JP2016008297A - 樹脂ワニスの製造方法 - Google Patents

樹脂ワニスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016008297A
JP2016008297A JP2014131554A JP2014131554A JP2016008297A JP 2016008297 A JP2016008297 A JP 2016008297A JP 2014131554 A JP2014131554 A JP 2014131554A JP 2014131554 A JP2014131554 A JP 2014131554A JP 2016008297 A JP2016008297 A JP 2016008297A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
compound
inorganic filler
varnish
mixer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014131554A
Other languages
English (en)
Inventor
啓太 稲田
Keita Inada
啓太 稲田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2014131554A priority Critical patent/JP2016008297A/ja
Publication of JP2016008297A publication Critical patent/JP2016008297A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】 充填剤の凝集および粘度の増大が抑制され、加工性に優れる樹脂ワニスの製造方法を提供する。【解決手段】 攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いて、前記混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る工程、得られた混合液を高圧ホモジナイザーで処理し、前記無機充填剤を分散させる工程、前記分散処理された混合液を前記混合器に返送する工程、を連続的に行なう。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂ワニスの製造方法に関する。
電子機器の小型化、多機能化、通信高速化などの追求に伴い、電子機器に用いられる回路基板のさらなる高密度化が要求されており、このような高密度化の要求に応えるために、回路基板の多層化が図られている。このような多層回路基板は、例えば、電気絶縁層とその表面に形成された導体層とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成させ、さらに、これら電気絶縁層の積層と、導体層の形成と、を繰り返し行なうことにより形成される。
このような多層回路基板の電気絶縁層を構成するための材料としては、経済性と性能のバランスの点で優れるため、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂が広く使用されている。硬化性樹脂は通常、他の添加剤とともに有機溶媒に溶解または分散させて、樹脂ワニスとして用いられる。
また電気絶縁層には、信頼性確保のために熱により寸法が大きく変化しないことが望まれる。すなわち、上記絶縁層の線膨張率が低いことが望ましい。熱硬化性樹脂を電気絶縁層に用いる場合において、絶縁層の線膨張率を大幅に低下させるために、樹脂ワニスに線膨張率が低い充填剤を配合することが一般的に行われる。しかし電気絶縁層の形成時に充填剤が凝集して凝集塊を生じることがあり、これが信頼性低下の一因となっていた。
特許文献1,2には、充填剤の凝集が抑制され、信頼性に優れる電気絶縁層を形成する方法が開示されている。
特開2009−262130号公報 特開2012−167272号公報
本発明者が検討したところ、上述した特許文献に記載の方法では、充填剤の凝集を十分に抑制できなかったり、得られる樹脂ワニスの粘度が増大して加工性が低下したりする場合があることが分かった。
本発明の目的は、充填剤の凝集および粘度の増大が抑制され、加工性に優れる樹脂ワニスの製造方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究した結果、硬化性樹脂、無機充填剤及び有機溶媒を混合する混合器と、高圧ホモジナイザーとを循環ラインで接続し、高圧ホモジナイザーによる無機充填剤の分散を連続的に行なうことで、充填剤の凝集および粘度の増大が抑制され、加工性に優れる樹脂ワニスを得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させるに至った。
かくして本発明によれば、下記[1]〜[4]が提供される。
[1] 攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いて、
前記混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る工程、
得られた混合液を高圧ホモジナイザーで処理し、前記無機充填剤を分散させる工程、
前記分散処理された混合液を前記混合器に返送する工程、
を連続的に行なうことを特徴とする、樹脂ワニスの製造方法。
[2] 前記分散処理された混合液を、フィルターを用いてろ過する工程をさらに行なう、[1]記載の製造方法。
[3] 前記混合液の固形分濃度が70重量%以上、90重量%以下である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記充填剤の体積平均粒子径が0.01〜1.0μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、無機充填剤の添加量が多い場合でも、均一で加工性に優れる樹脂ワニスを安定して得ることができる。
本発明の製造方法を実施するための分散液製造装置を概略的に示す図である。
以下、実施形態及び例示物等を示して本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
[分散液製造装置]
本発明の製造方法では、攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いる。以下、本発明に用いる製造装置を、具体例を参照して説明する。図1は、本発明の製造方法を実施するための分散液製造装置を概略的に示す図である。
分散液製造装置100は、攪拌機を備える混合器10、原料供給ライン20、循環ポンプ30、高圧ホモジナイザー40、循環ライン50を備える。
攪拌機を備える混合器10は硬化性樹脂、無機充填剤及び有機溶媒を混合、貯蔵できるものであり、混合タンク11および攪拌機12を備える。混合タンク11は密閉型であり、有機溶媒の揮発による固形分濃度の変化を防止できるようになっている。また、混合タンク11は図示しない温度調節器を備えており、混合タンク11内の混合液の温度を調節できるようになっている。本実施形態では、攪拌機12として、タービン型インペラーを用いている。
原料供給ライン20は硬化性樹脂、無機充填剤、有機溶媒および他の添加剤などの原料を混合タンク11に供給するための配管である。循環ポンプ30は混合タンク11中の混合液を高圧ホモジナイザー40および後述する製品タンク71へ送出するためのポンプである。本実施形態では、循環ポンプ30として、ダイアフラムポンプを用いている。
高圧ホモジナイザー40は、混合液の高圧加圧移送による衝突エネルギー、せん断エネルギー、キャビテーション発生により粒子を分散させる装置である。
循環ライン50は前記の攪拌機を備える混合器10と循環ポンプ30とを接続する配管50a、循環ポンプ30と高圧ホモジナイザー40とを接続する配管50b、および高圧ホモジナイザー40と攪拌機を備える混合器10とを接続する配管50cを備える。混合タンク11で混合された各原料は、混合液として配管50aを通って循環ポンプ30に供給され、該混合液は循環ポンプ30から配管50bを通って高圧ホモジナイザー40で分散処理され、配管50cを通って混合タンク10に返送され、連続的に分散処理を行なえるようになっている。
分散処理された混合液は、循環ポンプ30により送液され、循環ライン50から分岐する移送ライン60を通って、樹脂ワニスとして貯蔵容器70に貯蔵されるようになっている。本実施態様において、混合液の流路は循環ライン50と移送ライン60とを図示しないバルブにより切り替えられるようになっている。貯蔵容器70は貯蔵タンク71および攪拌機72を備える。貯蔵タンク71は密閉型であり、有機溶媒の揮発による固形分濃度の変化を防止できるようになっている。また、貯蔵容器70が攪拌機72を備えることにより、樹脂ワニス中で無機充填剤が均一な分散状態を保持できるようになっている。また、貯蔵タンク71は図示しない温度調節器を備えており、貯蔵タンク71内の樹脂ワニスの温度を調節できるようになっている。
移送ライン60は、その途中にフィルター80を備える。また移送ライン60は、循環ポンプ30とフィルター80とを接続する配管60a、およびフィルター80と貯蔵容器70とを接続する配管60bを備える。
フィルター80はロール型フィルターであり、分散処理された混合液中の粗大粒子を除去できるようになっている。
[樹脂ワニスの製造方法]
本発明の製造方法では、前記の攪拌機を備える混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る。
(硬化性樹脂)
本発明に用いる硬化性樹脂は、加熱または活性放射線の照射により硬化し得る樹脂であり、加熱により硬化し得る樹脂である熱硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、活性化エステル樹脂、極性基を有する脂環式オレフィン重合体を含む樹脂、芳香族ポリエーテル重合体樹脂、ベンゾシクロブテン重合体樹脂、シアネートエステル重合体樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組合せて用いられる。これらの中でも、経済性と性能のバランスの点で優れるため、エポキシ樹脂が好ましい。
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、エポキシ基を有する化合物を含み、硬化可能なものであれば限定されないが、分子内に2以上のエポキシ基を有する多価エポキシ化合物を含むことが好ましく、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、が挙げられる。また、前記エポキシ化合物の骨格として脂環式オレフィン、芳香環、縮合芳香環やフルオレン構造などを有するものが挙げられる。これらのなかでも、フェノールノボラック型エポキシ化合物が好ましく、特に、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物がより好ましい。なお、本発明において、フェノールノボラック型エポキシ化合物は、典型的には、フェノール、クレゾール及びナフトールなどの芳香族ヒドロキシ化合物と、アルデヒド類又はケトン類とを縮合重合させることにより得られるエポキシ化合物である。
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えば、下記式(1)で示される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2016008297
(式(1)中のmは0〜50の整数、Aはアルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、又は脂環構造から選択される少なくとも一種の二価の基であり、Yは水素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又は下記式(2)で表される基である。)
Figure 2016008297
(式(2)中、Tは直接結合、メチレン、エチリデン、プロピリデン、−O−、−S−又は−SO−である。)
前記ビフェニル構造とは、ベンゼン環が2つ単結合でつながった構造をいう。ビフェニル構造は、得られる硬化樹脂において、通常、当該樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
また、前記縮合多環構造とは、2以上の単環が縮合(縮環)してなる構造をいう。縮合多環構造を構成する環は脂環であっても芳香環であってもよく、また、ヘテロ原子を含んだものであってもよい。縮合環数は特に限定されるものではないが、得られる電気絶縁層の耐熱性や機械的強度を高める観点から、2環以上であるのが好ましく、実用上、その上限としては10環程度である。このような縮合多環構造としては、例えば、ジシクロペンタジエン構造、ナフタレン構造、フルオレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、トリフェニレン構造、ピレン構造、オバレン構造などが挙げられる。縮合多環構造は、上述したビフェニル構造と同様に、得られる硬化樹脂において、通常、当該樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
本発明で用いられるビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物は、ビフェニル構造、縮合多環構造、あるいは、ビフェニル構造と縮合多環構造との両方を有するものであるが、得られる電気絶縁層の耐熱性や機械的強度を高める観点から、ビフェニル構造を有するものが好ましく、ビフェニルアラルキル構造を有するものがより好ましい。
また、ビフェニル構造を有するもの(ビフェニル構造と縮合多環構造との両方を有するものを含む。)と縮合多環構造を有するものとを併用する場合、電気絶縁層の耐熱性や電気特性を向上させるという観点から、それらの配合割合は重量比(ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物/縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物)で、通常、3/7〜7/3が好適である。
本発明で用いられるビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物は、公知の方法に従って適宜製造可能であるが、市販品としても入手可能である。
ビフェニル構造を有するエポキシ化合物の市販品の例としては、ビフェニルアラルキル構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「NC3000−FH、NC3000−H、NC3000、NC3000−L、NC3100」(以上、日本化薬社製);や、テトラメチルビフェニル構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「YX−4000」(以上、三菱化学社製);などが挙げられる。
また、縮合多環構造を有するエポキシ化合物の市販品の例としては、ジシクロペンタジエン構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH、エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「Tactix556、Tactix756」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、「Tactix」は登録商標)、商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)などが挙げられる。
以上のビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物を使用する場合における、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物の使用量は、用いるエポキシ化合物の合計(多価エポキシ化合物(A)、及びその他のエポキシ化合物の合計)100重量%中、20重量%以上とすることが好ましく、30重量%以上とすることがより好ましく、50重量%以上とすることが特に好ましい。
また、本発明においては、ビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物を使用する場合においては、前記フェノールノボラック型エポキシ化合物以外の3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物を併用してもよく、このような3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物をさらに用いることにより、得られる電気絶縁層の耐熱性や電気特性をより向上させることが可能となる。
フェノールノボラック型エポキシ化合物以外の3価以上の多価グリシジル基含有エポキシ化合物としては、得られる電気絶縁層の耐熱性や電気特性の観点でエポキシ当量が250以下の化合物が好ましく、220以下の化合物がより好ましい。
具体的には3価以上の多価フェノールのヒドロシキル基をグリシジル化した構造を有する多価フェノール型エポキシ化合物や、2価以上の多価アミノフェニル基含有化合物のアミノ基をグリシジル化したグリシジルアミン型エポキシ化合物や、前記フェノール構造やアミノフェニル構造を同一分子内に有する3価以上の化合物をグリシジル化した多価グリシジル基含有化合物など、が挙げられる。
3価以上の多価フェノールのヒドロシキル基をグリシジル化した構造を有する多価フェノール型エポキシ化合物としては、特に限定されないが、3価以上の多価ヒドロキシフェニルアルカン型エポキシ化合物が好ましい。ここで、3価以上の多価ヒドロキシフェニルアルカン型エポキシ化合物とは、3以上のヒドロキシフェニル基で置換された脂肪族炭化水素のヒドロキシル基をグリシジル化した構造を有する化合物である。
本発明で用いられる3価以上の多価フェノール型エポキシ化合物は、公知の方法に従って適宜製造可能であるが、市販品としても入手可能である。
例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「EPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H」(以上、日本化薬社製)、商品名「TACTIX−742」(以上、ダウ・ケミカル社製)、「jER 1032H60」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。また、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「jER 1031S」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、4価のグリシジルアミン型エポキシ化合物として商品名「YH−434、YH−434L」(以上、新日鉄住金化学社製)、商品名「jER604」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。フェノール構造やアミノフェニル構造を同一分子内に有する3価以上の化合物をグリシジル化した多価グリシジル基含有化合物としては、3価のグリシジルアミン型エポキシ化合物としては商品名「jER630」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。
3価以上の多価フェノール型エポキシ化合物を併用する場合における、3価以上の多価フェノール型エポキシ化合物の含有割合は、特に限定されないが、用いるエポキシ化合物の合計100重量%中、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜25重量%である。
また、本発明においては、エポキシ化合物として、リン含有エポキシ化合物を用いてもよい。リン含有エポキシ化合物としてはホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物を好適に挙げることができ、このようなホスファフェナントレン構造を有するエポキシ化合物を用いることにより、得られる電気絶縁層の難燃性の改善が可能となる。
本発明に用いる硬化性樹脂は、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤は硬化性樹脂の種類により適宜選択して用いられる。
硬化性樹脂として多価エポキシ化合物を用いる場合は、硬化剤として活性エステル化合物を含むことが好ましい。活性エステル化合物としては、活性エステル基を有するものであればよいが、本発明においては、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。活性エステル化合物は、加熱によりエステル部位とエポキシ基が反応することで、本発明で用いられるエポキシ化合物を硬化させるためのエポキシ硬化剤として作用する。
活性エステル化合物としては、得られる電気絶縁層の耐熱性を高めるなどの観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを反応させたものから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させたものから得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族化合物とを反応させたものから得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。活性エステル化合物は、直鎖状又は多分岐状であってもよく、活性エステル化合物が、少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物に由来する場合を例示すると、このような少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物が、脂肪族鎖を含む場合には、エポキシ化合物との相溶性を高くすることができ、また、芳香族環を有する場合には、耐熱性を高くすることができる。
活性エステル化合物を形成するためのカルボン酸化合物の具体例としては、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。これらのなかでも、得られる電気絶縁層の耐熱性を高める観点より、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸がより好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸がさらに好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオカルボン酸化合物の具体例としては、チオ酢酸、チオ安息香酸等が挙げられる。
活性エステル化合物を形成するためのヒドロキシ化合物の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。中でも、活性エステル化合物の溶解性を向上させると共に、得られる電気絶縁層の耐熱性を高める観点から、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックが好ましく、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがより好ましく、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラックがさらに好ましい。
活性エステル化合物を形成するためのチオール化合物の具体例としては、ベンゼンジチオール、トリアジンジチオール等が挙げられる。
活性エステル化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。例えば、前記したカルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
本発明においては、活性エステル化合物として、例えば、特開2002−12650号公報に開示されている活性エステル基を持つ芳香族化合物及び特開2004−277460号公報に開示されている多官能性ポリエステルや、市販品を用いることができる。市販品としては、例えば、商品名「EXB9451、EXB9460、EXB9460S、エピクロン HPC−8000−65T」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「DC808」(ジャパンエポキシレジン社製)、商品名「YLH1026」(ジャパンエポキシレジン社製)などが挙げられる。
前記の活性エステル化合物以外のエポキシ硬化剤を用いてもよく、活性エステル化合物と他のエポキシ硬化剤とを併用して用いることが好ましい。かかる他のエポキシ硬化剤としては、加熱によりエポキシ基と反応することで、エポキシ化合物を硬化させることができる化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、トリアジン構造含有フェノール樹脂などを用いることができる。
(無機充填剤)
本発明の製造方法では、無機充填剤を用いる。無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、水和アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレーなどを挙げることができる。中でも、耐熱性および電気特性に優れるので、シリカが特に好ましい。なお、用いる無機充填剤は、シランカップリング剤等で予め表面処理されたものであってもよい。樹脂ワニスに無機充填剤を配合することにより、得られる電気絶縁層を低線膨張性のものとすることができる。
本発明で用いる無機充填剤の平均粒子径は、特に限定されないが、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定されるメジアン径(D50)で、2μm以下であることが好ましく、0.01〜1.0μmであることがより好ましく、0.05〜0.8μmであることがさらに好ましく、0.1〜0.7μmであることが特に好ましい。また、無機充填剤の比表面積は、特に限定されないが、1.5〜500m/gであることが好ましい。本明細書における比表面積は、比表面積細孔分布測定装置により測定することができる。用いる充填剤の平均粒子径が小さすぎたり、比表面積が大きすぎたりすると、凝集しやすくなって分散性がわるくなり、得られる樹脂ワニスからフィルムを形成する場合、樹脂ワニスの粘度が高くなりすぎて流動性が低下するおそれがある。また、無機充填剤の平均粒子径が大きすぎたり、比表面積が小さすぎたりすると、フィルム表面の平滑性が失われたり、脆くなったりするおそれがある。さらに、無機充填剤の長径と短径との比であるアスペクト比は1〜2の範囲内であるものが好ましく、1〜1.5の範囲内であるものがより好ましい。無機充填剤のアスペクト比が2を超えると、フィルム表面が荒れるおそれがある。また、無機充填剤の粒度分布は、平均粒子径の10倍を超える無機充填剤成分の体積%が0.1%未満、5倍を超える充填剤成分の体積%が1%未満、2倍を超える無機充填剤成分の体積%が20%未満であることが、混合液をろ過する工程において、凝集物や粗大粒子以外の無機充填剤成分が取り除かれないため好ましい。
無機充填剤はシランカップリング剤で表面処理されたものであってもよい。なお、本発明において、シランカップリング剤で「表面処理された」とは、無機充填剤粒子の表面にシランカップリング剤が物理的または化学的に結合していることを示す。
無機充填剤の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、特に限定されないが、グリシジル基、アミノ基、メルカプト基から選択される少なくとも1つの官能基を有するものであることが好ましく、アミノ基を有するものであることが好ましい。
グリシジル基を有するシランカップリング剤としては、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
無機充填剤の使用量は特に限定されないが、前記の硬化性樹脂100重量部に対して、通常5〜500重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは100〜450重量部、さらに好ましくは150〜400重量部である。本発明の製造方法によれば、無機充填剤を高度に分散させることができるので、無機充填剤の使用量が多い場合であっても、粘度が低い樹脂ワニスを得ることができる。
(有機溶媒)
本発明に用いる有機溶媒は、前記の硬化性樹脂を溶解できるものであれば限定されない。また有機溶媒としては、工業的に汎用されるものが好ましい。
有機溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、及びアニソールなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、及び1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系脂肪族炭化水素;クロロベンゼンやジクロロベンゼンなどのハロゲン系芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリルなどの含窒素炭化水素系溶媒;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;アニソールやフェネトールなどの芳香族エーテル系溶媒;などを挙げることができる。これらの中でも、工業的に汎用な芳香族炭化水素系溶媒や脂肪族炭化水素系溶媒、脂環族炭化水素系溶媒、エーテル系溶剤、芳香族エーテル系溶媒が好ましい。
有機溶媒の使用量は、硬化性樹脂の種類および得られる樹脂ワニスの用途により適宜選択すればよく、特に限定されないが、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、混合液中の固形分濃度が通常15〜95重量%、好ましくは70〜90重量%となる量である。本発明の製造方法によれば、無機充填剤を高度に分散させることができるので、混合液中の固形分濃度が高い場合であっても、粘度が低い樹脂ワニスを得ることができる。なお本発明において固形分濃度とは、樹脂ワニス中において、有機溶媒以外の全成分の含有割合を表す。
(混合液を得る工程)
本実施形態では、硬化性樹脂、無機充填剤、有機溶媒および必要に応じ添加されるその他の成分などの原料が、原料供給ライン20を通って混合タンク11に供給される。混合タンク11では、攪拌機12を用いて、上記各原料が均一に混合され、混合液が得られる。本実施形態では、攪拌機12としてはタービン型インペラーを用いている。混合タンク11内は図示しない温度調節器により、混合液の温度が好ましくは30〜60℃、より好ましくは35〜50℃になるように調節されている。
(無機充填剤を分散させる工程)
得られた混合液は混合タンク11から、循環ポンプ30により配管50aおよび配管50bを通って高圧ホモジナイザー40に送液される。高圧ホモジナイザー40は、混合液を加圧し、この加圧された混合液を狭い間隙より高速に噴射、あるいは二方向より対向衝突させることにより、混合液中の無機充填剤を均一に分散し得る装置である。混合液を加圧する圧力は、好ましくは15〜50MPa、より好ましくは20〜40MPaである。また高圧ホモジナイザー40で混合液を処理する温度は好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。高圧ホモジナイザー40に混合液を供給する送液レートは好ましくは3〜15L/分、より好ましくは5〜10L/分である。
(混合液を返送する工程)
高圧ホモジナイザー40で無機充填剤の分散処理をされた混合液は、配管50cを通って混合タンク11に返送される。返送された混合液は混合タンク11から再び、循環ポンプ30により配管50aおよび配管50bを通って高圧ホモジナイザー40に送液され、無機充填剤の分散処理に供される。こうして混合液の分散処理と混合タンク11への返送のサイクルを連続的に行なうことで、無機充填剤が均一に分散した樹脂ワニスが得られる。前記分散処理を行なう時間は、(混合液の総量)/(高圧ホモジナイザー40による単位時間当たりの処理速度)で算出される時間を混合液全量が1サイクルの処理を受ける時間として、混合液全量が好ましくは1〜20サイクル、より好ましくは2〜10サイクルの処理を受ける時間とし得る。処理時間が短すぎると無機充填剤の分散が不十分な場合がある一方で、長すぎると樹脂ワニスの生産性が低下し、また硬化性樹脂の硬化が進行して樹脂ワニスの粘度が上昇するおそれがある。
前記により得られた樹脂ワニスは、循環ポンプ30により送液され、循環ライン50から分岐する移送ライン60を通って、貯蔵容器70に貯蔵される。本実施態様では、移送ライン60の途中に備えるフィルター80により、樹脂ワニスをろ過する工程をさらに行なうことが好ましい。循環ポンプ30から送液された樹脂ワニスは、配管60aを通ってフィルター80に送られる。
フィルター80はロール型フィルターであり、ろ過する工程により混合液中の粗大粒子の除去を行なう。フィルター80のろ過精度は、1μm以上であることが好ましい。またフィルター80のろ過精度は、使用する無機充填剤の平均粒子径の20倍以下であることが好ましく、15倍以下であることがより好ましく、10倍以下であることがさらに好ましい。本発明の製造方法によれば、無機充填剤を高度に分散させることが可能で、粗大粒子の生成が抑制されるので、ろ過精度の高いフィルターを用いた場合でもフィルターの目詰まりを抑制できる。
ろ過を行う際のろ過圧力(差圧)は、フィルターメッシュが目開きせず、生産性の低下を防止するとの観点から0.5〜0.05MPaが好ましく、0.4〜0.15MPaがより好ましく、0.35〜0.2MPaがさらに好ましい。
フィルター80でろ過された樹脂ワニスは配管60bを通って貯蔵容器70に送られ、貯蔵タンク71内で貯蔵される。貯蔵タンク71内は図示しない温度調節器により、樹脂ワニスの温度が好ましくは20〜40℃、より好ましくは25〜35℃になるように調節されている。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態に限定されず、更に変更して実施してもよい。例えば上述の実施形態では、用いる原料の全量を攪拌機を備える混合器10で混合して混合液を得、これを所定時間連続的に分散処理を行い、分散処理後に得られる樹脂ワニスをろ過し、貯蔵容器70に貯蔵した。一方、用いる原料を連続的に混合器10に供給し、得られる樹脂ワニスを連続的に貯蔵容器70に送液してもよい。この場合において、循環ポンプ30から送液される混合液は、所定の比率で循環ライン50側と移送ライン60側に配分される。そして、上記配分比率を変更することにより、混合液が高圧ホモジナイザーによる処理を平均で何サイクル受けるかを調節することができる。混合液は平均で、1〜5サイクルの高圧ホモジナイザーによる処理を受けることが好ましく、1〜3サイクルの処理を受けることがより好ましい。
また攪拌機12としては、タービン型インペラーに代えて、ホバートミキサー、リボンブレンダー、ディスパー、遊星式攪拌機及び二軸攪拌機などの公知の攪拌機を用いることができる。
循環ポンプ30としては、ダイアフラムポンプに代えて、モーノポンプ、バイキングポンプなどの、高粘度の液体を送液可能な公知のポンプを用いることができる。
フィルター80としてはロール型フィルターに代えて、糸巻型、サーフェス型、プリーツ型、吸着型などの公知のフィルターを用いることができる。またフィルターとしては、カートリッジ型のフィルターを用いることが、ろ材の交換が容易なため好ましい。
また貯蔵容器70としては貯蔵タンク71および攪拌機72を備えるものに代えて、缶やボンベなどの公知の容器を用いることができる。さらに貯蔵容器70を使用せず、得られる樹脂ワニスを直接、電気絶縁層の形成などの後工程に供してもよい。
(その他の成分)
また本発明の樹脂ワニスの製造方法において、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で、適宜、前記の硬化性樹脂、無機充填剤、硬化剤及び有機溶媒以外の、以下に記載するような、その他の成分をさらに含有させてもよい。これらのその他の成分は、通常、前記攪拌機を備える混合器または貯蔵容器で樹脂ワニスに配合される。
例えば、硬化性樹脂以外の樹脂を含有させてもよい。硬化性樹脂以外の樹脂としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、脂環式オレフィン樹脂などを挙げることができる。
樹脂ワニスには、所望により、硬化促進剤を含有させてもよい。硬化促進剤としては特に限定されないが、例えば硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第2級アミン、第3級アミン、酸無水物、イミダゾール誘導体、有機酸ヒドラジド、ジシアンジアミド及びその誘導体、尿素誘導体などが挙げられる。中でも、イミダゾール誘導体が特に好ましい。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール骨格を有する化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのアルキル置換イミダゾール化合物;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾールなどのアリール基やアラルキル基などの環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合における、硬化促進剤の配合量としては、エポキシ基を有する化合物100重量部に対して、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。
さらに、樹脂ワニスには、得られる電気絶縁層の難燃性を向上させる目的で、例えば、ハロゲン系難燃剤やリン酸エステル系難燃剤などの一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される難燃剤を適宜配合してもよい。
また樹脂ワニスには、さらに所望により、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの公知の成分を適宜配合してもよい。
[樹脂ワニス]
本発明の製造方法で得られる樹脂ワニスの粘度は、通常200〜8000mPa・s、好ましくは300〜5000mPa・s、より好ましくは500〜3000mPa・sである。本発明の製造方法で得られる樹脂ワニスは無機充填剤が高度に分散され、粘度が低いので、成形加工性に優れる。例えば本発明の製造方法で得られる樹脂ワニスを乾燥してなる成形物は、電気絶縁層を有する積層体および多層プリント配線板を得るのに好適な無機充填剤の分散性に優れる硬化性樹脂成形物として好適である。なお、樹脂ワニスの粘度はE型粘度計等の回転粘度計で測定することができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
(1)脂環式オレフィン重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)
テトラヒドロフランを展開溶媒として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
(2)脂環式オレフィン重合体の水素添加率
水素添加前における重合体中の不飽和結合のモル数に対する水素添加された不飽和結合のモル数の比率を、400MHzのH−NMRスペクトル測定により求め、これを水素添加率とした。
(3)樹脂ワニスの収率
用いた原材料の重量の総和に対する、ろ過工程を経て得られたワニスの重量の比率を求め、これを樹脂ワニスの収率とした。
(4)樹脂ワニス中の粗大粒子数
樹脂ワニス1部に対し、199部のアニソールを加えサンプルを調製した。このサンプル20gについて粒度分布計(アキュサイザー780SIS:PSS社製)を用いて粒度分布の測定を行い、粒子径が5μm以上の粒子を粗大粒子としてその個数を測定した。測定は3回行い、その平均値からワニス1g当りの粗大粒子の個数を算出した。
(5)樹脂ワニスの固形分濃度
樹脂ワニス3gをアルミ皿に載せ、180℃で3時間真空乾燥を行う。この乾燥前後での重量変化から固形分濃度を算出した。
(6)樹脂ワニスの粘度
樹脂ワニス0.5mLにつき、E型粘度計(DV−II+Pro:ブルックフィールド社製)を用いて回転数10rpmで粘度を測定した。
合成例1(脂環式オレフィン重合体(1)の合成)
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(MTF)を80モル部、N−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(NBPI)を20モル部、1−ヘキセンを6モル部、アニソールを590モル部及びルテニウム系重合触媒として4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)を0.015モル部、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で1時間の重合反応を行って開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行った。得られた水素化反応溶液を濃縮して、脂環式オレフィン重合体(1)の溶液(固形分濃度55.5%)を得た。得られた脂環式オレフィン重合体(1)の重量平均分子量は50,000、数平均分子量は20,000、水素添加率は97%であった。
[実施例1]
縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物としてジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(商品名「エピクロン HP−7200HH」、DIC社製、エポキシ当量280)100部、硬化剤としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)90部(活性エステル化合物59部)、合成例1で得られた脂環式オレフィン重合体(1)の溶液13部(脂環式オレフィン重合体3部)、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びアニソール100部を混合し、タービン型インペラー(アシザワファインテック社製)を用いて1時間攪拌し、ワニスAを得た。
該ワニスAをプリーツ型フィルター(ロキテクノ社製SPファイン SBPタイプ、ろ過精度1μm、1μm粒子捕捉率99.9%以上)を用いて圧力0.3MPaでろ過処理を行い、ろ過後のワニスを分散液製造装置100の混合タンク11に供給した。ここに球状シリカ(商品名「SC2500−SXJ」、平均粒径0.5μm、粒子径2.5μm以上の成分の体積分率が0.0%、粒子径1μm以上の成分の体積分率が8.5%、アドマテックス社製)334部を加え、攪拌機12としてのタービン型インペラー(アシザワファインテック社製)で2時間攪拌を行いワニスBを得た。固形分濃度は77.9%、溶媒を除く組成分中のシリカ量は67.2%であった。
該ワニスBを循環ポンプ30を用いて循環ライン50に送液し、高圧ホモジナイザー40(三丸機械工業社製、HPE−50型)を用いて圧力30MPaで分散処理を行った。分散処理されたワニスは循環ライン50を通って混合タンク11に返送し、ワニスを連続的に循環させて分散処理を4時間行ってワニスCを得た。この間、混合タンク11内は攪拌機12による攪拌を継続し、また内温は温度調節器により60℃以下に保った。
このワニスCを循環ポンプ30を用いて移送ライン60に送液し、ロール型フィルター(ロキテクノ社製スロープピュア SLSタイプ、ろ過精度5μm、5μm粒子捕捉率80%)を用いて圧力0.3MPaでろ過処理を行い、ワニスDを得た。得られたワニスDの固形分濃度、収率、粘度、粗大粒子数を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にしてワニスBを得た。次いで、該ワニスBを循環ポンプ30を用いて循環ライン50に送液し、高圧ホモジナイザー40を用いて圧力30MPaで分散処理を行った。分散処理されたワニスは高圧ホモジナイザーの出口より複数のドラム缶に回収した。回収したワニスは各ドラム缶より混合タンク11に転倒機を用いて移送した。同様にしてワニスの分散処理、ドラム缶への回収、および混合タンク11への回収を三度繰り返し、ワニスC’を得た。分散処理の開始からワニスC’を得るまでに要した時間は10時間であった。このワニスC’を実施例1と同様にしてロール型フィルターによりろ過処理を行い、ワニスD’を得た。得られたワニスD’の固形分濃度、収率、粘度、粗大粒子数を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物としてビフェニルジメチレン骨格ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「NC3000L」、日本化薬社製、エポキシ当量269)100部、硬化剤としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)54部(活性エステル化合物35部)、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びアニソール100部を混合し、タービン型インペラー(アシザワファインテック社製)を用いて1時間攪拌し、ワニスEを得た。
該ワニスEを実施例1と同様にしてろ過処理を行い、ろ過後のワニスを分散液製造装置100の混合タンク11に供給した。ここに球状シリカ(商品名「SC2500−SXJ」、平均粒径0.5μm、粒子径2.5μm以上の成分の体積分率が0.0%、粒子径1μm以上の成分の体積分率が8.5%、アドマテックス社製)362部を加え、攪拌機12としてのタービン型インペラー(アシザワファインテック社製)で2時間攪拌を行いワニスFを得た。固形分濃度は80.7%、溶媒を除く組成分中のシリカ量は72.7%であった。
実施例1と同様にして、該ワニスFを連続的に循環させて、高圧ホモジナイザー40による分散処理を4時間行ってワニスGを得た。このワニスGを実施例1と同様にしてロール型フィルターによりろ過処理を行い、ワニスHを得た。得られたワニスHの固形分濃度、収率、粘度、粗大粒子数を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2016008297
以上の実施例より明らかなように、本願発明によれば、無機充填剤の凝集による粗大粒子の生成が少なく、粘度の上昇が抑制された樹脂ワニスを短い処理時間で高収率で得られることが分かる。

Claims (4)

  1. 攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いて、
    前記混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る工程、
    得られた混合液を高圧ホモジナイザーで処理し、前記無機充填剤を分散させる工程、
    前記分散処理された混合液を前記混合器に返送する工程、
    を連続的に行なうことを特徴とする、樹脂ワニスの製造方法。
  2. 前記分散処理された混合液を、フィルターを用いてろ過する工程をさらに行なう、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記混合液の固形分濃度が70重量%以上、90重量%以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記充填剤の体積平均粒子径が0.01〜1.0μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
JP2014131554A 2014-06-26 2014-06-26 樹脂ワニスの製造方法 Pending JP2016008297A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014131554A JP2016008297A (ja) 2014-06-26 2014-06-26 樹脂ワニスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014131554A JP2016008297A (ja) 2014-06-26 2014-06-26 樹脂ワニスの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016008297A true JP2016008297A (ja) 2016-01-18

Family

ID=55226091

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014131554A Pending JP2016008297A (ja) 2014-06-26 2014-06-26 樹脂ワニスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016008297A (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0970569A (ja) * 1995-09-06 1997-03-18 Sony Corp 磁気記録媒体の製造方法
JP2002355599A (ja) * 2001-05-31 2002-12-10 Sony Corp 磁性塗料供給装置とモホイジナイザー

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0970569A (ja) * 1995-09-06 1997-03-18 Sony Corp 磁気記録媒体の製造方法
JP2002355599A (ja) * 2001-05-31 2002-12-10 Sony Corp 磁性塗料供給装置とモホイジナイザー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101229854B1 (ko) 에폭시 수지, 이를 함유하는 경화성 수지 조성물 및 그용도
TWI646126B (zh) A polyphenylene ether derivative having an N-substituted maleimide group, a thermosetting resin composition using the polyphenylene ether derivative, a resin varnish, a prepreg, a metal-clad laminate, and a multilayer printed wiring board
TWI512008B (zh) A method for producing a compatible resin, a thermosetting resin composition, a prepreg, and a laminate
TWI667281B (zh) Thermosetting resin composition
TWI738994B (zh) 含有噁唑烷酮環的環氧樹脂組成物、其製造方法、硬化性樹脂組成物、及硬化物
US20080200636A1 (en) Epoxy Resin, Hardenable Resin Composition Containing the Same and Use Thereof
TW201702310A (zh) 熱硬化性樹脂組成物、預浸體、積層板及多層印刷線路板
JPWO2007097231A1 (ja) 低分子量ポリフェニレンエーテルの製造方法
TW201809130A (zh) 環氧樹脂組合物及其硬化物
DE60301313T2 (de) Epoxidharzzusammensetzung
WO2006129480A1 (ja) エポキシ樹脂硬化性組成物
JP2012092158A (ja) 高分子量エポキシ樹脂、該高分子量エポキシ樹脂を用いる樹脂フィルム、樹脂組成物、および硬化物
JPWO2018025799A1 (ja) 包接化合物及びその製造方法並びにその用途
CN111378094B (zh) 环氧树脂、环氧树脂组合物及树脂硬化物
CN111378093B (zh) 环氧树脂及其制造方法、环氧树脂组合物及环氧树脂硬化物
JP2020090576A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、樹脂付き銅箔、硬化物、電子部品、および、電子部品の製造方法
TWI684624B (zh) 含磷環氧樹脂組成物及硬化物
TWI309606B (en) Resin composition, prepreg and laminate using the composition
TWI623566B (zh) 多羥基聚醚樹脂之製造方法,多羥基聚醚樹脂,其樹脂組成物及其硬化物
CN114008104A (zh) 环氧树脂组合物
TWI728112B (zh) 組合物、硬化物、預浸料以及積層板
TWI820542B (zh) 環氧樹脂組合物、接著膜、印刷電路板、半導體晶片封裝、半導體裝置、及接著膜之使用方法
JP6768366B2 (ja) フッ素系樹脂の非水系分散体、それを用いたフッ素系樹脂含有熱硬化樹脂組成物とその硬化物
JP2016008297A (ja) 樹脂ワニスの製造方法
TW202111025A (zh) 氟系樹脂之非水系分散體、使用其之含氟系樹脂的熱硬化樹脂組成物及其硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170421

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180123

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180724