以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
まず、プラズマ処理装置のインピーダンス整合のための方法の実施形態が適用され得るプラズマ処理装置について説明する。図1は、一実施形態に係るプラズマ処理装置の構成を概略的に示す図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、容量結合型のプラズマ処理装置である。プラズマ処理装置1は、処理容器10を備えている。処理容器10は、略円筒形状を有しており、アルミニウムといった材料から形成されている。この処理容器10の内壁面には、陽極酸化処理が施されている。また、処理容器10は、接地されている。
処理容器10の底部上には、絶縁板12が設けられている。絶縁板12は、例えば、セラミックから形成されている。この絶縁板12上には、支持台14が設けられている。支持台14は、略円柱形状を有している。この支持台14上にはサセプタ16が設けられている。サセプタ16は、アルミニウムといった導電性の材料から形成されており、下部電極を構成している。
サセプタ16上には、静電チャック18が設けられている。静電チャック18は、絶縁層又は絶縁シートの間に、導電膜から構成された電極20が挟まれた構造を有している。静電チャック18の電極20には、スイッチ22を介して直流電源24が電気的に接続されている。この静電チャック18は、直流電源24からの直流電圧により静電吸着力を発生し、当該静電チャック18上に載置された被処理体(以下、「ウエハW」という)を静電吸着力により保持するようになっている。この静電チャック18の周囲、且つ、サセプタ16上には、フォーカスリング26が配置されている。また、サセプタ16及び支持台14の外周面には、円筒状の内壁部材28が取り付けられている。この内壁部材28は、例えば、石英から形成されている。
支持台14の内部には、冷媒流路30が形成されている。冷媒流路30は、例えば、鉛直方向に延びる中心軸線に対して螺旋状に延在している。この冷媒流路30には、処理容器10の外部に設けられたチラーユニットから配管32aを介して冷媒cw(例えば、冷却水)が供給される。冷媒流路30に供給された冷媒は、配管32bを介してチラーユニットに回収される。この冷媒の温度がチラーユニットによって調整されることにより、ウエハWの温度が調整されるようになっている。さらに、プラズマ処理装置1では、ガス供給ライン34を介して供給される伝熱ガス(例えば、Heガス)が、静電チャック18の上面とウエハWの裏面との間に供給されるようになっている。
サセプタ16には、導体44(例えば、給電棒)が接続されている。この導体44には、高周波電源36が整合器40を介して接続されており、また、高周波電源38が整合器42を介して接続されている。高周波電源36は、プラズマの生成用の高周波RF1を出力する。高周波電源36が出力する高周波RF1の基本周波数fB1は、例えば、100MHzである。高周波電源38は、プラズマからウエハWにイオンを引き込むための高周波RF2を出力する。高周波電源38が出力する高周波RF2の基本周波数fB2は、例えば、13.56MHzである。
整合器40及び導体44は、高周波電源36からの高周波RF1をサセプタ16に伝送する給電ライン43の一部を構成している。また、整合器42及び導体44は、高周波電源38からの高周波RF2をサセプタ16に伝送する給電ライン45の一部を構成している。
処理容器10の天部には、上部電極46が設けられている。この上部電極46とサセプタ16の間には、プラズマが生成される処理容器10内の処理空間PSが介在している。上部電極46は、天板48、及び支持体50を有している。天板48には、多数のガス噴出孔48aが形成されている。天板48は、例えば、Si、SiCといったシリコン系の材料から形成されている。支持体50は、天板48を着脱可能に支持する部材であり、アルミニウムから形成されており、その表面には陽極酸化処理が施されている。
支持体50の内部には、ガスバッファ室52が形成されている。また、支持体50には、多数のガス通気孔50aが形成されている。ガス通気孔50aは、ガスバッファ室52から延びて、ガス噴出孔48aに連通している。ガスバッファ室52には、ガス供給管54を介して処理ガス供給源56が接続されている。ガス供給管54の途中には、流量制御器58(例えば、マスフローコントローラ)、及び開閉バルブ60が設けられている。処理ガス供給源56からのガスは、流量制御器58によってその流量が調整された後に、ガスバッファ室52に導入される。ガスバッファ室52に導入されたガスは、ガス噴出孔48aから処理空間PSに噴出される。
サセプタ16と処理容器10の側壁との間、及び、支持台14と処理容器10の側壁との間には、平面視において環状の空間が形成されており、当該空間の底部は処理容器10の排気口62に繋がっている。処理容器10の底部には、排気口62に連通する排気管64が接続されている。この排気管64は、排気装置66に接続されている。排気装置66は、ターボ分子ポンプといった真空ポンプを有している。排気装置66は、処理容器10の内部空間を所望の圧力に減圧する。また、処理容器10の側壁にはウエハWの搬入及び搬出のための開口68が形成されている。処理容器10の側壁には、開口68を開閉するためのゲートバルブ70が取り付けられている。
また、プラズマ処理装置1は、主制御部72を備えている。主制御部72は、一以上のマイクロコンピュータを含み、外部メモリ又は内部メモリに格納されているソフトウェア(プログラム)及びレシピ情報にしたがって、プラズマ処理装置1の各部、例えば、高周波電源36,38、整合器40,42、流量制御器58、開閉バルブ60、排気装置66等の個々の動作及び当該プラズマ処理装置1の装置全体の動作(シーケンス)を制御する。また、主制御部72は、キーボード等の入力装置や液晶ディスプレイ等の表示装置を含むマン・マシン・インタフェース用の操作パネル、並びに、各種プログラム、レシピ、及び設定値等の各種データを格納する外部記憶装置等とも接続されている。
このプラズマ処理装置1の基本動作は次のようにして行われる。まず、ゲートバルブ70が開かれて、処理対象のウエハWが開口68を経由して処理容器10内に搬入される。処理容器10内に搬入されたウエハWは、静電チャック18の上に載置される。次いで、処理ガス供給源56から、処理ガスが処理容器10内に導入され、排気装置66が作動されて、処理容器10内の空間の圧力が所定の圧力に設定される。さらに、高周波電源36からの高周波RF1がサセプタ16(又は上部電極46)に供給され、高周波電源38からの高周波RF2がサセプタ16に供給される。また、直流電源24からの直流電圧が静電チャック18の電極20に印加され、ウエハWが静電チャック18上に保持される。そして、処理容器10内に供給された処理ガスが、サセプタ16と上部電極46との間に形成された高周波電荷により励起される。これにより、プラズマが生成される。このように生成されたプラズマからのラジカル及び/又はイオンによってウエハWが処理される。
このプラズマ処理装置1は、高周波電源36及び高周波電源38の少なくとも一方から変調高周波を出力することが可能であるように構成されている。より具体的には、プラズマ処理装置1は、主制御部72からのレシピに基づく制御により、高周波RF1として高周波電源36から変調高周波MRF1を出力し、高周波RF2として高周波電源38から連続波CRF2を出力する第1モードと、高周波RF2として高周波電源38から変調高周波MRF2を出力し、高周波RF1として高周波電源36から連続波CRF1を出力する第2モードと、高周波電源36及び高周波電源38のそれぞれから同期された変調高周波MRF1及びMRF2を出力する第3モードのうち一つのモードを選択して、動作するよう構成されている。なお、以下の説明では、変調高周波MRF1及び連続波CRF1を総称して高周波RF1と呼び、変調高周波MRF2及び連続波CRF2を総称して高周波RF2と呼ぶことがある。
図2は、第1モードに関するタイミングチャートを例示する図であり、図3は、第2モードに関するタイミングチャートを例示する図であり、図4は、第3モードに関するタイミングチャートを例示する図である。以下、図2〜図4を適宜参照する。
高周波電源36は、主制御部72からのレシピに基づく制御により、連続波CRF1又は変調高周波MRF1を選択的に出力するよう構成されている。具体的に、高周波電源36は、図2及び図4に示すように、第1モード及び第3モードにおいて、変調高周波MRF1を出力するよう構成されている。図2及び図4に示すように、変調高周波MRF1は、プラズマ生成用の高周波のパワーをパルス変調することにより得られる高周波である。即ち、変調高周波MRF1は、第1の期間T1におけるその設定パワーよりも、当該第1の期間T1と交互に繰り返される第2の期間T2におけるその設定パワーが低くなるように変調された高周波である。変調高周波MRF1のデューティ比、即ち、一つの第1の期間T1と一つの第2の期間T2との合計時間である一周期Tcに占める第1の期間T1の時間長の比は、任意の比に制御可能である。例えば、変調高周波MRF1のデューティ比は、10%以上、90%以下の範囲の比に制御可能である。また、変調高周波MRF1の変調周波数、即ち、一周期Tcの逆数は、任意の変調周波数に制御可能である。変調高周波MRF1の変調周波数は、例えば、1kHz以上、100kHz以下の範囲内の周波数に制御可能である。なお、変調高周波MRF1の第2の期間T2におけるパワーは、0Wであってもよく、或いは0Wよりも大きなパワーであってもよい。
また、高周波電源36は、第2モードにおいて、連続波CRF1を出力するよう構成されている。図3に示すように、連続波CRF1は、略一定のパワーが連続する高周波である。
高周波電源38は、主制御部72からのレシピに基づく制御により、変調高周波MRF2又は連続波CRF2を選択的に出力するよう構成されている。具体的に、高周波電源38は、図3及び図4に示すように、第2モード及び第3モードにおいて、変調高周波MRF2を出力するよう構成されている。図3及び図4に示すように、変調高周波MRF2は、高周波RF2のパワーをパルス変調することにより得られる高周波である。即ち、変調高周波MRF2は、第1の期間T1におけるその設定パワーよりも、当該第1の期間T1と交互に繰り返される第2の期間T2におけるその設定パワーが低くなるように変調された高周波である。変調高周波MRF2のデューティ比、即ち、一つの第1の期間T1と一つの第2の期間T2との合計時間である一周期Tcに占める第1の期間T1の時間長の比は、任意の比に制御可能である。例えば、変調高周波MRF2のデューティ比は、10%以上、90%以下の範囲の比に制御可能である。また、変調高周波MRF2の変調周波数、即ち、一周期Tcの逆数は、任意の変調周波数に制御可能である。変調高周波MRF2の変調周波数は、例えば、1kHz以上、100kHz以下の範囲内の周波数に制御可能である。なお、変調高周波MRF2の第2の期間T2におけるパワーは、0Wであってもよく、或いは0Wよりも大きなパワーであってもよい。また、第3モードにおいては、変調高周波MRF1及び変調高周波MRF2は同期される。
また、高周波電源38は、第1モードにおいて、連続波CRF2を出力するよう構成されている。図2に示すように、連続波CRF2は、略一定のパワーが連続する高周波である。
図2〜図4に示すように、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れにおいても、高周波電源36の出力インダーンスと高周波電源36の負荷側のインピーダンスの整合が行われておらず、高周波電源38の出力インダーンスと高周波電源38の負荷側のインピーダンスの整合が行われていない状態では、高周波電源36に向かう反射波及び高周波電源38に向かう反射波が発生する。整合器40は、その可変リアクタンス素子のリアクタンスの調整により、高周波電源36の出力インダーンスと高周波電源36の負荷側のインピーダンスとの整合を行う。例えば、整合器40は、複数の第1の期間T1それぞれにおける高周波電源36の負荷側のインピーダンスの平均値の移動平均値と整合ポイント(例えば、50Ω、且つ位相0)との差を減少させるように、可変リアクタンス素子のリアクタンスを調整する。また、整合器42は、その可変リアクタンス素子のリアクタンスの調整により、高周波電源38の出力インダーンスと高周波電源38の負荷側のインピーダンスとの整合を行う。例えば、整合器42は、例えば、複数の第1の期間T1それぞれにおける高周波電源38の負荷側のインピーダンスの平均値の移動平均値と整合ポイント(例えば、50Ω、且つ位相0)との差を減少させるように、可変リアクタンス素子のリアクタンスを調整する。これにより、上述した反射波は概ね抑えられるが、第1の期間T1の開始時点から当該第1の期間T1の途中までの間において、プラズマのインピーダンスが大きく変動するので、比較的大きなパワーの反射波が発生する。このような反射波を抑制するための策としては、第1の期間T1において複数回、可変リアクタンス素子のリアクタンスを調整することが考えられる。しかしながら、整合器40の可変リアクタンス素子及び整合器42の可変リアクタンス素子は、モータといった機械的手段によってリアクタンスを調整する素子であるので、高速な制御に対応することができない。そこで、プラズマ処理装置1では、高周波電源36及び高周波電源38は、高周波の周波数を変更可能であるように構成されている。
以下、図5〜図10を参照して、高周波電源36及び整合器40、並びに、高周波電源38及び整合器42について詳細に説明する。図5は高周波電源36及び整合器40の構成を例示する図であり、図6は高周波電源36のインピーダンスセンサの構成を例示する図であり、図7は整合器40のインピーダンスセンサの構成を例示する図である。また、図8は高周波電源38及び整合器42の構成を例示する図であり、図9は高周波電源38のインピーダンスセンサの構成を例示する図であり、図10は整合器42のインピーダンスセンサの構成を例示する図である。
図5に示すように、一実施形態において、高周波電源36は、発振器36a、パワーアンプ36b、パワーセンサ36c、インピーダンスセンサ36d、及び、電源制御部36eを有している。電源制御部36eは、CPUといったプロセッサから構成されており、主制御部72から与えられる信号、後述するマッチングコントローラ40cから与えられる信号、パワーセンサ36cから与えられる信号、及びインピーダンスセンサ36dから与えられる信号を利用して、発振器36a、パワーアンプ36b、パワーセンサ36c、及びインピーダンスセンサ36dのそれぞれに制御信号を与えて、発振器36a、パワーアンプ36b、パワーセンサ36c、及びインピーダンスセンサ36dを制御する。
主制御部72から電源制御部36eに与えられる信号は、上述した第1モード、第2モード、及び第3モードの何れかを指定するモード指定信号、基本周波数fB1を指定する周波数指定信号、変調周波数及びデューティ比を指定する変調指定信号を含む。また、高周波電源36が上述した第1モード及び第3モードにて動作する場合には、主制御部72から電源制御部36eに与えられる信号は、第1の期間T1における変調高周波MRF1のパワー及び第2の期間T2における変調高周波MRF1のパワーを指定する第1のパワー指定信号を含む。また、高周波電源36が上述した第2モードにて動作する場合には、主制御部72から電源制御部36eに与えられる信号は、連続波CRF1のパワーを指定する第2のパワー指定信号を含む。
電源制御部36eは、高周波電源36からの高周波RF1、即ち、変調高周波MRF1又は連続波CRF1の出力を開始するときに、周波数指定信号によって指定された基本周波数fB1を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。発振器36aは、周波数制御信号を電源制御部36eから受け、当該周波数制御信号によって特定される周波数の高周波を出力する。
また、電源制御部36eは、高周波電源36からの高周波RF1の出力の開始後に、整合器40からインピーダンス整合が完了した旨の完了信号を受けると、後述する第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれにおける高周波RF1の周波数を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。具体的に、電源制御部36eは、インピーダンスセンサ36dから、過去の第1の副期間Ts1の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp11及び過去の第2の副期間Ts2の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp12を受ける。移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12は、一周期Tcの整数倍の時間間隔で更新されて、電源制御部36eに与えられる。そして、電源制御部36eは、移動平均値Imp11から推定される第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp12から推定される第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれの高周波RF1の周波数を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。発振器36aは、当該周波数制御信号に応じて、第1の副期間Ts1の高周波の周波数及び第2の副期間Ts2の高周波の周波数を設定する(図18〜図20を参照)。なお、本明細書において負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるとは、負荷側のインピーダンスを理想的には整合ポイントに一致させることを意味する。
さらに、電源制御部36eは、変調高周波MRF1が第2の期間T2において0Wよりも大きなパワーを有している場合(図24参照)には、インピーダンスセンサ36dから過去の第3の副期間Ts3の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp13及び過去の第4の副期間Ts4の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp14を受ける。移動平均値Imp13及び移動平均値Imp14は、一周期Tcの整数倍の時間間隔で更新されて、電源制御部36eに与えられる。そして、電源制御部36eは、移動平均値Imp13から推定される第3の副期間Ts3の高周波電源36の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp14から推定される第4の副期間Ts4の高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4それぞれの変調高周波MRF1の周波数を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。発振器36aは、当該周波数制御信号に応じて、第3の副期間Ts3の高周波の周波数及び第4の副期間Ts4の高周波の周波数を設定する(図25参照)。
発振器36aの出力は、パワーアンプ36bの入力に接続されている。パワーアンプ36bは、発振器36aから出力された高周波を増幅することにより高周波RF1を生成し、当該高周波RF1を出力する。このパワーアンプ36bは、電源制御部36eによって制御される。
電源制御部36eは、高周波RF1の出力を開始するときに、モード指定信号によって特定されるモードが第1モード及び第3モードの何れかである場合には、主制御部72からの変調指定信号及び第1のパワー指定信号に応じて、第1の期間T1及び第2の期間T2のそれぞれの変調高周波MRF1のパワーを設定する第1のパワー制御信号をパワーアンプ36bに与える。パワーアンプ36bは、第1モード及び第3モードにおいては、発振器36aからの高周波を第1のパワー制御信号に応じて増幅し、変調高周波MRF1を出力する。一方、電源制御部36eは、高周波RF1の出力を開始するときに、主制御部72からのモード指定信号によって特定されるモードが第2モードである場合には、主制御部72からの第2のパワー指定信号に応じて、連続波CRF1のパワーを設定する第2のパワー制御信号をパワーアンプ36bに与える。パワーアンプ36bは、第2モードにおいては、発振器36aからの高周波を第2のパワー制御信号に応じて増幅し、連続波CRF1を出力する。
また、一実施形態において、電源制御部36eは、高周波電源36からの変調高周波MRF1の出力の開始後に、整合器40からインピーダンス整合が完了した旨の完了信号を受けると、移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12が、変調高周波MRF1の周波数の調整によって整合ポイントに一致させることが可能な範囲(調整可能範囲)にあるか否かを判定する。移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12の少なくとも一方が、調整可能範囲にない場合には、電源制御部36eは、移動平均値Imp11と移動平均値Imp12の中間のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器40に与える。即ち、電源制御部36eは、第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンスと第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスの中間のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器40に与える。
或いは、移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12の少なくとも一方が、調整可能範囲にない場合に、電源制御部36eは、移動平均値Imp12から推定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器40に与える。即ち、電源制御部36eは、第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器40に与える。そして、第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンスが調整可能範囲から外れると判断される場合には、電源制御部36eは、第1の副期間Ts1における変調高周波MRF1のパワーを第2の副期間Ts2のパワーよりも高いパワーに設定するパワー制御信号を、パワーアンプ36bに与える。パワーアンプ36bは、当該パワー制御信号に応じて、第1の副期間Ts1の変調高周波MRF1のパワー及び第2の副期間Ts2の変調高周波MRF1のパワーを調整する(図23参照)。
さらに、電源制御部36eは、変調高周波MRF1が第2の期間T2において0Wよりも大きなパワーを有している場合には、第3の副期間Ts3における変調高周波MRF1のパワーを第4の副期間Ts4のパワーよりも高いパワーに設定するパワー制御信号を、パワーアンプ36bに与えてもよい。この場合に、パワーアンプ36bは、当該パワー制御信号に応じて、第3の副期間Ts3の変調高周波MRF1のパワー及び第4の副期間Ts4の変調高周波MRF1のパワーを調整する(図25参照)。
パワーアンプ36bの後段には、パワーセンサ36cが設けられている。パワーセンサ36cは、方向性結合器、進行波パワー検出部、及び反射波パワー検出部を有している。方向性結合器は、高周波RF1の進行波の一部を進行波パワー検出部に与え、反射波を反射波パワー検出部に与える。このパワーセンサ36cには、高周波RF1の設定周波数を特定する周波数特定信号が電源制御部36eから与えられる。進行波パワー検出部は、進行波の全周波数成分のうち周波数特定信号から特定される設定周波数の成分のパワーの測定値、即ち、進行波パワー測定値を生成する。この進行波パワー測定値は、パワーフィードバック用に電源制御部36eに与えられる。
電源制御部36eからは上記の周波数特定信号が反射パワー検出部にも与えられる。反射波パワー検出部は、反射波の全周波数成分のうち周波数特定信号から特定される設定周波数の成分のパワーの測定値、即ち、反射波パワー測定値PR11、及び、反射波の全周波数成分のトータルパワーの測定値、即ち反射波パワー測定値PR12を生成する。反射波パワー測定値PR11は、モニタ表示用に主制御部72に与えられる。また、反射波パワー測定値PR11は、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2の設定のために電源制御部36eにおいて用いられてもよい。さらに、反射波パワー測定値PR11は、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4の設定のために電源制御部36eにおいて用いられてもよい。また、反射波パワー測定値PR12は、パワーアンプ36bの保護用に、電源制御部36eに与えられる。
インピーダンスセンサ36dは、直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp11を求め、直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp12を求める。第1の副期間Ts1は、各第1の期間T1の開始時点から途中までの間に設定される期間であり、当該第1の副期間Ts1においては、反射波のパワーは比較的大きい。第2の副期間Ts2は、各第1の期間T1において第1の副期間Ts1の終了時点から当該第1の期間T1の終了時点までの間に設定される期間である。一実施形態では、各第1の期間T1は第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2に二分割される。
各第1の期間T1の時間長に占める第1の副期間Ts1の時間長の割合は各第1の期間T1の時間長が長いほど小さくなり、各第1の期間T1の時間長に占める第2の副期間Ts2の割合は、各第1の期間T1の時間長が長いほど小さくなる。一実施形態では、電源制御部36eは、変調高周波の変調周波数及びデューティ比に関連付けて第1の副期間Ts1の時間長及び第2の副期間Ts2の時間長を登録したテーブルを有しており、当該テーブルを参照することにより、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ36dに与える。また、上記テーブルには、変調高周波の変調周波数及びデューティ比に関連付けて、第3の副期間Ts3の時間長及び第4の副期間Ts4の時間長が登録されていてもよく、電源制御部36eは、当該テーブルを参照することにより、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ36dに与えてもよい。
別の実施形態では、電源制御部36eは、上述の反射波パワー測定値PR11の時系列から、各第1の期間T1において反射波パワー測定値PR11が所定値以下に安定する期間を第2の副期間Ts2に設定し、各第1の期間T1において当該第2の副期間Ts2よりも前の期間を第1の副期間Ts1に設定する。この場合においても、電源制御部36eは、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ36dに与える。また、電源制御部36eは、反射波パワー測定値PR11の時系列から、各第2の期間T2において反射波パワー測定値PR11が所定値以下に安定する期間を第4の副期間Ts4に設定し、各第2の期間T2において当該第4の副期間Ts4よりも前の期間を第3の副期間Ts3に設定してもよい。この場合においても、電源制御部36eは、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ36dに与える。
図6に示すように、一実施形態では、インピーダンスセンサ36dは、電流検出器102A、電圧検出器104A、フィルタ106A、フィルタ108A、平均値演算器110A、平均値演算器112A、移動平均値演算器114A、移動平均値演算器116A、及び、インピーダンス演算器118Aを有している。
電圧検出器104Aは、給電ライン43上で伝送される高周波RF1(変調高周波MRF1又は連続波CRF1)の電圧波形を検出し、当該電圧波形を表す電圧波形アナログ信号を出力する。この電圧波形アナログ信号は、フィルタ106Aに入力される。フィルタ106Aは、入力された電圧波形アナログ信号をデジタル化することにより、電圧波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ106Aは、電源制御部36eから上記の周波数特定信号を受け、電圧波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電圧波形信号を生成する。なお、フィルタ106Aは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ106Aによって生成された濾過電圧波形信号は、平均値演算器110Aに出力される。また、平均値演算器110Aには、電源制御部36eから副期間特定信号が与えられる。平均値演算器110Aは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第1の副期間Ts1における電圧の平均値VA11を求める。また、平均値演算器110Aは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第2の副期間Ts2における電圧の平均値VA12を求める。
また、平均値演算器110Aは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第3の副期間Ts3における電圧の平均値VA13を求めてもよい。また、平均値演算器110Aは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第4の副期間Ts4における電圧の平均値VA14を求めてもよい。なお、平均値演算器110Aは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器110Aによって求められた平均値VA11及び平均値VA12は、移動平均値演算器114Aに出力される。移動平均値演算器114Aは、既に得られている複数の平均値VA11のうち直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波RF1の電圧から得られた平均値VA11の移動平均値(移動平均値VMA11)を求める。また、移動平均値演算器114Aは、既に得られている複数の平均値VA12のうち直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波RF1の電圧から得られた平均値VA11の移動平均値(移動平均値VMA12)を求める。移動平均値演算器114Aによって求められた移動平均値VMA11及びVMA12は、インピーダンス演算器118Aに出力される。
また、移動平均値演算器114Aは、既に得られている複数の平均値VA13のうち、直近且つ所定数の第3の副期間Ts3における高周波RF1の電圧から得られた平均値VA13の移動平均値(移動平均値VMA13)を求めてもよい。また、移動平均値演算器114Aは、既に得られている複数の平均値VA14のうち、直近且つ所定数の第4の副期間Ts4における高周波RF1の電圧から得られた平均値VA14の移動平均値(移動平均値VMA14)を求めてもよい。移動平均値演算器114Aによって求められた移動平均値VMA13及びVMA14は、インピーダンス演算器118Aに出力される。なお、移動平均値演算器114Aは、例えば、CPUから構成され得る。或いは、移動平均値演算器114Aは、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
電流検出器102Aは、給電ライン43上で伝送される高周波RF1(変調高周波MRF1又は連続波CRF1)の電流波形を検出し、当該電流波形を表す電流波形アナログ信号を出力する。この電流波形アナログ信号は、フィルタ108Aに入力される。フィルタ108Aは、入力された電流波形アナログ信号をデジタル化することにより、電流波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ108Aは、電源制御部36eから上記の周波数特定信号を受け、電流波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電流波形信号を生成する。なお、フィルタ108Aは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ108Aによって生成された濾過電流波形信号は、平均値演算器112Aに出力される。また、平均値演算器112Aには、電源制御部36eから副期間特定信号が与えられる。平均値演算器112Aは、濾過電流波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第1の副期間Ts1における電流の平均値IA11を求める。また、平均値演算器112Aは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第2の副期間Ts2における電流の平均値IA12を求める。
また、平均値演算器112Aは、濾過電流波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第3の副期間Ts3における電流の平均値IA13を求めてもよい。また、平均値演算器112Aは、濾過電流波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第4の副期間Ts4における電流の平均値IA14を求めてもよい。なお、平均値演算器112Aは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器112Aによって求められた平均値IA11及び平均値IA12は、移動平均値演算器116Aに出力される。移動平均値演算器116Aは、既に得られている複数の平均値IA11のうち直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波RF1の電流から得られた平均値IA11の移動平均値(移動平均値IMA11)を求める。また、移動平均値演算器116Aは、既に得られている複数の平均値IA12のうち直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波RF1の電流から得られた平均値IA11の移動平均値(移動平均値IMA12)を求める。なお、移動平均値演算器116Aは、例えば、CPUから構成され得る。或いは、移動平均値演算器116Aは、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。この移動平均値演算器116Aによって求められた移動平均値IMA11及びIMA12は、インピーダンス演算器118Aに出力される。
また、移動平均値演算器116Aは、既に得られている複数の平均値IA13のうち、直近且つ所定数の第3の副期間Ts3における高周波RF1の電流から得られた平均値IA13の移動平均値(移動平均値IMA13)を求めてもよい。また、移動平均値演算器116Aは、既に得られている複数の平均値IA14のうち、直近且つ所定数の第4の副期間Ts4における高周波RF1の電流から得られた平均値IA14の移動平均値(移動平均値IMA14)を求めてもよい。移動平均値演算器116Aによって求められた移動平均値IMA13及びIMA14は、インピーダンス演算器118Aに出力される。なお、移動平均値演算器116Aは、例えば、CPUから構成され得る。或いは、移動平均値演算器116Aは、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
インピーダンス演算器118Aは、移動平均値IMA11及び移動平均値VMA11から、直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp11を求める。この移動平均値Imp11は、絶対値と位相成分を含む。また、インピーダンス演算器118Aは、移動平均値IMA12及び移動平均値VMA12から、直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp12を求める。この移動平均値Imp12は、絶対値と位相成分を含む。インピーダンス演算器118Aによって求められた移動平均値Imp11及びImp12は、電源制御部36eに出力される。移動平均値Imp11及びImp12は、上述したように電源制御部36eにおいて、高周波RF1の周波数の設定のために用いられる。
また、一実施形態では、インピーダンス演算器118Aは、移動平均値IMA13及び移動平均値VMA14から、直近且つ所定数の第3の副期間Ts3における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp13を求める。この移動平均値Imp13は、絶対値と位相成分を含む。また、インピーダンス演算器118Aは、移動平均値IMA14及び移動平均値VMA14から、直近且つ所定数の第4の副期間Ts4における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp14を求める。この移動平均値Imp14は、絶対値と位相成分を含む。インピーダンス演算器118Aによって求められた移動平均値Imp13及びImp14は、電源制御部36eに出力される。移動平均値Imp13及びImp14は、上述したように電源制御部36eにおいて、高周波RF1の周波数の設定のために用いられ得る。
図5に戻り、整合器40は、整合回路40a、インピーダンスセンサ40b、マッチングコントローラ40c、並びに、アクチュエータ40d及び40eを有している。整合回路40aは、可変リアクタンス素子40g及び40hを含んでいる。可変リアクタンス素子40g及び40hは、例えば、可変コンデンサである。なお、整合回路40aは、インダクタ等を更に含んでいてもよい。
マッチングコントローラ40cは、主制御部72の制御の下で動作し、インピーダンスセンサ40bから与えられる負荷側のインピーダンスの測定値に応じて、負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるように、アクチュエータ40d及び40eを制御して、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整するようになっている。アクチュエータ40d及び40eは、例えば、モータである。
図7に示すように、インピーダンスセンサ40bは、電流検出器102B、電圧検出器104B、フィルタ106B、フィルタ108B、平均値演算器110B、平均値演算器112B、移動平均値演算器114B、移動平均値演算器116B、及び、インピーダンス演算器118Bを有している。
電圧検出器104Bは、給電ライン43上で伝送される高周波RF1(変調高周波MRF1又は連続波CRF1)の電圧波形を検出し、当該電圧波形を表す電圧波形アナログ信号を出力する。この電圧波形アナログ信号は、フィルタ106Bに入力される。フィルタ106Bは、入力された電圧波形アナログ信号をデジタル化することにより、電圧波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ106Bは、電源制御部36eから上記の周波数特定信号を受け、電圧波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電圧波形信号を生成する。なお、フィルタ106Bは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ106Bによって生成された濾過電圧波形信号は、平均値演算器110Bに出力される。また、平均値演算器110Bには、モニタ期間MP1を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から与えられる。モニタ期間MP1は、第1の期間T1の開始時点から一定の時間、及び当該第1の期間T1の終了時点前の一定の時間を除く所定の期間として設定される(図12〜図14参照)。平均値演算器110Bは、濾過電圧波形信号から各第1の期間T1内のモニタ期間MP1における電圧の平均値VA21を求める。なお、第2モードにおいては、平均値演算器110Bには、モニタ期間MP2を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から更に与えられてもよい。モニタ期間MP2は第2の期間T2に一致する期間であり得る。この場合において、平均値演算器110Bは、濾過電圧波形信号からモニタ期間MP2における電圧の平均値VA22を求めてもよい。なお、平均値演算器110Bは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器110Bによって求められた平均値VA21は、移動平均値演算器114Bに出力される。移動平均値演算器114Bは、既に得られている複数の平均値VA21のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP1における高周波RF1の電圧から得られた平均値VA21の移動平均値(移動平均値VMA21)を求める。移動平均値VMA21は、インピーダンス演算器118Bに出力される。また、第2モードにおいて、移動平均値演算器114Bは、既に得られている複数の平均値VA22のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP2における高周波RF1の電圧から得られた平均値VA22の移動平均値(移動平均値VMA22)を更に求めてもよい。この場合に、移動平均値VMA22はインピーダンス演算器118Bに出力される。
電流検出器102Bは、給電ライン43上で伝送される高周波RF1(変調高周波MRF1又は連続波CRF1)の電流波形を検出し、当該電流波形を表す電流波形アナログ信号を出力する。この電流波形アナログ信号は、フィルタ108Bに入力される。フィルタ108Bは、入力された電流波形アナログ信号をデジタル化することにより、電流波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ108Bは、電源制御部36eから上記の周波数特定信号を受け、電流波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電流波形信号を生成する。なお、フィルタ108Bは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ108Bによって生成された濾過電流波形信号は、平均値演算器112Bに出力される。また、平均値演算器112Bには、モニタ期間MP1を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から与えられる。平均値演算器112Bは、濾過電流波形信号から各第1の期間T1内のモニタ期間MP1における電流の平均値IA21を求める。なお、第2モードにおいては、平均値演算器112Bには、モニタ期間MP2を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から更に与えられてもよい。この場合において、平均値演算器112Bは、濾過電流波形信号からモニタ期間MP2における電流の平均値IA22を求めてもよい。なお、平均値演算器112Bは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器112Bによって求められた平均値IA21は、移動平均値演算器116Bに出力される。移動平均値演算器116Bは、既に得られている複数の平均値IA21のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP1における高周波RF1の電流から得られた平均値IA21の移動平均値(移動平均値IMA21)を求める。移動平均値IMA21は、インピーダンス演算器118Bに出力される。また、第2モードにおいて、移動平均値演算器116Bは、既に得られている複数の平均値IA22のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP2における高周波RF1の電流から得られた平均値IA22の移動平均値(移動平均値IMA22)を更に求めてもよい。この場合には、移動平均値IMA22はインピーダンス演算器118Bに出力される。
インピーダンス演算器118Bは、移動平均値IMA21及び移動平均値VMA21から、高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp21を求める。この移動平均値Imp21は、絶対値と位相成分を含む。インピーダンス演算器118Bによって求められた移動平均値Imp21はマッチングコントローラ40cに出力される。マッチングコントローラ40cは、移動平均値Imp21を用いて、インピーダンス整合を行う。具体的に、マッチングコントローラ40cは、移動平均値Imp21によって特定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ40d及び40eを通じて、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整する。
なお、マッチングコントローラ40cは、上述した移動平均値Imp12、即ち所定数の第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値を整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ40d及び40eを通じて、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整してもよい。
一実施形態では、第2モードにおいて、インピーダンス演算器118Bは、移動平均値Imp21に加えて、移動平均値IMA22及び移動平均値VMA22から、高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp22を求めてもよい。移動平均値Imp22は、絶対値と位相成分を含む。移動平均値Imp22は移動平均値Imp21と共に、マッチングコントローラ40cに出力される。この場合に、マッチングコントローラ40cは、移動平均値Imp21と移動平均値Imp22の平均値によって特定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ40d及び40eを通じて、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整する。即ち、この場合には、マッチングコントローラ40cのインピーダンス整合により、第1の期間T1の負荷側のインピーダンスと第2の期間T2の負荷側のインピーダンスの中間のインピーダンスが整合ポイントに近づけられる。
マッチングコントローラ40cは、上述したように、高周波電源36による高周波RF1の出力開始後、最初にインピーダンス整合が完了すると、上記の完了信号を電源制御部36eに与えるようになっている。また、マッチングコントローラ40cは、電源制御部36eから上述の整合制御信号を受けると、当該整合制御信号によって特定されるインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、インピーダンス整合を行う。
以下、図8を参照する。図8に示すように、一実施形態において、高周波電源38は、発振器38a、パワーアンプ38b、パワーセンサ38c、インピーダンスセンサ38d、及び、電源制御部38eを有している。電源制御部38eは、CPUといったプロセッサから構成されており、主制御部72から与えられる信号、後述するマッチングコントローラ42cから与えられる信号、パワーセンサ38cから与えられる信号、及びインピーダンスセンサ38dから与えられる信号を利用して、発振器38a、パワーアンプ38b、パワーセンサ38c、及びインピーダンスセンサ38dのそれぞれに制御信号を与えて、発振器38a、パワーアンプ38b、パワーセンサ38c、及びインピーダンスセンサ38dを制御する。
主制御部72から電源制御部38eに与えられる信号は、上述した第1モード、第2モード、及び第3モードの何れかを指定するモード指定信号、基本周波数fB2を指定する周波数指定信号、変調周波数及びデューティ比を指定する変調指定信号を含む。また、高周波電源38が上述した第2モード及び第3モードにて動作する場合には、主制御部72から電源制御部38eに与えられる信号は、第1の期間T1における変調高周波MRF2のパワー及び第2の期間T2における変調高周波MRF2のパワーを指定する第3のパワー指定信号を含む。また、高周波電源38が上述した第1モードにて動作する場合には、主制御部72から電源制御部38eに与えられる信号は、連続波CRF2のパワーを指定する第4のパワー指定信号を含む。
電源制御部38eは、高周波電源38からの高周波RF2、即ち、変調高周波MRF2又は連続波CRF2の出力を開始するときに、周波数指定信号によって指定された基本周波数fB2を設定する周波数制御信号を発振器38aに与える。発振器38aは、周波数制御信号を電源制御部38eから受け、当該周波数制御信号によって特定される周波数の高周波を出力する。
また、電源制御部38eは、高周波電源38からの高周波RF2の出力の開始後に、整合器42からインピーダンス整合が完了した旨の完了信号を受けると、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれにおける高周波RF2の周波数を設定する周波数制御信号を発振器38aに与える。具体的に、電源制御部38eは、インピーダンスセンサ38dから、過去の第1の副期間Ts1の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp31及び過去の第2の副期間Ts2の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp32を受ける。移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32は、一周期Tcの整数倍の時間間隔で更新されて、電源制御部38eに与えられる。そして、電源制御部38eは、移動平均値Imp31から推定される第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp32から推定される第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれの高周波RF2の周波数を設定する周波数制御信号を発振器38aに与える。発振器38aは、当該周波数制御信号に応じて、第1の副期間Ts1の高周波の周波数及び第2の副期間Ts2の高周波の周波数を設定する(図18〜図20参照)。
さらに、電源制御部38eは、変調高周波MRF2が第2の期間T2において0Wよりも大きなパワーを有している場合には、インピーダンスセンサ38dから、過去の第3の副期間Ts3の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp33及び過去の第4の副期間Ts4の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp34を受ける。移動平均値Imp33及び移動平均値Imp34は、一周期Tcの整数倍の時間間隔で更新されて、電源制御部38eに与えられる。そして、電源制御部38eは、移動平均値Imp33から推定される第3の副期間Ts3の高周波電源38の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp34から推定される第4の副期間Ts4の高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4それぞれの変調高周波MRF2の周波数を設定する周波数制御信号を発振器38aに与える。発振器38aは、当該周波数制御信号に応じて、第3の副期間Ts3の高周波の周波数及び第4の副期間Ts4の高周波の周波数を設定する(図25参照)。
発振器38aの出力は、パワーアンプ38bの入力に接続されている。パワーアンプ38bは、発振器38aから出力された高周波を増幅することにより高周波RF2を生成し、当該高周波RF2を出力する。このパワーアンプ38bは、電源制御部38eによって制御される。
電源制御部38eは、高周波RF2の出力を開始するときに、モード指定信号によって特定されるモードが第2モード及び第3モードの何れかである場合には、主制御部72からの変調指定信号及び第3のパワー指定信号に応じて、第1の期間T1及び第2の期間T2のそれぞれの変調高周波MRF2のパワーを設定する第3のパワー制御信号をパワーアンプ38bに与える。パワーアンプ38bは、第2モード及び第3モードにおいては、発振器38aからの高周波を第3のパワー制御信号に応じて増幅し、変調高周波MRF2を出力する。一方、電源制御部38eは、高周波RF2の出力を開始するときに、主制御部72からのモード指定信号によって特定されるモードが第1モードである場合には、主制御部72からの第4のパワー指定信号に応じて、連続波CRF2のパワーを設定する第4のパワー制御信号をパワーアンプ38bに与える。パワーアンプ38bは、第1モードにおいては、発振器38aからの高周波を第4のパワー制御信号に応じて増幅し、連続波CRF2を出力する。
また、一実施形態において、電源制御部38eは、高周波電源38からの変調高周波MRF2の出力の開始後に、整合器42からインピーダンス整合が完了した旨の完了信号を受けると、移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32が、変調高周波MRF2の周波数の調整によって整合ポイントに一致させることが可能な範囲(調整可能範囲)にあるか否かを判定する。移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32の少なくとも一方が、調整可能範囲にない場合には、電源制御部38eは、移動平均値Imp31から推定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスと移動平均値Imp32から推定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスの中間のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器42に与える。即ち、電源制御部38eは、第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンスと第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスの中間のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器42に与える。
或いは、移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32の少なくとも一方が、調整可能範囲にない場合に、電源制御部38eは、移動平均値Imp32から推定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器42に与える。即ち、電源制御部38eは、第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号を整合器42に与える。そして、第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンスが調整可能範囲から外れると判断される場合には、電源制御部38eは、第1の副期間Ts1における変調高周波MRF2のパワーを第2の副期間Ts2のパワーよりも高いパワーに設定するパワー制御信号を、パワーアンプ38bに与える。パワーアンプ38bは、当該パワー制御信号に応じて、第1の副期間Ts1の変調高周波MRF2のパワー及び第2の副期間Ts2の変調高周波MRF2のパワーを調整する(図23参照)。
さらに、電源制御部38eは、変調高周波MRF2が第2の期間T2において0Wよりも大きなパワーを有している場合には、第3の副期間Ts3における変調高周波MRF2のパワーを第4の副期間Ts4のパワーよりも高いパワーに設定するパワー制御信号を、パワーアンプ38bに与えてもよい。この場合に、パワーアンプ38bは、当該パワー制御信号に応じて、第3の副期間Ts3の変調高周波MRF2のパワー及び第4の副期間Ts4の変調高周波MRF2のパワーを調整する(図25参照)。
パワーアンプ38bの後段には、パワーセンサ38cが設けられている。パワーセンサ38cは、方向性結合器、進行波パワー検出部、及び反射波パワー検出部を有している。方向性結合器は、高周波RF2の進行波の一部を進行波パワー検出部に与え、反射波を反射波パワー検出部に与える。このパワーセンサ38cには、高周波RF2の設定周波数を特定する周波数特定信号が電源制御部38eから与えられる。進行波パワー検出部は、進行波の全周波数成分のうち周波数特定信号から特定される設定周波数の成分のパワーの測定値、即ち、進行波パワー測定値を生成する。この進行波パワー測定値は、パワーフィードバック用に電源制御部38eに与えられる。
電源制御部38eからは上記の周波数特定信号が反射パワー検出部にも与えられる。反射波パワー検出部は、反射波の全周波数成分のうち周波数特定信号から特定される設定周波数の成分のパワーの測定値、即ち、反射波パワー測定値PR21、及び、反射波の全周波数成分のトータルパワーの測定値、即ち反射波パワー測定値PR22を生成する。反射波パワー測定値PR21は、モニタ表示用に主制御部72に与えられる。また、反射波パワー測定値PR21は、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2の設定のために電源制御部38eにおいて用いられてもよい。さらに、反射波パワー測定値PR21は、第3の副期間Ts3及び第2の副期間Ts4の設定のために電源制御部38eにおいて用いられてもよい。また、反射波パワー測定値PR22は、パワーアンプ38bの保護用に、電源制御部38eに与えられる。
インピーダンスセンサ38dは、直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp31を求め、直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp32を求める。
一実施形態では、電源制御部38eは、変調高周波の変調周波数及びデューティ比に関連付けて第1の副期間Ts1の時間長及び第2の副期間Ts2の時間長を登録したテーブルを有しており、当該テーブルを参照することにより、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ38dに与える。また、上記テーブルには、変調高周波の変調周波数及びデューティ比に関連付けて、第3の副期間Ts3の時間長及び第4の副期間Ts4の時間長が登録されていてもよく、電源制御部38eは、当該テーブルを参照することにより、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ38dに与えてもよい。なお、電源制御部38eの当該テーブルは、電源制御部36eの上記デーブルと共通のデーブルであり得る。
別の実施形態では、電源制御部38eは、上述の反射波パワー測定値PR21の時系列から、各第1の期間T1において反射波パワー測定値PR21が所定値以下に安定する期間を第2の副期間Ts2に設定し、各第1の期間T1において当該第2の副期間Ts2よりも前の期間を第1の副期間Ts1に設定する。この場合においても、電源制御部38eは、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ38dに与える。また、電源制御部38eは、反射波パワー測定値PR21の時系列から、各第2の期間T2において反射波パワー測定値PR21が所定値以下に安定する期間を第4の副期間Ts4に設定し、各第2の期間T2において当該第4の副期間Ts4よりも前の期間を第3の副期間Ts3に設定してもよい。この場合においても、電源制御部38eは、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4を特定する副期間特定信号をインピーダンスセンサ38dに与える。
図9に示すように、一実施形態では、インピーダンスセンサ38dは、電流検出器102C、電圧検出器104C、フィルタ106C、フィルタ108C、平均値演算器110C、平均値演算器112C、移動平均値演算器114C、移動平均値演算器116C、及び、インピーダンス演算器118Cを有している。
電圧検出器104Cは、給電ライン45上で伝送される高周波RF2(変調高周波MRF2又は連続波CRF2)の電圧波形を検出し、当該電圧波形を表す電圧波形アナログ信号を出力する。この電圧波形アナログ信号は、フィルタ106Cに入力される。フィルタ106Cは、入力された電圧波形アナログ信号をデジタル化することにより、電圧波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ106Cは、電源制御部38eから上記の周波数特定信号を受け、電圧波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電圧波形信号を生成する。なお、フィルタ106Cは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ106Cによって生成された濾過電圧波形信号は、平均値演算器110Cに出力される。また、平均値演算器110Cには、電源制御部38eから副期間特定信号が与えられる。平均値演算器110Cは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第1の副期間Ts1における電圧の平均値VA31を求める。また、平均値演算器110Cは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第2の副期間Ts2における電圧の平均値VA32を求める。
また、平均値演算器110Cは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第3の副期間Ts3における電圧の平均値VA33を求めてもよい。また、平均値演算器110Cは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第4の副期間Ts4における電圧の平均値VA34を求めてもよい。なお、平均値演算器110Cは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器110Cによって求められた平均値VA31及び平均値VA32は、移動平均値演算器114Cに出力される。移動平均値演算器114Cは、既に得られている複数の平均値VA31のうち直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波RF2の電圧から得られた平均値VA31の移動平均値(移動平均値VMA31)を求める。また、移動平均値演算器114Cは、既に得られている複数のVA32のうち直近且つ所定数の第2の副期間Ts2の高周波RF2の電圧から得られた平均値VA32の移動平均値(移動平均値VMA32)を求める。移動平均値演算器114Cによって求められた移動平均値VMA31及びVMA32は、インピーダンス演算器118Cに出力される。
また、移動平均値演算器114Cは、既に得られている複数の平均値VA33のうち直近且つ所定数の第3の副期間Ts3における高周波RF2の電圧から得られた平均値VA33の移動平均値(移動平均値VMA33)を求めてもよい。また、移動平均値演算器114Cは、既に得られている複数の平均値VA34のうち直近且つ所定数の第4の副期間Ts4における高周波RF2の電圧から得られた平均値VA34の移動平均値(移動平均値VMA34)を求めてもよい。移動平均値演算器114Cによって求められた移動平均値VMA33及びVMA34は、インピーダンス演算器118Cに出力される。なお、移動平均値演算器114Cは、例えば、CPUから構成され得る。或いは、移動平均値演算器114Cは、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
電流検出器102Cは、給電ライン45上で伝送される高周波RF2(変調高周波MRF2又は連続波CRF2)の電流波形を検出し、当該電流波形を表す電流波形アナログ信号を出力する。この電流波形アナログ信号は、フィルタ108Cに入力される。フィルタ108Cは、入力された電流波形アナログ信号をデジタル化することにより、電流波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ108Cは、電源制御部38eから上記の周波数特定信号を受け、電流波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電流波形信号を生成する。なお、フィルタ108Cは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ108Cによって生成された濾過電流波形信号は、平均値演算器112Cに出力される。また、平均値演算器112Cには、電源制御部38eから副期間特定信号が与えられる。平均値演算器112Cは、濾過電流波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第1の副期間Ts1における電流の平均値IA31を求める。また、平均値演算器112Cは、濾過電圧波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第1の期間T1内の第2の副期間Ts2における電流の平均値IA32を求める。
また、平均値演算器112Cは、濾過電流波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第3の副期間Ts3における電流の平均値IA33を求めてもよい。また、平均値演算器112Cは、濾過電流波形信号から、副期間特定信号を用いて特定した各第2の期間T2内の第4の副期間Ts4における電流の平均値IA34を求めてもよい。なお、平均値演算器112Cは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器112Cによって求められた平均値IA31及び平均値IA32は、移動平均値演算器116Cに出力される。移動平均値演算器116Cは、既に得られている複数の平均値IA31のうち直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波RF2の電流から得られた平均値IA31の移動平均値(移動平均値IMA31)を求める。また、移動平均値演算器116Cは、既に得られている複数の平均値IA32のうち直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波RF2の電流から得られた平均値IA32の移動平均値(移動平均値IMA32)を求める。なお、移動平均値演算器116Cは、例えば、CPUから構成され得る。或いは、移動平均値演算器116Cは、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。この移動平均値演算器116Cによって求められた移動平均値IMA31及びIMA32は、インピーダンス演算器118Aに出力される。
また、移動平均値演算器116Cは、既に得られている複数の平均値IA33のうち直近且つ所定数の第3の副期間Ts3における高周波RF2の電流から得られた平均値IA33の移動平均値(移動平均値IMA33)を求めてもよい。また、移動平均値演算器116Cは、既に得られている複数の平均値IA34のうち直近且つ所定数の第4の副期間Ts4における高周波RF2の電流から得られた平均値IA34の移動平均値(移動平均値IMA34)を求めてもよい。移動平均値演算器116Cによって求められた移動平均値IMA33及びIMA34は、インピーダンス演算器118Cに出力される。なお、移動平均値演算器116Cは、例えば、CPUから構成され得る。或いは、移動平均値演算器116Cは、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
インピーダンス演算器118Cは、移動平均値IMA31及び移動平均値VMA31から、直近且つ所定数の第1の副期間Ts1における高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp31を求める。この移動平均値Imp31は、絶対値と位相成分を含む。また、インピーダンス演算器118Cは、移動平均値IMA32及び移動平均値VMA32から、直近且つ所定数の第2の副期間Ts2における高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp32を求める。この移動平均値Imp32は、絶対値と位相成分を含む。インピーダンス演算器118Cによって求められた移動平均値Imp31及びImp32は、電源制御部38eに出力される。移動平均値Imp31及びImp32は、上述したように電源制御部38eにおいて、高周波RF2の周波数の設定のために用いられる。
また、一実施形態では、インピーダンス演算器118Cは、移動平均値IMA33及び移動平均値VMA34から、直近且つ所定数の第3の副期間Ts3における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp33を求める。この移動平均値Imp33は、絶対値と位相成分を含む。また、インピーダンス演算器118Cは、移動平均値IMA34及び移動平均値VMA34から、直近且つ所定数の第4の副期間Ts4における高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp34を求める。この移動平均値Imp34は、絶対値と位相成分を含む。インピーダンス演算器118Cによって求められた移動平均値Imp33及びImp34は、電源制御部38eに出力される。移動平均値Imp33及びImp34は、上述したように電源制御部38eにおいて、高周波RF2の周波数の設定のために用いられ得る。
図8に戻り、整合器42は、整合回路42a、インピーダンスセンサ42b、マッチングコントローラ42c、並びに、アクチュエータ42d及び42eを有している。整合回路42aは、可変リアクタンス素子42g及び42hを含んでいる。可変リアクタンス素子42g及び42hは、例えば、可変コンデンサである。なお、整合回路42aは、インダクタ等を更に含んでいてもよい。
マッチングコントローラ42cは、主制御部72の制御の下で動作し、インピーダンスセンサ42bから与えられる負荷側のインピーダンスの測定値に応じて、負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるように、アクチュエータ42d及び42eを制御して、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整するようになっている。アクチュエータ42d及び42eは、例えば、モータである。
図10に示すように、インピーダンスセンサ42bは、電流検出器102D、電圧検出器104D、フィルタ106D、フィルタ108D、平均値演算器110D、平均値演算器112D、移動平均値演算器114D、移動平均値演算器116D、及び、インピーダンス演算器118Dを有している。
電圧検出器104Dは、給電ライン45上で伝送される高周波RF2(変調高周波MRF2又は連続波CRF2)の電圧波形を検出し、当該電圧波形を表す電圧波形アナログ信号を出力する。この電圧波形アナログ信号は、フィルタ106Dに入力される。フィルタ106Dは、入力された電圧波形アナログ信号をデジタル化することにより、電圧波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ106Dは、電源制御部38eから上記の周波数特定信号を受け、電圧波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電圧波形信号を生成する。なお、フィルタ106Dは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ106Dによって生成された濾過電圧波形信号は、平均値演算器110Dに出力される。また、平均値演算器110Dには、モニタ期間MP1を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から与えられる。平均値演算器110Dは、濾過電圧波形信号から各第1の期間T1内のモニタ期間MP1における電圧の平均値VA41を求める。なお、第1モードにおいては、平均値演算器110Dには、モニタ期間MP2を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から更に与えられてもよい。この場合において、平均値演算器110Dは、濾過電圧波形信号からモニタ期間MP2における電圧の平均値VA42を求めてもよい。なお、平均値演算器110Dは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器110Dによって求められた平均値VA41は、移動平均値演算器114Dに出力される。移動平均値演算器114Dは、既に得られている複数の平均値VA41のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP1における高周波RF2の電圧から得られた平均値VA41の移動平均値(移動平均値VMA41)を求める。移動平均値VMA41は、インピーダンス演算器118Dに出力される。また、第1モードにおいて、移動平均値演算器114Dは、既に得られている複数の平均値VA42のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP2における高周波RF2の電圧から得られた平均値VA42の移動平均値(移動平均値VMA42)を更に求めてもよい。この場合に、移動平均値VMA42はインピーダンス演算器118Dに出力される。
電流検出器102Dは、給電ライン45上で伝送される高周波RF2(変調高周波MRF2又は連続波CRF2)の電流波形を検出し、当該電流波形を表す電流波形アナログ信号を出力する。この電流波形アナログ信号は、フィルタ108Dに入力される。フィルタ108Dは、入力された電流波形アナログ信号をデジタル化することにより、電流波形デジタル信号を生成する。そして、フィルタ108Dは、電源制御部38eから上記の周波数特定信号を受け、電流波形デジタル信号から、周波数特定信号によって特定される周波数に対応した周波数成分のみを抽出することにより、濾過電流波形信号を生成する。なお、フィルタ108Dは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
フィルタ108Dによって生成された濾過電流波形信号は、平均値演算器112Dに出力される。また、平均値演算器112Dには、モニタ期間MP1を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から与えられる。平均値演算器112Dは、濾過電流波形信号から各第1の期間T1内のモニタ期間MP1における電流の平均値IA41を求める。なお、第1モードにおいては、平均値演算器112Dには、モニタ期間MP2を指定するモニタ期間指定信号が主制御部72から更に与えられてもよい。この場合において、平均値演算器112Dは、濾過電流波形信号からモニタ期間MP2における電流の平均値IA42を求めてもよい。なお、平均値演算器112Dは、例えば、FPGA(フィールドプログラマブル・ゲートアレイ)から構成され得る。
平均値演算器112Dによって求められた平均値IA41は、移動平均値演算器116Bに出力される。移動平均値演算器116Dは、既に得られている複数の平均値IA41のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP1における高周波RF2の電流から得られた平均値IA41の移動平均値(移動平均値IMA41)を求める。移動平均値IMA41は、インピーダンス演算器118Dに出力される。また、第1モードにおいて、移動平均値演算器116Dは、既に得られている複数の平均値IA42のうち直近且つ所定数のモニタ期間MP2における高周波RF2の電流から得られた平均値IA42の移動平均値(移動平均値IMA42)を更に求めてもよい。この場合には、移動平均値IMA42はインピーダンス演算器118Dに出力される。
インピーダンス演算器118Dは、移動平均値IMA41及び移動平均値VMA41から、高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp41を求める。この移動平均値Imp41は、絶対値と位相成分を含む。インピーダンス演算器118Dによって求められた移動平均値Imp41はマッチングコントローラ42cに出力される。マッチングコントローラ42cは、移動平均値Imp41を用いて、インピーダンス整合を行う。具体的に、マッチングコントローラ42cは、移動平均値Imp41によって特定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ42d及び42eを通じて、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整する。
なお、マッチングコントローラ42cは、上述した移動平均値Imp32、即ち所定数の第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値を整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ42d及び42eを通じて、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整してもよい。
一実施形態では、第2モードにおいて、インピーダンス演算器118Dは、移動平均値Imp41に加えて、移動平均値IMA42及び移動平均値VMA42から、高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp42を求めてもよい。移動平均値Imp42は、絶対値と位相成分を含む。移動平均値Imp42は移動平均値Imp41と共に、マッチングコントローラ42cに出力される。この場合に、マッチングコントローラ42cは、移動平均値Imp41と移動平均値Imp42の平均値によって特定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ42d及び42eを通じて、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整する。即ち、この場合には、マッチングコントローラ42cのインピーダンス整合により、第1の期間T1の負荷側のインピーダンスと第2の期間T2の負荷側のインピーダンスの中間のインピーダンスが整合ポイントに近づけられる。
マッチングコントローラ42cは、上述したように、高周波電源38による高周波RF2の出力開始後、最初にインピーダンス整合が完了すると、上記の完了信号を電源制御部38eに与えるようになっている。また、マッチングコントローラ42cは、電源制御部38eから上述の整合制御信号を受けると、当該整合制御信号によって特定されるインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、インピーダンス整合を行う。
以下、図11を参照して、一実施形態に係るプラズマ処理装置のインピーダンス整合のための方法MTについて説明する。また、以下の説明では、図12〜図20を参照する。図12は、第1モードが選択されている場合であって、整合器によるインピーダンス整合が行われる前のタイミングチャートを示す図である。図13は、第2モードが選択されている場合であって、整合器によるインピーダンス整合が行われる前のタイミングチャートを示す図である。図14は、第3モードが選択されている場合であって、整合器によるインピーダンス整合が行われる前のタイミングチャートを示す図である。図15は、第1モードが選択されている場合であって、整合器によるインピーダンス整合が行われた後のタイミングチャートを示す図である。図16は、第2モードが選択されている場合であって、整合器によるインピーダンス整合が行われた後のタイミングチャートを示す図である。図17は、第3モードが選択されている場合であって、整合器によるインピーダンス整合が行われた後のタイミングチャートを示す図である。図18は、第1モードが選択されている場合であって、高周波の周波数の調整が行われた後のタイミングチャートを示す図である。図19は、第2モードが選択されている場合であって、高周波の周波数の調整が行われた後のタイミングチャートを示す図である。図20は、第3モードが選択されている場合であって、高周波の周波数の調整が行われた後のタイミングチャートを示す図である。なお、図12〜図20を参照して説明する方法MTの実施形態では、変調高周波の第2の期間T2におけるパワーは0Wである。さらに、以下の説明では、図21〜図23も参照する。図21及び図22は、移動平均値(高周波電源の負荷側のインピーダンス)をプロットしたスミスチャートを例示する図である。図23は、ステップST8に関するタイミングチャートを示す図である。
図11に示すように、方法MTは、ステップST1における高周波の供給開始によって開始される。具体的に、第1モードが選択されている場合には、図12に示すように、高周波電源36による変調高周波MRF1の出力が開始され、高周波電源38による連続波CRF2の出力が開始される。変調高周波MRF1の周波数は基本周波数fB1であり、連続波CRF2の周波数は基本周波数fB2である。第2モードが選択されている場合には、図13に示すように、高周波電源38による変調高周波MRF2の出力が開始され、高周波電源36による連続波CRF1の出力が開始される。変調高周波MRF2の周波数は基本周波数fB2であり、連続波CRF1の周波数は基本周波数fB1である。また、第3モードが選択されている場合には、図14に示すように、高周波電源36による変調高周波MRF1の出力及び高周波電源38による変調高周波MRF2の出力が開始される。変調高周波MRF1の周波数は基本周波数fB1であり、変調高周波MRF2の周波数は基本周波数fB2である。
ステップST1の開始直後には、整合器40によるインピーダンス整合及び整合器42によるインピーダンス整合は行われておらず、図12〜図14に示すように、第1の期間T1及び第2の期間にわたって反射波が発生する。
続くステップST2では、整合器40の可変リアクタンス素子40gのリアクタンス及び整合器40の可変リアクタンス素子40hのリアクタンスが調整される。また、整合器42の可変リアクタンス素子42gのリアクタンス及び整合器42の可変リアクタンス素子42hのリアクタンスが調整される。
具体的に、ステップST2では、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合にも、整合器40のマッチングコントローラ40cが、移動平均値Imp21によって特定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイント(例えば、50Ω、位相0)に近づけるよう、アクチュエータ40d及び40eを通じて、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整する。或いは、マッチングコントローラ40cは、上述した移動平均値Imp12によって特定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ40d及び40eを通じて、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整してもよい。なお、第2モードが選択されている場合には、マッチングコントローラ40cは、移動平均値Imp21と移動平均値Imp22の平均値によって特定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ40d及び40eを通じて、可変リアクタンス素子40g及び40hそれぞれのリアクタンスを調整してもよい。
また、ステップST2では、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合にも、整合器42のマッチングコントローラ42cが、マッチングコントローラ42cは、移動平均値Imp41によって特定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイント(例えば、50Ω、位相0)に近づけるよう、アクチュエータ42d及び42eを通じて、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整する。或いは、マッチングコントローラ42cは、上述した移動平均値Imp32によって特定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ42d及び42eを通じて、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整してもよい。なお、第1モードが選択されている場合には、マッチングコントローラ42cは、移動平均値Imp41と移動平均値Imp42の平均値によって特定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるよう、アクチュエータ42d及び42eを通じて、可変リアクタンス素子42g及び42hそれぞれのリアクタンスを調整してもよい。
ステップST2のインピーダンス整合が完了すると、マッチングコントローラ40cは、電源制御部36eに上述の完了信号を与える。また、マッチングコントローラ42cは、電源制御部38eに上述の完了信号を与える。ステップST2の完了後には、図15〜図17のそれぞれに示すように、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合であっても、第1の副期間Ts1における反射波に比べて他の期間における反射波が抑制される。
続くステップST3では、移動平均値が取得される。具体的には、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合であっても、ステップST2の完了後、電源制御部36eが、直近且つ所定数の第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp11を取得する。また、電源制御部36eが、ステップST2の完了後、直近且つ所定数の第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp12を取得する。また、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合であっても、電源制御部38eが、ステップST2の完了後、直近且つ所定数の第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp31を取得する。また、電源制御部38eが、ステップST2の完了後、直近且つ所定数の第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp32を取得する。
続くステップST4では、高周波RF1(変調高周波MRF1又は連続波CRF1)及び高周波RF2(変調高周波MRF2又は連続波CRF2)それぞれの周波数が調整される。具体的には、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合であっても、図18〜図20に示すように、電源制御部36eが、移動平均値Imp11から推定される第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp12から推定される第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれの高周波RF1の周波数を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。そして、発振器36aが、当該周波数制御信号に応じて、第1の副期間Ts1の高周波の周波数及び第2の副期間Ts2の高周波の周波数を調整する。なお、図18〜図20に示すように、第2の副期間Ts2における高周波RF1(変調高周波MRF1又は連続波CRF1)の周波数は基本周波数fB1に調整され得る。
また、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れが選択されている場合であっても、図18〜図20に示すように、電源制御部38eが、移動平均値Imp31から推定される第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp32から推定される第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれの高周波RF2の周波数を設定する周波数制御信号を発振器38aに与える。そして、発振器38aが、当該周波数制御信号に応じて、第1の副期間Ts1の高周波の周波数及び第2の副期間Ts2の高周波の周波数を調整する。なお、図18〜図20に示すように、第2の副期間Ts2における高周波RF2(変調高周波MRF2又は連続波CRF2)の周波数は基本周波数fB2に調整され得る。
このステップST4の実行後には、図18〜図20に示すように、第1モード、第2モード、及び第3モードの何れにおいても、第1の副期間Ts1における反射波が抑制される。
第1モード及び第3モードが選択されている場合には、続くステップST5において、電源制御部36eによって、移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12が上述した調整可能範囲にあるか否かが判定される。移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12の双方が調整可能範囲にある場合には、方法MTは、ステップST3に進む。一方、移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12の少なくとも一方が上述した調整可能範囲にない場合には、移動平均値Imp11と移動平均値Imp12の中間のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号が電源制御部36eから整合器40に与えられる。そして、続くステップST6において、整合器40の可変リアクタンス素子40g及び40hのリアクタンスが整合制御信号に応じて調整される。これにより、第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンス及び第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスはそれぞれ、例えば、図21の(a)において参照符号Imp1及びImp2で示すように調整される。なお、図21において、参照符号MPは整合ポイントを示しており、調整可能範囲は点線で示されている。
或いは、移動平均値Imp11及び移動平均値Imp12の少なくとも一方が上述した調整可能範囲にない場合には、移動平均値Imp12から推定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号が電源制御部36eから整合器40に与えられる。そして、続くステップST6において、整合器40の可変リアクタンス素子40g及び40hのリアクタンスが整合制御信号に応じて調整される。これにより、第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンス及び第2の副期間Ts2の高周波電源36の負荷側のインピーダンスはそれぞれ、例えば、図21の(b)において参照符号Imp1及びImp2で示すように調整される。
また、第2モード及び第3モードが選択されている場合には、ステップST5において、電源制御部38eによって、移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32が上述した調整可能範囲にあるか否かが判定される。移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32の双方が調整可能範囲にある場合には、方法MTはステップST3に進む。一方、移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32の少なくとも一方が上述した調整可能範囲にない場合には、移動平均値Imp31と移動平均値Imp32の中間のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号が電源制御部38eから整合器42に与えられる。そして、続くステップST6において、整合器42の可変リアクタンス素子42g及び42hのリアクタンスが整合制御信号に応じて調整される。これにより、第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンス及び第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスはそれぞれ、例えば、図21の(a)において参照符号Imp1及びImp2で示すように調整される。
或いは、移動平均値Imp31及び移動平均値Imp32の少なくとも一方が上述した調整可能範囲にない場合には、移動平均値Imp32から推定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるための整合制御信号が電源制御部38eから整合器42に与えられる。そして、続くステップST6において、整合器42の可変リアクタンス素子42g及び42hのリアクタンスが整合制御信号に応じて調整される。これにより、第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンス及び第2の副期間Ts2の高周波電源38の負荷側のインピーダンスはそれぞれ、例えば、図21の(b)において参照符号Imp1及びImp2で示すように調整される。
ステップST6において、移動平均値Imp12から推定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるように整合器40の可変リアクタンス素子40g及び40hのリアクタンスが調整された場合には、続くステップST7において、第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンスが調整可能範囲から外れるか否かが判定される。第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンスが調整可能範囲にある場合には、方法MTはステップST3に進む。一方、図22に示すように、第1の副期間Ts1の高周波電源36の負荷側のインピーダンス(同図のImp1を参照)が調整可能範囲から外れる場合には、ステップST8において、図23に示すように、第1の副期間Ts1の変調高周波MRF1のパワーが第2の副期間Ts2の変調高周波MRF1のパワーよりも大きくなるように、電源制御部36eによって変調高周波MRF1のパワーが設定される。この後、方法MTはステップST3に進む。
また、ステップST6において、移動平均値Imp32から推定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるように整合器42の可変リアクタンス素子42g及び42hのリアクタンスが調整された場合には、ステップST7において、第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンスが調整可能範囲から外れるか否かが判定される。第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンスが調整可能範囲にある場合には、方法MTはステップST3に進む。一方、図22に示すように、第1の副期間Ts1の高周波電源38の負荷側のインピーダンス(同図のImp1を参照)が調整可能範囲から外れる場合には、ステップST8において、図23に示すように、第1の副期間Ts1の変調高周波MRF2のパワーが第2の副期間Ts2の変調高周波MRF2のパワーよりも大きくなるように、電源制御部38eによって変調高周波MRF2のパワーが設定される。この後、方法MTはステップST3に進む。
そして、方法MTでは、主制御部72による制御によって高周波RF1及び高周波RF2の供給が停止されるまで、ステップST3による移動平均値の更新に始まる一連のステップが繰り替えされる。
なお、方法MTでは、高周波電源から出力される連続波の第1の副期間の周波数及び第2の副期間の周波数が、移動平均値に応じて調整されているが、当該連続波の周波数は調整されず一定であってもよい。
以上説明したように、方法MTでは、第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれにおける高周波電源の変調高周波の周波数が、過去の第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2それぞれの高周波電源の負荷側のインピーダンスの移動平均値に応じて設定される。したがって、第1の期間T1中の高周波電源の負荷側のインピーダンスの変動に応じて、適応的且つ高速に変調高周波の周波数が調整される。
また、方法MTのステップST8によれば、第1の副期間Ts1における変調高周波のパワーが増大されるので、第1の副期間Ts1において十分なパワーの変調高周波がプラズマに供給される。
以下、別の実施形態について説明する。図24及び図25は、別の実施形態に関するタイミングチャートを示す図である。以下、別の実施形態に関し、上述した方法MTと異なる点について説明する。
別の実施形態では、図24に示すように、ステップST1において、高周波電源36及び/又は高周波電源38により、第2の期間T2におけるパワーが0Wよりも大きい変調高周波の出力が開始される。
この実施形態のステップST3では、第1モード及び第3モードが選択されている場合には、電源制御部36eが、直近且つ所定数の第3の副期間Ts3の高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp13を更に取得する。また、電源制御部36eが、直近且つ所定数の第4の副期間Ts4の高周波電源36の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp14を更に取得する。また、第2モード及び第3モードが選択されている場合には、電源制御部38eが、直近且つ所定数の第3の副期間Ts3の高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp33を更に取得する。また、電源制御部38eが、直近且つ所定数の第4の副期間Ts4の高周波電源38の負荷側のインピーダンスの移動平均値Imp34を更に取得する。
第1モード及び第3モードが選択されている場合には、ステップST4において、図25に示すように、電源制御部36eが、移動平均値Imp13から推定される第3の副期間Ts3の高周波電源36の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp14から推定される第4の副期間Ts4の高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4それぞれの変調高周波MRF1の周波数を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。そして、発振器36aが、当該周波数制御信号に応じて、第3の副期間Ts3の高周波の周波数及び第4の副期間Ts4の高周波の周波数を調整する。
第2モード及び第3モードが選択されている場合には、ステップST4において、電源制御部36eが、移動平均値Imp33から推定される第3の副期間Ts3の高周波電源38の負荷側のインピーダンス及び移動平均値Imp34から推定される第4の副期間Ts4の高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるために、第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4それぞれの変調高周波MRF2の周波数を設定する周波数制御信号を発振器36aに与える。そして、発振器36aが、当該周波数制御信号に応じて、第3の副期間Ts3の高周波の周波数及び第4の副期間Ts4の高周波の周波数を調整する。
そして、移動平均値Imp12から推定される高周波電源36の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるように整合器40の可変リアクタンス素子40g及び40hのリアクタンスが調整されている場合には、ステップST8において、図25に示すように、第3の副期間Ts3の変調高周波MRF1のパワーが第4の副期間Ts4の変調高周波MRF1のパワーよりも大きくなるように、電源制御部36eによって変調高周波MRF1のパワーが設定される。
また、移動平均値Imp32から推定される高周波電源38の負荷側のインピーダンスを整合ポイントに近づけるように整合器42の可変リアクタンス素子42g及び42hのリアクタンスが調整されている場合には、ステップST8において、第3の副期間Ts3の変調高周波MRF2のパワーが第4の副期間Ts4の変調高周波MRF2のパワーよりも大きくなるように、電源制御部38eによって変調高周波MRF2のパワーが設定される。
この実施形態によれば、第1の期間T1中及び第2の期間T2中の高周波電源の負荷側のインピーダンスの変動に応じて、適応的且つ高速に変調高周波の周波数が調整される。また、第3の副期間Ts3において十分なパワーの変調高周波がプラズマに供給される。
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。上述した実施形態では、第1の期間T1は第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2に二分割されているが、第1の期間T1は第1の副期間Ts1及び第2の副期間Ts2を含む三以上の副期間に分割されてもよい。この場合には、第1の期間T1の三以上の副期間それぞれの高周波電源の負荷側のインピーダンスの移動平均値に基づいて、高周波電源によって出力される変調高周波の周波数が第1の期間T1の三以上の副期間のそれぞれにおいて調整される。また、第2の期間T2は第3の副期間Ts3及び第4の副期間Ts4を含む三以上の副期間に分割されてもよい。この場合には、第2の期間T2の三以上の副期間それぞれの高周波電源の負荷側のインピーダンスの移動平均値に基づいて、高周波電源によって出力される変調高周波の周波数が第2の期間T2の三以上の副期間のそれぞれにおいて調整される。