JP2017061397A - リチウム含有ガーネット型酸化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水や二酸化炭素との反応性が低減された新規リチウム含有ガーネット型酸化物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるリチウム含有ガーネット型酸化物とする。(Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δ… 式(1)(上記式(1)において、AEはCa、Srから選ばれる少なくとも一つの元素であり、MはNb、Taから選ばれる少なくとも一つの元素であり、0≦X≦1.00≦Y≦2.00<α<0.45≦(1−α)(7+X−Y)+9α≦7.5である。)。【選択図】なし

Description

本発明は、二酸化炭素や水との反応性が低減された新規リチウム含有ガーネット型酸化物に関する。
全固体電池用の固体電解質としてリチウム含有ガーネット型酸化物(Li7+X−Y)(La3−X,AE)(Zr2−Y,M)O12(AEはCa、Srのうち少なくとも一つ以上の元素、MはNb、Taのうち少なくとも一つ以上の元素、0≦X≦1.0、0≦Y≦2.0)が注目されている。一方で、当該リチウム含有ガーネット型酸化物は大気中の二酸化炭素や水と吸着・反応しやすい(特許文献1、非特許文献1)。すなわち、二酸化炭素や水との反応によって固体電解質としての性能が低下する虞がある。
特開2011−147875号公報
Chem.Mater.2011,23,1892-1900
そこで本発明は、水や二酸化炭素との反応性が低減された新規リチウム含有ガーネット型酸化物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採る。すなわち、
本発明は、下記式(1)で表されるリチウム含有ガーネット型酸化物である。
(Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δ … 式(1)
(式(1)において、
AEはCa、Srから選ばれる少なくとも一つの元素であり、
MはNb、Taから選ばれる少なくとも一つの元素であり、
0≦X≦1.0
0≦Y≦2.0
0<α<0.4
5≦(1−α)(7+X−Y)+9α≦7.5
である。)
本発明において、「(Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δ」とは、(1−α)(7+X−Y)モルのLiに対して、Gaが3αモル、Laが3−(1−α)Xモル、AEが(1−α)Xモル、Zr(1−α)(2−Y)モル、Mが(1−α)Yモル、Ybが2αモルとなるような組成比を有することを意味する。このような組成比を有しつつガーネット型構造を採るものは、本発明の範囲に含まれる。
尚、本発明は、ガーネット型構造を採る限り、酸素元素の量は「12」に限定されない。すなわち、「12±δ」とは、酸素欠陥や過剰酸素を許容する趣旨である。酸化物がガーネット型構造を採っているか否かについては、X線回折測定によって容易に判断できる。
本発明によれば、水や二酸化炭素との反応性が低減された新規リチウム含有ガーネット型酸化物を提供することができる。
比較例1に係る酸化物のX線回折測定結果を示す図である。 実施例1に係る酸化物のX線回折測定結果を示す図である。 実施例2に係る酸化物のX線回折測定結果を示す図である。 実施例3に係る酸化物のX線回折測定結果を示す図である。 実施例4に係る酸化物のX線回折測定結果を示す図である。 比較例2に係る酸化物のX線回折測定結果を示す図である。 比較例1に係る酸化物の大気雰囲気下でのTG測定結果を示す図である。 実施例1に係る酸化物の大気雰囲気下でのTG測定結果を示す図である。 実施例2に係る酸化物の大気雰囲気下でのTG測定結果を示す図である。 実施例3に係る酸化物の大気雰囲気下でのTG測定結果を示す図である。 実施例4に係る酸化物の大気雰囲気下でのTG測定結果を示す図である。
1.リチウム含有ガーネット型酸化物
本発明者らは、下記式(A)で示される従来のリチウム含有ガーネット型酸化物について全固体電池の固体電解質として適用すべく鋭意研究を進めたところ、以下の課題を見出した。
(Li7+X−Y)(La3−X,AE)(Zr2−Y,M)O12 … 式(A)
(式(A)において、AEはCa、Srのうち少なくとも一つ以上の元素、MはNb、Taのうち少なくとも一つ以上の元素、0≦X≦1.0、0≦Y≦2.0である。)
従来のリチウム含有ガーネット型酸化物にあっては、100℃程度から急激に大気中の水を吸収しはじめ、400℃までの温度範囲で二酸化炭素を吸収する。すなわち、急激に材料の変質・分解が起こり、特性が変化(低下)する。この問題が発生する理由としては、従来のリチウム含有ガーネット型酸化物が、本来のガーネット型酸化物のサイト以外に、余分のリチウムサイト(24dサイトに存在するリチウム)を有していることによる。すなわち、24dサイトのリチウムは非常に活性が高く、水(プロトン)とのイオン交換反応が生じ易い。これはリチウムと水素とが同族であり、特性が似ているためと考えられる。ここで、結晶内にプロトンが入ると、結晶内に存在していたリチウムが外に押し出される。外に押し出されたリチウムは、大気中のCOと反応し、LiCOが生じる。
このように、従来のリチウム含有ガーネット型酸化物においては、二酸化炭素や水との反応によって固体電解質としての性能が低下する虞がある。
本発明者らは、上記した課題を解決するために、ガーネット型酸化物中の24dサイトに存在するリチウムをできるだけ減らすことを着想した。例えば、24dサイトのリチウムを他の元素に置き換えることができれば、上記したリチウムとプロトンとのイオン交換反応やリチウムと二酸化炭素との反応を抑えることができる。本発明者らがさらに鋭意研究を進めたところ、24dサイトにリチウムに替えてガリウムを存在させることで、ガーネット型構造を維持しつつも24dサイトのリチウム量を低減でき、上記課題を解決できることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるリチウム含有ガーネット型酸化物である。
(Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δ … 式(1)
式(1)において、AEはCa、Srから選ばれる少なくとも一つの元素である。複合酸化物において、Laに替えてCaやSrをドープ可能であることが知られているが、本発明でも同様である。すなわち、ガーネット型酸化物において、Ca、Srは、例えばLaと容易に置換可能であり、ガーネット型構造を適切に維持することができる。また、AEがCa、Srから選ばれる少なくとも一つの元素であることで、全固体電池の固体電解質として良好な性能(高いイオン伝導度等)が得られる。また、本発明においては、CaやSrをドープすることで、焼結温度の低温化が期待できる。また、化学組成中のLi量と格子定数を制御でき、結果としてリチウムイオン伝導率を容易に制御できる。さらに、二次粒子表面へのCaやSrの濃化等によって、正極活物質との化学反応性を抑制できる。
式(1)において、MはNb、Taから選ばれる少なくとも一つの元素である。特にNbが好ましい。ガーネット型酸化物において、Zr、Nb、Ta、Ybは、例えば互いに容易に置換可能であり、ガーネット型構造を適切に維持することができる。また、MがNb、Taから選ばれる少なくとも一つの元素であることで、全固体電池の固体電解質として良好な性能(高いイオン伝導度等)が得られる。
式(1)において、0≦X≦1.0である。Xは上限が好ましくは0.5以下である。Xを増大させることで、リチウム含有ガーネット型酸化物におけるLaの量が相対的に低減し、AE(Ca及び/又はSr)の量が相対的に増大する。ここで、Xが0以上1.0以下であれば、ガーネット型構造を適切に維持することができ、リチウムイオン伝導性を適切に維持可能である。
式(1)において、0≦Y≦2.0である。Yは上限が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下である。Yを増大させることで、リチウム含有ガーネット型酸化物におけるZrの量が相対的に低減し、M(Nb及び/又はTa)の量が相対的に増大する。ここで、Yが0以上2.0以下であれば、ガーネット型構造を適切に維持することができ、リチウムイオン伝導性を適切に維持可能である。
式(1)において、0<α<0.4である。αは下限が好ましくは0.03以上であり、上限が好ましくは0.33以下である。αを増大させることで、リチウム含有ガーネット型酸化物におけるLi、Zr、AE、Mの量が相対的に低減し、Ga、La、Ybの量が相対的に増大する。すなわち、24dサイトのリチウムをGaに置き換えることができる。ここで、本発明者らの知見によれば、αが0.4以上の場合はガーネット型構造を維持できない。αが0超4未満であれば、24dサイトのLiをGaに置き換えつつ、ガーネット型構造を適切に維持することができる。
式(1)における上記αの上限値の臨界的意義について、より詳細に説明する。式(1)の(Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δにおいて、X=0、Y=0とした場合、最初の項は、(Li(1−α)7,Ga3α)となる。ガーネット型酸化物の結晶内において、最初の項の元素(ここではLiとGa)が入ることが可能なサイトは24dと48gの2つ存在する。また、ガーネット型酸化物の単位胞子中に、24dサイトと48gサイトとはそれぞれ、3個と6個存在する(合計で9個存在する)。
ここで、Gaはイオン半径と配位数の関係から24dサイトのみに選択的に入る。そして、3価の価数を持つGaが24dサイトに入ると、隣接する48gサイトのうちの3つが(3価の正の電荷を持つGaと反発するため)潰れたサイトとなる。すなわち、周りの正の電荷のイオンとの反発でLiが入ることができないサイトとなる。
よって、「Liの量+Gaの量+潰れたサイトの量<24dサイトと48gサイトとの合計量(すなわち、9)」の関係をもつ必要がある。
Liの量=(1−α)×7であり、Gaの量=3αであり、潰れたサイトの量=3×3αであることから、上記関係式に当てはめると(1−α)×7+3α+3×3α<9となり、この式を解くとα<0.4となる。すなわち、α<0.4であれば、ガーネット型構造を適切に維持することができる。このことは、後述の実施例の結果からも裏付けられている。
式(1)において、5≦(1−α)(7+X−Y)+9α≦7.5である。下限は好ましくは5.5以上であり、より好ましくは6.75以上であり、上限は好ましくは7.49以下である。この関係式を満たす範囲において、ガーネット型構造を適切に維持することができる。
尚、本発明に係るリチウム含有ガーネット型酸化物は、1−αモルの(Li7+X−Y)(La3−X,AE)(Zr2−Y,M)O12に対して、αモルのGaLaYb12が固溶したものとも言い得る。
以上の通り、本発明に係るリチウム含有ガーネット型酸化物は、ガーネット型構造を維持しつつ、リチウムの量(特に24dサイトのリチウムの量)が低減されているため、リチウムと水(プロトン)とのイオン交換反応を抑制でき、結果として、リチウムが結晶の外に押し出されることも抑制され、リチウムと二酸化炭素との反応も抑制できる。本発明に係るリチウム含有ガーネット型酸化物は、例えば、全固体電池の固体電解質として好適に利用可能である。
2.全固体電池
本発明は、全固体電池としての側面も有する。特に、リチウム全固体電池が好ましい。上述した通り、本発明に係るリチウム含有ガーネット型酸化物は、全固体電池の固体電解質として利用可能である。すなわち、本発明に係る全固体電池は、正極と負極と固体電解質とを備え、固体電解質に上記式(1)で表されるリチウム含有ガーネット型酸化物が含まれていることを特徴とする。
2.1.正極及び負極
正極及び負極は、活物質と、任意に固体電解質や導電助剤やバインダーとを含む電極合剤を備える。また、それぞれ集電体を備える。
電極合剤に含まれる活物質は、全固体電池の活物質として公知のものをいずれも使用できる。例えば、リチウム全固体電池とする場合は、LiCoO、LiNiCo1−x(0<x<1)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiMnO、異種元素置換Li−Mnスピネル(LiMn1.5Ni0.5、LiMn1.5Al0.5、LiMn1.5Mg0.5、LiMn1.5Co0.5、LiMn1.5Fe0.5、LiMn1.5Zn0.5)、チタン酸リチウム(例えばLiTi12)、リン酸金属リチウム(LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiNiPO)、遷移金属酸化物(V、MoO)、TiS、グラファイトやハードカーボン等の炭素材料、LiCoN、SiO、LiSiO、LiSiO、リチウム金属(Li)、リチウム合金(LiSn、LiSi、LiAl、LiGe、LiSb、LiP)、リチウム貯蔵性金属間化合物(例えばMgSn、MgGe、MgSb、CuSb)等を挙げることができる。ここで、リチウム全固体電池では、例示した上記物質の中から、リチウムイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)の異なる2つの物質を選択し、貴な電位を示す物質を正極活物質に、卑な電位を示す物質を負極活物質に、それぞれ用いることができる。このようにすることで、任意の電圧の全固体電池を構成することが可能になる。尚、正極活物質は、その表面にニオブ酸リチウムを含む層が備えられていることが好ましい。このような正極活物質は公知であるため、ここでは説明を省略する。活物質の形態は特に限定されるものではないが、その一次粒子径が1nm以上100μm以下であることが好ましい。下限がより好ましくは10nm以上、さらに好ましくは100nm以上、特に好ましくは500nm以上であり、上限がより好ましくは30μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
電極合剤に含ませ得る固体電解質としては、上述した本発明の新規リチウム含有ガーネット型酸化物を含むものが好ましい。これにより、固体電解質と二酸化炭素や水との反応を抑制できる。また、電池作製時の加熱による材料の変質・分解を抑制し、材料特性の低下を抑えることができ、活物質と固体電解質との反応を抑制することもできる。また、当該リチウム含有ガーネット型酸化物に加えて、公知の固体電解質を含有させることもできる。例えば、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiO−LiS−P、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P、LiPS等の硫化物系固体電解質を挙げることができる。正極及び負極における固体電解質の含有量は特に限定されるものではない。
電極合剤に含ませ得る導電助剤としては、気相成長炭素繊維、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料のほか、全固体電池の使用時の環境に耐えることが可能な金属材料を例示することができる。正極及び負極における導電助剤の含有量は特に限定されるものではない。
電極合剤に含ませ得るバインダーとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等を例示することができる。正極及び負極におけるバインダーの含有量は特に限定されるものではない。
正極及び負極はそれぞれ集電体を備えている。集電体は、全固体電池の集電体として使用可能な公知の金属を用いることができる。そのような金属としては、Cu、Ni、Al、V、Au、Pt、Mg、Fe、Ti、Co、Cr、Zn、Ge、Inからなる群から選択される一又は二以上の元素を含む金属材料を例示することができる。集電体の形態は特に限定されるものではない。箔状、メッシュ状等、種々の形態とすることができる。
正極及び負極は、例えば、上記の電極合剤を溶媒に投入した後、これを、超音波ホモジナイザー等を用いて分散させることにより作製したスラリー状の電極合剤組成物を、集電体の表面に塗工し、その後、乾燥する過程を経て、作製することができる。このような湿式法以外に、電極合剤と集電体とを乾式成形することによって正極及び負極を作製することも可能である。
2.2.固体電解質
全固体電池においては、上述したように正極及び負極中に任意に固体電解質を備えている。またこのほか、正極と負極との間のセパレータとして、固体電解質層を備えている。この固体電解質層においても、本発明の新規リチウム含有ガーネット型酸化物が含まれていることが好ましい。これにより、固体電解質と二酸化炭素や水との反応を低減できるとともに、活物質と固体電解質との反応を低減することもできる。固体電解質層には上述したような硫化物系固体電解質が含まれていてもよい。また、固体電解質層には上述したようなバインダーが含まれていてもよい。固体電解質層の形状は従来と同様とすることができる。また、このような固体電解質層は湿式法、乾式法のいずれによっても作製可能である。
以上の通り、本発明に係る全固体電池は、固体電解質(電極合剤中の固体電解質、或いは、固体電解質層を構成する固体電解質)に本発明の新規リチウム含有ガーネット型酸化物が含まれていることで、固体電解質と二酸化炭素や水との反応を抑制できる。また、電池作製時の加熱による材料の変質・分解を抑制し、材料特性の低下を抑えることができ、活物質と固体電解質との反応を抑制することもできる。
1.材料の合成
出発原料として、LiCO(高純度化学社製、純度99.9%)、Ga(高純度化学社製、純度99.9%)、La(OH)(高純度化学社製、純度99.9%)、ZrO(高純度化学社製、純度99.9%)、Nb(高純度化学社製、純度99.9%)、Yb(高純度化学社製、純度99.9%)を用いた。
上記原料を所定比率となるように秤量した後、ZrOビーズ及び溶媒としてエタノールとともに、遊星ボールミルのZrOポット中に入れ、300rpmにて混合と休止とを繰り返した。混合時間の合計を1時間とし、出発原料の混合と粉砕とを行った。
混合、粉砕後に得られた粉末を乾燥させ、大気雰囲気下で、1000℃にて12時間、仮焼成を行った。
仮焼成して得られた仮焼成体に対し、再び、上記と同様の条件で遊星ボールミルによる混合と粉砕とを行った後、得られた粉末を乾燥させ、大気雰囲気下で、1200℃にて12時間、本焼成を行い、下記式(1)で示される酸化物を得た。
(Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δ … 式(1)
(比較例1)
上記式(1)において、X=0、Y=0.25、α=0となるように出発原料を秤量し、上記の手順で、Li6.75LaZr1.75Nb0.2512±δを得た。
(実施例1)
上記式(1)において、X=0、Y=0.25、α=0.03となるように出発原料を秤量し、上記の手順で、Li6.5475Ga0.09LaZr1.6975Nb0.2425Yb0.0612±δを得た。
(実施例2)
上記式(1)において、X=0、Y=0.25、α=0.1となるように出発原料を秤量し、上記の手順で、Li6.075Ga0.3LaZr1.575Nb0.225Yb0.212±δを得た。
(実施例3)
上記式(1)において、X=0、Y=0.25、α=0.25となるように出発原料を秤量し、上記の手順で、Li5.0625Ga0.75LaZr1.3125Nb0.1875Yb0.512±δを得た。
(実施例4)
上記式(1)において、X=0、Y=0.25、α=0.33となるように出発原料を秤量し、上記の手順で、Li4.5225Ga0.99LaZr1.1725Nb0.1675Yb0.6612±δを得た。
(比較例2)
上記式(1)において、X=0、Y=0.25、α=0.4となるように出発原料を秤量し、上記の手順で、Li4.05Ga1.2LaZr1.05Nb0.15Yb0.812±δを得た。
分かり易さのため、実施例1〜4及び比較例1、2に係る酸化物の組成等を下記表1にまとめて示す。
2.材料の評価方法
2.1.XRD
実施例1〜4及び比較例1、2に係る酸化物について、CuKαを線源としたX線回折測定を行い、結晶構造を確認した。結果を図1〜6に示す。
2.2.TG
実施例1〜4及び比較例1に係る酸化物について、大気雰囲気下でTG測定を行った。結果を図7〜11に示す。
3.評価結果
図1に示す通り、上記の手順により作製された比較例1は、ガーネット型構造のLi6.75LaZr1.75Nb0.2512±δが単相で得られていることが分かる。また、図7に示す通り、この材料は、室温〜400℃の温度域で最大で4%程度の大きな重量変化が生じる。ガーネット型構造の24dサイトにリチウムが存在することによって、大気中の水(プロトン)の吸収や二酸化炭素との反応が生じたため、このような大きな重量変化が生じたものと考えられる。
図2〜5に示す通り、上記の手順により作製された実施例1〜4は、GaやYbが含まれているにも関わらず、比較例1と同様にガーネット型構造の酸化物が単相で得られていることが分かる。また、図8〜11に示す通り、これら材料は、比較例1に比べて室温〜400℃の温度域における重量変化が低減されている。すなわち、比較例1と比べて、大気中の水や二酸化炭素との反応が低減されている。これは、リチウム含有ガーネット型酸化物において、活性の高い24dサイトのLiの一部がGaに置換されたためと考えられる。
図6に示す通り、上記の手順により作製された比較例2は、GaやYbの比率が多過ぎたため、ガーネット型構造を維持できなかった。すなわち、ガーネット型構造を維持できる組成としては、αが0.4未満であることが分かった。また、(1−α)(7+X−Y)+9αが7.5以下であることが分かった。
尚、上記実施例では、X=0のリチウム含有ガーネット型酸化物について評価したが、本発明はこれに限定されるものではない。ガーネット型構造を維持できる限り、Xの値は0に限定されない。例えば、0≦X≦1.0であれば、ガーネット型構造を維持できる。
また、上記実施例では、Y=0.25のリチウム含有ガーネット型酸化物について評価したが、本発明はこれに限定されるものではない。ガーネット型構造を維持できる限り、Yの値は0.25に限定されない。例えば、0≦Y≦2.0であれば、ガーネット型構造を維持できる。
また、上記実施例では、AEを含まないリチウム含有ガーネット型酸化物について評価したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、Laの一部をAEで置換することが可能である。AEとしては、Ca及び/又はSrが挙げられる。Ca及び/又はSrであれば、固体電解質として優れた性能(高いイオン伝導度等)を確保することができる。
また、上記実施例では、MとしてNbを含むリチウム含有ガーネット型酸化物について評価したが、本発明はこれに限定されるものではない。Nbと同族であるTaについても同様の効果が奏される。
本発明に係るリチウム含有ガーネット型酸化物は、全固体電池の固体電解質として広く利用可能である。尚、酸化物の表面に他の物質をコートすることによって、二酸化炭素や水との反応性を抑制することもできると考えられる。しかしながら、コート材料の特性によっては、イオン伝導率の低下が生じる虞があり、固体電解質として十分な性能を確保できない虞がある。また、コート処理が必要となるため、コストの増大や品質安定性の低下も懸念される。この点、本発明では、材料自体の組成を調整することによって二酸化炭素や水に対する反応性を抑制できることから、別途のコート材料やコート処理が不要であり、コストを抑えることができるとともに品質安定性にも優れたものと言える。

Claims (1)

  1. 下記式(1)で表されるリチウム含有ガーネット型酸化物。
    (Li(1−α)(7+X−Y),Ga3α)(La3−(1−α)X,AE(1−α)X)(Zr(1−α)(2−Y),M(1−α)Y,Yb2α)O12±δ … 式(1)
    (上記式(1)において、
    AEはCa、Srから選ばれる少なくとも一つの元素であり、
    MはNb、Taから選ばれる少なくとも一つの元素であり、
    0≦X≦1.0
    0≦Y≦2.0
    0<α<0.4
    5≦(1−α)(7+X−Y)+9α≦7.5
    である。)
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