JP2017104109A - 修飾されたrna単量体を用いるrnアーゼhを基礎とするアッセイ - Google Patents

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Abstract

【課題】標的DNA配列を増幅する方法。
【解決手段】プライマー二量体であるテンプレート非依存的人工産物の形成を抑制したポリメラーゼ連鎖反応による標的核酸配列を検出する方法であって、試料に切断ドメインを含むアクセプターオリゴヌクレオチド(3’末端に連結反応阻害性のブロッキング基を含有)及びドナーオリゴヌクレオチドをハイブリダイズした後、高温安定性RNアーゼH2で切断,ホットスタートし、アクセプターオリゴとドナーオリゴを連結する方法。
【選択図】なし

Description

2008年4月30日に出願された米国仮出願61/049,204号(その全体が、参照により組み込まれる。)の優先権を主張する。
本発明は、生物学アッセイを開始し、補助し、モニターし、又は実行するために核酸鎖を切断する方法に関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのプライマーを基礎とする増幅反応の特異性は、DNAテンプレートとのプライマーのハイブリッド形成の特異性に大きく依存する。典型的な増幅反応において使用される高温下では、プライマーは、理想的には、意図される標的配列のみにハイブリッド形成し、プライマー伸長産物を形成して、標的配列の相補物を産生する。しかしながら、プライマーハイブリッド形成の特異性を確保するために必要とされる温度より非常に低い室温では、増幅反応混合物が通例組み立てられる。より低温条件下では、プライマーは、部分的に相補的な他の核酸配列へ又は他のプライマーへ非特異的に結合し、標的配列とともに増幅され得る望ましくない伸長産物の合成を開始し得る。非特異的なプライマー伸長産物の増幅は、所望の標的配列の増幅と競合し得、所望の配列の増幅の効率を著しく減少させ得る。ある種のアッセイにおいて、非特異的増幅は偽陽性結果も生じさせ得る。
PCR中の非特異的増幅産物の頻繁に観察される1つの種類は、「プライマー二量体」として知られる増幅反応のテンプレート非依存的人工産物である。プライマー二量体は、その長さが通例2つのプライマーの長さの合計に近い二本鎖断片であり、1つのプライマーが別のプライマー上で伸長されるときに増幅される。得られた二重鎖は、その長さが短いために、効率的に増幅される所望されないテンプレートを形成する。
非特異的な増幅は、反応の開始前に、プライマー伸長産物(例えば、プライマー二量体)の形成を低減することによって低減させることができる。「ホットスタート」プロトコールと称される1つの方法では、必要なハイブリッド形成の特異性を与えるのに十分に温度が上昇されるまで、1つ又はそれ以上の不可欠な試薬が反応混合物から除去される。このようにして、反応混合物は、より低い温度でのプライマー伸長を支持することができない。最初の高温温置工程後に反応管が開けられ、除去されていた試薬が添加される手動のホットスタート法は、労力が必要であり、反応混合物のきょう雑のリスクを増加させる。
あるいは、米国特許第5,411,876号及び「Chou et al., 1992, Nucl.Acids Res.20(7):1717−1723」に記載されているように、反応成分を分離し又は取り囲むために、蝋などの熱感受性材料を使用することができる。これらの方法では、高温の反応前温置が熱感受性材料を融解することによって、試薬を混合させる。
PCRの開始前に、プライマー伸長産物の形成を低減させる別の方法は、DNAポリメラーゼの熱可逆性不活化に依拠する。米国特許第5,773,258号及び米国特許第5,677,152号(何れも、参照により、本明細書に組み込まれる。)は、修飾基の共有的付着によって可逆的に不活化されるDNAポリメラーゼを記載している。高温での不活化されたDNAポリメラーゼの温置は、修飾子−酵素結合を切断させることによって、酵素の活性な形態を放出する。DNAポリメラーゼ特異的抗体によるDNAポリメラーゼの非共有的可逆的阻害が、米国特許第5,338,671号(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。
本発明の1つの目的は、例えば、増幅反応(特に、増幅された産物の多数のコピーが産生されるPCR)における重大な関心事である持ち越し交差きょう雑の問題に対処するために使用することができる。従来技術では、数多くの方式で、この問題を解決するための試みが為されてきた。例えば、直接的なUV照射は、きょう雑DNAを効率的に除去することができるが(Rys & Persing, 1993, J Clin Microbiol.31(9):2356−60 and Sarkar & Sommer, 1990 Nature.343(6253):27)、ポリメラーゼ、プライマー及びテンプレートDNAの添加前に、PCR試薬の照射が行われなければならない。さらに、反応中に存在するモノヌクレオチドの多数がUV光の多くを吸収するので、このアプローチは非効率的であり得る。別の「UNG法」は、天然に存在する原型のDNAとは異なるように、産物の組成を変化させるために、dUTPを増幅された断片中に取り込む(Longo et al.1990, Gene, 93(1):125−128)。酵素ウラシル−N−グリコシラーゼ(UNG)が、PCR混合物の他の成分と一緒に添加される。UNG酵素は、増幅前に、きょう雑しているアンプリコンのDNA鎖からウラシル塩基を切断し、試料DNAに影響を与えずに、このような産物の全てが新たなDNA合成用のテンプレートとして作用できないようにする。次いで、UNG酵素が熱不活化され、次いで、PCRが実施される。dUTP及びUNG酵素が必要であることが、PCRを実施するコストを著しく増大させる。
本発明の別の目的は、熱安定的RNアーゼHと結合された反応系列を通じて、ホットスタート反応が達成されるPCRアッセイを提供することである。
リボヌクレアーゼ酵素
リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)は、より小さな成分へのRNAの加水分解を触媒する酵素である。この酵素は、体内(体液中)、皮膚の表面上に及び処理されていない実験室のガラス機器などの多くの物体の表面上に存在する。二本鎖RNアーゼは、ほぼ全ての細胞内環境中に存在し、RNA含有二本鎖構築物を切断する。一本鎖RNアーゼは、細胞外環境に遍在しており、従って、幅広い条件下で機能するために極めて安定である。
RNアーゼHは、これまで調べられた全ての生物中に存在するリボヌクレアーゼの保存されたファミリーである。RNアーゼH1及びRNアーゼH2というRNアーゼの2つの主要なクラスが存在する。レトロウイルスのRNアーゼH酵素は、原核生物のRNアーゼH1と似ている。これらの酵素の全ては、RNA:DNAヘテロ二重鎖のRNA成分を切断できるという特徴を共有している。ヒト及びマウスRNアーゼH1遺伝子は、アミノ酸レベルで78%同一である(Cerritelli, et al., (1998) Genomics, 53, 300−307)。原核生物では、遺伝子は、rnha(RNアーゼH1)及びrnhb(RNアーゼH2)と名づけられている。原核生物のRNアーゼの第三のファミリーrnhc(RNアーゼH3)が提案されている(Ohtani, et al.(1999) Biochemistry, 38, 605−618)。
進化的には、「古」生物(古細菌種)は、幾つかの事例で、近代的なRNアーゼH2酵素と最も近縁の単一のRNアーゼH酵素(原核生物性)のみを有するようである(Ohtani, et al.J Biosci Bioeng,88,12−19)。例外が存在し、古細菌ハロバクテリウム(halobacterium)は、RNアーゼH1のオルソログを有する(Ohtani, et al, (2004) Biochem J, 381, 795−802)。RNアーゼH1遺伝子は、サームス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)中にも同定されている(Itaya, et al., (1991) Nucleic Acids Res, 19, 4443−4449)。RNアーゼH2酵素は、全ての生物中に存在するようである。RNアーゼH酵素の全てのクラスがRNA:DNAヘテロ二重鎖のRNA成分を加水分解するが、基質及び補因子要求性は異なる。例えば、II型酵素は補因子としてMg++、Mn++、Co++(及び時には、Ni++)を使用するのに対して、I型酵素はMg++を必要とし、Mn++イオンによって阻害され得る。反応産物は酵素の両クラスに関して同じであり、切断された産物は3’−OH及び5’−ホスファートを有する(図1参照)。RNA:RNA二重鎖を切断するRNアーゼIIIクラス酵素(例えば、Dicer、Ago2、Drosha)は、類似の産物をもたらし、RNアーゼHと類似するヌクレアーゼドメインを含有する。多くの他のリボヌクレアーゼ、特に、一本鎖リボヌクレアーゼは、環状2’,3’−ホスファート及び5’−OH産物をもたらす(図2参照)。
I型RNアーゼH
イー・コリ(E.coli)RNアーゼH1は、広く性質決定されてきた。アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計に影響を及ぼすので、基質の要求性の決定に焦点を絞って、この酵素に対して多数の研究が行われてきた。これには、イー・コリRNアーゼH1(Crooke,et al.,(1995)Biochem J,312(Pt 2),599−608;Lima,et al.,(1997)J Biol Chem,272,27513−27516;Lima,et al.,(1997)Biochemistry,36,390−398;Lima,et al.,(1997)J Biol Chem,272,18191−18199;Lima,et al.,(2007)Mol Pharmacol,71,83−91;Lima,et al.,(2007)Mol Pharmacol,71,73−82;Lima,et al.,(2003)J Biol Chem,278,14906−14912;Lima,et al.,(2003)J Biol Chem,278,49860−49867参照)及びヒトRNアーゼH1(Wu,et al.,(1998)Antisense Nucleic Acid Drug Dev,8,53−61;Wu,et al.,(1999)J Biol Chem,274,28270−28278;Wu,et al.,(2001)J Biol Chem,276,23547−23553参照)の両方に対する研究が含まれた。組織培養において、ヒトRNアーゼH1の過剰発現はアンチセンスオリゴ(ASO)の効力を増加させるのに対して、siRNA又はASOの何れかを用いたRNアーゼH1のノックダウンはアンチセンスオリゴヌクレオチドの効力を減少させる。
I型RNアーゼHは、完全な活性のために、基質中に複数のRNA塩基を必要とする。(DNAオリゴヌクレオチドにハイブリッド形成された)1又は2個のRNA塩基のみを有するDNA/RNA/DNAオリゴヌクレオチドは、非活性である。3つの連続するRNA塩基を有するイー・コリのRNアーゼH1基質を用いると、弱い活性を示す。4つのRNA塩基の連なりを用いると、完全な活性が観察された(Hogrefe, et al., (1990) J Biol Chem, 265, 5561−5566)。RNアーゼH1は、1991年に、サームス・サーモフィラスからクローニングされ、イー・コリ酵素と56%のアミノ酸同一性を有するに過ぎないが、類似の触媒特性を有している(Itaya, et al., (1991) Nucleic Acids Res, 19, 4443−4449)。この酵素は、65℃で安定であるが、80℃まで過熱されると、急速に活性を失う。
1998年には、ヒトRNアーゼH1遺伝子(I型RNアーゼH)がクローニングされた(Genomics, 53, 300−307及びAntisense Nucleic Acid Drug Dev, 8, 53−61)。この酵素は、切断が起こるために、DNA/RNA/DNAキメラ中に5塩基のRNAの連なりを必要とする。中性pHの1mMMg++緩衝液中で最大の活性が観察され、Mn++イオンは阻害的であった(J Biol Chem, 274, 28270−28278)。RNAを2’−修飾されたヌクレオシド(2’−OMe、2’−Fなど)で置換すると、切断は観察されなかった。
3つのアミノ酸(Asp−10、Glu−48及びAsp−70)がイー・コリRNアーゼH1の触媒性部位を構成し、これらのアミノ酸は、タンパク質の高度に保存されたカルボキシ末端ドメイン中に存在する(Katayanagi, et al., (1990) Nature, 347, 306−309)。このドメインは、部位指定突然変異誘発及び結晶構造の決定の両者によって評価された。同じアミノ酸は、二価イオン補因子の配位に関与している。
興味深いことに、基質二重鎖の2’−修飾は、ヘリックスの幾何学を変化させ、RNアーゼH1の活性に悪影響を与え得る。RNAセグメントに隣接する2’−O−(2−メトキシ)エチル(MOE)修飾は、おそらくは糖の立体構造及びヘリックスの幾何学の変化のために、切断速度を低下させる。鍵型核酸(LNA)塩基は、より大きな程度で、ヘリックスの幾何学を擾乱し、より大きな程度で酵素活性に影響を与えた(Mol Pharmacol, 71, 83−91及びMol Pharmacol, 71, 73−82)。基質二重鎖中に存在するときに、Damha(McGill大学)は2’−F修飾されたヌクレオシド(2’−デオキシ−2’−フルオロ−b−D−リボース)の効果を研究し、この基がRNアーゼH1によって切断され得ないことを見出している(Yazbeck, et al., (2002) Nucleic Acids Res, 30, 3015−3025)。式A及びBは、RNアーゼH1切断に関して提案された2つの異なる機序を図解しており、これらの何れもが2’OH基の関与を必要とする。
Figure 2017104109
Damhaの研究は、反応機序が2’−OH基を伴う酵素の既知の活性部位と合致している。酵素の活性部位は、二重鎖の静電的結合におそらく寄与するリジン残基のクラスター内に存在する。結合表面と負に帯電したホスファート骨格の間の相互作用は、RNA:DNAヘテロ二重鎖の小溝に沿って起こると考えられている(Nakamura, et al, (1991) Proc Natl Acad Sd USA, 88, 11535−11539)。従って、小溝に影響を与える構造の変化は、基質と活性部位間の相互作用に影響を与えるはずである。例えば、小溝の幅はB型DNA:DNA二重鎖中で7.5オングストローム、純粋なA型RNA:RNA二重鎖中で11オングストロームであり、RNA:DNA二重鎖のハイブリッドA型二重鎖中では8.5オングストロームである(Fedoroff et al., (1993) JMol Biol, 233, 509−523)。2’−修飾は小溝内に突出しており、これは、RNAアーゼH1による切断に対する修飾された基質の活性を低減又は除去する上でのこれらの基の挙動の幾つかを説明し得る。化学構造の変化に関して、最も「保存的な」RNA類縁体である2’−Fヌクレオシドでさえ、活性に悪影響を与える。
II型RNアーゼH
ヒトII型RNアーゼHは、1991年にEder及びWalderによって、最初に精製及び性質決定された(Eder, et al., (1991) J Biol Chem, 266, 6472−6479)。この酵素は、特徴的な二価の金属イオン依存性を有していたので、最初、ヒトRNアーゼH1と称され、その後、クラスIRNAアーゼHとして知られた。現在の命名法では、II型RNアーゼH酵素である。Mg++中では活性であり、Mn++イオンによって阻害されるI型酵素とは異なり、II型酵素は幅広い様々な二価の陽イオンとともに活性を有する。10mMMg++、5mMCo++又は0.5mMMn++とともに、ヒトII型RNアーゼHの最適な活性が観察される。
重要なことに、II型RNアーゼHの基質特異性(以降、RNアーゼH2と称される。)はRNアーゼH1と異なる。特に、この酵素は、(二重鎖形態の)DNA配列内に埋没された単一のリボヌクレオチドを切断することができる(Eder,et al., (1993) Biochimie, 75, 123−126)。興味深いことに、切断は、RNA残基の5’側で起こる(図3参照)。原核生物のRNアーゼH2酵素の要約に関しては、Kanayaによる最近の概説を参照されたい(Kanaya (2001) Methods Enzymol, 341, 377−394)。
イー・コリのRNアーゼH2遺伝子がクローニングされ(Itaya, M. (1990) Proc Natl Acad Sci U S A, 87, 8587−8591)、性質決定されている(Ohtani, et al., (2000) J Biochem (Tokyo), 127, 895−899)。ヒト酵素と同様に、イー・コリ酵素はMn++イオンとともに機能し、実際に、マグネシウムよりマンガンを用いたときに活性がより高い。
RNアーゼH2遺伝子はクローニングされ、この酵素は様々な真核生物及び原核生物源から性質決定されている。ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)(KOD1)RNアーゼH2はクローニングされ、詳しく研究されている(Haruki, et al., (1998) J Bacteriol, 180, 6207−6214; Mukaiyama, et al, (2004) Biochemistry, 43, 13859−13866)。関連する生物ピロコッカス・フューリウス(Pyrococcus furious)から得られるRNアーゼH2もクローニングされているが、完全には性質決定されていない(Sato, et al., (2003) Biochem Biophys Res Commun, 309, 247−252)。
メタノコッカス・ジャナシイ(Methanococcus jannaschii)から得られたRNアーゼH2が、Laiによってクローニングされ、性質決定されている(Lai, et al., (2000) Structure, 8, 897−904; Lai et al, (2003) Biochemistry, 42, 785−791)。酵素への金属イオンの結合を定量的に測定するために、等温滴定熱量測定を使用した。彼らは、Mn++、Mg++、Ca++及びBa++の結合を検査し、全ての事例で、1:1モル濃度の結合比を観察し、酵素の活性部位中に単一の二価金属イオン補因子のみが存在することを示唆する。Mn++に対する会合定数は、Mg++より10倍高かった。ピーク酵素活性は、0.8mMMnClで見られた。
きょう雑一本鎖リボヌクレアーゼによる並びにMg2+及び他の二価陽イオンによって促進される水触媒性加水分解によるオリゴヌクレオチドのバックグラウンド切断によって、サイクリングプローブ反応(Walder et al.,米国特許第5,403,711号)などのRNアーゼHによるRNA含有プローブの切断を基礎とする核酸ハイブリッド形成アッセイは以前には制約されてきた。一本鎖リボヌクレアーゼの効果は、一本鎖リボヌクレアーゼを遮断するが、RNアーゼHの活性を妨害しないRNasinなどの阻害剤によって、ある程度まで軽減され得る。
一本鎖リボヌクレアーゼはRNA残基の3’を切断し、リボースの2’及び3’位に環状ホスファート基を残す(図2参照)。水によって触媒される自発的な加水分解によって、同じ産物が産生される。何れの事例でも、環状ホスファートは加水分解することができ、酵素触媒された反応において3’−一リン酸エステル又は自発的な加水分解を通じて3’−及び2’−一リン酸エステルの混合物をさらに形成する。RNアーゼHによって形成された切断産物(図1)とプローブの非特異的切断によって形成された切断産物(図2)との差は、2つの経路を区別するための基礎を与える。単一のRNA残基のみを有する基質を用いて、RNアーゼH2及び一本鎖リボヌクレアーゼによる切断を比較すると、この差はさらに顕著になる。この場合には、RNアーゼH2及び一本鎖リボヌクレアーゼは、ホスファート骨格に沿った異なる位置を攻撃する(図3参照)。
RNアーゼは、サイクリングプローブアッセイにおいて、PCRアッセイにおいて(Han et al.,米国特許第5,763,181号;Sagawa et al., 米国特許第7,135,291号;及びBeHlke and Walder,米国特許公開第20080068643号)及び多項目式増幅反応(Behlke et al.,米国特許第7,112,406号)において、切断酵素として使用されてきた。これらのアッセイによって与えられる改善に関わらず、多大な制約が残っている。PCRアッセイは、コストを大幅に上昇させるホットスタートDNAポリメラーゼを使用する。さらに、別のDNAポリメラーゼが必要とされるごとに、酵素の新たなホットスタート様式を開発しなければならない。さらに、これらの様々なアッセイの有用性は、RNA残基の3’の水及び二価の金属イオンによって触媒される加水分解、一本鎖リボヌクレアーゼによる加水分解並びにRNA残基の5’−ホスファート以外の位置でのII型RNアーゼH酵素によって触媒される非典型的な切断反応などの反応において使用されるオリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーの望ましくない切断によって制約される。本発明は、これらの制約を克服し、生物学的アッセイにおいてRNアーゼHを使用するためにさらなる利点及び新たなアッセイフォーマットを提供する。
本発明は、核酸増幅、検出、連結、配列決定及び合成に関連して、RNアーゼH切断を使用する新規生物学的アッセイを提供する。さらに、本発明は、RNアーゼHによる切断を使用するための新規アッセイフォーマット及びこのようなアッセイのための新規オリゴヌクレオチド基質を提供する。本発明の化合物、キット及び方法は、プライマー二量体などの非特異的な増幅不純物を実質的に含まない、高度に特異的なプライマーを基礎とする増幅反応を達成する便利で経済的な手段を提供する。本発明の方法及びキットは、可逆的に不活化されたDNAポリメラーゼ及びDNAリガーゼ酵素の必要を回避する。
米国特許第5,411,876号明細書 米国特許第5,773,258号明細書 米国特許第5,677,152号明細書 米国特許第5,338,671号明細書 米国特許第5,763,181号明細書 米国特許出願公開第2008/0068643号明細書 米国特許第7,112,406号明細書
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本発明の1つの目的は、PCR、OLA(オリゴヌクレオチド連結アッセイ)、LCR(連結連鎖反応)、多項目式増幅及びDNA配列決定などの(但し、これらに限定されない。)核酸増幅及び検出アッセイにおいてホットスタートプロトコールを可能にすることであり、ホットスタート成分は熱安定的なRNアーゼH又は反応において使用される高温で活性を有する他のニック生成酵素である。このようなアッセイは、相補的核酸配列にハイブリッド形成し、切断されて機能的な5’又は3’末端を生成するまで、反応に参加することができない本発明の修飾されたオリゴヌクレオチドを使用する。標準的な非修飾DNAオリゴヌクレオチドが使用される対応するアッセイと比べて、特異性が大幅に強化される。さらに、可逆的に不活化されたDNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼが不要となる。
プライマー伸長を伴うアッセイ(例えば、PCR、多項目式増幅及びDNA配列決定)の場合には、オリゴヌクレオチド阻害活性の修飾は、好ましくは、3’末端に又は3’末端付近に位置する。オリゴヌクレオチドがプライマーとして使用される幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド阻害活性は、オリゴヌクレオチドの3’末端付近に位置する(例えば、本発明のオリゴヌクレオチドの3’末端から最大約10の塩基)。他の実施形態において、オリゴヌクレオチド阻害活性は、3’末端付近に位置し得る(例えば、本発明のオリゴヌクレオチドの3’末端から約1から6の塩基)。他の実施形態において、オリゴヌクレオチド阻害活性は、3’末端付近に位置し得る(例えば、本発明のオリゴヌクレオチドの3’末端から約1から5の塩基)。他の実施形態において、オリゴヌクレオチド阻害活性は、3’末端付近に位置し得る(例えば、本発明のオリゴヌクレオチドの3’末端から約1から3の塩基)。他の実施形態において、オリゴヌクレオチド阻害活性が位置し得る3’末端からの正確な位置(すなわち、塩基の数)は、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーが標的配列(すなわち、それに対してハイブリッド形成が所望される配列)上のプライマー自体の短縮された相補物にハイブリッド形成する能力に影響を与える因子に依存する。このような因子には、Tm、緩衝液組成及び反応において使用される徐冷温度が含まれるが、これらに限定されない。
連結アッセイ(例えば、OLA及びLCR)に関しては、修飾阻害活性はオリゴヌクレオチドの3’又は5’末端の何れかに位置し得又はこれらの付近に位置し得る。他の実施形態において、連結アッセイに関して、修飾阻害活性は、使用されるのであれば、プローブ切断によって除去される領域中の切断可能なRNA塩基の3’に存在するドメイン内に好ましく配置される。他の実施形態において、連結アッセイに関して、ミスマッチ識別を改善するのに有用である特異性を改善するために、本発明のオリゴヌクレオチドプローブ中のRNA塩基の近くにC3スペーサーを配置し得る。他の実施形態において、読み取りが連結現象の産物を増幅するためのPCRアッセイに依存するOLAアッセイでは、RNアーゼH切断によって除去される本発明のオリゴヌクレオチドのドメイン中に、何れかのブロッキング基を配置し得る。このような実施形態において、読み取りが連結現象の産物を増幅するためのPCRアッセイに依存するOLAアッセイでは、切断に対する特異性を変化させるために、RNアーゼH切断可能なドメイン中のブロッキング基の正確な位置は調整され得、切断可能なRNA塩基に対するブロッキング基の正確な配置は、最適な切断速度を達成するために必要とされる酵素の量を変化させ得る。
本発明のさらなる目的は、プライマー伸長と連結を妨害するためのオリゴヌクレオチドの新規修飾を提供することである。
本発明のさらなる目的は、オリゴヌクレオチドがDNA合成用のテンプレートとしての役割を果たすことを妨げ、これにより、PCRを妨害するオリゴヌクレオチドの修飾を提供することである。
本発明のさらなる目的は、RNアーゼHによって切断されるRNAを欠如する修飾されたオリゴヌクレオチド配列を提供することである。1つのこのような実施形態において、オリゴヌクレオチドは単一の2’−フルオロ残基を含有し、切断はII型RNアーゼH酵素によって媒介される。より好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2つの隣接する2’−フルオロ残基を含有する。
本発明のさらなる目的は、RNA残基に対して3’の、水及び二価の金属イオンによって触媒される加水分解、一本鎖リボヌクレアーゼによる加水分解及びRNA残基の5’−ホスファート以外の位置での、II型RNアーゼH酵素によって触媒される非典型的な切断反応などの(但し、これらに限定されない。)所望されない切断反応を阻害するように修飾された、上記アッセイにおいて使用するためのオリゴヌクレオチドを提供することである(図3参照)。1つのこのような実施形態において、RNA残基の2’水酸基は、フッ素又はアルコキシ置換基(例えば、O−メチル)などの別の官能基で置換される。別のこのような実施形態において、RNA残基に対して3’のホスファート基が、ホスホロチオアート又はジチオアート連結で置換される。さらに別の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、RNAアーゼH2による異常な切断を抑制するために、RNA残基の3’ホスファート基からさらに下流で又はRNA残基の5’側で、ヌクレアーゼ耐性連結によって修飾される。このような実施形態において有用なヌクレアーゼ耐性連結には、ホスホロチオアート、ジチオアート、メチルホスホナート及びC3スペーサーなどの塩基脱落残基が含まれる。本発明のPCRアッセイにおいて使用されるオリゴヌクレオチドプライマー中へのこのようなヌクレアーゼ耐性連結の取り込みは、特に有益であることが見出された(実施例25、27及び28参照)。
本発明のさらなる目的は、バリアント対立遺伝子の強化された識別を与えるために、切断部位に隣接する位置で修飾された上記アッセイにおいて使用するためのオリゴヌクレオチドを提供することである。このような修飾には、2’−O−メチルRNA残基及び二次的ミスマッチ置換が含まれるが、これらに限定されない(実施例23参照)。
さらなる目的は、オリゴヌクレオチドの切断を蛍光の変化によって測定することができる本発明において使用するためのオリゴヌクレオチド及びアッセイフォーマットを提供することである。1つのこのような実施形態では、RNAアーゼHによって切断可能なプライマーは、蛍光色素及び消光物質で標識され、アッセイは蛍光の増加によってモニターされる(実施例19から21参照)。
本発明のさらなる目的は、酵素が熱安定的であり、低温において低下した活性を有する、RNAアーゼH組成物及び該組成物を使用するためのプロトコールを提供することである。
さらなる実施形態において、II型RNアーゼHは、プローブ中のRNA残基が2’−フルオロ残基で置換されているサイクリングプローブ反応において使用される。より好ましい実施形態において、2つの隣接する2’−フルオロ残基を有するプローブが使用される。
プライマー伸長アッセイ、連結アッセイ及びサイクリングプローブ反応に関する本発明の態様の多くは、それぞれ、表1、2及び3に要約されている。
本発明のさらなる実施形態において、II型RNアーゼH酵素は、DNA配列決定のための新規方法において使用される。
本発明のさらなる実施形態において、II型RNアーゼH酵素は、DNA合成のための新規方法において使用される。
複数のRNA塩基を含有する基質に対して、RNアーゼH酵素を用いて生じる切断パターンを図示する。 最終産物がリボースの2’及び3’位置に環状ホスファート基をもたらす、一本鎖リボヌクレアーゼ酵素を用いて又は水によって触媒される加水分解を通じて生じる切断パターンを図示する。 単一のRNA塩基を含有する基質に上の、RNアーゼH2及び一本鎖リボヌクレアーゼに対する切断部位を図示する。 誘導されたタンパク質が5つの古細菌RNアーゼH2合成遺伝子から産生されたことを示すSDS10%ポリアクリルアミドゲルの写真である。図4Aは、ピロコッカス・フュリオサス(Pyrococcus furiosus)及びピロコッカス・アビッシイ(Pyrococcus abyssi)に対する誘導されたタンパク質を示している。 誘導されたタンパク質が5つの古細菌RNアーゼH2合成遺伝子から産生されたことを示すSDS10%ポリアクリルアミドゲルの写真である。図4Bは、メタノカルドコッカス・ジャンナシイ(Methanocaldococcus jannaschii)、スルフォロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、ピロコッカス・カダダレンシス(Pyrococcus kodadarensis)に対する誘導されたタンパク質を示している。 組換えHistagRNアーゼH2タンパク質のニッケルアフィニティークロマトグラフィーを用いた精製後に純粋な単一のバンドを示すCoomassie Blue染色されたタンパク質ゲルを示している。 図5から得られたタンパク質ゲルを用いる、抗Hisタグ抗体を用いて行われたウェスタンブロットを示している。 ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)、ピロコッカス・フュリオサス(Pyrococcus furiosus)及びピロコッカス・アビッシイ(Pyrococcus abyssi)から得られる組換えRNアーゼH2酵素による、キメラ11DNA−8RNA−11DNA鎖及び相補的DNA鎖を含有する二重鎖の消化を示すゲルの写真である。 ピロコッカス・アビッシイ(Pyrococcus abyssi)、ピロコッカス・フュリオサス(Pyrococcus furiosus)及びメタノカルドコッカス・ジャンナシイ(Methanocaldococcus jannaschii)(図8A)及びピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)(図8B)から得られる組換えRNアーゼH2酵素による、キメラ14DNA−1RNA−15DNA鎖及び相補的DNA鎖を含有する二重鎖の消化を示すゲルの写真である。 ピロコッカス・アビッシイ(Pyrococcus abyssi)、ピロコッカス・フュリオサス(Pyrococcus furiosus)及びメタノカルドコッカス・ジャンナシイ(Methanocaldococcus jannaschii)(図8A)及びピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)(図8B)から得られる組換えRNアーゼH2酵素による、キメラ14DNA−1RNA−15DNA鎖及び相補的DNA鎖を含有する二重鎖の消化を示すゲルの写真である。 ピロコッカス・アビッシイのRNアーゼH2酵素の活性に対する、95℃での様々な時間の温置の効果を示す。 様々な温置温度での、ピロコッカス・アビッシイのRNアーゼH2による、単一のリボヌクレオチド含有基質の切断の相対的量を示すゲルの写真である。 図10から得られたゲル中で切断された基質の実際の量を示すグラフである。 異なる二価の陽イオンの存在下での、様々な単一の2’修飾された基質のピロコッカス・アビッシイのRNアーゼH2による切断を示すゲルの写真である。 単一の2’−フルオロ又は二重2’−フルオロ(ジフルオロ)修飾された基質のピロコッカス・アビッシイのRNアーゼH2による切断を示すゲルの写真である。存在する二価の陽イオンは、Mn++であった。 16の可能なジフルオロ修飾された全ての基質の、ピロコッカス・アビッシイのRNアーゼH2による相対的な切断を定量するグラフである。 3’DNA塩基の異なる数(すなわち、RNA残基の3’側のDNA塩基の数)を有するrN基質の、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2による相対的切断を定量するグラフである。 5’DNA塩基の異なる数(すなわち、RNA残基の5’側のDNA塩基の数)を有するrN基質の、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2による相対的切断を定量するグラフである。 3’DNA塩基の異なる数(すなわち、fUfC残基の3’側のDNA塩基の数)を有するジフルオロ基質のピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2による相対的切断を定量するグラフである。 ブロックされたPCRプライマーのRNアーゼH2活性化の反応模式図である。 単一のブロックされたrU含有プライマーを用いて行われた終点PCR反応の産物を示すゲルの写真である。2D、3Dなどの接尾辞は、rU残基とプライマーの3’末端間のDNA塩基の数を表す。プライマーは、ジデオキシC残基でブロックキングされている。 RNアーゼH2あり(20A)及びRNアーゼH2(20B)なしで、修飾されていないrNプライマー及びブロックされたrNプライマーの両方を用いた、ヒトHRAS遺伝子内の340塩基対アンプリコンに対するPCR増幅プロットである。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 RNアーゼH2あり(20A)及びRNアーゼH2(20B)なしで、修飾されていないrNプライマー及びブロックされたrNプライマーの両方を用いた、ヒトHRAS遺伝子内の340塩基対アンプリコンに対するPCR増幅プロットである。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 RNアーゼH2あり(21A)及びRNアーゼH2(21B)なしで、修飾されていないrNプライマー及びブロックされたrNプライマーの両方を用いた、ヒトETS2遺伝子内の184塩基対アンプリコンに対するPCR増幅プロットである。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 RNアーゼH2あり(21A)及びRNアーゼH2(21B)なしで、修飾されていないrNプライマー及びブロックされたrNプライマーの両方を用いた、ヒトETS2遺伝子内の184塩基対アンプリコンに対するPCR増幅プロットである。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 RNアーゼH2あり(22A)及びRNアーゼH2(22B)なしで、修飾されていないプライマー及び3’−fN修飾されたプライマーの両方を用いた、合成103塩基対アンプリコンに対するPCR増幅プロットである。 RNアーゼH2あり(22A)及びRNアーゼH2(22B)なしで、修飾されていないプライマー及び3’−fN修飾されたプライマーの両方を用いた、合成103塩基対アンプリコンに対するPCR増幅プロットである。 単一のホスホロチオアートヌクレオシド間修飾を含有するrNプライマーのHPLCの軌跡を示す。上部パネルは、元の合成産物を示し、2つの異性体の分割を示している。中央パネルは精製されたRp異性体であり、及び下部パネルは精製されたSp異性体である。 単一のRNA塩基及び異なるホスホロチオアート立体異性体を有する基質を用いたRNアーゼH2対RNアーゼA酵素的切断間の関係を示す。 HCVアンプリコンに対して標準的なプライマー及び/ブロックされた/切断可能なプライマーを用いて行われたPCR反応から得られた産物を分離するために使用されたポリアクリルアミドゲルの写真を示し、標準的なプライマーの使用は所望されない小さなプライマー−二量体種の形成をもたらすのに対して、ブロックされたプライマーの使用は所望の産物の特異的な増幅をもたらすことを示している。核酸は、蛍光染色を用いて画像化され、明確にするために画像は反転させた。 様々な濃度で異なる界面活性剤を含有する(%容量対容量として表されている。)緩衝液中の放射線標識されたrC含有基質のピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2による相対的切断を定量するグラフである。 蛍光消光された(F/Q)ブロックされたPCRプライマーのRNアーゼH2活性化の反応模式図である。 103塩基の合成アンプリコンに対するブロックされ、蛍光消光された切断可能なプライマーと比較した、蛍光消光された二重標識プローブ(DLP)とともにブロックされていないプライマーを使用することから得られる蛍光シグナルを示す増幅プロットである。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 103塩基の合成アンプリコンに対する、Q/F配置のブロックされ、蛍光消光された切断可能なプライマーと比較した、F/Q配置のブロックされ、蛍光消光された切断可能なプライマーの使用から得られる蛍光シグナルを示す増幅プロットである。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 SMAD7遺伝子内の単一の塩基が異なるDNAテンプレートを識別するために、F/Q構成の、ブロッキングされ、蛍光消光された切断可能なプライマーを使用することから得られる蛍光シグナルを示す増幅プロットである。パネル(A)は、FAM標識された「C」対立遺伝子プローブが使用されたFAMチャンネルから得られた結果を示している。パネル(B)は、HEX標識された「T」対立遺伝子プローブが使用されるHEXチャンネルから得られた結果を示している。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 SMAD7遺伝子内の単一の塩基が異なるDNAテンプレートを識別するために、F/Q構成の、ブロッキングされ、蛍光消光された切断可能なプライマーを使用することから得られる蛍光シグナルを示す増幅プロットである。パネル(A)は、FAM標識された「C」対立遺伝子プローブが使用されたFAMチャンネルから得られた結果を示している。パネル(B)は、HEX標識された「T」対立遺伝子プローブが使用されるHEXチャンネルから得られた結果を示している。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 プライマープローブアッセイにおいて使用される蛍光消光された(FQT)プライマーのRNアーゼH2切断の模式的な反応である。プライマードメインは、標的核酸に対して相補的であり、DNA合成のプライマーとしての役割を果たす。レポータードメインは、標的に対して非相補的であり、レポーター色素と消光物質基の間に位置したRNA塩基を含有する。レポータードメインは、PCRの間に(このドメインは、この時点で、テンプレートとしての役割を果たす。)、二本鎖形態へ転化されるまで、一本鎖のままである。二本鎖形態への転化は、レポータードメインをRNアーゼH2に対する基質へ転化させ、RNAアーゼH2による切断はレポーターを消光物質から分離させ、検出可能な現象である。 HeLa細胞cDNAを用いて、ヒトDrosha遺伝子に対して特異的なプライマーを用いて行われるqPCR反応の増幅プロットを示す。A)修飾されていないプライマー、及び蛍光消光された二重標識プローブ(DLP)、5’−ヌクレアーゼアッセイフォーマットを用いて行われた反応。反応は、表記のように、テンプレート(HeLacDNA)あり又はなしで行われた。B)プライマー−プローブアッセイフォーマットにおいて、蛍光消光されたFQTフォワードプライマー及び修飾されていないリバースプライマーを用いて行われた反応。反応は、表記されているようにRNアーゼH2の添加あり又はなしで行われた。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 HeLa細胞cDNAを用いて、ヒトDrosha遺伝子に対して特異的なプライマーを用いて行われるqPCR反応の増幅プロットを示す。A)修飾されていないプライマー、及び蛍光消光された二重標識プローブ(DLP)、5’−ヌクレアーゼアッセイフォーマットを用いて行われた反応。反応は、表記のように、テンプレート(HeLacDNA)あり又はなしで行われた。B)プライマー−プローブアッセイフォーマットにおいて、蛍光消光されたFQTフォワードプライマー及び修飾されていないリバースプライマーを用いて行われた反応。反応は、表記されているようにRNアーゼH2の添加あり又はなしで行われた。サイクル数はX軸上に示されており、相対蛍光強度はY軸上に示されている。 完全な合致であり、又は単一のRNA塩基に対して+2の位置(リボヌクレオチドに対して3’の2つの塩基)にミスマッチを含有する切断可能なブロックされたプライマーの配列を示している。プライマーがある対立遺伝子とハイブリッドを形成するときに、この戦略が単一のミスマッチの存在をどのようにしてもたらし、第二の対立遺伝子とハイブリッドを形成するときに二重ミスマッチの存在をもたらすかを示すために、SNP部位rs4939827におけるSMAD7標的配列が、プライマーの下に並置されている。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、及びSpC3はスペーサーC3修飾である。 直鎖プライマー伸長反応においてDNA合成を開始するための異なるオリゴヌクレオチド組成物の相対的機能的活性を示すグラフである。 RNアーゼH2切断可能な連結プローブを用いた連結によるDNA配列決定のサイクルを実施するためのスキームを示している。 ハイブリッド形成、連結及び特異的な典型的合成配列の組みのRNAを含有する切断可能な連結プローブのRNアーゼによるその後の切断に対するスキームを示している。 9マーのプローブがアクセプター核酸(ANA)に効率的に連結されていること、及び連結産物がRNアーゼH2によって効率的に切断され、1塩基延長されたANA種を残すことを示す、合成テンプレートに対して切断可能な連結プローブを用いて行われる連結反応から得られる産物を分離するために使用されたポリアクリルアミドゲルの写真を示している。核酸は、蛍光染色を用いて画像化され、明確にするために画像は反転させた。 3つ又は4つの5−ニトロインドール残基の何れかを含有するRNA含有切断可能な連結プローブのハイブリッド形成及び連結に対するスキームを示している。 3つの5−ニトロインドール(3×5NI)塩基を含有する8マーのプローブはアクセプター核酸(ANA)へ効率的に連結されるのに対して、4つの5−ニトロインドール(4×5NI)塩基を含有する8マーのプローブは連結されないことを示す、合成テンプレートに対して切断可能な連結プローブを用いて行われる連結反応から得られる産物を分離するために使用されたポリアクリルアミドゲルの写真を示している。核酸は、蛍光染色を用いて画像化され、明確にするために画像は反転させた。 5’末端の単一の固定されたDNA塩基、4つのランダム塩基及び3つの普遍的塩基5−ニトロインドールを含有する8マーのプローブが、単一の固定されたDNA塩基によって誘導されるように、標的へ特異的に連結し得ることを示す、合成テンプレートに対して切断可能な連結プローブを用いて行われる反応から得られる連結産物を分離するために使用されたポリアクリルアミドゲルの写真を示している。 伝統的なオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)に対するスキームを示している。パネルAは、2つの対立遺伝子標的系を調べるために必要とされる3つのオリゴヌクレオチドを示している。パネルBは、連結産物の作製に関与する工程を示している。 伝統的なオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)に対するスキームを示している。パネルAは、2つの対立遺伝子標的系を調べるために必要とされる3つのオリゴヌクレオチドを示している。パネルBは、連結産物の作製に関与する工程を示している。 本発明のRNアーゼH2切断可能なオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)に対するスキームを示す。パネルAは、2つの対立遺伝子標的系を調べるために必要とされる4つのオリゴヌクレオチドを示している。パネルBは、RNアーゼH2法を使用する連結産物の作製に関与する工程を示している。パネルCは、この方法がどのようにして塩基多型の正体を2回検査するかを示している。 本発明のRNアーゼH2切断可能なオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)に対するスキームを示す。パネルAは、2つの対立遺伝子標的系を調べるために必要とされる4つのオリゴヌクレオチドを示している。パネルBは、RNアーゼH2法を使用する連結産物の作製に関与する工程を示している。パネルCは、この方法がどのようにして塩基多型の正体を2回検査するかを示している。 本発明のRNアーゼH2切断可能なオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)に対するスキームを示す。パネルAは、2つの対立遺伝子標的系を調べるために必要とされる4つのオリゴヌクレオチドを示している。パネルBは、RNアーゼH2法を使用する連結産物の作製に関与する工程を示している。パネルCは、この方法がどのようにして塩基多型の正体を2回検査するかを示している。 連結産物を検出するために蛍光マイクロビーズ及びLuminexL100系を使用する、RNアーゼH2切断可能なプローブOLAの各工程の間に、本実施例において使用された配列の並置を示す。 図43に示されているRNアーゼH2対立遺伝子識別OLAから生成された反応産物の正体を評価するためのLuminexL100系によって検出される生じた蛍光シグナルを示すチャートである。
本発明は、切断ドメイン及び3’又は5’ブロッキング基を有する新規核酸化合物を提供する。これらの化合物は、核酸増幅、検出、連結、配列決定及び合成のための既存の方法に対する改善を提供する。これらの新規核酸化合物の使用を含む新しい活性フォーマットも提供される。
定義
本発明の理解を補助するために、幾つかの用語が以下に定義されている。
本明細書において使用される「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2−デオキシ−D−リボースを含む。)、ポリリボヌクレオチド(D−リボースを含む。)及びプリン又はピリミジン塩基のNグリコシドであるポリヌクレオチドのあらゆる他の種類を表す。「核酸」、「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という用語間で、長さの差は意図されず、これらの用語は互換的に使用される。これらの用語は、分子の一次構造のみを表す。従って、これらの用語には、二本鎖及び一本鎖DNA並びに二本鎖及び一本鎖RNAが含まれる。本発明での使用に関して、オリゴヌクレオチドは、塩基、糖又はホスファート骨格が修飾されているヌクレオチド類縁体及び非プリン又は非ピリミジンヌクレオチド類縁体も含み得る。
オリゴヌクレオチドは、「Narang et al., 1979, Meth.Enzymol.68:90−99;」のホスホトリエステル法、「Brown et al., 1979, Meth.Enzymol.68:109−151」のホスホジエステル法、「Beaucage et al., 1981, Tetrahedron Lett.22:1859−1862」のジエチルホスホルアミダイト法及び米国特許第4,458,066号の固体支持体法(それぞれ、参照により、本明細書に組み込まれる。)などの方法による直接的化学的方法などのあらゆる適切な方法によって調製され得る。オリゴヌクレオチドの連結体及び修飾されたヌクレオチドの合成法の概説が、「Goodchild, 1990, Bioconjugate Chemistry 1(3):165−187」(参照により、本明細書に組み込まれる。)に記載されている。
本明細書において使用される「プライマー」という用語は、適切な条件下で、DNA合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを表す。このような条件には、適切な緩衝液中及び適切な温度で、4つの異なるヌクレオシド三リン酸及び伸長のための因子(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下において、核酸鎖と相補的なプライアマー伸長産物の合成が誘導される条件が含まれる。プライマー伸長は、ヌクレオチド三リン酸の1つ又はそれ以上の不存在下で実施することも可能であり、その場合には、限定された長さの伸長産物が産生される。本明細書において使用される「プライマー」という用語は、隣接する位置でハイブリッド形成する第二のオリゴヌクレオチドへの連結によって、1つのオリゴヌクレオチドが「伸長される」連結媒介性反応において使用されるオリゴヌクレオチドを包含するものとする。従って、本明細書において使用される「プライマー伸長」という用語は、DNA合成の開始点としてプライマーを使用する個別のヌクレオシド三リン酸の重合及び伸長された産物を形成するための2つのオリゴヌクレオチドの連結の両方を表す。
プライマーは、好ましくは、一本鎖DNAである。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される使用に依存するが、典型的には、6から50ヌクレオチドの範囲、好ましくは15から35ヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は、テンプレートと十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より冷たい温度を一般に必要とする。プライマーは、テンプレート核酸の正確な配列を反映する必要はないが、テンプレートとハイブリッド形成するのに十分に相補的でなければならない。所定の標的配列を増幅するための適切なプライマーの設計が本分野において周知であり、本明細書に引用されている文献に記載されている。
プライマーは、プライマーの検出又は固定化を可能にするさらなる特徴を取り込むことができるが、DNA合成の開始点として作用する特性というプライマーの基本的な特性を変化させない。例えば、プライマーは、標的核酸とハイブリッド形成しないが、増幅された産物のクローニング又は検出を促進するさらなる核酸配列を5’末端に含有してもよい。ハイブリッド形成するのにテンプレートに十分に相補的であるプライマーの領域は、本明細書において、ハイブリッド形成領域と称される。
本明細書において使用される「標的」、「標的配列」、「標的領域」及び「標的核酸」という用語は同義であり、増幅、配列決定又は検出されるべき核酸の領域又は配列を表す。
本明細書において使用される「ハイブリッド形成」という用語は、相補的な塩基対合のために、2つの一本鎖核酸による二重鎖構造の形成を表す。ハイブリッド形成は、完全に相補的な核酸鎖の間に又はミスマッチの僅かな領域を含有する「実質的に相補的な」核酸鎖の間に起こり得る。完全に相補的な核酸鎖のハイブリッド形成下での条件が極めて好ましく、「厳格なハイブリッド形成条件」又は「配列特異的なハイブリッド形成条件」と称される。実質的に相補的な配列の安定な二重鎖は、より低い厳格なハイブリッド形成条件下で達成され得るが、許容されるミスマッチの程度は、ハイブリッド形成条件の適切な調整によって調節することができる。核酸技術の当業者は、本分野によって提供される指針に従って(例えば、Sambrook et al, 1989, Molecular Cloning−A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York; Wetmur, 1991, Critical Review in Biochem. and Mol.Biol.26(3/4):227−259; and Owczarzy et al., 2008, Biochemistry, 47:5336−5353(参照により、本明細書に組み込まれる。))、例えば、オリゴヌクレオチドの長さと塩基対の組成、イオン強度及びミスマッチされた塩基対の発生など、多数の変数を経験的に考慮して、二重鎖の安定性を測定することができる。
「増幅反応」という用語は、テンプレート核酸配列の増加したコピーをもたらす又はテンプレート核酸配列の転写をもたらすあらゆる化学反応(酵素反応を含む。)を表す。増幅反応には、逆転写、リアルタイムPCR(米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications (Innis et al., eds, 1990))などのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及びリガーゼ連鎖反応(LCR)(Barany他、米国特許第5,494,810号参照)が含まれる。典型的な「増幅反応条件」又は「増幅条件」は、典型的には、2つ又は3つの何れかの工程サイクルを含む。2工程サイクルは、高温変性工程に続いて、ハイブリッド形成/伸長(又は連結)工程を有する。3段階のサイクルは、変性工程の後にハイブリッド形成工程、その後に別個の伸長又は連結工程を含む。
本明細書において使用される「ポリメラーゼ」は、ヌクレオチドの重合を触媒する酵素を表す。一般に、この酵素は、核酸テンプレート配列へ徐冷されたプライマーの3’末端において、合成を開始する。「DNAポリメラーゼ」は、デオキシリボヌクレオチドの重合を触媒する。公知のDNAポリメラーゼには、例えば、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)DNAポリメラーゼ(Lundberg et al., 1991, Gene, 108:1)、イー・コリDNAポリメラーゼI (Lecomte and Doubleday, 1983, Nucleic Acids Res.11:7505)、T7 DNAポリメラーゼ(Nordstrom et al., 1981, J. Biol. Chem. 256:3112)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼ(Myers and Gelfand 1991, Biochemistry 30:7661)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ(Stenesh and McGowan, 1977, Biochim Biophys Acta 475:32)、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)(Thi)DNAポリメラーゼ(Vent DNAポリメラーゼとも称される。Cariello et al., 1991, Nucleic Acids Res, 19:4193)、サーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)(Tma)DNAポリメラーゼ(Diaz and Sabino, 1998 Braz J. Med. Res, 31:1239)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ(Chien et al., 1976, J. Bacteoriol, 127:1550)、ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)KOD DNAポリメラーゼ(Takagi et al., 1997, Appl. Environ. Microbiol. 63:4504)、JDF−3 DNAポリメラーゼ(特許出願WO0132887)及びピロコッカス(Pyrococcus)GB−D(PGB−D)DNAポリメラーゼ(Juncosa−Ginesta et al., 1994, Biotechniques, 16:820)が含まれる。上記酵素の何れのポリメラーゼ活性も、本分野で周知の手段によって測定することができる。
本明細書において使用される場合、十分に厳格な条件下での増幅反応において使用されたときに、プライマーが標的核酸に主としてハイブリッド形成すれば、プライマーは、標的配列に対して「特異的」である。典型的には、プライマー−標的二重鎖の安定性がプライマーと試料中に見出される何れかの他の配列間で形成される二重鎖の安定性より大きければ、プライマーは標的配列に対して特異的である。当業者は、塩条件並びにプライマーの塩基組成及びミスマッチ位置などの様々な要因がプライマーの特異性に影響を及ぼし、プライマー特異性の定型的な実験的確認が多くの事例で必要とされることを認識する。プライマーが標的配列のみと安定な二重鎖を形成できるハイブリッド形成条件を選択することができる。従って、適切に厳格な増幅条件下での標的特異的プライマーの使用は、標的プライマー結語部位を含有する標的配列の選択的増幅を可能にする。
本明細書において使用される「非特異的増幅」という用語は、標的配列以外の配列にハイブリッド形成し、次いで、プライマー伸長のための基質としての役割を果たすプライマーから生じる、標的配列以外の核酸配列の増幅を表す。非標的配列へのプライマーのハイブリッド形成は「非特異的ハイブリッド形成」と称され、特に、低温、低下した厳格度、前増幅条件の間に、又は一塩基多型(SNP)の場合、真の標的に極めて密接に関連する配列を有する試料中にバリアント対立遺伝子が存在する条件で起こる傾向がある。
本明細書において使用される「プライマー二量体」という用語は、別のプライマーがテンプレートとしての役割を果たすプライマー伸長から生じると考えられるテンプレート非依存的な非特異的増幅産物を表す。プライマー二量体は、しばしば、2つのプライマー(すなわち、二量体)のコンカタマーであるようであるが、3以上のプライマーのコンカタマーも生じ得る。本明細書において使用される「プライマー二量体」という用語は、テンプレート非依存的な非特異的増幅産物を包括的に包含する。
本明細書において使用される「反応混合物」という用語は、ある反応を実施するために必要な試薬を含有する溶液を表す。増幅反応を実施するために必要な試薬を含有する溶液を表す「増幅反応混合物」は、適切な緩衝液中に、オリゴヌクレオチドプライマー及びDNAポリメラーゼ又はリガーゼを典型的に含有する。「PCR反応混合物」は、オリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ(最も典型的には、熱安定的なDNAポリメラーゼ)、dNPT及び二価の金属陽イオンを適切な緩衝液中に典型的に含有する。反応を可能にするために必要な全ての試薬を含有していれば、反応混合物は完全と称され、必要な試薬の一部のみを含有していれば、不完全と称される。反応成分は、利便性、保存の安定性又は成分濃度の用途依存的な調整を可能にする理由で、それがぞれが全成分の一部を含有する別個の溶液として一般に保存されること、及び完全な反応混合物を作製するための反応の前に、反応成分が組み合わされることが、当業者によって理解される。さらに、反応成分は商業化のために別個に梱包されること、及び有用な市販のキットは、本発明のブロックされたプライマーを含む反応成分の何れかの一部を含有し得ることが、当業者によって理解される。
本発明において、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼの何れかは所期の目的のためにそのオリゴヌクレオチドと相互作用することができないので、本明細書において使用される「活性化されていない」又は「不活化された」という用語は、プライマー伸長反応又は連結反応に参加することができないプライマー又は他のオリゴヌクレオチドを表す。幾つかの実施形態において、プライマー伸長を抑制するために、プライマーは3’末端で又は3’末端付近でブロッされるので、オリゴヌクレオチドがプライマーであるときには、活性化されていない状態が生じる。特定の基がプライマーの3’末端に又は3’末端付近に結合されているときには、DNAポリメラーゼはプライマーに結合することができず、伸長が起こり得ない。しかしながら、活性化されていないプライマーは、実質的に相補的なヌクレオチド配列にハイブリッド形成することができる。
本明細書において、本明細書で使用される「活性化された」という用語は、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼとの反応に参加することができるプライマー又は他のオリゴヌクレオチドを表す。プライマー又は他のオリゴヌクレオチドは、実質的に相補的な核酸配列にハイブリッド形成した後に、活性化された状態になり、切断されて、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼと相互作用することができるように、機能的な3’又は5’末端を生成する。例えば、オリゴヌクレオチドがプライマーであり、プライマーがテンプレートにハイブリッド形成されるときには、例えば、DNAポリメラーゼがプライマーの3’末端に結合し、プライマー伸長を促進することができるように、切断酵素によって、3’−ブロッキング基はプライマーから除去され得る。
本明細書において使用される「切断ドメイン」又は「切断するドメイン」という用語は同義であり、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドを切断する切断化合物(例えば、切断酵素)によって認識される、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドの5’末端と3’末端の間に位置する領域を表す。本発明において、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドが相補的な核酸配列にハイブリッド形成されたときにのみ切断され、一本鎖であるときには切断されないように、切断ドメインが設計される。切断ドメイン又は切断ドメインに隣接する配列には、a)ポリメラーゼ若しくはリガーゼによるプライマー若しくは他のオリゴヌクレオチドの伸長又は連結を抑制若しくは阻害し、b)バリアント対立遺伝子を検出するために識別を強化し、又はc)所望されない切断反応を抑制する部分が含まれ得る。1つ又はそれ以上のこのような部分を、切断ドメイン又は切断ドメインに隣接する配列に含めることができる。
本明細書において使用される「RNアーゼH切断ドメイン」という用語は、1つ又はそれ以上のリボ核酸残基又はRNアーゼHに対する基質を与える代替的類縁体を含有する切断ドメインの一種である。RNアーゼH切断ドメインは、プライマー又はオリゴヌクレオチド内の何れの場所にも位置することが可能であり、好ましくは、分子の3’末端若しくは5’末端にその付近に位置する。
「RNアーゼH1切断ドメイン」は、一般に、少なくとも3つの残基を含有する。「RNアーゼH2切断ドメイン」は、1つのRNA残基、連続的に連結されたRNA残基の配列又はDNA残基若しくは他の化学基によって分離されたRNA残基を含有し得る。一実施形態において、RNアーゼH2切断ドメインは2’−フルオロヌクレオシド残基である。より好ましい実施形態において、RNアーゼH2切断可能ドメインは、2つの隣接する2’−フルオロ残基である。
本明細書において使用される「切断化合物」又は「切断剤」という用語は、プライマー又は他のオリゴヌクレオチド内の切断ドメインを認識し、切断ドメインの存在に基づいてオリゴヌクレオチドを選択的に切断することができるあらゆる化合物を表す。本発明において使用される切断化合物は、実質的に相補的な核酸配列にハイブリッド形成されたときにのみ、切断ドメインを含むプライマー又は他のオリゴヌクレオチドを選択的に切断するが、一本鎖であるときには、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドを切断しない。切断化合物は、切断ドメイン内の又は切断ドメインに隣接したプライマー又は他のオリゴヌクレオチドを切断する。本明細書において使用される「隣接した」という用語は、切断化合物が、切断ドメインの5’末端又は3’末端の何れかにおいて、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドを切断することを意味する。本発明において好ましい切断反応は、5’−ホスファート基及び3’−OH基を生成する。
好ましい実施形態において、切断化合物は「切断酵素」である。切断酵素は、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドが実質的に相補的な核酸配列にハイブリッド形成したときに、切断ドメインを認識することができるが、相補的な核酸配列を切断しない(すなわち、二重鎖内に一本鎖切断を与える。)タンパク質又はリボザイムである。切断酵素は、一本鎖である場合にも、切断ドメインを含むプライマー又は他のオリゴヌクレオチドを切断しない。切断酵素の例は、RNアーゼH酵素及び他のニック生成酵素である。
本明細書において使用される「ニック生成」という用語は、完全に又は部分的に二本鎖の核酸の二本鎖部分の一本鎖のみを切断することを表す。核酸にニックが生成される位置は、「ニック生成部位」(NS)と称される。「ニック生成剤」(NA)とは、部分的に又は完全に二本鎖の核酸にニックを生成する薬剤である。ニック生成剤は、酵素又はあらゆる他の化学的化合物又は組成物であり得る。ある種の実施形態において、ニック生成剤は、完全に又は部分的に二本鎖の核酸の特定のヌクレオチド配列を認識し、認識配列の位置に関して特異的な位置(すなわち、NS)において、完全に又は部分的に二本鎖の核酸の一つの鎖のみを切断し得る。このようなニック生成剤(「配列特異的なニック生成剤と称される。)には、ニック生成エンドヌクレアーゼ(例えば、N.BstNB)が含まれるが、これに限定されない。
従って、本明細書において使用される「ニック生成エンドヌクレアーゼ」(NE)は、完全に又は部分的に二本鎖の核酸分子のヌクレオチド配列を認識し、認識配列に関して特異的な位置において、核酸分子の一つの鎖のみを切断するエンドヌクレアーゼを表す。このような事例では、認識部位から切断点までの配列全体が「切断ドメイン」を構成する。
本明細書において使用される「ブロッキング基」という用語は、増幅反応が起こらないように、プライマー又は他のオリゴヌクレオチドに結合されている化学的部分を表す。例えば、プライマー伸長及び/又はDNA連結が起こらない。ブロッキング基がプライマー又は他のオリゴヌクレオチドから除去されると、オリゴヌクレオチドは、そのために設計されたアッセイ(PCR、連結、配列決定など)に参加することができる。従って、「ブロッキング基」は、ポリメラーゼ又はDNAリガーゼによる認識を阻害するあらゆる化学的部分であり得る。ブロッキング基は、切断ドメイン中に取り込まれ得るが、一般に、切断ドメインの5’又は3’側に位置する。ブロッキング基は、2以上の化学的部分から構成され得る。本発明において、「ブロッキング基」は、その標的配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成後に典型的に除去される。
「蛍光生成プローブ」という用語は、a)付着された蛍光色素及び消光物質を有し、小溝結合物質を場合によって有するするオリゴヌクレオチド又はb)SYBR(R)Green色素などのDNA結合試薬の何れかを表す。
「蛍光標識」又は「蛍光色素」という用語は、約350と900nmの間に最大の蛍光発光を有する化合物を表す。
5−FAM(5−カルボキシフルオレセインとも称され;スピロ(イソベンゾフラン−1(3H)、
9’−(9H)キサンテン)−5−カルボン酸、3’,6’−ジヒドロキシ−3−オキソ−6−カルボキシフルオレセインとも称される。
5−ヘキサクロロ−フルオレセイン;
([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−(3’、6’−ジピバロイル−フルオレセイニル)−6−カルボン酸]);
6−ヘキサクロロ−フルオレセイン;
([4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロ−(3’、6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);
5−テトラクロロ−フルオレセイン;
([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’、6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−5−カルボン酸]);
6−テトラクロロ−フルオレセイン;
([4,7,2’,7’−テトラクロロ−(3’、6’−ジピバロイルフルオレセイニル)−6−カルボン酸]);5−TAMRA(5−カルボキシテトラメチルローダミン);キサンチリウム、9−(2,4−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチル−アミノ);6−TAMRA(6−カルボキシテトラメチルローダミン);9−(2,5−ジカルボキシフェニル)−3,6−ビス(ジメチルアミノ);EDANS (5−((2−アミノエチル)アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸);1,5−IAEDANS(5−((((2−ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン−1−スルホン酸);Cy5(ヨードジカルボシアニン−5);Cy3(インド−ジカルボシアニン−3)及びBODIPY FL(2,6−ジブロモ−4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン酸);Quasar(R)−670色素(Biosearch Technologies);Cal Fluor(R) Orange色素(Biosearch Technologies);Rox色素;Max色素(Integrated DNA Technologies)並びにこれらの適切な誘導体などの(但し、これらに限定されない。)多様な蛍光色素を使用することができる。
本明細書において使用される「消光物質」という用語は、ドナーに付着され又はドナーに近接したときに、蛍光性ドナーからの発光を低減させることができる分子又は化合物の一部を表す。消光は、蛍光共鳴エネルギー転移、光誘導性電子転移、系間クロシングの常磁性的増強、Dexter交換カップリング及びダークコンプレックス(dark complex)の形成などの励起子カップリングなどの幾つかの機序のうちの何れかによって起こり得る。蛍光色素によって発せられた蛍光が、消光物質の不存在下での蛍光と比べて、少なくとも10%、例えば、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.9%又はそれ以上低下するときに、蛍光は「消光」される。多数の市販の消光物質が本分野で公知であり、DABCYL、Black HoleTMQuenchers(BHQ−1、BHQ−2及びBHQ−3)、Iowa Black(R) FQ及びIowa Black(R)RQが含まれるが、これらに限定されない。これらは、いわゆる暗消光物質である。これらは、固有の蛍光を有しておらず、固有の蛍光を発するTAMRAなどの他の消光物質に見られるバックグラウンドの問題が実質的になくなる。
本明細書において使用される「連結」という用語は、ポリヌクレオチド末端の2つのの共有結合を表す。様々な実施形態において、連結は、第二のポリヌクレオチド(ドナー)の5’末端へ第一のポリヌクレオチド(アクセプター)の3’末端を共有結合させることを含む。連結は、ポリヌクレオチド末端間で形成されているホスホジエステル結合をもたらす。様々な実施形態において、連結は、ポリヌクレオチド末端の共有結合をもたらすあらゆる酵素、化学物質又はプロセスによって媒介され得る。ある実施形態において、連結はリガーゼ酵素によって媒介される。
本明細書において使用される「リガーゼ」は、第二のポリヌクレオチドの5’ホスファート基へあるポリヌクレオチドの3’水酸基を共有結合させることができる酵素を表す。リガーゼの例には、イー・コリ(E.coli)DNAリガーゼ、T4DNAリガーゼなどが含まれる。
連結反応は、「リガーゼ連鎖反応(LCR)(「リガーゼ増幅反応」(LARとも称されるなどの)DNA増幅法において使用され得る(Barany, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:189 (1991);及びWu and Wallace, Genomics 4:560 (1989)参照(参照により、本明細書に組み込まれる。))。LCRでは、4つのオリゴヌクレオチド(標的DNAの一方の鎖へユニークにハイブリッド形成する2つの隣接するオリゴヌクレオチドと反対の鎖にハイブリッド形成する、隣接するオリゴヌクレオチドの相補的な組み)が混合され、混合物にDNAリガーゼが添加される。標的配列の存在下において、DNAリガーゼは、ハイブリッド形成された分子の各組みを共有結合する。重要なことに、LCRでは、2つのオリゴヌクレオチドがギャップなしに配列と塩基対合する場合にのみ、2つのオリゴヌクレオチドは一緒に連結される。変性、ハイブリッド形成及び連結の反復されたサイクルは、DNAの短いセグメントを増幅する。隣接するオリゴヌクレオチド間の連結部でのミスマッチは、連結を阻害する。他のオリゴヌクレオチド連結アッセイにおけるように、この性質によって、SNPなどのバリアント対立遺伝子間を区別するために、LCRを使用することが可能となる。また、LCRは、単一塩基の変化の増強された検出を達成するために、PCRと組み合わせて使用されてきた(Segev、国際特許公開WO900106(1990)参照)。
本発明の新規オリゴヌクレオチド及び化合物
一実施形態において、本発明の新規オリゴヌクレオチドは、例えば、2、3の応用を挙げると、PCR、DNA配列決定及び多項目式増幅におけるようなDNA複製のためのプライマーである。この実施形態において、プライマーは、DNA複製(すなわち、プライマーの伸長)が遮断される非活性な構成及びDNA複製が進行する活性化された構成を有する。プライマーの非活性な構成は、プライマーが一本鎖である場合、又はプライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成され、プライマー伸長が、プライマーの3’末端に又はその付近に連結された化学的部分によってブロックされたままである場合に存在する。プライマーの活性化された構成は、プライマーが目的の核酸配列にハイブリッド形成し、その後、ブロッキング基を除去するために、RNアーゼH又は他の切断剤による作用を受けて、酵素(例えば、DNAポリメラーゼ)がプライマーの伸長を触媒できるようになったときに存在する。
伸長を抑制するために、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)の3’末端に又はその付近に配置することができる多数のブロッキング基が、本分野において公知である。プライマー又は他のオリゴヌクレオチドは、例えば、3’デオキシリボヌクレオチド残基(例えば、コルジセピン)、2’,3’−ジデオキシリボヌクレオチド残基、非ヌクレオチド連結又はアルカン−ジオール修飾の追加によって、DNA合成の開始を抑制又は阻害するために、3’末端ヌクレオチドにおいて修飾され得る(米国特許第5,554,516号)。プライマーの伸長を阻害又はブロックするために使用することができるアルカンジオール修飾も、Wilk他(1990, Nucleic Acids Res., 18 (8):2065)及びArnold他(米国特許第6,031,091号)によって記載されている。適切なブロッキング基のさらなる例には、末端RNA塩基の3’水酸基の置換(例えば、3’−ホスファート、3’−トリホスファート又はアルコールとの3’−ホスファートジエステル(3−ヒドロキシプロピルなど)、2’、3’−環状ホスファート、2’水酸基の置換(例えば、ホスファート又はトリイソプロピルシリル(TIPS)又はtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)などの立体的に嵩が大きい基)が含まれる。オリゴヌクレオチドの3’末端において置換されたTIPS及びTBDMSなどの2’−アルキルシリル基は、Laikhter他、米国特許出願第11/686,984号(参照により、本明細書に組み込まれる。)によって記載されている。嵩が大きな置換基も、プライマー伸長をブロックするために、オリゴヌクレオチドの3’末端残基の塩基上に取り込ませることができる。
プライマー伸長を阻害するためのブロッキング基は、3’末端残基から上流(すなわち、5’)に位置することもできる。ポリメラーゼによる結合を妨害する立体的に嵩が大きな置換基は、3’末端から上流の残基の塩基、糖又はホスファート基上に取り込ませることができる。このような置換基には、t−ブチル、トリイソプロピルのような嵩が大きなアルキル基並びに蛍光色素及び消光物質などの多芳香族化合物が含まれ、3’末端から1残基ないし約10残基に配置し得る。あるいは、プライマーの伸長をブロックするために、C3スペーサーなどの塩基脱落残基をこれらの位置に取り込ませ得る。1つのこのような実施形態において、2つの隣接するC3スペーサーが使用される(実施例27及び28参照)。
PCRの場合には、3’末端残基の上流のブロッキング部分は、1)プライマー伸長を阻害するため、及び2)リバースプライマーからの合成によって、伸長産物が複製されるときに、プライマーがDNA合成用テンプレートとして役割を果たすのをブロックするという2つの機能を果たし得る。プライマー伸長が起こり得る場合でさえ、後者は、PCRをブロックするのに十分である。3’末端残基の上流に配置されたC3スペーサーは、このようにして機能することができる(実施例26及び27参照)。
ブロッキング基として使用される修飾は、標的核酸配列に対して非相補的である反応開始配列の3’領域内にも位置し得る。
オリゴヌクレオチドは、プライマー伸長を阻害するために使用されるブロッキング基の上流に位置する切断ドメインをさらに含む。RNアーゼH切断ドメインが好ましい。単一のRNA残基又は1つ若しくはそれ以上の別のヌクレオシドとのRNA塩基の置換を含むRNアーゼH2切断ドメインが最も好ましい。
一実施形態において、RNアーゼH2は、単一の2’−フルオロ残基を含有する二重鎖を切断するために使用することができる。切断は、2’−フルオロ残基の5’側で起こる。好ましい実施形態において、2つの隣接する2’−フルオロ残基を含むRNアーゼH2切断ドメインが使用される(実施例6参照)。2つの連続する2’−フルオロ修飾が存在すると、活性は増強される。この実施形態において、切断は、2’−フルオロ残基の間で優先的に起こる。修飾されていないRNA残基を含有するオリゴヌクレオチドとは異なり、2’−フルオロ基を有するオリゴヌクレオチドは、一本鎖リボヌクレアーゼによって切断されず、水によって触媒される切断に対して耐性があり、高温で完全に安定である。2’−フルオロ修飾されたRNA残基が2’LNA修飾されたRNA残基とともに使用される場合にも、増強された切断が見出される。2’−フルオロ含有オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと標的配列間でのミスマッチに関してより大きな識別を与える上で、RNA含有オリゴヌクレオチドと比べて、ある種の適用ではさらに有利であることが見出された。
RNアーゼH酵素によって切断が媒介される本発明において使用することができるRNA残基の代替物には、2’−O−アルキルRNAヌクレオシド、好ましくは、2’−O−メチルRNAヌクレオシド、2’−フルオロヌクレオシド、鍵型核酸(LNA)、2’−ENA残基(エチレン核酸)、2’−アルキルヌクレオシド、2’−アミノヌクレオシド及び2’−チオヌクレオシドが含まれるが、これらに限定されない。RNアーゼH切断ドメインは、単独で又はRNA塩基と組み合わせて、これらの修飾された残基の1つ又はそれ以上を含み得る。より大きな性能を与えるために、DNA塩基及びC3スペーサーなどの塩基脱落残基も含ませ得る。
切断剤がRNアーゼH1酵素である場合、少なくとも3つのRNA残基の連続する配列が好ましい。4つのRNA残基の連続する配列が、一般に、最大の活性をもたらす。切断剤がRNアーゼH2酵素である場合、単一のRNA残基又は2つの隣接する2’−フルオロ残基が好ましい。
RNアーゼH切断ドメイン内に修飾された残基を取り込む1つの目的は、水によって触媒される加水分解又は一本鎖リボヌクラーゼによる切断に起因するプライマー又はプローブのバックグラウンド切断を抑制することである。RNA残基の隣接するホスファート基を攻撃することができない置換基で2’−水酸基を置換することによって、この目標を達成することができる。このアプローチの例には、2’−フルオロ及び2’−O−メチルヌクレオシドなどの、上に列記されている2’−置換されたヌクレオシドの使用が含まれる。これは、切断がRNアーゼH2によって媒介され、切断ドメイン内に単一のRNA残基が存在するときに特に有利である。図3に示されているように、この場合には、一本鎖リボヌクレアーゼ又は水によって触媒される加水分解による切断は、RNアーゼH2による切断とは異なる位置で起こる。
一本鎖リボヌクレアーゼ及び水によって触媒される加水分解によるRNA残基での切断を抑制するために使用することができる修飾の他の例には、隣接する残基(RNA残基に対して3’)の5’酸素原子をアミノ基、チオール基又はメチレン基(ホスホナート連結)で置換することが含まれる。あるいは、リボヌクレオチド残基のバックグラウンド切断を阻害するために、隣接する残基の5’炭素上の水素原子の一方又は両方を、メチル基などのより嵩が大きな置換基で置換することが可能である。別のこのような実施形態において、RNA残基の3’側のホスファート基は、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又はボロナート連結で置換することができる。ホスホロチオアートの場合には、S立体異性体が好ましい。これらの様々な修飾の組み合わせも使用し得る。
一本鎖リボヌクレアーゼ又は水によって触媒される加水分解によるRNA残基でのバックグラウンド切断は、DNA合成用のプライマーとしての役割を果たすことができないブロックされた3’末端をもたらす(図3参照)ことに注目すべきである。これは、このような切断が起こる場合でさえ、偽陽性結果の出現を低減する。
切断がブロッキング基の5’側で起こり、遊離の3’−OHを生成する限り、切断ドメインは、ブロッキング基を含み得る。しかしながら、一般的には、切断ドメインとブロッキング基は、1から約15塩基隔てられている。切断が起こった後、ブロッキング基を含有する切断部位から3’のプライマーの一部は、テンプレートから解離し、ポリメラーゼ酵素による作用を受けることができる機能的な3’−水酸基が露出される。切断部位とブロッキング基の間の最適な距離は、切断剤及びブロッキング基の性質に依存する。オリゴヌクレオチドの切断が単一のRNA残基においてRNアーゼN2によって媒介される場合には、切断部位とブロッキング基の間の3から約8塩基の距離が好ましい。ブロッキング基が、立体的に小さい場合、例えば、以下の構造
Figure 2017104109
のように、3’末端ヌクレオチドのホスホジエステルである場合には、3’末端から5塩基の切断部位が一般に最適である。ブロッキング基がより大きく、切断部位をそれより遠く配置することが有利である。
好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドを切断するために、好熱性RNアーゼH2酵素が使用される。さらに好ましい実施形態において、高温より室温でより活性が低い好熱性RNアーゼH2酵素が使用される。これは、反応のホットスタート型がPCR及びホットスタート(すなわち、可逆的に不活化された)DNAポリメラーゼを実際に必要とすることなく、本発明のブロックされたプライマーを使用する他のプライマー伸長アッセイ中で達成されることを可能にする。ずっと高価な酵素のホットスタート様式に代えて、Taqポリメラーゼなどのより安価な標準的DNAポリメラーゼポリメラーゼを使用することができる。さらに、様々な用途に関して、別のDNAポリメラーゼが好ましい場合があり得る。アッセイのホットスタート成分としてRNアーゼHを使用するによって、それぞれの異なるポリメラーゼの新しい可逆的に不活化された類縁体を開発する必要が回避される。
酵素のホットスタート特性は、ピロコッカス・アビッシイのRNアーゼH2の場合のように、タンパク質に内在し得る(実施例4参照)。あるいは、酵素は、例えば、無水シトラコン酸(citroconic anhydride)などのマレイン酸無水物類縁体を用いて、化学的修飾によって可逆的に不活化され得る。これらの混合物は、タンパク質のアミノ基と反応し、高温において放出されて、活性を回復する。さらに別の実施形態において、酵素をブロックする抗RNアーゼH抗体を使用し得、酵素は高温で変性される。
さらに別の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、配列特異的なニック生成剤、例えば、ニック生成酵素によって認識及び切断される切断ドメインを有する。ニック生成剤は、修飾された核酸又は修飾された核酸の群において、オリゴヌクレオチド(例えば、プライマー)を切断するように設計することもできる。この実施形態において、オリゴヌクレオチドは、標的核酸とのハイブリッド形成に際して、ニック生成剤によって認識されるように設計され、オリゴヌクレオチド/標的二重鎖のニック生成は、ブロッキング基を除去し、オリゴヌクレオチドの伸長を可能にするために使用することができる。ニック生成部位(NS)は、好ましくは、オリゴヌクレオチドの3’末端に又はその付近に位置し、具体的には、オリゴヌクレオチドの3’末端から1ないし約15の塩基である。
典型的なニック生成剤には、N.BstNBIなどの特異的な配列を認識する一本鎖ニック生成制限エンドヌクレアーゼ又は(APエンドヌクレアーゼと組み合わせた)MutH、MutYなどの修復酵素又はウラシル−N−グリコシラーゼ(APリアーゼ及びAPエンドヌクレアーゼと組み合わせて)及びバクテリオファージf1のgeneIIタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のブロックされたプライマーは、プライマー伸長の前に、標的へのハイブリッド形成に続いて切断を要求することによって、非特異的な反応を最小限に抑える。プライマーが関連配列へ誤ってハイブリッド形成すれば、特に、切断部位に又はその付近に横たわるミスマッチが存在する場合に、プライマーの切断は阻害される。これは、このような位置での誤った反応開始の頻度を低下させることにより、反応の特異性を増加させる。本発明において使用されるピロコッカス・アビッシイII型RNアーゼH及び他のRNアーゼH酵素を用いると、切断部位にミスマッチが存在する場合でさえ、幾らかの切断が起こることに注目すべきである。正しい標的へハイブリッド形成したプライマー間での及びミスマッチが存在する場合の切断効率の差を最大化するために、反応条件、特にRNアーゼHの濃度及び各サイクルでハイブリッド形成及び伸長を行う時間は、最適化することができる。これによって、SNPなどのバリアント対立遺伝子間を識別するために、本発明の方法を極めて効果的に使用することが可能となる(実施例12から14、22から25参照)。
上述されているように、切断されたプライマーの3’末端に形成された2’,3’−環状ホスファート(又は2’若しくは3’−ホスファート)がプライマーの伸長をブロックするので、RNA残基がオリゴヌクレオチド中に取り込まれると、プライマーのバックグラウンド切断は偽陽性の反応開始をもたらさない。DNAポリメラーゼに対する基質を形成するためには、自由に接近可能な3’OH基が必要とされる。プライマー−二量体の形成(PCR中で起こる一般的な副反応)も、本発明の3’ブロックされたプライマーを用いて阻害することができる。これは、PCRにおける多重化(例えば、DNA検出/増幅アッセイの場合に、複数の標的配列を検出すること)のより大きな程度を可能にする。
いかなる理論にも拘泥するものではないが、ミスマッチが存在する場合には、おそらくはRNアーゼH2によって触媒されて遊離の3’−OHを生成し、プライマー伸長に至る、非典型的な切断がRNA残基の3’に低い頻度で発生し得ることが観察された。これは、反応の特異性の減少をもたらし得る。この効果を軽減するために、RNA残基の3’に、プライマー中にヌクレアーゼ耐性残基を取り込ませることができる(実施例22、25及び28参照)。このような基には、1つ又はそれ以上のホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート及びC3スペーサーなどの塩基脱落残基が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の方法におけるバリアント対立遺伝子の識別及び検出を強化するために、RNA残基の5’及び3’に対する他の置換も使用することができる。このような置換には、2’−O−メチルRNA及び二次的ミスマッチが含まれるが、これらに限定されない(実施例23参照)。
プライマーの伸長を妨げるブロッキング基の性質は重要ではない。ブロッキング基は、3’末端の残基に又は3’末端の残基の上流に配置することができる。標識基は、ブロッキング基の中に取り込ませることが可能であり、又は切断が起こった後にテンプレートから解離するオリゴヌクレオチドプライマーの3’−セグメント上の他の位置に付着させることが可能である。このような標識基には、蛍光色素、消光物質、ビオチン、ジゴキシゲニンなどのハプテン、酵素及び抗体などのタンパク質、質量分析法による検出のために切断断片の質量を変化させる質量タグ並びに14C、H、35S、32P及び33Pなどの放射性標識が含まれるが、これらに限定されない。これらの標識基は、切断部位の5’においてプライマーに付着させることも可能であり、この場合には、標識基は伸長産物内に取り込まれる。
一実施形態において、オリゴヌクレオチドの3’末端における又は3’末端付近のブロッキング基は蛍光性部分であり得る。この場合には、プライマー伸長反応の進行をモニターするために、蛍光性分子の放出を使用することができる。オリゴヌクレオチドが切断部位の5’側に伸長物質部分も含有する場合に、これは促進される。反応の間のオリゴヌクレオチドの切断は、蛍光色素を消光物質から分離させ、蛍光の増加をもたらす。消光物質自体が蛍光色素である場合には(Tamraなど)、その蛍光の減少も観察され得る。
更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、切断ドメインの5’側の蛍光分子で標識され、分子の3’末端に又は3’末端付近に位置するブロッキング基は、2、3例を挙げると、IowaBlack(R)、BlackHoleTM又はTamraなどの消光物質である。同じく、オリゴヌクレチド(例えば、プライマー)からの消光物質の切断は、オリゴヌクレオチド伸長反応の進行をモニターするために使用することができる蛍光の増加をもたらす。さらに、この場合には、プライマー伸長産物は蛍光標識される。
さらなる実施形態において、本発明のブロックされたプライマーは核酸配列決定のために使用される。DNA増幅反応の場合と同様、本発明のオリゴヌクレオチドを使用すると、DNA配列決定のためのプライマー伸長の特異性も増加する。1つの配列決定実施形態において、蛍光標識され及び鎖終結物質として使用される2’,3’ジデオキシヌクレオチド三リン酸及び反応において産生された入れ子状の断片は、電気泳動、好ましくは、キャピラリー電気泳動によって分離される。
さらに別の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーは蛍光基で標識され、3’ジデオキシヌクレオチド三リン酸鎖終結物質は標識されない。この実施形態において、ブロッキング基は消光物質であり得、プライマー自体は蛍光性でないので、この場合には、バックグラウンド蛍光は低下する。伸長産物のみが蛍光性である。
本発明の別の態様には、Mn2+、Ni2+又はCo2+(Mg2+あり又はMg2+なし)などの別の二価の陽イオンをアッセイ緩衝液中に取り込ませることを含む。本発明のある種の実施形態において、このような別の二価の陽イオンが存在する場合には、特定のアッセイの有効性は、RNアーゼH2による強化された切断のために増加する。一実施形態において、2つの隣接する2’−フルオロヌクレオシド残基がRNアーゼH2切断可能ドメインを構成する場合には、2から4mMMgClを加えた0.3から1mMMnClがアッセイにおいて最適な性能を与えた(実施例3)。
本発明の方法
本明細書に記載されているプライマー、プローブ及び他の新規オリゴヌクレオチドは、多数の生物学的アッセイにおいて使用することができる。以下のリストは網羅的ではないが、本発明の方法の大半は、(1)プライマー伸長アッセイ(PCR、DNA配列決定及び多項目式増幅を含む。)、(2)オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)、(3)サイクリングプローブ反応、(4)連結による配列決定、(5)RNアーゼH酵素を用いて、末端標識された断片の作製による配列決定及び(6)連結による合成という6つの一般的なカテゴリーに属する。
本明細書に記載されているプライマー、プローブ及び他の新規オリゴヌクレオチドは、多数の伸長アッセイにおいて使用することができる。
プライマー伸長アッセイ
本発明の一実施形態において、目的の標的DNA配列を増幅する方法が提供される。この方法は、
(a)切断ドメインと及びプライマーの伸長を妨げる、プライマーの3’末端に又は3’末端の付近に連結されたブロッキング基とを有するプライマー、目的の標的DNA配列を有する試料核酸、切断酵素及びポリメラーゼを含む反応混合物を提供すること;
(b)二本鎖基質を形成するために、標的DNA配列に前記プライマーをハイブリッド形成させる工程;
(c)前記プライマーから前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、前記切断酵素を用いて、ハイブリッド形成されたプライマーを切断する工程;並びに
(d)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーを伸長させる工程;
を含む。
PCR全般
PCRにおいて使用される場合、切断ドメインを含有する3’−ブロックされたプライマーは、まず、標的配列にハイブリッド形成する。この実施形態において、相補的DNA配列へのハイブリッド形成後に、3’ブロッキング基の切断後が起こるまで、プライマーは伸長できない。例えば、RNアーゼH切断ドメインがプライマー中に存在する場合、RNアーゼH酵素はプライマーと標的によって形成された二本鎖基質を認識し、切断ドメイン内で又は切断ドメインに隣接してプライマーを切断する。次いで、プライマーは伸長することができ、次いで、標的の増幅が起こり得る。プライマーは、伸長前に、RNアーゼHによって認識及び切断される必要があるので、非特異的な増幅が低下する。
旧来のPCRにおいて、プライマー二量体を低下させ、非特異的な増幅を減少させるために、しばしば、「ホットスタート」ポリメラーゼが使用される。RNアーゼHによる切断を必要とする本発明のブロックされたプライマーは同じ利点を付与し得る。低温で殆ど又は全く活性を持たない温熱性RNアーゼH酵素が好ましい。プライマーの活性化は、標的配列へのハイブリッド形成及び高温での切断後にのみ起こる。可逆的に不活化されたホットスタートDNAポリメラーゼの使用と比較したこのアプローチの利点は、上述されている。もちろん、所望であれば、ホットスタートRNアーゼH酵素及びホットスタートDNAポリメラーゼとともに使用することができる。
1)ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の場合のように、低温では殆ど又は全く内在的活性を持たない熱安定的RHアーゼH酵素、2)化学的修飾によって可逆的に不活化された熱安定的RNアーゼH及び3)ブロッキング抗体によって可逆的に不活化された熱安定的RNアーゼHという、ホットスタートRNアーゼH酵素の3つの種類が、本明細書に記載されている(表1、2及び3参照)。さらに、無作為突然変異導入などの本分野で周知の手段を通じて、本発明のアッセイにおいて望ましいRNアーゼHの形質をさらに改善することができるRNアーゼHの変異体様式を合成することができる。あるいは、本発明のために望ましい特徴を共有する他の酵素の変異体株を使用することができる。
一実施形態において、プライマー内の切断ドメインは、RNアーゼHによって切断可能である。さらなる実施形態において、RNアーゼH切断ドメインは単一のRNA残基からなり、プライマーの切断はII型RNアーゼH酵素によって、好ましくは好熱性II型RNアーゼH酵素、より好ましくは、高温より室温においてより活性が低い好熱性II型RNアーゼH酵素によって媒介される。さらなる実施形態において、RNアーゼH2切断ドメインは、2つの隣接する2’−フルオロヌクレオシド残基からなる。切断ドメインが2つの隣接する2’−フルオロヌクレオシド残基からなる本発明のさらに好ましい実施形態において、Mg2+の他にMn2+、Ni2+又はCo2+などの(但し、これらに限定されない。)、別の二価の陽イオンを含有する緩衝液中でPCRが実施される。さらなる実施形態において、切断ドメインを含む本発明の3’ブロックされた新規プライマーは、好熱性のニック生成酵素が使用され、及び切断ドメインがニック生成部位であるホットスタートPCRの変形において使用することができる。
あるいは、ホットスタート特性を欠く切断酵素は、高温度で酵素を添加すること、蝋の中に必要な試薬若しくは酵素を閉じ込めることなどの伝統的なホットスタート法とともに、又は可逆的に不活化されたホットスタートDNAポリメラーゼとともに、本発明において使用することができる。
増幅反応において使用される場合、本発明の増加した特異性によって、リアルタイムPCR用法は、標準的なDNAプライマーを用いた旧来のリアルタイムPCRと比べて、より特異的な結果を達成することが可能になる。例えば、SYBR(R)Greenアッセイなどの二本鎖DNA結合色素アッセイは、色素がPCRによって産生された何れかの二本鎖産物(例えば、プライマー二量体)に結合するとシグナルが生成され、これにより、偽陽性結果を生じ得る点で欠点を有する。しかし、本発明のプライマーが使用される場合、非特異的な増幅及びプライマー・二量体形成は低下し、二本鎖DNA結合色素のシグナルの強度は、所望される標的のみの増幅を反映する(実施例17参照)。
アッセイの試薬濃度及び反応条件は、その有用性を最大化するために変動させ得る。本発明のブロックされたプライマーを用いたPCRの相対的効率性は、ブロッキング除去酵素の濃度及び(ブロッキング除去が進行する)徐冷/伸長反応温度での滞留時間に関する。酵素の少量及び短い滞留時間では、切断は不完全であり得、ブロックされたプライマーを用いる反応は、ブロッキングされていないプライマーを用いる反応より低い効率性を有する。酵素濃度又は滞留時間が増加するにつれて、ブロックされたプライマーを用いた反応の効率は増加し、ブロッキングされていないプライマーと同一になる。さらに多くの酵素又はより長い滞留時間の使用は、アッセイの特異性を減少させ、切断部位での又は周囲の配列内のミスマッチを識別するシステムの能力を弱め得る(実施例4参照)。ミスマッチ配列にハイブリッド形成されると、プライマーの切断の効率の増加が存在するので、これが生じる。各サイクルで既に100%なので、真の標的部位での切断はさらに増加させることはできない。従って、より高い特異性を必要とするSNPアッセイのために、又はより低い特異性を必要とするmRNAの発現レベルの定量のために、アッセイを調整することができる。
別の実施形態において、1つのブロックされたプライマーと1つのブロッキングされていないプライマーを有するプライマー対を使用することができる。別の実施形態において、より低い配列特異性を有し、様々な配列を切断することができる酵素を選択することができる。さらに別の実施形態において、バリアント対立遺伝子を識別する能力を増加させるために、切断部位に隣接するさらなるミスマッチを添加することができる。2’−O−メチルヌクレオシドなどの修飾された塩基は、特異性を増加させるために、切断部位の何れかの側でプライマー中に導入することもできる(実施例23参照)。
本明細書に記載されている様々なアッセイの方法は、2、3例を挙げると、蛍光検出、質量タグによる検出、酵素的検出を用いて、及びビオチン、ハプテン、放射線核種及び抗体などの様々な他の基を用いて、プローブ又はプライマーを標識することを介してモニターすることができる。一実施形態において、本発明の修飾されたプライマーを使用するPCRの進行は、例えば、SYBR(R)Greenを用いる色素挿入アッセイを用いて、リアルタイムにモニターされる。さらなる実施形態において、本発明の修飾されたプライマーを使用するPCRの進行は、分子ビーコンなどの蛍光色素及び消光物質で標識されたプローブを用いて、又はプローブの切断が起こる5’ヌクレアーゼアッセイにおけるようにモニターされる。あるいは、RNアーゼH2によって切断可能な二重標識されたプローブを使用し得る。後者の場合には、ハイブリッド形成されたプライマー及びプローブの両方の切断が、同じ酵素によって媒介され得る。プローブ内のRNアーゼH切断ドメインは、RNA残基のみを含み得る。一般に、本発明のブロックされたプライマーの切断ドメインにおいて有用な残基の組み合わせの全てを、プローブ内の切断ドメインとして使用することができる。特に、RNアーゼH2が切断酵素として使用される場合には、単一のRNA残基又は2つの隣接する2’−F残基が、プローブ内の切断ドメインとして好ましい。このような修飾されたオリゴヌクレオチドプローブは、リアルタイムPCRにおいて得に有用であり、標準的なDNAプライマーとともに又は本発明のブロックされたプライマーとともに使用することができる。このようなリアルタイムPCRアッセイにおいて、RNアーゼH2の好熱性様式、特に、低温でより低い活性を有する好熱性RNアーゼH2酵素が好ましい。本明細書において記載されている実施例において、多数の好熱性RNアーゼH2酵素が単離され、サーモサイクル条件下で安定であり、PCRにおいて有用であることが示されている。本発明のブロックされたプライマーとともに使用されると、特異的なホットスタートDNAポリメラーゼが不要となり得る。これは、アッセイのコストの著しい減少をもたらす。
別の実施形態において、本発明のブロックされたプライマーは、米国特許公開2009/0068643号に記載されているPCR用のプライマー−プローブアッセイフォーマットにおいて使用することができる。この事例において、プライマーは、標的核酸に対して相補的であってもよく、又は相補的でなくてもよいオリゴヌクレオチドの5’末端上に標識ドメインも含有する。プライマーの伸長によって生成された産物は、PCRの次のサイクルにおいて、リバースプライマーによる合成のためのテンプレートとしての役割を果たす。これは、標識ドメインを二本鎖構造へ転化させる。1つのこのような実施形態において、標識ドメインに蛍光色素及び消光物質が付着され、反応は、一本鎖状態と比較した、二本鎖形態中の蛍光色素と消光物質間の距離の増加から生じる蛍光の増加によってモニターされる。さらに別のこのような実施形態において、標識ドメインは蛍光色素と消光物質間に位置する切断ドメインを含有する。切断は、切断ドメインが二本鎖である場合にのみ起こる。同じく、反応は、蛍光の増加によってモニターされる。この例では、切断剤は、両鎖、プライマー及びその相補物を切断する切断剤(制限酵素など)であり得る。あるいは、切断剤は、プライマーのみを切断するニック生成剤、好ましくは、RNアーゼH酵素、さらに好ましくは、熱安定的なRNアーゼH2酵素であり得る。このアッセイフォーマットでは、プライマー内に2つの切断ドメイン(1つは、そこで切断が起こって、プライマーを活性化し、伸長を可能にするブロッキング基の5’及び2つ目は標識ドメイン内にある。)が存在する。両部位での切断は、同じ切断剤によって媒介され得る。標識ドメインは、2、3の例を挙げると、ビオチン、ハプテン及び酵素などの(但し、これらに限定されない。)他の標識基も含有し得る。あるいは、標識ドメイン内の切断によって放出される5’断片は、質量分析法による検出用の質量タグとしての役割を果たし得る。
さらに別の実施形態において、本発明のブロックされたプライマーは、米国特許公開2009/0068643号に記載されているPCR用のテンプレート−プローブアッセイフォーマットにおいて使用することができる。
本発明の別の実施形態において、DNA及びRNAなどの(但し、これらに限定されない。)重亜硫酸ナトリウム処理された核酸のPCR分析によって5−メチルシトシン残基を検出するために、RNアーゼH2切断可能なブロックされたオリゴヌクレオチドが使用される。以前の研究は、亜硫酸塩での核酸テンプレートの処理は、塩基の5’炭素上でメチル化されないシトシンを迅速に脱アミノ化させることを確立した。この脱アミノ反応は、メチル化されていないシトシンをウラシルへ転化させ、核酸配列中に機能的なC−>T遷移変異をもたらす。5−メチルシトシンはこの脱アミノ化に対して極めて耐性であり、チミンへ転化させるのではなく、シトシンとして5−メチルシトシンヌクレオチドを保存させることも知られている。重亜硫酸塩転化技術後に、5’シトシンのメチル化の修飾を検出するために、多数の方法が使用されてきた。例には、標準的なミスマッチ特異的な定量的及び非定量的PCR法並びに生成された重亜硫酸ナトリウム反応産物のサブクローニング及び配列決定が含まれるが、これらに限定されない。
本発明において、テンプレートは、当業者に周知である方法によって処理された重硫酸塩である。最初のテンプレートがRNAであれば、相補的なcDNA鎖は、何れかの周知の逆転写法によって生成される。標的テンプレートのシトシン(この時点で、ウラシルに転化されている。)若しくは5−メチルシトシンとマッチし、又はこれらに対して識別するブロックされた切断可能なオリゴヌクレオチドは、RNアーゼH2酵素及び亜硫酸塩処理されたテンプレートを含有するPCR反応に添加される。ミスマッチされた(転化されたシトシン<ウラシル又は転化されていない5−メチルシトシン>5−メチルシトシン)塩基を含有するテンプレートの増幅は、RNアーゼH2切断反応のミスマッチ識別のために、マッチされた塩基テンプレートと比べて非常に低下される。シトシンのウラシルへの不完全な重亜硫酸塩転化(重亜硫酸ナトリウム転化技術に一貫して伴う懸念)は、重亜硫酸塩によって転化されたテンプレート中の既知の非−5’メチル化シトシンを標的とするブロックされた切断可能なオリゴヌクレオチドを設計することによって検出することができる。これらのプライマーを用いた転化されていないシトシンのPCR増幅は、標準的なブロッキングされていないプライマーと比べて、より大きな識別を示すはずである。本発明は、メチル化された及びメチル化されていないシトシンの識別を著しく増加すると予想される。
対立遺伝子特異的PCR
本発明のブロックされたプライマーは、対立遺伝子特異的PCR(AS−PCR)において使用することもできる。一般に、遺伝子のバリアント対立遺伝子、特に、SNPなどの単一の塩基の変異を検出するためにAS−PCRが使用される(例えば、米国特許第5,496,699号参照)。ゲノム中のSNPの位置及び変異された発癌遺伝子の配列は本分野において公知であり、PCRプライマーはこれらの領域と重複するように設計することができる。
単一の塩基ミスマッチの検出は、ある疾病を診断し、特定の遺伝子配列又は変異と相関させる上で重要なツールである。AS−PCRは10年以上にわたって、生物分野において公知であり(Bottema et al., 1993, Methods Enzymol., 218, pp.388−402)、特定のミスマッチと完全に相補的な配列間でより正確に識別するためのツールがなお必要とされている。本発明は、この必要性に対処する。
AS−PCRでは、バリアント遺伝子座と重複するプライマーが使用される。一般に、プライマーは、3’末端のヌクレオチドが変異部位上に位置するように設計される。あるいは、変異部位は、時には、3’末端から1又は2塩基上に位置する。3’末端に又はその付近にミスマッチが存在する場合、プライマーの伸長が阻害され、従って、PCRが阻害される。プライマーと正確なマッチが存在する場合対1つ又はそれ以上のミスマッチが存在する対立遺伝子バリアントの増幅効率の差は、幾つかの事例において、終点PCRによって測定することが可能であり、その場合には、最終増幅産物は、例えば、ゲル電気泳動によって分析される。より一般的には、増幅の効率を測定するために、リアルタイムPCRが使用される。DNA色素結合アッセイ又は二重標識されたプローブアッセイなど、リアルタイムでアンプリコンを検出する蛍光を基礎とする方法が、最もしばしば使用される。蛍光が最初にバックグラウンドレベル(Cp又はクロシングポイント)を上回って検出可能なPCRサイクルは、増幅効率の指標を提供する。プライマーと標的DNA間にミスマッチが存在する場合には、増幅効率が低下し、Cpは遅延する。一般に、4から5サイクルのCpの増加がSNPの識別に十分である。
本発明の1つのAS−PCRの実施形態において、プライマーは単一のRNA残基を含有し、ミスマッチは、プライマーのRNA残基上に直接並置することができる。完全な合致とミスマッチ間のクロシングポイント(Cp)値の差(切断の差に相関する。)は明白である(実施例13参照)。幾つかの事例において、RNA残基の一塩基5’又は3’側にミスマッチを並置することは、Cp値の差を増大させる。ミスマッチがRNA残基の5’側に位置する場合には、その後のRNアーゼH2切断は、切断されたプライマーの3’末端の最後の塩基としてミスマッチを残す。驚くべきことに、RNA残基の上に直接ミスマッチを有することは、RNA残基の5’側にミスマッチが位置するより、多くの場合に、より効果的である。
別の実施形態において、プライマーは複数のRNA残基又は2つの隣接する2’−フルオロ残基を含有し、ミスマッチの検出は、1つのRNA残基を含有するプライマーと同じ原理に従う。ミスマッチは、好ましくは、予想される切断点の近くに又はその上に位置する。
別の実施形態において、アッセイの感度を増加させるために第二のミスマッチが使用される。さらなる実施形態において、SNP部位の上に直接、ミスマッチの3’側に、第二のミスマッチが配置される。さらなる実施形態において、SNP部位の直接上にミスマッチから1又は2塩基に、第二のミスマッチが配置される(実施例23参照)。
さらに別の実施形態において、修飾された残基は、変異部位上に位置する塩基の5’又は3’側でプライマー中に取り込まれる。本発明の1つのこのような実施形態において、2’−O−メチルリボヌクレオシドは、プライマー内のRNA塩基に対してすぐ5’に配置される(実施例22参照)。
アッセイの感度は、変異部位上の塩基の3’側でのプライマー中へのヌクレアーゼ耐性類縁体の取り込みを通じて増加させることもできる。このようなヌクレアーゼ耐性類縁体には、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート及びC3スペーサーなどの塩基脱落残基が含まれるが、これらに限定されない。本発明の1つのこのような実施形態において、ホスホロチオアートヌクレオチド間連結は、プライマーの3’末端側の変異部位上のRNA塩基からの各位置に取り込まれる。さらに別のこのような実施形態において、ホスホロチオアート連結又はホスホロジチオアートは、RNA残基の3’側の塩基からプライマーの3’末端までの全ての位置に取り込まれる。さらに別のこのような実施形態において、単一のホスホロチオアート又はホスホロジチオアートが、プライマー内のRNA塩基からすぐ下流の残基の3’側に導入される。一実施形態において、ホスホロチオアート結合は、SNP部位の直接上のRNA単量体に対して3’の各単量対間に並びにRNA単量体とRNA塩基に対して3’の塩基間に配置される(実施例25参照)。
アッセイの感度は、1つ又は複数の3’ブロッキング基の配置を最適化することによっても向上させることができる。一実施形態において、ブロッキング基はオリゴヌクレオチドの3’末端に対して内側に配置される。さらなる実施形態において、2以上のブロッキング基が3’末端に対して内側に配置される。さらなる実施形態において、RNA単量体はSNP部位の直接上に存在し、DNA単量体はRNA単量体の3’側に存在し、2つのC3が続き、最後に、3’末端の塩基が続く(実施例28参照)。
対立遺伝子特異的PCRの一実施形態において、プライマーは、2以上のミスマッチを検出するように設計され得る。例えば、フォワードプライマーは、第一のミスマッチを検出することができ、リバースプライマーは第二のミスマッチを検出することができる。この実施形態において、アッセイは、2つのミスマッチが分析されている同じ遺伝子又は染色体上に生じるかどうかを示すために使用することができる。このアッセイは、目的の細菌が病原性であり且つ抗生物質耐性であるかどうかを測定するなどの用途において有用である。
逆転写酵素PCT(RT−PCR)
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、結合された逆転写−PCR(RT−PCR)において使用することができる。1つのこのような実施形態において、逆転写及びPCRは2つの異なる工程において実施される。まず、オリゴdTプライマー又は配列特異的プライマーを用いて、試料mRNAのcDNAコピーが合成される。cDNA合成を開始するために、無作為なヘキサマーなどを使用することもできる。次いで、本発明のブロックされたプライマー及び方法を使用するPCRのための基質として、生じたcDNAを使用する。
あるいは、逆転写及びPCRは、単一の閉管反応において実施することができる。1つのこのような実施形態において、3つのプライマー(1つは逆転写酵素用及び2つはPCR用)が使用される。逆転写用のプライマーは、PCRアンプリコンの位置に対して3’でmRNAに結合する。不可欠ではないが、逆転写プライマーは、RNA残基又はmRNAにハイブリッド形成したときに、RNアーゼHに対する基質を形成しない2’−O−メチルRNA塩基などの修飾された類縁体を含み得る。好ましくは、低温で減少した活性を有するRNアーゼH2酵素が切断剤として使用される。
3プライマーのRT−PCRアッセイでは、RTプライマーがPCR反応に参加するのを阻害することが望ましい。これは、PCRプライマーより低いTmを有し、従って、PCR条件下でハイブリッドを形成しないRTプライマーを使用することによって達成することができる。あるいは、例えば、(多項目式増幅のように、米国特許第7,112,406号参照)2つの隣接するC3スペーサーを取り込んだ複製不能なプライマーをRTプライマーとして使用することができる。cDNAがフォワードPCRプライマーの伸長によって複製されるこの場合には、RTプライマーに対する結合部位を含まない。
一実施形態において、リバースPCRプライマーのみが、本発明の組成物及び方法を用いてブロックされる。さらに別の実施形態では、フォワード及びリバースPCRプライマーの両方がブロックされる。3プライマーRT−PCRアッセイでは、リバースPCRプライマーが逆転写のために使用されるのを防ぐために、リバースPCRプライマーがブロックされる。所望であれば、2’−O−メチルRNA残基などの修飾された塩基をリバースPCRプライマー中に取り込ませることができるが、何れのこのような修飾も、プライマー配列がDNA合成用のテンプレートとしての役割を果たし、複製されることが可能でなければならない。
本発明の2プライマーRT−PCRアッセイでは、フォワードPCRのみがブロックされる。リバースPCRプライマーは、RT−プライマーとしての役割も果たし、従って、ブロックされることはできない。
網羅的ではないが、表1は、ブロッキング基、標識基、切断部位の実施形態、オリゴヌクレオチドの切断部位又は他の領域に対する修飾、緩衝液条件及び酵素の変動が、アッセイフォーマットの具体的な用途に応じて、アッセイフォーマットをどのようにしてさらに最適化することができるかを例示する。アッセイフォーマット及び用途の例には、PCR;SYBR(R)Greenなどの二本鎖DNA結合色素を使用するリアルタイムPCR、5’ヌクレアーゼアッセイ(TaqmanTMアッセイ)又は分子ビーコン;プライマー−プローブ及びテンプレート−プローブアッセイ(米国特許公開2009/0068643号参照);多項目式の又は連結された線形増幅アッセイ;PCRを介した遺伝子構築又は断片の集合;一塩基多型及び他のバリアント対立遺伝子を検出するために使用される対立遺伝子特異的なPCR及び他の方法;核酸配列決定アッセイ;並びに鎖置換増幅が含まれる。これらの様々なアッセイにおいて、本発明のプライマーの切断は、特定の反応の特異性を強化するために使用することができる。
Figure 2017104109
サイクリングプローブ反応
サイクリングプローブ反応は、特異的な核酸配列を検出するための別の技術である(米国特許第5,403,711号参照)。反応は、等温条件下で又は温度のサイクリングを用いて行う。PCRとは異なり、産物は線形様式で蓄積する。
表2は、サイクリングプローブ反応に基づいてアッセイを改善するための、本発明の可能な要素の非網羅的な組みを例示する。本発明の新たな特徴には、1)ホットスタートRNアーゼH酵素の使用;2)RNアーゼH酵素による新しい配列の切断(例えば、II型RNアーゼHによる、2’−フルオロヌクレオシドを含有する基質の切断);並びに3)特異性を増強し及び/又は非特異的な切断反応を抑制するための、RNアーゼH切断ドメインに隣接する修飾及び二次的ミスマッチの導入が含まれる。このような修飾及び二次的ミスマッチは、切断がII型RNアーゼHによって媒介されるときに特に有用であり、切断ドメインは単一のRNA残基又は2つの隣接する2’−フルオロ残基である。
Figure 2017104109
DNA連結アッセイ
本発明は、DNA連結アッセイの特異性を増加させる役割も果たし得る。標的DNA配列上で互いに隣接して結合し、連結を妨げるために修飾される本発明のドナー及び/又はアクセプターオリゴヌクレオチドを設計することができる。連結を阻害するのに有用なアクセプターオリゴヌクレオチド上のブロッキング基は、プライマー伸長を妨げるために使用されたものと同じである。ドナーオリゴヌクレオチドのブロッキングは、例えば、ホスホジエステルとして、例えば、
Figure 2017104109
として、5’−OH基をキャッピングすることによって容易に達成され得る。
他の5’ブロッキング基には、5’−O−メチル又は5’−O−トリチル基などの5’−O−アルキル置換基、5’−O−CHCHOCHなどの5’−O−ヘテロアルキル基、5’−O−アリール基及びTIPS又はTBDMSなどの5’−O−シリル基が含まれる。5’デオキシ残基も、連結をブロッキングするために使用することができる。
連結反応をブロックするために、立体的に嵩が大きな基をオリゴヌクレオチドの5’末端に又はその付近に配置することもできる。5’−ホスファート基はDNAリガーゼに対する天然の基質であるので、5’−OHをブロックするために使用することができない。標的DNA配列へのハイブリッド形成後にのみ、ブロッキング基は、例えば、RNアーゼH切断可能ドメインでの切断によって除去されて、連結の発生を可能にする。好ましくは、切断は、RNアーゼHII型酵素、より好ましくは、好熱性II型RNアーゼH酵素によって媒介される。より好ましくは、切断を媒介し、これにより、アクセプター及び/又はドナーオリゴヌクレオチドの活性化を媒介するために、高温より室温で活性がより低い好熱性II型RNアーゼH酵素が使用される。あるいは、ドナー及び/又はアクセプターオリゴヌクレオチドの切断を媒介するために、制限酵素などの配列特異的なニック生成酵素を使用し得る。
さらなる実施形態において、まず、切断反応は、2つのオリゴヌクレオチドのうち1つのみが標的配列へハイブリッド形成するより高い温度で実施される。次いで、温度が下げられ、第二のオリゴヌクレオチドが標的にハイブリッド形成し、次いで、連結反応が起こる。
ドナーオリゴヌクレオチド中に配置された切断ドメインが存在するさらなる実施形態において、このオリゴヌクレオチドは5’末端で又はその付近においてブロックされず、単に遊離の5’―OHを有する。このオリゴヌクレオチドは、連結反応においてドナーとして役割を果たすことができず、ドナーとしての役割を果たすためには、5’−ホスファート基を必要とする。従って、5’末端が機能的にブロックされる。RNアーゼHによる切断は5’−ホスファート基を生成し、ドナーオリゴヌクレオチドが連結反応関与することを可能にする。
本発明の重要な利点は、変異部位の二重調査を可能にし、従って、標準的な連結アッセイより大きな特異性を可能にすることである。切断工程と連結工程の両方で、バリアント対立遺伝子を識別するための機会が存在する。
表3は、オリゴヌクレオチド連結アッセイを改良するための、本発明の可能な要素の非網羅的な組を例示する。
Figure 2017104109
配列決定反応
一実施形態において、目的の標的DNAを配列決定する方法が提供される。この方法は、
(a)切断ドメインと及びプライマーの伸長を妨げる、プライマーの3’末端に又は3’末端の付近に連結されたブロッキング基とを有するプライマー、目的の標的DNA配列を含む試料核酸、切断酵素、ヌクレオチド三リン酸鎖終結物質(例えば、3’ジデオキシヌクレオチド三リン酸)及びポリメラーゼを含む反応混合物を提供すること;
(b)二本鎖基質を形成するために、標的核酸に前記プライマーをハイブリッド形成する工程;
(c)前記プライマーから前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、前記切断酵素を用いて、ハイブリッド形成されたプライマーを切断する工程;並びに
(d)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーを伸長させる工程;
を含む。
一実施形態において、本発明は、「次世代」配列決定プラットフォームにおいて使用される。次世代配列決定の1つの種類は、ゲノムDNAが剪断され及びアダプターオリゴヌクレオチドと連結され、又は遺伝子特異的なプライマーによって増幅され、次いで、ガラススライド上に被覆され又はPCR用のエマルジョン中に配置された相補的オリゴヌクレオチドにハイブリッド形成される「合成による配列決定」である。その後の配列決定反応は、色素標識されたヌクレオチド三リン酸を取り込み、又はATPを生成させるためのATPスルフリラーゼを用いた伸長反応、及び次いで、オキシルシフェリンと光を生成するためのルシフェラーゼとその基質ルシフェリンのATPによって触媒される反応において放出されたピロホスファートの反応から生じた化学発酵によって検出される。
次世代配列決定の別の種類は、4つの塩基の各々に相当するオリゴヌクレオチドの4つの組みが使用される「連結による配列決定」である。各組において、1つの塩基が指定されており、残りはユニバーサル又は縮重塩基である約7から11の塩基の蛍光色素標識されたオリゴヌクレオチドが使用される。例えば、イノシンなどの3つのユニバーサル塩基及び4つの縮重位置を含有する8塩基オリゴヌクレオチドが使用される場合、1つの位置に指定された塩基(A、T、C又はG)と及び分子の5’若しくは3’末端の何れか又は連結を妨害しない内部の位置に付着された蛍光標識とをそれぞれが有する各組中に、4又は256の異なるオリゴヌクレオチドが存在する。それぞれが4つの塩基のうちの1つに対して特異的である4つの異なる標識が使用される。オリゴヌクレオチドのこれらの4つの組みの混合物を、増幅された試料DNAにハイブリッド形成させる。DNAリガーゼの存在下で、標的にハイブリッド形成されたオリゴヌクレオチドはアクセプターDNA分子に連結された状態になる。付着された標識の検出によって、オリゴヌクレオチド内の指定された塩基と相補的な位置において、試料DNA中の対応する塩基を決定することができる。
本発明の一実施形態において、約7から11塩基のドナーオリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドの5’末端に指定された塩基を含有する。残りの塩基は縮重又はユニバーサル塩基であり、指定された塩基に対して特異的な標識は指定された塩基の3’側に取り込まれる。ドナーオリゴヌクレオチドがアクセプターとしても作用するのを防ぐために、プローブの3’末端は不可逆的にブロックされる。幾つかの事例では、これは、標識基によって達成され得る。オリゴヌクレオチドの5’末端から二番目の塩基(すなわち、指定された塩基の次の残基)は、4つのRNA塩基の縮重混合物である。あるいは、2’−フルオロヌクレオシドなどのRNアーゼH2によって認識されるあらゆる類縁体は、この位置で置換され得る。リボイノシン又はリボ−5−ニトロインドールなどのユニバーサル塩基も、この位置に取り込ませ得る。まず、プローブは標的配列にハイブリッド形成し、連結反応による標準的な配列決定と同様に、アクセプターDNA断片に連結された状態となる。指定された塩基の検出後に、RNA残基の5’側のプローブを切断するRNアーゼH2を添加し、指定された塩基をアクセプター断片の3’末端に付着されたままにする。最終結果は、アクセプター断片が1つの塩基によって伸長され、この段階で、配列内の次の塩基の決定を可能にする位置にある。サイクルは何度も繰り返され、各事例で、ドナーオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成の位置を標的配列の3’側に1塩基移動させる。指定された塩基は連結反応の連結部に常に位置するので、連結による伝統的な配列決定と比べて特異性が増加される。
ドナーオリゴヌクレオチドプローブは、5−ニトロインドール、リボ−5’−ニトロインドール、2’−O−メチル−5−ニトロインドール、イノシン、リボイノシン、2’−O−メチルリボイノシン及び3−ニトロピロールなどの(但し、これらに限定されない。)ユニバーサル塩基を場合によって含有し得る。これは、ユニバーサル塩基で置換されたプローブ上の全ての縮重位置に対して、アッセイのために必要とされる各組中の異なるオリゴヌクレオチドの数を4倍低下させる。この方法は、連結反応とRNアーゼH2切断工程の間にキャッピング工程を含むこともできる。キャッピング反応は、DNAポリメラーゼ及び鎖終結物質を導入することによって、前工程でドナーオリゴヌクレオチドプローブと連結しなかったアクセプター断片分子の全てをキャップすることによって実施することができる。
上の例では、連結反応、従って、配列決定読み取りは、一度に1塩基、5’から3’方向に進行する。あるいは、ドナーオリゴヌクレオチドは、2つの塩基が各サイクルにおいて決定されるように設計することができる。この事例では、ドナーオリゴヌクレオチドの5’末端上の最初の2つの塩基が指定されている(例えば、pA−C−R−N−N−N−I−I−X(R=4RNA塩基全ての縮重混合物、N=縮重DNA塩基、I=イノシン及びX=蛍光色素)。全ての事例におけるように、アクセプターへのドナーオリゴヌクレオチドの連結を許容する5’−ホスファート(p)が存在する。16のこのようなオリゴヌクレオチドの組み(16の可能なジヌクレオチドの各々に対して1つ)が必要される。16の各々は、異なる蛍光色素で標識することができる。あるいは、連結反応は、それぞれがオリゴヌクレオチドの4つのこのような組みを有する4つの別個のプールを用いて実施することができる。その場合には、4つの異なる蛍光色素のみが必要とされる。
5’から3’方向に配列決定するための別の実施形態において、以下の種類のドナーオリゴヌクレオチドを使用することができる。pA−N−R−N−N−N−I−I−X(p、N、R、I及びXは、前例に定義されているとおりである。)。各サイクルで1つの塩基が決定されるが、別の位置(1、3、5など)で決定される。参照データベースと比較されるのであれば、これは、配列を同定するのに十分であり得る。所望であれば、残りの塩基(位置2、4、6など)は、元のアクセプターオリゴヌクレオチドを1塩基上流又は下流にシフトさせながら、同じテンプレート上で配列決定反応を反復することによって決定することができる。関連する例では、以下の種類のドナーオリゴヌクレオチドを使用することができる。p−A−F−FN−N−N−I−I−X(p、N、I及びXは、上に定義されているとおりである、Fは4つの2’−フルオロヌクレオシド全ての縮重混合物である。)。連結に続いて、RNアーゼH2による切断は、アクセプターの3’末端に2つの塩基を付加することを含む(すなわち、AF)。次の連結反応後に、アクセプターの3’末端の配列は...A−F−S−F−F−N−N−N−I−I−X(Sは3位の指定された塩基であり、Xは、指定された塩基がAでなければ、前サイクルとは異なる蛍光色素である。)である。次に、RNアーゼH2での切断が2つの2’−フルオロ残基間で起こる。単離された2’−フルオロ残基でのRNアーゼH2による切断はずっと遅く起こり、RNアーゼH2濃度及び反応時間を調節することによって避けることができる。
配列決定が3’から5’方向に進行する上記方法の変形を実施することができる。この場合には、以下のような構造のアクセプターオリゴヌクレオチドが各サイクルにおいて添加される。X−I−I−N−N−N−F−F−S−OH(指定された塩基(S)はオリゴヌクレオチドの3’末端にある。)。オリゴヌクレオチドがドナーとして作用するのを防ぐために、5’末端はブロックされる。RNアーゼH2による切断は、次の配列決定サイクルのために準備されるドナー断片の5’末端に配列pF−Sを残す。アクセプターへの連結が起こることができなかった場合に、ドナーオリゴヌクレオチドの5’−ホスファートを除去するために、ホスファターゼを用いる切断反応の前に、キャッピング工程をサイクル中に含めることができる。
さらなる実施形態において、本発明は、蛍光標識されたプライマーとともに、リボ三リン酸(又は2’−フルオロヌクレオシド三リン酸などのRNアーゼH2に対する基質を与える別の類縁体)を用いて、DNA配列決定に対する改善を提供する。本分野において公知の伝統的な配列決定法と同様に、三リン酸残基がDNAポリメラーゼによって取り込まれる。リボ三リン酸又はRNアーゼH2に対する基質を与える別の類縁体の濃度は、ポリメラーゼによって産生された各伸長産物内に、平均して1つのこのような塩基が無作為に取り込まれるような濃度になるように調整される。プライマーから生じた断片の入れ子状ファミリーがRNアーゼH2での切断によって生成され、次いで、標準的なDNA配列決定法としての電気泳動によって分離される。あるいは、複数のRNA残基又は2’−フルオロヌクレオシドなどの修飾されたヌクレオシドが伸長産物中に取り込まれ得、平均して、各鎖が一回だけ切断されるように、RNアーゼH2でのその後の消化は制限される。それぞれ、異なるリボ三リン酸(A、C、T又はG)又は他のRNアーゼH2切断可能な類縁体で塩基の1つを置換する4つの別個の反応が実行される。このアッセイは、蛍光標識された高価なジデオキシ三リン酸鎖終結物質の使用は回避される。
本発明の別の実施形態において、オリゴヌクレオチド合成のための改善された方法が提供される。上記されているような類似の技術を用いて、アクセプター断片の3’末端にさらなる塩基を付加するために、ドナーオリゴヌクレオチドとして作用する組成物をアクセプター断片に連結させることができる。合成を経験している成長しているポリヌクレオチドであるのはアクセプター断片である。この事例では、ドナー断片の組成物は、好ましくは、3’末端上に約1から8塩基の突出部を有する二本鎖領域を与えるためのヘアピンを形成する一本鎖オリゴヌクレオチドである。5’末端の塩基は、成長しているアクセプター断片に付加するための望ましい塩基である。4つの塩基(A、C、T及びG)を全て含有するポリヌクレオチドを合成するために、5’塩基が変動することを除き、同一の配列を有し得る4つの異なるドナー断片が使用される。好ましくは、ドナーは3’末端においてブロックされているので、アクセプターとして反応することができない。ドナーの3’末端に又は3’末端付近に配置されたブロッキング基は、反応のモニターを可能とするための標識であり得る。ドナーの5’末端の4つの異なる塩基に対応する4つの異なる標識を使用することができる。5’末端の所望される塩基に隣接する塩基は、RNA塩基又はRNアーゼH2に対する基質を与える2’−フルオロヌクレオシドなどの別の類縁体である。3’末端での突出部は、無作為な(縮重)塩基又はユニバーサル塩基又は両者の組み合わせであり得る。ドナー断片は、ドナーオリゴヌクレオチドの3’突出部へのアクセプターの3’末端のハイブリッド形成を通じて、アクセプター断片に結合する。次いで、2つの断片を連結するために、DNAリガーゼ酵素が使用される。次に、RNアーゼH2切断部位の5’側で産物を切断するために、II型RNアーゼHが使用され、ドナーの5’塩基をアクセプターの3’末端に移す。連結できなかった可能性があり得る成長しているポリヌクレオチド鎖の分子が、DNAポリメラーゼによって触媒されるジデオキシヌクレオチド三リン酸(又は他の鎖終結物質)との反応によってキャップされる第三の工程を、リガーゼとRNアーゼH2切断反応の間のサイクル中に場合によって含めることができる。一実施形態において、DNAポリメラーゼは、デオキシヌクレオチド末端転移酵素である。サイクルは反復され、アクセプター断片は5’から3’の方向で伸長を継続することができる。各工程で成長しているポリヌクレオチドの単離を促進するために、調節されたポアガラス又はポリスチレンなどの固体支持体へアクセプターを付着させることができる。
上記配列方法と同様に、各サイクルでアクセプターオリゴヌクレオチドの3’末端に2つの塩基を付加するために、ドナーオリゴヌクレオチドを使用することができる。この場合には、RNアーゼH2切断可能な残基は、ドナーの5’末端から3’に配置される。この酵素的な合成法は、より長いDNA分子を合成するために特に有利である。各塩基に対応するヘアピン試薬は、更なるサイクル又はさらなる合成において再使用するために収集することができる。この系は有機溶媒を使用しないので、廃棄物の廃棄は簡略化される。
本発明のキット
本発明は、上記方法における本発明のプライマー及び他の新規オリゴヌクレオチドの使用を可能にする、核酸増幅、検出、配列決定、連結又は合成のためのキットも提供する。幾つかの実施形態において、キットは、切断化合物(例えば、ニック生成酵素又はRNアーゼH酵素)を含有する容器;DNAポリメラーゼ及び/又はDNAリガーゼを含有する別の容器を含み、好ましくは、キットを使用するための取り扱い説明冊子が存在する。ある種の実施形態において、キットは、DNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼと組み合わされたニック生成酵素又はRNアーゼH酵素の両方を含有する容器を含む。場合によって、アッセイにおいて使用される修飾されたオリゴヌクレオチドは、酵素とともに含めることができる。アッセイにおいて使用される切断酵素剤、DNAポリメラーゼ及び/又はDNAリガーゼ及びオリゴヌクレオチドは、好ましくは、これらが長期の安定性を示す状態で、例えば、適切な保存緩衝液中に又は凍結乾燥若しくはフリーズドライされた状態で保存される。さらに、キットは、ニック生成剤若しくはRNアーゼHのための緩衝液、DNAポリメラーゼ若しくはDNAリガーゼのための緩衝液又は両方の緩衝液をさらに含み得る。あるいは、キットは、ニック生成又はRNアーゼH及びDNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼの両方に適した緩衝液をさらに含み得る。緩衝液は、RNasin及び一本鎖リボヌクレオチドの他の阻害剤を含み得る。本キットの様々な成分の記載は、本発明の様々な方法に関する前節に見出され得る。
場合によって、キットは、本発明の新規プライマー及び/又は他の新規オリゴヌクレオチドの存在下で、核酸を増幅又は連結するための、本発明のキットの使い方に関する情報を提供する取り扱い説明冊子を含有し得る。ある種の実施形態において、前記情報は、アッセイにおいて使用されるRNアーゼH、ニック生成剤、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ及びオリゴヌクレオチドの使用及び/又は保存の仕方に関する1つ又はそれ以上の説明並びにニック生成剤又はRNアーゼH及びDNAポリメラーゼ又はDNAリガーゼのための緩衝液、適切な反応温度及び反応時間の説明などを含む。
従って、一実施形態において、試料からの核酸の選択的増幅のためのキットが提供される。キットは、
(a)それぞれが3’末端及び5’末端を有する第一及び第二のオリゴヌクレオチドプライマー(各オリゴヌクレオチドは、増幅されるべき核酸の一部又はその相補物に対して相補的であり、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドがRNアーゼH切断可能なドメインと並びにプライマー伸長を妨げるために及び/又は反対のプライマーから誘導されるDNA合成によってプライマーが複製されるのを妨げるために、オリゴヌクレオチドの3’末端に若しくは3’末端付近に連結されたブロッキング基とを含む。);
(b)RNアーゼH酵素;並びに
(c)核酸を増幅するための指示マニュアル;
を含む。
キットは、DNAポリメラーゼを場合によって含み得る。
さらなる実施形態において、核酸の選択的増幅のためのキットは、RNアーゼH切断可能ドメイン、蛍光色素及び消光物質を含む3’末端及び5’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブを含み、前記切断可能ドメインは蛍光色素と消光物質の間に位置しており、並びにプローブは増幅されるべき核酸の一部又はその相補物に対して相補的である。
さらに別の実施形態において、本発明は、標的核酸配列の存在下で、アクセプターオリゴヌクレオチドとドナーオリゴヌクレオチドを連結するためのキットに関する。キットは、
(a)オリゴヌクレオチドの一方又は両方がRNアーゼH切断可能ドメイン及び連結を妨げるブロッキング基を含むドナーオリゴヌクレオチド及びアクセプターオリゴヌクレオチド;
(b)RNアーゼH酵素;並びに
(c)標的核酸配列の存在下で、アクセプター及びドナーオリゴヌクレオチドを連結するための指示マニュアル;
を含む。
さらなる実施形態において、キットは、DNAリガーゼ酵素を場合によって含み得る。
さらなる連結キットの実施形態において、ドナーオリゴヌクレオチドはRNアーゼ切断ドメインを含有するが、5’末端に又は5’末端付近にブロッキング基を欠き、代わりに遊離の5’−OHを有する。
実施例
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに例示される。しかしながら、これらの実施例は、上記実施形態と同様に例示的なものであり、いかなる意味においても、本発明の可能な範囲を限定するものと解釈すべきではない。
好熱性生物からのコドン最適化されたRNアーゼH2酵素のクローニング
この実施例は、好熱性生物からのコドン最適化されたRNアーゼH2酵素のクローニングを記載する。
新しく有用な活性を有する可能性がある機能的な新規RNアーゼH2酵素を探索するために、そのゲノム配列が以前に決定されている古細菌超好熱性生物から得られる公共のヌクレオチド配列保管所から候補遺伝子を同定した。RNアーゼH2酵素は幾つかのアミノ酸相同性を共有し、幾つかの高度に保存された残基が存在するが、同定された候補遺伝子間の実際の相同性は低く、これらが機能的なRNアーゼH酵素に相当し、又は未知の機能の遺伝子であり、又は非機能的なRNアーゼH2遺伝子であるかどうかは不明確であった。表4に示されているように、RNアーゼH2遺伝子が性質決定されていない2つの生物及びRNアーゼH2遺伝子(rnhb)及び機能的なタンパク質が同定されており、機能的酵素であることが知られている陽性対照として使用するための3つの生物を含む5つの遺伝子を研究のために選択した。2つの性質決定されていない予想rnhb遺伝子をこの初期研究のために選択したが、多くのさらなる古細菌種が、そのrnhb遺伝子が性質決定されていない決定されたゲノム配列を有しており、同様に研究することができる。
Figure 2017104109
参考文献1から6:1)Haruki, M., Hayashi, K., Kochi, T., Muroya, A., Koga, Y., Morikawa, M., Imanaka, T. and Kanaya, S. (1998) Gene cloning and characterization of recombinant RNase HII from a hyperthermophilic archaeon.J Bacteriol, 180, 6207−6214;2) Haruki, M., Tsunaka, Y., Morikawa, M. and Kanaya, S. (2002) Cleavage of a DNA−RNA−DNA/DNA chimeric substrate containing a single ribonucleotide at the DNA−RNA junction with prokaryotic RNases HII.FEBS Lett, 531, 204−208; 3)Mukaiyama, A., Takano, K., Haruki, M., Morikawa, M. and Kanaya, S. (2004) Kinetically robust monomeric protein from a hyperthermophile.Biochemistry, 43, 13859−13866;4) Sato, A., Kanai, A., Itaya, M. and Tomita, M. (2003) Cooperative regulation for Okazaki fragment processing by RNase HII and FEN−I purified from a hyperthermophilic archaeon, Pyrococcus furiosus.Biochem Biophys Res Commun, 309, 247−252;5) Lai, B., Li, Y., Cao, A. and Lai, L. (2003) Metal ion binding and enzymatic mechanism of Methanococcus jannaschii RNase HII.Biochemistry, 42, 785−791;及び6) Lai, L., Yokota, H., Hung, L.W., Kim, R. and Kim, S.H. (2000) Crystal structure of archaeal RNase HII:a homologue of human major RNase H. Structure, 8, 897−904。
上に列記されているrnhb遺伝子によってコードされるタンパク質の予想される物理的特性が、表5に示されている(Pace, C.N. et al, (1995) Protein Sci.,4, p.2411)
Figure 2017104109
この5つの配列の組みの中の、異なる古細菌種由来のRNアーゼH2酵素(又は候補酵素)間のアミノ酸の類似性は、34%から65%の範囲である。アミノ酸同一性マトリックスが、下表6に示されている。
Figure 2017104109
標準的なコドン使用表を用いて、原型の遺伝子配列のコドンをイー・コリ中での発現に関して最適化した。以下の配列を集合させ、標準的な方法を用いて合成オリゴヌクレオチドから作製された人工的遺伝子としてプラスミド中にクローニングした。DNA配列の同一性は、両鎖に対して確認した。人工的なDNA構築物の配列が以下に示されている。小文字は、5’末端のBamHI部位及び3’末端のHindIII部位を含むリンカー配列を表す。大文字はコード配列を表し、ATG開始コドンには下線が付されている。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
組換えRNアーゼH2ペプチドの発現
以下の実施例は、組換えRNアーゼH2ペプチドの発現を示す。
ユニークなBamHI及びHindIII制限部位を用いて、実施例1から得られた5つの合成遺伝子配列を細菌発現ベクターpET−27b(+)(Novagen, EMD Biosciences, La Jolla, CA)中にサブクローニングした。このベクターは、発現されたペプチドのカルボキシ末端(停止コドンが続く。)に、6つのヒスチジン残基(これらは、一緒になって「Hisタグ」を構成する。)を配置する。「Hisタグ」によって、当業者に周知の方法であるNiアフィニティークロマトグラフィーを用いた組換えタンパク質の迅速で簡易な精製の使用が可能になる。あるいは、合成遺伝子は、Hisタグなしの原型形態で発現され、サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー又は同じく当業者に周知である他のこのような方法を用いて精製することができる。
BL21(DE3)形質転換受容性細胞(Novagen)を各プラスミドで形質転換し、0.5mMイソプロピル−β−D−チオ−ガラクトシド(IPTG)で、4.5時間25℃で誘導した。全てのクローンに対して、製造業者の指示書に従って可溶性タンパク質を放出させ、核酸を分解させるために、Bugbuster(R)Protein Extraction Reagent及びBenzonase(R)Nuclease(Novagen)で、IPTGによって誘導された培養物5mLを処理した。回収されたタンパク質をNiアフィニティーカラム(Novagen)上に通過させ、製造業者によって提供されたプロトコールに従って、1Mイミダゾールを含有する緩衝液を用いて溶出した。
SDS10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、細菌可溶化液の「総」及び「可溶性」画分の両方を調べた。Coomassie Blue染色を用いてタンパク質を可視化した。IPTG誘導後、組換えタンパク質の大量を5つの古細菌RNアーゼH2合成遺伝子全てから産生した。この精製方法を用いて、4つの酵素(ピロコッカス・コダカラエンシス、ピロコッカス・フリオサス、メタノカルドコッカス・ジャンナシイ及びピロコッカス・アビッシイ)に関して、タンパク質は可溶性画分中に回収された。スルフォロバス・ソルファタリカスのRNアーゼH2に関しては、この溶解操作を用いて、可溶性タンパク質は回収されなかった。誘導されたRNアーゼH2タンパク質の例が、図4A及び4Bに示されている。
以下のような性質決定のためにタンパク質の小規模な量を作製するために、組換えタンパク質を産生及び精製するための改良された方法を開発した。各クローンに対して得られる可溶性タンパク質の量を最大化するために、37℃の誘導温度を6時間使用する。ピロコッカス・コダカラエンシス、メタノカルドコッカス・ジャンナシイ及びスルフォロバス・ソルファタリカスに関しては、溶解のために、CelLyticTMB10×溶解試薬(Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)を使用する。500mMNaCl、20mMTrisHCl、5mMイミダゾール、pH7.9中での10倍希釈を作製し、誘導された培養物から得られる沈降した細菌ペースト0.5g当り10mLを使用する。ピロコッカス・フリオサス及びピロコッカス・アビッシイに関しては、誘導された培養物100mL当りBugbuster(R)Protein Extraction Reagent(Novagen)5mLを細胞溶解のために使用する。さらに、細菌細胞の溶解を増強し、溶液の粘度を減少させるために、全てのクローンに対して100mLの誘導された培養物当り、5KUrLysozymeTM(Novagen)及び250UDNアーゼI(Roche Diagnostics, Indianapolis, IN)を使用する。細胞破砕物を除去するための遠心後、DNアーゼI及び存在する他のあらゆる細胞性ヌクレアーゼを不活化するために、可溶化液を75℃で15分間加熱した。次いで、熱処理後に変性タンパク質を沈降させるために、16,000×gで20分間、可溶化液を遠心する。遠心工程単独で、組換え熱安定的酵素の機能的な精製の大きな程度を提供する。
His・Bind(R)樹脂(Novagen)を含有するNiアフィニティーカラム上に、得られた可溶性上清を通過させ、200mMイミダゾールを含有する溶出緩衝液を用いて溶出する。次いで、長期間の保存のために、タンパク質を濃縮及び安定化させるために、70%硫酸アンモニウムの存在下で精製されたタンパク質を沈殿させ、保存緩衝液(10mMTrispH8.0、1mMEDTA、100mMNaCl、0.1%TritonX−100、50%グリセロール)中に再懸濁した。残存する塩を除去するために、同じ保存緩衝液に対して、濃縮されたタンパク質を2×2時間(それぞれ、×250容積)透析する。最終の精製されたタンパク質は、−20℃で保存する。ピロコッカス・アビッシイに対して、これらのプロトコールを用いて、IPTGによって誘導された培養物200mLは、可溶性タンパク質の約2mgを与える。Niカラム上を通過させた後、純粋なタンパク質約0.7mgが回収される。機能的な使用のために、濃縮された酵素原液を保存緩衝液中に希釈し、研究される全ての酵素反応において1:10で添加した。従って、全ての反応緩衝液は、0.01%TritonX−100及び5%グリセロールを含有する。
上に概説されているように、クローニングされたRNアーゼH2酵素の各々に対して、組換えタンパク質を作製し、精製した。SDS10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて、ピロコッカス・コダカラエンシス、ピロコッカス・フリオサス、ピロコッカス・アビッシイ及びスルフォロバス・ソルファタリカスから得られた試料を調べた。Coomassie Blue染色を用いてタンパク質を可視化した。結果が図5に示されている。発現及び精製法が予想通りに機能すれば、これらのタンパク質は全て、ウェスタンブロットによる抗His抗体を用いて検出することができる6×ヒスチジンタグを含有するはずである。図5に示されているゲルは、ナイロン膜に転写された電気ブロットであり、抗His抗体を用いてウェスタンブロットを行った。結果が図6に示されている。全ての組換えタンパク質は、抗His抗体によって認識され、所望の組換えタンパク質種が産生及び精製されたことを示している。
組換えタンパク質の大規模な調製物は、当業者に周知の細菌発酵操作を用いて、よりよく発現させることができる。熱処理の後、変性タンパク質を沈降させるための遠心によって、大幅な精製が得られ、最終的な精製は、Hisタグの必要性又はNi−アフィニティークロマトグラフィーの使用なしに、サイズ排除又は陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて達成することができる。
組換えペプチドに対するRNアーゼH2活性
以下の実施例は、組換えペプチドに対するRNアーゼH2活性を示す。
RNアーゼH酵素は、RNA/DNAヘテロ二重鎖中のRNA残基を切断する。全てのRNアーゼHは、少なくとも4つの連続するRNA残基が存在する場合に、この種の基質を切断することができる。キメラRNA/DNA種のRNA「ウィンドウ」が4残基未満まで短縮されるにつれて、RNアーゼH1酵素は急速に活性を失う。他方、RNアーゼH2酵素は、単一のRNA残基のみを含有するRNA/DNAヘテロ二重鎖を切断することができる。全ての事例で、切断産物は、3’−ヒドロキシル及び5’−ホスファートを含有する(図1参照)。複数のRNA残基が存在する場合には、切断はRNA塩基間に起こり、RNA−ホスファート連結を切断する。単一のRNA残基のみが存在する場合、切断はII型RNアーゼH酵素のみで起こる。この場合には、切断は、DNA−ホスファート連結においてRNA塩基の5’側に起こる(図3参照)。RNアーゼH酵素は、二価の金属イオン補因子の存在を必要とする。典型的には、RNアーゼH1酵素はMg++イオンの存在を必要とするのに対して、RNアーゼH2酵素は、Mg++、Mn++、Co++及びNi++などの(但し、これらに限定されない。)多数の二価の陽イオンの何れかとともに機能を発揮することができる。
実施例2に記載されている組換えRNアーゼH2タンパク質をRNアーゼ活性の両種類に関して検査し、上に列記されている特徴に関して調べた。
複数のRNA塩基を有する基質の切断。長いRNAドメインの切断に関して、これらの酵素の活性を検査するために、以下の合成30塩基対基質を使用した。基質は、一方の鎖の上に11のDNA塩基、8のRNA塩基及び11のDNA塩基を有し、他方の鎖として完全にマッチするDNA相補物を有する「11−8−11」デザインである。使用したオリゴヌクレオチドが以下に示されている(大文字はDNA塩基を表し、小文字はRNA塩基を表す。)。
配列番号6
Figure 2017104109
配列番号7
Figure 2017104109
徐冷されると、これらの一本鎖(ss)オリゴヌクレオチドは、以下の「11−8−11」二本鎖(ds)基質を形成する。
配列番号8
Figure 2017104109
45℃又は70℃で20分間、緩衝液50mMNaCl、10mMMgCl及び10mMTrispH8.0中、80μLの反応容積で、一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチド基質とともに、組換えタンパク質産物の各々の分取試料を温置した。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を添加し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。GelStarTM(Lonza, Rockland, ME)を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。5つの組換えペプチド全てが、RNA/DNAヘテロ二重鎖(11−8−11)基質中の8塩基RNA配列を切断する能力を示した。重要なことに、組換えタンパク質は、一本鎖RNAを含有するオリゴヌクレオチド(配列番号6)を分解せず、二本鎖基質が必要とされることを示唆する。さらに、dsDNA基質は切断されなかった。
二価の陽イオンの不存在下で、切断は観察されなかった(例えば、Mg++が反応緩衝液に存在しなければ、活性は全く観察されなかった。)。Mg++滴定を行い、2から8mMMgClの間で、高い酵素活性が観察された。3から6mMMgClの間で、最適な活性が観察された。また、Mn++及びCo++を含む他の二価の陽イオンを用いて、切断活性を検出した。MnClでは、0.3mMから10mM二価の陽イオン濃度で、良好な活性が見られた。300nMから1mMの範囲で、酵素活性が最適であった。CoClに関して、0.3mMから2mMの範囲で観察が見られ、0.5から1mMの範囲で活性は最適であった。従って、単離された酵素はRNアーゼH活性及びRNアーゼH2クラスの特徴である二価の陽イオンの要求性を示す。
ピロコッカス・コダカラエンシス、ピロコッカス・フリオサス及びピロコッカス・アビッシイから得られた組換えRNアーゼH2酵素による11−8−11基質の消化が図7に示されている。
RNアーゼH酵素による基質切断は、3’−OH及び5’−ホスファートを有する産物をもたらすと予想される。質量分析によって、新しい組換えRNアーゼH2タンパク質から得られる反応産物の正体を調べた。電子スプレーイオン化質量分析(ESI−MS)は、このサイズの核酸断片に対して、ほぼ単一のダルトン分解を有する(+/−0.02%の精度)。3つのピロコッカス種のRNアーゼH酵素による消化前及び後の両方に、オリゴヌクレオチド11−8−11基質(配列番号8)をESI−MSによって調べた。観察された質量と一致する核酸種の同定とともに、観察された主な質量が表7に報告されている。
Figure 2017104109
同定された主要な種が示されている。DNA塩基は大文字で示されており、RNA塩基は小文字で示されており、ホスファート=「P」。分子量は、最も近いダルトンに四捨五入した。他の表記が存在していない場合、核酸鎖は5’−ヒドロキシル又は3’−ヒドロキシルで終わる。
全ての事例では、DNA相補鎖は完全な状態で(非分解)観察された。RNA含有鎖は効率的に切断され、反応産物の観察された質量が生成された主要な断片である以下の種と合致する。1)消化されていないDNA残基及び3’−水酸基を有する単一の3’−RNA残基を含有する種(配列番号9)及び2)5’−ホスファート、単一の5’−RNA残基及び消化されないDNA残基を有する種(配列番号10)。観察された反応産物は、RNアーゼH1及びRNアーゼH2酵素の両方の公知の切断特性と合致している。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
単一のRNA塩基を有する基質の切断。RNアーゼH2酵素は、単一のRNA残基を含有する基質を特徴的に切断するのに対して、RNアーゼH1酵素は切断できない。単一のRNA残基での切断に関して、これらの酵素の活性を検査するために、以下の合成30塩基対基質を使用した。基質は、一方の鎖の上に14のDNA塩基、1つのRNA塩基及び15のDNA塩基を有し、他方の鎖として完全なマッチのDNA相補物を有する「14−1−15」デザインである。4つのRNA塩基(C、G、A及びU)の各々を含む8成分の一本鎖オリゴヌクレオチドから、4つの異なる基質を作製した。使用したオリゴヌクレオチドが以下に示されている(大文字はDNA塩基を表し、小文字はRNA塩基を表す。)。
For rC:
配列番号11
Figure 2017104109
配列番号12
Figure 2017104109
徐冷されると、これらの一本鎖(ss)オリゴヌクレオチドは、以下の「14−1−15rC」二本鎖(ds)基質を形成する。
配列番号13
Figure 2017104109
For rG:
配列番号14
Figure 2017104109
Figure 2017104109
徐冷されると、これらの一本鎖(ss)オリゴヌクレオチドは、以下の「14−1−15rG」二本鎖(ds)基質を形成する。
配列番号16
Figure 2017104109
For rA:
Figure 2017104109
Figure 2017104109
徐冷されると、これらの一本鎖(ss)オリゴヌクレオチドは、以下の「14−1−15rA」二本鎖(ds)基質を形成する。
配列番号19
Figure 2017104109
For rU:
配列番号20
Figure 2017104109
配列番号21
Figure 2017104109
徐冷されると、これらの一本鎖(ss)オリゴヌクレオチドは、以下の「14−1−15rU」二本鎖(ds)基質を形成する。
配列番号22
Figure 2017104109
70℃で20分間、緩衝液50mMNaCl、10mMMgCl及び10mMTrispH8.0中で、80μLの反応容積で、上記一本鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチド基質とともに、組換えタンパク質産物の各々の分取試料を温置した。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を停止し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。GelStarTM(Lonza, Rockland, ME)を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。5つの組換えペプチド全てが、RNA/DNAヘテロ二重鎖(14−1−15)中の単一のRNA配列を切断する能力を示した。4つのRNA塩基の各々が、これらの酵素で切断可能な基質として機能した。重要なことに、組換えタンパク質は、一本鎖RNAを含有するオリゴヌクレオチド(配列番号11、14、17、20)を分解せず、二本鎖基質が必要とされることを示唆する。従って、単離された酵素はRNアーゼH2活性を示す。二価の陽イオンの滴定を検査し、結果は、8−11−8基質を用いて以前に得られた結果と同一であった。
ピロコッカス・アビッシイ、ピロコッカス・フリオサス及びメタノカルドコッカス・ジャンナシイ由来の組換えRNアーゼH2酵素による4つの14−1−15基質(配列番号13、16、19、22)及び11−8−11基質(配列番号8)の消化が図8Aに示されており、ピロコッカス・コダカラエンシス由来の酵素による消化が図8Bに示されている。
RNアーゼH酵素による基質切断は、3’−OH及び5’−ホスファートを有する産物をもたらすと予想される。さらに、RNアーゼH2酵素による単一のリボヌクレオチドを含有する基質の切断は、RNA残基に対して5’のDNA連結で特徴的に起こる。質量分析によって、新しい組換えRNアーゼH2タンパク質から得られる単一のリボヌクレオチド基質を用いて反応産物の正体を調べた。3つのピロコッカス種のRNアーゼH2酵素及びメタノカルドコッカス・ジャンナシイ酵素による消化前及び後の両方に、ESI−MSによってオリゴヌクレオチド14−1−15rC基質(配列番号13)を調べた。観察された質量と一致する核酸種の同定とともに、観察された主な質量が表8に報告されている。
Figure 2017104109
同定された主要な種が示されている。DNA塩基は大文字で示されており、RNA塩基は小文字であり、ホスファート=「P」である。分子量は、最も近いダルトンに四捨五入した。他の表記が存在しない場合、核酸鎖は5’−ヒドロキシル又は3’−ヒドロキシルで終わる。
全ての事例で、DNA相補鎖は完全な状態で(非分解)観察された。RNA含有鎖は効率的に切断され、反応産物の観察された質量が生成された主要な断片である以下の種と合致する。1)3’−水酸基を有する消化されていないDNA残基を含有する種(配列番号23)及び2)5’−ホスファート、単一の5’−RNA残基及び消化されないDNA残基を有する種(配列番号24)。観察された反応産物は、RNアーゼH2クラス酵素の公知の切断特性と合致している。
配列番号23
5’CTCGTGAGGTGATG3’
配列番号24
5’P−cAGGAGATGGGAGGCG
まとめると、5つの古細菌種から得たRNアーゼH2酵素をコードすると予測されるクローニングされ、コドン最適化されたrnhb遺伝子は全て、RNアーゼH2ファミリーの要素に対して予想される酵素活性と合致する酵素活性を示す組換えタンパク質産物を産生した。1)酵素は、機能を発揮するために二価の陽イオンを必要とした(ここに記された実験は、Mg++を用いて行った。)。活性は、Mn++又はCo++イオンを用いても存在する。2)一本鎖核酸は分解されない。3)1つの鎖が1つ又はそれ以上のRNA塩基を含有する二本鎖へテロ二重鎖核酸は基質である。4)2つ又はそれ以上の連続するRNA塩基を含有する基質に関しては、切断は、RNA連結間で、DNA−RNA−DNAキメラ中に起こり、単一のRNA塩基を含有する基質に関しては、切断は、DNA連結で、DNA−RNA−DNA中のRNA塩基のすぐ5’で起こり、並びに6)反応産物は3’−ヒドロキシル及び5’−ホスファートを有する。
ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の反応温度の最適化及び熱的安定性
本実施例及び全てのその後の研究について、使用される酵素の量は、以下の単位の定義に基づいて標準化した。
1ユニットは、4mMMg2+を含有する緩衝液pH8.0中、70℃で、1分当り単一のrC残基を含有するヘテロ二重鎖基質の1ナノモルの切断をもたらす酵素の量として定義される。
ユニット濃度を標準化する目的で、RNアーゼH2酵素調製物を性質決定するために、基質配列番号13を使用した。別段の記載がなければ、以下の標準化された緩衝液を使用した。「Mg切断緩衝液」:4mMMgCl、10mMTrispH8.0、50mMNaCl、10μg/mLBSA(ウシ血清アルブミン)及び300nMオリゴ−dT(20マーのポリ−dTオリゴヌクレオチド)。BSA及びオリゴ−dTは、プラスチック上の非特異的な結合部位を飽和させ、実施されるアッセイの定量的性質を向上させる役割を果たす。
精製された組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素を熱的安定性に関して研究した。酵素の分取試料を95℃で様々な時間にわたって温置し、次いで、基質配列番号13を含有する単一のrCを切断するために使用した。6000Ci/mmolγ−32P−ATP及び酵素T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Optikinase、USBiochemical)を用いて、基質のRNA鎖を32Pで放射性標識した。追跡標識を反応混合物に添加した(1:50)。Mg切断緩衝液中に酵素の100μユニット(μU)を有する100nM基質を用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。製造業者の画像解析ソフトウェアを用いて各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合として結果をプロットした。結果が図9に示されている。酵素は、95℃で30分間以上、完全な活性を保持した。45分の温置後に、活性は50%まで低下し、85分の温置後に10%まで低下した。
これらの結果は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素は十分に熱安定的であり、95℃での長期の温置を生き残るので、PCR反応中で典型的に使用される条件を生き残ることを示す。
次に、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素の活性の温度依存性を性質決定した。30℃から70℃の範囲で、40℃にわたって活性を研究した。rC基質配列番号13のRNA鎖を上述されているように放射性標識した。Mg切断緩衝液中に酵素の200μマイクロユニット(μU)を有する100nM基質を用いて、反応を行った。30℃、40℃、50℃、60℃又は70℃で10分間、反応を温置した。ホルムアミドゲル搭載緩衝液を含有する冷たいEDTAの添加によって、反応を停止させた。次いで、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。得られたゲルの画像が図10に示されている。製造業者の画像解析ソフトウェアを用いて各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合として結果をプロットした(図11参照)。酵素は、30℃で約0.1%の活性を示すに過ぎず、約50から60℃まで、評価可能な活性を達成しない。
従って、実用的な目的のために、酵素は室温で機能的に非活性である。従って、この酵素を使用する反応は、氷上に又は室温にさえ設定することができ、温度が上昇するまで、反応は進行しない。ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2切断がPCR反応に連結されれば、本明細書に示されている温度依存性の活性は、効果的に機能を発揮して、修飾されたDNAポリメラーゼの不存在下で「ホットスタート」反応フォーマットを与える。
RNアーゼH2による非標準的な塩基での切断
RNアーゼH1及びRNアーゼH2に対する天然の生物学的基質は、1つ又はそれ以上のRNA残基を含有する二重鎖DNA配列である。ヒドロキシル(RNA)以外の2’位に置換を含有する修飾された塩基がこれらの酵素に対する基質であることは観察されていない。以下の実施例は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素が修飾されたRNA含有基質に対して活性を有することを示す。
RNアーゼH2が切断のための部位として単一の非RNA2’修飾された塩基を認識することができるかどうかを決定するために、修飾された塩基を含有する以下の14−1−15基質を検査した。修飾は塩基の2’位上に位置し、鍵型核酸(LNA)、2’−O−メチル(2’OMe)及び2’−フルオロ(2’F)が含まれる。陽性対照として、単一のリボC含有基質を使用した。以降、LNA塩基は、接頭辞「+」(+N)で表記され、2’−OMe塩基は接頭辞「m」(mN)で示され、2’F塩基は接頭辞「f」(fN)で示され、2’−アミノ塩基は接頭辞「a」(aN)で示される。
リボ−C基質
配列番号13
Figure 2017104109
LNA−C基質
配列番号25
Figure 2017104109
2’OMe−C基質
配列番号26
Figure 2017104109
2’F−C基質
配列番号27
Figure 2017104109
組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素とともに、70℃で20分間、様々な緩衝液中、80μLの反応容積で、上記4つの基質を温置した。検査した緩衝液は、10mMMgCl、10mMCoCl又は10mMMnClの何れかとともに、50mMNaCl、10mMTris pH8.0を含んだ。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を添加し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。GelStarTM(Lonza, Rockland, ME)を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。結果が図12に示されている。単一のリボC残基を有する対照基質は100%切断した。単一のLNA−C又は単一の2’OMeーC残基を含有する基質は切断されなかった。しかしながら、単一の2’−F−C残基を含有する基質は僅かな程度で切断された。この切断は、マンガンを含有する緩衝液中でのみ起こり、コバルト又はマグネシウム緩衝液中では見られなかった。
2’−F−C−塩基での切断は予想外であった。以下の基質を用いて、2’−フルオロ塩基の切断をさらに調べた。
リボ−C基質
配列番号13
Figure 2017104109
2’F−C基質
配列番号27
Figure 2017104109
2’F−U基質
配列番号28
Figure 2017104109
2’F−C+2’FU(fCfU)基質
配列番号29
Figure 2017104109
組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素又は組換えピロコッカス・フリオサスRNアーゼH2酵素の何れかを用いて、70℃で20分間、50mMNaCl、10mMTrispH8.0及び10mMMnClを含有する緩衝液中、80μLの反応容量で、上記4つの基質を温置した。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を停止し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。GelStarTM(Lonza, Rockland, ME)を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。結果が図13に示されている。単一のリボC残基を有する対照基質は100%切断した。単一の2’−F−C又は単一の2’−F−U残基を含有する基質は僅かな程度で切断された。隣接する2’−F−C及び2’−F−U残基を含有するジフルオロ基質(fCfU)は、ほぼ100%切断された。さらに、ピロコッカス・アビッシイ及びピロコッカス・フリオサスRNアーゼH2酵素は何れも、同じ様式で、修飾された基質を切断した。この実施例は、fC基の予想外の切断がfCに限定されず、fUを用いても起こることを示す。さらに重要なことに、2つの連続する2’−フルオロ修飾された塩基の組み合わせは、RNアーゼH2に対するずっと優れた基質であった。この新しい切断特性は、ピー・アビッシイ及びピー・フリオサスの両方に対して見られた。このような非典型的な基質の切断は、全ての古細菌のRNアーゼH2酵素に共通な特性であり得る。
実施例3で記載されている方法を使用して、質量分析法を用いて、ジフルオロfCfU基質の切断産物の正体を研究した。伝統的なリボヌクレオチド基質を用いると、RNアーゼH酵素による切断は、3’−OH及び5’−ホスファートを有する産物をもたらす。組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素による消化の前及び後の両方に、ESI−MSによってfCfU基質(配列番号29)を調べた。観察された質量と一致する核酸種の同定とともに、観察された主な質量が表9に報告されている。
Figure 2017104109
同定された主要な種が示されている。DNA塩基は大文字で示されており、2’−F塩基はfC又はfUとして示されており、ホスファート=「P」。分子量は、最も近いダルトンに四捨五入した。他の表記が存在しない場合、核酸鎖は5’−ヒドロキシル又は3’−ヒドロキシルで終わる。
質量分析法のデータは、RNアーゼH2によって上で研究されたジフルオロ基質(fCfU二重鎖など)の消化が2つのフルオロ塩基間に切断をもたらすことを示唆する。さらに、反応産物は3’−ヒドロキシル及び5’−ホスファートを含有し、RNA含有基質の消化からもたらされる産物と類似する。
修飾された塩基の切断は、二価の陽イオンの不存在下で観察されなかった。滴定を実施し、0.25から10mMMnClと0.25から1.5mMCoCl間で、酵素活性を観察した。MnClとCoClの両方に関して、酵素活性は、0.5mMから1mMの範囲で最適であった。以降、反応において、0.6mMMnClと0.5mMCoClを使用した。Mg緩衝液を用いると、修飾された基質の切断に対する低下した活性が観察された。総じて、ジフルオロ(fNfN)基質の切断に関して、Mn緩衝液を用いて最適な活性が観察されたのに対して、Mg緩衝液はリボヌクレオチド(rN)基質の切断に関して優れていた。
単一又は二重の2’−F塩基でのRNアーゼH2酵素の切断能は予想外であった。次に、この実施例に上述されている同じ方法を用いて、さらに多様な修飾された基質を切断する能力に関して、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素を検査した。上述されているように、基質の修飾された鎖を放射線標識した。100nM基質及びMn切断緩衝液(10mMTrispH8.0、50mMNaCl、0.6mMMnCl、10μg/mlBSA)中の組換え酵素480から1000mUを用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。製造業者の画像解析ソフトウェアを用いて各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合としてプロットされた結果が表10に示されている。
Figure 2017104109
上記結果から、多くの異なる2’−修飾が、これまでに理解されなかったRNアーゼH2酵素によって切断され得ることが明らかである。2’−修飾された基質のうち、ジフルオロ化合物(2つの連続する2’−フルオロ塩基を有する化合物)が最も高い活性を示した。3又は4つの連続する2’−フルオロ塩基を有する幾つかの基質など、さらなる基質を検査した。2残基以上2’−フルオロ含量を増加させると、活性の増加は見られなかった。
酵素のより少量を用いて、実験の類似の系列を行った。以下の実験は、以前に使用された480mUに代えて組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の148μUを用い(3000倍少ない酵素)、緩衝液が二価の陽イオンの混合物(3mMMgCl+0.6mMMnCl)を含有することを除き、同じプロトコールを用いて行った。これらの条件下で、単一のリボヌクレオチド残基を含有する基質は完全に切断されないのに、修飾された基質は完全には切断されなかった。結果が表11に示されている。2’修飾された塩基の切断より、RNA塩基を含有する基質の切断において、RNアーゼH2はより活性が高い。
Figure 2017104109
従って、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2は、RNA塩基を一切含有していないが、代わりに、2’修飾された塩基を含有する基質を切断するために使用することができる。研究された化合物のうち、ジフルオロ(fNfN)含有基質が、最高の成績を示した。修飾された基質の使用は、酵素の増加した量を一般に必要とするが、この酵素は触媒的に極めて強力であり、ジフルオロ基質の100%切断を達成するのに十分な酵素を使用することに困難は生じない。
この実施例に記載されている2’修飾された基質は、典型的なRNアーゼ酵素による切断に対して感受性を有さない。従って、それらは、他のRNAアーゼ酵素(特に、一本鎖リボヌクレアーゼ)による切断に対して完全に耐性を示す基質を使用して、RNアーゼH2によって切断現象が媒介される新規アッセイフォーマット中で使用することができる。
ジフルオロfNfN基質の切断に対する塩基の選好性
以下の実施例は、16の可能な2’−フルオロジヌクレオチド全てがRNアーゼH2によって切断され得ることを示す。異なる塩基選好性が観察される。
表12に示されているように、以下の16の基質を合成し、組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素を用いて、切断の効率性に関して検査した。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
上述されているように、各基質の修飾された鎖を放射線標識した。Mn切断緩衝液(10mMTrispH8.0、50mMNaCl、0.6mMMnCl、10μg/mLBSA)中の組換え酵素25mUとともに100nM基質を用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合としてプロットされた結果が図14に示されている。より活性が低い基質に対して相対的な切断効率の正確な評価を行えるように、過剰な酵素が存在することなしに、最も活性が高い基質が90から95%で切断されるような酵素量を滴定した。
16のジヌクレオチドfNfN対の全てがRNアーゼH2によって切断されたが、明瞭な基質選好性が観察された。一般に、配列fNfUを有する基質の成績がより悪く、ジヌクレオチド対の3’位にfU塩基を配置することは好ましくないことを示唆している。最も活性が低い基質はfUfUであり、これは、fAfC又はfAfG基質の90%超の切断をもたらした条件下で、10%の切断を示した。
酵素のより多量を使用すると、基質間の切断効率の相対的な差は小さく、ここで研究した全ての基質に対して、100%の切断を容易に達成することができる。
rN及びfNfN基質の切断に対する3’及び5’塩基長の最適化
以下の実施例は、プライマー又はプローブ配列の3’及び5’末端に対する切断可能ドメインの配置の最適化を示す。前実施例において、基質は全て、切断可能ドメインに隣接する5’及び3’側の両方に14又は15のDNA塩基を有していた。切断可能なプローブ及びプライマーの設計において使用するために、Tm(ハイブリッド形成温度)を調節するために又は反応を開始する特異性を改善するために、これらの隣接する配列を可能な限り短くすることが時に有益であり得る。従って、効率的な酵素切断を得るために必要とされる二重鎖の最小の長さを確定することが重要である。
この実験では、単一のrC切断可能塩基、リボヌクレオチドにの5’に隣接する25DNA塩基の固定されたドメイン及び3’側の塩基の変動する数を有する、表13に示されている合成基質二重鎖を作製した。
Figure 2017104109
上述されているように、各基質の修飾された鎖を放射線標識した。Mg切断緩衝液(10mMTrispH8.0、50mMNaCl、4mMMgCl、10μg/mlBSA)中の組換え酵素100μUとともに100nM基質を用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合としてプロットされた結果が図15に示されている。最大の切断は、リボヌクレオチドの3’側に隣接する4から5個のDNA塩基で起こった。
次の実験では、リボヌクレオチドの3’側に隣接する25塩基対の固定されたドメイン及び5’側の2から14個の塩基対とともに、単一のrU切断可能塩基を有する、表14に示されている合成基質二重鎖を作製した。長い核酸試料へのハイブリッド形成をシミュレートするために、最小5つの対形成されない塩基(ダングリング末端)を修飾されていない相補物上に残した。
Figure 2017104109
前述されているように、各基質の修飾された鎖を放射線標識した。Mg及びMn陽イオンをともに含有する混合された緩衝液(10mMTrispH8.0、50mMNaCl、0.6mMMnCl、3mMMgCl、10μg/mLBSA)中の組換え酵素123μUとともに100nM基質を用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合としてプロットされた結果が図16に示されている。短い基質では、切断は殆ど見られなかった。5’側にrU塩基が隣接する二重鎖の約10から12塩基で最大の切断が得られるまで、5’−DNAドメインの長さとともに、活性が増加した。
ジフルオロ(fNfN)基質の切断のために必要とされる3’−DNAの最適な長さを決定するために、類似の実験を行った。表15に示されている二重鎖を合成し、fUfCジフルオロ基質の3’末端に必要とされるDNA塩基の長さを機能的に確定するために検査した。5’末端に、22塩基対の固定されたドメインを配置し、3’ドメインは2から14塩基まで変動させた。
Figure 2017104109
上述されているように、各基質の修飾された鎖を放射線標識した。Mg及びMn陽イオンをともに含有する混合された緩衝液(10mMTrispH8.0、50mMNaCl、0.6mMMnCl、3mMMgCl、10μg/mLBSA)中の組換え酵素37mUとともに100nM基質を用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合としてプロットされた結果が図17に示されている。切断可能ドメインの3’側に2つのDNA塩基を有する基質では、切断は全く見られなかった。4つのDNA塩基を用いると、切断は見られ、8から10個のDNA塩基がfUfC切断ドメインの3’側に存在するときに最大の切断が得られるまで着実に増加した。興味深いことに、切断ドメインの3’側のDNA塩基の最適な長さは、単一のリボヌクレオチド基質(4から5塩基)と比べて、ジフルオロ基質(8から10塩基)においてより長かった。
要約すると、リボヌクレオチド含有基質に関して、3’側に少なくとも4から5個のDNA残基が配置されており、及び切断可能ドメインの5’側に10から12のDNA残基が配置されているときに、最大の切断活性が見られる。ジフルオロ基質に関しては、切断可能ドメインの3’側に少なくとも8から10個のDNA残基が配置されているときに、最大の切断活性が見られ、前実施例から、14から15のDNA残基が切断可能ドメインの5’側に配置されているときに活性が高いことが明らかである。
DNAプライマーへの応用:プライマー伸長アッセイフォーマット及びDNA配列決定への使用可能性
上記実施例は、熱安定的なRNアーゼH2酵素が、単一の内側リボヌクレオチド又は2’−フルオロジヌクレオチドにおいて、二重鎖核酸を切断する能力を性質決定した。実施例7は、この切断反応における効果的な基質である短いオリゴヌクレオチドを設計するためのパラメータを確立する。DNA配列決定又はPCRなどのプライマー伸長アッセイにおいて機能する切断可能プライマーを作製するために、これらの特徴を組み合わせることができる。一本鎖オリゴヌクレオチドは切断反応のための基質ではなく、従って、修飾されたオリゴヌクレオチドプライマーは、標的配列にハイブリッド形成するまで、機能的に「不活性」である。その他には修飾されていないオリゴヌクレオチド中に切断可能ドメインが取り込まれると、このオリゴヌクレオチドはPCRを開始するように機能し、最終PCR産物からプライマードメインの手ごろな大きさの一部が切断され得る最終産物をもたらし、反応の無効化がもたらされる(反応開始部位を欠如し、産物は、もはや元のプライマーの組みを使用するPCRに対するテンプレートではない。)。3’末端でブロックされた切断可能ドメインがオリゴヌクレオチド中に取り込まれると、切断が起こるまで、このプライマーはPCR中で活性を示さない。切断は、ブロックされたプライマーを「活性化する」。従って、切断現象の前にはDNA合成は全く起こりえないので、このフォーマットは、PCR反応に「ホットスタート」を付与することができる。実施例4は、高温が達成されるまで、この切断現象がピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2において極めて非効率的であることを示した。さらに、切断反応とプライマー伸長は、プライマーがテンプレートにハイブリッド形成するときに形成される二重鎖の酵素的認識を必要とするので、両工程の連結はアッセイにさらなる特異性を付与する。この反応の模式図が図18に示されている。この模式図は、単純なプライマー伸長反応とPCRの両方に適用されることに注目されたい。この模式図は、単純なプライマー伸長反応及びPCRの両方に当てはまる。連結反応などの酵素的アッセイの他の種類においても、活用することができる。
以下の実施例は、DNA配列決定のためのRNアーゼH2切断可能プライマーの使用を示す。今日使用されているDNA配列決定の最も一般的な方法は、ジデオキシ終結物質ヌクレオチドの存在下で行われる連続的DNA合成反応(プライマー伸長反応)を伴う。反応は、プライマー伸長の複数サイクルが実施され、産物が線形様式で蓄積するサーマルサイクリングフォーマットで行われる。
DNA配列決定は、Big DyeTMTerminator V3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems, Foster City, CA)を用いて行った。以下のプライマーを使用した。
M13(−27)
配列番号84
5’−CAGGAAACAGCTATGAC−3’
M13(−27)−rC
配列番号85
5’−CAGGAAACAGCTATGACcATGA−SpC3−3’
前述のように、DNA塩基は大文字で示され、RNA塩基は小文字で示され、SpC3はオリゴヌクレオチドの3’末端に配置されたスペーサーC3ブロッキング基である。ブロックされた切断可能プライマーは、リボヌクレオチドの5’側に17のDNA塩基及びリボヌクレオチドの3’側に4つのDNA塩基を含有するので(17−1−4デザイン)、実施例7で確立された最適化デザイン規則に合致する。
0.75×ABI反応緩衝液、160nMプライマー、0.5×BigDyeTerminators及び230ngプラスミドDNAテンプレートを含む20μLの容量で、配列決定反応物を設定した。場合によって、組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の14、1.4又は0.14mUとともに又はなしに、4mMのさらなるMgClを反応中に補充した。以下のサイクル配列決定プログラムを使用した。96℃30秒間、その後、[96℃5秒間、50℃10秒間、55℃4分間]の25サイクル。DNA配列決定反応を、Applied Biosystems model 3130x1 Genetic Analyzer上で実施した。得られた配列決定の軌跡を品質及び読み取り長さに関して調べた。結果が下表16に要約されている。
Figure 2017104109
修飾されていないプライマーを使用する対照反応は、800塩基を僅かに超える使用可能な読み取り長を有する高品質のDNA配列軌跡をもたらした。これらの反応へのRNアーゼH2酵素の添加は、反応の品質を損なわなかった。製造業者(Applied Biosystems)は、配列決定キットに提供されている緩衝液の陽イオン含量を開示していないので、実際の反応条件は不明確である。さらに4mMMgClの反応への補充は、全く効果を有していなかった。rCによってブロックされた切断可能なプライマーは、RNアーゼH2の添加なしに、DNA配列決定を補助しなかった。RNアーゼH2を添加すると、20μLの反応中に酵素14mUを用いて、高品質の配列決定反応が得られた。より少量の酵素の使用は、より低品質の反応をもたらし、又は機能的な反応を全くもたらさなかった。ブロックされたプライマーを用いて切断及びプライマー伸長反応を得るために、反応緩衝液のマグネシウム含有物を補充することが必要であった。ここで使用した酵素の量は、最適な条件下(70℃、20分の温置)で、rN基質の100%切断を達成するために必要とされる量より100倍高い。本明細書において行われたサイクル配列決定反応では、それぞれ、プライマーの徐冷は50℃で実行され、伸長反応は、4分10秒間、55℃で実行された。これらのより低い温度は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2に対して最適ではない(上記実施例4参照)。より高い温度でサイクル配列決定反応を実施することは、より少ない酵素を要求するが、必要ではない。
この実施例は、RNアーゼH2のための内部切断部位を含有するブロックされたプライマーは、ジデオキシ(Sanger)配列決定などのプライマー伸長を基礎とする配列決定法とともに使用することができ、既存の高処理量蛍光性配列決定プロトコールの使用と適合性があることを示す。本発明のブロックされたプライマー及び方法の使用は、配列決定反応にさらなる特異性を付与することができるので、より多くのサイクルに対して及び修飾されていないプライマーでは良好に機能しない極めて複雑な核酸試料に対して配列決定を実施することが可能となる。
DNAプライマーへの応用:PCR及び定量的リアルタイムPCRにおけるrNプライマー
実施例8は、ブロックされたプライマーを切断するためにRNアーゼH2を使用できること、及びこの系をDNA合成及びプライマー伸長反応(DNA配列決定など)に組み合わせることができることを示した。以下の実施例は、PCRでのこの方法の有用性を示す。第一の系は終点PCRフォーマットでの使用を示し、第二の系は定量的リアルタイムPCRフォーマットでの使用を示す。
合成的終点PCRアッセイで使用するために、表17に示されているプライマーを作製した。Syn−For及びSyn−Revプライマーは、人工的なアンプリコン(合成オリゴヌクレオチドテンプレート)に対して特異的な修飾されていない対照プライマーである。Syn−Forプライマーは、修飾されていない対照Syn−Revプライマー又は様々な修飾されたSyn−Revプライマーと対合した。単一のrU(切断可能)塩基の後に2から6のDNA塩基を含有する修飾されたSyn−Revプライマーの組み(全て、ジデオキシC残基(ddC)で終わる。)を作製した。ddC残基は、プライマーの機能を妨げるブロッキング基として機能する。RNアーゼH2の作用によるrU塩基でのプライマーの切断を用いて、ddCブロッキング基を除去する(図18に示されているブロッキング除去工程)。合成テンプレートは、以下に示されている103塩基長のオリゴヌクレオチド(配列番号93)である。プライマー結合部位には、下線が付されている。
Figure 2017104109
合成テンプレート
配列番号93
Figure 2017104109
200nMプライマー、2ngテンプレート、各dNTPの200μM(合計800μM)、Immolase(熱安定的なDNAポリメラーゼ、Bioline)の1ユニット、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて、20μL容量でPCR反応を行った。ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の100μUあり又はなしで、反応を実行した。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の35サイクルが続いた。10%非変性ポリアクリルアミドゲル上で反応産物を分離し、GelStar染色を用いて可視化した。結果が図19に示されている。修飾されていない対照プライマーは、正しいサイズの強力なバンドを産生した。3’末端がブロックされたrUプライマーは、RNアーゼH2の不存在下で産物を一切産生しなかった。RNアーゼH2の存在下で、D4、D5及びD6プライマーを用いると、ブロックされたプライマーは正しいサイズの強力なバンドを産生した。D2又はD3プライマーを用いると、シグナルは見られなかった。この実施例は、本発明の方法を使用するPCR反応において、ブロックされたプライマーを使用できることを示す。さらに、本実施例は、実施例7において予め形成された二重鎖基質の切断を用いて得られた結果(4から5個の3’−DNAの存在が、rN含有プライマーの切断に関して最適であることが見出された。)と合致する。
次に、SYBR(R)Green検出を使用する定量的リアルタイムPCRアッセイにおいて、上記同じ合成的PCRアンプリコンアッセイ系を検査した。Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、反応を行った。反応は、10μLの容量に、1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix (BIO−RAD, Hercules, CA)、各プライマーの200nM(for+rev)、合成テンプレートオリゴヌクレオチド(配列93)の2×10コピー及びピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の5mUを含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃20秒間+72℃30秒間]の45サイクルを実施した。全ての反応は3つ組みで実行し、反応は同じ修飾されていないForプライマー(配列番号86)を使用した。修飾されていないプライマーと2から6D修飾されたプライマー(配列番号87から92)の間で、Revプライマーは変動した。これらの実験におけるCp値(陽性反応が最初に検出されるPCRサイクル数)が、下表18に示されている。修飾されていないFor+Revプライマーを用いて行われた対照反応及びRNアーゼH2の存在下で、D4、D5又はD6ブロックされたプライマーを用いて行われた、連結された切断CPR反応に対して、Cpは実質的に同一であった。RNアーゼH2の不存在下では、ブロックされたプライマーを用いて、陽性シグナルは検出されなかった。終点アッセイにおいて見られたように、より短い3’−DNAドメインを有するプライマー(D2又はD3)に対して、性能は低下した。
Figure 2017104109
以下の実施例は、内在性ヒト遺伝子標的及びHeLa細胞cDNAをテンプレートとして使用する定量的リアルタイムPCRアッセイフォーマットにおいて、rNブロックされたプライマー(For及びRevの両方)を用いるRNアーゼH2切断の使用を示す。ヒトHRAS遺伝子(NM 176795)に対して特異的な表19に示されているプライマーを設計し、合成した。この事例では、ブロッキング基としてC3スペーサーを使用した。
Figure 2017104109
これらのプライマーは、以下に示されているように、HRAS遺伝子内の340塩基対アンプリコンを規定する。プライマー結合部位には、下線が付されている。
HRASアッセイアンプリコン
配列番号98
Figure 2017104109
Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、10μLの容量で反応を行った。反応物は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の5mUあり又はなしで、25U/mLでiTAQDNAポリメラーゼを使用する1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、3mMMgCl、各プライマー200nM(for+rev)、cDNA2ng(HeLa細胞の全RNAから作製)を含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃20秒間+72℃30秒間]の50サイクルを実施した。全ての反応は、3つ組みで行った。修飾されていないプライマーを用いると、クロシング点(Cp)はサイクル27に生じた。RNアーゼH2の不存在下において、ブロックされたプライマーを用いて行った反応はPCRを支持せず、50サイクルの反応の間に、蛍光シグナルは検出されなかった。RNアーゼH2の存在下で、ブロックされたプライマーを用いて行われた反応はサイクル27.4で検出可能なシグナルを生成し、ブロックされていない対照プライマーと実質的に同じであった。リアルタイムPCR蛍光プロットが図20に示されている。
以下の実施例は、別の内在性ヒト遺伝子標的及びHeLa細胞cDNAをテンプレートとして使用する定量的リアルタイムPCRアッセイフォーマットにおいて、rNブロックされたプライマーを用いるRNアーゼH2切断の使用を示す。ヒトETS2遺伝子(NM 005239)に対して特異的な表20に示されているプライマーを設計し、合成した。
Figure 2017104109
これらのプライマーは、以下に示されているように、ETS2遺伝子内の184塩基対のアンプリコンを規定する。プライマー結合部位には、下線が付されている。
ETS2アッセイアンプリコン
配列番号103
Figure 2017104109
Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、10μLの容量で反応を行った。反応物は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の5mUあり又はなしで、25U/mLでiTAQDNAポリメラーゼを使用する1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、3mMMgCl、各プライマー200nM(for+rev)、cDNA2ng(HeLa細胞の全RNAから作製)を含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃20秒間+72℃30秒間]の50サイクルを実施した。全ての反応は、3つ組みで行った。ブロックされていないプライマーを用いると、Cpはサイクル25.7に生じた。RNアーゼH2の不存在下において、ブロックされたプライマーを用いて行った反応はPCRを支持せず、50サイクルまで、蛍光シグナルは検出されなかった。RNアーゼH2の存在下で、ブロックされたプライマーを用いて行われた反応はサイクル31.7(修飾されていない対照プライマーから6サイクル遅延)で検出可能なシグナルを生成した。1つのブロックされたプライマー(修飾されていないFor又はブロックされたRev又はブロックされたFor又は修飾されていないRev)を用いて行われた反応は、中間のC値を示した。リアルタイムPCR蛍光プロットが図21に示されている。
本反応条件を用いて、修飾されていないプライマー対ブロックされたプライマーを用いて、HRASアッセイを同じように行った。しかしながら、修飾されていないプライマー対ブロックされたプライマーの間で、ETS2アッセイは遅延を示した。迅速な熱的サイクリングが行われるPCR反応の設定では、プライマーハイブリッド形成及び切断速度論は、ブロックされたプライマーを使用する反応に関する反応全体の効率において重要な役割を果たす。DNA合成をブロッキング除去現象に連結し、ブロッキング除去には、プライマーが活性化された状態になり、DNA合成を開始できる前に、ハイブリッド形成、RNアーゼH2の結合及び基質の切断が必要である。存在するRNアーゼH2の量を増加させることによって又は反応の徐冷時間を増加させることによって、各サイクルに産生される切断されたプライマーの量を増加させることができるはずである。DNA合成は、ほぼ徐冷温度(60℃)で及び上記実施例において使用された伸長温度(72℃)で起こる。しかしながら、徐冷工程の間にのみRNアーゼH2に対する二本鎖基質を形成することが可能であり、72℃(プライマーは一本鎖形態のみで存在する。)では形成できない使用されるプライマーのTのために、ブロッキング除去は徐冷工程(60℃)の継続中にのみ起こり、伸長工程(72℃)の間には起こらない。
これらの反応パラメータを変更することによって、ブロックされたETS2プライマーが修飾されていない対照プライマーと類似の効率で機能できるかどうかを調べるために、60℃で行われる単一の現象として徐冷/伸長を有する2工程反応にPCRサイクルパラメータを変更し、徐冷/伸長工程の期間を変化させた。Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、10μLの容量で反応を行った。反応物は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の5mUあり又はなしで、25U/mLでiTAQDNAポリメラーゼを使用する1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、3mMMgCl、各プライマー200nM(for+rev)、cDNA2ng(HeLa細胞の全RNAから作製)を含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃20から120秒間]の45サイクルを実施した。全ての反応は、3つ組みで行った。ブロックされたプライマーと修飾されていない対照プライマーに対して得られたC値間の差(デルタC)が、下表21に要約されている。
Figure 2017104109
サイクルパラメータの微少な調整及び60℃の徐冷工程の期間の20秒から1ないし2分への増加によって、ブロックされた切断可能なプライマーと修飾されていない対照プライマーの間で均一な性能がもたらされた。サイクルパラメータを一定に保ち、酵素を増加させながら、類似の実験を行った。予想通り、酵素のより多い量を用いて、ブロックされたプライマーの性能を向上させることができた。60℃での30秒の徐冷工程を使用すると、使用する酵素の量を10mURNアーゼHまで倍増させることによって、ブロックされていない対照とブロックされた切断可能なプライマーとの間に最小の差がもたらされた。
上記実施例は、定量的リアルタイムPCRアッセイにおいて、実施例7に教示されている最適化された設計の単一リボヌクレオチド残基を含有するブロックされたプライマーをRNアーゼH2とともに使用できることを示す。
DNAプライマーへの応用:PCR及び定量的リアルタイムPCRにおけるfNfNプライマー
上記実施例9は、終点及び定量的リアルタイムPCRアッセイにおいてrNブロックされたプライマーを使用するためのRNアーゼH2媒介性切断の有用性を示した。本実施例は、定量的リアルタイムPCRアッセイにおいてfNfNブロックされたプライマーを使用する有用性を示す。
RNアーゼH2によるジフルオロ基質の切断は3’−OH末端を有する種をもたらすので、単一の2’−F塩基(fN)を有するプライマーがDNA合成を開始することができると仮定すると、この産物も実施例9に記載されているのと同じ反応フォーマットを使用するPCR反応を支持することができるはずである。ジフルオロ基質の切断は、マンガン陽イオンの存在下で最も良好に進行するのに対して、PCR反応は、マグネシウム陽イオンの存在下で一般に行われる。3mMMgClを含有する標準的なqPCR緩衝液及び3mMMgCl+0.6mMMgClを含有する修飾された緩衝液を用いて、修飾されていないプライマーを使用するPCR反応を検査した。反応性能は同一であり、マンガンのこの少量の存在は反応の定量的な性質に悪影響を及ぼさなかった。
実施例9に記載されている合成PCRアンプリコン系を用いて、末端3’−fNプライマーがPCR中で機能する能力を調べた。表22に示されている以下のプライマーを検査した。
Figure 2017104109
合成テンプレート
配列番号93
Figure 2017104109
Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、10μLの容量で反応を行った。反応物は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.75Uあり又はなしで、25U/mLでiTAQDNAポリメラーゼを使用する1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、3mMMgCl、0.6mMMnCl、各プライマー200nM(for+rev)、合成オリゴヌクレオチド標的の2×10コピーを含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃120秒間+72℃120秒間]の30サイクルを実施した。全ての反応は、3つ組みで行った。結果が図22に示されている。RNアーゼH2の不存在下で、3’末端に2’−F塩基を有するプライマーは、修飾されていないプライマーと比べて同一の効率で、PCRを支持した。しかしながら、RNアーゼH2の存在下では、2’−F修飾されたプライマーは修飾されていないプライマーと比べて、3.5Cpの遅れを示した。これは、RNアーゼH2によるDNA合成の阻害から生じるのではなく、RNアーゼH2による増幅産物からのプライマーの切断の低いレベルから生じる。DNA合成後、新たに形成されたDNA産物中にfN含有プライマーを取り込むことによって、RNアーゼH2に対する潜在的基質が作出される(上記実施例5参照)。2’−F塩基での切断はアンプリコンのこの鎖からの反応開始部位を除去し、そこから作製される一切の産物がさらなる反応開始現象を行うことができないように、この産物を効果的に無効化する。多項目式増幅で起こるのはこの反応系列である。しかしながら、単一の2’−F残基を含有する基質の切断は相対的に非効率なので、PCR反応効率の穏やかな減少が見られるに過ぎない。PCRに続く72℃での伸長温置は、増幅産物からのプライマーの完全な切断をもたらし、さらなる増幅が起こる能力を完全に遮断し、これにより、産物を無効化するはずである。これは、PCR反応の交叉きょう雑の抑制において有用なはずである。
単一の2’−F残基の切断が非効率であることに鑑みれば、酵素のより少量を使用すること又は72℃の伸長工程を削除することによって、単一の2’−フルオロ残基を含有するプライマー伸長反応産物を著しく切断せずに、RNアーゼH2によるジフルオロブロックされたプライマーを切断することが可能となる。あるいは、末端の2’−F残基及び隣接するDNA塩基間でのホスホロチオアート修飾の選択的な配置によって、この切断現象をブロックすることが可能なはずである。
ジフルオロブロックされたプライマーがqPCRを支持する能力は、上記実施例9に記載されている合成オリゴヌクレオチドアンプリコン系において、表23に示されているプライマーを用いて示された。
Figure 2017104109
合成テンプレート
配列番号93
Figure 2017104109
Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、10μLの容量で反応を行った。反応物は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.75Uあり又はなしで、25U/mLでiTAQDNAポリメラーゼを使用する1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、3mMMgCl、0.6mMMnCl、各プライマー200nM(for+rev)、合成オリゴヌクレオチド標的の2×10コピーを含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃120秒間+72℃120秒間]の45サイクルを実施した。全ての反応は、3つ組みで行った。3’末端に単一の2’−フルオロ塩基を有する対照プライマー(fNfNブロックされたプライマーの切断産物を模倣する。)を用いて行った反応は、20のCpを有していた。ブロックされたfUfCプライマーを用いて行った反応も、20のCpを有していた。
次に、ジフルオロプライマー切断アッセイにおいて必要とされるRNアーゼH2酵素の量をより詳しく研究した。Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、10μLの容量で反応を行った。反応物は、25U/mLでiTAQDNAポリメラーゼを使用する1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、3mMMgCl、0.6mMMnCl、各プライマー200nM(for+rev)、合成オリゴヌクレオチド標的の2×10コピーを含んだ。全ての反応において、同じ修飾されていないSyn−Forプライマーを使用した。反応当り0から600mUの組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2を添加した。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃120秒間+72℃120秒間]の45サイクルを実施した。全ての反応は、3つ組みで行った。各プライマーに対するRNアーゼH2の変動する量に対応するC値が表24に示されている。
Figure 2017104109
RNアーゼH2の最適量は200mUである(C=21.3が太字及び下線で示されている。)。RNアーゼH2の濃度が高くなるほど、PCR反応の効率は低くなり、同じ程度で、3’フルオロUプライマー及びブロックされたジフルオロプライマーはともに、類似の程度であった。おそらく、これは、上述されているように、PCR産物内のfUの組みでの切断のレベルが低いことによるものである。
一般に、RNアーゼH2切断ドメインが2つの連続する2’−フルオロヌクレオシドであるブロックされたプライマーを用いる結合されたRNアーゼH2−PCRに対して、10μL当りピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の約200mUが最適な酵素濃度である。2と6サイクルの間の、標準的な修飾されていないDNAプライマーと比べたCpの増加が通例観察される。結果はCp対未知の試料を検査するために使用したものと同じプライマーを用いて生じた標的コピー数の標準曲線と常に比較されるので、この小さな差はアッセイ性能に対して影響を及ぼさない。
結論として、本実施例は、ブロックされたfNfNプライマーは本発明の方法とともにRNアーゼH2切断を使用するqPCR反応を支持できることを示し、使用するRNアーゼH2の最適な量及びサイクリング条件を確定する。
PCR反応中でrNブロックされたプライマーを使用する改善された特異性。
理論的には、PCRはほぼ無限の増幅能を有しており、PCR反応は反応混合物中の試薬の消費によってのみ制約を受けるはずである。実際に実施する際には、特異性の保持を助けるために、PCR反応は通例40から45サイクルに限定される。PCRの増幅能は莫大であり、サイクル数が40から45を超えるにつれて、誤った反応開始現象が所望されない産物の増幅及び偽陽性シグナルを生じさせることが益々一般的になる。本実施例は、切断可能なブロックされたプライマーを本発明の方法とともに使用することが、どのようにして反応特異性を改善し、多数のPCRサイクルの使用を可能にし、これにより、PCRの潜在的な感度を増加させるかを示す。
本実施例において、本発明者らは、3つのヒト遺伝子に対して特異的なPCR反応を調べ、ヒト及びラットcDNAをテンプレートとして使用する増幅において、プライマー対の各組みの特異性を比較した。伝統的な修飾されていないオリゴヌクレオチドを本発明の新しい切断可能なブロックされたプライマーと比較した。表25に示されている以下のプライマーを使用した。DNA塩基は大文字で、RNA塩基は小文字で示されており、使用された3’−ブロッキング基はC3スペーサー(SpC3)であった。調べた遺伝子標的は、ヒトETS2、NM 005239(ラット相同体NM 001107107)、ヒトHRAS、NM 176795(ラット相同体NM 001061671)及びヒトACACA、NM 198834(ラット相同体NM 022193)であった。
Figure 2017104109
Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、PCR反応を行った。反応物は、10μLの容量に、1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、各プライマー200nM(for+rev)及びピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3mUを含んだ。テンプレートDNAは、ヒトHeLa細胞cDNAの2ng及びラット脊髄cDNAの何れかであった。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃90秒間]の60サイクルを実施した。これらの条件下で、ヒトcDNAに対して観察されるCp値は真の陽性現象に相当する。ラットcDNAを用いて何らかのシグナルが検出されれば、偽陽性現象として記録された。これらの3つの遺伝子に対して、ヒト及びラット配列は、プライマー結合部位において多様である。従って、ヒト遺伝子特異的プライマーを用いたラットcDNA中のPCR産物の検出は誤った反応開始から生じる望ましくない偽陽性の結果である。結果が下表26に示されている。
Figure 2017104109
修飾されていないプライマーを用いて、ヒトcDNA中のヒト標的が首尾よく検出され、23から26のCが観察された。3つのPCRアッセイの全てで、サイクルを継続すると、ヒト遺伝子特異的なプライマーはラットcDNA中の産物も検出し、35から56のCが観察された。これらは、PCRアッセイが真の陽性シグナルの低いレベルを検出する能力を制限する望ましくない偽陽性シグナルに相当する。
修飾されたプライマーを用いて、ヒトcDNA中の望ましい産物が首尾よく検出され、Cは全て、修飾されていないプライマーに対して得られた値の1以内であった。しかしながら、修飾されたプライマーとともにラットcDNAを用いると、60サイクルでさえ、偽陽性シグナルが見られなかった。RNアーゼH2ブロックされた切断可能なプライマーの使用は改善された特異性をもたらし、偽反応開始現象の検出なしに、より長く、より感度の高いPCR反応(本事例では、最大60サイクル)を使用することを可能にする。これにより、野性型配列のさらに大過剰の存在下にあるバリアント対立遺伝子を検出する能力がずっと大きくなる。
定常状態条件下でのrC基質に対するミスマッチの識別
実施例11は、本発明の方法が、バックグラウンドの誤った反応開始現象に直面するqPCR反応の特異性を改善できることを示した。本実施例は、一塩基の差(SNP)に関するRNアーゼH2切断反応の特異性を示す。単一のrC塩基を含有する二重鎖基質中の塩基ミスマッチを区別するピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素の能力を、定常状態条件下で検査した。以下の基質は32P末端標識され、上記実施例4に記載されているように、「Mg切断緩衝液」中で温置した。反応は、20μLの容量中に、酵素の100μUとともに100nM基質を含み、70℃で20分間温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTMStorage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合として結果をプロットした。
完全なマッチ(rC:G、配列番号13並びにrC塩基での(3つの二重鎖、配列番号118から120)、rCに対して+1の位置での(3つの二重鎖、配列番号121から123)及びrCに対してー1の位置での(3つの二重鎖、配列番号124から126)での各可能な塩基ミスマッチを含む10の二重鎖を調べた。完全なマッチ=100%に対して結果を標準化し、下表27に示されている。
Figure 2017104109
ピロコッカスRNアーゼH2は、これらの条件下で、単一塩基のミスマッチを識別することができた。識別の正確な程度は、ミスマッチ中で何れの塩基が対合されているかに応じて変動した。興味深いことに、−1でのミスマッチ(rC塩基に対して5’の1つの塩基)は相対的に優れたミスマッチの識別を示したのに対して、+1でのミスマッチ(rC塩基に対して3’の1つの塩基)は一般に効果がより低かった。選択性は相対的に大きくないように見受けられるが、PCRの反復されたサイクルとともに、選択性は大幅に増幅される。
熱的サイクリングの間のrN基質に対するミスマッチ識別
ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素は、定常条件下で、rC基質に対する塩基のミスマッチを区別できることを実施例12に記載した。本実施例では、この酵素が、熱的サイクリングの条件下で、全てのrN含有基質に対する塩基のミスマッチを区別する能力を調べた。これらの条件において、切断可能な基質は、温度上昇が二重鎖を破壊する前に短期間、酵素によるプロセッシングのために利用できるに過ぎない。ミスマッチの識別は、蛍光定量的リアルタイムPCRアッセイの設定において評価した。本発明者らは、定常状態条件下で観察された場合より、これらの速度論的に限定された条件下において、塩基ミスマッチ識別が大幅に改善されることを見出した。
本実施例では、以下の核酸を使用した。最も近い全ての隣接対とミスマッチを網羅するように、オリゴヌクレオチドを合成した。
修飾されていないForプライマー:
配列番号86
Figure 2017104109
ブロックされたrN基質revプライマー(3’末端にC3スペーサーブロッキング基)が以下に示されている。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字である。変動領域は、太字及び下線によって示されている。単一のRNA残基を含有する合計28のブロックされたプライマーを合成した。
rAシリーズ:
配列番号127
Figure 2017104109
配列番号128
Figure 2017104109
配列番号129
Figure 2017104109
配列番号130
Figure 2017104109
配列番号131
Figure 2017104109
配列番号132
Figure 2017104109
配列番号133
Figure 2017104109
rUシリーズ:
配列番号134
Figure 2017104109
配列番号135
Figure 2017104109
配列番号136
Figure 2017104109
配列番号137
Figure 2017104109
配列番号138
Figure 2017104109
配列番号139
Figure 2017104109
配列番号140
Figure 2017104109
rCシリーズ:
配列番号141
Figure 2017104109
配列番号142
Figure 2017104109
配列番号143
Figure 2017104109
配列番号144
Figure 2017104109
配列番号145
Figure 2017104109
配列番号146
Figure 2017104109
配列番号147
Figure 2017104109
rGシリーズ:
配列番号148
Figure 2017104109
配列番号149
Figure 2017104109
配列番号150
Figure 2017104109
配列番号151
Figure 2017104109
配列番号152
Figure 2017104109
配列番号153
Figure 2017104109
配列番号154
Figure 2017104109
ブロックされていない対照Revプライマー(RNアーゼH2による切断後のブロックされたプライマーの反応産物を模倣する。)は、以下のとおりであった。
配列番号87
5’CTGAGCTTCATGCCTTTACTG3’
以下の完全にマッチした及びミスマッチした合成テンプレートを使用した。変動する塩基の位置は、下線付きの太字フォントで示されている。リボヌクレオチド又はリボヌクレオチドの5’の1つの塩基若しくは3’の1つの塩基での可能な各塩基変動に対して、ユニークなテンプレートを作製した。合計、28のテンプレートを合成し、検査した。
rAテンプレート:
配列番号155
Figure 2017104109
配列番号156
Figure 2017104109
配列番号157
Figure 2017104109
配列番号158
Figure 2017104109
配列番号159
Figure 2017104109
配列番号160
Figure 2017104109
配列番号161
Figure 2017104109
rUテンプレート:
配列番号162
Figure 2017104109
配列番号163
Figure 2017104109
配列番号164
Figure 2017104109
配列番号165
Figure 2017104109
配列番号166
Figure 2017104109
配列番号167
Figure 2017104109
配列番号168
Figure 2017104109
rGテンプレート:
配列番号169
Figure 2017104109
配列番号170
Figure 2017104109
配列番号171
Figure 2017104109
配列番号172
Figure 2017104109
配列番号173
Figure 2017104109
配列番号174
Figure 2017104109
配列番号175
Figure 2017104109
rCテンプレート:
配列番号176
Figure 2017104109
配列番号177
Figure 2017104109
配列番号178
Figure 2017104109
配列番号179
Figure 2017104109
配列番号180
Figure 2017104109
配列番号181
Figure 2017104109
配列番号182
Figure 2017104109
一緒に、これらの核酸は、表記されているPCRアッセイの設定を構成する。
Figure 2017104109
末端のC3スペーサー基(「x」によって示される。)は、プライマーとしての役割を果たすために、rU含有オリゴヌクレオチドをブロックする。テンプレートにハイブリッド形成されると、二重鎖はRNアーゼH2に対する基質となり、切断はrU残基のすぐ5’で起こり、(←)で示されているように、機能的なプライマーをもたらす。
修飾されていないプライマー配列番号86並びにrN含有プライマー配列番号127から154のとテンプレート配列番号155から182の対を成す組み合わせを用いて、定量的リアルタイムPCR反応を行った。Roche Lightcycler(R)480プラットフォームを使用する384ウェルフォーマットで、反応を行った。反応物は、10μLの容量に、1×BIO−RADiQTMSYBR(R)Green Supermix(BIO−RAD, Hercules, CA)、各プライマー200nM(for+rev)及びピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3mUを含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で5分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃20秒間+72℃30秒間]の45サイクルを実施した。これらの条件下において、For+Rev(修飾されていない)プライマーを用いて行われた対照反応及び完全なマッチのFor(修飾されていない)+rNRev(ブロックされた)プライマーを用いて行われた対照の連結されたRNアーゼH2切断PCR反応に関して、C値は同一であった。従って、使用した反応条件は、リアルタイム熱的サイクリングの速度論的制約の中で完全にマッチする種を切断するのに十分な温置時間及びRNアーゼH2濃度を有し、この点からの何らかの逸脱は、ブロックされたプライマーと様々なテンプレートの間に存在する塩基のミスマッチにより付与された反応効率の変化を表す。
プライマーとテンプレートの対を成す組み合わせは上述のように実行され、結果は、デルタCp(対照とミスマッチ反応間で観察されたサイクル閾値の差である。)を示す以下に要約されている。各CはPCR中のサイクル(これらの条件下での指数関数的反応である。)を表すので、10のデルタCpは210の本当の差、すなわち感度の1024倍の変化を表す。対立遺伝子特異的PCRアッセイにおいてSNPを識別するために、4から5サイクルのデルタCが一般に十分である。
rN塩基上の中心位置の塩基を変動させて行われた検査の結果が、下表28に示されている。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
熱的サイクリング条件下でのrN基質のRNアーゼH2切断において、相対的な効率の極めて大きな差が見られ、約40倍の差(デルタC5.3)から30,000倍超の差(デルタC14.9)の範囲にわたった。アッセイの何れもが、5サイクル未満のデルタCを示さなかった。従って、RNアーゼH2rN切断反応は、定常状態条件より、速度論的アッセイ(qPCR)の設定においてより大きな特異性を示し、標準的なDNAプライマーを用いた対立遺伝子特異的PCRよりずっと大きな選択性を示す。本発明の詳細な説明に記載されている及び以下の実施例に示されているプライマーの設計によって、さらなる特異性が付与され得る。
rN塩基に対して−1の位置の塩基を変動させて行われた検査の結果が、下表29に示されている。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
rN塩基に対して+1の位置の塩基を変動させて行われた検査の結果が、下表30に示されている。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
rA、rC及びrGプローブなどの、rN塩基に対して−1及び+1の位置に対して上に列記されている全ての配列バリアントに対して、対を成す組み合わせを同様に検査した。結果が下表31から36に示されている。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
Figure 2017104109
単一の塩基ミスマッチの設定における、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2によるrN基質の切断の反応効率の相対的変化は、対を成す塩基の種類、切断部位に対するミスマッチの相対的位置及び隣接塩基によって変動する。ミスマッチ遺伝子座とマッチした遺伝子座の間の予想される差(デルタC)を最大化する最適なミスマッチ検出アッセイを設計するために、本実施例において確定されたミスマッチチャートを使用することが可能であり、新しいアッセイデザインの最適化を自動化するために、アルゴリズム中に組み込むことができる。
定常状態条件下でのfUfU基質に対するミスマッチの識別
fUfUジヌクレオチド対を含有する二重鎖基質中の塩基ミスマッチを区別するピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素の能力を、定常状態条件下で検査した。以下の基質は32P末端標識され、上記実施例5及び6に記載されているように、「Mn切断緩衝液」中で温置した。反応は、20μLの容量中に、酵素の1Uとともに100nM基質を含み、70℃で20分間温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合として結果をプロットした。
完全なマッチ(配列番号60)、2’−フルオロジヌクレオチド対内のミスマッチ(配列番号183から189)及び2’−フルオロジヌクレオチド対に隣接するミスマッチ(配列番号190から195)を含む表37に示されている14の二重鎖を研究した。結果は、完全なマッチ=100%に対して標準化した。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
ピロコッカスRNアーゼH2は、これらの条件下で、単一塩基のミスマッチを極めて効率的に識別することができた。識別の正確な程度は、ミスマッチ中で何れの塩基が対合されているかに応じて変動した。興味深いことに、(fUfUドメインに対して)−1及び+1の両位置でのミスマッチが有効であった。fUfU基質を用いた切断に対する特異性は、rC基質(上記実施例12)より、定常アッセイ条件下で著しく高かった。
上記研究は、16の可能なジヌクレオチド対の切断に対して最も効率性が低いジフルオロ基質であることが実施例6において既に示されたfUfUジヌクレオチド対を使用した。これは、ミスマッチの結果に影響を及ぼし得る。fUfCジフルオロ基質鎖に置き換えて、同じ相補鎖を用いて同様の実験を行った。fUfU基質と比べてfUfCに対して見られた増加した切断活性のために、RNアーゼH2は20mUに減らした。結果が下表38に示されている。
Figure 2017104109
Figure 2017104109
再び、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2は、単一の塩基ミスマッチを極めて効率的に識別することができた。識別の正確な程度は、ミスマッチ中で何れの塩基が対合されているかに応じて変動した。前述のように、(fUfCドメインに対して)−1及び+1の両位置でのミスマッチが有効であった。fUfC基質を用いた切断に対する特異性は、rC基質(上記実施例12)より、定常アッセイ条件下で著しく高く、fUfU基質より僅かに大きな特異性も示した。熱的サイクリング中の速度論的アッセイ条件下で、ジフルオロ基質を使用するミスマッチアッセイはさらに大きな選択性を示し得る。
基質中へのホスホロチオアートヌクレオチド間修飾の選択的配置
幾つかの異なる基質に対して、ホスホロチオアートヌクレオシド間連結の取り込みの効果を検査した。ホスホロチオアート(PS)結合は、通例、相対的にヌクレアーゼ耐性であると考えられ、血清などのヌクレアーゼ含有溶液中でオリゴヌクレオチドの安定性を増加させるために一般に使用されている。PS結合はRp及びSpという2つの立体異性体を形成し、これらは、異なるヌクレアーゼに対して安定化の異なるレベルを通常示す。
2つの修飾された塩基間のPS結合を用いて、ジフルオロ基質を調べた。両ジアステレオマーの混合物を本研究のために使用した。
修飾されていないfUfC基質:
配列番号58
Figure 2017104109
PS修飾されたfU*fC基質(「*」=PS結合):
配列番号209
Figure 2017104109
(注意−配列中のギャップは、並置を目的とするためのものである。)
120μL容量中で基質160pmole(1.3μM)及び組換えピロコッカスRNアーゼH2酵素の4ユニットを用いて、「Mn切断緩衝液」中において、70℃で1時間、上記基質を温置した。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を停止し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。GelStarTM(Lonza, Rockland, ME)を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。修飾されていない基質は、これらの条件下で100%切断されたが、PS修飾された基質は実質的に切断されなかった。ホスホロチオアート修飾は、ジフルオロ基質の切断を効率的にブロックすることができる。
次に、単一のrC残基を含有する基質を調べ、RNA塩基の何れかの側(表記されているとおり、5’又は3’側)へのPS修飾の配置を検査した。両ジアステレオマーの混合物を本研究のために使用した。
修飾されていないrC基質:
配列番号13
Figure 2017104109
PS修飾された5’*rC基質:
配列番号210
Figure 2017104109
PS修飾された3’rC*基質:
配列番号211
Figure 2017104109
120μL容量中で基質160pmole(1.3μM)及び組換えピロコッカスRNアーゼH2酵素の4ユニットを用いて、「Mg切断緩衝液」中において、70℃で1時間、上記基質を温置した。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を停止し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。GelStarTM(Lonza, Rockland, ME)を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。修飾されていない基質は、これらの条件下で100%切断された。5’−*rC及び3’−rC*PS修飾された基質は何れも、これらの条件下で、約50%切断された。これらの結果は、一方の立体異性体(Rp又はSp)が他方の異性体より切断に対して耐性があることと最もよく合致する。
3’−rC*基質をさらに詳しく研究した。RNアーゼH2はこの基質をリボヌクレオチドの5’側で切断するのに対して、他のRNアーゼ(RNアーゼA、RNアーゼ1など)はリボヌクレオチドの3’側でこの切断を切断するので、RNアーゼH2基質として利用可能なままにしながら、他のヌクレアーゼによる望ましくない分解から基質を保護する方法としてPS修飾を使用することが可能であり得る。RNアーA及び他の一本鎖リボヌクレアーゼによるRNA基質の切断は、R異性体よりSホスホロチオアート異性体によって、より大きな程度で阻害されることが周知である。RNアーゼH2切断に対するS対R異性体の相対的効果は知られていなかった。従って、2つの立体異性体が精製され、3’−rC*基質の安定性に対するS及びR異性体の相対的な寄与を調べた。
HPLC技術によって、ホスホロチオアート異性体を分離できること、及び単一のPS結合のみがオリゴヌクレオチド中に存在すれば、この分離が容易に行われることは周知である。従って、3’−rC*基質(配列番号211)の2つのPS異性体を精製するために、HPLCを使用した。オリゴヌクレオチドを含有する一本鎖3’−rC*の7nmoleの質量を使用した。性質決定は、キャピラリー電気泳動によって95%のモル濃度純度で、ESI−MSによって、検査材料が9464ダルトン(計算値9465)の分子量を有することが示された。2.5ミクロンの粒子サイズを有する4.6mM×50mmXbridgeTMC18カラム(Waters)中に、この材料を注入した。最初の移動相(緩衝液A)は5%アセトニトリルを加えた100mMTEAApH7.0であり、これを35℃で純粋なアセトニトリル(緩衝液B)と混合した。使用したHPLC法は、試料中の2つのピークを明確に分割し、純度を示すために、これを集め、再度走行させた。混合された異性体試料及び精製された試料のHPLCの軌跡が図23に示されている。「A」及び「B」の両ピークは、ESI−MSによって、9464ダルトンの同じ質量を有していた。元の試料から、ピーク「A」の1.3nmole及びピーク「B」の3.6nmoleが回収された。
質量又はHPLCデータに基づいて、何れのピークがRであり、何れのピークがS異性体であるかを同定することは不可能であった。異性体の種類を精製画分に割り振るために、RNアーゼAによる分解に対する相対的な耐性を使用した。S異性体は、R異性体より相対的に大きなRNアーゼA分解に対する耐性を付与することが知られている。一本鎖形態で、精製された産物を調べた。6000Ci/mmolγ−32P−ATP及び酵素T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Optikinase、USBiochemical)を用いて、基質を32Pで放射性標識した。追跡標識を反応混合物に添加した(1:50)。Mg切断緩衝液中にRNアーゼAの1pg(72attomole)を加えた20μL容積中の100nM基質を用いて、反応を行った。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合として結果をプロットした。ピーク「A」は、ピーク「B」よりRNアーゼAによってより完全に分解された。従って、ピーク「A」をR異性体として割り振り、ピーク「B」をS異性体として割り振った。
RNアーゼH2切断に対する各立体異性体の相対的感受性を調べた。6000Ci/mmolγ−32P−ATP及び酵素T4ポリヌクレオチドキナーゼ(Optikinase、USBiochemical)を用いて、基質のRNA含有鎖を32Pで放射性標識した。追跡標識を反応混合物に添加した(1:50)。Mg切断緩衝液中に組換えピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の100μUとともに、20μL容積中の100nM基質を用いて、反応を行った。一本鎖形態と二重鎖形態の両方の基質を使用した。70℃で20分間、反応物を温置した。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を定量し、切断された総基質の割合として結果をプロットした。予想通り、一本鎖基質はRNアーゼH2酵素によって切断されなかった。使用された条件下で、修飾されていない対照rC二重鎖(配列番号13)が100%切断された。S異性体3’−rC*二重鎖基質(ピーク「B」)は約30%切断されたのに対して、R異性体(ピーク「A」)は、これらの条件下で、10%未満切断された。従って、ラセミ的に純粋なホスホロチオアート修飾された基質の切断に対するこの位置での(リボヌクレオチドの3’)相対的感受性は、RNアーゼH2とRNアーゼAに対して正確に反対である。S異性体は、RNアーゼH2によってより容易に切断されるのに対して、R異性体は、RNアーゼAによってより容易に切断される。従って、RNアーゼH2による切断に対する機能的な基質のまま、一本鎖ヌクレアーゼ(RNアーゼAなど)による望ましくない分解からこの結合を保護するために、リボヌクレオチドの3’側にラセミ的に純粋なS異性体ホスホロチオアート修飾を有する単一のリボヌクレオチド含有基質を使用することができた。酵素切断とホスホロチオアート立体異性体間の関係が、図24に要約されている。
qPCRアッセイにおける二重標識されたrN含有プローブの有用性
以下の実施例は、rUを含有する二重標識されたプローブを用いるリアルタイムPCRアッセイを例示する。前に、本発明者らは、実施例9において、SYBR(R)Green検出フォーマットを使用するqPCRにおいてrNブロックされたプライマーを使用できることを示した。本発明の方法を用いたブロックされたオリゴヌクレオチドの切断は、二重標識プローブアッセイフォーマットにも適用することができる。等温サイクリングプローブアッセイフォーマットにおける、4RNA塩基切断ドメインを含有する二重標識プローブを切断するためのRNアーゼH1の使用が、Harvey他(Analytical Biochemistry, 333:246−255, 2004)によって記載されている。RNアーゼH2を使用する終点PCRフォーマットにおいて多型を検出するために、単一のリボヌクレオチド残基を含有する分子ビーコンが使用される、RNアーゼHを用いた別の二重標識プローブアッセイが記載されている(Hou, J., et al., Oligonucleotides, 17:433−443, 2007)。本実施例において、本発明者らは、プローブのRNアーゼH2切断に依拠するqPCRアッセイフォーマットにおける、二重標識プローブを含有する単一リボヌクレオチドの使用を示す。
二重標識された蛍光消光プローブを用いるqPCRアッセイにおいて、表39に示されている以下のオリゴヌクレオチドをプローブ及びプライマーとして使用した。標的は、合成オリゴヌクレオチドテンプレートであった。
Figure 2017104109
合成テンプレート(プライマー及びプローブ結合部位には、下線が付されている。)。
配列番号93
Figure 2017104109
修飾されていないプライマー配列番号86及び87並びにプローブ配列番号212及び213を用いて、定量的なリアルタイムPCR反応を行った。Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、反応を行った。反応物は、10μLの容積中に、各プライマー(for+rev)の200nM及び200nMプローブ、合成テンプレートの2×10コピー並びにピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の5mUを含んだ。熱的サイクルのパラメータには、95℃で10分の最初の温置を含み、次いで、[95℃10秒間+60℃30秒間+72℃1秒間]の45サイクルを実施した。使用した緩衝液は、使用したポリメラーゼとともに変動した。
5’−エキソヌクレアーゼ活性を有する熱安定的なDNAポリメラーゼを用いてPCRが行われる場合、ポリメラーゼはプローブを分解する。これらの条件下で、DNAプローブはrN修飾されたプローブと同じように機能するはずである。この反応は、陽性対照を構成する。5’−エキソヌクラーゼ活性を欠如するDNAポリメラーゼが使用されれば、何れのプローブも分解されないはずである。この反応は、陰性対照を構成する。しかしながら、RNアーゼH2とともにエキソ陰性ポリメラーゼを用いるPCR反応は、rN含有プローブを分解するが、DNAプローブを分解しないはずであり、本発明の機能を示す。本研究のために、以下の2つの熱安定的なポリメラーゼを使用した。Immolase(完全な状態の5’ヌクレアーゼ活性、Bioline)及びVentExo(5’−エキソヌクレアーゼ陰性変異体、New England Biolabs)。使用した緩衝液は、DNAポリメラーゼに対して製造業者が推奨する緩衝液であり、RNアーゼH2活性に対して最適化されなかった。Immolaseに関しては、緩衝液は、16mM(NHSO、67mMTrispH8.3及び3mMMgClを含んだ。VentExoに関しては、緩衝液は、10mM(NHSO、20mMTrispH8.8、10mMKCl及び3mMMgSOを含んだ。
記載されているとおり、qPCR反応を実行し、結果は下表40に示されている。
Figure 2017104109
エキソヌクレアーゼ陽性ポリメラーゼを用いると、両プローブは類似の機能的性能を示し、類似のC値を与えた(何れも、RNアーゼH2あり又はなし)。しかしながら、エキソヌクレアーゼ欠損変異体ポリメラーゼを用いると、DNAプローブは検出可能な蛍光シグナルを一切生成しなかった。rUプローブは、RNアーゼH2の不存在下で、蛍光シグナルを生成できなかったが、RNアーゼH2の存在下では、切断され、予想されたC値でシグナルをもたらした。ジフルオロ含有プローブを用いて、類似の結果を得ることができる。RNアーゼH2切断ドメインが変異部位上に配置されれば、バリアント対立遺伝子を区別するために、このようなプローブを使用することができる。
増幅を基礎とするアッセイ系の特異性をさらに増加させるために、RNアーゼH切断可能なプローブは、本発明のブロックされたプライマーの使用と組み合わせることもできる。
プライマー・二量体形成を抑制するためのrN含有ブロックされたプライマーの有用性
プライマー・二量体又は他の小さな標的非依存性アンプリコンの形成は、終点及びリアルタイムPCRの両方において重要な問題であり得る。これらの産物は、プライマーが適切に設計されていると思われる場合でさえ生じ得る。さらに、特異的な領域にハイブリッド形成するプライマーを選択するための配列の制約のために、最適でないデザインを有するプライマーを使用することが時には必要である。例えば、株間で可変的な領域中でプライマーが選択される場合には、ある種のウイルスためのPCRアッセイはサブタイプ又は血清型特異的であり得る。逆に、ウイルスゲノムの高度に保存された領域中にプライマーが配置される場合には、全てのウイルス株を広く増幅するように、PCR反応を設計することができる。従って、プライマーを選択するために利用可能な配列空間は極めて限定され得、プライマー二量体を形成する可能性を有する「不良な」プライマーを使用しなければならない場合があり得る。「ホットスタート」PCR法の使用は、これらの問題の幾つかを除去し得るが、全てを除去するわけではない。
以下の実施例は、幅広いウイルスの血清型の検出を可能にする保存されたドメイン中の部位を使用するC型肝炎ウイルス(HCV)用のPCRを基礎とする核酸検出アッセイの開発の間に、プライマー・二量体が重大な問題であることが見出された、米国特許第06001611に引用されている1つのこのような事例から得られる。本発明者らは、本実施例において、切断可能なブロックされたプライマーの使用が、特に、「ホットスタート」DNAポリメラーゼの不存在下で、望ましくないプライマー・二量体の形成を抑制し得ることを示す。
表41に示されているように、PCRアッセイにおけるプライマーとして、以下のオリゴヌクレオチドを使用した。標的は、プラスミドから単離されたクローニングされた合成アンプリコンであった。
Figure 2017104109
クローニングされた合成標的(プライマー結合部位には、下線が付されている)。
配列番号218
Figure 2017104109
Roche Lightcycler(R)480プラットウォームを使用する384ウェルフォーマットで、PCR反応を行った。反応は、10μLの容量に、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3mUあり又はなしに、DyNAmoDNAポリメラーゼを有する1×New England Biolabs (Beverly, MA) DyNAmo反応混合物、各プライマーの200nM(For+Fev)を含んだ。テンプレートDNAは、直鎖化されたHCVプラスミドアンプリコンの2000コピー又は標的なし対照であった。熱的サイクルのパラメータには、95℃で2分の最初の浸漬を含み、次いで、[95℃15秒間+60℃30秒間]の50サイクルを実施した。8%ポリアクリルアミド非変性ゲル上で試料を分離し、GelStar染色を用いて可視化した。結果が図25に示されている。ブロックされていない標準的なプライマーは55塩基対から90塩基対の範囲のサイズを有する複数の産物を産生し、所望される完全長の産物は見られなかった。RNアーゼH2の不存在下で、ブロックされたプライマーの使用は増幅された産物を一切もたらさなかった。RNアーゼH2を用いると、ブロックされたプライマーは予想されたサイズの単一の強力なアンプリコンを産生し、所望されない小さな片は見られなかった。
DyNAmoは非ホットスタートDNAポリメラーゼである。低温で低下した活性を有するホットスタートRNAアーゼH2とともに本発明のRNアーゼH2ブロックされたプライマーの使用は、反応から所望されないプライマー・二量体を除去し、所望のアンプリコンの形成をもたらしたのに対して、標準的なブロックされないプライマーは所望のアンプリコンの形成をもたらすことができず、小さな所望されない種のみを産生した。
RNアーゼH2アッセイ緩衝液中での変性剤の使用
変性剤の存在は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2酵素による切断にとって有益であることが見出された。反応条件を最適化するために、異なる濃度で異なる変性剤を検査した。
70℃で20分間、緩衝液50mMNaCl、10mMMgCl及び10mMTrispH8.0中で、80μLの反応容積で、上記一本鎖及び二本鎖オリゴヌクレオチド基質とともに、組換えRNアーゼH2酵素の各々の分取試料を温置した。ゲル搭載緩衝液(ホルムアミド/EDTA)の添加によって、反応を停止し、変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル上で分離した。基質配列番号13のRNA鎖を32Pで放射線標識した。変動する濃度で異なる変性剤とともに、Mg切断緩衝液中の酵素100μユニット(μU)とともに100nM基質を用いて、反応を行った。検査した変性剤は、Triton−X100、Tween−20、Tween−80、CTAB及びN−ラウロイルサルコシルを含んだ。ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2を用いた結果が、図26に示されている。CTAB変性剤濃度をさらに緻密に滴定するために、さらなる実験を行った。最高の酵素活性を得るための変性剤の最適なレベルは、(vol:vol):Triton−X100 0.01%、Tween−20 0.01%、CTAB0.0013%であった。変性剤Tween−80及びN−ラウロイルサルコシルは、検査した他の変性剤と同じように良好に機能を発揮しなかった。従って、本発明の好熱性RNアーゼH2酵素を安定化させるために、非イオン性(Triton、Tween)及びイオン性(CTAB)変性剤の両方を使用することができる。
蛍光消光された(F/Q)切断可能プライマーのqPCRにおける使用
上記実施例9において、切断可能なブロックされたプライマーがPCRにおいて機能し、さらに、SYBRグリーン検出を用いるリアルタイム定量的PCR(qPCR)において使用できることを示した。本実施例において、本発明者らは、PCR反応の間に、プライマー自体が検出可能なシグナルを生成する蛍光−消光切断プライマーの使用を示す。
図18は、ブロックされた切断可能プライマーを使用するPCRを実施するためのスキームを示す。図27は、蛍光−消光された切断可能プライマーを使用するPCRを実施するためのスキームを示す。この事例では、対中の1つのプライマーが蛍光色素で検出可能に標識される。蛍光消光物質はプライマーの3’末端に又は3’末端付近に位置し、プローブが完全な状態のときに、反応開始及びDNA合成を効果的に抑制する。単一のリボヌクレオチド塩基が色素と消光物質の間に位置している。RNアーゼH2によるリボヌクレオチドでの切断はレポーターと消光物質を分離し、消光を除去し、検出可能なシグナルをもたらす。同時に、切断がプライマープライマーを活性化し、PCRが進行する。
合成テンプレートを用いてこの反応を示すために、表42に示されている以下の合成オリゴヌクレオチドを使用した。対照として、修飾されていないプライマー及び標準的な蛍光−消光プライマーを用いて5’−ヌクレアーゼTaqman(R)アッセイを行った。RNA塩基の3’に4、5又は6つのDNA塩基を有する合成蛍光−消光切断可能プライマーの3つのバリアントを比較した。C3スペーター又はddC末端基を有するオリゴヌクレオチド基質を用いると、RNA塩基の3’の4つのDNA塩基が最適であることが以前に確立された。3’末端に又は3’末端付近に嵩が大きな疎水性消光物質基が存在することが、このドメイン中に必要とされるDNA残基の最適な数を変化させ得ることが可能であった。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。FAMは、6−カルボキシフルオレセインである。IBFQは、暗消光物質であるIowa Black FQである。
合成テンプレート
配列番号93
Figure 2017104109
PCR反応は、10μL容量で、200nMプライマー、各dNTPの200μM(合計800μM)、iTaq(BIO−RAD)の1ユニット、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて行った。反応は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の変動する量あり又はなしで、合成テンプレート/標的オリゴヌクレオチド(配列番号93)の2×10コピーを用いて、Roche Lightcycler(R)480プラットフォーム上で行った。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。内部に配置されたDLP(配列番号219)とともに、For及びRevプライマー(配列番号86及び87)を使用した。あるいは、FQプライマー(個別に)(配列番号220から222)とともに、Forプライマー(配列番号86)を使用した。
F/Q切断可能プライマーの使用は、5’−ヌクレアーゼアッセイフォーマットで、伝統的な二重標識プローブ(DLP)(配列番号219)を用いて得られたものと同様の検出可能な蛍光シグナルを、PCRの間にリアルタイムでもたらした。RNA残基の3’に4つのDNA残基を有するプライマー配列番号220は、修飾されていないプライマーと比べて遅延した増幅を示した。RNA残基の3’に5つ及び6つのDNA残基を有するプライマー配列番号221及び222はより効率的であり、同様に良好に機能した。従って、3’−ブロッキング基がより小さいときに最適な3から4つのDNA塩基デザインではなく、このアッセイフォーマットでは、RNA塩基に対して3’に5つのDNA塩基を有するオリゴヌクレオチドデザインを使用することが好ましい。SYBRGreenアッセイフォーマットを使用する前実施例では、RNアーゼH2の1.3mUは修飾されていないプライマーと同一の反応開始効率をもたらした。本F/Qアッセイフォーマットでは、RNアーゼH2の1.3mUの使用は遅延した増幅をもたらしたのに対して、修飾されていないプライマーと比べて、RNアーゼH2の2.6mUの使用は同じ結果をもたらした。従って、F/Qアッセイフォーマットに対してRNアーゼH2の量を増加させることが好ましい。シグナルの増幅及び検出の両方が、RNアーゼH2依存性であった。
5’−ヌクレアーゼアッセイDLP(配列番号219)及びF/Q切断可能5Dプライマー(配列番号221)を用いて実施されたqPCR反応に対する増幅プロットの例が、図28に示されている。蛍光が最初に検出されるC値が同じ(20.0)である両方法間で、増幅効率が類似していることが明瞭である。興味深いことに、デルタRf(検出された蛍光シグナルの規模)は、DLPを用いると、FQプライマーより僅かに高いレベルでピークに達した。最大蛍光シグナル放出の差に関する1つの可能な説明は、FQプライマー上の蛍光色素が反応の終了時に部分的に消光されたままであるということである。5’−ヌクレアーゼアッセイでは、プローブが分解され、一本鎖の短い核酸断片に付着された反応混合物中にレポーター色素が放出される。FQプライマーアッセイフォーマットにおいて、蛍光レポーター色素はPCRアンプリコンに付着されたままであり、二本鎖フォーマットである。DNAはフルオレセインの発光を消光することができるので、この構成は最終シグナルを低下させ得る。
従って、本発明者らは、プライマー上の色素/消光物質の構成を変化させることが、同じプライマーのF/Q対Q/F様式を比較して、蛍光シグナルを変化させるかどうかを検査した。上で使用された合成アンプリコンアッセイにおいて、好ましい5−DNAプローブは3’末端に存在する「G」残基を有する。G残基はFAMを消光する傾向があるのに対して、他の塩基はFAM蛍光に対して殆ど効果を有さない。従って、この塩基を塩化させるために、アンプリコンを修飾した。表43の配列を合成し、蛍光リアルタイムPCRアッセイフォーマットで検査した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。FAMは、6−カルボキシフルオレセインである。IBFQは、暗消光物質であるIowa Black FQである。
合成テンプレート
配列番号225
Figure 2017104109
PCR反応は、10μL容量で、200nMプライマー、各dNTPの200μM(合計800μM)、iTaq(BIO−RAD)の1ユニット、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて行った。反応は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUとともに、合成テンプレート/標的オリゴヌクレオチド(配列番号225)の2×10コピーを用いて、Roche Lightcycler(R)480プラットフォーム上で行った。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。FQプライマー(配列番号223)又はQFプライマー(配列番号224)の何れかとともに、Forプライマー(配列番号86)を使用した。
F/Q及びQ/F切断可能プライマーの使用は同じCをもたらし、両プライマーは、反応において、同じ効率で機能することを示す。予想通り、Q/FプライマーはF/Qプライマーと比べて増加したデルタRfを示した。プライマーの両様式は、アッセイにおいて同じく良好に機能する。
蛍光消光された(F/Q)切断可能プライマーの多重qPCRにおける使用
実験を合理化し、情報処理量を増加させるために、今日、多重アッセイが一般に使用される。目的の実験用遺伝子に対して特異的なqPCRアッセイを標準化用の内部参照対照遺伝子に対して特異的な第二のqPCRアッセイと組み合わせることが特に一般的である。qPCRのためのSYBRGreen検出の1つの弱点は、多重反応が不可能なことである。色素標識された蛍光−消光プローブ又はプライマーの使用は、このような多重反応の実行を可能にする。同じ反応管中への2、3又は4つの異なる蛍光色素の組み合わせを可能にするリアルタイムPCRサイクリング及び検出装置が今日では利用可能である。本実施例は、蛍光消光された(F/Q)切断可能プライマーの多重qPCRにおける有用性を示す。
5’−ヌクレアーゼアッセイとともに二重標識プローブ又はF/Q切断可能プライマーの何れかを使用して多重qPCRを実施するために、表44に示されている以下のオリゴヌクレオチド試薬を合成した。1つのアッセイはヒトMYC遺伝子(NM 002476)に対して特異的であり、第二のアッセイは、一般的に使用される内部標準化対照遺伝子であるスプライシング因子であるヒトSFRS9遺伝子(NM 003769)に対して特異的であった。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。FAMは、6−カルボキシフルオレセインである。IBFQは、暗消光物質であるIowa Black FQである。MAXは、赤いレポーター色素である。SpC3は、C3スペーサーである。
PCR反応は、10μL容量で、200nMプライマー(及び適宜プローブ)、各dNTPの200μM(合計800μM)、iTaq(BIO−RAD)の1ユニット、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて行った。全HeLa細胞RNAから作製されたcDNAの2ngをとともに、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の10mUを用いて反応を実施した。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。
5’−ヌクレアーゼアッセイのための多重反応は、MYCFor及びRevプライマー+MYCプローブ(配列番号226から228)及びSFRS9For及びRevプライマー+SFRS9プライマー(配列番号231から233)を含んだ。FQ切断可能プライマーアッセイのための多重反応は、MYC−For−FQ及びMYC−Rev−Bブロックされたプライマー(配列番号229及び230)並びにSFRS9−For−FQ及びSFRS9−Rev−Bブロックされたプライマー(配列番号234及び235)を含んだ。全てのアッセイは、比較のために、一重フォーマットでも実施した。FAMプライマー及びプローブはフルオレセイン色素チャンネル中で検出されたのに対して、MAXプライマー及びプローブはHEX色素チャンネル中で検出された。多重化されたDLP5’−ヌクレアーゼアッセイ及び多重化されたFQ−切断可能プライマーアッセイは何れも良好に機能し、極めて類似のデータ(下表45に要約されている。)をもたらした。
Figure 2017104109
RNアーゼH濃度を滴定し、多重フォーマットでの反応効率を維持するために、酵素のより高いレベルが必要とされた。例えば、一重SYBRGreen検出フォーマットでのブロックされたプライマーは、酵素1.3mUを必要とした。一重フォーマットでのブロックされたFQプライマーは、酵素2.6mUを必要とした。多重フォーマットでのブロックされたFQプライマーは、酵素10mUを必要とした。従って、異なるアッセイフォーマットにおいて、切断可能プライマーが使用される場合には、使用されるRNアーゼH2酵素の量を滴定することが重要である。
多重プローブの使用が一般的に行われる別の用法は、対立遺伝子識別SNPである。直腸結腸癌の発症に関連していることが知られている部位rs4939827において、SMAD7遺伝子に対してSNP対を区別するために、以下のアッセイを設計した。この遺伝子中の「C」及び「T」対立遺伝子を識別するためのさらなる最適化なしに、上記実施例において教示されている標準的なデザインの特徴を用いて、この部位において、FQブロックされたプライマーを設計し、合成した。配列が下表46に示されている。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。FAMは、6−カルボキシフルオレセインである。IBFQは、暗消光物質であるIowa Black FQである。MAXは、赤いレポーター色素である。
上記プライマーは、SMAD7遺伝子(NM 005904)の以下の85塩基対領域を標的とする。プライマー結合部位には下線が付されており、SNP位置は太字の斜字体として強調表示されている。
rs4939827 (SMAD7)C対立遺伝子(配列番号239)
Figure 2017104109
rs4939827 (SMAD7)T対立遺伝子(配列番号240)
Figure 2017104109
PCR反応は、10μL容量で、200nMFQ−For及び修飾されていないRevプライマー、各dNTPの200μM(合計800μM)、iTaq(BIO−RAD)の1ユニット、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて行った。標的DNAの2ngとともに、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUを用いて反応を実施した。標的DNAは、2つのSMAD7対立遺伝子に関してホモ接合である細胞から作製されたゲノムDNAであった(Coreill18562及び18537)。「C」及び「T」対立遺伝子(配列番号239及び240)を個別に(ホモ接合体)及び一緒に(ヘテロ接合体)検査した。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。データの獲得は、FAM及びHEXチャンネルを検出する多重モードに設定した。
結果が図30に示されている。FAM標識された「C」プローブは「C」標的DNAの存在を検出したが、「T」標的DNAの存在は検出せず、HEX「T」プローブは「T」標的DNAの存在を検出したが、「C」標的DNAの存在は検出しなかったことが明白である。従って、SNP識別のために、多重フォーマットでFQ切断可能プライマーを使用することができる。
プライマー−プローブアッセイにおける蛍光消光された切断可能プライマーの使用
本発明者らは、異なるが、連結された2つの要素(5’末端方向に位置されたレポータードメイン及び核酸分子の3’末端に位置されたプライマードメイン)を含む蛍光消光されたプライマーを用いて、核酸試料を検出する方法を以前に記載した(米国特許出願公開US2009/0068643)。プライマードメインは、PCRにおいて使用される条件下で、標的核酸に対して相補的であり、標的核酸に結合する。プライマードメインは、PCRなどにおいて、テンプレートとして相補的な標的を使用して、DNA合成を開始することができる。レポータードメインは、標的に対して相補的であり得る配列を含み、標的核酸と無関係であり得、標的にハイブリッド形成しない。さらに、レポータードメインは、蛍光レポーター色素及び消光物質などの検出可能要素を含む。レポータードメインが一本鎖のランダムコイル立体構造であるときに、レポーター色素からの蛍光シグナルが消光物質によって効果的に抑制されるように、レポーター色素及び消光物質は、適切なヌクレオチドの数によって隔てられる。PCRの間、プライマードメインはDNA合成を開始し、これにより、FQT合成オリゴヌクレオチドは産物核酸中に取り込まれ、PCRの次のサイクルにおいて、それ自体がテンプレートとして使用され得る。PCRの次のサイクルの間のプライマー伸長の際に、レポータードメインを含むFQTプローブ全体が二本鎖形態へ転化される。堅固な二本鎖の二重鎖の形成が、蛍光色素と消光物質間の距離を物理的に増加させ、蛍光発光の抑制を減少させる(従って、蛍光強度を増加させる)。従って、PCRの間の、FQTプライマーの二本鎖形態への転化は、検出可能な現象である。レポーター色素及び消光物質が物理的に隔てられた状態になり、同じ核酸分子上でもはや共有結合されないように、レポーター色素と消光物質の間の部位でのレポータードメインの切断によって、蛍光シグナルのさらなる増加が達成され得る。FQTプライマーがその元の一本鎖状態にあれば、切断が起こりえないように、この切断現象は、二本鎖核酸配列の形成に依存する。レポーターと消光物質を分離するための適切な方法には、例えば、dsDNA中の特異的な配列において切断するための制限エンドヌクレアーゼを使用することが含まれる。あるいは、RNアーゼH2切断ドメインは、蛍光色素と消光物質の間に配置することができる。蛍光色素と消光物質の間に単一のリボヌクレオチド残基を配置することによって、FQTプライマーが、PCRの間のRNアーゼH2に対する適切な基質となる。この反応に対する模式図が図31に示されている。本実施例は、プライマー−プローブリアルタイムPCRアッセイにおける、蛍光消光されたプライマーの切断を媒介するための熱安定的なRNアーゼH2の使用を示す。
5’−ヌクレアーゼアッセイでの使用に適した内部に配置された二重標識プローブを有する修飾されていないFor及びRevプライマーを含む、ヒトDrosha遺伝子に対してqPCRアッセイを設計した。Forプライマーは、修飾されていないForプライマーと同じプライマードメインを使用し、中心に配置されたrU塩基(切断部位)を含む11の塩基によって隔てられたレポーター色素(フルオレセイン−dT)及び暗消光物質(IBFQ)を含むレポータードメインを5’末端上にレポータードメインを追加して、FQTフォワードプライマーとしても合成された。配列が下表47に示されている。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。Fl−dTinは、内部フルオレセイン−dT修飾された塩基である。IBFQは、暗消光物質であるIowa Black FQである。Drosha標的に対して相補的であるFQTプローブの部分には、下線が付されている(すなわち、プライマードメイン)。
上記プライマーは、ヒトDrosha遺伝子(RNASEN,NM 013235)の以下の141塩基対領域を標的とする。プライマー結合部位には下線が付されており、5’−ヌクレアーゼアッセイに対する内部のプローブ結合部位は太字のフォントで記載されている。
Droshaアンプリコン(配列番号245)
Figure 2017104109
5’−ヌクレアーゼqPCR反応は、10μL容量で、200nMプローブを有する200nMの修飾されていないFor及びRevプライマー、各dNTPの200μM(合計800μM)、iTaq(BIO−RAD)の1ユニット、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて行った。FQTqPCR反応は、10μL容量で、200nMFQTForプライマー及び200nMの修飾されていないRevプライマー、各dNTPの200μM(合計800μM)、iTaq(BIO−RAD)の1ユニット(ホットスタート熱安定的DNAポリメラーゼ、BIO−RAD)、50mMTrispH8.3、50mMKCl及び3mMMgClを用いて行った。反応は、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUあり又はなしで行った。反応は、HeLa全細胞RNAから作製されたcDNA10ngあり又はなしで行った。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。
5’−ヌクレアーゼqPCR反応に対する結果が、図32Aに示されている。陽性シグナルがサイクル26で見られた。FQTプライマーqPCR反応に対する結果が、図32Bに示されている。陽性シグナルはサイクル27で見られ、5’−ヌクレアーゼアッセイの結果とほぼ同じであった。この事例では、シグナルはRNアーゼH2切断に依存した。従って、異なる蛍光消光レポータードメインを有するFQTプライマーからシグナルを生成させるために、RNアーゼH2による内部RNA残基での切断を使用することができる。
ミスマッチの識別を改善するための、切断可能なブロックされたプライマーにおける修飾された塩基の使用
本発明者らは、実施例13におけるSYBRGreenアッセイフォーマット及び実施例20における蛍光−消光(FQ)アッセイフォーマット中で単一の塩基ミスマッチを区別するために、ブロックされた切断可能プライマーをqPCRで使用できることを示した。正確な塩基のミスマッチ及び配列の文脈に応じて、ミスマッチ標的に対する検出可能なシグナルが、完全にマッチする標的の検出から5ないし15サイクル後に起こった。主に野性型細胞のバックグラウンド中での希な変異体対立遺伝子の検出など、ミスマッチ識別のより大きなレベルが所望される状況が存在し得る。本発明者らは、本実施例において、切断可能プライマー内の2’OMeRNA修飾された残基の選択的な配置がミスマッチ識別を向上させ得ることを示す。
上記実施例5は、使用される修飾の種類及び切断部位に対する配置に応じて、修飾された塩基がRNアーゼH2によるヘテロ二重鎖基質の切断と適合的であり得ることを示した。ここで、本発明者らは、単一の修飾されていないリボヌクレオチド塩基を有するブロックされたプライマー中での2’OMe修飾の使用をさらに詳しく示す。表48で以下に示されている以下のプライマーを合成し、合成オリゴヌクレオチドテンプレートとともに、SYBRGreenフォーマットでのqPCR反応において使用した。さらなる修飾なしに(配列番号134)又はrUの5’側の2’OMe塩基(配列番号247)とともに又はrUの3’側の2’OMe塩基(配列番号248)ともに、単一のrU残基を有するブロックされた切断可能プライマーを合成した。2’OMe残基がリボヌクレオチドの5’に位置していれば、RNアーゼH2による切断から生じる最終プライマー中に残存する。従って、この反応産物(配列番号246)を模倣するために、3’末端に3’−2’OMeU残基を有する合成テンプレートに対して特異的なSyn−Rev−mUプライマーを作製した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。2’OMeRNA塩基は、(mN)と記されている。
以下の合成オリゴヌクレオチドをテンプレートとして使用した。プライマー結合部位には、下線が付されている。
合成テンプレート、配列番号162
Figure 2017104109
Bio−RadSYBRGreenマスターミックス中に、上に示されている異なるRevプライマーの各々の200nMと対を成す200nMの修飾されていないForプライマーを使用して、10μL容量で、PCR反応を行った。反応は、標的なしで又は合成オリゴヌクレオチドテンプレートの2×10コピーありで、Roche Lightcycler(R)480プラットフォーム上において、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3から200mUあり又はなしで行った。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃20秒間及び72℃30秒間]の45サイクルが続いた。結果が表49に要約されている。
Figure 2017104109
3’末端の2’OMe塩基を有するブロックされていないプライマー(配列番号246)は、修飾されていないプライマー(配列番号87)と比べて2サイクルの遅延を示し、末端の2’OMe塩基が反応開始効率を僅かに減少させるが、それにもかかわらず、PCRプライマーとして機能的であることを示唆した。単一のrU塩基を含有するブロックされたプライマー(配列番号134)は、予想通り(実施例13参照)、RNアーゼH2の低濃度とともに、良好に機能し、動作した(データは示さず)。2’OMeRNA含有プライマーに関しては、RNアーゼH2のより高い濃度が必要とされた。リボヌクレオチドの5’に2’OMe残基を有するプライマー(配列番号247)は、50mURNアーゼH2で良好な活性を示し、100mU又はそれ以上のRNアーゼH2を使用したときに、ブロックされていない2’OMe対照プライマー(配列番号246)と同じように機能した。リボヌクレオチドの3’に2’OMe残基を有するプライマー(配列番号248)は、検査したRNアーゼH2の全てのレベルで機能しなかった。次に、ミスマッチ識別qPCRアッセイにおいて、リボヌクレオチドの5’に2’OMe残基を有するプライマー(配列番号247)を検査した。
標準的な構成のブロックされたRNアーゼH2切断可能プライマー(配列番号134)を、この配列の5’−2’OMe様式(配列番号247)と比較した。これらの2つの「Rev」プライマーは、(実施例13において、ミスマッチ識別能を確定する際に場合によって使用された)3つの異なる合成オリゴヌクレオチドテンプレートと一緒に、修飾されていない「For」プライマー(配列番号86)とともに使用した。これらのテンプレートは、完全なマッチの対照(テンプレート配列番号162)、T/Uミスマッチ(テンプレート配列番号155)又はG/Uミスマッチ(テンプレート配列番号176)を与える。3つのテンプレートオリゴヌクレオチドが、マッチ対ミスマッチの領域を図解するために以下に並置されている切断可能なブロックされたプライマー(配列番号134)とともに、以下に示されている。
合成テンプレート、配列番号162(A:Uマッチ)
Figure 2017104109
合成テンプレート、配列番号155(T:Uマッチ)
Figure 2017104109
合成テンプレート、配列番号176(G:Uマッチ)
Figure 2017104109
PCR反応は、Bio−RadSYBRGreenマスターミックス中で、切断可能なブロックされたRevプライマー(配列番号134)又は5’mUを含有する切断可能なブロックされたRevプライマー(配列番号247)の200nMとともに、200nMの修飾されていないForプライマーを用いて、10μLの容量で行った。反応は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3mU(プライマー配列番号134)又は100mU(プライマー配列番号247)を用いて行った。反応は、異なる合成オリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号155、162又は176)の2×10コピーを用いて、Roche Lightcycler(R)480プラットフォーム上で行った。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃20秒間及び72℃30秒間]の45サイクルが続いた。結果は表50に要約されており、デルタC(デルタC=Cミスマッチ−Cマッチ)として示されている。
Figure 2017104109
検査された何れの事例においても、切断可能なリボヌクレオチドのすぐ5’側に2’OMe残基を添加することによって、ミスマッチ識別が大幅に改善された。T/Uミスマッチは5.3から12.7のデルタCまで改善し、G/Uミスマッチは10.9から14.4のデルタCまで改善した。この新しいプライマーのデザインは、(10μLアッセイにおいて)1.3mUと比較した100mURNアーゼH2化合物の使用を必要としたが、酵素は安価であり、反応特異性の強化は大幅なものであった。本発明者らは、切断可能なプライマー内の選択された位置において化学的に修飾された残基を使用することが、アッセイのミスマッチ識別能を大幅に改善できると結論する。
ミスマッチ識別を改善するための、切断可能なブロックされたプライマーにおける二重ミスマッチデザインの使用
野性型(WT)配列に対して相補的な幾つかの核酸プローブは、2つの配列(WT及び変異体)が容易に識別されない十分に類似した親和性で、完全なマッチのWT標的と単一塩基のミスマッチを有する変異体標的の両方に結合する。プローブと標的配列の間に導入された単一のミスマッチは野性型標的(プローブと1つのミスマッチを有する。)への結合を著しく崩壊させ得ないが、変異体標的(プローブとの2つのミスマッチを有する。)への結合を崩壊させる。この戦略は、ハイブリッド形成を基礎とするアッセイ及び核酸結合タンパク質との相互作用に依存するアッセイの選択性を改善させるために使用されてきた。本実施例は、本発明の切断可能なブロックされたプライマーの使用による塩基識別を改善するための二重ミスマッチ戦略の使用を示す。
本研究のために、FQフォーマットに代えて、SYBRGreen検出フォーマットを使用したことを除き、実施例20に記載されているSMAD7qPCRSNP識別アッセイをモデル系として使用した。切断可能なリボヌクレオチドに位置する塩基ミスマッチを有するブロックされた切断可能プライマーを合成した。本プローブデザインを用いると、切断部位(RNA塩基)の5’に配置されたあらゆるミスマッチがプライマー伸長産物中に保持されるので、PCRの間に複製される。PCRの間に二重ミスマッチの存在を維持するためには、切除され、娘産物中には保持されないドメイン中の切断可能なRNA残基の3’に、新たなミスマッチが配置しなければならない。意図的に付加された第二のミスマッチは、完全にマッチする標的とのプライマーの機能を崩壊させないことが望ましい。「+1位」(すなわち、RNA塩基のすぐ3’)に存在するミスマッチは、切断及び機能的なプライマー効率に著しい影響を有し得ることが実施例13において示された。従って、この構成が単一のミスマッチとして崩壊的でないが、二重のミスマッチとしては崩壊的であることを予想しながら、RNA塩基の3’の「+2位」に二重ミスマッチを配置した。
SMAD7遺伝子(SNP遺伝子座rs4939827)中の「C」及び「T」対立遺伝子を識別するために、標準的なデザインの特徴を用いて、この部位で、ブロックされた切断可能プライマーを設計し、合成した。全てのアッセイにおいて、同じ修飾されていないRevプライマー(配列番号236)を用いた。完全なマッチの「C」対立遺伝子プライマーは配列番号250であり、完全なマッチの「T」対立遺伝子プライマーは配列番号254である。次に、リボヌクレオチドに対して+2の位置に(RNA残基に対して3’側に2塩基)に変異を有する一連のプライマーを作製した。塩基ミスマッチの種類は、この位置にミスマッチを有していればアッセイ中に導入する相対的な擾乱を変化させると予想された。従って、完全なマッチ(野性型)及び3つの可能な塩基ミスマッチの全てを合成し、研究した(配列番号215から253及び255から257)。配列が下表51に示されている。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。SpC3は、3’ブロッキング基として使用されたスペーサーC3である。二重ミスマッチを作製するために導入された変異は、太字の下線で記されている。
上記プライマーは、SMAD7遺伝子(NM00 5904)の以下の85塩基対領域を標的とする。プライマー結合部位には下線が付されており、SNP位置は太字の斜字体として強調表示されている。SNP識別を改善するための「二重変異体」アプローチのスキームの図解を助けるために、図33中において、プライマーは標的と並置されている。
rs4939827(SMAD7)C対立遺伝子(配列番号239)
Figure 2017104109
rs4939827(SMAD7)T対立遺伝子(配列番号240)
Figure 2017104109
PCR反応は、Bio−RadSYBRGreenマスターミックスにおいて、修飾されていないRevプライマー(配列番号236)及び切断可能なブロックされた一連のForプライマー(配列番号250から257)の200nMを用いて、10μLの容積で行った。標的cDNAの2ngを用いて、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUを用いて反応を実施した。標的DNAは、2つのSMAD7対立遺伝子に関してホモ接合である細胞から作製されたゲノムDNAであった(Coreill 18562 and 18537)。「C」及び「T」対立遺伝子(配列番号239及び240)を個別に検査した。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の80サイクルが続いた。結果が下表52に示されている。
Figure 2017104109
「C」対立遺伝子に関しては、標準デザインの完全にマッチしたプローブ(配列番号250は、修飾されていない対照プライマーと類似の増幅効率を示し、ミスマッチ識別は「T」標的に対して10.7サイクル(デルタCp=10.7)であった。ミスマッチプライマーは、「C」対立遺伝子標的で、検出効率の僅かな減少(最大2.4サイクルのシフトが観察された。)を示したが、SNP部位でのミスマッチ識別は著しく増加し、rCAプライマー(配列番号251)に対して、18.8サイクルのデルタCpが見られた。
「T」対立遺伝子に関しては、標準デザインの完全なマッチのプローブ(配列番号254)は、修飾されていない対照プライマーと類似の増幅効率を示し、ミスマッチ識別は「C」標的に対して13.4サイクル(デルタCp=13.4)であった。しかしながら、「C」対立遺伝子とは異なり、「T」対立遺伝子に対するミスマッチプライマーは、「T」対立遺伝子標的での検出効率の大きな減少を示した。最大20サイクルのシフトが観察された。それにも関わらず、相対的なSNP識別は改善され、rUAプライマー(配列番号256)に対して24.2サイクルのデルタCpが見られた。SMAD7遺伝子のこの領域に関して、「T」対立遺伝子は切断可能なRNA塩基の部位に「ATリッチな」連なりを作出し、この配列は低い熱的安定性を有する。+2位でのミスマッチの存在は、より高い安定性の「C」対立遺伝子より「T」対立遺伝子に対してずっと大きく、この領域中の構造を不安定化させるはずであり、これは、「T」標的に対する「T」対立遺伝子プローブに対して観察されたCの増加を説明する。しかしながら、C値のこのシフトはアッセイの有用性を制限しない。ブロックされた切断可能なプライマーの固有の増加した特異性に鑑みれば(実施例11参照)、60から80又はそれ以上のサイクルまで反応を定型的に伸長させることに伴う問題は存在しないはずである。ある種の設定では、二重ミスマッチフォーマットの増加した識別能は、より低い総反応効率を受容するのに十分な値である。SMAD7「T」対立遺伝子のような「ATリッチ」領域では、+3位に二重ミスマッチを配置し、切断可能なリボヌクレオチドからその崩壊効果をさらに取り除くことも有用であり得る。
切断可能なブロックされたプライマーを用いたSNP部位でのPCR増幅によって作製された反応産物の特定
PCR又は何れかのプライマー伸長用途において使用する場合、塩基ミスマッチ(SNP部位)がブロックされた切断可能プライマー中のリボヌクレオチド残基に直接配置されていれば、RNA塩基に対して5’に起こる切断現象がテンプレート核酸中に存在する塩基バリアントを再生するプライマー伸長産物をもたらす。RNA塩基に対して3’で起こる切断現象は、産物をプライマー中に存在するRNA残基へ変化させるプライマー伸長産物をもたらし、その後のPCRサイクルで複製される誤りを作出する。従って、リボヌクレオチドの3’側での切断は望ましくない現象である。PCRの莫大な増幅能に鑑みれば、3’切断の少量でさえ、配列の誤りを含有する産物の相当な量の蓄積をもたらし得る。例えば、0.1%の割合での切断は、RNA残基の部位に「誤った」塩基を有する分子を1000分子のうち1つもたらし、次いで、これは、その後のPCRサイクルで「完全なマッチ」として検出可能である。これは、qPCR反応での10サイクルシフト(デルタC=10)に等しい。実施例13に教示されているデザインパラメータを用いると、SNP識別に対するサイクルシフトは5から15まで変動した。従って、望ましくない予想外の3’切断の少量が、SNP検査の間に実施例13で見られた遅延した偽陽性シグナルを容易に説明し得る。
対立遺伝子特異的なSNP識別反応中の偽陽性シグナルは2つの源から生じ得る。まず、ミスマッチに関わらず、RNA塩基の5’側の「正常な」RNアーゼH2切断部位で進行する非効率な切断(図3)。この反応は、最初の標的と同じプライマー伸長産物をもたらす。第二に、対立遺伝子特異的なSNP識別反応中での偽陽性シグナルは、RNA塩基の3’側の何れかの場所の「異常な」位置での非効率的な切断からも生じ得る。この反応は、プライマーと同じプライマー伸長産物を生成し、これは、その後、この同じプライマーを用いて高い効率で増幅する。第一のシナリオが正しければ対立遺伝子「B」標的とともに対立遺伝子「A」プライマーを用いて行われた反応から得られる産物は殆ど対立遺伝子「B」産物を産生するはずであり、これは、対立遺伝子「A」プライマーによって非効率的に増幅し続ける。第二のシナリオが正しければ対立遺伝子「B」標的とともに対立遺伝子「A」プライマーを用いて行われた反応から得られる産物は殆ど対立遺伝子「A」産物を産生するはずであり、これは、対立遺伝子「A」プライマーによって効率的に増幅する。
これらの可能性を区別するために、SMAD7「T」対立遺伝子標的DNAとともに又はSMAD7「C」対立遺伝子標的DNAとともにSMAD7「T」対立遺伝子プライマーを用いて、PCR増幅の第一巡が行われる再増幅実験を行った。反応産物を10倍希釈し、増幅の第一巡の間に反応産物中に存在するSNP塩基の種類が変化したかどうかを決定するために、「T」対「C」対立遺伝子プライマーを用いて再増幅を行った。下表53に示されている以下のプライマー及び標的DNAを使用して、SMAD7rs4939827対立遺伝子系を用いた。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。SpC3は、3’ブロッキング基として使用されたスペーサーC3である。
上記プライマーは、SMAD7遺伝子(NM 005904)の以下の85塩基対領域を標的とする。SMAD7系において純粋な標的として使用するために合成オリゴヌクレオチドを合成し、以下に示されている。プライマー結合部位には下線が付されており、SNP位置は太字の斜字体として強調表示されている。
rs4939827(SMAD7)C対立遺伝子(配列番号239)
Figure 2017104109
rs4939827(SMAD7)対立遺伝子(配列番号240)
Figure 2017104109
PCR反応は、Bio−RadSYBRGreenマスターミックスにおいて、修飾されていないRevプライマー(配列番号236)及び「T」対立遺伝子切断可能なブロックされたForプライマー(配列番号254)の200nMを用いて、10μLの容積で行った。反応は、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUとともに、合成オリゴヌクレオチド標的SMAD7「C」対立遺伝子(配列番号239)又はSMAD「T」対立遺伝子(配列番号249)の6.5×10コピーとともに、Roche Lightcycler(R)480プラットフォーム上で行った。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の80サイクルが続いた。このSNP部位で行われたqPCR増幅の結果は、下表54に示されている。
Figure 2017104109
「T」対立遺伝子プライマーは、マッチ「T」対立遺伝子標的DNA及びミスマッチ「C」対立遺伝子標的DNAを用いて行われた反応の間で13.6のデルタCを示す以前の結果と同様に機能した。
標的DNAとして上記PCR増幅から得られた反応産物の10希釈を用いて、この実験を反復した。ミスマッチ部位での切断がリボヌクレオチドの5’の予想された位置で起こったら、反応産物は「正しい」まま保たれているはずであり、「T」対立遺伝子産物は入力「T」対立遺伝子テンプレートから作製され、「C」対立遺伝子産物は入力「C」対立遺伝子テンプレートから作製される。しかしながら、何らかの相当な切断がリボヌクレオチドの3’に起これば、反応産物は、SNP部位においてプライマーの配列へ転化されるはずである。この場合には、「T」対立遺伝子産物が「C」対立遺伝子標的から作製される。
PCR反応は、Bio−RadSYBRGreenマスターミックスにおいて、修飾されていないRevプライマー(配列番号236)及び「T」対立遺伝子切断可能なブロックされたForプライマー(配列番号254)又は「C」対立遺伝子切断可能なブロックされたForプライマー(配列番号250)の200nMを用いて、10μLの容積で行った。反応は、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUありで行った。入力標的DNAは、上表54に示されている反応産物の10希釈であった。反応は95℃で5分間の浸漬から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。このSNP部位で行われたqPCR増幅の結果が、下表55に示されている。
Figure 2017104109
「T」対立遺伝子標的と「C」対立遺伝子標的の両方とともに「T」対立遺伝子プライマーを用いて以前に作製された反応産物(表54)は、現在、「T」対立遺伝子プライマーを用いたほぼ同一の増幅効率を示すのに対して、2つの異なる出発標的DNA間に、13.6のデルタCが以前に観察された。これは、類似の配列を有する産物核酸と最も合致する(すなわち、現在、両者は、主に「T」対立遺伝子である。)。この仮説と合致して、これらの試料の両方は、現在、「C」対立遺伝子プライマーを用いて、類似の遅延したCpを示す。従って、「C」対立遺伝子標的を用いて「T」対立遺伝子プライマー増幅から得られた産物の多くは「T」対立遺伝子に転化されたようであり、リボヌクレオチド塩基の3’に起こるプライマー切断現象とともに産物が生じることと合致する。「T」対立遺伝子プライマー(表54)を用いて元の増幅から得られた反応産物をサブクローニングし、DNA配列を決定した。同定された全てのクローンは、出発テンプレートが「T」対立遺伝子又は「C」対立遺伝子であるかどうかを問わず、存在する「T」対立遺伝子を有し、この結論にさらなる裏付けを追加する。
ミスマッチの識別を改善するための、切断可能なブロックされたプライマーにおける修飾されたホスホロチオアート修飾されたヌクレオチド間連結の使用
実施例24から得られた結果は、ミスマッチされたプライマー/標的の組み合わせを用いて行われたPCRが、標的の代わりに、プライマーとマッチする配列とともに産物を産生できることを示唆する。産物のこの種類をもたらす最も可能性が高いシナリオは、リボヌクレオチド残基の3’位でのミスマッチされたプライマーの切断とともに開始する。プライマーのこのドメイン中での望ましくない切断を妨げる化学的修飾の使用は、特にSNP識別における切断可能なブロックされたプライマーの性能を向上させ得る。表記されているように、リボヌクレオチドの3’の位置に配置されたヌクレアーゼ耐性ホスホロチオアート(PS)修飾されたヌクレオチド間連結を用いて、下表56に示されているように、以下のプライマーが合成された。RNA塩基に直接、PS結合を3’連結に配置することが切断効率を減少させ得ることが実施例15で確立された。従って、この修飾研究は、この部位に対してさらに3’のDNA連結に対して焦点を当てた。実施例13において以前に使用された合成アンプリコン系が使用された。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。「*」は、ホスホロチオアート(PS)修飾されたヌクレオチド間連結を示す。
標準的な構成のブロックされたRNアーゼH2切断可能プライマー(配列番号134)を、この配列のPS修飾された様式(配列番号257から60)と比較した。「Rev」プライマーのこの組みは、(実施例13において、ミスマッチ識別能を確定する際に最初に使用された)2つの異なる合成オリゴヌクレオチドテンプレートと一緒に、修飾されていない「For」プライマー(配列番号86)とともに使用した。これらのテンプレートは、完全なマッチの対照(テンプレート配列番号162)及びT/Uミスマッチ(テンプレート配列番号155)を与える。2つのテンプレート及びオリゴヌクレオチドが、マッチ対ミスマッチの領域を図解するために以下に並置されている切断可能なブロックされたプライマー(配列番号134)とともに、以下に示されている。
合成テンプレート、配列番号162(A:Uマッチ)
Figure 2017104109
合成テンプレート、配列番号155(T:Uミスマッチ)
Figure 2017104109
PCR反応は、Bio−RadSYBRGreenマスターミックスちゅうの、修飾されていないForプライマー(配列番号86)及び上に示されている異なる切断可能なブロックされたRevプライマー(配列番号134、257から260)の200nMを用いて、10μLの容積で行った。反応は、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3mUを用いて行った。入力標的DNAは、上に示されている合成標的配列の2×10コピーであった(配列番号155及び162)。反応は95℃で5分間の温置から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の45サイクルが続いた。このSNP部位で行われたqPCR増幅の結果は、下表57に示されている。
Figure 2017104109
3’「+1」位置へのPS修飾された連結の配置によって(rUC*CCC)、このアッセイでのSNP識別のほぼ5サイクルの改善がもたらされ(配列番号260対134)、リボヌクレオチドの3’のドメイン中のヌクレアーゼ安定性を増加させることがアッセイ性能を著しく改善させることができることを示している。リボヌクレオチドからさらに3’の連結の修飾は、最小限の影響を有していた。この領域中の連結の全ての修飾も有益であることが示された(rUC*C*C*C、配列番号260)、相対的なSNP識別を3サイクル改善させたが、3’+1連結で単一の修飾のみを使用するより、予想外に低い有益性を示した。これは、同じくPS修飾から生じる低下した結合親和性Tと関連している可能性があり得る。
従って、切断可能なリボヌクレオチドの3’の連結にヌクレアーゼ耐性修飾を付加することは、RNアーゼH2によって媒介される切断可能なブロックされたプライマーPCRアッセイに対してSNP識別を増加させることができる。典型的には、PS連結での2つの立体異性体(R又はS異性体)の1つだけが有益性を付与する。従って、実施例15に示されているように、ここで、キラル的に純粋なPS化合物を単離することによって、改善された活性が実現され得る。2、3例を挙げると、非キラルホスホロジチオアート連結、メチルホスホナート連結、ホスホルアミダート連結、ボラノホスファート連結及びC3スペーサーなどの塩基脱落残基などの、他のヌクレアーゼ耐性修飾がこの分野において適切であり得る。
qPQRアッセイにおける、ブロックされていない3’−ヒドロキシルを有する切断可能プライマーの使用
上記実施例において、RNアーゼH2切断の前に、プライマー伸長が起こらないようにするために、プライマーの3’末端にブロッキング基を配置させた。ある種のプライマーの設計及び用途に関しては、3’−ブロッキング基を使用する必要がなく又は望ましい場合さえあり得る。本発明者らは、プライマーの機能を保持しながら、テンプレート機能をブロックする様式で化学的に修飾されたプライマーを使用する、多項目式増幅と名付けられた核酸増幅の方法を以前に記載した。内部C3スペーサー及び内部2’OMeRNA塩基を含む様々な基をこの目的のために使用することができる。入れ子状のプライマーを用いると、高い特異性が達成され、増幅能は使用される入れ子状のプライマーの数に依存し、PCRで見られる指数関数的な増幅に代えて、多項目式増幅に従って増幅が起こる(米国特許第7,112,406号及び係属中の米国特許公開2005/0255486号及び2008/0038724号参照)。多項目式増幅プライマーの要素を本発明のRNアーゼH2切断可能ドメインと組み合わせことによって、ブロックされていない3’−ヒドロキシルを有し、プライマー伸長を支持することができるが、PCRを支持することができない新規のプライマーデザインがもたらされる。切断されると、テンプレートブロッキング基が除去され、PCRにおいて使用するためのプライマー機能が復活する。本実施例は、3’−ヒドロキシルを有する、テンプレートブロックされた切断可能なプライマーのqPCRにおける使用を示す。
下表58に示されているように、前実施例において使用された人工的な合成アンプリコンとともに使用するために、以下のプライマーを合成した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。
SpC3は、プライマーの内部又は3’末端の何れかに配置されたスペーサーC3基である。
合成アンプリコンオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号162)が、上に並置されて示されている修飾されていない及び様々な修飾された切断可能Forプライマー及び下に並置されている修飾されていないRevプライマーとともに以下に示されている。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、及び「x」はスペーサーC3基を示す。
Figure 2017104109
Bio−RadSYBRGreenマスターミックス中で、各Forプライマー(配列番号86、261から65)及び修飾されていないRevプライマー(配列番号87)の200nMを用いて、10μLの容量でPCR反応を行った。反応は、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の1.3mUあり又はなしで行った。入力標的DNAは、上に示されている合成標的(配列番号162)の2×10コピーであった。反応は95℃で5分間の温置から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の60サイクルが続いた。qPCRの増幅の結果が下表59に示されている。
Figure 2017104109
ブロックされていないプライマーは、このアッセイ系において、およそサイクル17で検出可能なシグナルを与えた。3’−ブロックされたForプライマーとともにブロックされていないRevプライマーを用いると、RNアーゼH2なしで実施された60サイクルのPCR以内にシグナルは検出されなかったが、RNアーゼH2を加えると、約17の類似のサイクル検出時間が見られた。遊離の3’−ヒドロキシル基を有する内部にブロックされたForプライマーは、3’−修飾されたプライマーと同じような挙動を示した。ブロックされていない3’−ヒドロキシルに関わらず、おそらくは、内部C3スペーサーによって課されるテンプレート機能の喪失のために、PCRでの機能のためにRNアーゼH2によるプライマー切断が必要とされた。3’末端付近に配置されたC3スペーサーも、ある程度まで、プライマーの伸長を阻害し得る。RNアーゼH2の不存在下では、シグナルは検出されなかった。RNアーゼH2を用いると、切断及び増幅が正常に進行した。
本実施例は、切断可能プライマーPCRアッセイにおいて機能するために、3’末端残基において切断可能プライマーが修飾される必要がないこと、及びテンプレート機能を破壊させる内部修飾を有するプライマーも良好に機能し得ることを示す。プライマー設計のためのこの知見の重要性に鑑み、これらの結果を一般化できることを確かめるために、ヒトゲノムDNAを使用する内在性ヒト遺伝子標的を用いて、類似の実験を行った。
下表60に示されているように、「C」対立遺伝子のみを使用して、前実施例において使用されるヒトSMAD7遺伝子を基礎として、以下のプライマーを合成した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。SpC3は、プライマーの内部(テンプレートブロック)又は3’末端(プライマーブロック)の何れかに配置されたスペーサーC3基である。
上に並置されて示されている修飾されていない及び様々な修飾された切断可能Forプライマーとともに、SMAD7アンプリコン配列(配列番号239)が以下に示されている。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、及び「x」はスペーサーC3基を示す。
Figure 2017104109
Bio−RadSYBRGreenマスターミックス中で、各Forプライマー(配列番号249から50、266から69)及び修飾されていないRevプライマー(配列番号236)の200nMを用いて、10μLの容量でPCR反応を行った。反応は、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUあり又はなしで行った。入力標的DNAは、ヒト細胞株から得られたゲノムDNA2ng(Coreill18562、SMAD7「C」対立遺伝子)であった。反応は95℃で5分間の温置から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の60サイクルが続いた。qPCRの増幅の結果が下表61に示されている。
Figure 2017104109
ブロックされていないプライマーは、ヒトゲノムDNAを使用するこのアッセイ系において約サイクル26で、検出可能なシグナルを与えた。3’−ブロックされたForプライマーとともにブロックされていないRevプライマーを用いると、RNアーゼH2なしで実施された60サイクルのPCR以内にシグナルは検出されなかったが、RNアーゼH2を加えると、約26の類似のサイクル検出時間が見られた。遊離の3’−ヒドロキシル基を有する内部にブロックされたForプライマーの全てが、3’−修飾されたプライマーと同じような挙動を示した。RNアーゼH2の不存在下では、シグナルは検出されなかった。RNアーゼH2を用いると、切断及び増幅が正常に進行し、約26サイクルで検出が起こった。
本実施例は、切断可能プライマーqPCRアッセイにおいて機能するために、切断可能プライマーが3’末端での修飾を必要としないことをさらに示す。テンプレート機能を破壊させる内部修飾を有するプライマーは、前記アッセイでプライマーとして機能するために、プライマー切断現象をなお必要とする。RNアーゼH2を用いて、単一のRNA塩基のような内部切断可能残基で切断が行われると、増幅効率は修飾されていないプライマーを用いて見られる増幅効率と同じである。ヒトゲノムDNAのような複雑な核酸試料中でPCRを実行するために、テンプレートブロックされた切断可能プライマーのこの新しい様式を使用することができる。
内部テンプレートブロッキング基及び3’−ヒドロキシルを有する切断可能プライマーはDNA合成を開始させることができる
実施例26に開示されている切断可能なテンプレートブロックされたプライマーは、オリゴヌクレオチドが線形プライマー伸長反応でプライマーとして機能するのを可能にするはずであるブロックされていない3’−水酸基を有するが、内部テンプレートブロック基は、プライマーの多くを複製できないように、PCR中での機能を妨げる。その結果、プライマー結合部位は娘産物中には存在しない。RNアーゼH2によるプライマーの切断は、テンプレートブロッキング基を含有するドメインを除去し、正常なプライマー機能を回復させる。本実施例は、これらの組成物がDNA合成を開始する機能を発揮できることを示す。
前実施例で使用された人工的な合成アンプリコン系を用いる線形プライマー伸長反応を実施するために、下表62に示されている以下のプライマーを使用した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。SpC3は、プライマーの内部又は3’末端の何れかに配置されたスペーサーC3基である。
上記Syn−Forプライマー(配列番号270)と相補的である新たに合成された103マーのオリゴヌクレオチドテンプレートを作製し、上に並置されている修飾されていない及び様々な修飾された切断可能なForプライマーとともに以下に示されている。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、及び「x」はスペーサーC3基を示す。
Figure 2017104109
上に記載されているように、上に示されている6つのForプライマーを32Pで放射線標識された。プライマー伸長反応は、1×iTaq緩衝液(20mMTrispH8.4、50mMKCl)中の、0.8UiTaqポリメラーゼ(Bio−Rad)、800μMdNTP、3mMMgCl、並びに2nMプライマー及びテンプレート(20μL反応中に、各オリゴヌクレオチドの40fmole)を用いて、20μL容量で行った。反応は95℃で5分間の温置から始まり、MJResearchPTC−100サーマルサイクラー上で、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の35サイクルが続いた。ホルムアミドゲル搭載緩衝液を含有する冷たいEDTAの添加によって、反応を停止させた。変性7M尿素、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、反応産物を分離し、Packard CycloneTM Storage Phosphor System(リン画像化装置)を用いて可視化した。各バンドの相対的強度を上記のように定量し、プライマー伸長産物に相当するバンド中に存在する全放射性物質の割合として結果をプロットした。結果が図34に示されている。
これらの反応条件下で、対照のブロックされていないプライマー(配列番号86)の61%が、より高い分子量のプライマー伸長産物へ転化された。予想通り、3’末端がブロックされた切断可能プライマー(配列番号261)は、プライマー伸長産物を一切示さなかった。同様に、内部C3基及び3’−ヒドロキシルを有するD1及びD2切断可能プライマー(配列番号262から3)も、プライマー伸長を支持しなかった。僅かに長い末端のDNAドメインを有する切断可能プライマー(D4及びD5配列、配列番号264から5)はプライマー伸長を支持し、D4は伸長産物へのプライマーの47%の転化及びD5は60%の転化を示し、修飾されていない対照プライマーと同一の反応効率である。従って、内部C3スペーサーが3’末端の極めて近くに配置されると、反応開始機能とテンプレートの機能の両方が破壊される。3’末端から4残基超離れて配置されると、テンプレート機能のみがブロックされる。
ミスマッチ識別を向上させるための、内部テンプレートブロッキング基及び3’−ヒドロキシルを有する切断可能プライマーの使用
実施例24は、RNアーゼH2によるRNA塩基の3’側でのRNA含有プライマーの切断が、qPCRSNP識別アッセイにおいて偽陽性シグナルを後に生じさせることに寄与し得る望ましくない現象である。実施例25は、ヌクレアーゼ耐性をこのドメインに付与する修飾がSNP識別を改善できることを示した。実施例26及び27に記載されている新規組成物は、RNアーゼH2切断によって除去されるドメイン中のプライマーのテンプレート機能を崩壊させる切断可能なリボヌクレオチドの3’側に内部C3基を配置する。本実施例は、RNA塩基の近くにC3スペーサー基を配置することが、修飾されていない3’−ヒドロキシルを有するプローブを「ブロックされない」状態に保つフォーマットを用いるSNP識別での切断可能プライマーの性能を向上させる。
下表63に示されているように、前実施例と同様に、ヒトSMAD7遺伝子に対して、以下のプライマーを合成した。「C」対立遺伝子に対して特異的なプライマーを作製し、「C」対立遺伝子と「T」対立遺伝子ゲノムDNA標的の両方に対して検査した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示されている。SpC3は、プライマーの内部又は3’末端の何れかに配置されたスペーサーC3基である。
その上に並置されて示されている修飾されていない及び2つの修飾された切断可能Forプライマーとともに、SMAD7アンプリコン配列(配列番号239、「C」標的)が以下に示されている。DNA塩基は大文字であり、RNA塩基は小文字であり、及び「x」はスペーサーC3基を示す。rs4939827C/TSNPの部位は、太字下線で示されている。
Figure 2017104109
同じプライマーがミスマッチSMAD7アンプリコン配列とともに並置されている(配列番号240、「T」標的)。
Figure 2017104109
Bio−RadSYBRGreenマスターミックス中で、各Forプライマー(配列番号249から50、266から69)及び修飾されていないRevプライマー(配列番号236)の200nMを用いて、10μLの容量でPCR反応を行った。反応は、RocheLightcycler(R)480プラットフォーム上で、ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の2.6mUあり又はなしで行った。入力標的DNAは、SMAD7「C」及び「T」対立遺伝子に関してホモ接合であるヒト細胞株から得たゲノムDNAの2ngであった(Coreill18562及び18537)。反応は95℃で5分間の温置から始まり、[95℃10秒間、60℃30秒間及び72℃1秒間]の75サイクルが続いた。qPCRの増幅の結果が下表64に示されている。
Figure 2017104109
修飾されていないプライマーは、非識別的でありように設計されており、両対立遺伝子を類似の効率で増幅し、約26から27サイクルで検出可能なシグナルを生成した。両切断可能プライマーは機能に関してRNアーゼH2に依存的であり、切断酵素の不存在下では、何れの対立遺伝子に対しても検出可能なシグナルを一切生成しなかった。RNアーゼH2の少量(2.6から10mU)を使用すると、3’−ブロックされた切断可能プライマー(配列番号250)は、マッチ「C」対立遺伝子に対して、約27サイクルで検出可能なシグナルを生成し、ミスマッチ「T」対立遺伝子に対しては、38から40サイクルの遅延したCを示した(10から13のデルタC)。RNアーゼH2のより大量を使用すると、特異性が失われ、両対立遺伝子は類似の効率で増幅した。リボヌクレオチドの3’に2つのC3スペーサーを有する切断可能プライマー(配列番号271)は、効率的な切断/反応開始のためにRNアーゼH2のより高いレベルを必要とし、酵素の2.6及び10mUを用いると、完全なマッチの「C」対立遺伝子に対してさえ遅延したC値を示した。RNA切断可能部位に近いこの種の修飾が酵素のより高い量を必要とすることは驚くべきことではない。実施例22は、リボヌクレオチドに隣接して2’OMe修飾を配置することが、完全な活性を達成するために、RNアーゼH2の100mUを必要とすることを示した。酵素のより多量を使用すると、効率的な切断をもたらし、RNアーゼH2の50又は200mUを用いて、約27サイクルで陽性シグナルが検出された。重要なことに、このプライマーデザインを用いると、SNP識別は顕著に改善され、2.6から50mUの濃度範囲のRNアーゼH2を用いると、「T」対立遺伝子に対するデルタCは約25サイクルであった。酵素の200mUを使用すると、ミスマッチ識別が減少したが、SNP識別は、なお、ほぼ14サイクルデルタCであった。最適な酵素濃度は50mUであり、この点で、反応開始効率は修飾されていないプライマーと類似であり、SNP識別は25.7サイクルデルタCを示した。
従って、リボヌクレオチドの付近に2つの内部C3スペーサー基及びブロックされていない3’−ヒドロキシルを有する本切断可能プライマー設計、「RDxxD」は、元のプライマー設計「RDDDD−x」(R=RNA塩基、D=DNA塩基及びx=C3スペーサー)に比べて大幅に改善されたミスマッチ識別を示した。「RDDxxD」又は「RDxxDD」などの関連する設計は、同様に改善された機能を示し得、設計の小さな最適化が、目的とするSNPの正確な配列の文脈に応じて有益であり得る。テンプレート機能を崩壊させるが、3’−ヒドロキシルを修飾されていないままにするC3スペーサーのような化学修飾基を使用することは、RNアーゼH2によるリボヌクレオチドでの切断の特異性を増強させ、SNP識別を改善する。
DNA配列決定法におけるRNアーゼH2切断可能連結プローブの使用
前実施例は、切断可能なオリゴヌクレオチドがDNA合成反応を開始させるプライマーとしての用途のための、RNAアーゼH2切断可能オリゴヌクレオチド組成物の使用を記載した。上記実施例に開示されている用途には、幾つかの異なる検出フォーマットでの終点及びリアルタイムPCRの両方が含まれる。実施例8は、DNAポリメラーゼ及びジデオキシヌクレオチド終結物質とともにサンガー配列決定法を使用するDNA決定配列用途における、切断可能プライマーの使用を示した。この事例では、RNアーゼH2によって切断可能なオリゴヌクレオチドは、プライマーとしても機能した。RNアーゼH2切断可能なオリゴヌクレオチドは、連結フォーマットアッセイにおいても使用され得る。1つのこのような用途は、切断可能な連結プローブを用いるDNA配列決定である。本実施例は、DNA配列決定での使用に適したフォーマットでの、RNアーゼH2切断可能な連結プローブの使用を示している。
未知の核酸配列中で塩基の種類を連続して調べるための(すなわち、DNA配列決定)連結プローブの使用は、記載されている(米国特許第5,750,341号及び米国特許第6,306,597号及び米国特許公開2008/0003571参照)。連結による5’から3’方向への配列決定のための基本的なスキームは、未知の核酸配列にハイブリッド形成された核酸アクセプター分子から始まる。既知の固定されたDNA塩基を5’末端に有し、未知の配列の標的核酸へのプローブの安定な核酸ハイブリッド形成を可能にするランダム塩基又はユニバーサル塩基がその後に続くこの配列に、一連の塩基検査プローブがハイブリッド形成される。ハイブリッド形成及びその後の連結反応は、連結プローブと標的間の完全な又はほぼ完全なマッチに依存する。連結の部位では、完全なマッチが必要とされる。連結は、連結部位に存在する特異的な塩基の同定を可能にする検出可能な現象をもたらす。RNアーゼH2切断可能部位が連結プローブ内に含有されている。連結後、RNアーゼH2によってプローブを切断し、プローブの多くを放出するが、新たに同定された塩基はアクセプター核酸配列に連結されたままにされ、この時点で、連結及び切断のサイクルの結果、アクセプター核酸配列は1残基延長されている。この一連の酵素的及び化学的現象は、連結、塩基の同定及び切断の複数サイクルを通じて繰り返され、これにより、未知の核酸配列が決定される。
上に引用されている特許文献は、連結によって配列決定するための方法を教示するが、連結/検出の複数サイクルを許容する連結プローブの切断及び放出を達成するためにその中に示唆されている方法は、実行が非効率であり、困難である。本発明の方法を使用するRNアーゼH2切断可能オリゴヌクレオチドは、既存の方法に対して改善を与え、より安価で、使いやすいDNJ配列決定用の切断可能な連結プローブの構築を可能にする。RNアーゼH2切断可能な連結プローブと使用するDNA配列決定のための1つのスキームが図35に示されている。
この方法におけるRNアーゼH2切断可能な連結プローブは、5’末端に固定された既知の1つのDNA塩基(又は複数の塩基)を含有する。固定された既知の塩基は、最も5’側の単一の塩基であり得、又は5’末端方向に2若しくは3若しくはそれ以上の塩基を含み得る。本実施例は、プローブの5’末端に単一のDNA塩基のみが固定される系を使用する。合成オリゴヌクレオチドは、DNAリガーゼを用いた酵素的連結を可能にするために、5’−ホスファートを有する。プローブの活性化されたアデニル化形態も使用することができる。既述のように、5’末端の最初の塩基は固定されている(既知)。従って、DNA配列決定を実行するために、4つの独立したプローブ(「A」プローブ、「C」プローブ、「T」プローブ及び「G」プローブ)が必要される。明らかに、固定された塩基の数が1より多ければ、さらに多くのプローブが必要とされる(例えば、最初の2つの塩基が固定された既知の配列として使用される場合には、16の連結プローブ(それぞれの可能なジヌクレオチドに対して1つ)が必要とされる。固定された既知のDNA残基の後の第一の塩基(この場合には、5’末端から二番目の塩基)は、RNアーゼH2によって切断可能な残基である。本実施例では、RNA塩基が使用されるが、2’ーF残基又は他の切断可能な修飾された塩基(前実施例記載されているような)も使用することができる。このプローブ中の残りの塩基は、ランダムな塩基(4つのDNA塩基の雑多な混合物)及び/又はユニバーサル塩基(イノシン、5−ニトロインドール又は当業者に周知である他のこのような基など)である。プローブの全長は通常約8から9塩基であるが、使用される具体的なリガーゼ酵素に応じて、より長い又はより短いプローブ長が可能である。T4DNAリガーゼを使用する場合、効率的なハイブリッド形成及び酵素的連結を達成するために8の長さが十分である。より長いプローブを使用することもできる。
プローブ集団の複雑さは、4(N=使用されるランダムな塩基の数)に従って増加する。例えば、プローブ「pTnNNNNNN」は5’末端に固定された「T」塩基、単一の「n」RNA塩基及び6つの「N」DNA塩基、合計7つのランダムな残基(p=ホスファート、n=RNA、N=DNA)を有する。これは、集団中に4分子の複雑さ(16,384)を与える。プローブの複雑さは、ランダムなN塩基をユニバーサル塩基の基に置換することによって減少させることができる。これは、3’末端方向で特に効果的である。例えば、3つのイノシン残基を使用することは、上記プローブを「pTnNNNIII(前記のとおり、I=イノシン)に転化させる。このプローブは、4分子の複雑性(256)を有する。16,384の複雑性を有するプローブに比べて、256の複雑性を有するプローブを用いて100%の連結を達成するためには、連結プローブの著しく低い質量の入力を必要とする。1つ又はそれ以上のユニバーサル塩基の使用が、一般に好ましい。最後に、連結プローブは、連結後に分割され得る検出可能なシグナルを与えるために、3’末端に又は3’末端付近に色素分子を有する。連結プローブそのものは、アクセプター核酸としての役割を果たすことができないように、3’修飾基は3’末端で連結をブロックする役割も果たす。
DNA配列決定でのこの設計のRNアーゼH2切断可能な連結プローブの使用は、図35に模式的に示されている。ユニバーサルなプライマー又はアクセプター核酸は、未知の核酸にハイブリッド形成される。アクセプター分子のハイブリッド形成を可能にするために、未知の配列の末端にユニバーサルなアダプター配列を付着させることが必要とされ得、この戦略は、全ての反応に対して同じアクセプター核酸を使用することを可能にする。アクセプター核酸は、連結に利用可能な3’水酸基を有さなければならない。連結プローブの混合物は、モル濃度過剰で反応中に導入され(上に記載されている8マーのイノシン含有プローブデザインに対して256倍超過剰)、酵素的連結を実施するためにT4DNAリガーゼが使用される。遊離のプローブは洗浄によって除去され、保持された蛍光シグナルが測定される。保持された色素の色が、何れのプローブ(A対G対C対T)が連結反応の間に付着されたかを特定する。次いで、プローブを切断するためにRNアーゼH2が使用され、「N」塩基及びユニバーサルな塩基を除去するが、既知の塩基はアクセプター核酸に付着されたままにする。このようにして、テンプレート内の対応する塩基の種類が決定され、アクセプター核酸は1塩基伸長され、接近可能な3’−ヒドロキシルが再び連結のために利用可能となり、プロセスのサイクリングが可能となる。
本発明の方法を使用するRNA含有蛍光性連結プローブの連結及びその後の切断を示すための代表的な合成系として、下表65に示されている以下のオリゴヌクレオチドを作製した。ここでは、連結プローブは固定された9塩基配列(「N」塩基又はユニバーサル塩基修飾なし)を有する。「CLP」という表記は、「切断可能な連結プローブ」を示す。表記「ANA」は、連結反応のために3’−ヒドロキシルアクセプター部位を提供する「アクセプター核酸」を示す。「Targ−A」は標的核酸であり、相補的な「T」連結プローブを伴う連結反応を誘導する(「CLP−T−Cy3」)。「Targ−T」は標的核酸であり、相補的な「A」連結プローブを伴う連結反応を誘導する(「CLP−A−FAM」)。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示され、「p」は5’−ホスファートである。TRは、蛍光性色素テキサスレッドである。Cy5は、蛍光性色素シアニン−5である。Cy3は、蛍光性色素シアニン−3である。FAMは、蛍光性色素6−カルボキシフルオレセインである。Targ−AとTarg−T間での塩基変動の位置には下線が付されており、対応する連結プローブの5’塩基に対して相補的である。
図36は、上に示されている合成オリゴヌクレオチド配列を用いて、連結−切断反応サイクルに対して予想された結果を示す。「Targ−A」(配列番号277)は「CLP−T−Cy3」プローブ(配列番号275)のハイブリッド形成及び連結を誘導するのに対して、「Targ−T」(配列番号278)は「CLP−A−FAM」プローブ(配列番号274)のハイブリッド形成及び連結を誘導する。反応が高い特異性を有すると仮定すると、残りの2つの連結プローブは、この実験では、マッチする標的を有しておらず、従って、連結反応には参加しないはずである。連結後、「ANA」+「CLP」産物の新たに形成された融合はRNアーゼH2に対する基質になる。RNアーゼH2による切断は連結プローブの3’末端の放出をもたらし(RNA塩基及び蛍光性レポーター色素を含む。)をもたらし、「ANA」分子を1塩基だけ長くする。
「T」標的核酸(配列番号278)又は「A」標的核酸(配列番号277)及び「ANA」アクセプター核酸(配列番号276)を1.75μMで混合し、4つの連結プローブの全て(配列番号272から75)を、3.5μM(それぞれ)の濃度になるように、80μLの容量のT4DNAリガーゼ緩衝液(50mMTris−HClpH7.5、10mMMgCl、10mMジチオスレイトール1mMATP)に添加し、70℃まで3分間加熱し、25℃までゆっくり冷却した。T4DNAリガーゼの140ユニットあり又はなしで、37℃で5分間、連結反応を温置した。65℃で10分間加熱することによって、反応を停止させた。次いで、RNアーゼH2緩衝液[Tris−HCl pH8.0(最終濃度10mM)、NaCl(最終濃度50mM)、MgCl(最終濃度4mM)]を添加して、反応容積を200μLになるように調整し、RNアーゼH2の20ユニットを各チューブに添加した。60℃で30分間、反応混合物を温置した後、SephadexG25カラム上で脱塩し、試料を凍結乾燥した。試料を水70μL中で再水和させ、20%アクリルアミド、7M尿素、変性ゲル上で分取試料10μLを分析した後、GelStar染色(#50535 GelStar Nucleic Acid Gel Stain, Lonza)を用いて可視化した。必要に応じて質量分析法又は他の方法などの将来の検査のために、反応の残りを−20℃で保存した。
ゲルの画像が図37に示されている。レーン1及び5は、サイズマーカー(レーンM)と比較した移動を可視化するために、酵素の不存在下での成分オリゴヌクレオチドを示す。レーン2及び3は、T4DNAリガーゼの存在下で、4つの切断連結プローブ(配列番号272から75)とともにTarg−A(配列番号277)が温置された2つ組みの反応である。CLP−T−Cy3(配列番号275)との連結を表すアクセプター核酸(ANA、配列番号276)の上方へのサイズシフトが明瞭に見られ、連結産物として同定される。正しいCLP−T−Cy3プローブとの特異的な連結が起こり、他の3プローブ(ミスマッチされた塩基)との連結は起こらず、これは、色素の色の視覚的検査によって確認され(これは、図37に示されている白黒の画像では認められない。)、質量分析法によってさらに確認された。同様に、レーン7及び8は、T4DNAリガーゼの存在下で、4つの切断連結プローブ(配列番号272から75)とともにTarg−T(配列番号278)が温置された2つ組みの反応である。CLP−A−FAM(配列番号274)との連結を表すアクセプター核酸(ANA、配列番号276)の上方へのサイズシフトが明瞭に見られ、連結産物として同定される。正しいCLP−T−FANプローブとの特異的な連結が起こり、他の3つのプローブ(ミスマッチされた塩基)との連結は起こらず、これは、色素の色の視覚的検査によって再度確認され、質量分析法によって確認された。最後に、レーン4及び8は、RNアーゼH2で処理されたときに、これらの連結産物のサイズが低下することを示しており、切断が起こったことを示唆する。生じたバンドは、元のANAバンドと比較して僅かに低下した移動度を示し、この新しい種が最初の材料より長いことを示唆することが注目される。質量分析法は、レーン4及び8の反応産物の実際の質量が最初のANA核酸の予想される1塩基伸長と合致すること、正しい塩基が挿入されたこと、及び新しい「ANA+1」種が3’−ヒドロキシルを有することを確認した。この時点で、新たなANA+1種が連結/切断の第二のサイクルのために調製される。
従って、本実施例は、短いRNA含有短プローブが相補的標的核酸の存在下で、アクセプター核酸へ特異的に連結され得ることを示した。連結は、連結プローブの5’末端塩基にマッチするテンプレート塩基の種類に対して感受性であり、正しい相補的なプローブの特異的連結を異なるプローブ配列の雑多な混合物内から検出することができる。最後に、RNアーゼH2は、RNA塩基の5’側で連結プローブを切断し、プローブの多くを放出させることができ、1塩基だけ長さが伸長したアクセプター核酸分子をもたらし得る。伸長されたアクセプター核酸は3’−ヒドロキシルを含有し、連結/切断の反復サイクルにおいて使用することができる。
RNアーゼH2によって切断可能な連結プローブにおけるユニバーサル塩基の使用
上記実施例29では、切断可能な連結プローブにおいて、5’−ニトロインドール又はイノシンなどのユニバーサルな塩基を使用できることが提案された。本実施例は、プローブ配列が固定されている(ランダムなN−塩基を含有しない)モデル系における、ユニバーサル塩基5−ニトロインドールの使用を示す。実施例29における合成プローブ/テンプレート系を基礎として、下表66に示されているオリゴヌクレオチドを合成した。切断連結プローブは、5’−ホスファート、(「T」標的への連結を誘導するための)5’末端の「A」塩基、単一のリボヌクレオチド及び2又は3の追加の固定されたDNA塩基を有する8マートしてデザインされた。3’末端方向に、3つ又は4つの5−ニトロインドール塩基を配置した。FAM蛍光色素を3’末端に付着させた。実施例29と同じアクセプター核酸(ANA)及びT−標的核酸を使用した。本実施例のためのオリゴヌクレオチド成分の並置を示す反応スキームが図38に示されている。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示され、「p」は5’−ホスファートである。「X」は、ユニバーサル塩基5−ニトロインドールである。FAMは、蛍光性色素6−カルボキシフルオレセインである。連結プローブの5’末端との塩基ハイブリッド形成の位置には、標的上に下線が付されている。
「T」標的核酸(配列番号278)及び「ANA」アクセプター核酸(配列番号276)を、T4DNAリガーゼ緩衝液(50mMTris−HCl pH7.5、10mMMgCl、10mMジチオスレイトール、1mMATP)中の3X又は4X5’−ニトロインドール含有CLP(切断可能な連結プローブ、配列番号279から80)と2μMで混合した。反応を70℃で5分間加熱し、25℃までゆっくり冷却した。7.5から120ユニットの範囲で、T4DNAリガーゼ(New England Biolabs)を添加し、25又は37℃で5分間、連結反応を温置した。50mMの最終濃度になるようにEDTAを添加することによって、反応を停止させた。最終反応容量は50μLであった。90%ホルムアミド、1×TBE搭載緩衝液の等容量を各試料に添加し、次いで、70℃で3分間熱変性させ、氷上で冷却した。変性7M尿素、20%ポリアクリルアミドゲル上で、試料を分離した。GelStarTM染色を用いてゲルを染色し、UV励起で可視化した。ゲルの画像が図39に示されている。
3つの5−ニトロインドールユニバーサル塩基を有する8マーの切断可能な連結プローブ(配列番号279)は良好に機能し、より高い酵素量(60から120ユニットのT4DNAリガーゼ)を用いると、ほぼ100%連結効率を示した。これに対して、4つの5−ニトロインドールユニバーサル塩基を有する8マーの切断可能な連結プローブ(配列番号280)は、酵素の何れの量を用いても、アクセプター核酸に連結しなかった。25℃及び37℃でも、同じ結果が見られ、反応性のこの差が2つのプローブのTの差に関連しないことを示唆する。異なる反応性はT4DNAリガーゼ酵素の基質選好性に関連する可能性がより高い。本実施例は、8マーの連結プローブの3’末端に3つの5−ニトロインドール塩基を配置することができ、優れた機能を保持できることを示す。9マーの連結プローブを用いて、この同じ実験を繰り返した。この場合には、「6つのDNA+3つの5−ニトロインドール塩基」を有するプローブ及び「5つのDNA+4つの5−ニトロインドール塩基」を有するプローブは何れも、T4DNAリガーゼに対する基質であるが、「4つの塩基+5つの5−ニトロインドール塩基」を有するプローブは基質でなく(示されず)、良好に機能するために、連結プローブの5’末端方向にT4DNAリガーゼが5つの固定されたDNA塩基を必要とするという考え方及びこの要件を満たした後に、5’−ニトロインドール塩基を導入することができるという考え方と合致する。正確な最適なプローブのデザインは、異なるリガーゼ酵素とともに変動し得る。
連結プローブのより低い複雑性プールの合成を可能にするので、これらの知見は重要である。
RNアーゼH2によって切断可能な連結プローブにおけるランダム塩基及びユニバーサル塩基の使用
実施例29及び30は、プローブ配列の一部又は全部が標的と完全にマッチするRNアーゼH2によって切断可能な連結プローブの使用を示した。未知の配列の核酸を配列決定する際に、プローブハイブリッド形成が遭遇される何れの配列に対しても起こり得るように、主としてランダム塩基を含有するプローブを使用することが必要である。本実施例は、ランダム塩基(Nマー)ドメイン、ユニバーサル塩基(5−ニトロインドール)ドメイン及び5’塩基に単一の固定されたDNA塩基のみを有する8マーの切断可能な連結プローブの使用を示す。表67に示されている以下のオリゴヌクレオチドを使用した。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字で示されている。RNA塩基は小文字で示され、「p」は5’−ホスファートである。「N」は、DNA塩基A、G、C及びTのランダムな混合を表す。「n」は、RNA塩基A、G、C及びUのランダムな混合を表す。「X」は、ユニバーサル塩基5−ニトロインドールである。FAMは、蛍光性色素6−カルボキシフルオレセインである。Cy5は、蛍光性色素シアニン−5である。Cy3は、蛍光性色素シアニン−3である。連結プローブの5’末端との塩基ハイブリッド形成の位置には、標的上に下線が付されている。
「T」標的核酸(配列番号278)及び「ANA」アクセプター核酸(配列番号276)を、それぞれ0.4μMの最終濃度で一緒に混合し、50μLの最終反応容量で、T4DNAリガーゼ緩衝液中に、50μMの最終濃度で(標的及びアクセプターの125倍過剰)個別に、3つの切断可能な連結プローブ(配列番号281から83)を添加した。反応を70℃まで5分間加熱し、25℃までゆっくり冷却した。T4DNAリガーゼを添加し(400℃)、連結反応を37℃で30分間温置した。65℃で10分間加熱することによって反応を停止させた後、SephadexG25カラム上で脱塩し、その後、試料を凍結乾燥し、90%ホルムアミド、1×TBE搭載緩衝液の10μLと混合された水10μL中に再水和させた。70℃で3分間、試料を熱変性させ、氷上で冷却した。20%アクリルアミド7M尿素変性ゲル上で反応産物を分離させた後、UV透光とともにGelStar染色を使用して可視化した(50535 GelStar Nucleic Acid Gel Stain, Lonza)。結果が図40に示されている。
標的核酸は、連結点に相補的な部位に「T」塩基を含有した。このテンプレートは、「A−FAN」連結プローブ(配列番号281)の連結を正しく誘導したが、ミスマッチ「T−Cy3」(配列番号282)又は「G−Cy5」(配列番号283)連結プローブの誘導は正しく誘導しなかった。連結の特異性は、その他はランダム「N」塩基又はユニバーサル5−ニトロインドール塩基を含む連結プローブの5’末端の単一の固定されたDNA塩基によって誘導された。標的及びアクセプター核酸に対して125倍モル濃度過剰で、連結プローブを連結反応に添加した。連結プローブは4塩基の「N」ドメインを含有するので、核酸混合物の複雑性は4(256)であった。従って、反応は、入力アクセプター核酸の約50%のみと連結するのに十分な完全にマッチしたプローブを理論的には含有した。図40中の相対蛍光画像から、より長い連結産物種にアクセプターの約半分が存在し、半分が未反応であったことが明瞭であり、反応が予想通り進行したことを示唆する。ミスマッチされた配列が何らかの相当な効率でアクセプターに連結すれば、連結プローブの125倍過剰はアクセプター核酸分子の50%超と反応した可能性が最も大きいが、これは観察されなかった。従って、このデザインの切断可能な連結プローブを使用する連結反応は、効率的且つ特異的であった。
オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)におけるRNアーゼH2によって切断可能なプローブの使用
DNA配列決定での切断可能な連結プローブの使用は、アッセイのこの一般的なクラスに対して可能なフォーマット/用途の1つに過ぎない。配列決定用途は、標的核酸が未知の配列という点で特有である。より典型的には、オリゴヌクレオチド連結アッセイは、目的の試料核酸内に既知の核酸配列が存在するか又は存在しないかを決定するために使用される。例えば、OLAは、ヒトDNAのバックグラウンドにおいて病原性生物に対して特異的な核酸配列の存在を検出するために使用することができる。別の例は、特異的な標的核酸遺伝子座における既知の所定の多型の存在又は不存在を決定することである(例えば、対立遺伝子識別アッセイ又はSNPアッセイ)。これらの用途の全てにおいて、1つの連結プローブは、最も3’側の又は5’側の塩基がSNP部位と並置するように配置され、第二の完全にマッチする核酸は、プローブ配列がSNP塩基に対してマッチすれば、連結現象が起こり得るように隣接して配置されている。プローブ配列がSNP塩基に対してミスマッチであれば、連結は阻害される。連結現象は、検出可能な種の形成をもたらす。
本発明の新規RNアーゼH2切断可能な連結オリゴヌクレオチドプローブの有用性を示すために、対立遺伝子識別(SNP)アッセイが本実施例に示されている。本実施例において示されている配列デザインは、アクセプター連結プローブの3’末端方向にSNP部位を配置する。
伝統的なOLAは、2つの対立遺伝子を識別するために3つの合成オリゴヌクレオチドを使用する(図41A)。SNP部位が「C」対立遺伝子及び「A」対立遺伝子を含む場合には、2つのアクセプターオリゴヌクレオチド(1つは「G」塩基(C対立遺伝子に対するマッチ)を有し及び1つは「T」塩基(A対立遺伝子に対するマッチ)を有する。)が必要とされる。アクセプターオリゴヌクレオチドは、遊離の3’水酸基を有する。標的にハイブリッド形成して、連結プローブの3’末端にその5’末端を隣接して配置する第三のオリゴヌクレオチド(ドナー核酸)が使用される。アクセプター核酸は5’−ホスファートを有し、一般に、連結反応に参加できないように、ドナーオリゴヌクレオチドの3’末端がブロックされている。このようにして、標的上でのアクセプター及びドナープローブの完全なマッチのハイブリッド形成は、アクセプターの3’−ヒドロキシルをドナーの5’−ホスファートの間での連結を可能にする「ヘッド・トゥー・テール」様式で2つのオリゴヌクレオチドを配置させる(図41B)。これに対して、SNP部位のミスマッチはこの構造を破壊し、連結を阻害する。伝統的なOLAでは、ハイブリッド形成/連結の時点で1回、SNP塩基の正体が調べられ、特異性は、完全にマッチする種に対して連結を行うが、ミスマッチされない種に対しては連結しないDNAリガーゼの能力に完全に依存している。典型的には、3つのオリゴヌクレオチド(2つの連結プローブ及びアクセプター)は、同じ条件下で、標的核酸と一緒に機能できるように、類似のTを有する。
本発明の新しいRNアーゼH2OLAは、2つの対立遺伝子を識別するために4つの合成核酸を使用する(図42A)。SNP部位が「C」対立遺伝子及び「A」対立遺伝子を含む場合には、2つの切断可能なアクセプター連結プローブ(1つは「G」塩基(C対立遺伝子に対するマッチ)を有し及び1つは「T」塩基(A対立遺伝子に対するマッチ)を有する。)がこの実施形態で必要とされる。切断可能なアクセプター連結プローブは、標的SNP部位の塩基と相補的な又は相補的でない(マッチ対ミスマッチ)ように並置された分子の3’末端方向に配置された単一のRNA塩基を有する。RNA塩基の3’に、さらなるDNA塩基(好ましくは、全て標的に対して相補的である4つのDNA塩基)が配置されており、連結を妨げるために、ブロッキング基が3’末端に配置されている。切断可能な連結プローブの一般的なデザインと機能は、qPCRフォーマットSNP識別アッセイにおいて、実施例13で示された切断可能プライマーと類似する。切断可能な連結プローブは、RNアーゼH2切断部位におけるSNP識別を改善するために、上記実施例に概説されているように、化学的に修飾された様々な塩基及び塩基脱落残基を用いてデザインすることもできる(実施例22、23、25及び28)。好ましくは、切断可能な連結プローブは、酵素に対する最適な温度範囲で、切断可能なプローブの標的とのハイブリッド形成することを可能にするために、(RNアーゼH2切断緩衝液中で)60から70℃の範囲のTmを有するように設計されている。
伝統的なOLAフォーマットと異なり、RNアーゼH2OLAフォーマット中のドナーオリゴヌクレオチドは、SNP検査プローブでもある。従って、2つのドナープローブ(1つは「G」塩基(C対立遺伝子に対するマッチ)を有し及び1つは「T」塩基(A対立遺伝子に対するマッチ)を有する。)が必要とされる。何れのドナープローブも、連結を可能にするために5’末端にホスファートを有しており、場合によって、3’末端でブロックされている(図42A)。2つのドナー連結プローブは、反応温度の調節によって、標的核酸との切断可能な連結プローブ及びドナー連結プローブのハイブリッド形成が異なって制御され得るように、RNアーゼH2によって切断可能な連結プローブより低いTを有し得る。このアッセイフォーマットにおけるこれらのドナープローブは、RNアーゼH2と相互作用しない。
RNアーゼH2OLAを実施するために、4つのOLAプローブ全てを、RNアーゼH2活性と適合的な緩衝液中において、標的核酸の存在下で混合する(上記実施例参照)。好ましくは、これは、約60から70℃で行われる。RNアーゼH2によって切断可能なアクセプターオリゴヌクレオチドは標的核酸に対して相補的であり、これらの条件下で、標的核酸にハイブリッド形成する。アクセプタープローブのRNA塩基及び標的SNP部位の塩基がマッチすれば、RNアーゼH2切断が起こり得る(図42B)。ドナー連結プローブ(非切断可能プローブ)が切断可能なプローブより低いTを有することが好ましい。次いで、非切断可能なドナープローブが標的とハイブリッド形成しない、非切断可能なドナープローブのTより十分に高い温度で、反応の第一段階(アクセプターオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成及びRNアーゼH2による切断)を実施することができる。RNアーゼH2によるアクセプタープローブの切断はRNA塩基を除去し、SNP部位を露出させて、SNP部位が非切断可能な連結プローブ(ドナーオリゴヌクレオチド)とハイブリッド形成のために利用可能となる。
PLAのRNアーゼH2切断相が完了したら、標的への非切断可能な連結プローブのハイブリッド形成を可能にするために反応温度を低下させる。ドナープローブの5’末端の塩基がSNP部位の部位と対合すれば、DNAリガーゼの存在下において、非切断可能プローブの5’末端は隣接する切断されたプローブの3’末端に連結する(図42B)。従って、RNアーゼH2OLAアッセイは、SNP部位の塩基の種類を2回(アクセプターオリゴヌクレオチドプローブのRNアーゼH2媒介性切断の間に1回及び連結反応で再度)調べる(図42C)。2つの異なる酵素現象によってSNP塩基の種類を二重に調査することによって、伝統的なOLAを用いて達成できるより大きな特異性を与える。
OLAにおけるRNアーゼH2切断可能なプローブを用いたSNP識別
OLA産物の検出を可能にする様々な方法が存在する。本実施例では、実施例32に概説されているようにRHアーゼH2OLA対立遺伝子識別アッセイを実施するために、ビーズ捕捉アッセイフォーマットにおいて蛍光検出が行われる。LuminexL100検出系(Luminex, Austin, TX)で検出するLuminexxMAP蛍光性マイクロビーズ系とともに使用するのに適合的な配列を設計した。
カルボジイミドカップリング化学を用いてカルボキシラートxMAP蛍光ビーズへの連結を可能にするために、5’−アミノ修飾子を用いて、「OLA−C−アンチタグ」及び「OLA−T−アンチタグ」配列(配列番号284から5)を作製した。連結反応中でドナーオリゴヌクレオチドとしての役割を果たす「OLA−T−タグ」及び「OLA−C−タグ」配列(配列番号288から9)は、5’末端の方向に、標的配列に相補的である12塩基配列を有しており、SNP部位(C/T)塩基を5’末端に配置する。これらの12塩基ドメインに対するTは、(10mMMg++を含有する緩衝液中で)50から53℃であると推定される。両配列は、連結を可能にするために5’−ホスファートを有する。これらの配列の3’末端は、「アンチタグ」配列に相補的な「タグ」配列であり、ハイブリッド形成によるアンチタグを有するビーズへの捕捉を可能にする。「OLA−C」及び「OLA−T」プローブ(配列番号286から7)はアクセプター断片としての役割を果たし、標的に対して相補的であり、単一のリボヌクレオチド塩基(rC又はrU)をSNP部位に配置する。切断可能な連結プローブに対するTは、(10mMMg++を含有する緩衝液中で)約75であると推定される。オリゴヌクレオチドプローブは何れも、5’末端にビオチンを有しており、これにより、LuminexL100系による検出のために、レポーター色素ストレプトアビジン−フィコエリトリンの結合が可能になる。本実施例では、「C」対立遺伝子(標的中のG塩基、配列番号290)及び「T」対立遺伝子(表的中のA塩基、配列番号291)に対応する合成98マーオリゴヌクレオチド標的を使用した。配列番号284から291に対応する配列が、下表68に示されている。このアッセイ中の様々な工程の間における異なるプローブ、標的、タグ及びアンチタグ配列の並置及び相互作用が図43に示されている。
Figure 2017104109
DNA塩基は大文字である。RNA塩基は小文字である。ビオチンは、ビオチン−TEG基である。Xは、C3スペーサーを表す。OLAC/Tタグオリゴヌクレオチドに関しては、「タグ」であり、「アンチタグ」配列を結合する配列の部分には下線が付されている。調査されている標的配列のSNPの部位には、下線が付され、太字で記載されている。
xMAP小球体へのアンチタグオリゴのカップリング。暗所にて90分間、室温で、0.1MMES、pH4.5緩衝液(M−8250Sigma−Aldritch)中の3mg/mLN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(03449−1G、SigmaAldritch)を用いて、1.25×10のxMAPMulti−Analyte COOH Microspheres(L100−C127−01及びL100−C138−01,Luminex, Austin, TX)に、5’アミノ基を含有するアンチタグオリゴヌクレオチドを連結させた(修飾された製造業者のプロトコール)。カップリング後に、0.02%Tween20で小球体を1回、次いで、0.1%SDSで1回洗浄した。TEpH7.5の200μL中に、小球体を再懸濁した。小球体の濃度は、光学顕微鏡(Nikon TMS, Freyer Company, Carpentersville, IL)下で、血球計算器を用いて計数することによって測定した。5’ビオチン修飾を含有する相補的なオリゴヌクレオチドの25から250fmoleをハイブリッド形成させ、2μg/mLのストレプトアビジンR−フィコエリトリン連結物(S866 1 mg/mL, Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いてハイブリッドを検出することによって、カップリングの成功を測定した。平均蛍光強度は、濃度依存的な様式で増加しなければならなかった。2つのアンチタグ配列間に、交叉ハイブリッド形成は観察されなかった。
OLAアッセイ。250nMの最終濃度で、rs4939827OLAC及びrs4939827OLATオリゴ(配列番号286から7)、及び20mMTris−HCl(25℃でpH7.6)25mMKAc、10mMMgAc、10mMDTT、1mMNAD及び0.1%TritonX−100緩衝液(TaqDNAリガーゼ緩衝液、New England Biolabs、Ipswithc、MA)中に125nMのC、T又はC/Tミックステンプレートオリゴヌクレオチド(配列番号290から91)を含有するRNアーゼH2消化混合物(10μL)を調製した。ピロコッカス・アビッシイRNアーゼH2の5mUあり又はなしで、65℃で30分間、試料を温置した。各RNアーゼH2消化反応のために、20mMTris−HCl(25℃でpH7.6)、25mMKAc、10mMMgAc、10mMDTT、1mMNAD及び0.1%TritonX−100の最終緩衝液組成を維持しながら、TaqDNAリガーゼ(New England Biolabs, Ipswitch, MA)の40Uあり又はなしで、rs4939827OLA12Cタグ2.5pmole及び2.5pmoleのrs4939827OLA12Tタグオリゴヌクレオチド(配列番号288から9)(各オリゴに対して、100nMの最終濃度)を添加することによって、25μLまで容量を増加させた。連結反応物は45℃で30分間温置した。
蛍光ビーズ上での連結産物の捕捉及びシグナルの検出。各種類の100ビーズ/μLの密度で、各連結混合物10μLをHOの15μL及びxMAPビーズ混合物(ビーズの組み127及び128)の25μと組み合わせた。試料を70℃まで90秒間加熱し、続いて、50℃で30分間加熱した。Millipore Multiscreenろ過プレート(MABVN1250, Millipore, Bedford, MA)に試料を移し、50℃の0.2MNaCl、0.1MTris pH8.0、0.08%TritonX−100緩衝液100μLで2回洗浄した。ストレプトアビジン−Rフィコエリトリン(S8661mg/mL、Invitrogen、Carlsbad,CA)の2μg/mL溶液の75μLとともに、微小球体を50℃で15分間温置した。LuminexL100検出系(Luminex,Austin,TX)上で、平均蛍光を測定した。
結果が図44に示されている。「C」対立遺伝子アンチタグ配列を有する蛍光ビーズは、「C」対立遺伝子標的又は「C/T」混合物の存在下で、反応が実行されたときのみ、陽性蛍光シグナルを示した。「T」対立遺伝子アンチタグ配列を有する蛍光ビーズは、「T」対立遺伝子標的又は「C/T」混合物の存在下で、反応が実行されたときのみ、陽性蛍光シグナルを示した。シグナルはRNアーゼH2の使用に依存し、標的DNAの不存在下では観察されなかった。従って、本発明のRNアーゼH2切断可能オリゴヌクレオチド連結アッセイは、高度に特異的な様式で、標的DNA中に存在するC/TSNPの存在を識別するのに有効であることが示された。
さらなる確認
公報、特許出願及び特許を含む本明細書に引用されている全ての参考文献は、あたかも、各参考文献が参照により、個別的及び具体的に組み込まれると記されており、その全体が本明細書に記載されているのと同じ程度まで、参照により、本明細書に組み込まれる。
本発明の記載における(特に、以下の特許請求の範囲において)「a」及び「an」及び「the」という用語及び類似の表記の使用は、本明細書に別段の記載がなければ又は文脈上明白に矛盾しなければ、単数と複数の両方を包含するものと解釈すべきである。「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」という用語は、別段の記載がなければ、オープンエンドの用語として(すなわち、「含むが、これらに限定されない」を意味する。)と解釈しなければならない。本明細書における値の範囲の表記は、本明細書に別段の記載がなければ、その範囲に属するそれぞれの個別の値を個別的に表記する省略法としての役割を意図したものに過ぎず、本明細書に個別に表記されている如く、それぞれの個別の値が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に別段の記載がなければ又は文脈上明瞭に矛盾がなければ、あらゆる適切な順序で実施することが可能である。本明細書に提供されているあらゆる全ての例又は例示的用語(例えば、「など」)の使用は、本発明をより明解にすることを意図するものに過ぎず、別段の記載がなければ、本発明の範囲に対して限定を加えるものではない。本明細書中の何れの用語も、特許請求の範囲に記載されていない何れかの要素を本発明の実施にとって不可欠であることを示すものと解釈すべきでない。
本発明を実施するために本発明者らに知られた最善の様式など、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。前記記載を読めば、好ましい実施形態の変形は当業者にとって自明となり得る。本発明者らは、当業者がこのような変形を適宜使用することを想定し、本発明者らは、本発明が本明細書中に具体的に記載されているものとは異なって実施されることを予定する。従って、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に表記されている主題のあらゆる改変及び均等物を含む。さらに、本明細書に別段の記載がなければ又は文脈上明確に矛盾しなければ、その全ての可能な変形における上記要素のあらゆる組み合わせが本発明によって包含される。

Claims (140)

  1. a)(i)ブロッキング基の5’に位置する切断ドメインを有するオリゴヌクレオチドプライマー(前記ブロッキング基は、前記オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端の終末に又はその付近に連結され、前記ブロッキング基はプライマーの伸長を妨げる。)、(ii)標的配列を有してもよく又は有さなくてもよい試料核酸、(iii)切断酵素並びに(iv)ポリメラーゼを含む(前記切断酵素は熱安定的であり及びより低い温度で低下した活性を有するホットスタート切断酵素である。)反応混合物を提供する工程;
    b)二本鎖基質を形成するために、標的DNA配列に前記プライマーをハイブリッド形成する工程;
    c)前記プライマーから前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、前記切断酵素を用いて、ハイブリッド形成されたプライマーを切断する工程;及び
    d)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーを伸長させる工程;
    を含む、標的DNA配列を増幅する方法。
  2. ホットスタート切断酵素がRNアーゼH酵素である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記RNアーゼH酵素がRNアーゼH2酵素である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記RNアーゼH2酵素が低下した温度でより低い活性を本来的に有しており、化学的修飾によって又は遮断抗体によって可逆的に不活化される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記切断酵素が配列特異的二本鎖エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記配列特異的二本鎖エンドヌクレアーゼが制限酵素である、請求項5に記載の方法。
  7. ブロッキング基がプライマーの3’−末端ヌクレオチドに付着されている、請求項1に記載の方法。
  8. ブロッキング基が3’−末端残基の5’に付着されている、請求項1に記載の方法。
  9. ブロッキング基が1つ又はそれ以上の塩基脱落残基又は修飾されたヌクレオシドを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 塩基脱落残基がC3スペーサーである、請求項9に記載の方法。
  11. 修飾されたヌクレオシドが2’−O−メチルリボース残基である、請求項9に記載の方法。
  12. ブロッキング基が増幅反応の検出を可能にする標識を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 標識が蛍光色素、消光物質、ビオチン又はハプテンである、請求項12に記載の方法。
  14. 標識が質量分析法による増幅反応の検出のための質量タグである、請求項12に記載の方法。
  15. 切断ドメインが3又はそれ以上のRNA残基の連続する配列である、請求項2に記載の方法。
  16. 前記切断ドメインが、以下の部分:DNA残基、塩基脱落残基、修飾されたヌクレオシド又は修飾されたホスファートヌクレオチド間連結の1つ又はそれ以上をさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 切断ドメインが単一のRNA残基又は2つの隣接するRNA残基である、請求項3に記載の方法。
  18. 切断ドメインがRNA残基を欠如する、請求項3に記載の方法。
  19. 切断ドメインが1つ又はそれ以上の2’修飾されたヌクレオシドを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記2’修飾されたヌクレオシドが単一の2’−フルオロヌクレオシドである、請求項19に記載の方法。
  21. 切断ドメインが2つの隣接する2’−フルオロヌクレオシド残基である、請求項19に記載の方法。
  22. 切断反応が、以下の二価の陽イオン:マンガン、コバルト、ニッケル又は亜鉛の1つ又はそれ以上の存在下で実施される、請求項18に記載の方法。
  23. 反応混合物中にマグネシウムも存在する、請求項22に記載の方法。
  24. 切断ドメイン内の又は切断ドメインに隣接する配列がヌクレアーゼ切断に対して耐性を有する1つ又はそれ以上のヌクレオシド間連結を含有する、請求項17に記載の方法。
  25. 前記ヌクラーゼ耐性連結が、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート又は塩基脱落残基である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記ヌクラーゼ耐性連結が切断ドメインの3’側に存在する、請求項24に記載の方法。
  27. PCRを支持するために、第一のプライマーとは逆の方向性の第二のプライマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  28. 第二のプライマーが修飾されていないDNAプライマーである、請求項27に記載の方法。
  29. 第二のプライマーがブロッキング基の5’に位置する切断ドメインを含み、前記ブロッキング基がオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端の終末に又はその付近に連結されており、前記ブロッキング基がプライマーの伸長を妨げる、請求項27に記載の方法。
  30. バリアント対立遺伝子間を識別するために、PCRアッセイが使用される、請求項27に記載の方法。
  31. バリアント対立遺伝子の検出を増強するために、第二の変異部位が切断ドメイン内に又は切断ドメインに隣接して取り込まれる、請求項30に記載の方法。
  32. バリアント対立遺伝子の検出を増強するために、修飾されたヌクレオシドが切断ドメイン内に又は切断ドメインに隣接して取り込まれる、請求項30に記載の方法。
  33. 前記修飾されたヌクレオシドが2’−O−メチルリボース残基である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記ヌクレアーゼ耐性連結が切断ドメインの3’側に取り込まれている、請求項30に記載の方法。
  35. 試料中の標的核酸配列の量を定量するために、PCRアッセイが使用される、請求項27に記載の方法。
  36. PCRアッセイがプライマー−プローブPCRアッセイである、請求項27に記載の方法。
  37. 5’標識ドメインを有するプライマーが切断ドメインを含む、請求項36に記載の方法。
  38. 切断ドメインがRNアーゼH切断ドメインである、請求項37に記載の方法。
  39. RNアーゼH切断ドメインがRNアーゼH2切断ドメインである、請求項38に記載の方法。
  40. a)(i)ブロッキング基の5’に位置する切断ドメインを有するオリゴヌクレオチドプライマー(前記ブロッキング基は、前記オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端残基の上流5’に連結され、前記ブロッキング基はプライマーの伸長を妨げる。)、(ii)標的配列を有してもよく又は有さなくてもよい試料核酸、(iii)切断酵素及び(iv)ポリメラーゼを含む反応混合物を提供する工程;
    b)二本鎖基質を形成するために、標的DNA配列に前記プライマーをハイブリッド形成する工程;
    c)前記プライマーから前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、前記切断酵素を用いて、ハイブリッド形成されたプライマーを切断する工程;及び
    d)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーを伸長させる工程;
    を含む、標的DNA配列を増幅する方法。
  41. a)プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成していないときの活性化されていない立体構造(前記活性化されていない立体構造は、1つ又はそれ以上の2’修飾されたヌクレオシド残基を含むRNアーゼH切断ドメイン及び前記プライマーの3’末端に又はその付近に連結されたブロッキング基をさらに含む。);
    b)前記プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成されているときの活性化された立体構造(前記活性化された立体構造は3’ブロッキング基を含まず、及びDNA複製を支持することができる。);
    を含む、5’末端と3’末端を有するDNA複製のためのプライマー。
  42. 前記2’修飾されたヌクレオシド残基が2’−フルオロヌクレオシドである、請求項41に記載の組成物。
  43. a)プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成していないときの活性化されていない立体構造(前記活性化されていない立体構造はRNアーゼH切断ドメイン及び標識を取り込んだプライマーの3’末端に又はその付近に連結されたブロッキング基をさらに含む。);
    b)前記プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成されているときの活性化された立体構造(前記活性化された立体構造は、3’ブロッキング基を含まず、及びDNA複製を支持することができる。);
    を含む、5’末端と3’末端を有するDNA複製のためのプライマー。
  44. a)プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成していないときの活性化されていない立体構造(前記活性化されていない立体構造はRNアーゼH切断ドメイン及び前記プライマーの3’末端ヌクレオチド残基の5‘に位置するブロッキング基をさらに含む。);
    b)前記プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成されているときの活性化された立体構造(前記活性化された立体構造は、3’ブロッキング基を含まず、及びDNA複製を支持することができる。);
    を含む、5’末端と3’末端を有するDNA複製のためのプライマー。
  45. プローブの切断が好熱性RNAseH2酵素によって媒介され、及び切断ドメインがRNA残基を欠如する、サイクリングプローブ反応を用いて試料内の標的核酸配列を検出する方法。
  46. 切断ドメインが1つ又はそれ以上の2’修飾されたヌクレオシド残基を含む、請求項45に記載の方法。
  47. 切断ドメインが1つ又はそれ以上の2’ヌクレオシド残基から構成される、請求項46に記載の方法。
  48. プローブの切断がより低い温度で低下した活性を有する好熱性ホットスタートRNAseH2酵素によって媒介される、サイクリングプローブ反応を用いて試料内の標的核酸配列を検出する方法。
  49. a)切断ドメイン及び3’末端に又は3’末端付近にブロッキング基を含むアクセプターオリゴヌクレオチドと試料を接触させる工程(前記ブロッキング基は連結を阻害する。);
    b)二本鎖基質を形成するために、標的DNA配列に前記アクセプターオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成する工程;
    c)前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、切断酵素を用いて、オリゴヌクレオチドの前記ハイブリッド形成されたアクセプターを切断する工程;及び
    d)リガーゼを用いて、前記アクセプターオリゴヌクレオチドをドナーオリゴヌクレオチドに連結する工程;
    を含む、オリゴヌクレオチド連結反応を用いて試料内の標的核酸配列を検出する方法。
  50. 前記切断ドメインがRNアーゼH2切断ドメインである、請求項49に記載の方法。
  51. 対立遺伝子バリアントを識別するためにオリゴヌクレオチド連結アッセイが使用される、請求項49に記載の方法。
  52. 前記対立遺伝子バリアントが単一のヌクレオチド多型である、請求項49に記載の方法。
  53. a)切断ドメイン及び5’末端に又は5’末端付近にブロッキング基を含むドナーオリゴヌクレオチドと試料を接触させる工程(前記ブロッキング基は連結を阻害する。);
    b)二本鎖基質を形成するために、標的DNA配列に前記ドナーオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成する工程;
    c)前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、切断酵素を用いて、前記ハイブリッド形成されたドナーオリゴヌクレオチドを切断する工程;及び
    d)リガーゼを用いて、前記ドナーオリゴヌクレオチドをアクセプターオリゴヌクレオチドに連結する工程;
    を含む、オリゴヌクレオチド連結反応を用いて試料内の標的核酸配列を検出する方法。
  54. 前記切断ドメインがRNアーゼH2切断ドメインである、請求項53に記載の方法。
  55. a)標的核酸、アクセプターオリゴヌクレオチド、ドナーオリゴヌクレオチドの組みを含む反応混合物を提供する工程(前記ドナーオリゴヌクレオチドの組みはグアニン、シトシン、アデニン及びチミンヌクレオチドに対応する4つのオリゴヌクレオチド基を含み、各オリゴヌクレオチド基は約7から11塩基長であるドナーオリゴヌクレオチドを含み、前記ドナーオリゴヌクレオチドの5’末端上の第一のドメインは1つ又は2つの塩基を含み、及び所定の組みの1つのヌクレオチド又は複数のヌクレオチドに対応し、第一のドメインの3’側の第二のドメインはRNアーゼH2酵素によって切断可能であり、第二のドメインの3’側の第三のドメインは縮重又はユニバーサル塩基を含み、並びに第四のドメインは前記ドナーオリゴヌクレオチドの3’末端に又は3’末端付近に標識及びブロッキング基(前記標識であり得る。)を含み、ドナーオリゴヌクレオチドが連結反応においてアクセプターとしての役割を果たすのを妨げる。);
    b)標的核酸配列にアクセプターオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成させる工程;
    c)標的核酸配列にドナーオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成させる工程;
    d)ドナーオリゴヌクレオチドとアクセプターオリゴヌクレオチドを連結させるために、リガーゼ酵素を導入する工程;
    e)アクセプターに連結されたドナーオリゴヌクレオチド上の標識を検出する工程;
    f)RNA又は修飾された残基の5’でドナーオリゴヌクレオチドを切断するために、RNアーゼH2酵素を導入し、ドナー分子の第一のドメインをアクセプターオリゴヌクレオチドに付着させたままにする工程;及び
    g)工程cからfを反復する工程;
    を含む、標的核酸を配列決定する方法。
  56. a)アクセプターオリゴヌクレオチド、ドナーオリゴヌクレオチドを含む反応混合物を提供する工程(前記ドナーオリゴヌクレオチドは、5’ホスファートを有し、及び5’末端に特異的塩基、隣接するRNA残基、1から8残基の3’突出部を有するヘアピン構造を含み、前記突出部は縮重又はユニバーサル塩基を含み、’末端の又は3’末端付近のブロッキング基及び標識を場合によって含む。);
    b)ドナーオリゴヌクレオチドの3’突出部にアクセプターオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成させる工程;
    c)ドナーオリゴヌクレオチドとアクセプターオリゴヌクレオチドを連結させるために、リガーゼ酵素を導入する工程;
    d)RNA残基の5’でドナーオリゴヌクレオチドを切断するために、RNアーゼH2酵素を導入し、ドナー分子の5’末端上の第一の塩基をアクセプターオリゴヌクレオチドに付着させたままにする工程;及び
    e)工程bからdを反復する工程;
    を含む、核酸を合成する方法。
  57. a)ブロッキング基の5’位置に切断ドメインを有するオリゴヌクレオチドプライマー(前記ブロッキング基は、オリゴヌクレオチドプライマーの3’末端の末端に又は末端付近に連結されており、前記ブロッキング基は、プライマー伸長を妨げる。)、試料核酸、切断酵素、ポリメラーゼ、標識されたジデオキシヌクレオチド三リン酸及び標識されていないデオキシヌクレオチド三リン酸を含む反応混合物を提供する工程;
    b)二本鎖基質を形成するために、DNA配列に前記プライマーをハイブリッド形成する工程;
    c)前記プライマーから前記ブロッキング基を除去するために、前記切断ドメイン内の又は前記切断ドメインに隣接した点において、前記切断酵素を用いて、ハイブリッド形成されたプライマーを切断する工程;及び
    d)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーを伸長させる工程;及び
    e)伸長反応において形成された5’入れ子状断片を分離する工程;
    を含む、DNA配列を決定する方法。
  58. a)蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプライマー、試料核酸、ポリメラーゼ、リボヌクレオチド三リン酸及びデオキシリボヌクレオチド三リン酸を含む反応混合物を提供する工程;
    b)二本鎖基質を形成するために、試料DNA配列に前記プライマーをハイブリッド形成させる工程;
    c)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーを伸長させる工程;
    d)伸長反応の二本鎖産物をRNアーゼH2酵素を用いて切断する工程;及び
    e)伸長反応において形成された5’入れ子状の標識された断片を分離する工程;
    を含む、DNA配列を決定する方法。
  59. a)プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成していないときの活性化されていない立体構造(前記活性化されていない立体構造は熱安定的なRNAseH切断ドメイン及びプライマーの3’末端に又はその付近に連結されたブロッキング基をさらに含む。);
    b)前記プライマーが目的のDNA配列にハイブリッド形成されているときの活性化された立体構造(前記活性化された立体構造は、3’ブロッキング基を含まず、及びDNA複製を支持することができる。);
    を含む、5’末端と3’末端を有するDNA複製のためのプライマー。
  60. 3’末端及び5’末端を有する一本鎖オリゴヌクレオチド(該一本鎖オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのRNA残基及び前記オリゴヌクレオチドの3’末端に又は3’末端付近に連結されたブロッキング基を含むリボ核酸ドメインを含む。)。
  61. リボ核酸部分が1から3個のリボ核酸塩基又は修飾されたその誘導体からなる、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  62. リボ核酸ドメインが化合物の3’末端から少なくとも3塩基に位置している、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  63. リボ核酸ドメインが化合物の3’末端から少なくとも5塩基に位置している、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  64. リボ核酸ドメインが化合物の3’末端に位置している、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  65. リボ核酸ドメインが1又は2個のRNA塩基を含む、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  66. リボ核酸ドメインが1個のRNA塩基を含む、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  67. 少なくとも1つのRNA残基が1つ又はそれ以上の修飾を含有する、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  68. 修飾が一本鎖リボヌクレアーゼによる切断及び水によって触媒される加水分解に対する耐性を付与する、請求項67に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  69. 修飾がRNA残基の2’位に存在する、請求項67に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  70. 修飾が2’フルオロ、2’アルキル、2’メチル、2’アミノ、2’LNA、2’ENA、2’チオ、2’−O−アルキル、2’−O−メチル、5’チオ、5’アミン、5’アルキル、5’メチレン、5’エチレン、3’−ホスファート及び3’−ホスファートジエステルからなる群から選択される、請求項69に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  71. 修飾がRNA塩基の3’側のホスファート基に位置する、請求項67に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  72. 修飾がRNA塩基の3’側の隣接する残基の5’位に位置する、請求項67に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  73. 修飾がホスホロチオアート、ホスホロジチオアート及びボロナートからなる群から選択される、請求項67に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  74. 修飾が5’チオ、5’アミン及び5’アルキル、5’メチレン及び5’エチレンからなる群から選択される、請求項73に記載の一本鎖オリゴヌクレチド。
  75. ブロッキング基がジデオキシヌクレオチド、3’ヒドロキシル修飾されたDNA残基、2’ヒドロキシル置換又は伸長若しくは連結を妨げることができる3’末端の又は3’末端付近の単量体の塩基基のあらゆる置換除去からなる群から選択される、請求項60に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  76. 3’ヒドロキシル修飾されたDNA残基がジデオキシ、3’−ホスファート及び3’−ホスファートジエステルからなる群から選択される、請求項75に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  77. 3’ホスファートジエステルが3’−ヒドロキシプロピルジエステルである、請求項76に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  78. 2’ヒドロキシル置換がトリイソプロピルシリル及びtert−ブチルジメチルシリルからなる群から選択される、請求項75に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  79. 1つ又はそれ以上のRNA塩基又は修飾された残基がRNアーゼH2に対する基質としての役割を果たし、プライマーの3’末端及び/又は5’末端から少なくとも8塩基離れて位置する、請求項67に記載の一本鎖オリゴヌクレオチド。
  80. a)標的核酸に対して相補的でない5’配列タグ;
    b)5’配列タグ内に又は5’配列タグの3’に位置し、及び相補的な塩基又は配列にハイブリッド形成されたときに切断可能である第一の切断ドメイン;
    c)5’配列タグ及び第一の切断ドメインの3’に位置する標的ハイブリッド形成配列(該標的ハイブリッド形成配列は、標的核酸に対して少なくとも部分的に相補的である。);
    d)ハイブリッド形成配列の3’に位置するブロッキング基(該ブロッキング基はプライマーの伸長を妨げる。);
    e)標的ハイブリッド形成配列とブロッキング基の間に位置する第二の切断ドメイン;
    を含む、5’末端と3’末端を有するDNA複製のためのオリゴヌクレオチドプライマー。
  81. 第二の切断ドメインが標的核酸に対して相補的である場合に、第二の切断ドメインがより高い速度で切断される、請求項80に記載のプライマー。
  82. a)3’末端及び5’末端、少なくとも1つのRNA残基を含むリボ核酸ドメイン及び前記オリゴヌクレオチドの3’末端に又は3’末端付近に連結されたブロッキング基を有する第一の一本鎖オリゴヌクレオチド;及び
    b)3’末端及び5’末端、第一の一本鎖オリゴヌクレオチドに実質的に相補的な領域及び標的DNA配列を有する第二の一本鎖オリゴヌクレオチド;
    を含む、二本鎖核酸化合物。
  83. 3’末端及び5’末端、1つ又はそれ以上の修飾されたヌクレオチド残基を含むRNアーゼH切断ドメイン、蛍光色素及び消光物質を有する一本鎖オリゴヌクレオチドプローブ(RNアーゼH切断ドメインは、蛍光色素と消光物質の間に位置している。)。
  84. 修飾されたヌクレオチド残基が2’フルオロ、2’アルキル、2’メチル、2’アミノ、2’LNA、2’ENA、2’チオ、2’−O−アルキル、2’−O−メチル、5’チオ、5’アミン、5’アルキル、5’メチレン、5’エチレン、3’−ホスファート及び3’−ホスファートジエステルからなる群から選択される、請求項83に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドプローブ。
  85. a)3’末端に又は3’末端付近にブロッキング基を有する少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、及び前記ブロッキング基に対して5’のRNアーゼH2切断ドメイン、標的核酸、RNアーゼH2酵素及びポリメラーゼを含む反応混合物を提供する工程;
    b)二本鎖基質を形成するために、標的核酸に少なくとも1つのプライマーをハイブリッド形成する工程;
    c)RNアーゼH2酵素を用いてブロッキング基を除去する工程;及び
    d)前記ポリメラーゼを用いて、前記プライマーオリゴヌクレオチドを伸長させる工程;
    を含む、標的核酸配列を複製する方法。
  86. 反応混合物が3’末端に又は3’末端付近にブロッキング基及び該ブロッキング基の5’にRNアーゼH切断ドメインを有する少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマーを含有する、請求項85に記載の方法。
  87. RNアーゼH2酵素が、25℃での活性レベルと比べて、75℃での活性の10倍の増加を有する、請求項85に記載の方法。
  88. ブロッキング基がキャップされた3’核酸残基である、請求項85に記載の方法。
  89. ブロッキング基がRNアーゼH2切断ドメインと3’末端の間にある、請求項85に記載の方法。
  90. ブロッキング基がC3スペーサーである、請求項89に記載の方法。
  91. 1つ又はそれ以上のC3スペーサーがRNアーゼH2切断ドメインと3’末端の間に位置しており、及びC3スペーサーの少なくとも1つがブロッキング基として作用する、請求項85に記載の方法。
  92. RNアーゼH2切断ドメインが少なくとも1つの修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項85に記載の方法。
  93. RNアーゼH2切断ドメインが2つの隣接する2’−フルオロヌクレオチドを含む、請求項85に記載の方法。
  94. a)(i)複フォワードプライマーの複数とリバースプライマーの複数を含有するプライマーの組み(フォワード又はリバースプライマーの複数の少なくとも1つは、3’末端に又は3’末端付近にブロッキング基及びブロッキング基の5’にRNアーゼH2切断ドメインを有する各プライマーを含む。)、(ii)RNアーゼH2酵素、(iii)dNPT及び(iv)核酸ポリメラーゼ酵素を含む反応混合物と標的核酸配列を接触させる工程;
    b)リバースプライマーの各々は、核酸ポリマーをテンプレートとして使用して、核酸ポリマーへハイブリッド形成し及び第一のプライマー伸長産物を形成することができ、前記第一のプライマー伸長産物はリバースプライマー配列及び構造及び標的核酸配列又はその相補物の少なくとも一部を含み;及び
    c)フォワードプライマーの各々は、第一のプライマー伸長産物をテンプレートとして使用して、第一のプライマー伸長産物へハイブリッド形成し及び第二のプライマー伸長産物を形成することができ;
    d)3’末端に又は3’末端付近にブロッキング基を含有するプライマーの複数及び相補的配列にハイブリッド形成され及び切断ドメインがRNアーゼH2酵素によって切断されるまで、前記ブロッキング基の5’のRNアーゼH2切断ドメインは伸長せず;
    e)(i)リバースプライマーが核酸ポリマーにハイブリッド形成し、及び第一のプライマー伸長産物を形成し、並びに(ii)第二のプライマー伸長産物を形成するために、フォワードプライマーが第一のプライマー伸長産物にハイブリッド形成するような条件に反応混合物を供する工程;
    f)核酸ポリマーテンプレートから第一及び第二のプライマー伸長産物を分離し、並びにさらなる第一及び第二のプライマー伸長産物が産生されるような条件下で、得られた混合物をプライマーの組みで処理する工程;及び
    g)目的のヌクレオチド配列又はその相補物の少なくとも一部が増幅されている反応混合物を提供するために、工程(f)を反復する工程;
    を含む、核酸ポリマー内の標的核酸配列を増幅する方法。
  95. RNアーゼH2切断ドメインがが化合物の3’末端から少なくとも3塩基に位置している、請求項94に記載の方法。
  96. RNアーゼH2切断ドメインが化合物の3’末端から少なくとも5塩基に位置している、請求項94に記載の方法。
  97. RNアーゼH2切断ドメインが化合物の3’末端に位置している、請求項94に記載の方法。
  98. RNアーゼH2切断ドメインが1つのRNA塩基を含む、請求項94に記載の方法。
  99. RNアーゼH2切断ドメインがプライマーの3’末端から8塩基離れており、及び少なくとも1つのRNA残基又はRNアーゼH2に対する基質としての役割を果たす少なくとも1つの修飾された残基を有する、請求項94に記載の方法。
  100. RNアーゼH2酵素が、25℃での活性レベルと比べて、75℃での活性の10倍の増加を有する、請求項94に記載の方法。
  101. ブロッキング基がキャップされた3’核酸残基である、請求項94に記載の方法。
  102. ブロッキング基がRNアーゼH2切断ドメインと3’末端の間にある、請求項94に記載の方法。
  103. ブロッキング基がC3スペーサーである、請求項102に記載の方法。
  104. 1つ又はそれ以上のC3スペーサーがRNアーゼH2切断ドメインと3’末端の間に位置しており、及びC3スペーサーの少なくとも1つがブロッキング基として作用する、請求項94に記載の方法。
  105. RNアーゼH2切断ドメインが少なくとも1つの修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、請求項94に記載の方法。
  106. RNアーゼH2切断ドメインが2つの隣接する2’−フルオロヌクレオチドを含む、請求項94に記載の方法。
  107. 両プライマーの複数中の各プライマーが3’末端に又は3’末端付近にブロッキング基及び該ブロッキング基の5’にRNアーゼH切断ドメインを含有する、請求項94に記載の方法。
  108. 標的核酸の増幅が蛍光によってモニターされ、生成された蛍光の量が標的核酸増幅の量に直接比例する、請求項94に記載の方法。
  109. 標的核酸が多項目式に増幅される、請求項94に記載の方法。
  110. 第一のプライマー伸長産物がリバースプライマーの切断ドメインを含有し、及び第二のプライマー伸長産物がリバースプライマーとハイブリッド形成するのに十分に相補的な配列を含有せず、第一のプライマー伸長産物を形成するように、第二のプライマー伸長産物の伸長が第一のプライマー伸長産物の切断ドメインにおいて終結する、請求項94に記載の方法。
  111. 第二のプライマー伸長産物がフォワードプライマーの切断ドメインを含有し、及び第一のプライマー伸長産物がフォワードプライマーとハイブリッド形成するのに十分に相補的な配列を含有せず、第二のプライマー伸長産物を形成するように、第一のプライマー伸長産物の伸長が第二のプライマー伸長産物の切断ドメインにおいて終結する、請求項94に記載の方法。
  112. a)(i)フォワードプライマーの複数とリバースプライマーの複数を含有するプライマーの組み、(ii)1つ又はそれ以上の修飾されたヌクレオチド残基、蛍光色素及び消光物質を含むRNアーゼH切断ドメインを含む3’末端及び5’末端を有するオリゴヌクレオチドプローブ(前記RNアーゼH切断ドメインは、蛍光色素と消光物質の間に位置している。)、(iii)RNアーゼH酵素、(iv)dNPT並びに(v)核酸ポリメラーゼ酵素を含む反応混合物と標的核酸配列を接触させる工程;
    b)リバースプライマーの各々は、核酸ポリマーをテンプレートとして使用して、核酸ポリマーへハイブリッド形成し及び第一のプライマー伸長産物を形成することができ、前記第一のプライマー伸長産物はリバースプライマー配列及び構造及び標的核酸配列又はその相補物の少なくとも一部を含み;及び
    c)フォワードプライマーの各々は、第一のプライマー伸長産物をテンプレートとして使用して、第一のプライマー伸長産物へハイブリッド形成し及び第二のプライマー伸長産物を形成することができ;
    d)(i)リバースプライマーが核酸ポリマーにハイブリッド形成し、及び第一のプライマー伸長産物を形成する、(ii)第二のプライマー伸長産物を形成するために、フォワードプライマーが第一のプライマー伸長産物にハイブリッド形成する、及び(iii)オリゴヌクレオチドプローブが第一又は第二のプライマー伸長産物の何れかを結合し、第一又は第二のプライマー伸長産物へのハイブリッド形成後に、RNアーゼH酵素によって、プローブがその切断ドメインにおいて切断されるような条件に、反応混合物を供する工程;
    e)プローブの切断によって生成された蛍光を測定する工程;
    f)核酸ポリマーテンプレートから第一及び第二のプライマー伸長産物を分離し、さらなる第一及び第二のプライマー伸長産物が産生されるような条件下で、得られた混合物をプライマーの組みで処理する工程;及び
    g)目的のヌクレオチド配列又はその相補物の少なくとも一部が増幅され、及びプローブの切断によって生成された蛍光を測定することによって増幅が定量される反応混合物を提供するために、工程(f)及び(g)を反復する工程;
    を含む、核酸ポリマー内の標的核酸配列の増幅を定量する方法。
  113. RNアーゼH2切断ドメインが化合物の3’末端から少なくとも3塩基に位置している、請求項112に記載の方法。
  114. RNアーゼH2切断ドメインが化合物の3’末端から少なくとも5塩基に位置している、請求項112に記載の方法。
  115. RNアーゼH2切断ドメインが化合物の3’末端に位置している、請求項112に記載の方法。
  116. RNアーゼH2切断ドメインが1つのRNA塩基を含む、請求項112に記載の方法。
  117. RNアーゼH2切断ドメインがプライマーの3’末端から8塩基離れており、少なくとも1つのRNA残基又はRNアーゼH2に対する基質としての役割を果たす少なくとも1つの修飾された残基を有する、請求項112に記載の方法。
  118. RNアーゼH2酵素が熱安定的である、請求項112に記載の方法。
  119. オリゴヌクレオチドプローブがRNアーゼH2によって切断される、請求項112に記載の方法。
  120. a)標的核酸、プライマー伸長反応混合物及びRNアーゼH2酵素を含有する試料を混合する工程;
    b)反応混合物を少なくとも1つのプライマーとともに温置する工程(前記プライマーは5’末端及び3’末端を有し、前記プライマーは(i)標的核酸に少なくとも部分的に相補的であり、及びDNA複製を支持することができる領域、(ii)プライマーが標的核酸にハイブリッド形成するときにRNアーゼH2酵素によって切断されることができ切断ドメイン、並びに該切断ドメインは、標的核酸が野生型対立遺伝子であるときに、潜在的な塩基変異部位に並置され及び潜在的塩基変異部位に対して相補的であり、(iii)プライマーの3’末端に又は3’末端付近に連結されたブロッキング基を含む。);及び
    c)その質量に基づいて、得られた産物を同定する工程;
    を含む、標的核酸試料中の単一の塩基変異を検出する方法。
  121. RNアーゼH2酵素が熱安定的である、請求項120に記載の方法。
  122. 切断ドメインが少なくとも1つのリボヌクレオチド塩基を含有する、請求項120に記載の方法。
  123. 2つのブロッキング基がプライマーの3’末端に存在する、請求項120に記載の方法。
  124. a)標的核酸、プライマー伸長反応混合物及びRNアーゼH2酵素を含有する試料を混合する工程;
    b)反応混合物を少なくとも1つのプライマーと温置する工程(前記プライマーは5’末端及び3’末端を有し、前記プライマーは(i)前記領域の5’末端上に存在する5’配列ドメイン(該5’配列ドメインは、標的核酸試料に対して非相補的であり、及び相補的塩基又は配列にハイブリッド形成されたときに、RNアーゼH2酵素によって切断されることができる第二の切断ドメインを含有する。)、(ii)前記標的核酸に対して少なくとも部分的に相補的であり、及びDNA複製を支持することができる領域、(iii)プライマーが標的核酸にハイブリッド形成するときにRNアーゼH2酵素によって切断されることができる切断ドメイン並びに該切断ドメインは潜在的塩基変異部位に並置され及び潜在的塩基変異部位に対して相補的であり、(iii)プライマーの3’末端に又は3’末端付近に連結されたブロッキング基を含む。)、及び
    c)その質量に基づいて、得られた産物を同定する工程;
    を含む、標的核酸試料中の単一の塩基変異を検出する方法。
  125. ブロッキング基が3’−末端ヌクレオチドから内部に位置している、請求項124に記載の方法。
  126. ブロッキング基がC3スペーサーである、請求項125に記載の方法。
  127. 3’末端に又は3’末端付近に、少なくとも第二のブロッキング基をさらに含む、請求項125に記載の方法。
  128. 切断ドメイン中の少なくとも1つのRNA塩基が2’フルオロ、2’アルキル、2’メチル、2’アミノ、2’LNA、2’ENA、2’チオ、2’−O−アルキル、2’−O−メチル、5’チオ、5’アミン、5’アルキル、5’メチレン、5’エチレン、3’−ホスファート及び3’−ホスファートジエステルからなる群から選択される1つ又はそれ以上の修飾されたヌクレオチド残基を含有する、請求項124に記載の方法。
  129. 反応混合物がMgCl、MnCl、CoCl又はMgClの1つ又はそれ以上の二価の陽イオンを含有する、請求項124に記載の方法。
  130. 反応混合物がMgCl及びMnClを含有する、請求項124に記載の方法。
  131. 反応混合物が3mMMgCl及び600μMMnClを含有する、請求項124に記載の方法。
  132. RNアーゼH2酵素がピロコッカス・アビッシイ(Pyrococcus abyssi)、スルフォロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus solfataricus)、メタノカルドコッカス・ジャンナシイ(Methanocaldococcus jannaschii)、ピロコッカス・コダカラエンシス(Pyrococcus kodakaraensis)及びピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)を含む群から得られる、請求項124に記載の方法。
  133. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5を含む単離された熱安定的リボヌクレアーゼH酵素。
  134. a)標的核酸及びアクセプターオリゴヌクレオチド、ドナーオリゴヌクレオチドの組み(前記ドナーオリゴヌクレオチドの組みは、グアニン、シトシン、アデニン及びチミンヌクレオチドに対応する4つのオリゴヌクレオチド基を含み、各オリゴヌクレオチド基は、ヘアピンを含有する約7から11塩基長であるドナーオリゴヌクレオチドを含み、ドナーオリゴヌクレオチドの5’末端上の第一の塩基ドメインは1から2個の塩基であり及び与えられた組みの1つのヌクレオチド又は複数のヌクレオチドに対応し、ドナーオリゴヌクレオチドの5’末端上の第二の塩基ドメインはRNアーゼH2に対する基質である少なくとも1つのRNA残基又は修飾された残基であり、及び残りの塩基は縮重又はユニバーサルである。)及びRNA又は修飾された残基の3’側に存在する標識(該標識は、第一の塩基ドメインに対応する。)及びアクセプターオリゴヌクレオチドの3’末端のブロッキング基を含む反応混合物を提供する工程;
    b)アクセプターオリゴヌクレオチド及び標的核酸に対して相補的であるドナーオリゴヌクレオチドに標的核酸をハイブリッド形成させる工程;
    c)ドナーオリゴヌクレオチドとアクセプターオリゴヌクレオチドを連結させるために、リガーゼ酵素を導入する工程;
    d)RNA又は修飾された残基の5’のドナーオリゴヌクレオチドを切断するために、RNアーゼH2酵素を導入し、ドナー分子の5’末端上の第一の塩基ドメインをアクセプターオリゴヌクレオチドに付着させたままにする工程;及び
    e)工程bからdを反復する工程;
    を含む、標的核酸を配列決定する方法。
  135. a)アクセプターオリゴヌクレオチド、ドナーオリゴヌクレオチドの組み(前記ドナーオリゴヌクレオチドの組みは、グアニン、シトシン、アデニン及びチミンヌクレオチドに対応する4つのオリゴヌクレオチド基を含み、各オリゴヌクレオチド基は、ヘアピン及び約1から5塩基長の5’末端上の突出部を含有するドナーオリゴヌクレオチドを含み、ドナーオリゴヌクレオチドの5’末端上の第一の塩基は与えられた組みのヌクレオチドに対応し、ドナーオリゴヌクレオチドの5’末端上の第二の塩基はRNアーゼH2に対する基質であるRNA残基又は修飾された残基であり、残りの塩基はランダム又はユニバーサルである。)を含み、及びRNA又は修飾された残基の3’側に存在する標識(該標識は、第一の塩基ドメインに対応する。)及びアクセプターオリゴヌクレオチドの3’末端のブロッキング基を場合によって含む反応混合物を提供する工程;
    b)アクセプターオリゴヌクレオチド及びアクセプターオリゴヌクレオチドに対して相補的であるドナーオリゴヌクレオチドをハイブリッド形成させる工程;
    c)ドナーオリゴヌクレオチドとアクセプターオリゴヌクレオチドを連結させるために、リガーゼ酵素を導入する工程;
    d)RNA又は修飾された残基の5’のドナーオリゴヌクレオチドを切断するために、RNアーゼH2酵素を導入し、ドナー分子の5’末端上の第一の塩基をアクセプターオリゴヌクレオチドに付着させたままにする工程;及び
    e)工程bからdを反復する工程;
    を含む、標的核酸を合成する方法。
  136. ジデオキシ三リン酸及びポリメラーゼが、リガーゼ酵素の後に及びRNアーゼH2酵素の前に添加される、請求項135に記載の方法。
  137. ポリメラーゼが末端の転移酵素である、請求項136に記載の方法。
  138. a)標的核酸と配列決定反応混合物を混合すること;
    b)及び適切な条件下で、請求項1に記載の少なくとも1つのプライマーとともに反応混合物を温置すること;
    を含む、標的核酸を配列決定するための方法。
  139. a)核酸を含有する試料とPCR反応混合物を混合する工程;
    b)適切な条件下で、請求項1に記載の少なくとも1つのプライマーとともに反応混合物を温置する工程;
    を含む、単一の塩基変異を検出する方法。
  140. a)標的核酸セグメント、適切な緩衝液及び適切なリガーゼを含む連結混合物に、請求項1に記載のプライマーの少なくとも1つの有効量を添加する工程、及び
    b)適切な連結条件下で、前記混合物を温置する工程;
    を含む、標的核酸セグメントを連結する方法。
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