JP6200568B2 - 化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧板に関する。
従来から、メラミン化粧板等の化粧板に、光触媒などの機能性物質を添加もしくは塗布することで、防汚性、抗菌性等の機能性を付与した化粧板が提供されている。
特許文献1には、化粧板用の表面紙にシリコーン樹脂含浸表面紙を積層し、熱圧成形後、光触媒コーティング剤を塗布してなる防汚性化粧板が開示されている。
特許文献2には、紙の表面に抗菌性金属を担持させたカルシウム系セラミックス焼成物粉末よりなる抗菌剤を添加した不飽和ポリエステル樹脂を塗布することで抗菌性ポリエステル化粧板を得る製造方法が提案されている。
特許文献3には、トイレの壁に紫外線で励起される光触媒を部分的に担持して紫外線を照射する脱臭システムが記載されている。
特許文献4には、所定の面粗さをもつ光触媒を担持した防汚性化粧板が開示されている。
特許文献5には、水酸化アルミニウム多孔質粒子に光触媒を塗布した粒子を担持した内装材が開示されている。
特開2003−276117号公報 特開平07−304619号公報 特開平04−307065号公報 特許第4193980号公報 特開2002−285691号公報
いずれの特許文献も機能性物質が、一次粒子として基材表面に単独で担持されているため、飛沫細菌やウィルスを含む気流が基材の表面に接触しても、飛沫細菌やウィルスが運動エネルギーを持っているため、機能性物質に接触しても、細菌やウィルスと反応する前に、機能性物質から離脱してしまい、飛沫細菌やウィルスを十分に失活させることができないという問題があった。
図6は、従来の化粧板を模式的に示す概略断面図である。
この化粧板3では、光触媒などの機能性物質14が表層樹脂層12に固定されている。
図6に示した化粧板3では、機能性物質14が、一次粒子として単独で担持されているため、飛沫細菌やウィルスを含む気流が化粧板3の表面に接触しても、飛沫細菌やウィルスが運動エネルギーを持っているため、機能性物質14に接触しても反応する前に、機能性物質14から離脱してしまい、飛沫細菌やウィルスを十分に失活させることができないという問題があった。
さらに、特許文献3は、紫外線で触媒が活性化するため、可視光では十分に抗菌、抗ウィルス機能を発現させることができないという問題もみられた。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、気流や液流中の運動エネルギーを持った飛沫細菌やウィルスを失活させることのできる化粧板を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、メラミン樹脂等からなる表層樹脂層の劣化を防ぎ、機能性の効果の維持に優れた化粧板を提供することを目的とする。特に、抗菌性、抗ウィルス性の効果の維持に優れた化粧板を提供することを目的とする。
本発明の化粧板は、
基板と、
上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
上記表層樹脂層上に複数の粒子が凝集した状態で担持される機能性物質と、
からなることを特徴とする。
本発明の化粧板においては、機能性物質の一次粒子が凝集した凝集粒子が表層樹脂層上に担持されており、細菌やウィルスが機能性物質の一次粒子間にトラップされるため、細菌やウィルスを失活させやすい。特に、飛沫細菌やウィルスを含む気流、液流などの流体が化粧板表面に接触する場合には、これらの飛沫細菌やウィルスは、運動エネルギーを持っているため、機能性物質と十分に反応する前に、化粧板表面から離脱してしまうが、本発明の化粧板では、機能性物質の凝集粒子が表層樹脂層上に担持されているため、機能性物質の一次粒子間に細菌やウィルス等をトラップして、十分な反応時間を確保でき、従来技術のような機能性物質の一次粒子が単独で表層樹脂層上に担持されている場合に比べて、抗菌、抗ウィルス効果に優れる。
さらに、機能性物質として光触媒(酸化チタン)を用いた場合は、当該光触媒の凝集体は親水性であり、細菌やウィルスを含む水等の液体が、毛管現象により光触媒粒子の隙間に吸い込まれやすくなるため、液中の細菌やウィルスを確実に失活させることができる。
また、本発明の別の形態の化粧板は、基板と、上記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、上記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、上記セラミック粒子の露出面上で複数の粒子が凝集した状態で担持される機能性物質と、からなることを特徴とする。
すなわち、基板と基板の表面上に積層される表層樹脂層を有し、セラミック粒子が表層樹脂層上に露出して配置され、機能性物質がセラミック粒子の露出面上に担持された構造を有する化粧板である。そして、機能性物質はセラミック粒子の露出面上で複数の粒子が凝集した状態で担持されている。
本明細書において、セラミック粒子は、セラミック粒子の露出面上に担持されている機能性物質の等電点よりも高い等電点となる粒子であることが好ましい。ここで等電点とは、溶液の水素イオン濃度を変化させたとき、溶質となる粒子の正と負の電荷が全体としてゼロになり、電場をかけても移動しないような状態で、粒子全体の電荷平均が0となるときの水素イオン指数であり、その値をpHとして表す。この等電点は物質により規定される値であり、その一例として、機能性物質の等電点はpH5〜6であるものが多く、それに対して、セラミック粒子は、機能性物質の等電点よりも高い等電点となるものを用いることができる。特に、セラミック粒子の等電点がpH7以上であることがより望ましい。なお、等電点の測定方法としては、電気泳動法(JIS R1638)により行うことができる。
セラミック粒子としては、具体的には、セリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、アルミニウム、珪素、鉄、コバルト、銅、クロム、ニッケル、錫、カドミウム、マグネシウム、マンガン、タングステン、バナジウム、イットリウムなどから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子、酸化アルミニウム含有粒子、シリカ含有粒子、珪藻土からなるセラミック粒子を用いることができる。また、等電点に関し、アルミナ(Al)の等電点は、pH:7.4〜9.2、ベーマイト(AlOOH)の等電点は、pH7.7〜9.4、カドミウム水酸化物(Cd(OH))の等電点は、pH10.5以上、酸化カドミウム(CdO)の等電点は、pH7.7、鉄水和物(Fe(OH))の等電点は、pH12、酸化鉄(Fe)の等電点は、pH12、酸化銅(CuO)の等電点は、pH9.5、銅水和物(Cu(OH))の等電点は、pH7.7である。これらの成分を複合化し、セラミック粒子としての等電点が、機能性物質の等電点よりも高いことが望ましい。上記したセラミック粒子を構成する化合物のなかでは、特に酸化アルミニウム含有粒子を用いることが望ましい。
セラミック粒子は、菌やウィルスを引き寄せやすいという作用を有する。そもそも、菌やウィルスは、タンパク質や脂肪を含んでいるため、アニオン物質であり、アニオン物質は、その対極であるカチオン物質に引き寄せられるという性質を有する。つまり、化粧板の表層に存在する菌やウィルスは、セラミック粒子に引き寄せられ、セラミック粒子に担持された機能性物質により、菌やウィルスを減少させることができ、また、菌やウィルスが増殖しないので、抗菌や抗ウィルスの効果を得やすくなる。セラミック粒子でない粒子の場合、化粧板の表層に存在する菌やウィルスが機能性物質に接触する頻度が低いので、菌やウィルスが残存または増殖し、抗菌や抗ウィルスの効果を得にくいのである。
本発明の化粧板においては、セラミック粒子の露出面上で複数の粒子が凝集した状態で機能性物質が担持されていることが望ましい。複数の粒子が凝集した二次粒子の径は機能性物質の粒子1つの径(一次粒子径)よりも大きくなる。機能性物質の粒子が凝集して二次粒子を形成すると、セラミック粒子間の隙間に二次粒子が落ちにくくなる。
また、凝集した粒子の一部がセラミック粒子に担持されていれば、セラミック粒子に直接担持された機能性物質の粒子と凝集して繋がっている機能性物質の粒子は、セラミック粒子に直接担持されていなくても間接的にセラミック粒子に担持された状態となる。
そのため、機能性物質の粒子の多くがセラミック粒子上に担持されることになり、表層樹脂層に接触することが防止される。その結果、表層樹脂層の劣化を防止することができる。
本発明の化粧板では、セラミック粒子として、酸化アルミニウム含有粒子を用いることが望ましい。また、セラミック粒子として、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。アルミナは、セラミック粒子の中で最も利用しやすい上に、上記で説明した菌やウィルスを減少させる作用を効率的に利用することができる。また、アルミン酸ストロンチウムは、蓄光作用があるので、光がない環境下でも菌やウィルスを減少させる作用を長時間持続させることができる。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmであることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、機能性物質を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、機能性物質を担持するセラミック粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。機能性物質の固定化を補強することができるからである。
本発明の化粧板において、上記複数の粒子が凝集した機能性物質の二次粒子の平均粒子径は上記セラミック粒子の平均粒子径の1/5〜1/2であることが望ましく、具体的には、0.1μmを超え、0.4μm以下であることが望ましい。
本発明の化粧板においては、上記セラミック粒子間の隙間に複数の粒子が凝集した機能性物質の二次粒子が担持されていることも望ましい。
本発明の化粧板においては、上記表層樹脂層上に耐酸化性樹脂層が形成され、その耐酸化性樹脂層上に複数の粒子が凝集した状態で機能性物質が担持されていることも望ましい。
耐酸化性樹脂層を設けることにより、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。
本発明の化粧板においては、上記表層樹脂層上にシリコーン樹脂層が形成され、そのシリコーン樹脂層上に複数の粒子が凝集した状態で機能性物質が担持されていることが望ましい。
また、上記シリコーン樹脂層上に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。
シリコーン樹脂層が形成されていると、セラミック粒子を設けた場合と同様に、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。また、シリコーン樹脂は撥水性であり、水などの流体中の細菌やウイルスと機能性物質とを接触させにくいが、機能性物質(親水性の酸化チタン等)の粒子の凝集体がシリコーン樹脂層上に担持されていると、毛管現象により細菌やウイルスを含む流体が上記粒子間に吸い込まれるため、細菌やウイルスを失活させることが可能となる。
上記複数の粒子が凝集した機能性物質の二次粒子の平均粒子径は、0.1μmを超えることが望ましく、0.6μm以下が望ましく、0.4μm以下であることがさらに望ましい。
上記複数の粒子が凝集した機能性物質を構成する一次粒子(すなわち複数の粒子)の平均粒子径は、50nmを超えることが望ましく、200nm以下が望ましい。
本発明の化粧板において、機能性物質は、可視光応答型光触媒であることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましい。特に、可視光応答型光触媒の等電点は、pH5〜6であることが望ましい。
本発明の化粧板において、上記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。
本発明の化粧板では、機能性物質の一次粒子が凝集した凝集粒子が表層樹脂層上に担持されているため、細菌やウィルスが機能性物質の一次粒子間にトラップされやすくなり、細菌やウィルスを失活させやすい。特に細菌やウィルスが運動エネルギーを持ち、流体とともに流動している場合であっても、細菌やウィルスを確実に機能性物質に接触させ、これらを失活させることができる。
また、本発明の別の形態では、機能性物質はセラミック粒子の露出面上で、複数の粒子が凝集した状態で担持されている。そのため、機能性物質の多くがセラミック粒子に担持されており、機能性物質の粒子がセラミック粒子間の隙間に落ちることが防止されるので、機能性物質が表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。また、機能性物質の表層樹脂層中への埋没がなく、機能性物質が化粧板表面上に露出されているので、抗菌性、抗ウィルス性等、機能性物質としての本来の機能を発揮することができ、その効果を長期間維持することができる。
また、機能性物質は、セラミック粒子間の隙間に担持されていてもよい。セラミック粒子間に機能性物質が担持されていると、機能性物質の粒子の凝集体がより脱落しにくくなる。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。 図2は、セラミック粒子間の隙間に凝集した光触媒が担持された状態を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の化粧板を構成するセラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。 図4は、アルミナ粒子表面に担持された凝集した光触媒の電子顕微鏡写真である。 図5は、アルミナ粒子間の隙間に凝集した光触媒が担持された状態の電子顕微鏡写真である。 図6は、従来の化粧板を模式的に示す概略断面図である。
以下、本発明の化粧板について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る化粧板を模式的に示す概略断面図である。
本発明の化粧板1は、基板(図示せず)と基板の表面上に積層されるメラミン樹脂等からなる表層樹脂層12を有し、セラミック粒子13が表層樹脂層12上に露出して配置され、機能性物質14がセラミック粒子13の露出面上に担持された構造を有するものである。機能性物質14は、セラミック粒子13の露出面上で複数の粒子が凝集した状態で担持されている。
また、図2は、セラミック粒子間の隙間に凝集した光触媒が担持された状態を模式的に示す断面図である。
図2に示す化粧板2では、セラミック粒子13が表層樹脂層12上に露出して密集して配置され、機能性物質14は、セラミック粒子13間の隙間の露出面上に複数の粒子が凝集した状態で担持されている。
本発明の化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃基材等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃基材を積層させて基板とすることもできる。
マグネシアセメント不燃基材は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。例えば、基板の片面又は両面にメラミン樹脂含浸紙を積層し、熱圧成形する方法を用いることができる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
また、本発明の化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
メラミン樹脂含浸紙は、パターン紙にメラミン樹脂を所定の含浸率で含浸させた後、加熱、乾燥させることにより作製される。メラミン樹脂をパターン紙に含浸させるには、溶媒として、例えば、ホルムアルデヒド水溶液を使用したメラミン樹脂含有溶液中にパターン紙を浸漬することにより行うことができる。また、メラミン樹脂含浸紙に曲げ加工性を付与するために、メラミン樹脂と共に可塑剤を含む溶液を含浸させることができる。可塑剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、アセトグアナミン、パラトルエンスルフォン酸アミド、尿素等を使用することができる。パターン紙としては、例えばチタン紙が用いられる。パターン紙の坪量は、パターン紙の厚みや重さを考慮して80〜150g/mとすることができる。加熱、乾燥の温度は、パターン紙にメラミン樹脂を強固に固着させるために100〜150℃に設定することができる。
本発明の化粧板を構成するセラミック粒子としては、機能性物質の等電点より高い等電点を有し、機能性物質を担持することができる粒子であれば特に限定されないが、酸化アルミニウム含有粒子であることが望ましい。セラミック粒子としては、具体的には、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子を用いることが望ましい。
本発明の化粧板において、セラミック粒子の平均粒子径は0.1〜55μmであることが望ましく、0.5〜5μmであることがより望ましい。セラミック粒子の平均粒子径が0.1μm未満であると、セラミック粒子が表層樹脂層に埋まり易くなり、機能性物質がセラミック粒子に担持されにくくなる傾向にあり、セラミック粒子の平均粒子径が55μmを超えると、セラミック粒子が脱落したり、表層樹脂層に凹凸が形成されたりするため、化粧板の外観及び意匠性に不具合が生じる傾向にある。セラミック粒子の平均粒子径が0.5〜5μmであると、機能性物質としての機能性が発揮されて、化粧板の外観及び意匠性においても問題とならない。
本発明の化粧板においては、機能性物質は、セラミック粒子上で複数の粒子が凝集した状態で担持されていることが望ましい。機能性物質の凝集は、化粧板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影することにより確認することができる。機能性物質は、複数の一次粒子が凝集して二次粒子を形成しており、二次粒子の平均粒子径が0.1μmを超え、0.4μm以下であることが望ましい。二次粒子の平均粒子径が上記範囲であると、セラミック粒子間の隙間に二次粒子がより落ちにくいので表層樹脂層に機能性物質が接触することが充分に防止される。
本発明の化粧板において、上記セラミック粒子は、上記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在することが望ましい。
セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して5%以上の面積率で露出していると、機能性物質を充分に担持させることができるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に発揮させることができる。また、セラミック粒子が、表層樹脂層表面に対して30%以下の面積率で露出していると、機能性物質を担持するセラミック粒子が表層樹脂層に強固に接合され脱落しにくくなるため、菌やウィルスを減少させる作用を充分に持続させることができる。
図3は、本発明の化粧板を構成するセラミック粒子の露出部の面積率の算定の基礎となる面積部を示す説明図である。
本発明の化粧板における面積率とは、図3における表層樹脂層全体の表面積Aに対する、その上にセラミック粒子13が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積Bの割合を意味する。セラミック粒子が、上記表層樹脂層表面に対して面積率で5%未満しか露出しないと、機能性物質の機能性が十分に発揮できない傾向にある。
本発明の化粧板において、機能性物質は、抗菌性、抗ウィルス性、抗アレルゲン性、消臭性等の機能を有する機能材であることが望ましい。例えば、抗菌性、抗ウィルス性の機能性物質としては、可視光応答型光触媒が挙げられる。この可視光応答型光触媒の具体例としては、例えば、酸化チタンに白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、鉄、銅などを担持させたものなどが挙げられる。
本発明の化粧板において、可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンであることが望ましく、銅担持チタニア触媒であることがより望ましい。銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TiO(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):CuO)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
本発明の化粧板において、表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有していてもよい。シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンレジン、変性シリコーンオイル等を用いることができる。変性シリコーンオイルとしては、分子内に1個以上の官能基を有するシリコーンオイルを用いることができる。官能基を導入する位置は特に限定されず、ポリシロキサン主鎖の片末端、両末端あるいは側鎖のいずれの位置に導入してもよい。また、官能基としては、例えば、水酸基、アミノ基、メトキシ基、ヒドラジノ基、エポキシ基、メタクリル基、カルボキシル基、カルビノール基等を導入することができる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基といった官能基を持ったものが望ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、本発明の化粧板において、セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有していることが望ましい。セラミック粒子の表層に無機ゾルを付着させた後、機能性物質を担持し、乾燥させることにより、機能性物質を無機ゾルの乾燥体で固定化し、機能性物質をより強固に固定化することができるからである。無機ゾルとしては、シリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができるが、シリカゾルを用いることが望ましい。
本発明では、表層樹脂層上には耐酸化性樹脂層が形成され、その耐酸化性樹脂層上に、複数の粒子が凝集した状態で機能性物質が担持されていてもよい。
このような耐酸化性樹脂としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種以上が望ましく、シリコーン樹脂がより望ましい。
表層樹脂層上に耐酸化性樹脂層が形成されていると、セラミック粒子を設けた場合と同様に、機能性物質は表層樹脂層に直接接触しない。このため、機能性物質による表層樹脂層の劣化を防ぐことができ、表層樹脂層の変色や表層樹脂層の劣化等に起因する機能性物質の脱落を防止することができる。
次に、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
最初に、複数又は単数のコア紙及び/又はマグネシアセメント不燃基材等からなる基板表面上に表層樹脂層を形成する。上記基板やその製造方法、上記表層樹脂層については、本発明の化粧板の説明において説明したので、ここでは省略する。
本発明の化粧板においても説明したが、基板表面上に表層樹脂層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、一般的な方法で行うことができる。具体的な表層樹脂層の形成方法としては、例えば、コア紙の積層体からなる基板の片面又は両面にメラミン樹脂等の樹脂含浸紙を積層する積層工程と、メラミン樹脂等の樹脂含浸紙が積層された基板を熱圧成形する熱圧成形工程を含む方法が挙げられる。上記方法を用いると、メラミン樹脂含浸紙のメラミン樹脂がコア紙に浸透し、そこで硬化反応が進行して、コア紙に対するメラミン樹脂含浸紙の接着力が発現する。
熱圧成形する際の加熱条件としては、化粧板の温度を125〜150℃とすることができ、加圧条件としては、1.96〜9.80MPa(20〜100kg/cm)とすることができる。温度が125℃未満の場合又は圧力が1.96MPa未満の場合には、基板に対する樹脂含浸紙の密着性が不足し、剥離が発生しやすくなる。一方、温度が150℃を超える場合又は圧力が9.80MPaを超える場合には、亀裂が発生するおそれがある。
基板上に表層樹脂層を有する表層樹脂層表面にセラミック粒子を固定する方法としては、例えば、セラミック粒子を含むスプレー液を表層樹脂層表面に吹き付け、乾燥後、熱圧着する方法をとることができる。
また、樹脂フィルムの表面を粗化し、この粗化面にセラミック粒子を担持した後、セラミック粒子の担持面がメラミン樹脂等の樹脂含浸紙に接するように当該樹脂フィルムを積層し、加熱加圧して樹脂を硬化させた後、樹脂フィルムを除去することでセラミック粒子を表層樹脂層に転写することが望ましい。樹脂フィルムの表面は、コロナ放電、サンドブラスト、スクラッチ処理から選ばれる少なくとも1種以上の方法で粗化されることが望ましい。
樹脂フィルムの粗化面は、JIS B 0601に基づく算術平均粗さ(Ra)が0.05〜50μmであることが望ましく、0.1〜10μmが好適である。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種以上の材質が望ましい。
上記方法により、表層樹脂層表面にセラミック粒子を露出して固定させることができる。
上記工程の後、セラミック粒子が配置された基板を、機能性物質を含む溶液中に浸漬することにより、機能性物質をセラミック粒子の露出面上に担持させることができる。機能性物質を含む溶液を、セラミック粒子が配置された基板上に塗布することにより、機能性物質をセラミック粒子の露出面上に担持させてもよい。
当該機能性物質を含む溶液には、凝集剤を含んでいることが望ましい。凝集剤により、コロイド状の機能性物質を凝集させることができるからである。凝集剤としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(Aldrich Chemical Company,Inc製)及びアニオン性ポリアクリルアミド(ハイホルダー351 栗田工業株式会社製)などを使用することができる。
本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子を表層樹脂層表面に熱圧着する際、セラミック粒子吹き付け面と熱圧着プレス面との間にポリエチレンテレフタレート(PET)からなる離形クッション材を介在させて行うことができる。これによって、セラミック粒子が表層樹脂層内に埋没するのを防止することができ、表層樹脂層の表面上に露出して固定することができる。
本発明の化粧板の他の製造方法としては、転写フィルムにセラミック粒子を含むスプレー液を吹き付け、次いで、表層樹脂層を有する基板の樹脂表面に、転写フィルムのセラミック粒子付着面を対向させて、セラミック粒子を熱転写する方法が挙げられる。
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させる際には、メラミン樹脂溶液中に、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含ませることによって、表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含浸する方法を用いることができる。
表層樹脂層にシリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有させることで、セラミック粒子を埋没させずに固定化させることができ、表層樹脂層に機能性物質が付着しにくくする効果がある。具体的には、工程中に過剰となった機能性物質が表層樹脂層に付着しても、洗浄工程後に除去しやすいということである。さらに、菌やウィルスなどを含む汚染水が親水性のセラミック粒子や機能性物質に引き寄せられやすくなり、機能性が発現しやすくなる。特に、表層樹脂層にメラミン樹脂を用いた場合には、上記の作用、効果を得やすい。
さらに、本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子の表層に無機ゾルを付着させることが望ましい。機能性物質の固定化を補強することができるからである。無機ゾルとしてはシリカゾル、アルミナゾル、シリカ−アルミナゾル、チタニアゾル等を用いることができ、シリカゾルを用いることが望ましい。
本発明の化粧板の製造方法においては、セラミック粒子の表層にシリカゾルなどの無機ゾルを介して光触媒を結合させて担持させることができるが、光触媒と無機ゾルの混合液をスプレーにて吹き付け、無機ゾルを乾燥、硬化させた後、アルコールなどの洗浄液を吹き付けてセラミック粒子以外の表層樹脂層に付着した光触媒を除去することができる。光触媒や無機ゾルは樹脂表面とは密着しないため、アルコールなどで簡単に除去することができる。また、アルコールを染み込ませた布などでふき取ってもよい。
本発明では、表層樹脂層上には耐酸化性樹脂層が形成されていてもよい。また、表層樹脂層上に耐酸化性樹脂層を設けた後、無機ゾルを付着させ、凝集剤で凝集させた機能性物質を担持することが望ましい。耐酸化性樹脂としては、シリコーン樹脂もしくはフッ素樹脂から選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。具体的には、国際公開第2012/117929号、国際公開第2014/073341号に記載されたシリコーン樹脂や市販のシリコーン樹脂を使用して、シリコーン樹脂層を形成することができる。
(実施例1)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬する。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させる。
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経たロール紙を、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒に調整できる。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断してメラミン樹脂含浸紙を得る。
(アルミナ粒子スプレー工程)
平均粒子径0.5μmのγアルミナ粒子とエタノールからなるスプレー液を調製する。スプレー液を常温でスプレーに充填させて、切断したメラミン樹脂含浸紙に吹き付ける。
(乾燥工程)
アルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙を乾燥機により、温度110℃、乾燥時間2分となるように乾燥させる。
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたアルミナ粒子を吹き付けたメラミン樹脂含浸紙をアルミナ粒子吹き付け面が外面となるように積層し、プレス機のプレス面とメラミン樹脂含浸紙のアルミナ粒子吹き付け面との間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度143℃、プレス圧80kg/cm、プレス時間(昇温時間を含む)50分で熱圧着する。これにより、メラミン樹脂含浸層上にアルミナ粒子が露出して固定される。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を凝集剤であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを0.05重量%含む水に分散したスラリー(固形分濃度:25重量%、2次粒子の平均粒子径200nm)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製する。
上記工程で得られるアルミナ粒子が表面に露出して配置されたメラミン樹脂含浸層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させ、アルミナ粒子上に上記光触媒が担持された化粧板の製造を完了する。
なお、メラミン樹脂表面の光触媒は、シリカゾルとメラミン樹脂が親和性が悪いため、乾燥時に自然に剥離する。しかし、メタノールなどで洗浄してメラミン樹脂表面の光触媒を除去してもよい。
アルミナ粒子表面に担持された凝集した光触媒の電子顕微鏡写真を図4に記載する。撮影は、電界放出形走査電子顕微鏡(測定機器:株式会社日立ハイテクノロジーズ製 S-4800(FE-SEM))を使用した。倍率は50,000倍である。
この写真から、アルミナ粒子13の表面に、光触媒粒子14が凝集した凝集粒子が担持されていることがわかる。
(実施例2)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬する。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させる。
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経たロール紙を、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒に調整できる。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断してメラミン樹脂含浸紙を得る。
(シリコーン樹脂含浸表面紙の作製工程)
坪量22g/mの表面紙に、シリコーン系バインダーとしてアクリルシリコン樹脂エマルジョン(チタン工業株式会社製 PCU−103)を固形分換算値で77g/mとなるように含浸処理し、乾燥後910mm×1820mmに切断してシリコーン樹脂含浸表面紙を得る。
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたメラミン樹脂含浸紙を積層し、さらにその上にシリコーン樹脂含浸表面紙を積層し、プレス機のプレス面とシリコーン樹脂含浸表面紙の間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度170℃、圧力50kg/cm、時間100分で熱圧着して化粧板を製造する。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を凝集剤であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドを0.05重量%含む水に分散したスラリー(固形分濃度:25重量% 2次粒子の平均粒子径200nm)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製する。
上記工程で得られるシリコーン樹脂からなる耐酸化性樹脂層を表面に有する基板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させる。
(実施例3)
実施例1と同様であるが、(アルミナ粒子スプレー工程)において平均粒子径2μmのアルミナ粒子をスプレーで吹き付け、0.5mmの厚さのアルミナ層を設ける。
図5には、実施例1と同様に倍率10,000倍で撮影した電子顕微鏡写真を示す。
(比較例1)
(一次メラミン含浸工程)
厚さ0.2〜0.3mmのロール紙を、メラミン樹脂を含む溶液中に浸漬する。溶液の温度20℃、浸漬時間2分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、ロール紙にメラミン樹脂を含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒である。
(乾燥工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間30秒となるように乾燥させる。
(二次メラミン含浸工程)
乾燥工程を経たロール紙を、メラミン樹脂からなる溶液中に浸漬させる。溶液の温度20℃、浸漬時間30分となるように、ロール紙を溶液中に浸漬しながら通過させることにより、メラミン樹脂をロール紙に含浸させる。なお、ロール紙の移動速度は、10〜20cm/秒に調整できる。
(乾燥・切断工程)
メラミン溶液中を通過したロール紙は、乾燥機により、温度100℃、乾燥時間2時間となるように乾燥させる。乾燥後、910mm×1820mmに切断してメラミン樹脂含浸紙を得る。
(シリコーン樹脂含浸表面紙の作製工程)
坪量22g/mの表面紙に、シリコーン系バインダーとしてアクリルシリコン樹脂エマルジョン(チタン工業株式会社製 PCU−103)を固形分換算値で77g/mとなるように含浸処理し、乾燥後910mm×1820mmに切断してシリコーン樹脂含浸表面紙を得る。
(組合せ工程)
厚み0.3〜0.4mmのフェノール樹脂含浸コア紙を4枚積層し、その上に、上記工程により得られたメラミン樹脂含浸紙を積層し、さらにその上にシリコーン樹脂含浸表面紙を積層し、プレス機のプレス面とシリコーン樹脂含浸表面紙の間にPETからなる離形クッション材を介在させて、温度170℃、圧力50kg/cm、時間100分で熱圧着して化粧板を製造する。
(光触媒担持工程)
平均粒子径100nmのCuO−TiOの光触媒を水に分散したスラリー(固形分濃度:25重量%)と、シリカゾル(SiO濃度:3重量%)とを、4.5:5.5の重量割合(固形分重量)で含むメタノール混合溶液(光触媒濃度0.05重量%)を調製する。
上記工程で得られる化粧板に、スプレーを用いて上記メタノール混合溶液を塗布し、25℃で12時間乾燥させることにより、光触媒が担持された化粧板の製造を完了する。
(抗ウィルス性評価)
実施例1、2、3で得られた光触媒が担持された化粧板の抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じて抗ウィルス性に関する測定を行う。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度で表す。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用する。ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果となる。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。ウィルス不活度の値が高いほど、抗ウィルス性に優れるといえる。
大腸菌に感染することができるウィルス濃度は、次のように測定する。ファージウィルス濃度既知(830万個/ミリリットル)の試験液を化粧板上に滴下して、JIS R1756に準じて光照射してウィルスを失活させた後、化粧板を所定量の水で洗浄、これを1000倍に希釈して、大腸菌培地に移植して培養し、失活していないウィルスの数を計測する。この失活していないウィルスの数、洗浄に使用した水の量および希釈率から大腸菌に感染することができるウィルス濃度を計算する。
実施例1、2、3と比較例1の化粧板を、ガラス板上に当該ガラス板の表面に対して45°の角度で載置し、化粧板の上端にファージウィルスを含む試験液を滴下する。試験液は化粧板表面を下方に向けて流れるが、実施例1、2、3の化粧板では、試験液は化粧板内に止まり、ガラス板まで到達しない。一方、比較例1の化粧板では、滴下した試験液が化粧板からガラス板まで流れ落ちてしまう。この状態でJIS R1756に準じて光照射してウィルスを失活させた後、実施例1、2、3の化粧板とガラス板を一緒に洗浄し、また比較例1の化粧板とガラス板を一緒に洗浄し、それぞれ上述した方法で抗ウィルス性を評価する。
実施例1の化粧板では、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度が830個/ミリリットル以下となり、ウィルス不活度に換算すると99.99%以上である。また、実施例2の化粧板では大腸菌に感染することができるウィルスの濃度が3320個/ミリリットルであり、ウィルス不活度に換算すると99.96%に相当する。さらに、実施例3の化粧板では大腸菌に感染することができるウィルスの濃度が830個/ミリリットル以下となり、ウィルス不活度に換算すると99.99%以上に相当する。一方、比較例1の化粧板では、ウィルス不活度は、ほぼ0%である。
本発明では、凝集した光触媒が表層樹脂層上に担持されているため、細菌やウィルスが化粧板表面で流体とともに流動している場合でも、ウィルスの不活度は低下しない。
1、2、3 化粧板
12 表層樹脂層
13 セラミック粒子
14 機能性物質
A 表層樹脂層全体の表面積
B セラミック粒子が露出して存在する表層樹脂層の合計の表面積

Claims (16)

  1. 基板と、
    前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
    前記表層樹脂層上に複数の粒子が凝集した状態で担持される光触媒と、
    からなることを特徴とする化粧板。
  2. 基板と、
    前記基板の一方面又は両面上に積層される表層樹脂層と、
    前記表層樹脂層上に露出して配置されるセラミック粒子と、
    前記セラミック粒子の露出面上で複数の粒子が凝集した状態で担持される光触媒と、
    からなることを特徴とする化粧板。
  3. 前記セラミック粒子は、酸化アルミニウム含有粒子である請求項2に記載の化粧板。
  4. 前記セラミック粒子は、アルミナ又はアルミン酸ストロンチウムのいずれかからなる粒子である請求項2又は3に記載の化粧板。
  5. 前記セラミック粒子の平均粒子径は、0.1μm〜55μmである請求項2〜4のいずれかに記載の化粧板。
  6. 前記セラミック粒子は、前記表層樹脂層表面に対して5〜30%の面積率で露出して存在する請求項2〜5のいずれかに記載の化粧板。
  7. 前記セラミック粒子の表層に無機ゾルの乾燥体を有している請求項2〜6のいずれかに記載の化粧板。
  8. 前記複数の粒子が凝集した光触媒の二次粒子の平均粒子径は前記セラミック粒子の平均粒子径の1/5〜1/2である請求項2〜7のいずれかに記載の化粧板。
  9. 前記セラミック粒子間の隙間に複数の粒子が凝集した光触媒の二次粒子が担持されている請求項2〜8のいずれかに記載の化粧板。
  10. 前記表層樹脂層上に耐酸化性樹脂層が形成され、その耐酸化性樹脂層上に複数の粒子が凝集した状態で光触媒が担持されている請求項1に記載の化粧板。
  11. 前記表層樹脂層上にシリコーン樹脂層が形成され、そのシリコーン樹脂層上に複数の粒子が凝集した状態で光触媒が担持されている請求項1に記載の化粧板。
  12. 前記シリコーン樹脂層上に無機ゾルの乾燥体を有している請求項11に記載の化粧板。
  13. 前記光触媒は、可視光応答型光触媒である請求項1〜12のいずれかに記載の化粧板。
  14. 前記可視光応答型光触媒は、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、鉄担持チタニア触媒、窒素ドープチタニア触媒、硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、又は、酸化タングステンである請求項13に記載の化粧板。
  15. 前記表層樹脂層は、シリコーン樹脂及び/又はシランカップリング剤を含有する請求項1〜14のいずれかに記載の化粧板。
  16. 前記複数の粒子が凝集した光触媒の二次粒子の平均粒子径が0.1μmを超え、0.6μm以下である請求項1〜15のいずれかに記載の化粧板。
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