実施例に係る給湯システムについて図面を用いて説明する。図1は、給湯システム2の概略構成を模式的に示す図である。図1に示すように、給湯システム2は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。
HPユニット4は、外気から吸熱して水を加熱する熱源である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16を備えている。HPユニット4は、冷媒(例えばフロン系冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、水との熱交換により冷媒を冷却する。凝縮器12の水流路の両端部には、それぞれ、HP往き経路19とHP戻り経路21が接続されている。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、外気との熱交換により冷媒を加熱する。HPユニット4はさらに、凝縮器12に水を循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出する往きサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水(湯)の温度を検出する戻りサーミスタ22と、外気温度を検出するHP外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラー24を備えている。
タンクユニット6は、貯湯タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34と、を備えている。貯湯タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。本実施例の貯湯タンク30の容量は、例えば160リットルである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動すると、貯湯タンク30の底部の水が、タンク往き経路31およびHP往き経路19を介して、凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水(湯)は、HP戻り経路21およびタンク戻り経路33を介して、貯湯タンク30の頂部から貯湯タンク30内に戻される。HPユニット4によって加熱された後の水(湯)が貯湯タンク30に流れ込む。
貯湯タンク30内には低温の水と、高温の水(湯)が貯えられており、温度成層が形成されている。温度成層は、低温の水の層36の上に高温の水(湯)の層37が積み重なることによって形成されている。低温の水の層36の温度は例えば25℃であり、高温の水(湯)の層37の温度は例えば45℃である。低温の水の層36の温度は所定の基準温度(例えば35℃)未満であり、高温の水(湯)の層37の温度は所定の基準温度(例えば35℃)以上である。なお、満蓄の場合は、貯湯タンク30内が高温の水(湯)で満たされている。
貯湯タンク30には、貯湯量センサ35が取り付けられている。貯湯量センサ35は、複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第7サーミスタT7)を備えている。貯湯量センサ35は、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出可能に構成されている。貯湯量センサ35は、各サーミスタTの検出温度に基づいて、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出する。各サーミスタTは、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を特定するために設けられている。
複数のサーミスタTは、貯湯タンク30またはタンク往き経路31に固定されている。第0サーミスタT0〜第6サーミスタT6が貯湯タンク30に固定されている。第7サーミスタT7がタンク往き経路31に固定されている。第0サーミスタT0〜第6サーミスタT6は、貯湯タンク30の深さ方向に並んで配置されている。第0サーミスタT0〜第6サーミスタT6のうち、第0サーミスタT0が最も上に配置されており、その下に第1サーミスタT1が配置されており、その下に第2サーミスタT2〜第6サーミスタT6のそれぞれが順に配置されている。第0サーミスタT0〜第6サーミスタT6は、貯湯タンク30内に貯湯されている水の温度を検出することができる。第7サーミスタT7は、タンク往き経路31内の水の温度を検出することができる。
各サーミスタT(第0サーミスタT0〜第7サーミスタT7)は、貯湯タンク30内の湯量に対応する位置に固定されている。具体的には、第0サーミスタT0が貯湯タンク30の頂部から12リットルの位置に固定されており、第1サーミスタT1が貯湯タンク30の頂部から30リットルの位置に固定されており、第2サーミスタT2が貯湯タンク30の頂部から50リットルの位置に固定されており、第3サーミスタT3が貯湯タンク30の頂部から70リットルの位置に固定されており、第4サーミスタT4が貯湯タンク30の頂部から90リットルの位置に固定されており、第5サーミスタT5が貯湯タンク30の頂部から110リットルの位置に固定されており、第6サーミスタT6が貯湯タンク30の頂部から135リットルの位置に固定されており、第7サーミスタT7が貯湯タンク30の頂部から160リットルの位置に固定されている。
各サーミスタT(第0サーミスタT0〜第7サーミスタT7)は、それぞれが固定されている位置における貯湯タンク30内の水の温度を検出することができる。また、各サーミスタTの検出温度に基づいて、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量が分かる。例えば、第0サーミスタT0の検出温度が基準温度(例えば35℃)以上の45℃であり、第1サーミスタT1の検出温度が基準温度未満の25℃であるときは、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量が12リットル以上で30リットル未満であると分かる。
また、各サーミスタTの検出温度が変化したときに、そのサーミスタTに対応する湯量が貯湯タンク30内に貯湯されていると分かる。例えば、第1サーミスタT1の検出温度が基準温度(例えば35℃)未満から基準温度以上に変化したときは、貯湯タンク30に貯湯されている湯量が30リットルであると分かる。
タンクユニット6には、給水経路40を介して水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44が取り付けられている。給水経路40は、貯湯タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ逆止弁50、52が取り付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54が取り付けられている。貯湯タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、混合弁32に流入する貯湯タンク30からの水(湯)の流量を検出する出湯量センサ60が取り付けられている。出湯量センサ60は、貯湯タンク30から出湯される湯量を検出可能に構成されている。出湯量センサ60は、タンク出湯経路56内を流れる湯量を検出する。
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込む貯湯タンク30からの水(湯)を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、ステッピングモータによって弁を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水(湯)の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、台所やシャワー、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水(湯)の温度を検出する給湯出口サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34が取り付けられている。
タンクユニット6はさらに、タンクコントローラー74を備えている。タンクコントローラー74は、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御する。また、タンクコントローラー74は、メモリ75を備えている。メモリ75は、例えば、過去の所定期間(例えば7日間)における給湯システム2の給湯開始時刻、給湯量、給湯終了時刻などの給湯実績関連情報や、後述する沸き上げ運転の開始予定時刻、沸き上げ温度、沸き上げ水量、終了予定時刻などの沸き上げ運転関連情報を記憶する。
バーナユニット8は、バーナ80と、熱交換器82と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88と、を備えている。バーナ80は、燃料ガスの燃焼によって熱交換器82を流れる水を加熱する補助熱源機である。バーナ80には、ガス供給管81を介して燃料ガスが供給される。熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。熱交換器82を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。バーナ往路90には、バーナ往路90を流れる水の流量を調整する水量サーボ86と、バーナ往路90を流れる水の流量を検出する水量センサ91が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90からバーナバイパス経路94へ流れる水の流量を調整する。バーナ復路92には、熱交換器82から流れ出る水の温度を検出するバーナ給湯サーミスタ96が取り付けられている。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。バーナ復路92において、湯はり経路98には、湯はり弁88が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。
バーナユニット8はさらに、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御するバーナコントローラー100と、リモコン102を備えている。リモコン102は、バーナコントローラー100と通信可能である。また、リモコン102は、バーナコントローラー100を介して、タンクコントローラー74と通信可能である。リモコン102は、スイッチやボタンなどを介して、ユーザーからの各種の操作入力を受け入れる。各種の入力とは、例えば、後述する沸き上げ運転の実行指示などである。また、リモコン102は、表示や音声によってユーザーに給湯システム2の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
HPコントローラー24とタンクコントローラー74は、互いに通信可能である。タンクコントローラー74とバーナコントローラー100は、互いに通信可能である。従って、HPコントローラー24と、タンクコントローラー74と、バーナコントローラー100が協調して制御を行うことで、給湯システム2は沸き上げ運転、給湯運転等の各種の動作を行うことができる。以下では、HPコントローラー24と、タンクコントローラー74と、バーナコントローラー100を総称して、単にコントローラーとも呼ぶ。
次いで、給湯システム2の動作について説明する。給湯システム2は、沸き上げ運転と、給湯運転と、を実行することができる。
(沸き上げ運転)
沸き上げ運転では、給湯システム2は、HPユニット4を駆動して、貯湯タンク30内の水を加熱する。沸き上げ運転は、例えばリモコン102から沸き上げ運転の実行指示が入力されることで実行されることもあるし、予め設定されてメモリ75に記憶されている沸き上げ運転の開始予定時刻の到来によって実行されることもある。また、沸き上げ運転は、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク30内の湯量が減少したときに実行されることもある。
沸き上げ運転は、貯湯タンク30内の水をHPユニット4によって沸き上げる運転である。HPユニット4は、貯湯タンク30内の低温の水を沸き上げて高温の水にする。HPユニット4によって沸き上げられた後の高温の水は、貯湯タンク30内に貯湯される。
沸き上げ運転が開始されると、HPコントローラー24は、圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させるとともに、循環ポンプ18を駆動して、貯湯タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、貯湯タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において沸き上げ温度(例えば45℃)まで加熱されて、貯湯タンク30の頂部に戻される。一例では、貯湯タンク30内の水のうち、沸き上げ水量(例えば30リットル)の水が、沸き上げ温度まで加熱された水で置き換えられると、HPコントローラー24は沸き上げ運転を終了する。
(給湯運転)
給湯運転では、給湯設定温度の水を給湯箇所へ供給する。コントローラーは、水側水量センサ54で検出される流量と、出湯量センサ60で検出される流量を合算した流量(給湯流量ともいう)が最低動作流量(例えば2.4L/分)以上となると、給湯箇所の開栓や浴槽への湯はりなどにより給湯が開始されたものと判断する。そして、コントローラーは、第0サーミスタT0で検出される温度に応じて、以下の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行する。給湯運転が実行されると、貯湯タンク30内に貯湯されている湯が貯湯タンク30から出湯され、貯湯タンク30内の湯量が減少する。
第0サーミスタT0で検出される温度が給湯設定温度以上である場合、コントローラーは、非燃焼給湯運転を実行する。非燃焼給湯運転では、コントローラーは、バーナ80の燃焼運転を禁止するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。これによって、給湯箇所に給湯設定温度に温度調整された水が供給される。
第0サーミスタT0で検出される温度が給湯設定温度未満の場合、コントローラーは、燃焼給湯運転を実行する。燃焼給湯運転では、コントローラーは、バーナ80の燃焼運転を許可するとともに、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、貯湯タンク30の上部から供給される高温の水(湯)と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。
上記の非燃焼給湯運転または燃焼給湯運転を実行中に、給湯流量が最低動作流量を下回ると、コントローラーは、給湯箇所の閉栓や浴槽への湯はりの終了などにより給湯が終了したものと判断して、給湯運転を終了する。
次に、上記の給湯システム2で実行される処理について説明する。図2は、給湯システム2で実行される処理を示すフローチャートである。図2に示すように、ステップS11では、給湯システム2のコントローラーが、本日(例えば2017年1月15日)中に貯湯タンク30から出湯されると予測される全湯量である予測全出湯量を算出する。コントローラーは、過去(2017年1月15日より前)に貯湯タンク30から出湯された湯量に基づいて本日の予測全出湯量を算出する。予測全出湯量を算出する方法は特に限定されるものではない。例えば、昨日(2017年1月14日)に貯湯タンク30から出湯された全湯量を本日(1月15日)の予測全出湯量とすることができる。あるいは、本日(2017年1月15日)より前の一週間(1月8日〜1月14日)の各日に貯湯タンク30からそれぞれ出湯された全湯量の平均湯量を本日の予測全出湯量とすることができる。あるいは、過去の本日と同じ曜日の複数の日に貯湯タンク30からそれぞれ出湯された全湯量の平均湯量を本日の予測全出湯量とすることができる。過去に貯湯タンク30から出湯された湯量に関する情報は、タンクコントローラー74のメモリ75に記憶されている。予測全出湯量は、本日(2017年1月15日)の最初(0:00)〜最後(24:00)までの間に貯湯タンク30から出湯される湯量の全量である。予測全出湯量を算出する基準となる時間帯は、0:00〜24:00に限られるものではなく、例えばAM2:00〜AM2:00等であってもよい。コントローラーは、例えば本日の最初(0:00)に、本日の予測全出湯量を算出する。予測全出湯量は、実測値ではなく、予測値である。本実施例では、予測全出湯量を400リットルと仮定して説明する。
続いてステップS12では、コントローラーが、本日(2017年1月15日)中に既に貯湯タンク30から出湯された湯量である既出湯量を算出する。既出湯量は、本日の最初(0:00)〜現在(例えば20:00)までの間に貯湯タンク30から出湯された湯量である。上記の給湯システム2では、貯湯タンク30から出湯される湯量が出湯量センサ60によって継続的に検出されている。コントローラーは、出湯量センサ60が検出した出湯量に基づいて既出湯量を算出する。例えば、コントローラーは、出湯量センサ60が検出した出湯量を積算して既出湯量を算出する。既出湯量は、予測値ではなく、実測値である。この処理は、例えば浴槽への湯はりの終了後の時間帯において実行される。本実施例では、既出湯量を300リットルと仮定して説明する。
続いてステップS13では、コントローラーが、上記で算出した予測全出湯量と既出湯量に基づいて、本日(2017年1月15日)中の今後に貯湯タンク30から出湯されると予測される湯量である予測残り出湯量を算出する。予測残り出湯量は、予測全出湯量から既出湯量を差し引いた湯量である。すなわち、予測残り出湯量=予測全出湯量−既出湯量である。予測残り出湯量は、本日(2017年1月15日)の現在(例えば20:00)から最後(24:00)までの間に貯湯タンク30から出湯される湯量である。予測残り出湯量は、実測値ではなく、予測全出湯量に基づいた予測値である。本実施例では、予測残り出湯量は、400リットル(予測全出湯量)−300リットル(既出湯量)=100リットルとなる。
ここで、現在の貯湯タンク30内の湯量が95リットルであると仮定する。この場合、図3に示すように、貯湯タンク30内には、第4サーミスタT4と第5サーミスタT5の間の位置まで湯が貯湯されている。第4サーミスタT4は90リットルに対応する位置に固定されている。また、第5サーミスタT5は110リットルに対応する位置に固定されている。
上記の給湯システム2では、貯湯タンク30内の湯量が貯湯量センサ35によって継続的に検出されている。貯湯量センサ35は、各サーミスタTの検出温度に基づいて貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出する。本実施例では、第4サーミスタT4と第5サーミスタT5の間の位置まで湯が貯湯されている。そのため、第4サーミスタT4の検出温度が所定の基準温度以上(例えば45℃)になり、第5サーミスタT5の検出温度が所定の基準温度未満(例えば25℃)になる。所定の基準温度は例えば35℃である。貯湯量センサ35は、第4サーミスタT4の検出温度と第5サーミスタT5の検出温度に基づいて、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量が90リットル以上110リットル未満であると判断する。
続いて、貯湯タンク30内に95リットルの湯が貯湯されている状態から、給湯運転が実行されて、貯湯タンク30内の湯が出湯されたと仮定する。コントローラーが給湯運転を実行すると、貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯されて湯量が減少してゆく。給湯運転は、例えばユーザーが給湯箇所を開栓することよって実行される。貯湯タンク30から湯が出湯されると、貯湯タンク30内の湯量が95リットルより少なくなる。貯湯タンク30内の湯が減少すると、図3に矢印P1で示すように、温度成層における低温の水の層36と高温の水(湯)の層37の境界38が上昇してゆく。
その後、貯湯タンク30内の湯が減少してゆき、図4に示すように、貯湯タンク30内の湯が第4サーミスタT4より上の位置まで減少したとする。すなわち、貯湯タンク30内の湯量が90リットル未満に減少したとする。そうすると、第4サーミスタT4の検出温度が所定の基準温度以上(例えば45℃)から基準温度未満(例えば25℃)に変化する。所定の基準温度は例えば35℃である。第4サーミスタT4の検出温度が所定の基準温度以上から基準温度未満に変化したことによって、貯湯タンク30内の湯量が90リットル未満になったことが分かる。貯湯量センサ35は、第4サーミスタT4の検出温度に基づいて貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出する。
図2に示すように、ステップS13に続くステップS14では、コントローラーが、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク内の湯量が90リットル未満であるか否かを判断する。90リットル未満である場合はステップS14でYesと判断してステップS15に進む。一方、90リットル未満でない(90リットル以上である)場合はステップS14でNoと判断して待機する。
ステップS14でYesと判断した後のステップS15では、コントローラーが沸き上げ運転を開始する。すなわち、貯湯タンク30内の湯量が90リットル未満まで減少すると、コントローラーが沸き上げ運転を開始する。別言すると、第4サーミスタT4の検出温度が所定の基準温度以上(例えば45℃)から基準温度未満(例えば25℃)に変化すると、コントローラーが沸き上げ運転を開始する。第4サーミスタT4は、上記のステップS13で算出した予測残り出湯量(100リットル)より少ない湯量を特定するための複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第4サーミスタT4)のうちで、予測残り出湯量に最も近い湯量(90リットル)を特定するためのサーミスタTである。
ステップS15で沸き上げ運転が実行されると、貯湯タンク30内の低温の水がHPユニット4によって沸き上げられて高温の水(湯)になる。HPユニット4によって沸き上げられた後の高温の水(湯)は、貯湯タンク30内に貯湯される。沸き上げ運転によって沸き上げられた後の湯が貯湯タンク30内に貯湯されると、貯湯タンク30内の湯が増加してゆく。貯湯タンク30内の湯が増加すると、図4に矢印P2で示すように、温度成層における低温の水の層36と高温の水(湯)の層37の境界38が下降してゆく。
続いて、沸き上げ運転が実行されている間に給湯運転が終了したと仮定する。給湯運転が終了すると貯湯タンク30から湯が出湯されなくなる。その後、貯湯タンク30内の湯が増加してゆき、図5に示すように、貯湯タンク30内の湯が第5サーミスタT5より下の位置まで増加したとする。すなわち、貯湯タンク30内の湯量が110リットル以上に増加したとする。そうすると、第5サーミスタT5の検出温度が所定の基準温度未満(例えば25℃)から基準温度以上(例えば45℃)に変化する。所定の基準温度は例えば35℃である。第5サーミスタT5の検出温度が所定の基準温度未満から基準温度以上に変化したことによって、貯湯タンク30内の湯量が110リットル以上になったことが分かる。貯湯量センサ35は、第5サーミスタT5の検出温度に基づいて、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出する。
図2に示すように、ステップS15に続くステップS16では、コントローラーが、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク内の湯量が110リットル以上であるか否かを判断する。110リットル以上である場合はステップS16でYesと判断してステップS17に進む。一方、110リットル以上でない(110リットル未満である)場合はステップS16でNoと判断して待機する。
ステップS16でYesと判断した後のステップS17では、コントローラーが沸き上げ運転を終了する。すなわち、貯湯タンク30内の湯量が110リットル以上まで増加すると、コントローラーが沸き上げ運転を終了する。別言すると、第5サーミスタT5の検出温度が所定の基準温度未満(例えば25℃)から基準温度以上(例えば45℃)に変化すると、コントローラーが沸き上げ運転を終了する。第5サーミスタT5は、上記のステップS13で算出した予測残り出湯量(100リットル)より多い湯量を特定するための複数のサーミスタT(第5サーミスタT5〜第7サーミスタT7)のうちで、予測残り出湯量に最も近い湯量(110リットル)を特定するためのサーミスタである。ステップS17で沸き上げ運転が終了すると、貯湯タンク30内の湯量が増加しなくなる。
以上、実施例に係る給湯システム2について説明した。上記の説明から明らかなように、給湯システム2は、貯湯タンク30と、沸き上げ運転によって貯湯タンク30内の水を沸き上げて再び貯湯タンク30内に貯湯するHPユニット4と、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出する貯湯量センサ35と、貯湯タンク30から出湯される湯量を検出する出湯量センサ60と、コントローラーを備えている。コントローラーは、過去に貯湯タンク30から出湯された湯量に基づいて本日中に貯湯タンク30から出湯されると予測される全湯量である予測全出湯量を算出する(ステップS11)。また、コントローラーは、出湯量センサ60が検出した出湯量に基づいて本日中に既に貯湯タンク30から出湯された湯量である既出湯量を算出する(ステップS12)。また、コントローラーは、上記で算出した予測全出湯量と既出湯量に基づいて本日中の今後に貯湯タンク30から出湯されると予測される湯量である予測残り出湯量を算出する(ステップS13)。そしてコントローラーは、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク30内の湯量が90リットル未満まで減少するとHPユニット4による沸き上げ運転を開始する(ステップS14、S15)。
ここで、上記の90リットルは、第4サーミスタT4によって特定される湯量である。第4サーミスタT4は、ステップS13で算出した予測残り出湯量(100リットル)より少ない湯量を特定するための複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第4サーミスタT4)のうちで、予測残り出湯量に最も近い湯量(90リットル)を特定するためのサーミスタTである。したがって、上記の90リットルは、予測残り出湯量に対応した湯量である。コントローラーは、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク30内の湯量が予測残り出湯量より少ない湯量であって予測残り出湯量に応じた湯量(本実施例では90リットル未満)まで減少するとHPユニット4による沸き上げ運転を開始する。
このような構成によれば、貯湯タンク30内の湯量が予測残り出湯量に応じた湯量まで減少するとコントローラーがHPユニット4による沸き上げ運転を開始するので、貯湯タンク30内の湯量が減少し過ぎる前に沸き上げ運転を開始することができ、貯湯タンク30内の湯量を予測残り出湯量に応じた湯量に維持することができる。本日中の予測残り出湯量に適したタイミングで沸き上げ運転を開始するので、予測残り出湯量に対して貯湯タンク30内の湯量が減少しすぎることがない。これによって、貯湯タンク30から出湯するための湯が足りなくなることを防ぐことができる。
そのため、バーナユニット8のバーナ80によって水を加熱する必要が無くなるので、エネルギー効率を高めることができる。また、ガスを使用することによるコストを削減することができる。
また、上記の給湯システム2では、貯湯量センサ35が、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を特定するための複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第7サーミスタT7)を備えており、各サーミスタTの検出温度に基づいて貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出可能である。コントローラーは、予測残り出湯量(100リットル)より少ない湯量を特定するための複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第4サーミスタT4)のうちで、予測残り出湯量に最も近い湯量(90リットル)を特定するための第4サーミスタT4の検出温度が所定の基準温度以上(例えば45℃)から基準温度未満(例えば25℃)に変化するとヒートポンプによる沸き上げ運転を開始する。
このような構成によれば、予測残り出湯量に最も近い湯量を特定するための第4サーミスタT4の検出温度に基づいて沸き上げ運転を開始するので、貯湯タンク30内の湯量を予測残り出湯量に近い湯量に維持することができる。貯湯タンク30内の湯量が減少し過ぎることを防ぐことができる。
また、上記の給湯システム2では、コントローラーが、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク30内の湯量が110リットル以上まで増加するとHPユニット4による沸き上げ運転を終了する(ステップS14、S15)。
ここで、上記の110リットルは、第5サーミスタT5によって特定される湯量である。第5サーミスタT5は、ステップS13で算出した予測残り出湯量(100リットル)より多い湯量を特定するための複数のサーミスタT(第5サーミスタT5〜第7サーミスタT7)のうちで、予測残り出湯量に最も近い湯量(110リットル)を特定するためのサーミスタである。したがって、上記の110リットルは、予測残り出湯量に対応した湯量である。コントローラーは、貯湯量センサ35が検出する貯湯タンク30内の湯量が予測残り出湯量より多い湯量であって予測残り出湯量に応じた湯量(本実施例では110リットル以上)まで増加するとHPユニット4による沸き上げ運転を終了する。
このような構成によれば、貯湯タンク30内の湯量が予測残り出湯量に応じた湯量まで増加するとコントローラーがHPユニット4による沸き上げ運転を終了するので、貯湯タンク30内の湯量が増加し過ぎる前に沸き上げ運転を終了することができ、貯湯タンク30内の湯量を予測残り出湯量に応じた湯量に維持することができる。本日中の予測残り出湯量に適したタイミングで沸き上げ運転を終了するので、予測残り出湯量に対して貯湯タンク30内の湯量が増加しすぎることがない。湯を沸き上げ過ぎることを防ぐことができる。そのため、余分な電力やガスの使用を抑制でき、エネルギー効率を高めることができる。
また、上記の給湯システム2では、貯湯量センサ35が、貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を特定するための複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第7サーミスタT7)を備えており、各サーミスタTの検出温度に基づいて貯湯タンク30内に貯湯されている湯量を検出可能である。コントローラーは、予測残り出湯量(100リットル)より多い湯量を特定するための複数のサーミスタT(第5サーミスタT5〜第7サーミスタT7)のうちで、予測残り出湯量に最も近い湯量(110リットル)を特定するための第5サーミスタT5の検出温度が所定の基準温度未満(例えば25℃)から基準温度以上(例えば45℃)に変化するとHPユニット4による沸き上げ運転を終了する。
このような構成によれば、予測残り出湯量に最も近い湯量を特定するための第5サーミスタT5の検出温度に基づいて沸き上げ運転を開始するので、貯湯タンク30内の湯量を予測残り出湯量に近い湯量に維持することができる。予測残り出湯量に対して適切な量の湯を貯湯タンク30内に貯湯しておくことができる。貯湯タンク30内の湯量が増加し過ぎることがない。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
上記の実施例では、沸き上げ運転が実行されている間に給湯運転が終了する態様であったが、この態様に限定されるものではない。他の実施例では、沸き上げ運転が実行されている間に、給湯運転が終了せずに、貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯される態様であってもよい。図6は、給湯システムで実行される他の実施例に係る処理を示すフローチャートである。他の実施例では、図6に示すように、コントローラーが、ステップS16でYesと判断した後のステップS21で、貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯されているか否かを判断する。貯湯タンク30から湯が出湯されているか否かは、出湯量センサ60が検出する湯量に基づいて判断することができる。出湯量センサ60は、タンク出湯経路56内を流れる湯量を検出する。出湯量センサ60が検出する湯量が多い場合は、貯湯タンク30から湯が出湯されていると判断することができる。
ステップS21で貯湯タンク30から湯が出湯されている場合は、コントローラーがYesと判断してステップS22に進む。ステップS22では、コントローラーが、沸き上げ運転を終了せずに継続する。その後、ステップS21に戻る。
一方、ステップS21で貯湯タンク30から湯が出湯されていない場合は、コントローラーがNoと判断してステップS17に進む。ステップS17では、コントローラーが沸き上げ運転を終了する。
以上のように、コントローラーは、貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯されている間にはHPユニット4による沸き上げ運転を終了せずに継続する(ステップS22)。また、コントローラーは、貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯されなくなるとHPユニット4による沸き上げ運転を終了する(ステップS17)。
貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯されている間には貯湯タンク30内の湯量が減少する。上記の構成によれば、貯湯タンク30から湯が出湯されている間にはコントローラーが沸き上げ運転を継続するので、貯湯タンク30内の湯量が減少したとしても沸き上げ運転によってそれを補うことができる。したがって、貯湯タンク30から出湯するための湯が足りなくなることを防ぐことができる。
また、貯湯タンク30内の湯が貯湯タンク30から出湯されている間には貯湯タンク30内の湯量が減少するので、仮に沸き上げ運転を終了したとしても、その後に貯湯タンク30内の湯量が上記のステップS13で算出した予測残り出湯量に応じた湯量まで減少して、コントローラーが再び沸き上げ運転を開始することがある。そのため、沸き上げ運転を終了せずに継続しておくことが有効である。これによって、HPユニット4の発停に伴うエネルギー効率の低下を防ぐことができる。
上記の実施例では、コントローラーがHPユニット4による沸き上げ運転を開始する際に、予測残り出湯量に最も近い湯量を特定するための第4サーミスタT4の検出温度に基づいて沸き上げ運転を開始していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、コントローラーが、例えば第3サーミスタT3の検出温度に基づいて沸き上げ運転を開始してもよい。コントローラーが沸き上げ運転を開始する際の基準となるサーミスタTは、予測残り出湯量より少ない湯量を特定するための複数のサーミスタT(第0サーミスタT0〜第4サーミスタT4)のうちで、なるべく予測残り出湯量に近い湯量を特定するためのサーミスタT(例えば、第4サーミスタT4または第3サーミスタT3)であることが好ましい。
また、上記の実施例では、コントローラーがHPユニット4による沸き上げ運転を終了する際に、予測残り出湯量に最も近い湯量を特定するための第5サーミスタT5の検出温度に基づいて沸き上げ運転を終了していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、コントローラーが、例えば第6サーミスタT6の検出温度に基づいて沸き上げ運転を終了してもよい。コントローラーが沸き上げ運転を終了する際の基準となるサーミスタTは、予測残り出湯量より多い湯量を特定するための複数のサーミスタT(第5サーミスタT5〜第7サーミスタT7)のうちで、なるべく予測残り出湯量に近い湯量を特定するためのサーミスタT(例えば、第5サーミスタT5または第6サーミスタT6)であることが好ましい。
また、上記の実施例では、ステップS13で算出した予測残り出湯量が100リットルであり、ステップS15で沸き上げ運転を開始する際の基準となるサーミスタTが第4サーミスタT4(湯量が90リットル)であり、ステップS17で沸き上げ運転を終了する際の基準となるサーミスタTが第5サーミスタT5(湯量が110リットル)であったが、これに限定されるものではない。ステップS13で算出する予測残り出湯量は、ステップS11で算出する予測全出湯量とステップS12で算出する既出湯量に応じて変わる量である。また、ステップS15で沸き上げ運転を開始する際の基準となるサーミスタT(あるいは湯量)は、ステップS13で算出する予測残り出湯量に応じて変わるものである。また、ステップS17で沸き上げ運転を終了する際の基準となるサーミスタT(あるいは湯量)も、ステップS13で算出する予測残り出湯量に応じて変わるものである。例えば、ステップS13で算出した予測残り出湯量が40リットルである場合は、ステップS15で沸き上げ運転を開始する際の基準となるサーミスタTを第1サーミスタT1(湯量を30リットル)とし、ステップS17で沸き上げ運転を終了する際の基準となるサーミスタTを第2サーミスタT2(湯量を50リットル)としてもよい。ステップS13で算出する予測残り出湯量に応じて、沸き上げ運転を開始または終了する際の基準となるサーミスタT(あるいは湯量)を変える。
また、上記の実施例では、貯湯タンク30から出湯される湯量を出湯量センサ60で直接的に検出していたが、この構成に限定されるものではない。タンク出湯経路56に取り付けられている出湯量センサ60は出湯量検出装置の一例である。他の実施例では、例えば、カランやシャワーから出湯される湯量を検出し、その検出値と給水温度等に基づいて貯湯タンク30から出湯される湯量を算出してもよい。すなわち、貯湯タンク30から出湯される湯量を間接的に検出してもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。