JP6764263B2 - フッ素系樹脂の非水系分散体、それを用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたフッ素系樹脂の非水系分散体、それを用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物に関するものである。
近年、電子機器の高速化、高機能化などが進むとともに、通信速度の高速化などが求められている。こうした中、各種電子機器材料の低誘電率化、低誘電正接化が求められており、絶縁材料や基板材料などに用いることができる熱硬化樹脂の低誘電率化、低誘電正接化なども求められている。
低誘電率、低誘電正接の材料としては、樹脂材料の中で最も優れた特性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE、比誘電率2.1)が注目されるものであり、各種樹脂材料中にPTFEを溶融混合する方法、例えば、少なくとも50質量%のPTFEと、組成物に溶融加工性を付与するに有効な量のポリアリーレンエーテルケトンとを含む組成物であって、前記PTFEの少なくとも20質量%が少なくとも10Pa・sの溶融粘度を有することを特徴とする組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような溶融混合は、加熱して樹脂を軟化させた状態で混合するため、熱硬化型の樹脂材料などと混合する場合には適さない方法である。
この課題を解決する方法として、本願出願人は、PTFEの油性溶剤系分散体を作製し、それを熱硬化型の樹脂材料などに添加する方法、例えば、一次粒子径が1μm以下のPTFEを5〜70質量%、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.1〜40質量%含み、カールフィッシャー法による全体の水分量が、20000ppm以下であることを特徴とするPTFEの油性溶剤系分散体、並びに、エポキシ樹脂材料添加用のPTFEの油性溶剤系分散体を提案している。(例えば、特許文献2、特許文献3参照)
上記のようなPTFEを添加した樹脂材料は、今までにない低誘電率、低誘電正接の面では効果を発揮できるものの、PTFEが持つ非接着性のために樹脂同士や樹脂と金属などの接着等に際しては、若干密着強度、接着強度を低下させてしまうことに課題があり、密着強度、接着強度の更なる向上などが切望されている。
特開2001-49068号公報 特開2015-199901号公報 特開2015−199903号公報
本発明は、上記従来の課題等について解消しようとするものであり、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れ、各種樹脂材料との混合に適し、低誘電率、低誘電正接を達成しつつ密着強度、接着強度の低下を抑制することができるフッ素系樹脂の非水系分散体、それを用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題について鋭意検討した結果、下記の第1乃至第8発明により、上記目的のフッ素系樹脂の非水系分散体、それを用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本第1発明は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、熱可塑性エラストマーと、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤と、非水系溶媒とを含有することを特徴とするフッ素系樹脂の非水系分散体である。
本第2発明は、前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする本第1発明に記載のフッ素系樹脂の非水系分散体である。
本第3発明は、前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、5〜70質量%含まれることを特徴とする本第1発明又は本第2発明に記載のフッ素系樹脂の非水系分散体である。
本第4発明は、前記熱可塑性エラストマーが、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜100質量%含まれることを特徴とする本第1発明乃至本第3発明のいずれか一つにに記載のフッ素系樹脂の非水系分散体である。
本第5発明は、前記少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤が、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜20質量%含まれることを特徴とする本第1発明乃至本第4発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂の非水系分散体である。
本第6発明は、本第1発明乃至本第5発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂の非水系分散体と、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも含有することを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物である。
本第7発明は、本第1発明乃至本第5発明のいずれか一つに記載のフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも含有することを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物である。
本第8発明は、本第6発明または本第7発明に記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなることを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物である。
本発明のフッ素系樹脂の非水系分散体は、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れ、各種樹脂材料との混合に適するものとなり、本発明の非水系分散体を用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物は、低誘電率、低誘電正接を達成しつつ密着強度、接着強度の低下を抑制することができるものとなる。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
〔フッ素系樹脂の非水系分散体〕
本発明のフッ素系樹脂の非水系分散体は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、熱可塑性エラストマーと、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤と、非水系溶媒とを含有することを特徴とするものである。
本発明に用いることができるフッ素系樹脂のマイクロパウダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(TFE/CTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)からなる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素系樹脂のマイクロパウダーが挙げられ、これらは一次粒子径が1μm以下となるものが好ましい。
上記フッ素系樹脂のマイクロパウダーの中でも、特に、低比誘電率、低誘電正接の材料として、樹脂材料の中で最も優れた特性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE、比誘電率2.1)の使用が望ましい。
このようなフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、乳化重合法により得られるものであり、例えば、ふっ素樹脂ハンドブック(黒川孝臣編、日刊工業新聞社)に記載されている方法など、一般的に用いられる方法により得ることができる。そして、前記乳化重合により得られたフッ素系樹脂のマイクロパウダーは、凝集・乾燥して、一次粒子径が凝集した二次粒子として微粉末として回収されるものであるが、一般的に用いられている各種微粉末の製造方法を用いることができる。
フッ素系樹脂のマイクロパウダーの粒子径としては、一次粒子径が1μm以下となるものが好ましく、非水系分散体中でも1μm以下の平均粒子径となっていることが好ましい。
非水系溶媒中に安定に分散する上では、好ましくは0.5μm以下、さらに望ましくは0.3μm以下の一次粒子径とすることにより、より均一な分散体となる。
また、非水系分散体中でのフッ素系樹脂のマイクロパウダーの平均粒子径が1μmを超えるものであると沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなるため、好ましくない。好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。
本発明において、一次粒子径の測定方法としては、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)を用いることができるが、乾燥して粉体状態となったフッ素系樹脂のマイクロパウダーは一次粒子同士の凝集力が強く、容易に一次粒子径をレーザー回折・散乱法や動的光散乱法などによって測定することが難しいことがある。この場合には、画像イメージング法によって得られた値を指し示すものであってもよい。
一方で、非水系分散体中のフッ素系樹脂の粒子径の測定方法としては、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法、画像イメージング法などによって測定される体積基準の平均粒子径(50%体積径、メジアン径)を用いることができる。
上記粒子径の測定装置としては、例えばFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法や、マイクロトラック(日機装株式会社製)によるレーザー回折・散乱法や、マックビュー(株式会社マウンテック社製)による画像イメージング法などを挙げることができる。
本発明においては、非水系分散体全量に対して、フッ素系樹脂のマイクロパウダーが5〜70質量%含有されるものであることが好ましく、より好ましくは、10〜60質量%含有されることが望ましい。
この含有量が5質量%未満の場合には、溶媒の量が多く、極端に粘度が低下するためにフッ素系樹脂のマイクロパウダー微粒子が沈降しやすくなるだけでなく、シアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂などの材料と混合した際に溶媒の量が多いことによる不具合、例えば、溶媒の除去に時間を要することになるなど好ましくない状況を生じることがある。一方、70質量%を超えて大きい場合には、フッ素系樹脂のマイクロパウダー同士が凝集しやすくなり、微粒子の状態を安定的に、流動性を有する状態で維持することが極端に難しくなるため、好ましくない。
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、PTFEが持つ非接着性のために樹脂同士や樹脂と金属などの接着等に際して、密着強度、接着強度を低下させてしまう点などを解消するために含有するものであり、しかも、該熱可塑性エラストマーを含有せしめてもフッ素系樹脂の非水系分散体の安定性等を損なうことがないものである。
本発明の熱可塑性エラストマーとしては、加温した際に可塑化するエラストマーであればいずれも用いることができるものであり、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン(1,2−BR)系熱可塑性エラストマー、アクリル系エラストマー、及びシリコーン系エラストマーから選択される少なくとも1種が挙げられ、フッ素系樹脂の非水系分散体の用途に応じて適宜選択することができる。
具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、水添−スチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、水添−スチレン−イソプレン共重合体(SEPS)、ポリエステル−ポリエーテルの共重合体(TPEE)、ポリウレタン−ポリエーテル/ポリエステル共重合体(TPU)、ナイロン−ポリエーテル/ポリエステル共重合体(TPA)、PPなどのオレフィン系樹脂のマトリクス中にオレフィン系ゴムを微分散させたオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)などを挙げることができる。市販品では、SISシリーズ(スチレン系熱可塑性エラストマー、JSR株式会社製)、TRシリーズ(スチレン・ブタジエン熱可塑性エラストマー、JSR株式会社製)、RBシリーズ(ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、JSR株式会社製)、JSR EXELINK(オレフィン系熱可塑性エラストマー、JSR株式会社製)、DYNARONシリーズ(水添熱可塑性エラストマー、JSR株式会社製)、サーモラン(オレフィン系熱可塑性エラストマー、三菱化学株式会社製)、エポックスTPEシリーズ(オレフィン系熱可塑性エラストマー、住友化学株式会社製)、セプトンシリーズ(水添スチレン系熱可塑性エラストマー、株式会社クラレ製)などを挙げることができる。
これらの例示した熱可塑性エラストマーは単独で用いることもできるし、2種類以上を混合して用いることもできるものである。
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、用いる非水系溶媒に可溶なものであっても、不溶なものであってもよいものである。
用いる非水系溶媒に不溶なものの場合には、熱可塑性エラストマーを微粒子状にして用いることが好ましい。
粒子径としては、一次粒子径が10μm以下となるものが好ましく、非水系分散体中でも10μm以下の平均粒子径となっていることが好ましい。
非水系溶媒中に安定に分散する上では、好ましくは1μm以下、さらに望ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下の一次粒子径とすることにより、より均一な分散体となる。
また、非水系分散体中での熱可塑性エラストマーの微粒子の平均粒子径が10μmを超えるものであると沈降しやすくなり、安定して分散することが難しくなるため、好ましくない。好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。なお、熱可塑性エラストマーの微粒子の一次粒子径の測定、非水系分散体中でのウレタン微粒子の平均粒子径の測定は、上述のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの各測定法と同様にして行うことができる。
本発明においては、熱可塑性エラストマーが、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜100質量%含まれることが好ましく、より好ましくは、0.3〜80質量%、さらに好ましくは0.5〜50質量%含有されることが望ましい。
この含有量が0.1質量%未満の場合には、熱可塑性エラストマーの添加による密着性、接着性への寄与が著しく弱くなるため好ましくない。一方で、100質量%を超えて大きい場合には、熱可塑性エラストマーの電気特性や物理特性、加熱時の可塑化の影響などが強く出てくることにより、フッ素系樹脂の添加による電気特性の効果や物理的な特性を弱めることにもなり好ましくない。
本発明においては、熱可塑性エラストマーをフッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散時に非水系溶媒中に溶解してから用いても良いし、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの分散体を作製した後に熱可塑性エラストマーを溶解して用いても良い。また、熱可塑性エラストマーが非水系溶媒に不溶な場合には、熱可塑性エラストマーの微粒子をフッ素系樹脂と同時に分散しても、熱可塑性エラストマーの微粒子とフッ素系樹脂のマイクロパウダーとを別々に分散してから混合するなどしても良いものである。
本発明におけるフッ素系添加剤は、少なくとも含フッ素基と親油性基を有するものであることが必要であり、少なくとも含フッ素基と親油性基を有するものであれば、特に限定されるものではなく、この他に親水性基が含有されているものであってもよい。
少なくとも含フッ素基と親油性基を有するフッ素系添加剤を用いることにより、分散媒となる油性溶剤などの非水系溶媒の表面張力を低下させ、ポリテトラフルオロエチレン表面に対する濡れ性を向上させてポリテトラフルオロエチレンの分散性を向上させると共に、含フッ素基がポリテトラフルオロエチレン表面に吸着し、親油性基が分散媒となる油性溶剤等の非水系溶媒中に伸長し、この親油性基の立体障害によりポリテトラフルオロエチレンの凝集を防止して分散安定性を更に向上させるものとなる。
含フッ素基としては、例えば、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルケニル基などが挙げられ、親油性基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、シロキサン基などの1種又は2種以上が挙げられ、親水性基としては、例えば、エチレンオキサイドや、アミド基、ケトン基、カルボキシル基、スルホン基などの1種又は2種以上が挙げられる。
具体的に用いることできるフッ素系添加剤としては、パーフルオロアルキル基含有のサーフロンS−611などのサーフロンシリーズ(AGCセイミケミカル社製)、メガファックF−555、メガファックF−558、メガファックF−563などのメガファックシリーズ(DIC社製)、ユニダインDS−403Nなどのユニダインシリーズ(ダイキン工業社製)などを用いることができる。
これらのフッ素系添加剤は、用いるポリテトラフルオロエチレンと油性溶剤などの非水系溶媒の種類によって、適宜最適なものが選択されるものであるが、1種類、または2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。
少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤の含有量は、フッ素系樹脂のマイクロパウダーに対し、0.1〜20質量%が好ましい。この化合物の含有量が0.1質量%より少ないと、分散安定性が悪くなりフッ素系樹脂のマイクロパウダーが沈降しやすくなり、20質量%を越えると粘度が高くなったりして好ましくない。
さらに、熱硬化樹脂などに、フッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体を添加した際の特性を考慮すれば、0.1〜10質量%が望ましく、さらに0.1〜7質量%が望ましく、特に0.1〜5質量%が最も好ましい。
本発明におけるフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体においては、本発明の効果を損なわない範囲で、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤と組み合わせて、他の界面活性剤や分散剤を適宜量用いることも可能である。
例えば、フッ素系や非フッ素系に関わらず、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの界面活性剤や分散剤、ノニオン系、アニオン系、カチオン系などの高分子界面活性剤やブチラール(PVB)樹脂などの高分子分散剤などを挙げることができるが、これらに限定されることなく使用することができる。
上記ブチラール(PVB)樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたビニルブチラール/酢酸ビニル/ビニルアルコールから構成される三元重合体が挙げられ、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造であり、これらの3種の構造の比率を変化させることにより、水酸基量やブチラール化度などが異なる各種ブチラール(PVB)樹脂を用いることができ、市販品では積水化学工業社製のエスレックBM−1(水酸基量:34モル%、ブチラール化度65±3モル%、分子量:4万)などのエスレックBシリーズ、KS−10(水酸基量:25mol%、アセタール化度65±3モル%、分子量:1.7万)などのK(KS)シリーズ、SVシリーズ、クラレ社製のモビタールB145(水酸基量:21〜26.5モル%、アセタール化度67.5〜75.2モル%)、同B16H(水酸基量:26.2〜30.2モル%、アセタール化度66.9〜73.1モル%、分子量:1〜2万)などのモビタールシリーズなどを用いることができる。
本発明の上記非水系分散体に用いられる非水系溶媒としては、例えば、γ−ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、2−ヘプタノン、シクロヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソペンチルケトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジオキサン、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルモノグリシジルエーテル、エチルモノグリシジルエーテル、ブチルモノグリシジルエーテル、フェニルモノグリシジルエーテル、メチルジグリシジルエーテル、エチルジグリシジルエーテル、ブチルジグリシジルエーテル、フェニルジグリシジルエーテル、メチルフェノールモノグリシジルエーテル、エチルフェノールモノグリシジルエーテル、ブチルフェノールモノグリシジルエーテル、ミネラルスピリット、2−ヒドロキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4−ビニルピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、パーフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロポリエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキソラン、各種シリコーンオイル、からなる群から選ばれる1種類の溶媒、またはこれらの溶媒を2種以上含んでいるものが挙げられる。
これらの溶媒の中で、好ましくは、用いる樹脂種等により変動するものであるが、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジオキソランが挙げられる。
本発明においては、主として上記溶媒を用いるものであるが、他の溶媒と組み合わせて用いることや他の溶媒を用いることもできるものであり、用いる用途(各種の回路基板用樹脂材料)などにより好適なものが選択される。
なお、用いる溶媒の極性によっては水との相溶性が高いものが考えられるが、水分量が多いとフッ素系樹脂のマイクロパウダーの溶媒中への分散性を阻害し、粘度上昇や粒子同士の凝集を引き起こすことがある。
本発明においては、用いる非水系溶媒は、カールフィッシャー法による水分量が、8000ppm以下〔0≦水分量≦8000ppm〕となるものが好ましい。本発明(後述する実施例を含む)において、カールフィッシャー法による水分量の測定は、JIS K 0068:2001に準拠するものであり、例えばMCU−610(京都電子工業社製)により測定することができる。この溶媒中の水分量を8000ppm以下にすることで、更に、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れたフッ素系樹脂のマイクロパウダーの非水系分散体とすることができ、更に好ましくは、5000ppm以下、より好ましくは、3000ppm以下、特に2500ppm以下とすることが望ましい。なお、上記水分量の調整としては、一般的に用いられている油性溶剤などの溶媒の脱水方法を用いることが可能であるが、例えば、モレキュラーシーブスなどを用いることができる。
このように構成される本発明のフッ素系樹脂の非水系分散体は、少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーと、熱可塑性エラストマーと、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤と、非水系溶媒とを含有することにより、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れ、各種樹脂材料との混合に適し、低誘電率、低誘電正接を達成しつつ密着強度、接着強度の低下を抑制することができるフッ素系樹脂の非水系分散体が得られることとなる。
〔フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物〕
本発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、上記フッ素系樹脂の非水系分散体と、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも含有することを特徴とするものである。
上記フッ素系樹脂の非水系分散体の含有量は、該分散体に含まれるPTFE等のフッ素系樹脂のマイクロパウダー、熱可塑性エラストマー、非水系溶媒の各量により、また、熱硬化樹脂などの組成物の用途等により変動するものであり、樹脂組成物中の油性溶剤などの非水系溶媒は最終的に熱硬化樹脂を含む組成物調製後、硬化の際等で除去されるものであるため、これらの樹脂100質量部に対して、PTFE等のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの含有量が、最終的に、好ましくは、1〜100質量部、より好ましくは、1〜30質量部となるように調整して分散体を用いることが望ましい。
このPTFE等のフッ素系樹脂のマイクロパウダーの含有量が樹脂100質量部に対して1質量部以上とすることにより、低比誘電率で低誘電正接という電気特性を発揮することができ、一方、100質量部以下とすることにより、熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、本発明の効果を発揮せしめることができる。
また、熱可塑性エラストマーの含有量、並びに、少なくとも含フッ素基と親油性基を含有するフッ素系添加剤の含有量は、上述の如く、それぞれ、フッ素系樹脂のマイクロパウダーに対し、0.1〜100質量%の範囲、並びに、0.1〜20質量%の範囲となるものである。
本発明において用いる樹脂組成物としては、少なくとも熱硬化性樹脂を含むものが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、及びこれら樹脂の変性樹脂等が挙げられ、これらの樹脂は1種単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの樹脂は、熱硬化樹脂組成物のベース樹脂となるものであり、電子機器における絶縁性や接着性など、使用に適するものであれば特に限定されることなく用いることができる。
好ましい樹脂組成物は、少なくとも、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含むものが挙げられ、これらの樹脂は、特に熱硬化樹脂組成物の好適なベース樹脂となり、電子機器における絶縁性や接着性などに好適となるものである。
本発明に用いることができるシアン酸エステル樹脂(シアネートエステル樹脂)としては、例えば、少なくとも2官能性の脂肪族シアン酸エステル、少なくとも2官能性の芳香族シアン酸エステル、またはこれらの混合物が挙げられ、例えば、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、および2,7−ジシアナトナフタレンから選択された少なくとも1種の多官能シアン酸エステルの重合体、ビスフェノールA型シアン酸エステル樹脂またはこれらに水素を添加したもの、ビスフェノールF型シアン酸エステル樹脂またはこれらに水素を添加したもの、6FビスフェノールAジシアン酸エステル樹脂、ビスフェノールE型ジシアン酸エステル樹脂、テトラメチルビスフェノールFジシアン酸エステル樹脂、ビスフェノールMジシアン酸エステル樹脂、ジシクロペンタジエンビスフェノールジシアン酸エステル樹脂、またはシアン酸ノボラック樹脂などの少なくとも1種が挙げられる。また、これらのシアン酸エステル樹脂の市販品も用いることができる。
用いることができるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は1種類、または2種類以上を併用して用いることもできるものである。
本発明に用いることができるエポキシ樹脂は、1分子中に1個以上のエポキシ基があれば上記樹脂に限定されるものではないが、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、クレゾールノボラック系等が好適である。
本発明において、上記シアン酸エステル樹脂(シアネートエステル樹脂)、エポキシ樹脂はそれぞれ単独で、または、これらを併用することができ、併用の場合は質量比で1:10〜10:1の範囲で併用することができる。
本発明において上記シアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂を用いる場合には、反応性および硬化性、成形性の点から、添加剤として活性エステル化合物を用いることもできる。
用いることができる活性エステル化合物としては、一般に1分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物が好ましく、例えば、カルボン酸化合物、フェノール化合物又はナフトール化合物などが挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、酢酸、安息香酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。
これらの活性エステル化合物は1種類、または2種類以上を併用して用いることもできるものである。市販の活性エステル化合物としては、例えば、EXB−9451、EXB−9460(DIC株式会社製)、DC808、YLH1030(ジャパンエポキシレジン株式会社製)などを挙げることができる。
これらの活性エステル化合物の使用量は、用いる熱硬化樹脂組成物のベース樹脂と用いる活性エステル化合物の種類により決定されるものである。
更に、前記活性エステル化合物には、必要に応じて、活性エステル化合物硬化促進剤を用いることができる。
この活性エステル化合物硬化促進剤としては、有機金属塩または有機金属錯体が使用され、例えば、鉄、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、スズなどを含む有機金属塩または有機金属錯体が使用される。具体的には、前記シアネートエステル硬化促進剤は、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸鉄、オクチル酸銅、オクチル酸亜鉛、オクチル酸コバルトなどの有機金属塩;アセチルアセトネート鉛、アセチルアセトネートコバルトなどの有機金属錯体が挙げられる。
これらの活性エステル化合物硬化促進剤は、金属の濃度を基準として、反応性および硬化性、成形性の点から、前記用いる樹脂100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部で含ませることができる。
また、本発明において上記エポキシ樹脂を用いる場合には、反応性および硬化性、成形性の点から、添加剤として硬化剤を用いることもできる。用いることができる硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマー酸変性エチレンジアミン、N−エチルアミノピペラジン、イソホロンジアミン等の脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、 3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルメタン、4,4’−ジアミノジフェノルエーテル等の芳香族アミン類、メルカプトプロピオン酸エステル、エポキシ樹脂の末端メルカプト化合物等のメルカプタン類、ポリアゼライン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物等の脂環式酸無水物類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の芳香族酸無水物類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾー ル、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類およびその塩類、上記脂肪族アミン類、芳香族アミン類、及び/またはイミダゾール類とエポキシ樹脂との反応により得られるアミンアダクト類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン類、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン −7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、ジシアンジアミド等の少なくとも1種が挙げられる。
これらの硬化剤の使用量は、用いるエポキシ樹脂と用いる硬化剤の種類により決定されるものである。
本発明の樹脂組成物においては、さらに無機充填剤、熱可塑性樹脂成分、ゴム成分、難燃剤、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、密着性付与材など、電子機器向けの熱硬化樹脂組成物において一般的に用いられている材料を組み合わせて用いることもできる。
本発明では、最終的なフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物で必要とされる熱硬化樹脂などの総樹脂濃度となるように調整することにより、フッ素系樹脂のマイクロパウダーが凝集することなく均一に存在させることが可能となり、比誘電率と誘電正接が低く、密着強度、接着強度の低下がないので、接着性、耐熱性、寸法安定性、難燃性などにも優れた特性を発揮できるようになるものである。
〔フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物〕
本発明において、上記各構成のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物は、公知のエポキシ樹脂組成物などの熱硬化樹脂組成物と同様な方法により成型、硬化して硬化物とすることができる。成型方法、硬化方法は公知のエポキシ樹脂組成物などの熱硬化樹脂組成物と同様の方法をとることができ、本発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物固有の方法は不要であり、特に限定されるものでない。
本発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、積層物、成型物、接着物、塗膜、フィルム等の形態をとることができる。
本発明のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物、及びその硬化物は、エポキシ樹脂などの熱硬化樹脂の持つ接着性や耐熱性を損なうことなく、低比誘電率で低誘電正接という電気特性に優れ、しかも、また、熱可塑性エラストマーの含有により、密着強度、接着強度の低下を抑制することができるので、電子基板材料や絶縁材料、接着材料などに好適であり、例えば、電子部品に用いられる封止材、銅張り積層板、絶縁塗料、複合材、絶縁接着剤等の材料として有用であり、特に、電子機器の多層プリント配線板の絶縁層の形成、回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグなどに好適に用いることができるものである。
以下に、本発明について、更に実施例、比較例を参照して詳しく説明する。なお、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
〔フッ素系樹脂の非水分散体の調製:分散体1〜4〕
下記表1に示す配合組成のうち、配合番号〔1〕〜〔4〕について所定量調合した後、充分に撹拌混合を行った。その後、得られたPTFE混合液を、横型のビーズミルを用いて、0.3mm径のジルコニアビーズにて分散した。
上記の配合番号〔1〕〜〔4〕からなる分散体1〜4におけるPTFEの平均粒子径(散乱強度分布におけるキュムラント法解析の平均粒子径)をFPAR−1000(大塚電子株式会社製)による動的光散乱法で測定した(下記表2参照)。
さらに、配合番号〔1〕〜〔4〕からなる分散体1、2に対しては配合番号〔5〕、〔6〕を添加して十分に撹拌混合して、分散体1〜4を調製した。
また、得られた分散体1〜4の水分量を測定したところ、カールフィッシャー法による各水分量は、それぞれ、500〜1700ppmの範囲内であった。
Figure 0006764263
Figure 0006764263
得られた分散体1〜4を密閉容器中にて40℃、1週間静置保管したのち、粒子の沈降状態を目視にて確認したところ、いずれも沈降物はなく良好な状態を保っていた。
〔実施例1、2及び比較例1〜3:フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物の調製〕
得られた分散体1〜4を用い、下記表3に示す配合処方にてフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を作製した。また、PTFE分散体を添加していない樹脂のみの組成物として、比較例3を作製した。
実施例1、2及び比較例1〜3に示す配合比で混合した後、ディスパーを用いてPTFE分散体と樹脂類が均一に混ざるように撹拌して、フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を得た。
ここで、実施例1、2、比較例1、2のいずれの配合も、非常に均一な状態を示し、PTFEの凝集物などは観察されなかった。
Figure 0006764263
〔実施例3、4及び比較例4〜6:フッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物の調製〕
ポリイミドフィルム(厚さ:25μm)の片側全面に、実施例1、2、比較例1〜3によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を、乾燥後の厚さが約25μmとなるようにコーターを用いて均一な厚さになるよう塗布し、約120℃で約10分間乾燥した後、これを180℃で60分間加熱して硬化させることにより、比誘電率評価用のサンプルを作製した。
〔比誘電率の評価〕
比誘電率は、JIS C6481−1996の試験規格に準じて、インピーダンス分析器(Impedence Analyzer)を用いて1GHzで測定した。
〔密着強度の評価〕
片面を粗化した銅箔(厚さ18μm)の粗化面上に、厚さ100μmのメッシュをスペーサーとして被せた後、実施例1、2、比較例1〜3によって得られたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を塗布し、50℃で5分間溶剤を乾燥した後、片面を粗化した銅箔(厚さ18μm)を粗化面を組成物側に向けて被せた状態で160℃でラミネートした後、180℃で60分間加熱して硬化させることにより、密着性評価用のサンプルを作製した。
密着強度の評価は、1cm幅にカットした試験片を作製し、プッシュプル試験機にてT型剥離を行った。
比誘電率と密着強度の評価結果を下記表4に示す。
Figure 0006764263
上記表4に示すように、実施例3、4によるフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物は、フッ素系樹脂を含有していない比較例6と比較して低い比誘電率を示すとともに、熱可塑性エラストマーを含有していない比較例4、5に比べて密着強度が高くなる結果となった。
本発明のフッ素系樹脂の非水系分散体は、微粒子径で低粘度、保存安定性に優れ、各種樹脂材料との混合に適するものとなり、本発明の非水系分散体を用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物は、低誘電率、低誘電正接を達成しつつ密着強度、接着強度の低下を抑制することが可能となるので、多層プリント配線板の絶縁層、回路基板用接着剤、回路基板用積層板、カバーレイフィルム、プリプレグなどに好適に用いることができるものとなる。

Claims (5)

  1. 少なくとも、フッ素系樹脂のマイクロパウダーを5〜70質量%と、熱可塑性エラストマーを該フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜80質量%と、少なくとも含フッ素基と親油基を含有するフッ素系添加剤を該フッ素系樹脂のマイクロパウダーの質量に対して0.1〜20質量%と、非水系溶媒とを含有することを特徴とするフッ素系樹脂の非水系分散体。
  2. 前記フッ素系樹脂のマイクロパウダーが、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ重合体、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選ばれる1種以上のフッ素系樹脂のマイクロパウダーであることを特徴とする請求項1に記載のフッ素系樹脂の非水系分散体。
  3. 請求項1又は2に記載のフッ素系樹脂の非水系分散体と、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも含有することを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
  4. 請求項1又は2に記載のフッ素系樹脂の非水系分散体と、シアン酸エステル樹脂及び/又はエポキシ樹脂を含む樹脂組成物とを少なくとも含有することを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物。
  5. 請求項3又は4に記載のフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物を硬化してなることを特徴とするフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂硬化物。
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