JP2017102171A - 感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
Description
また、下引き層の上に中間層を用いることで耐リーク機能を付与する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、下引層を厚膜化し、アクセプター性化合物を付与した金属酸化物微粒子を用いることで耐リーク機能を付与し下引層と上層との界面での電荷移動を補助し、下引層中の電荷トラップを防ぐ方法が提案されている(特許文献3参照)。
また、サリチル酸やチオール基を有する化合物を含有する下引き層が提案されている(特許文献4、特許文献5参照)。
本発明は、長期間使用した場合であっても安定した電気特性を得ることができ、画像形成時の地汚れを抑制することができる感光体を提供することを目的とする。
導電性支持体上に少なくとも下引層、感光層を順次有する感光体であって、
前記下引層が、ウレタン樹脂、金属酸化物粒子及び下記一般式(1)で表される化合物を含有する感光体。
本発明の感光体は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に、下引き層と感光層とをこの順に少なくとも有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明の感光体は、前記下引き層に本発明で規定する材料を有するものであり、前記導電性支持体、前記感光層、及び前記その他の層については、従来と同様のものを適用することができる。
一般的に前記下引き層は、金属酸化物粒子と結着樹脂とからなり、更に、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
既に述べたように、前記感光体の下引き層としては、導電性支持体を均質な膜で完全に隠蔽していること(耐リーク機能)と、導電性支持体から感光層への不要な電荷(感光体の帯電極性と逆極性の電荷)の注入を抑制する機能(電荷注入阻止機能)と、感光層で形成された電荷のうち感光体の帯電極性と同極性の電荷を輸送する機能(電荷輸送機能)とを兼ね備え、長期にわたって安定な感光体を得るためにはこれらの特性が繰り返しの静電負荷によっても変化しないことが重要となる。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、これらの特性は、導電性支持体上に少なくとも下引 層、感光層を順次有する感光体であって、前記下引層がウレタン樹脂と金属酸化物粒子とを含有し、さらに下記一般式(1)で表される化合物を含有することで満足できることを知見した。
下引き層はウレタン樹脂中に金属酸化物粒子および一般式(1)で表される化合物が均一分散された分散膜とすることにより、優れた電荷注入阻止機能及び電荷輸送機能を得ることができ、長期使用時に対しても安定した電気特性を保持することができると考えられる。
そこで、本発明の好ましい実施形態では、前記一般式(1)で表される化合物を含有させる。前記一般式(1)で表される化合物はウレタン樹脂と相互作用することで内部応力を緩和することができると考えられる。特に、金属酸化物粒子の微小な不均一部位に集中する内部応力を緩和することで、分散膜の微小なクラックの発生や粒子間距離が長くなることを防ぐことができると考えられる。
前記金属酸化物粒子としては例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、などがあるが、特に制限はなく、本発明の目的を達成することができるものを選択することができる。また異なる特性の2種以上を併用してもよい。本発明に用いられる金属酸化物粒子としては優れた電気特性を有することから酸化亜鉛粒子が特に好ましい。
そこで、本発明の好ましい実施形態では、下引き層にサリチル酸誘導体を含有させる。
サリチル酸誘導体は金属酸化物粒子表面に配位することで金属酸化物粒子の分散時の劣化を防ぐとともに、非常に均一な分散状態を形成することができると考えられる。
さらに、金属酸化物粒子表面に配位したサリチル酸誘導体が一般式(1)で表される化合物やウレタン樹脂と相互作用することで金属酸化物粒子間の凝集力を小さくすることができると考えられる。
その結果、下引き層は金属酸化物粒子が均一に分散され、下引き層において優れた電気特性と耐リーク機能を維持することができると考えられる。
前記酸化亜鉛粒子としては、特に制限はなく、本発明の目的を達成することができるものを選択することができる。また異なる特性を有する酸化亜鉛粒子を2種以上併用してもよい。
本発明に用いられる酸化亜鉛粒子の作製方法については公知の方法が用いられるが中でも湿式法と称される方法が好ましい。湿式法には大きく分けて二つの方法がある。
一つは、硫酸亜鉛または塩化亜鉛等の亜鉛化合物(典型的には亜鉛塩)の水溶液をソーダ灰溶液で中和し、生成する炭酸亜鉛を水洗乾燥後、か焼して製造する方法である。
もう一つは、水酸化亜鉛粒子を生成させ、水洗乾燥後、か焼して製造する方法である。これら湿式法で作製された酸化亜鉛粒子の場合、原材料の選定、製造条件により意図的に特定元素の量を変えて含有させることが可能となり本件発明に用いる酸化亜鉛粒子を容易に得ることができる。
湿式法は具体的には、亜鉛含有水溶液とアルカリ性水溶液とから沈殿物を生成させ、これを熟成かつ洗浄し、当該沈殿物をアルコールで湿潤させて乾燥を開始し酸化亜鉛粒子前駆体を得た後、当該酸化亜鉛粒子前駆体を焼成して酸化亜鉛粒子とするものである。ここで、亜鉛含有水溶液を調製するための亜鉛化合物は特に限定されるものでなく、例えば硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛等が挙げられるが、本件発明で用いられる酸化亜鉛において硫酸由来の硫黄が含有されるようにするために亜鉛化合物として硫酸亜鉛を用いることが好ましい。
アルカリの濃度を化学当量の1.0以上とするのは、投入した亜鉛化合物を反応させることができるためであり、また、1.5倍以下の過剰量とするのは、残留アルカリの除去の洗浄時間が短時間で済むためである。
沈殿物の生成は、連続的に攪拌されているアルカリ性水溶液へ、亜鉛化合物の水溶液を滴下することで行なう。アルカリ性水溶液へ、亜鉛化合物の水溶液を滴下することにより、瞬時に過飽和度に到達して沈殿が生成することから、均一な粒径の炭酸亜鉛および水酸化炭酸亜鉛の微粒子の沈殿物が得られる。
当該アルコール溶液に用いられるアルコールは特に限定されないが、水に溶解し、沸点100℃以下のアルコールが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブチルアルコールが挙げられる。
当該湿潤処理は、濾過洗浄された沈殿物をアルコール溶液中へ投入して攪拌すればよく、このときの時間や攪拌速度は処理量に応じて適宜選択すればよい。当該沈殿物をアルコール溶液中に投入する際のアルコール溶液量は、当該沈殿物が容易に攪拌できて流動性を確保できる液量があれば良い。攪拌時間や攪拌速度は、上述した濾過洗浄時に一部凝集した部分を含む沈殿物が、アルコール溶液中において、当該凝集部分が解消するまで均一に混合されることを条件に適宜選択される。
乾燥温度や時間の乾燥条件は、特に限定されるものではなく、湿潤処理物がアルコールに湿潤した状態で加熱乾燥を開始すればよい。当該湿潤処理後であれば、加熱乾燥を行なっても、沈殿物が強凝集体となることはないので、湿潤処理物の処理量や処理装置等により乾燥条件を適宜選択すれば良い。
前記金属酸化物粒子の粒子径(体積平均粒子径)としては、目的に応じて適宜選択することができるが、平均粒径が20nm以上200nm以下であることが好ましく、50nm以上150nm以下がより好ましい。前記平均粒子径が、20nm以上であることにより、良好な分散状態の下引き層を製膜することができ、200nm以下であることにより、下引き層の優れた電気特性を維持することができる。
前記金属酸化物粒子の平均一次粒径は、下引き層中に観察される粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて任意に100個観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して体積平均粒子径を求め、その平均値を平均粒子径として求めることができる。
サリチル酸誘導体としては例えばサリチル酸、アセチルサリチル酸、5−アセチルサリチル酸、3−アミノサリチル酸、5−アセチルサリチルアミド、5−アミノサリチル酸、4−アジドサリチル酸、サリチル酸ベンジル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、サリチル酸ブチル、サリチル酸2−カルボキシフェニル、3,5−ジニトロサリチル酸、ジチオサリチル酸、アセチルサリチル酸エチル、サリチル酸2−エチルヘキシル、6−メチルサリチル酸エチル、サリチル酸エチル、5−ホルミルサリチル酸、4−(2−ヒドロキシエトキシ)サリチル酸、サリチル酸2−ヒドロキシエチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソプロピル、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、6−メトキシサリチル酸、アセチルサリチル酸メチル、5−アセチルサリチル酸メチル、5−アリル−3−メトキシサリチル酸メチル、5−ホルミルサリチル酸メチル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)サリチル酸メチル、3−メトキシサリチル酸メチル、4−メトキシサリチル酸メチル、5−メトキシサリチル酸メチル、4−メチルサリチル酸メチル、5−メチルサリチル酸メチル、サリチル酸メチル、3−メチルサリチル酸、4−メチルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、チオサリチル酸メチル、サリチル酸4−ニトロフェニル、5−ニトロサリチル酸、4−ニトロサリチル酸、3−ニトロサリチル酸、サリチル酸4−オクチルフェニル、サリチル酸フェニル、3−アセトキシ−2−ナフトアニリド、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−エトキシ−1−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−3−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−7−メトキシ−2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、2−メトキシ−1−ナフトエ酸、3−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸メチル、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、3−メトキシ−2−ナフトエ酸メチル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
サリチル酸誘導体の含有量としては処理前の金属酸化物粒子に対して0.3質量%〜6質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上4.0質量%がより好ましく、1質量%〜3質量%であることが更に好ましい。サリチル酸誘導体の含有量が処理前の金属酸化物粒子に対して0.3質量%以上であることによりサリチル酸誘導体の与える機能を十分に発揮することができ、良好な特性を得ることができる。また、サリチル酸誘導体の含有量が処理前の金属酸化物粒子に対して6質量%以下であることにより金属酸化物粒子の分散の阻害を引き起こすことがなく、十分な特性を得ることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン樹脂としては、特に制限はなく、市販のウレタン樹脂を使うことができ、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの硬化性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ウレタン樹脂としては、後述する感光層を下引き層上に塗布することを考慮して、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高いウレタン樹脂が好ましい。前記耐溶剤性の高いウレタン樹脂としては、三次元網目構造を形成する硬化性樹脂が挙げられる。
前記下引き層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のためにその他の成分を含有させてもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送性物質;多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料;シランカップリング剤;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;フルオレノン化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、及びレベリング剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記下引き層用塗工液を用いて塗工した後に、必要に応じてオーブン等で加熱乾燥させてもよい。下引き層の乾燥温度としては、特に制限はなく、下引き層用塗工液に含有される溶剤の種類等に応じて適宜選択することができるが、80℃以上200℃以下が好ましく、100℃以上150℃以下がより好ましい。
前記下引き層の平均膜厚としては、特に制限はなく、製造したい感光体の電気特性や寿命によって適宜選択することができるが、7μm以上30μm以下であることが好ましく、さらに10μm以上25μm以下であることがより好ましい。
前記平均膜厚が7μm以上であることにより、感光体表面の帯電極性と逆極性の電荷が導電性支持体から感光層中に流れ込むことによって、帯電性不良に起因する地汚れ状の画像欠陥が生じるというようなことがない。一方、前記平均膜厚が30μm以下であることにより、残留電位の上昇などの光減衰機能が低下したり、繰り返し安定性が低下したりするなどの欠陥が生じるようなことがない。下引き層の平均膜厚の測定方法としては例えば渦電流式膜厚計、触針式膜厚計、走査型電子線顕微鏡、透過型電子線顕微鏡などを使用することができる。下引き層の平均膜厚の算出方法としては任意の5点の厚みを平均することで算出する。
前記感光層としては、積層型感光層であってもよく、単層型感光層であってもよい。
<<単層型感光層>>
前記単層型感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを同時に有する層である。
前記単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及び結着樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。前記電荷発生物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対し、5質量部〜40質量部が好ましい。
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の物質などが挙げられる。前記電荷輸送物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の結着樹脂などが挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する積層型感光層で用いられるものと同様の低分子電荷輸送物質、同様の溶媒、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、レベリング剤などが挙げられる。
前記単層型感光層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂、その他の成分等を分散機を用いて適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等)に溶解乃至分散して得られた塗工液を、塗布乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
前記単層型感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜25μmが好ましい。
前記積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを有する。なお、前記電荷発生層、及び前記電荷輸送層は、従来公知のものを使用することができる。
前記積層型感光層において、前記電荷発生層と前記電荷輸送層との積層順としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多くの電荷発生材料は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こす。このため、前記電荷発生層の上に前記電荷輸送層を積層することが好ましい。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じて後述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。
−−電荷発生物質−−
前記電荷発生物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系材料、有機系材料などが挙げられる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン(例えば、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子等でターミネートしたもの;ホウ素原子、リン原子等を含有したものなどが好適)などが挙げられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも光の波長が655nmの領域に光吸収領域を有するアゾ顔料を電荷発生層に用いる場合、電荷発生層で吸収されずに下引き層まで透過した書き込み光(入射光)が電荷発生層と下引き層の界面および下引き層中および導電性支持体表面で散乱することで生じる干渉縞による異常画像(モアレ)が発生しやすい。これに対し、下引き層に一般式(1)で表される化合物を用いることによってモアレの発生を防止する効果がある。これは、両物質が持つ光吸収波長域が重なっているためと考えられる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低分子電荷輸送物質、溶媒、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、及びレベリング剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましい。
前記低分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質などが挙げられる。
前記電子輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電荷発生物質及び前記結着樹脂を前記溶媒等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記導電性支持体上に塗布して乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。なお、前記塗工液は、キャスティング法などにより塗布することができる。
前記電荷発生層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜2μmがより好ましい。
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性がよいことが要求される。前記電荷輸送層は、電荷輸送物質を含み、結着樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子輸送物質、正孔輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。
前記電荷輸送物質の電荷輸送層全量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜90質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。前記含有量が、20質量%未満であると、電荷輸送層の電荷輸送性が小さくなることにより所望の光減衰特性が得られないことがあり、90質量%を超えると、画像形成工程から感光体が受ける各種ハザードによって必要以上に摩耗することがある。一方、前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、前記より好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られるとともに、使用によっても摩耗量が少ない電子写真感光体を得ることができる点で有利である。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記高分子電荷輸送物質は、後述する結着樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せ持つ材料である。
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルバゾール環を有する重合体、ヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、トリアリールアミン構造を有する重合体(例えば、特許第3852812号公報、特許第3990499号公報等に記載のトリアリールアミン構造を有する重合体等)、電子供与性基を有する重合体、その他の重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよく、摩耗耐久性や製膜性の点で、後述する結着樹脂と併用してもよい。
前記高分子電荷輸送物質の電荷輸送層全質量における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記高分子電荷輸送物質と後述する結着樹脂とを併用する場合、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性の結着樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、並びに後述の酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、及びレベリング剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、添加する層の総質量に対して、0.01質量%〜10質量%が好ましい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を良好に溶解する溶媒が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記電荷輸送層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記電荷輸送物質及び前記結着樹脂を前記溶媒等の前記その他の成分に溶解乃至分散して得られた塗工液を、前記電荷発生層上に塗布して加熱乃至乾燥することにより形成する方法などが挙げられる。
前記電荷輸送層形成の際に用いる前記塗工液の塗工方法としては、特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚み等の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、リングコート法などが挙げられる。
前記加熱する方法としては、例えば、空気、窒素等の気体、蒸気、各種熱媒体、赤外線、電磁波等の熱エネルギーを塗工面側又は導電性支持体側から加熱する方法などが挙げられる。
前記加熱する際の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜170℃が好ましい。前記温度が100℃未満であると、膜中の有機溶媒を十分取り除くことができず、電子写真特性の低下や摩耗耐久性低下が生じることがある。一方、前記温度が170℃を超えると、表面にゆず肌状の欠陥や亀裂の発生、隣接層との界面で剥離の発生などが生じるだけでなく、感光層中の揮発性成分が外部に霧散した場合、所望の電気特性が得られなくなることがある。
<その他の層>
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、保護層、中間層、第2の下引き層などが挙げられる。
前記保護層(以下、表面層と称することもある)は、前記感光体の耐久性向上や他の機能の向上を目的として、前記感光層の上に設けることができる。前記保護層は、少なくとも結着樹脂、及びフィラーを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。これらの中でも、前記フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂が好ましい。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属酸化物微粒子などが挙げられる。
前記金属酸化物微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズを含有した酸化インジウム、アンチモンやタンタルを含有した酸化スズ及びアンチモンを含有した酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
前記保護層に前記電荷輸送層について挙げた電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐摩耗性の点で、1μm〜5μmが好ましい。
前記中間層は、前記電荷輸送層と前記表面層との間に、前記表面層への電荷輸送層成分の混入を抑える又は両層間の接着性を改善することを目的として設けることができる。前記中間層は、結着樹脂を含み、更に必要に応じて後述の酸化防止剤等のその他の成分を含む。前記中間層としては、表面層用塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが好ましい。
前記中間層に含まれる結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記中間層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜2μmが好ましい。
前記感光体においては、導電性支持体と下引き層の間、もしくは下引き層と感光層の間に第2の下引き層を設けることも可能である。前記第2の下引き層は結着樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。
前記第2の下引き層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜2μmが好ましい。
前記導電性支持体としては、体積抵抗率が1×1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスベルト(エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルト等)を用いてもよい。
前記導電性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、導電性粉体及び結着樹脂を、必要に応じて溶媒に分散乃至溶解して得られた塗工液を前記導電性支持体上に塗布することにより形成する方法が挙げられる。また、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて形成する方法が挙げられる。
以下では、本発明の感光体の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態に係る感光体の層構成について、図1を用いて説明する。
図1は、単層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32及び単層型感光層33を順次積層した感光体の層構成を示した図である。
第2の実施形態に係る感光体の層構成について、図2を用いて説明する。
図2は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32、電荷発生層35、及び電荷輸送層37を順次積層した感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層35及び電荷輸送層37が感光層に該当する。
第3の実施形態に係る感光体の層構成について、図3を用いて説明する。
図3は、単層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32、感光層33、及び保護層39を順次積層した感光体の層構成を示した図である。
第4の実施形態に係る感光体の層構成について、図4を用いて説明する。
図4は、積層型感光層を有する構成であり、導電性支持体31上に、下引き層32、電荷発生層35、電荷輸送層37、及び保護層39を順次積層した感光体の層構成を示した図である。なお、電荷発生層35及び電荷輸送層37が感光層に該当する。
本発明の画像形成装置は、感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて、その他の手段を有してなる。前記画像形成装置において使用する感光体としては上述の本発明の感光体を用いる。なお、前記帯電手段と、前記露光手段とを合わせて静電潜像形成手段と称することもある。
以下では、本発明の画像形成装置の実施形態についてその一例をあげて説明する。
図5は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、感光体1の周りに、帯電手段3、露光手段5、現像手段6、転写手段10などが配置される。まず、帯電手段3により、感光体1が平均的に帯電される。帯電手段3としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、転写手段10により、感光体1上で可視化されたトナー像が記録媒体9上に転写される。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。転写手段10としては、転写チャージャ、バイアスローラー等を用いる静電転写方式;粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式;磁気転写方式などが利用可能である。
本発明のプロセスカートリッジは、感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段の少なくともいずれかの手段を有してなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のプロセスカートリッジにおいて使用する感光体は、上述した本発明の感光体である。
(調製例1)
<下引き層用塗布液A−1の調製>
下記材料を混合し、φ0.5のジルコニアビーズと振動ミルを用いて1500rpmにて24時間攪拌し、下引き層用塗布液A−1を調製した。
金属酸化物粒子: 100部
(前述の湿式法で作製した平均一次粒径50nmの酸化亜鉛粒子)
バインダ樹脂:
・ブロック化イソシアネート 13部(スミジュールBL−3175(固形分濃度75%)、住友バイエルンウレタン社製)
・ブチラール樹脂を2−ブタノンで溶解させた20質量%の溶解液: 50部
(ブチラール樹脂:BM−1、積水化学社製)
一般式(1)の化合物(下記構造式(1)で表される化合物): 0.1部
〔3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸(TCI−D1947 東京化成社製)〕
溶媒(2−ブタノン): 120部
下引き層用塗布液A−1で用いたサリチル酸誘導体を3−アミノサリチル酸(TCI−A0421 東京化成社製)に代えたこと以外は下引き層用塗布液A−1と同様にして下引き層用塗布液A−2を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いたサリチル酸誘導体を3,5−ジニトロサリチル酸(TCI−D0850、東京化成工業株式会社製)に代えたこと以外は下引き層用塗布液A−1と同様にして下引き層用塗布液A−3を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いたサリチル酸誘導体を3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(TCI−B3229、東京化成工業株式会社製)に代えたこと以外は下引き層用塗布液A−1と同様にして下引き層用塗布液A−4を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いた一般式(1)の化合物を下記構造式(2)で表される化合物に代えたこと以外は下引き層用塗布液A−1と同様にして下引き層用塗布液A−5を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いた一般式(1)の化合物を下記構造式(3)で表される化合物に代えたこと以外は下引き層用塗布液A−1と同様にして下引き層用塗布液A−6を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いるバインダ樹脂をポリウレタン樹脂(ミラクトラン265 日本ポリウレタン工業株式会社製]を2―ブタノンで溶解させた10質量%の溶解液200部に代え、溶媒を添加しないこと以外は下引き層用塗布液A−1と同様にして下引き層用塗布液A−7を調製した。
下引き層用塗布液A−7で用いるサリチル酸誘導体を添加しないこと以外は下引き層用塗布液A―7と同様にして下引き層用塗布液A−8を調製した。
下引き層用塗布液A−7で用いる金属酸化物粒子を酸化チタン粒子(PT−401M、石原産業株式会社製)に代えた以外は下引き層用塗布液A―7と同様にして下引き層用塗布液A−9を調製した。
下引き層用塗布液A−7で用いる金属酸化物粒子を酸化ジルコニウム粒子(UEP、第一希元素化学工業株式会社製)に代えた以外は下引き層用塗布液A―7と同様にして下引き層用塗布液A−10を調製した。
下引き層用塗布液A−7で用いる金属酸化物粒子を酸化スズ粒子(NanoTek(登録商標)SnO2、シーアイ化成株式会社製)に代えた以外は下引き層用塗布液A―7と同様にして下引き層用塗布液A−11を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いる一般式(1)の化合物を添加しないこと以外は下引き層用塗布液A―1と同様にして下引き層用塗布液A−12を調製した。
下引き層用塗布液A−1で用いるバインダ樹脂を下記材料に代えたこと以外は下引き層用塗布液A―1と同様にして下引き層用塗布液A−13を調製した。
バインダ樹脂:
・アルキッド樹脂 ・・・ 12部
(ベッコライトM6401−50、DIC株式会社製)
・メラミン樹脂 ・・・ 8部
(スーパーベッカミンG821−60、DIC株式会社製)
下引き層用塗布液A−13で用いる一般式(1)の化合物を添加しないこと以外は下引き層用塗布液A―13と同様にして下引き層用塗布液A−14を調製した。
<電荷発生層用塗布液B−1の調製>
以下に示す方法により、電荷発生層用塗布液B−1を調製した。
下記材料を混合し、直径1mmのガラスビーズとビーズミルを用いて8時間攪拌し、電荷発生層用塗布液B−1を調製した。
・電荷発生物質:チタニルフタロシアニン 8部
・バインダ樹脂:ポリビニルブチラール 5部(エスレックBX−1、積水化学工業社製)
・溶媒:2−ブタノン 400部
図7に、前記チタニルフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルを示す。
以下に示す方法により、電荷発生層用塗布液B−2を調製した。
下記材料を混合し、材料が全て溶解するまで攪拌する。
・バインダ樹脂:ポリビニルブチラール樹脂(エスレックHL−S、積水化学工業株式会社製) 4部
・溶媒:シクロヘキサノン 150部
この溶液に、下記材料を加え、ボールミルで48時間分散した。
・電荷発生物質:ビスアゾ顔料(下記構造式(4)で表される化合物) 10部
次に下記材料を加え、3時間分散を行った。
・溶媒:シクロヘキサノン 210部
得られた分散液を容器に取り出し、固形分が1.5質量%となるようにシクロヘキサノンで希釈し、電荷発生層用塗布液B−2を調製した。
以下に示す方法により、電荷輸送層用塗布液を調製した。
下記材料を混合し、材料が全て溶解するまで攪拌することで電荷輸送層用塗布液Cを調製した。
・電荷輸送物質:下記構造式(5)で表される電荷輸送物質 7部
・レベリング剤:シリコーンオイル(KF−50、信越化学工業社製)0.0005部
・溶媒:テトラヒドロフラン 100部
アルミニウムシリンダー(直径100mm、長さ380mm)上に、前記下引き層用塗布液A−1を浸漬塗工法により塗布した後、170℃で30分間の乾燥を行い、平均膜厚が30μmの下引き層を積層した。次に、前記電荷発生層用塗布液B−1を浸漬塗工法により塗布した後、90℃で30分間の乾燥を行い、平均膜厚が0.2μmの電荷発生層を積層した。更に、前記電荷輸送層用塗布液Cを浸漬塗工法により塗布した後、150℃で30分間の乾燥を行い、平均膜厚が25μmの電荷輸送層を積層した。以上により、実施例1の感光体1を作製した。
実施例1において、下引き層用塗布液Aおよび電荷発生層用塗布液Bおよび下引き層の平均膜厚を下記表2に示すとおりに代えたこと以外は実施例1と同様にして実施例2〜実施例28の感光体2〜28および比較例1〜6の感光体29〜34を作製した。
下引き層の膜厚はフィッシャー社製の渦電流膜厚計(フィッシャースコープMMS)を用いて測定した。下引き層の平均膜厚の算出方法としては任意の5点の厚みを平均することで算出した。
実施例及び比較例で得た感光体について電気特性評価(残留電位)および画像評価(地汚れ、濃度ムラ、モアレ)を行った。
<<評価装置>>
実施例1〜14および比較例1〜3では株式会社リコー製デジタル複写機(RICOH ProC900)の改造機を用い、実施例15〜28および比較例4〜6では株式会社リコー製デジタル複写機(imagio MP C5001)の改造機を用いた。
23℃で55%RHの環境下ブラック単色のテストチャート(画像面積率5%)を5万枚連続出力した。
感光体劣化前後で、感光体の表面電位測定を行った。電位測定は、評価装置の現像ユニットを改造した電位センサーを取り付け、このユニットを評価装置にセットして以下の方法で行った。
ワイヤーへの印加電圧を−1,800μA、グリッド電圧を−800Vとし、A3サイズの紙を縦方向で全ベタ画像を100枚印刷した時の1枚目および100枚目の露光部電位(VL)を測定した。測定には表面電位計(MODEL344表面電位計 トレックジャパン(株)製)を用い、表面電位計の数値はオシロスコープで毎秒100シグナル以上の条件で記録し、下記基準で評価した。
帯電DC電圧を−800V、帯電AC電圧を2.1KVとし、A3サイズの紙を縦方向で全ベタ画像を100枚印刷した時の1枚目および100枚目の露光部電位(VL)を測定した。測定には表面電位計(MODEL344表面電位計 トレックジャパン(株)製)を用い、表面電位計の数値はオシロスコープで毎秒100シグナル以上の条件で記録し、下記基準で評価した。
なお、評価は23℃で55%RHの環境下で行った。
◎:感光体劣化前後の1枚目と100枚目の露光部電位差(ΔVL)が10V未満
○:感光体劣化前後の1枚目と100枚目の露光部電位差(ΔVL)が10V以上30V未満
×:感光体劣化前後の1枚目と100枚目の露光部電位差(ΔVL)が30V以上
感光体劣化前後で温度23℃相対湿度55%RHの環境下で画像を出力し、地汚れ評価および濃度ムラ評価およびモアレ評価を行った。
地汚れ評価に関しては、グロスコート紙を用いて全面白地画像を5枚連続出力し、出力したグロスコート紙のうち任意の8mm×11mmの視野10箇所において目視で確認できる地汚れの数をカウントし、その平均を算出した。
なお、評価は23℃で55%RHの環境下で行った。
◎:10個以下
○:10個超20個以下
×:20個を超える
◎:画像濃度ムラは見られない
○:実使用上問題ないレベルの濃度ムラが見られる
×:明らかな画像濃度ムラが見られる
◎:モアレは見られない
○:実使用上問題ないレベルのモアレが見られる
×:明らかなモアレが見られる
<1>導電性支持体上に少なくとも下引層及び感光層をこの順に有する感光体であって、
前記下引層が、ウレタン樹脂、金属酸化物粒子及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする感光体。
<2>前記金属酸化物粒子が酸化亜鉛粒子であることを特徴とする上記<1>に記載の感光体。
<3>前記下引層がサリチル酸誘導体を含有することを特徴とする上記<1>又は<2>に記載の感光体。
<4>前記ウレタン樹脂が硬化性樹脂であることを特徴とする上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感光体。
<5>前記下引層の平均膜厚が7μm以上30μm以下であることを特徴とする上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の感光体。
<6>前記感光層が電荷発生物質としてアゾ顔料を用いていることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の感光体。
<7>感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記感光体が、上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。
<8>感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段とを有するプロセスカートリッジであって、
前記感光体が、上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
2 除電手段
3 帯電手段
5 露光手段
6 現像手段
7 転写前チャージャ
9 記録媒体
10 転写手段
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 支持体
32 下引き層
33 単層型感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
101 電子写真感光体
102 帯電手段
104 現像手段
105 記録媒体
106 転写手段
107 クリーニング手段
Claims (8)
- 導電性支持体上に少なくとも下引層及び感光層をこの順に有する感光体であって、
前記下引層が、ウレタン樹脂、金属酸化物粒子及び下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする感光体。
- 前記金属酸化物粒子が酸化亜鉛粒子であることを特徴とする請求項1に記載の感光体。
- 前記下引層がサリチル酸誘導体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の感光体。
- 前記ウレタン樹脂が硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光体。
- 前記下引層の平均膜厚が7μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光体。
- 前記感光層が電荷発生物質としてアゾ顔料を用いていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光体。
- 感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記感光体が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とする画像形成装置。 - 感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電手段、帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段、及び前記可視像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくともいずれかの手段とを有するプロセスカートリッジであって、
前記感光体が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
Priority Applications (2)
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