JP2016008297A - 樹脂ワニスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いて、
前記混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る工程、
得られた混合液を高圧ホモジナイザーで処理し、前記無機充填剤を分散させる工程、
前記分散処理された混合液を前記混合器に返送する工程、
を連続的に行なうことを特徴とする、樹脂ワニスの製造方法。
[2] 前記分散処理された混合液を、フィルターを用いてろ過する工程をさらに行なう、[1]記載の製造方法。
[3] 前記混合液の固形分濃度が70重量%以上、90重量%以下である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記充填剤の体積平均粒子径が0.01〜1.0μmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法では、攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いる。以下、本発明に用いる製造装置を、具体例を参照して説明する。図1は、本発明の製造方法を実施するための分散液製造装置を概略的に示す図である。
攪拌機を備える混合器10は硬化性樹脂、無機充填剤及び有機溶媒を混合、貯蔵できるものであり、混合タンク11および攪拌機12を備える。混合タンク11は密閉型であり、有機溶媒の揮発による固形分濃度の変化を防止できるようになっている。また、混合タンク11は図示しない温度調節器を備えており、混合タンク11内の混合液の温度を調節できるようになっている。本実施形態では、攪拌機12として、タービン型インペラーを用いている。
フィルター80はロール型フィルターであり、分散処理された混合液中の粗大粒子を除去できるようになっている。
本発明の製造方法では、前記の攪拌機を備える混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る。
本発明に用いる硬化性樹脂は、加熱または活性放射線の照射により硬化し得る樹脂であり、加熱により硬化し得る樹脂である熱硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、活性化エステル樹脂、極性基を有する脂環式オレフィン重合体を含む樹脂、芳香族ポリエーテル重合体樹脂、ベンゾシクロブテン重合体樹脂、シアネートエステル重合体樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組合せて用いられる。これらの中でも、経済性と性能のバランスの点で優れるため、エポキシ樹脂が好ましい。
また、前記縮合多環構造とは、2以上の単環が縮合(縮環)してなる構造をいう。縮合多環構造を構成する環は脂環であっても芳香環であってもよく、また、ヘテロ原子を含んだものであってもよい。縮合環数は特に限定されるものではないが、得られる電気絶縁層の耐熱性や機械的強度を高める観点から、2環以上であるのが好ましく、実用上、その上限としては10環程度である。このような縮合多環構造としては、例えば、ジシクロペンタジエン構造、ナフタレン構造、フルオレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造、トリフェニレン構造、ピレン構造、オバレン構造などが挙げられる。縮合多環構造は、上述したビフェニル構造と同様に、得られる硬化樹脂において、通常、当該樹脂の主鎖を構成するが、側鎖に存在していてもよい。
ビフェニル構造を有するエポキシ化合物の市販品の例としては、ビフェニルアラルキル構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「NC3000−FH、NC3000−H、NC3000、NC3000−L、NC3100」(以上、日本化薬社製);や、テトラメチルビフェニル構造を有するエポキシ化合物である、例えば、商品名「YX−4000」(以上、三菱化学社製);などが挙げられる。
また、縮合多環構造を有するエポキシ化合物の市販品の例としては、ジシクロペンタジエン構造を有するノボラック型エポキシ化合物である、例えば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH、エピクロンHP7200HHH」(以上、DIC社製、「エピクロン」は登録商標)、商品名「Tactix556、Tactix756」(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製、「Tactix」は登録商標)、商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)などが挙げられる。
以上のビフェニル構造及び/又は縮合多環構造を有するエポキシ化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
具体的には3価以上の多価フェノールのヒドロシキル基をグリシジル化した構造を有する多価フェノール型エポキシ化合物や、2価以上の多価アミノフェニル基含有化合物のアミノ基をグリシジル化したグリシジルアミン型エポキシ化合物や、前記フェノール構造やアミノフェニル構造を同一分子内に有する3価以上の化合物をグリシジル化した多価グリシジル基含有化合物など、が挙げられる。
3価以上の多価フェノールのヒドロシキル基をグリシジル化した構造を有する多価フェノール型エポキシ化合物としては、特に限定されないが、3価以上の多価ヒドロキシフェニルアルカン型エポキシ化合物が好ましい。ここで、3価以上の多価ヒドロキシフェニルアルカン型エポキシ化合物とは、3以上のヒドロキシフェニル基で置換された脂肪族炭化水素のヒドロキシル基をグリシジル化した構造を有する化合物である。
例えば、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「EPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H」(以上、日本化薬社製)、商品名「TACTIX−742」(以上、ダウ・ケミカル社製)、「jER 1032H60」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。また、テトラキスヒドロキシフェニルエタン型エポキシ化合物の市販品の例として、商品名「jER 1031S」(以上、三菱化学社製)等が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ化合物としては、4価のグリシジルアミン型エポキシ化合物として商品名「YH−434、YH−434L」(以上、新日鉄住金化学社製)、商品名「jER604」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。フェノール構造やアミノフェニル構造を同一分子内に有する3価以上の化合物をグリシジル化した多価グリシジル基含有化合物としては、3価のグリシジルアミン型エポキシ化合物としては商品名「jER630」(以上、三菱化学社製)などが挙げられる。
本発明の製造方法では、無機充填剤を用いる。無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、水和アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレーなどを挙げることができる。中でも、耐熱性および電気特性に優れるので、シリカが特に好ましい。なお、用いる無機充填剤は、シランカップリング剤等で予め表面処理されたものであってもよい。樹脂ワニスに無機充填剤を配合することにより、得られる電気絶縁層を低線膨張性のものとすることができる。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
本発明に用いる有機溶媒は、前記の硬化性樹脂を溶解できるものであれば限定されない。また有機溶媒としては、工業的に汎用されるものが好ましい。
本実施形態では、硬化性樹脂、無機充填剤、有機溶媒および必要に応じ添加されるその他の成分などの原料が、原料供給ライン20を通って混合タンク11に供給される。混合タンク11では、攪拌機12を用いて、上記各原料が均一に混合され、混合液が得られる。本実施形態では、攪拌機12としてはタービン型インペラーを用いている。混合タンク11内は図示しない温度調節器により、混合液の温度が好ましくは30〜60℃、より好ましくは35〜50℃になるように調節されている。
得られた混合液は混合タンク11から、循環ポンプ30により配管50aおよび配管50bを通って高圧ホモジナイザー40に送液される。高圧ホモジナイザー40は、混合液を加圧し、この加圧された混合液を狭い間隙より高速に噴射、あるいは二方向より対向衝突させることにより、混合液中の無機充填剤を均一に分散し得る装置である。混合液を加圧する圧力は、好ましくは15〜50MPa、より好ましくは20〜40MPaである。また高圧ホモジナイザー40で混合液を処理する温度は好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。高圧ホモジナイザー40に混合液を供給する送液レートは好ましくは3〜15L/分、より好ましくは5〜10L/分である。
高圧ホモジナイザー40で無機充填剤の分散処理をされた混合液は、配管50cを通って混合タンク11に返送される。返送された混合液は混合タンク11から再び、循環ポンプ30により配管50aおよび配管50bを通って高圧ホモジナイザー40に送液され、無機充填剤の分散処理に供される。こうして混合液の分散処理と混合タンク11への返送のサイクルを連続的に行なうことで、無機充填剤が均一に分散した樹脂ワニスが得られる。前記分散処理を行なう時間は、(混合液の総量)/(高圧ホモジナイザー40による単位時間当たりの処理速度)で算出される時間を混合液全量が1サイクルの処理を受ける時間として、混合液全量が好ましくは1〜20サイクル、より好ましくは2〜10サイクルの処理を受ける時間とし得る。処理時間が短すぎると無機充填剤の分散が不十分な場合がある一方で、長すぎると樹脂ワニスの生産性が低下し、また硬化性樹脂の硬化が進行して樹脂ワニスの粘度が上昇するおそれがある。
本発明は上述した実施形態に限定されず、更に変更して実施してもよい。例えば上述の実施形態では、用いる原料の全量を攪拌機を備える混合器10で混合して混合液を得、これを所定時間連続的に分散処理を行い、分散処理後に得られる樹脂ワニスをろ過し、貯蔵容器70に貯蔵した。一方、用いる原料を連続的に混合器10に供給し、得られる樹脂ワニスを連続的に貯蔵容器70に送液してもよい。この場合において、循環ポンプ30から送液される混合液は、所定の比率で循環ライン50側と移送ライン60側に配分される。そして、上記配分比率を変更することにより、混合液が高圧ホモジナイザーによる処理を平均で何サイクル受けるかを調節することができる。混合液は平均で、1〜5サイクルの高圧ホモジナイザーによる処理を受けることが好ましく、1〜3サイクルの処理を受けることがより好ましい。
また本発明の樹脂ワニスの製造方法において、本発明の効果の発現を阻害しない範囲で、適宜、前記の硬化性樹脂、無機充填剤、硬化剤及び有機溶媒以外の、以下に記載するような、その他の成分をさらに含有させてもよい。これらのその他の成分は、通常、前記攪拌機を備える混合器または貯蔵容器で樹脂ワニスに配合される。
本発明の製造方法で得られる樹脂ワニスの粘度は、通常200〜8000mPa・s、好ましくは300〜5000mPa・s、より好ましくは500〜3000mPa・sである。本発明の製造方法で得られる樹脂ワニスは無機充填剤が高度に分散され、粘度が低いので、成形加工性に優れる。例えば本発明の製造方法で得られる樹脂ワニスを乾燥してなる成形物は、電気絶縁層を有する積層体および多層プリント配線板を得るのに好適な無機充填剤の分散性に優れる硬化性樹脂成形物として好適である。なお、樹脂ワニスの粘度はE型粘度計等の回転粘度計で測定することができる。
テトラヒドロフランを展開溶媒として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算値として求めた。
水素添加前における重合体中の不飽和結合のモル数に対する水素添加された不飽和結合のモル数の比率を、400MHzの1H−NMRスペクトル測定により求め、これを水素添加率とした。
用いた原材料の重量の総和に対する、ろ過工程を経て得られたワニスの重量の比率を求め、これを樹脂ワニスの収率とした。
樹脂ワニス1部に対し、199部のアニソールを加えサンプルを調製した。このサンプル20gについて粒度分布計(アキュサイザー780SIS:PSS社製)を用いて粒度分布の測定を行い、粒子径が5μm以上の粒子を粗大粒子としてその個数を測定した。測定は3回行い、その平均値からワニス1g当りの粗大粒子の個数を算出した。
樹脂ワニス3gをアルミ皿に載せ、180℃で3時間真空乾燥を行う。この乾燥前後での重量変化から固形分濃度を算出した。
樹脂ワニス0.5mLにつき、E型粘度計(DV−II+Pro:ブルックフィールド社製)を用いて回転数10rpmで粘度を測定した。
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(MTF)を80モル部、N−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド(NBPI)を20モル部、1−ヘキセンを6モル部、アニソールを590モル部及びルテニウム系重合触媒として4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)を0.015モル部、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で1時間の重合反応を行って開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行った。得られた水素化反応溶液を濃縮して、脂環式オレフィン重合体(1)の溶液(固形分濃度55.5%)を得た。得られた脂環式オレフィン重合体(1)の重量平均分子量は50,000、数平均分子量は20,000、水素添加率は97%であった。
縮合多環構造を有する多価エポキシ化合物としてジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(商品名「エピクロン HP−7200HH」、DIC社製、エポキシ当量280)100部、硬化剤としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)90部(活性エステル化合物59部)、合成例1で得られた脂環式オレフィン重合体(1)の溶液13部(脂環式オレフィン重合体3部)、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びアニソール100部を混合し、タービン型インペラー(アシザワファインテック社製)を用いて1時間攪拌し、ワニスAを得た。
実施例1と同様にしてワニスBを得た。次いで、該ワニスBを循環ポンプ30を用いて循環ライン50に送液し、高圧ホモジナイザー40を用いて圧力30MPaで分散処理を行った。分散処理されたワニスは高圧ホモジナイザーの出口より複数のドラム缶に回収した。回収したワニスは各ドラム缶より混合タンク11に転倒機を用いて移送した。同様にしてワニスの分散処理、ドラム缶への回収、および混合タンク11への回収を三度繰り返し、ワニスC’を得た。分散処理の開始からワニスC’を得るまでに要した時間は10時間であった。このワニスC’を実施例1と同様にしてロール型フィルターによりろ過処理を行い、ワニスD’を得た。得られたワニスD’の固形分濃度、収率、粘度、粗大粒子数を測定した。結果を表1に示す。
ビフェニル構造を有する多価エポキシ化合物としてビフェニルジメチレン骨格ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「NC3000L」、日本化薬社製、エポキシ当量269)100部、硬化剤としての活性エステル化合物(商品名「エピクロン HPC−8000−65T」、不揮発分65%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223)54部(活性エステル化合物35部)、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(商品名「イルガノックス(登録商標)3114」、BASF社製)1部、及びアニソール100部を混合し、タービン型インペラー(アシザワファインテック社製)を用いて1時間攪拌し、ワニスEを得た。
Claims (4)
- 攪拌機を備える混合器、循環ポンプ、高圧ホモジナイザー、およびこれらを接続する循環ラインを備えた分散液製造装置を用いて、
前記混合器で、硬化性樹脂、無機充填剤、および有機溶媒を混合して混合液を得る工程、
得られた混合液を高圧ホモジナイザーで処理し、前記無機充填剤を分散させる工程、
前記分散処理された混合液を前記混合器に返送する工程、
を連続的に行なうことを特徴とする、樹脂ワニスの製造方法。 - 前記分散処理された混合液を、フィルターを用いてろ過する工程をさらに行なう、請求項1記載の製造方法。
- 前記混合液の固形分濃度が70重量%以上、90重量%以下である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記充填剤の体積平均粒子径が0.01〜1.0μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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