィルスとチタニア含有光触媒との接触頻度の低下がなく、所望の時間で菌やウィルスを減少させ、抗菌、抗ウィルスの効果が発現しやすくなる。このように、酸化アルミニウム含有粒子は、チタニア含有光触媒の担持を一定間隔にさせ、菌やウィルスを引き寄せるという効果があり、抗菌や抗ウィルス効果を向上させることができる。チタニア含有光触媒に、菌やウィルスが接触すると、チタニア含有光触媒は、菌やウィルスを全分解させるか、又は、一部を損傷させることができるので、菌やウィルスを減少させることができる。
上記した効果は、酸化アルミニウム含有粒子にチタニア含有光触媒を担持させることにより得られる。
本発明の化粧板において、上記酸化アルミニウム含有粒子は、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子であることが望ましい。
アルミナは、酸化アルミニウム含有粒子の中で最も利用しやすい上に、上記説明した菌やウィルスを減少させる作用を効率的に利用することができる。また、アルミン酸ストロンチウムは、蓄光作用があるので、光がない環境下でも菌やウィルスを減少させる作用を長期間持続させることができる。
本発明の化粧板において、酸化アルミニウム含有粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmであることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記酸化アルミニウム含有粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
酸化アルミニウム含有粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、チタニア含有光触媒を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、酸化アルミニウム含有粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、チタニア含有光触媒を担持する酸化アルミニウム含有粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
本発明の化粧板において、上記チタニア含有光触媒は、可視光応答型光触媒であることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、又は、炭素ドープチタニア触媒であることが望ましい。特に、可視光応答型光触媒の等電点は、pH5〜6であることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有することが望ましい。
本発明の化粧板において、酸化アルミニウム含有粒子の表層にシリカゾルの乾燥体を有していることが望ましい。チタニア含有光触媒の固定化を補強することができるからである。
本発明の化粧板において、上記酸化アルミニウム含有粒子が上記表層樹脂層から露出するように埋没して固定され、上記チタニア含有光触媒は上記表層樹脂層に直接接触しないように上記酸化アルミニウム含有粒子の露出面に担持されていることが好ましい。
酸化アルミニウム含有粒子が表層樹脂層から露出するように埋没して固定され、かつ、チタニア含有光触媒が表層樹脂層に直接しないように酸化アルミニウム含有粒子の露出面に担持されていると、チタニア含有光触媒による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因するチタニア含有光触媒の脱落を防止することができる。
本発明の化粧板では、チタニア含有光触媒は酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持され、表層樹脂層に直接接触しない。換言すれば、酸化アルミニウム含有粒子が表層樹脂層から露出するようにその一部が埋没して固定され、光触媒は表層樹脂層に直接接触しないように上記酸化アルミニウム含有粒子の露出面に選択的に担持されるのである。このため、チタニア含有光触媒による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因するチタニア含有光触媒の脱落を防止することができる。また、本発明では、チタニア含有光触媒の表層樹脂層中への埋没がなく、チタニア含有光触媒が化粧板の表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、光触媒としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。 図2は、本発明の化粧板を構成する酸化アルミニウム含有粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。 図3(a)は、本発明の一の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。 図4は、従来の化粧板を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明の化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
本発明の化粧板1は、基板(図示せず)と基板の表面上に積層されるメラミン樹脂等からなる表層樹脂層12を有し、酸化アルミニウム含有粒子13が表層樹脂層12上に露出して配置され、チタニア含有光触媒14が酸化アルミニウム含有粒子13の露出面上に担持された構造を有するものである。換言すると、酸化アルミニウム含有粒子13は表層樹脂層12から露出するように埋没して固定されており、チタニア含有光触媒14は表層樹脂層12に直接接触しないように酸化アルミニウム含有粒子13の露出面に担持されている。
本発明の化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃基材等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃基材を積層させて基板とすることもできる。
マグネシアセメント不燃基材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、基板の片面又は両面にメラミン樹脂含浸紙を積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
また、本発明の化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。
本発明の化粧板を構成する酸化アルミニウム含有粒子としては、チタニア含有光触媒の等電点より高い等電点を有し、チタニア含有光触媒を担持することができる粒子であれば特に限定されないが、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。
本発明の化粧板において、酸化アルミニウム含有粒子の平均粒子径は0.1〜55μmであることが望ましく、0.5〜5μmであることがより望ましい。酸化アルミニウム含有粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、酸化アルミニウム含有粒子が表層樹脂層に埋まり易くなり、チタニア含有光触媒が酸化アルミニウム含有粒子に担持されにくくなる傾向にあり、酸化アルミニウム含有粒子の平均粒子径が55μmを超えると、酸化アルミニウム含有粒子が脱落したり、表層樹脂層に凹凸が形成されたりするため、化粧板の外観及び意匠性に不具合が生じる傾向にある。酸化アルミニウム含有粒子の平均粒子径が0.5〜5μmであると、チタニア含有光触媒としての機能性が発揮されて、化粧板の外観及び意匠性においても問題とならない。
本発明の化粧板において、上記酸化アルミニウム含有粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
酸化アルミニウム含有粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、チタニア含有光触媒を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、酸化アルミニウム含有粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、チタニア含有光触媒を担持する酸化アルミニウム含有粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
図2は、本発明の化粧板を構成する酸化アルミニウム含有粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。
本発明の化粧板における面積率とは、図2における表層樹脂層全体の表面積Aに対する、その上に酸化アルミニウム含有粒子13が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積Bの割合を意味する。酸化アルミニウム含有粒子が、上記表層樹脂層表面に対して面積率で5%未満しか露出しないと、チタニア含有光触媒の機能性が十分に発揮できない傾向にある。
本発明の化粧板において、表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率は0.5以上であり、0.6以上であることが望ましい。
表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率が0.5未満の場合、チタニア含有光触媒の量が少なく、また耐候性が充分ではないため、抗菌性、抗ウィルス性が時間とともに低下してしまうことがある。
本発明の化粧板において、チタニア含有光触媒は、抗菌性、抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性等の機能を有する機能材であることが望ましい。
本発明の化粧板において、チタニア含有光触媒は、可視光応答型光触媒であることが望ましい。
本発明の化粧板において、可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、又は、炭素ドープチタニア触媒であることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。
銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
本発明の化粧板において、表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、本発明の化粧板において、酸化アルミニウム含有粒子の表層にシリカゾルの乾燥体を有していることが望ましい。酸化アルミニウム含有粒子の表層にシリカゾルを付着させた後、チタニア含有光触媒を担持し、乾燥させることにより、チタニア含有光触媒をシリカゾルの乾燥体で固定化し、チタニア含有光触媒をより強固に固定化することができるからである。
次に、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記表層樹脂層については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
本発明の化粧板においても説明したが、基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な表層樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面にメラミン樹脂等の樹脂含浸紙を積層する積層工程と、メラミン樹脂等の樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対する樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
基板上に表層樹脂層を有する表層樹脂層表面に、酸化アルミニウム含有粒子を固定する方法としては、例えば、酸化アルミニウム含有粒子を含むスプレー液を表層樹脂層表面に吹き付け、乾燥後、熱圧着する方法をとることができる。また、樹脂フィルムの表面を粗化し、この粗化面に酸化アルミニウム含有粒子を担持した後、酸化アルミニウム含有粒子の担持面がメラミン樹脂等の樹脂含浸紙に接するように当該樹脂フィルムを積層し、加熱加圧して樹脂を硬化させた後、樹脂フィルムを除去することで酸化アルミニウム含有粒子を表層樹脂層に転写することが望ましい。樹脂フィルムの表面は、コロナ放電、サンドブラスト、スクラッチ処理から選ばれる少なくとも1種以上の方法で粗化されることが望ましい。
樹脂フィルムの粗化面は、JIS B 0601に基づく算術平均粗さ(Ra)が0.05〜50μmであることが望ましく、0.1〜10μmが好適である。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種以上の材質が望ましい。上記方法により、樹脂表面上に酸化アルミニウム含有粒子を露出して固定させることができる。
上記工程の後、酸化アルミニウム含有粒子が配置された基板を、チタニア含有光触媒を含む溶液中に浸漬することにより、チタニア含有光触媒を酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持させることができる。チタニア含有光触媒を含む溶液を、酸化アルミニウム含有粒子が配置された基板上に塗布することにより、チタニア含有光触媒を酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持させてもよい。
本発明の化粧板の製造方法においては、酸化アルミニウム含有粒子を表層樹脂層表面に熱圧着する際に、酸化アルミニウム含有粒子吹き付け面と熱圧着プレス面との間にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる離形クッション材を介在させてもよい。これによって、酸化アルミニウム含有粒子が表層樹脂層内に埋没するのを防止することができ、表層樹脂層の表面上に露出して固定することができる。
本発明の化粧板の他の製造方法としては、転写フィルムに酸化アルミニウム含有粒子を含むスプレー液を吹き付け、次いで、表層樹脂層を有する基板の樹脂表面に、転写フィルムの酸化アルミニウム含有粒子付着面を対向させて、酸化アルミニウム含有粒子を熱転写する方法が挙げられる。
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させる際には、メラミン樹脂溶液中に、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含ませることによって、表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含浸する方法を用いることができる。
図3(a)は、本発明の一の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図であり、図3(b)は、本発明の他の実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
表層樹脂層がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等の表面に撥水性を付与することができる。チタニア含有光触媒を酸化アルミニウム含有粒子に担持させる際に、図3(a)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及びシランカップリング剤を含有しない場合には、酸化アルミニウム含有粒子13表面だけでなく、表層樹脂層表面15にチタニア含有光触媒14が付着することがある。一方、図3(b)に模式的に示されるように、表層樹脂層12がシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する場合には、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層表面16の撥水性によって、チタニア含有光触媒14は、表層樹脂層12の表面を避け、極力、酸化アルミニウム含有粒子13の表面に付着するようになり、表層樹脂層12の表面に直接接触するチタニア含有光触媒14の量をさらに低減することができる。また、表層樹脂層がシランカップリング剤を含有すると、メラミン樹脂等に硬化性を付与することができ、酸化アルミニウム含有粒子を熱圧着する際に、表層樹脂層中に埋没することを防ぐことができる。
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させることで、酸化アルミニウム含有粒子を埋没させずに固定化させることができ、表層樹脂層にチタニア含有光触媒が付着しにくくする効果がある。具体的には、工程中に過剰となったチタニア含有光触媒が表層樹脂層に付着しても、洗浄工程後に除去しやすいということである。さらに、菌やウィルスなどを含む汚染水が親水性の酸化アルミニウム含有粒子やチタニア含有光触媒に引き寄せられやすくなり、機能性が発現しやすくなる。特に、表層樹脂層にメラミン樹脂を用いた場合には、上記の作用、効果を得やすい。
さらに、本発明の化粧板の製造方法においては、酸化アルミニウム含有粒子の表層にシリカゾルを付着させることが望ましい。チタニア含有光触媒の固定化を補強することができるからである。
また、本発明の化粧板の製造方法においては、酸化アルミニウム含有粒子の表層にシリカゾルなどの無機バインダを介して光触媒を結合させることができるが、光触媒と無機バインダの混合液をスプレーにて吹き付け、無機バインダを乾燥、硬化させた後、アルコールなどの洗浄液を吹き付けて酸化アルミニウム含有粒子以外の表層樹脂層に付着した光触媒を除去することができる。光触媒や無機バインダは樹脂表面とは密着しないため、アルコールなどで簡単に除去することができる。また、アルコールを染み込ませた布などで光触媒をふき取ってもよい。
(実施例1)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmの紙ロールを、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬した。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させた。
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経た紙ロールを、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させた。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂を紙ロールに含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断した。
(アルミナ粒子スプレー工程)
平均粒子径0.5μmのγアルミナ粒子とエタノールからなるスプレー液を調製した。スプレー液を常温でスプレーに充填させて、切断したメラミン樹脂含浸紙に吹き付けた。
(乾燥工程)
アルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙を乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度110℃、乾燥時間2分となるように乾燥させた。
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたアルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙をアルミナ粒子吹き付け面が外面となるように積層し、プレス機のプレス面とメラミン樹脂含浸紙のアルミナ粒子吹き付け面との間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した。これにより、メラミン樹脂含浸層上にアルミナ粒子が露出して固定された。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度:25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度:0.05重量%)を調製する。上記工程で得られたアルミナ粒子が表面に配置されたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.44g/mとなるよう塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、アルミナ粒子の露出面上に上記光触媒が担持された実施例1に係る化粧板の製造を完了した。
(実施例2)
(光触媒担持工程)において、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.07g/mとなるように塗布量を変更するほかは実施例1と同様の手順で実施例2に係る化粧板の製造を完了した。
(実施例3)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmの紙ロールを、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬した。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させた。
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経た紙ロールを、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させた。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂を紙ロールに含浸させた。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒であった。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機(ESPEC社製、OVEN PH−201)により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させた。乾燥後、910mm×1820mmに切断した。
(アルミナ粒子担持工程)
厚さ60μmのポリプロピレンフィルムの表面をコロナ放電にて粗化処理した。JIS B 0601に基づく算術平均粗さ(Ra)は0.32μmであった。
続いて、平均粒子径2μmのγアルミナ粒子とエタノールからなるスプレー液を調製した。スプレー液を常温でスプレーに充填させて、上記粗化したポリプロピレンフィルムに吹き付け、25℃で乾燥させてアルミナ粒子担持フィルムとした。
(乾燥工程)
アルミナ粒子担持面が接触するように上記アルミナ粒子担持フィルムをメラミン樹脂含浸紙に積層した。
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたアルミナ粒子担持フィルムとメラミン樹脂含浸紙の積層体を、ポリプロピレンフィルムが最も外側となるように積層し、プレス機のプレス面とポリプロプレンフィルムとの間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着した。さらにポリプロピレンフィルムを除去してメラミン樹脂含浸層上にアルミナ粒子を露出して固定した。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度:25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、5.4:4.6の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度:0.06重量%)を調製した。上記工程で得られた、アルミナ粒子が表面に配置されたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させた。ついでエタノールを染み込ませたマイクロファイバークロスで化粧板表面をふき取り、アルミナ粒子表面以外に残っている光触媒を除去して、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.50g/mとなるアルミナ粒子の露出面上に上記光触媒が担持された実施例3に係る化粧板の製造を完了した。
(実施例4)
(光触媒担持工程)において、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.065g/mとなるように塗布量を変更するほかは実施例2と同様の手順で実施例4に係る化粧板の製造を完了した。
(比較例1)
(光触媒担持工程)において、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.06g/mとなるように塗布量を変更するほかは実施例1と同様の手順で比較例1に係る化粧板の製造を完了した。
(比較例2)
(光触媒担持工程)において、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.05g/mとなるように塗布量を変更するほかは実施例1と同様の手順で比較例2に係る化粧板の製造を完了した。
(比較例3)
(光触媒担持工程)において、メラミン樹脂含浸層上におけるメタノール混合溶液の固形分重量が0.80g/mとなるように塗布量を変更するほかは実施例1と同様の手順で比較例3に係る化粧板の製造を完了した。
(表層樹脂層におけるTi/Alモル比率の測定)
走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分析装置(SEM/EDX)を用いて、各実施例及び比較例に係る化粧板の表面について、無作為に選択したアルミナ粒子の表面について元素分析を行った(加速電圧:10kV)。得られた元素分析の結果から、当該領域におけるTi原子とAl原子の存在比率(Ti/Alモル比率)を測定した。上記手順を4箇所の領域で行い、平均値を算出した。結果を表1に示す。
なお、SEM/EDXの分析エリアはφ0.3μmの領域である。
(耐久試験)
各実施例及び比較例に係る化粧板の耐久試験後の抗ウィルス性と外観の劣化を評価するために、まず、耐久試験を行った。耐久試験は、JIS B 7751(2007)に規定される耐候性試験機を用い、JIS A 1415(2013)に規定されるWV−A法を48時間行った。
なお、比較例2に係る化粧板については、もともとウィルス不活度が低いため、耐久試験は行わなかった。
(抗ウィルス性評価)
次いで、耐久試験後の化粧板について、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じてウィルス不活度を測定した。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度で表すこととする。
ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用する。ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果となる。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。ウィルス不活度の値が高いほど、抗ウィルス性に優れるといえる。
大腸菌に感染することができるウィルス濃度は、次のように測定する。ファージウィルス濃度既知(830万個/ミリリットル)の試験液を化粧板上に滴下して、JIS R1756に準じて光照射してウィルスを失活させた後、化粧板を所定量の水で洗浄、これを1000倍に希釈して、大腸菌培地に移植して培養し、失活していないウィルスの数を計測する。この失活していないウィルスの数、洗浄に使用した水の量および希釈率から大腸菌に感染することができるウィルス濃度を計算する。
また、ウィルス不活度からウィルス不活性度を計算する。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルスの相対量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。
測定結果を表1に示す。
本発明では、化粧板施工後に太陽光に含まれる紫外線が長時間照射されることを想定した耐久試験を行い、表層樹脂層上に担持された酸化チタンと酸化アルミニウムの比率(Ti/Al)が0.5〜1.5の場合は、耐久試験によっても抗ウイルス機能が低下しないことが分かる。この理由としては、酸化アルミニウム含有粒子が紫外線を吸収して樹脂劣化を防止することができ、樹脂表面からの光触媒や酸化アルミニウム含有粒子の脱落を防止できるからではないかと推定している。なお、光触媒が可視光応答型光触媒の場合、Ti/Alのモル比が大きすぎると、光触媒が酸化アルミニウム含有粒子表面を覆ってしまい、酸化アルミニウムが紫外線を十分に吸収できず樹脂の劣化が進行し、樹脂表面からの光触媒や酸化アルミニウムが脱落してしまい、抗ウイルス機能が低下すると推測している。
Figure 2017206028
実施例1〜4、比較例2については外観の変色はみられなかったが、比較例1、3は外観の変色が確認される。
表1の結果から、本発明の化粧板は、充分な耐候性及び抗ウィルス性を備えており、優れた抗ウィルス作用を長期間に渡って発揮することができることがわかる。
1、3 化粧板
12 表層樹脂層
13 酸化アルミニウム含有粒子
14 チタニア含有光触媒
15 表層樹脂層表面
16 シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する表層樹脂層表面
17 機能性物質
A 表層樹脂層全体の表面積
B 酸化アルミニウム含有粒子が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積

Claims (9)

  1. 基板と、
    前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
    前記表層樹脂層上に露出して配置される酸化アルミニウム含有粒子と、
    前記酸化アルミニウム含有粒子の露出面上に担持されるチタニア含有光触媒とを有し、
    前記表層樹脂層の表面におけるTi/Alのモル比率は、0.5〜1.5であることを特徴とする化粧板。
  2. 前記酸化アルミニウム含有粒子は、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子である請求項1に記載の化粧板。
  3. 前記酸化アルミニウム含有粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmである請求項1又は2に記載の化粧板。
  4. 前記酸化アルミニウム含有粒子は、前記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
  5. 前記チタニア含有光触媒は、可視光応答型光触媒である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
  6. 前記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、又は、炭素ドープチタニア触媒である請求項5に記載の化粧板。
  7. 前記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板。
  8. 前記酸化アルミニウム含有粒子の表層にシリカゾルの乾燥体を有している請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板。
  9. 前記酸化アルミニウム含有粒子が前記表層樹脂層から露出するように埋没して固定され、前記チタニア含有光触媒は前記表層樹脂層に直接接触しないように前記酸化アルミニウム含有粒子の露出面に担持されている請求項1〜8のいずれかに記載の化粧板。
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