以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)制御装置は、電力抑制運転中において、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知したときは、第1の加熱運転によりタンクに貯留される熱媒の熱量が、第1所定量以下になるように第1の加熱運転を制御してもよい。なお、ここでいう、熱量とは、タンクに貯留されている熱媒に対して、ヒートポンプ熱源での加熱により与えられた熱量である。
補助熱源に燃料が供給されている場合、第2の加熱運転によって熱媒を供給することができるので、タンクにはそれほど多くの熱量を貯えておく必要がない。上記の構成によると、電力抑制運転中において、補助熱源に燃料が供給されている場合に、第1の加熱運転による熱媒の加熱量を抑制することによって、第1の加熱運転を実行する場合の消費電力を抑制することができる。
(特徴2)制御装置は、電力抑制運転において、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知したときは、第1の加熱運転によりタンクに貯留される熱媒の熱量が、第2所定量以上になるように第1の加熱運転を制御してもよい。
第2の加熱運転により加熱された熱媒を供給しているときに補助熱源への燃料の供給が途絶えた場合、第1の加熱運転により加熱された熱媒を供給する必要がある。一般的に、ヒートポンプ熱源を起動させるには、所定時間を要する。このため、補助熱源への燃料の供給が途絶えた後は、所定時間を経過した後でないと、第1の加熱運転により目標温度まで加熱された熱媒を供給することができない。上記の構成によると、電力抑制運転中であり、かつ、補助熱源に燃料が供給されているとき、タンクには第2所定量以上の加熱された熱媒が貯留されている。このため、補助熱源への燃料の供給が途絶えた後、ヒートポンプ熱源が起動する前は、タンクに貯留されている熱媒を供給することができる。
(特徴3)制御装置は、電力抑制運転中において、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知したときは、タンクに加熱された熱媒が貯留されている場合でも、第2の加熱運転を実行して熱媒を利用箇所に供給してもよい。
上記の構成によると、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知した場合に、制御装置は、第2の加熱運転を確実に実行する。これにより、タンクに貯留されている熱媒の消費を抑制できる。タンクに貯留されている熱媒の消費が抑制されることで、その後にヒートポンプ熱源によって加熱する熱媒を低減することができる。すなわち、ヒートポンプ熱源による電力の消費を抑制することができる。この結果、電力抑制運転において、補助熱源への燃料が供給されているときに、熱機器の消費電力を抑制することができる。
(特徴4)制御装置は、電力抑制運転中において、熱媒を供給する際に、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知できなかったときは、第1の加熱運転を実行して熱媒を供給してもよい。
上記の構成によると、例えば、災害により、商用電源からの電力供給が停止し、さらに補助熱源への燃料の供給が停止した場合において、ヒートポンプ熱源を用いて熱媒を加熱することができる。このため、電力抑制運転中において、補助熱源に燃料が供給されていない場合でも、熱媒を供給することができる。
(特徴5)制御装置は、電力抑制運転中において、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知できなかったときは、燃料検知部により燃料を検知できなかったときから第1所定時間が経過した後に、再度燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知してもよい。
燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知できなかった後で、かつ、商用電源からの電源が復旧する前に、補助熱源への燃料の供給が復旧する場合がある。燃料の供給が復旧した場合には、熱媒の加熱を第2の加熱運転により実行して、電力抑制運転中の熱機器の消費電力を抑制することが好ましい。上記の構成によると、燃料検知部により補助熱源への燃料の供給を検知できなかった後で、かつ、商用電源からの電源が復旧する前に、補助熱源への燃料の供給が復旧する場合に、補助熱源への燃料の供給が復旧したことを検知することができる。これにより、第2の加熱運転を実行して熱媒を加熱することができる。この結果、電力抑制中の熱機器の消費電力を抑制することができる。
(特徴6)燃料検知部は、補助熱源が着火したか否かを検出する着火検知手段を備えてもよい。この場合、制御装置は、補助熱源を駆動させたときに、着火検知手段により、補助熱源の着火を検知できないときは、補助熱源に燃料が供給されていないと判定するとよい。
補助熱源に燃料が供給されている場合、補助熱源を駆動すると、補助熱源は着火する。上記の構成によると、着火検知手段を用いて、補助熱源に燃料が供給されているか否かを確実に判定することができる。
(特徴7)燃料検知部は、補助熱源を駆動させたときの燃料の流量を検出する流量計を備えてもよい。この場合、制御装置は、補助熱源を駆動させたときに、流量計で検出される燃料の流量が所定流量未満のときに、補助熱源に燃料が供給されていないと判定するとよい。
補助熱源に燃料が供給されている場合、補助熱源を駆動すると、補助熱源にガスが流れる。上記の構成によると、補助熱源を駆動させたときに、燃料の流量を検出する流量計を用いて、補助熱源に燃料が検出されているか否かを判定することができる。
(実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。
HPユニット4は、外気から吸熱して水を加熱する熱源である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16を備えている。HPユニット4は、冷媒(例えばフロン系冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、水との熱交換により冷媒を冷却する。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、外気との熱交換により冷媒を加熱する。HPユニット4はさらに、凝縮器12に水を循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出する戻りサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水の温度を検出する往きサーミスタ22と、外気温度を検出する外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラ24を備えている。
タンクユニット6は、タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34を備えている。タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。本実施例のタンク30の容量は、例えば100リットルである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動すると、タンク30の底部から水が吸い出されて凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水は、タンク30の頂部からタンク30内に戻される。HPユニット4によって加熱された水がタンク30に流れ込むと、タンク30の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。タンク30には、上部の水の温度を検出する上部サーミスタ36と、中間部の水の温度を検出する中間部サーミスタ37と、下部の水の温度を検出する下部サーミスタ38が取り付けられている。本実施例では、上部サーミスタ36はタンク30の頂部から10リットルの位置に配置されており、中間部サーミスタ37はタンク30の頂部から30リットルの位置に配置されており、下部サーミスタ38はタンク30の頂部から50リットルの位置に配置されている。なお、タンク30内がHPユニット4で加熱された水で満たされている状態を「満蓄状態」と呼ぶ。
タンクユニット6には、給水経路40を介して水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44が取り付けられている。給水経路40は、タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ逆止弁50,52が取り付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54が取り付けられている。タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、混合弁32に流入するタンク30からの水の流量を検出する湯側水量センサ60が取り付けられている。
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込むタンク30からの水を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、ステッピングモータによって弁を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、台所やシャワー、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水の温度を検出する給湯出口サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34が取り付けられている。
タンクユニット6はさらに、タンクコントローラ74と、タンクコントローラ74と通信可能なリモコン76を備えている。タンクコントローラ74は、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御する。リモコン76は、スイッチやボタン等を介して、ユーザからの各種の操作入力を受け入れる。また、リモコン76は、表示や音声によってユーザに給湯システム2の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
バーナユニット8は、バーナ80と、熱交換器82と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88を備えている。バーナ80は、燃料ガスの燃焼によって熱交換器82を流れる水を加熱する補助熱源機である。バーナ80には、ガス供給管81を介して燃料ガスが供給される。また、バーナ80には、空気供給管83を介して、燃焼用空気が送り込まれる。バーナ80の近傍には、バーナ80に点火するためのイグナイタ85と、バーナ80の燃焼状態を検出するフレームロッド87と、が設けられている。熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。熱交換器82を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。バーナ往路90には、バーナ往路90を流れる水の流量を調整する水量サーボ86と、バーナ往路90を流れる水の流量を検出する水量センサ91が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90からバーナバイパス経路94へ流れる水の流量を調整する。バーナ復路92には、熱交換器82から流れ出る水の温度を検出するバーナ給湯サーミスタ96が取り付けられている。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。湯はり経路98には、湯はり弁88が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。バーナユニット8はさらに、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御するバーナコントローラ100を備えている。
給湯システム2のHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8には、電力供給ユニット9から電力が供給される。電力供給ユニット9は、分電盤102と、蓄電池104と、切替器106を備えている。分電盤102は、商用電源108に接続されており、商用電源108から供給される電力を切替器106と蓄電池104に分配して供給する。蓄電池104は、例えばリチウムイオン二次電池などの二次電池である。蓄電池104は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力を充電することもできるし、充電した電力を切替器106に放電することもできる。蓄電池104には、図示しない保護回路が内蔵されており、放電する電力が上限放電電力(例えば720W)以上になると、切替器106への放電が遮断される。切替器106は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する状態と、蓄電池104から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する状態の間で切り替わる。商用電源108からの電力供給が正常に行われている状況では、切替器106は、分電盤102を介して商用電源108から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する。商用電源108からの電力供給が正常に行われていない状況では、切替器106は、蓄電池104から供給される電力をHPユニット4、タンクユニット6およびバーナユニット8に供給する。以下では、電源の供給元が商用電源108である場合の給湯システム2の動作状態を「通常運転」とし、電源の供給元が蓄電池104である場合の給湯システム2の動作状態を「電力抑制運転」とする。電力抑制運転において、給湯システム2は、通常運転時の最大消費電力よりも低い抑制電力(例えば、700W)以下で動作する。
HPコントローラ24とタンクコントローラ74は、互いに通信可能である。タンクコントローラ74とバーナコントローラ100は、互いに通信可能である。従って、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100が協調して制御を行うことで、給湯システム2は沸上げ運転や給湯運転等の各種の動作を行うことができる。以下では、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100を総称して、単にコントローラとも呼ぶ。
以下では、給湯システム2が行う沸上げ運転および給湯運転について説明する。
(沸上げ運転)
沸上げ運転では、給湯システム2は、HPユニット4を駆動して、タンク30内の水を沸かし上げる。沸上げ運転の開始タイミングは、様々な観点から設定することが可能である。例えば、割安な深夜電力を利用可能な時間帯が終了する直前に、タンク30内の水の沸かし上げが終了するように、コントローラが沸上げ運転の開始タイミングを決定してもよい。あるいは、前日までの給湯実績に基づいて、大きな給湯需要の発生が予想される時刻の直前に、タンク30の水の沸かし上げが終了するように、コントローラが沸上げ運転の開始タイミングを決定してもよい。あるいは、ユーザがリモコン76を介してタンク30の水の沸かし上げを指示することで、コントローラが沸上げ運転を開始してもよい。なお、コントローラは、沸上げ運転による目標加熱量THを、沸上げ運転の開始タイミング毎に調整する。目標加熱量THは、目標温度TAと目標温度TAまで加熱される水の目標加熱水量TWから算出することができる。
沸上げ運転が開始されると、コントローラは、圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において目標温度TAまで加熱されて、タンク30の頂部に戻される。タンク30内の水のうち目標加熱水量TWが、目標温度TAまで加熱された水で置き換えられると、コントローラは沸上げ運転を終了する。
(給湯運転)
給湯運転では、給湯設定温度の水を給湯箇所へ供給する。コントローラは、水側水量センサ54で検出される流量と、湯側水量センサ60で検出される流量を合算した流量(給湯流量ともいう)が最低動作流量(例えば2.4L/分)以上となると、給湯箇所の開栓や浴槽への湯はりなどにより給湯が開始されたものと判断する。そして、コントローラは、上部サーミスタ36で検出される温度に応じて、以下の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。
上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度以上である場合、コントローラは、非燃焼給湯運転を実行する。非燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を禁止するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。これによって、給湯箇所に給湯設定温度に温度調整された水が供給される。
上部サーミスタ36で検出される温度が給湯設定温度未満の場合、コントローラは、燃焼給湯運転を実行する。燃焼給湯運転では、コントローラは、バーナ80の燃焼運転を許可するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。
上記の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行中に、給湯流量が最低動作流量を下回ると、コントローラは、給湯箇所の閉栓や浴槽への湯はりの終了などにより給湯が終了したものと判断して、給湯運転を終了する。
(電力抑制処理)
商用電源108からの電力の供給が停止した場合、その後に商用電源108が復旧するまでの時間は予測できない。従って、蓄電池104からの電力の供給を受けて給湯システム2が動作する場合、蓄電池104からの電力の供給により動作可能な時間は、出来るだけ長くすることが好ましい。蓄電池104により動作可能な時間を長くするためには、給湯システム2の消費電力を抑制する必要がある。このため、コントローラは、給湯システム2の消費電力を抑制するための処理(電力抑制処理)を実行する。電力抑制処理とは、電力抑制運転において、沸上げ運転および給湯運転時の給湯システム2の消費電力を抑制するための処理である。以下、電力抑制処理について説明する。
図2を用いて、コントローラが実行する電力抑制処理について説明する。なお、電力抑制処理は、電源供給開始時に開始され、電源供給中は継続される。
ステップS2において、コントローラは、電源の供給元が蓄電池104であるか否かを判定する。電源の供給元が蓄電池104であった場合(ステップS2でYES)、コントローラは、電力抑制運転で動作すべきであると判定し、処理は、ステップS4に進む。電源の供給元が蓄電池104でない場合(ステップS2でNO)、コントローラは、通常運転で動作すべきであると判定し、処理は、ステップS12に進む。ステップS12において、コントローラは、通常運転を実行する。通常運転とは、上記の沸上げ運転及び給湯運転を実行する運転である。
ステップS4において、コントローラは、バーナ80への燃料ガスの供給が行われているか否かを判定する。コントローラは、バーナ80においてガス供給管81と空気供給管83を開いてイグナイタ85による着火を行なった上で、フレームロッド87を用いてバーナ80への燃料ガスの供給を検知する(燃料検知運転)。具体的には、コントローラは、フレームロッド87によりバーナ80の着火が検知できた場合に、バーナ80に燃料ガスが供給されていると判定する。
バーナ80への燃料ガスの供給が行われている場合(ステップS4でYES)、処理は、ステップS6に進む。ステップS6の処理を実行する時点では、商用電源108からの電力供給が正常に行われておらず、代わりに蓄電池104から電力供給が行われており、かつガス供給管81からの燃料ガスの供給は正常に行われていると考えられる。この場合、ステップS6において、コントローラは、燃焼給湯優先運転を実行する。燃焼給湯優先運転において、コントローラは、給湯システム2の燃焼給湯運転を許可するとともに、給湯システム2の非燃焼給湯運転を禁止する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、タンク30に貯えられた加熱された水の量に関わらず、燃焼給湯運転を実行する。このため、タンク30に貯えられた加熱された水の消費が抑制され、その後に沸き上げ運転を行なう際に、HPユニット4での加熱量を抑制することができる。これにより、電力抑制運転中であり、かつ、バーナ80に燃料ガスが供給されているとき、給湯システム2が給湯を行う際の消費電力を抑制することができる。
ステップS8において、コントローラは、沸上げ運転による水の目標加熱量THの上限に第1所定量を設定する。具体的には、コントローラは、目標温度TAおよび/または目標加熱水量TWを調整することで、沸上げ運転による水の加熱量が第1所定量を超えないように制御する。例えば、通常運転において、目標温度TAが45℃で、目標加熱水量TWが100リットルである場合の沸上げ運転の場合、コントローラは、目標温度TAが45℃で、目標加熱水量TWが50リットルである沸上げ運転に変更する。電力抑制運転において、バーナ80に燃料ガスが供給されている場合、コントローラは、燃焼給湯優先運転を実行している。このため、タンク30に貯えられた加熱された水の消費は抑制される。従って、沸上げ運転による加熱量を抑制することができる。この結果、目標加熱量THを第1所定量以下にすることで、給湯システム2の消費電力を抑制することができる。
ステップS10において、コントローラは、電源の供給元が商用電源108であるか否かを判定する。すなわち、商用電源108が復旧したか否かを判定する。電源の供給元が商用電源108である場合(ステップS10でYES)、処理は、S20に進み、通常運転に復帰する。一方、電源の供給元が商用電源108でない場合(ステップS10でNO)、処理は、ステップS6に戻る。
ステップS4において、バーナ80への燃料ガスの供給が行われていないと判定した場合(ステップS4でNO)、処理は、ステップS14に進む。ステップS14の処理を実行する時点では、商用電源108からの電力供給が正常に行われておらず、代わりに蓄電池104から電力供給が行われており、かつガス供給管81からの燃料ガスの供給が正常に行われていないと考えられる。なお、蓄電池104から電力供給が行われており、かつガス供給管81からの燃料ガスの供給が正常に行われていない場合とは、災害により、商用電源からの電源供給の停止とバーナ80への燃料ガスの供給の停止が同時に発生した場合などである。この場合、ステップS14において、コントローラは、非燃焼給湯優先運転を実行する。非燃焼給湯優先運転において、コントローラは、給湯システム2の非燃焼給湯運転を許可するとともに、給湯システム2の燃焼給湯運転を禁止する。従って、これ以降に給湯システム2が給湯を行う際には、給湯システム2は、非燃焼給湯運転を実行する。これにより、災害により、商用電源からの電源供給の停止とバーナ80への燃料ガスの供給の停止が同時に発生した場合でも、非燃焼給湯運転により給湯箇所に加熱した水を供給することができる。
ステップS16において、コントローラは、目標加熱量THに上限が設定されている場合、目標加熱量THの上限を解除する。目標加熱量THの上限が設定されている場合とは、電力抑制運転中に、バーナ80への燃料ガスの供給が途絶えた場合などである。なお、加熱量の上限が設定されていない場合、処理は、ステップS16をスキップして、ステップS18に進む。
次いで、ステップS18において、コントローラは、電源の供給元が商用電源108であるか否かを判定する。すなわち、商用電源108が復旧したか否かを判定する。電源の供給元が商用電源108である場合(ステップS18でYES)、処理は、S20に進み、通常運転に復帰する。
電源の供給元が商用電源108でない場合(ステップS18でNO)、処理は、ステップS22に進む。ステップS22において、コントローラは、前回の燃料検知運転から所定時間(例えば24時間)経過しているか否かを判定する。前回の燃料検知運転から24時間経過すれば、ガス供給管81からバーナ80への燃料ガスの供給が復旧している可能性が高い。このため、前回の燃料検知運転によりバーナ80に燃料ガスが供給されていないことを判定してから、24時間経過したら、処理は、ステップS4に進む。すなわち、再度、燃料検知運転を実行する。これにより、商用電源108の電力供給が復帰する前に、ガス供給管81からバーナ80への燃料ガスの供給が復旧した場合に、コントローラは、非燃焼給湯優先から燃焼給湯優先運転に切り替えることができる。この結果、電力抑制運転中の給湯システム2の消費電力を抑制することができる。
上記のように、本実施例の給湯システム2は、電力抑制運転中であり、かつ、バーナ80に燃料ガスが供給されている場合、燃焼給湯優先運転を実行する。すなわち、バーナ80により水を加熱して、供給箇所に加熱された水を供給している。また、燃焼給湯優先運転中、HPユニット4による給湯(非燃焼給湯運転)は禁止されている。これにより、タンク30に貯留されるHPユニット4で加熱された水の消費を抑制できる。タンク30に貯留されるHPユニット4で加熱された水の消費を抑制することで、沸上げ運転により加熱する水の量を抑制することができる。すなわち、沸上げ運転により消費される電力を抑制することができる。これにより、電力抑制運転において、バーナ80への燃料ガスが供給されているときに、給湯システム2の消費電力を抑制することができる。
上記のように、電力抑制運転中であり、かつ、バーナ80に燃料ガスが供給されている場合、燃焼給湯運転によって加熱された水を供給することができるので、タンク30にはそれほど多くの加熱された水を貯えておく必要がない。このため、電力抑制運転において、バーナ80に燃料ガスが供給されている場合に、沸上げ運転による水の加熱量を抑制することによって、沸上げ運転を実行する場合の消費電力を抑制することができる。
また、本実施例では、電力抑制運転であり、かつ、バーナ80に燃料ガスが供給されていない場合、非燃焼給湯優先運転を実行する。このような構成によれば、電力抑制運転中において、バーナ80に燃料ガスが供給されていない場合でも、非燃焼給湯運転により加熱された水を給湯箇所に給湯することができる。
また、上記の実施例では、電力抑制運転中において、燃料検知運転から所定時間(24時間)経過した場合、コントローラは、再度燃料検知運転を実行する。これにより、燃料検知運転によりバーナ80への燃料ガスの供給を検知できなかった後で、かつ、商用電源108からの電源が復旧する前に、バーナ80への燃料ガスの供給が復旧した場合に、バーナ80への燃料ガスの供給が復旧したことを検知することができる。これにより、コントローラは、非燃焼給湯優先運転から燃焼給湯優先運転に切り替えることができる。この結果、電力抑制中の給湯システム2の消費電力を抑制することができる。
ここで、実施例の記載と請求項の記載との対応関係を説明しておく。給湯システム2が「熱機器」の一例である。水が「熱媒」の一例である。燃料ガスが「燃料」の一例である。圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16から構成されるヒートポンプサイクルが、「ヒートポンプ熱源」の一例である。バーナ80が「補助熱源」の一例である。コントローラが「制御装置」の一例である。フレームロッド87が、「着火検出手段」の一例である。沸上げ運転及び非燃焼給湯運転が「第1の加熱運転」の一例である。燃焼給湯運転が「第2の加熱運転」の一例である。
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(変形例1)例えば、電力抑制運転中の燃焼給湯優先運転を実行中に、バーナ80への燃料ガスの供給が途絶えた場合に備えて、タンク30に加熱された水を蓄えておきたい場合がある。この場合、図2に示す処理の代わりに、図3に示す処理を実行するとよい。具体的には、図2のステップS8に代えて、ステップS38を追加し、沸上げ運転の目標加熱量THの下限に第2所定量を設定する。具体的には、コントローラは、目標温度TAおよび/または目標加熱水量TWを調整することで、沸上げ運転による水の加熱量が第2所定量以下になるように制御する。例えば、通常運転において、目標温度TAが45℃で、目標加熱水量TWが10リットルである沸上げ運転の場合に、コントローラは、目標温度TAが45℃で、目標加熱水量TWが30リットルである沸上げ運転に変更する。また、この場合、ステップS16に代えて、ステップS46を追加する。すなわち、ステップS46において、コントローラは、ステップS38で設定された加熱量の下限を解除する。
図3を用いて、電力抑制運転中の燃焼給湯優先運転を実行中に、バーナ80への燃料ガスの供給が途絶えた場合について説明する。電力抑制運転であり、かつ、バーナ80に燃料ガスが供給されている場合、コントローラは、燃焼給湯優先運転を実行する(ステップS6)。すなわち、バーナ80によって加熱された熱媒を給湯箇所に供給する。その後、電力抑制運転中であり、かつ、燃焼給湯優先運転を実行中に、バーナ80への燃料ガスの供給が途絶えた場合、コントローラは、ステップS4でNOと判定し、燃焼給湯優先運転から非燃焼給湯優先運転に切り替える(ステップS14)。すなわち、バーナ80の駆動を停止して、HPユニット4の駆動を開始する。しかしながら、HPユニット4の駆動には、所定時間を要する。このため、タンク30に加熱された水が貯湯されていない場合、HPユニット4が駆動するまでの間、給湯箇所に加熱した水を供給することができない。しかしながら、変形例1では、燃焼給湯優先運転中においても、タンク30に、沸上げ運転により加熱された水が、第2所定量以上貯湯されている。このため、HPユニット4が起動するまでの間、タンク30に貯湯されている加熱された水を用いて、給湯箇所に加熱された水を供給することができる。
(変形例2)上記の実施例では、バーナ80の燃焼状態を検出することで、バーナ80に燃料ガスが供給されているか否かを判定している。しかしながら、バーナ80を着火する際にガス供給管81を流れる燃料ガスの流量に基づいて、バーナ80に燃料ガスが供給されているか否かを判定してもよい。この場合、図4に示すように、ガス供給管81に取付けられ、ガス供給管81を流れる燃料ガスの流量を検知可能な流量計180を用いるとよい。流量計180は、スマートメータ120に接続されており、燃料ガスの流量をスマートメータ120に出力する。また、スマートメータ120は、バーナコントローラ100に接続されており、流量計180から入力された燃料ガスの流量を、バーナコントローラ100に送信する。すなわち、流量計180が検知した燃料ガスの流量は、スマートメータ120を介して、バーナコントローラ100に送信される。
流量計180を用いる場合の燃料検知運転(図2のステップS4)について説明する。コントローラ(詳細にはバーナコントローラ100)は、ステップS4において、バーナ80においてガス供給管81を開いた際に流量計180が検知した燃料ガスの流量を受信する。コントローラは、流量計180から受信した燃料ガスの流量に基づいて、バーナ80にガスが供給されているか否かを判定する。具体的には、コントローラは、流量計180から受信した燃料ガスの流量が所定流量以上の場合に、バーナ80に燃料ガスが供給されていると判定し(ステップS4でYES)、燃料ガスの流量が所定流量未満の場合に、バーナ80に燃料ガスが供給されていないと判定する(ステップS4でNO)。なお、バーナ80に燃料ガスが供給されているか否かの判定に、フレームロッド87と流量計180の両方を用いてもよい。この場合、コントローラは、ステップS4において、ガス供給管81と空気供給管83を開いてイグナイタ85による着火を行う。
(変形例3)また、バーナ80への燃料の供給元であるガスボンベ280の残量を検知することで、バーナ80に燃料ガスが供給されているか否かを判定してもよい。この場合、図5に示すように、ガス供給管81に取付けられ、ガスボンベ280内のガス圧を検出可能な圧力センサ282と、圧力センサ282が検出したガス圧に基づいてガスボンベ280内の燃料ガスの残量を算出可能なスマートメータ220と、を用いるとよい。また、ガス供給管には、ガスボンベ280からバーナ80への燃料ガスの供給量を調整するガス供給弁284が取付けられている。ガス供給弁284が開くと、ガスボンベ280からバーナ80に燃料ガスが供給され、ガス供給弁284が閉じると、ガスボンベ280からバーナ80への燃料ガスの供給が停止する。圧力センサ282は、ガス供給弁89よりもガスボンベ280側に取付けられている。このため、ガス供給弁89が閉じている場合に、圧力センサ282はガスボンベ280内のガス圧を検出することができる。圧力センサ282が検出したガス圧は、スマートメータ220に送信される。スマートメータ220は、圧力センサ282から受信したガス圧に基づいて、ガスボンベ280内の燃料ガスの残量を算出する。また、スマートメータ220は、バーナコントローラ100に接続されており、バーナコントローラ100にガスボンベ280内の燃料ガスの残量を送信する。
上述の説明から明らかなように、スマートメータ220と圧力センサ282を用いてバーナ80に燃料ガスが供給されているか否かを判定する場合、ガス供給管81(詳細には、ガス供給弁284)は閉じている必要がある。このため、コントローラは、燃焼給湯運転が実行されていないときに、燃料検知運転(図2のステップS4)を実行する。ステップS4において、コントローラは、スマートメータ220から受信するガスボンベ280内の燃料ガスの残量に基づいて、バーナ80に燃料ガスが供給されている否かを判定する。具体的には、コントローラは、スマートメータ220から受信した燃料ガスの残量が所定量以上の場合に、バーナ80に燃料ガスが供給されていると判定し(ステップS4でYES)、燃料ガスの残量が所定量未満の場合に、バーナ80に燃料ガスが供給されていないと判定する(ステップS4でNO)。なお、電力抑制運転中に、HPユニット4を駆動させ、タンク30を満蓄状態にする手動加熱スイッチをリモコン76に備えていてもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。