JP2017088861A - フッ素系樹脂の非水系分散体、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物、および回路基板用接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、粒子同士の凝集力が強く、特に、油性溶剤などの非水系溶剤中に微粒子径で低粘度、保存安定性に優れた形で分散することは難しいという課題があった。
この特許文献4に記載の技術は、PTFE粒子と、少なくとも1つのモノ又はポリオレフィン系不飽和油又は油混合物とからなり、該オレフィン系不飽和油の分子はPTFE(一次)粒子表面上で、ラジカル反応により共有結合/化学結合されており、かつその際にPTFE粒子表面と結合された油分子との間の永久的な電荷分離、及び油又は油混合物中でのPTFE粒子の微細分散が存在する長期安定な油−PTFE分散液であり、その製法は、持続性のペルフルオロ(ペルオキシ)ラジカルを有する変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが、少なくとも1つのオレフィン系不飽和油と一緒に、混合され、かつ次に変性されたPTFE(エマルション)ポリマーが機械的応力にかけられる方法等により得られるものであり、製法が複雑であり、また、汎用のPTFE粒子を用いるものでなく、本発明のフッ素系樹脂の非水系分散体とは、技術思想(構成及びその作用効果)が全く相違するものである。
熱硬化樹脂組成物は、優れた接着性や耐熱性の面から電気、電子分野において広く用いられているが、例えば、エポキシ樹脂は比誘電率や誘電正接が高くなるという問題点を有している。
このフッ素系樹脂の持つ低誘電率、低誘電正接といった特性を活用する方法として、例えば、各種樹脂材料中にPTFEを溶融混合することなどが提案されているが(例えば、特許文献5参照)、溶融混合は加熱して樹脂を軟化させた状態で混合するため、熱硬化型の樹脂材料や反応型の樹脂材料、PTFEよりも耐熱性の低い樹脂材料などと混合する場合には適さないものであり、エポキシ樹脂材料の比誘電率や誘電正接を下げるために添加する方法としては適さないものである。
この樹脂組成物において、実施例では、平均粒子径が3μmとなるポリテトラフルオロエチレンフィラーをエポキシ樹脂、フェノール樹脂などと共にビーズミルで分散しているが、その分散性は劣るために十分な低比誘電率、低誘電正接となるエポキシ樹脂組成物が得られていないのが現状である。
こうした中、電子材料等に広く用いられているエポキシ樹脂材料中にPTFEなどのフッ素系樹脂を均一に分散させ、低比誘電率、低誘電正接となるエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂組成物が求められている。
これらのエポキシ樹脂組成物によって形成される絶縁層については、低粗度かつめっきにより形成される導体層のピール強度が優れることが開示されているが、低誘電率や低誘電正接については全く言及されていない。
従って、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有した電子機器の多層プリント配線板の絶縁層形成などに適したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物と、それを硬化させたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物が切望されているのが現状である。
このような電子機器材料の一つとしては、回路基板を挙げることができる。この回路基板としては、銅張積層板が使用され、電気絶縁性フィルムと銅箔とが接着剤層を介して接合されている。
また、銅張積層板は、銅箔部分を加工して配線パターンなどが形成されて用いられている。この配線パターンを保護するために絶縁性のカバーレイフィルムによって被覆されるが、このカバーレイフィルムも接着剤層を介して接合されるものである。
さらに、層間の絶縁性と接着、回路基板に対する剛性付与のためのプリプレグの製造においても、各種繊維に接着剤が含浸されて使用されている。
しかしながら、上記特許文献9に記載の回路基板製造用接着性樹脂組成物では、フッ素系樹脂粉末の樹脂組成物中での分散状態を均一にコントロールすることは難しく、充分な電気特性の改善には課題を残すものである。また、現在、回路基板用接着剤組成物として広く用いられている上記特許文献9及び10などに記載のシアン酸エステル樹脂やエポキシ樹脂自体は、それぞれの樹脂固有の比誘電率や誘電正接は比較的高く、電気特性を上げるのには技術的な課題や限界があり、電気特性を更に改善した回路基板用接着組成物が求められているのが現状である。
また、上記フッ素系樹脂の非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることが好ましい。
また、前記フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物において、上記式(I)で表される化合物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含まれることが好ましく、さらに、フッ素系樹脂の非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることが好ましい。
前記回路基板用接着剤組成物において、上記式(I)で表される化合物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含み、前記フッ素系樹脂の非水系分散体はカールフィッシャー法により測定した水分量が8000ppm以下であることが好ましい。
前記回路基板用接着剤組成物において、前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーは、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることが好ましい。
また、前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm 以下であることが好ましい。
前記絶縁性フィルムは、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリエステル、パラ系アラミド、ポリ乳酸、ナイロン、ポリパラバン酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、からなる群より選ばれる1種類以上のフィルムであることが好ましい。
前記カバーレイフィルムにおける絶縁性フィルムは、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリエステル、パラ系アラミド、ポリ乳酸、ナイロン、ポリパラバン酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、からなる群より選ばれる1種類以上のフィルムであることが好ましい。
本第2発明乃至本第6発明によれば、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有し、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層などに適したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物と、それを硬化させたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物が提供される。
本第7発明乃至本第10発明によれば、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有する回路基板用接着剤組成物、回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグが提供される。
本第1発明のフッ素系樹脂の非水系分散体は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、下記式(I)で表される化合物と、非水系溶剤とを含むことを特徴とするものである。
本第1発明に用いることができるフッ素系樹脂のマイクロパウダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン共重合体(CTFE)、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系樹脂のマイクロパウダーが挙げられる。
上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの中でも、特に、低比誘電率、低誘電正接の材料として、樹脂材料の中で最も優れた特性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE、比誘電率2.1)の使用が望ましい。
このようなポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、乳化重合法により得られるものであり、例えば、ふっ素樹脂ハンドブック(里川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。そして、前記乳化重合により得られたフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、凝集・乾燥して、一次粒子径が凝集した二次粒子として微粉末として回収されるものであるが、一般的に用いられている各種微粉末の製造方法を用いることができる。
このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径が1μmを超えるものであると、油性溶剤中で沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなる。
また、上記平均粒子径の下限値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、0.05μm以上であることが好ましい。
なお、本発明におけるフッ素系樹脂のマイクロパウダーの一次粒子径は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの乳化重合段階において測定される値(レーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって得られた値)を指し示すものであるが、乾燥して粉体状態にしたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどの場合には、一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいため、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。測定装置としては、例えばFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
このPTFEなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの比表面積が15m2/g超過のものであると、非水系溶剤中で凝集し、沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなる。
また、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの比表面積の値は、低ければ低い程良好であるが、製造性、コスト面等から、2m2/g以上が好ましい。
この含有量が5質量%未満の場合には、非水系溶剤の量が多く、極端に粘度が低下するためにポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの微粒子が沈降しやすくなったり、樹脂などの材料と混合した際に非水系溶剤の量が多いことによる不具合、例えば、溶剤の除去に時間を要することになるなど好ましくない状況を生じることがある。一方、60質量%を超えて大きい場合には、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダー同士が凝集しやすくなり、微粒子の状態を安定的に、流動性を有する状態で維持することが極端に難しくなるため、好ましくない。
本第1発明に用いる上記(I)で表される化合物は、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーを非水系溶剤中に、微粒子で均一、且つ安定的に分散させることができるものである。その分子構造はビニルブチラール/酢酸ビニル/ビニルアルコールから構成される三元重合体であり、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造であり、これらの3種の構造の比率(l,m,nの各比率)を変化させることにより、油性溶剤への溶解性、さらには各種樹脂材料中にポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の化学反応性をコントロールすることが可能となる。
具体的には、積水化学工業(株)製の商品名;エスレックBM−1(水酸基量:34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:4万)、同BH−3(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:11万)、同BH−6(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:9.2万)、同BX−1(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:10万)、同BX−5(水酸基量:33±3mol%、アセタール化度66モル%、分子量:13万)、同BM−2(水酸基量:31mol%、ブチラール化度68±3モル%、分子量:5.2万)、同BM−5(水酸基量:34mol%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:5.3万)、同BL−1(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:1.9万)、同BL−1H(水酸基量:30mol%、ブチラール化度69±3モル%、分子量:2万)、同BL−2(水酸基量:36mol%、ブチラール化度63±3モル%、分子量:2.7)、同BL−2H(水酸基量:29mol%、ブチラール化度70±3モル%、分子量:2.8万)、同BL−10(水酸基量:28mol%、ブチラール化度71±3モル%、分子量:1.5万)、同KS−10(水酸基量:25mol%、アセタール化度65±3モル%、分子量:1.7万)などや、クラレ(株)製の商品名;モビタール
B145(水酸基量:21〜26.5モル%、アセタール化度67.5〜75.2モル%)、同B16H(水酸基量:26.2〜30.2モル%、アセタール化度66.9〜73.1モル%、分子量:1〜2万)などが挙げられる。
これらは、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
さらに、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂前駆体材料などの各種熱硬化樹脂材料やゴム、接着剤、潤滑剤やグリース、印刷インクや塗料などに、ポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の特性を考慮すれば、0.1〜10質量%が望ましく、さらに0.1〜5質量%が望ましく、特に0.1〜3質量%が最も好ましい。
例えば、フッ素系や非フッ素系に関わらず、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤や分散剤、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの高分子界面活性剤や高分子分散剤などを挙げることができるが、これらに限定されることなく使用することができる。
本第1発明に用いられる非水系溶剤としては、例えば、例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキソラン、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の非水系溶剤、またはこれらの非水系溶剤を2種以上含んでいるものが挙げられる。
これらの非水系溶剤の中で、好ましくは、各用途(接着性樹脂種などの樹脂種、回路基板の用途)等により変動するものであるが、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキソランが挙げられる。
本第1発明(後述する実施例等を含む)においては、カールフィッシャー法による水分量の測定は、JIS K 0068:2001に準拠するものであり、MCU−610(京都電子工業社製)により行った。
用いる非水系溶剤の極性によっては水との相溶性が高いものが考えられるが、8000ppm以上の水分量を有するとポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系溶剤中への分散性を著しく阻害したり、上記(I)で表される化合物の非水系溶剤中への溶解性を阻害するなどし、粘度上昇や粒子同士の凝集を引き起こす要因になる。
本第1発明においては、非水系溶剤中の水分量を8000ppm以下にすることで、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体とすることができるものである。更に好ましくは、非水系溶剤の水分量を5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に好ましくは、2500ppm以下とすることが望ましい。
非水系溶剤に含まれる水分量のほかに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーや上記(I)で表される化合物などの材料自体に含まれる水分や、フッ素系樹脂のマイクロパウダーを非水系溶剤中に分散する製造工程における外部からの水分の混入(空気中の水分、装置壁面の結露水など)が考えられるが、最終的にフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体の水分量を8000ppm以下にすることで、より保存安定性に優れたフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を得ることができる。更に好ましくは、非水系分散体の水分量を5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に好ましくは、2500ppm以下とすることが望ましい。
さらに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を作製した後に、モレキュラーシーブスや膜分離法などを用いて水分除去することも可能であるが、上記した方法以外であっても、非水系分散体の水分量を下げることができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
用いる非水系溶剤の含有量は、上記フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物などの残部となるものである。
一次粒子径が1μm以下のポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーなどのフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このポリテトラフルオロエチレンマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、超音波分散機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができるものである。
より安定に分散させる上では、望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成 物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと上記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含むフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含有することを特徴とするものである。
本第2発明に用いるフッ素系樹脂の非水系分散体としては、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含む非水系分散体となるものであれば、特に限定されないが、例えば、少なくとも、一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーと、前記式(I)で表される化合物と、非水系溶剤などを用いることにより調製等することができる。
本第2発明に用いることができるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物、非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の好適なカールフィッシャー法による水分量(8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕などは、上述の第1発明のフッ素系樹脂の非水系分散体を用いることができるので、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物、非水系溶剤の各成分、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などの詳述は省略する。
これらの各種撹拌機、分散機は、各種材料の種類、配合比率、上記撹拌混合した非水系分散体の粘度などにより最適なものが選定されるものである。
また、本第2発明の上記非水系分散体は、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。
このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの含有量を1質量部以上とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の硬化後における比誘電率や誘電正接を下げることができ、一方、100質量部以下とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物やその硬化物の各種特性や安定性を損なうことなく、本発明の効果を発揮せしめることができる。
また、上記フッ素系樹脂の非水系分散体は、分散状態における平均粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを含むものとなるので、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れており、長期保存後でも再分散性に優れるものとなる。
本第2発明において用いる樹脂組成物としては、少なくとも、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、熱硬化樹脂組成物のベース樹脂となるものであり、電子機器における絶縁性や接着性など、使用に適するものであれば特に限定されることなく用いることができる。
本第2発明に用いることができるシアン酸エステル樹脂(シアネートエステル樹脂)としては、例えば、少なくとも2官能性の脂肪族シアン酸エステル、少なくとも2官能性の芳香族シアン酸エステル、またはこれらの混合物が挙げられ、例えば、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、および2,7−ジシアナトナフタレンから選択された少なくとも1種の多官能シアン酸エステルの重合体、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂またはこれらに水素を添加したもの、ビスフェノールF型シアン酸エステル樹脂またはこれらに水素を添加したもの、6FビスフェノールAジシアン酸エステル樹脂、ビスフェノールE型ジシアン酸エステル樹脂、テトラメチルビスフェノールFジシアン酸エステル樹脂、ビスフェノールMジシアン酸エステル樹脂、ジシクロペンタジエンビスフェノールジシアン酸エステル樹脂、またはシアン酸ノボラック樹脂などの少なくとも1種が挙げられる。また、これらのシアン酸エステル樹脂の市販品も用いることができる。
これらのエポキシ樹脂は1種類、または2種類以上を併用して用いることもできるものである。
本第2発明に用いることができるエポキシ樹脂は、1分子中に1個以上のエポキシ基があれば上記樹脂に限定されるものではないが、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、クレゾールノボラック系等が好適である。
本第2発明において、上記シアン酸エステル樹脂(シアネートエステル樹脂)、エポキシ樹脂はそれぞれ単独で、または、これらを併用することができ、併用の場合は質量比で1:10〜10:1の範囲で併用することができる。
用いることができる活性エステル化合物としては、一般に1分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物が好ましく、例えば、カルボン酸化合物、フェノール化合物又はナフトール化合物などが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、酢酸、安息香酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
これらの活性エステル化合物は1種類、または2種類以上を併用して用いることもできるものである。市販の活性エステル化合物としては、例えば、EXB−9451、EXB−9460(DIC株式会社製)、DC808、YLH1030(ジャパンエポキシレジン株式会社製)などを挙げることができる。
これらの活性エステル化合物の使用量は、用いる熱硬化樹脂組成物のベース樹脂と用いる活性エステル化合物の種類により決定されるものである。
更に、前記活性エステル化合物には、必要に応じて、活性エステル化合物硬化促進剤を用いることができる。
この活性エステル化合物硬化促進剤としては、有機金属塩または有機金属錯体が使用され、例えば、鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズなどを含む有機金属塩または有機金属錯体が使用される。具体的には、前記活性エステル化合物硬化促進剤は、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸鉄、オクチル酸銅、オクチル酸亜鉛、オクチル酸コバルトなどの有機金属塩;アセチルアセトネート鉛、アセチルアセトネートコバルトなどの有機金属錯体が挙げられる。
これらの活性エステル化合物硬化促進剤は、金属の濃度を基準として、反応性および硬化性、成形性の点から、前記用いる樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部で含ませることができる。
これらの硬化剤の使用量は、用いるエポキシ樹脂と用いる硬化剤の種類により決定されるものである。
本第2発明の樹脂組成物においては、さらに無機充填剤、熱可塑性樹脂成分、ゴム成分、難燃剤、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、密着性付与材など、電子機器向けの熱硬化樹脂組成物において一般的に用いられている材料を組み合わせて用いることもできる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー及び上記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含む(上記本第1発明の)フッ素系樹脂の非水系分散体に、更に、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含有するものであり、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を混合等して、ディスパーやホモジナイザーなどによる撹拌のほか、超音波分散機、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの各種撹拌機、分散機を用いることにより調製することができる。
本第2発明では、最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされるシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂などの総樹脂濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂パウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー及び上記式(I)で表される化合物と非水系溶剤を含むフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含有するものであり、公知のエポキシ樹脂組成物などの熱硬化樹脂組成物と同様な方法により成型、硬化して硬化物とすることができる。成型方法、硬化方法は公知のエポキシ樹脂組成物などの熱硬化樹脂組成物と同様の方法をとることができ、本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物固有の方法は不要であり、特に限定されるものでない。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物(本第6発明)は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本第2発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層形成に適したものとなる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、エラストマー成分と、非水系溶剤とを少なくとも含有するフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
本第3発明に用いるフッ素系樹脂の非水系分散体は、上記本第1発明で用いたフッ素系樹脂のマイクロパウダー、式(I)で表される化合物、非水系溶剤を用いると共に、更に、エラストマー成分を少なくとも含有するものであり、これらの成分を含むものであれば、特に限定されるものではない。
本第3発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記(I)で表される化合物、非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などは、上述の第1発明と同様であるので、その詳述は省略する。
これらのエラストマー成分は、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできるものである。
上記エラストマー成分を非水系分散体中の非水系溶剤全量100質量部に対して、1質量部以上含有させることにより、後からの配合で用いられるシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と混合して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とした場合のフッ素系樹脂同士の凝集を抑制することができる。一方で、150質量部を超えて含有させると非水系分散体の粘度が上昇し、分散性が悪くなるといった不具合を生じやすくなる。
これらの各種撹拌機、分散機は、各種材料の種類、配合比率、上記撹拌混合した組成物の粘度などにより最適なものが選定されるものである。
さらに、本第3発明の上記フッ素系樹脂パウダー非水系分散体は、分散された状態のフッ素系樹脂パウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
また、フッ素系樹脂の非水系分散体は、加熱や減圧などによる脱水を行うことで充分に水分量を下げた状態で使用することもできる。さらに、フッ素系樹脂パウダー非水系分散体を作製した後に、モレキュラーシーブスや膜分離法などを用いて水分除去することも可能であるが、上記した方法以外であっても、フッ素系樹脂パウダー非水系分散体の水分量を下げることができるものであれば、特に限定されることなく用いることができる。
さらに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、エラストマー成分と、非水系溶剤とを少なくとも配合して行うフッ素系樹脂の非水系分散体の調整においては、これらの他に、シアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂などを適宜添加することもできるものであり、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の粘度や硬化後の物性を考慮して、選択、調整されることとなる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
上記非水系分散体の作製段階に、エラストマー成分を配合することなく分散し(フッ素系樹脂のマイクロパウダーと分散剤と非水系溶剤からなる分散体)、後からエラストマー成分を配合する場合には、フッ素系樹脂のマイクロパウダーやエラストマー成分が凝集しやすくなり、均一にフッ素系樹脂パウダーを分散させた状態のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得ることが難しくなる。
エラストマー成分を含んだフッ素系樹脂の非水系分散体を作製した後、さらに、最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされるシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂等濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂パウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
このフッ素系樹脂パウダーの含有量を1質量部以上とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の硬化後における比誘電率や誘電正接を下げることができ、一方、100質量部以下とすることにより、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物やその硬化物の各種特性や安定性を損なうことなく、本発明の効果を発揮せしめることができる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物(本第6発明)は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本第3発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層などに適したものとなる。
本第4発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤を少なくとも含有するフッ素系樹脂の非水系分散体と、エラストマー成分とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
本第4発明に用いるフッ素系樹脂の非水系分散体としては、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤を少なくとも含有するものであり、これらの成分を含むものであれば、特に限定されるものではない。
本第4発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などは、上述の第3発明と同様であるので、その詳述は省略する。
これらの各種撹拌機、分散機は、各種材料の種類、配合比率、上記撹拌混合した組成物の粘度などにより最適なものが選定されるものである。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
本第4発明におけるフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、エラストマー成分とを、少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
上記非水系分散体の作製段階に、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を添加することなく分散し(フッ素系樹脂パウダーと分散剤と非水系溶剤からなる分散体)、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂、エラストマー成分と配合する場合には、フッ素系樹脂パウダーやエラストマー成分が凝集しやすくなり、均一にフッ素系樹脂パウダーを分散させた状態のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得ることが難しくなる。
フッ素系樹脂の非水系分散体と、さらに、エラストマー成分とを配合する方法としては、ディスパーやホモジナイザーなどによる撹拌のほか、超音波分散機、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの各種撹拌機、分散機を用いることができるものである。
エラストマー成分の含有量は、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物中の固形分全量(非水系溶剤以外の成分合計)を100質量部とした場合に、エラストマー固形分として1〜150質量部含有されるものであることが好ましく、より好ましくは、5〜100質量部、さらに好ましくは10〜80質量部含有されることが望ましい。
上記エラストマー成分の含有量をエラストマー固形分として1質量部以上含有させることにより、樹脂硬化物に弾性や密着性を付与することができるようになり、一方で、150質量部を超えると、粘度が上昇したり、フッ素系樹脂が凝集しやすくなる。
本第4発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物(本第6発明)は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本第4発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層形成などに適したものとなる。
本第5発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤を含有するフッ素系樹脂の非水系分散体と、さらに、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも配合してなることを特徴とするものである。
本第5発明に用いるフッ素系樹脂パウダー非水系分散体としては、少なくとも、フッ素系樹脂パウダーと、上記式(I)で表される化合物と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、非水系溶剤とを含有するものであれば、特に限定されるものではない。
本第5発明に用いるフッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物、及び非水系溶剤、これらの各成分の好適な含有量の各範囲、非水系溶剤及びフッ素系樹脂の非水系分散体の各水分量などは、上述の第3発明、第4発明と同様であるので、その詳述は省略する。
さらに、本第5発明の上記フッ素系樹脂の非水系分散体は、分散された状態のフッ素系樹脂パウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
一次粒子径が1μm以下のフッ素系樹脂のマイクロパウダーを用いた場合であっても、通常、一次粒子が凝集し、二次粒子として粒子径が1μm以上のマイクロパウダーとなっている。このフッ素系樹脂のマイクロパウダーの二次粒子を1μm以下の粒子径となるように分散することにより、例えば、ディスパー、超音波分散機、3本ロールミル、湿式ボールミル、ビーズミル、湿式ジェットミル、高圧ホモジナイザーなどの分散機を用いて分散することにより、低粘度で長期保存した場合でも安定な分散体を得ることができ、さらに樹脂組成物との均一な混合も可能とするものである。望ましくは、0.5μm以下、さらに望ましくは、0.3μm以下とすることにより、さらに均一な分散体となる。
さらにまた、本第5発明の上記フッ素系樹脂の非水系分散体は、上記第3発明と同様に、カールフィッシャー法による水分量が、8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕となることが好ましい。
本第5発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記のフッ素系樹脂の非水系分散体と、さらに、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも配合してなるものである。
フッ素系樹脂パウダー非水系分散体に添加されるシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂は、上記したシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂組成物を用いることが可能であるが、フッ素系樹脂パウダー非水系分散体に含まれるシアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂と同種であっても、異種であっても、本発明の特性を得ることができる範囲において、様々な組み合わせを用いることができるものであり、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできるものである。
本第5発明では、上述のシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含んだフッ素系樹脂の非水系分散体を作製した後、さらに最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされるシアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂パウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
本発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れているので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、回路基板の製造に使用される回路基板用接着剤組成物、およびそれを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層などに適したものとなる。
本第7発明の回路基板用接着剤組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、上記式(I)で表される化合物と、非水系溶剤を含むフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含むことを特徴とするものである。
本第7発明に用いるフッ素系樹脂の非水系分散体としては、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、非水系分散体を含むものであれば、特に限定されないが、例えば、上記本第1発明で用いた、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、式(I)で表される化合物、非水系溶剤及びその水分量などを用いることにより調製等することができる。
また、本第7発明の上記非水系分散体は、上記本第1発明等と同様に、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下となるものが好ましい。
さらに、本第7発明において、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体は、カールフィッシャー法による水分量は、上述の本第1発明と同様に、8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕であることが好ましい。
本第7発明の回路基板用接着剤組成物は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダー、上記式(I)で表される化合物、非水系分散体を含むフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物と、を少なくとも含むものであり、前記シアネン酸エステル樹脂またはエポキシ樹脂内に分散したゴム成分がさらに含有してもよいものである。
本発明の回路基板用接着剤組成物は、配線や基板を曲げることのできるフレキシブルな印刷回路基板などの製造に使用するためには、組成物自体も十分な柔軟性(Flexible、以下同様)を有しなければならないが、このような柔軟性を補うために、前記回路基板用接着剤組成物にはゴム成分がさらに含まれることが好ましい。
これらのゴム成分の含有量は、本発明の効果を更に発揮せしめる点、接着力と耐熱性の点から、前記樹脂(シアン酸エステル樹脂またはエポキシ樹脂)100質量部に対して1〜80質量部、好ましくは10〜70質量部、より好ましくは20〜60質量部である。
また、本発明の回路基板用接着剤組成物は、上記成分以外に必要に応じて、上記以外の硬化促進剤、消泡剤、着色剤、蛍光体、変性剤、変色防止剤、無機フィラー、シランカップリング剤、光拡散剤、熱伝導性フィラー等の従来公知の添加剤を適宜量配合することができる。
上記以外の硬化(反応)促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類およびその塩類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、トリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、アミノトリアゾール類、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の錫系、オクチル酸亜鉛等の亜鉛系、アルミニウム、クロム、コバルト、ジルコニウム等のアセチルアセトナート等の金属触媒類等が用いられる。これらの硬化(反応)促進剤は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本第7発明の回路基板用接着剤組成物は、更に、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の各形態にすることができる。
本第7発明の回路基板用接着剤組成物は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーが安定的に均一に分散された非水系分散体を用いて回路基板用接着剤組成物が得られるので、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有するため、回路基板用接着材料に好適であり、例えば、それを用いた回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグ、ボンディングシートなどの製造に使用できる。前記カバーレイフィルムまたはプリプレグ、ボンディングシートなどは、回路基板、例えば、柔軟性金属箔積層板のような柔軟性印刷回路基板(FPCB)に適用できるものであって、これらの製造に本発明の回路基板用接着剤組成物を使用する場合、更に比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有する回路基板用接着剤組成物が実現可能になる。
本第8発明の回路基板用積層板は、絶縁性フィルムと、金属箔と、該絶縁性フィルムと該金属箔との間に介在する接着剤層の構成を少なくとも含む回路基板用積層板であって、該接着剤層が上記本第6発明の回路基板用接着剤組成物で構成されることを特徴とするものである。
本実施形態の回路基板用積層板Aは、絶縁性フィルム10上に、金属箔30が積層され、該絶縁性フィルム10と金属箔30との間に介在した接着性樹脂層20を少なくとも含むものであり、該接着性樹脂層20が上記構成の回路基板用接着剤組成物で構成(接合)される。
図2は、本第8発明の回路基板用積層板の実施形態の他例となる金属箔積層板(FPCB)を、断面態様で示す概略図である。
本実施形態の回路基板用積層板Bは、図1の片面構造に代え、図2に示すように、両面構造を採るものであり、絶縁性フィルム10の両面に、金属箔30、30が積層され、該絶縁性フィルム10と金属箔30,30との各間にそれぞれ介在した接着性樹脂層20、20を少なくとも含むものであり、該接着性樹脂層20、20が上記構成の回路基板用接着剤組成物で構成(接合)される。
用いることができる絶縁性フィルム10としては、例えば、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリエステル、パラ系アラミド、ポリ乳酸、ナイロン、ポリパラバン酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、からなる群より選ばれる1種類以上のフィルムが挙げられ、好ましくは、ポリイミド(PI)フィルムである。
また、これらの材料から成形されるフィルムには、上記接着性樹脂層20との界面密着力などを更に向上させる点から、好ましくは、そのフィルム表面に、低温プラズマなどで更に表面処理したフィルムを用いることができる。
前記絶縁性フィルム10の厚さは、十分な電気絶縁性と金属箔積層板の厚さ、および柔軟性などを勘案して、好適な範囲で選択可能であり、好ましくは、5〜50μm、より好ましくは、7〜45μmが望ましい。
金属箔の厚さは、電気伝導性、絶縁性フィルムとの界面密着性、積層板の柔軟性、耐折り曲げ性の向上や、回路加工においてファインパターンを形成しやすいという点、配線間の導通性の点などを勘案して好適な範囲が設定でき、例えば、1〜35μmの範囲内が好ましく、より好ましくは5〜25μmの範囲内、特に好ましくは8〜20μmの範囲内である。
また、使用する金属箔は、マット面の表面粗さRz(十点平均粗さ)が0.1〜4μmの範囲内であることが好ましく、0.1〜2.5μmの範囲内がより好ましく、特に、0.2〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
次に、本第9発明のカバーレイフィルムは、絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層が形成されたカバーレイフィルムであって、該接着剤層が上記本第7発明の回路基板用接着剤組成物であることを特徴とするものである。
図3は、本第9発明のカバーレイフィルムの実施形態の一例を、断面態様で示す概略図である。
本実施形態のカバーレイフィルムCは、フレキシブルプリント配線板(FPC)用などの表面保護フィルム等として用いるものであり、絶縁性フィルム40上に、接着性樹脂層50が形成されたものであり、接着性樹脂層50上に保護層となる紙やPETフィルムなどのセパレーター(剥離フィルム)60が接合されたものである。なお、このセパレーター(剥離フィルム)60は、作業性、保存安定性などを勘案して、必要に応じて、設けられるものである。
また、これらの材料から成形されるフィルムには、上記接着性樹脂層50との界面密着力などを更に向上させる点から、好ましくは、そのフィルム表面に、低温プラズマなどで更に表面処理したフィルムを用いることができる。
特に、カバーレイの耐熱性、寸法安定性、機械特性などを勘案すると、ポリイミド(PI)フィルムが好ましく、特に、低温プラズマ処理されたポリイミドフィルムをカバーレイに使用することが好ましい。
前記絶縁性フィルム40の厚さは、十分な電気絶縁性と保護性、および柔軟性などを勘案して、好適な範囲で選択可能であり、好ましくは、5〜200μm、より好ましくは、
7〜100μmが望ましい。
本第10発明のプリプレグは、カーボン系繊維、セルロース系繊維、ガラス系繊維、またはアラミド系繊維からなる群より選ばれる1種類以上の繊維により形成される構造体に、少なくとも上記構成となる本第6発明の回路基板用接着剤組成物が含浸されていることを特徴とするものである。
本第10発明において、プリプレグは、多層フレキシブルプリント配線板などの構成材として用いることができ、ダストフリー、ローフローのプリプレグであって、上記繊維中に上述の接着剤組成物を含浸させた後、乾燥して半硬化した状態のシートなどとして提供できる。
このように構成される本第10発明のプリプレグは、多層フレキシブルプリント配線板などの層間構成材と接着を兼ねた材料として用いることにより、比誘電率と誘電正接が低く、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を有するプリプレグが提供される。
下記表1に示す配合処方により、各比表面積のPTFEの8種(A〜H)、上記式(I)で表される化合物としてエスレックBL−10〔ブチラール(PVB)樹脂、積水化学工業社製、水酸基28モル%、ブチラール化度71±3モル%、分子量1.5万〕、非水系溶剤としてメチルエチルケトンを用いてフッ素系樹脂の非水系分散体を調製した。なお、PTFEパウダーのGとHは同じものであるが、Gは、PTFEパウダーを270℃の温度で加温することにより表面状態を変化させ、比表面積を調整したPTFEパウダーを用いた。
上記のようにして得られたポリテトラフルオロエチレンの混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散を行い、実施例1〜7及び比較例1の各ポリテトラフルオロエチレンの非水系分散体を得た。なお、実施例1〜7及び比較例1の各非水系分散体のカールフィッシャー法による水分量を測定したところ、8000ppm以下であることを確認した
得られた実施例1〜7及び比較例1の各非水系分散体の評価としては、平均粒子径と粘度の測定、具体的には、各分散体におけるPTFEの平均粒子径(nm)をFPAR−1000(大塚電子社製)で測定し、また、各粘度(mPa・s、25℃)をE型粘度計により測定した。これらの結果を下記表2に示す。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体1〜5)
下記表3に示す配合処方にて、非水系溶剤中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体1〜5を得た。なお、分散体4においては、配合時に水分を添加することで水分量の調整を行った。
得られた分散体1〜5におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。また、各分散体1〜5のカールフィッシャー法による水分量を測定した。
下記表3に分散体1〜5の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径、水分量を示す。
得られた分散体1〜5を用い、下記表4に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例8〜12及び比較例2〜3に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、分散体1〜5を用いて作製した各フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物となる実施例8〜12は、非常に均一な状態を示した。なお、分散体4を用いて作製したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物となる実施例11は、PTFE粒子の凝集が若干見られ、粒状のものが壁面に若干観察された。また、分散体5を用いて作製したフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物となる実施例12は、長期間保存した際に粒子の沈降分離が若干見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例8〜12、比較例2〜3によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例13〜17、比較例4〜5の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表5に示す。
実施例16、17においては、実施例13〜15に較べ効果が若干低いが、PTFEが含まれているため、比較例4〜5に較べ、より良好な効果が得られていることが判った。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体6〜9)
下記表6に示す配合処方にて、溶媒中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体6〜9を得た。
得られた分散体6〜9におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。
下記表6に分散体6〜9の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径を示す。また、得られた分散体6〜9の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、800〜1800ppmの範囲内であった。
得られた分散体6〜9を用い、下記表7に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例8〜21及び比較例6〜8に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例18〜21においては、非常に均一な状態を示し、粒子径の変化も見られなかった。一方で、比較例6、7においては、凝集したPTFEと思われる粒状物が複数観察され、粒子径も大きくなる傾向が見られた。
なお、表6の分散体6、分散体7の平均粒子径が0.3μmよりも小さく出ているのは、エラストマー成分であるゴム粒子の粒子径が0.1μm程度と小さいため、測定上の数値として小さく表れたものと考えられる。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例18〜21、比較例6〜8によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例22〜25、比較例9〜11の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表8に示す。
一方で、比較例9、10においては、PTFEが含まれているものであるため、比較例11よりも比誘電率と誘電正接を下げる効果は優れているが、硬化物の表面が若干荒れており、実施例22〜25よりも十分に比誘電率と誘電正接を下げる効果を得ることはできなかった。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体10〜13〕
下記表9に示す配合処方にて、非水系溶剤中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体1〜4を得た。
得られた分散体10〜13におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。
下記表9に分散体10〜13の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径を示す。また、得られた分散体10〜13の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、800〜1800ppmの範囲内であった。
得られた分散体10〜13を用い、下記表10に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例26〜28及び比較例12〜14に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例26〜28においては、非常に均一な状態を示し、粒子径の変化も見られなかった。一方で、比較例14においては、凝集したPTFEと思われる粒状物が複数観察され、粒子径も大きくなる傾向が見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例26〜28、比較例12〜14によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例29〜31、比較例15〜17の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表11に示す。
一方で、比較例17においては、PTFEが含まれているものであるため、比較例15、16よりも比誘電率と誘電正接を下げる効果は優れているが、硬化物の表面が若干荒れており、実施例29〜31よりも十分に比誘電率と誘電正接を下げる効果を得ることはできなかった。
(フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体14〜17)
下記表12に示す配合処方にて、非水系溶剤中に前記式(I)で表される化合物を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体14〜17を得た。
得られた分散体14〜17におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。
下記表12に分散体14〜17の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径を示す。また、得られた分散体14〜17の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、800〜1800ppmの範囲内であった。
得られた分散体14〜17を用い、下記表13に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。
実施例32〜34及び比較例18〜20に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例32〜34においては、非常に均一な状態を示し、粒子径の変化も見られなかった。一方で、比較例20においては、凝集したPTFEと思われる粒状物が複数観察され、粒子径も大きくなる傾向が見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例32〜34、比較例18〜21によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、評価サンプルを作製した。
上記で得た実施例35〜37、比較例21〜23の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した結果を下記表14に示す。
一方で、比較例23においては、PTFEが含まれているものであるため、比較例21,22よりも比誘電率と誘電正接を下げる効果は優れているが、硬化物の表面が若干荒れており、実施例35〜37よりも十分に比誘電率と誘電正接を下げる効果を得ることはできなかった。
〔フッ素系樹脂の非水系分散体の調製:分散体18〜22〕
下記表15に示す配合処方にて、非水系溶剤中に式(I)で表される化合物(A、B)を充分に撹拌混合、溶解した後、フッ素系樹脂のマイクロパウダーとしてPTFEマイクロパウダーを添加して、さらに撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散し、各分散体18〜22を得た。なお、分散体21においては、配合時に水分を添加することで水分量の調整を行った。
得られた分散体18〜22におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した。また、各分散体18〜22のカールフィッシャー法による水分量を測定した。
下記表15に分散体18〜22の配合処方、得られた分散体におけるPTFEの平均粒子径、水分量を示す。
得られた分散体18〜22を用い、下記表16に示す配合処方にて回路基板用接着剤組成物を作製した。
実施例38〜40及び比較例24〜25に示す配合処方で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂が均一に混ざるように撹拌して、各回路基板用接着剤組成物を得た。
ここで、分散体18〜20を用いて作製した各回路基板用接着剤組成物となる実施例38〜40は、非常に均一な状態を示したが、分散体24を用いて作製した回路基板用接着剤組成物となる比較例24は、PTFE粒子の凝集と見られる粒状のものが壁面に観察された。また、分散体22を用いて作製した回路基板用接着剤組成物となる比較例25は、長期間保存した際に粒子の沈降分離が見られた。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例41〜43、比較例26〜27によって得られた接着剤組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、離型コーティングされた厚さ125μmの離型紙をラミネートして、カバーレイフィルムを製造した。
厚さ約100μmのNEガラスクロスに、実施例44〜46、比較例28〜29によって得られた接着剤組成物を含浸させた後、約120℃で約10分間乾燥して、全体の厚さが約125μmとなる熱硬化性プリプレグを製造した。
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例38〜40、比較例24〜2によって得られた接着剤組成物を、乾燥後の厚さが約10μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布して接着性樹脂層を形成させた後、これを乾燥して半硬化状態にした。そして、前記ポリイミドフィルムの反対側の面にも、同様の接着性樹脂層を形成して、接着性のシートを作製した。
次に、前記接着性のシートの両面に銅箔(厚さ:約12μm、マット面の粗度(Rz):1.6μm)を積層した後、170℃で40kgf/cm2の圧力で圧着、170℃で5時間後硬化して、回路基板用積層板を製造した。
実施例41〜43、比較例26〜27のカバーレイを、カバーレイのポリイミドフィルム/カバーレイの接着面/銅箔(12μm)の順に積層した後、これを180℃、40kgf/cm2の圧力で60分間ホットプレスして、評価サンプルを作製した。
実施例44〜46、比較例28〜29のプリプレグを、ポリイミドフィルム(12.5μm)/プリプレグ/ポリイミド(12.5μm)の順に積層した後、これを180℃、40kgf/cm2の圧力で60分間ホットプレスして、評価サンプルを作製した。
実施例47〜49、比較例30〜31の回路基板用積層板を、評価サンプルとした。
上記で得た実施例41〜49、比較例26〜31の評価サンプルを用い、下記のような物性評価を行った。
比誘電率と誘電誘電正接は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1MHzで測定した。
50mm×50mmサイズのサンプルを調整し、120℃、0.22MPa、12時間吸湿処理した後、260℃のハンダ槽に1分間浮かせてサンプルの状態を肉眼で観察した。評価基準として、剥がれ、変形、膨れなどの異常がなければ「○」、剥がれ、変形、膨れなどの異常があれば「×」とした。
100mm×10mmに切断したサンプルを用意し、テンシロンを用いて形成された接着層の接着強度を測定した。
20 回路基板用接着剤組成物層
30 金属箔
Claims (20)
- 上記記式(I)で表される化合物が、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含むことを特徴とする請求項1記載のフッ素系樹脂の非水系分散体。
- 前記フッ素系樹脂の非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ素系の非水系分散体。
- 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする請求項4乃至7の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
- 前記式(I)で表される化合物が、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含まれることを特徴とする請求項4乃至8の何れか一つに記載のに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
- 前記フッ素系樹脂の非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることを特徴とする請求項4乃至9の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
- 請求項4乃至10の何れか一つに記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなることを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物。
- 前記式(I)で表される化合物が、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜15質量%含み、前記フッ素系樹脂の非水系分散体はカールフィッシャー法により測定した水分量が8000ppm以下であることを特徴とする請求項12に記載の回路基板用接着剤組成物。
- 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする請求項12又は13に記載の回路基板用接着剤組成物。
- 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体において、分散された状態のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)が1μm以下であることを特徴とする請求項12乃至14の何れか一つに記載の回路基板用接着剤組成物。
- 絶縁性フィルムと、金属箔と、該絶縁性フィルムと該金属箔との間に介在する接着剤層の構成を少なくとも含む回路基板用積層板であって、該接着剤層が請求項12乃至14の何れか一つに記載の回路基板用接着剤組成物であることを特徴とする回路基板用積層板。
- 前記絶縁性フィルムが、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリエステル、パラ系アラミド、ポリ乳酸、ナイロン、ポリパラバン酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、からなる群より選ばれる1種類以上のフィルムであることを特徴とする請求項16に記載の回路基板用積層板。
- 絶縁性フィルムと、該絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層が形成されたカバーレイフィルムであって、該接着剤層が請求項12乃至14の何れか一つに記載の回路基板用接着剤組成物であることを特徴とするカバーレイフィルム。
- 前記絶縁性フィルムが、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、ポリエステル、パラ系アラミド、ポリ乳酸、ナイロン、ポリパラバン酸、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、からなる群より選ばれる1種類以上のフィルムであることを特徴とする請求項18に記載のカバーレイフィルム。
- カーボン系繊維、セルロース系繊維、ガラス系繊維、またはアラミド系繊維からなる群より選ばれる1種類以上の繊維により形成される構造体に、少なくとも請求項12乃至14のいずれか一つに記載の回路基板用接着剤組成物が含浸されていることを特徴とするプリプレグ。
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