JP2014049198A - 電池用焼結体、全固体リチウム電池および電池用焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、高容量の電池用焼結体を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属またはBi化合物とを有することを特徴とする電池用焼結体を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図10
【解決手段】本発明は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属またはBi化合物とを有することを特徴とする電池用焼結体を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図10
Description
本発明は、全固体リチウム電池に用いられる電池用焼結体に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用またはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒を含む電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、電解液を固体電解質層に変えて、電池を全固体化した全固体リチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
全固体リチウム電池は、通常、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、正極活物質層および負極活物質層の間に形成された固体電解質層とを有する。全固体リチウム電池には電池用焼結体を利用する技術が知られており、例えば、固体電解質および活物質を焼成してこれらの界面を接合させる電池用焼結体の製造方法が提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
ところで、リチウム電池には上述のように高容量であることが要求される。高容量化のためには、Liイオンの吸蔵・放出に直接関与する活物質材料の容量を向上させることが効果的である。リチウム電池において、正極活物質としてはLiCoO2、負極活物質としては炭素が主流であるが、近年ではこれらの活物質と比較して理論容量が大きい活物質材料が提案されており、その利用が検討されている。
例えば、特許文献1に記載されているようなオリビン型のリン酸化合物や、特許文献2に記載されているようなNiを含むスピネル型の酸化物および遷移金属酸化物は、理論容量が比較的大きいことから容量の向上が期待されるが、高容量化には改善の余地がある。
例えば、特許文献1に記載されているようなオリビン型のリン酸化合物や、特許文献2に記載されているようなNiを含むスピネル型の酸化物および遷移金属酸化物は、理論容量が比較的大きいことから容量の向上が期待されるが、高容量化には改善の余地がある。
本発明者は容量の向上が期待できる活物質材料としてBiに着目した。しかしながら、電池用焼結体において活物質材料としてBiを利用することについては検討されていないのが実情である。
なお、特許文献3には、正極活物質としてBi2O3を用いるリチウム電池が開示されているが、この技術は電池用焼結体に関するものではない。
なお、特許文献3には、正極活物質としてBi2O3を用いるリチウム電池が開示されているが、この技術は電池用焼結体に関するものではない。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、高容量の電池用焼結体およびその製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属またはBi化合物とを有することを特徴とする、電池用焼結体を提供する。
本発明によれば、Bi金属およびBi化合物は従来の一般的な負極活物質や正極活物質に対して体積理論容量が大きいことから、活物質材料としてBi金属またはBi化合物を用いることにより、電池用焼結体の容量を向上させることができる。
上記発明においては、上記固体電解質材料は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Li1+xM1xM22−x(PO4)3 (1)
(上記式(1)中、M1は、Al、Y、GaおよびInからなる群から選択される少なくとも1種、M2は、Ti、GeおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種、ならびにxは0≦x≦2である。)
Li1+xM1xM22−x(PO4)3 (1)
(上記式(1)中、M1は、Al、Y、GaおよびInからなる群から選択される少なくとも1種、M2は、Ti、GeおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種、ならびにxは0≦x≦2である。)
上記の場合、上記固体電解質材料は、下記一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。ナシコン型のリン酸化合物の中でも下記式(2)で表される化合物はイオン伝導性が高いからである。
Li1+xAlxGe2−x(PO4)3 (2)
(上記式(2)中、0≦x≦2である。)
Li1+xAlxGe2−x(PO4)3 (2)
(上記式(2)中、0≦x≦2である。)
また本発明においては、上記活物質材料が上記Bi金属である場合、上記固体電解質材料と上記活物質材料との界面には、X線回折法により分析したときに、上記固体電解質材料の成分および上記活物質材料の成分以外の成分が検出されないことが好ましい。上記界面に異相が存在しないため、イオンが良好に移動することができ、焼結に伴う充放電特性の低下を抑制することができる。
さらに本発明においては、上記活物質材料としての上記Bi化合物は、Bi酸化物であることが好ましい。この場合、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物およびBi金属を大気雰囲気等の酸化性雰囲気で焼成させることによって、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物を焼結させるとともに、Bi酸化物を生成させることができ、さらに非晶質またはナシコン型のリン酸化合物およびBi酸化物の界面を接合させることができる。その結果、放電特性の良好な電池用焼結体とすることができる。
上記の場合、上記Bi酸化物は、Bi2O3およびBi12GeO20であることが好ましい。これらのBi酸化物は体積理論容量が大きいからである。
本発明は、上述の電池用焼結体を有することを特徴とする全固体リチウム電池を提供する。
本発明の全固体リチウム電池は、上述の電池用焼結体を有することから、高容量化を実現することができる。
本発明は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質材料としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、不活性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成する焼成工程とを有することを特徴とする、電池用焼結体の製造方法を提供する。
本発明によれば、Bi金属は従来の一般的な負極活物質や正極活物質に対して体積理論容量が大きいことから、活物質材料としてBi金属を用いることにより、高容量の電池用焼結体を得ることができる。また本発明によれば、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物とBi金属とを所定の条件で焼成することにより、固体電解質材料および活物質材料の界面での異相の発生を抑制することができ、焼結に伴う充放電特性の低下を改善することができる。
本発明は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質前駆体としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、酸化性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成し、活物質材料としてのBi酸化物を生成する焼成工程とを有することを特徴とする、電池用焼結体の製造方法を提供する。
本発明によれば、Bi酸化物は従来の一般的な負極活物質や正極活物質に対して体積理論容量が大きいことから、活物質材料としてBi酸化物を用いることにより、高容量の電池用焼結体を得ることができる。また本発明によれば、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物とBi金属とを所定の条件で焼成することにより、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物を焼結させるとともに、活物質材料としてBi酸化物を生成させることができ、さらには固体電解質材料および活物質材料の界面を接合させることができる。したがって、放電特性の良好な電池用焼結体を得ることができる。
上記発明においては、上記固体電解質材料としての上記非晶質リン酸化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である場合、上記中間体の焼成温度は、上記非晶質リン酸化合物の結晶化温度以上であることが好ましい。イオン伝導性を向上させることができるからである。
Li1+xAlxGe2−x(PO4)3 (2)
(上記式(2)中、0≦x≦2である。)
Li1+xAlxGe2−x(PO4)3 (2)
(上記式(2)中、0≦x≦2である。)
上記の場合、上記Bi酸化物は、Bi2O3およびBi12GeO20であることが好ましい。これらのBi酸化物は体積理論容量が大きいからである。
本発明においては、高容量の電池用焼結体を提供できるという効果を奏する。
以下、本発明の電池用焼結体、全固体リチウム電池および電池用焼結体の製造方法について詳細に説明する。
A.電池用焼結体
本発明の電池用焼結体は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属またはBi化合物とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の電池用焼結体が活物質材料としてBi金属を有する場合(第1実施態様)とBi化合物を有する場合(第2実施態様)とに分けて説明する。
本発明の電池用焼結体は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属またはBi化合物とを有することを特徴とするものである。
以下、本発明の電池用焼結体が活物質材料としてBi金属を有する場合(第1実施態様)とBi化合物を有する場合(第2実施態様)とに分けて説明する。
1.第1実施態様
本実施態様の電池用焼結体は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の電池用焼結体は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属とを有することを特徴とするものである。
本実施態様における活物質材料として用いられるBi金属は、従来の一般的な負極活物質(炭素等)や正極活物質(LiCoO2等)に対して体積理論容量が大きい。例えば体積容量密度において、Bi金属は一般的な負極活物質である炭素に比べて大きいという利点がある。したがって、活物質材料としてBi金属を用いることにより、電池用焼結体の容量を向上させることができる。
図1は、本実施態様の電池用焼結体の一例を概念的に表す断面図である。図1において、電池用焼結体である積層体5は、固体電解質材料1を含む固体電解質層2と、活物質材料3を含む活物質層4とを有する。
図2は、本実施態様の電池用焼結体の他の例を概念的に表す断面図である。図2において、電池用焼結体である活物質層6は、固体電解質材料1および活物質材料3を含み、固体電解質材料1および活物質材料3は混合された状態である。
図2は、本実施態様の電池用焼結体の他の例を概念的に表す断面図である。図2において、電池用焼結体である活物質層6は、固体電解質材料1および活物質材料3を含み、固体電解質材料1および活物質材料3は混合された状態である。
本実施態様によれば、ナシコン型のリン酸化合物とBi金属とを組み合わせて用いることにより、ナシコン型のリン酸化合物とBi金属との界面に異相を有しない電池用焼結体とすることができる。
ここで、電池用焼結体を製造する焼結過程において固体電解質材料や活物質材料が反応し、固体電解質材料と活物質材料との界面に異相が生じる場合がある。この場合、イオンの移動が妨げられ、電池用焼結体の充放電特性が低下するという問題が起こる。特に、焼成温度が高い場合には異相の発生はより顕著となるため、この問題は深刻さを増す。
これに対し、本実施態様においては、上記界面に異相が存在しないため、イオンは良好に移動することができ、焼結に伴う充放電特性の低下を抑制することができる。
ここで、電池用焼結体を製造する焼結過程において固体電解質材料や活物質材料が反応し、固体電解質材料と活物質材料との界面に異相が生じる場合がある。この場合、イオンの移動が妨げられ、電池用焼結体の充放電特性が低下するという問題が起こる。特に、焼成温度が高い場合には異相の発生はより顕著となるため、この問題は深刻さを増す。
これに対し、本実施態様においては、上記界面に異相が存在しないため、イオンは良好に移動することができ、焼結に伴う充放電特性の低下を抑制することができる。
なお、「異相」とは、固体電解質材料および活物質材料とは異なる結晶構造を有する化合物をいう。具体的には、固体電解質材料の分解物、活物質材料の分解物、固体電解質材料および活物質材料の反応生成物等を挙げることができる。
また、異相の有無は、X線回折(XRD)分析により判断することができる。すなわち、固体電解質材料と活物質材料との界面に異相を有さないとは、固体電解質材料と活物質材料との界面には、XRD法により分析したときに、固体電解質材料の成分および活物質材料の成分以外の成分が検出されないと言い換えることができる。
異相の有無は、具体的には、電池用焼結体に対してXRD測定を行い、得られたピークの同定を行うことにより判断する。X線回折法は、既存の各種X線回折法と同様のものを用いることができる。例えば、CuKα線を用いる方法等を挙げることができる。また、XRD測定には、例えば、リガク製RINT UltimaIIIを用いることができる。
異相の有無は、具体的には、電池用焼結体に対してXRD測定を行い、得られたピークの同定を行うことにより判断する。X線回折法は、既存の各種X線回折法と同様のものを用いることができる。例えば、CuKα線を用いる方法等を挙げることができる。また、XRD測定には、例えば、リガク製RINT UltimaIIIを用いることができる。
以下、本実施態様の電池用焼結体の各構成について説明する。
(1)活物質材料
本実施態様における活物質材料は、Bi金属である。
本実施態様における活物質材料は、Bi金属である。
焼結前の活物質材料の形状は、例えば粉状であり、その平均粒径は、0.1μm〜180μmの範囲内であることが好ましい。上記平均粒径が大きすぎると、均一な電池用焼結体を得ることが困難になる可能性があり、上記平均粒径が小さすぎると、活物質材料の作製が困難になる可能性があるからである。なお、上記平均粒径は、粒度分布計により測定したD50で定義することができる。また、後述する各材料の平均粒径についても、同様に定義することができる。
本実施態様における活物質材料は、正極活物質として用いてもよく負極活物質として用いてもよい。
(2)固体電解質材料
本実施態様における固体電解質材料は、ナシコン型のリン酸化合物である。ここで「ナシコン型」とは、ナシコン型の結晶構造を有するものを意味する。さらに、「ナシコン型の結晶構造を有する」とは、完全な非晶質ではないことをいい、完全な結晶質のみならず、非晶質および結晶質の中間状態をも含むものである。すなわち、ナシコン型のリン酸化合物は、X線回折法によりピークが確認できる結晶性を有していればよい。
本実施態様における固体電解質材料は、ナシコン型のリン酸化合物である。ここで「ナシコン型」とは、ナシコン型の結晶構造を有するものを意味する。さらに、「ナシコン型の結晶構造を有する」とは、完全な非晶質ではないことをいい、完全な結晶質のみならず、非晶質および結晶質の中間状態をも含むものである。すなわち、ナシコン型のリン酸化合物は、X線回折法によりピークが確認できる結晶性を有していればよい。
上記固体電解質材料は、ナシコン型のリン酸化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、一般式(1)Li1+xM1xM22−x(PO4)3(式(1)中、M1は、Al、Y、GaおよびInからなる群から選択される少なくとも1種、M2は、Ti、GeおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種、ならびにxは0≦x≦2である。)で表されるナシコン型のリン酸化合物であることが好ましい。
上記M1の金属は、上記の中でも、Al、YおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Alがより好ましい。また、上記M2の金属は、上記の中でも、GeおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Geがより好ましい。さらには、M1の金属はAlであり、かつ、M2の金属はGeであることが好ましい。すなわち、一般式(2)Li1+xAlxGe2−x(PO4)3(式(2)中、0≦x≦2である。)で表されるナシコン型のリン酸化合物が好ましい。ナシコン型のリン酸化合物の中でも上記式(2)で表される化合物はイオン伝導性が高いからである。
また、上記xの範囲は、上記の中でも、0.1≦x≦1.9であることが好ましく、0.3≦x≦0.7であることがより好ましい。特に、固体電解質材料は、上記式においてLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3であることが好ましい。
また、上記xの範囲は、上記の中でも、0.1≦x≦1.9であることが好ましく、0.3≦x≦0.7であることがより好ましい。特に、固体電解質材料は、上記式においてLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3であることが好ましい。
焼結前の固体電解質材料の形状は、例えば粉状であり、その平均粒径は、0.1μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、0.1μm〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。上記平均粒径が大きすぎると、緻密な電池用焼結体を得ることが困難になる可能性があり、上記平均粒径が小さすぎると、固体電解質材料の作製が困難になる可能性があるからである。
(3)電池用焼結体
本実施態様において「電池用焼結体」とは、電池に用いられ、焼結により得られる固体電解質材料および活物質材料を含む物体を意味する。ここで「焼結」とは、固体粉末の集合体を加熱すると、固まって緻密な物体になる現象のことをいう。電池用焼結体は、電池の部材として用いられる焼結体であれば特に限定されるものではない。ここで「焼結体」とは、固体粉末の集合体を加熱することにより、固まった緻密な物体のことをいう。
本実施態様において「電池用焼結体」とは、電池に用いられ、焼結により得られる固体電解質材料および活物質材料を含む物体を意味する。ここで「焼結」とは、固体粉末の集合体を加熱すると、固まって緻密な物体になる現象のことをいう。電池用焼結体は、電池の部材として用いられる焼結体であれば特に限定されるものではない。ここで「焼結体」とは、固体粉末の集合体を加熱することにより、固まった緻密な物体のことをいう。
電池用焼結体の構造の一例としては、上記図1に示したように、固体電解質層2および活物質層4を備える積層体5を挙げることができる。この態様では、通常、固体電解質層が上述の固体電解質材料を含有し、活物質層が上述の活物質材料を含有する。この場合、固体電解質材料と活物質材料との界面は、固体電解質材料を含む固体電解質層と活物質材料を含む活物質層とが接触している共界面である。また、固体電解質層2および活物質層4は、通常、互いに焼結により一体化されている。
積層体の固体電解質層における上記固体電解質材料の含有量は、特に限定されるものではないが、異相の発生を抑制するという観点からは、より多いことが好ましく、具体的には、1体積%以上であることが好ましく、10体積%以上であることがより好ましい。なお、固体電解質層は、上記固体電解質材料のみからなる層であってもよい。上記固体電解質層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜0.1mmの範囲内であることが好ましく、2μm〜0.05mmの範囲内であることがより好ましい。上記固体電解質層の空隙率は、用いられる固体電解質材料の種類によって異なるものであるが、例えば、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
一方、積層体の活物質層における上記活物質材料の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば50体積%〜90体積%の範囲内であることが好ましく、70体積%〜90体積%の範囲内であることがより好ましい。なお、活物質層は、上記活物質材料のみからなる層であってもよい。上記活物質層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm〜0.1mmの範囲内であることが好ましく、10μm〜0.05mmの範囲内であることがより好ましい。上記活物質層の空隙率は、用いられる活物質材料の種類によって異なるものであるが、例えば、15%以下であることが好ましく、5%〜10%の範囲内であることがより好ましい。また、上記活物質層は、上述した固体電解質材料をさらに含有していてもよい。
電池用焼結体が積層体である場合、その積層体は、固体電解質層の一方の表面に活物質層を有するものであってもよく、固体電解質層の両面にそれぞれ活物質層(正極活物質層および負極活物質層)を有するものであってもよい。後者の場合、電池用焼結体をそのまま電池の発電要素とすることができる。
電池用焼結体の構造の他の例としては、上記図2に示したように、活物質層6であるものを挙げることができる。この態様では、通常は、活物質層が、上述の固体電解質材料および活物質材料の両方を含有する。この場合、固体電解質材料と活物質材料との界面は、固体電解質材料と活物質材料とが接触している共界面である。
活物質層における上記活物質材料および上記固体電解質材料の割合は、活物質材料を100重量部とした場合、固体電解質材料が10重量部〜110重量部の範囲内であることが好ましく、15重量部〜50重量部の範囲内であることがより好ましい。固体電解質材料の割合が少なすぎると、活物質層のイオン伝導性が低くなる可能性があり、固体電解質材料の割合が多すぎると、活物質層の容量が低くなる可能性があるからである。なお、活物質層における活物質材料の含有量、活物質層の厚さおよび空隙率等については、上述した内容と同様である。
活物質層における上記活物質材料および上記固体電解質材料の割合は、活物質材料を100重量部とした場合、固体電解質材料が10重量部〜110重量部の範囲内であることが好ましく、15重量部〜50重量部の範囲内であることがより好ましい。固体電解質材料の割合が少なすぎると、活物質層のイオン伝導性が低くなる可能性があり、固体電解質材料の割合が多すぎると、活物質層の容量が低くなる可能性があるからである。なお、活物質層における活物質材料の含有量、活物質層の厚さおよび空隙率等については、上述した内容と同様である。
また、電池用焼結体は、ペレット状であってもよく、シート状であってもよい。電池用焼結体の形状は、既存の各種焼結体と同様の形状を用いることができる。例えば、円柱状、平板状および円筒状等を挙げることができる。
本実施態様の電池用焼結体の製造方法としては、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi金属とを有し、固体電解質材料および活物質材料の界面に異相を有さない電池用焼結体が得られる方法であれば特に限定されるものではない。詳しくは後述の「C.電池用焼結体の製造方法 1.第3実施態様」に記載するので、ここでの説明は省略する。
2.第2実施態様
本実施態様の電池用焼結体は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi化合物とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の電池用焼結体は、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi化合物とを有することを特徴とするものである。
本実施態様における活物質材料として用いられるBi化合物は、従来の一般的な負極活物質や正極活物質に対して体積理論容量が大きい。例えば体積容量密度においては、Bi化合物は、一般的な負極活物質である炭素等に比べて大きいという利点がある。したがって、活物質材料としてBi化合物を用いることにより、電池用焼結体の容量を向上させることができる。
以下、本実施態様の電池用焼結体における各構成について説明する。
(1)活物質材料
本実施態様における活物質材料は、Bi化合物である。
本実施態様における活物質材料は、Bi化合物である。
活物質材料として用いられるBi化合物は、Liイオンを吸蔵することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、Bi酸化物、Bi窒化物、Bi硫化物等が挙げられる。
なお、「Bi化合物」とは、Biを含む化合物をいい、Biの他に、ナシコン型のリン酸化合物を構成する金属元素を含んでいてもよい。また、「Bi酸化物」とは、Biを含む酸化物をいい、Biの他に、ナシコン型のリン酸化合物を構成する金属元素を含んでいてもよい。Bi窒化物およびBi硫化物においても同様である。
なお、「Bi化合物」とは、Biを含む化合物をいい、Biの他に、ナシコン型のリン酸化合物を構成する金属元素を含んでいてもよい。また、「Bi酸化物」とは、Biを含む酸化物をいい、Biの他に、ナシコン型のリン酸化合物を構成する金属元素を含んでいてもよい。Bi窒化物およびBi硫化物においても同様である。
中でも、Bi酸化物が好ましい。この場合、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物およびBi金属を大気雰囲気等の酸化性雰囲気で焼成することによって、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物を焼結させるとともに、活物質材料としてBi酸化物を生成させることができ、さらには非晶質またはナシコン型のリン酸化合物およびBi酸化物の界面を接合させることができる。その結果、放電特性の良好な電池用焼結体とすることができる。
Bi酸化物としては、Liイオンを吸蔵することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えばBi12GeO20、Bi2O3、Bi2Sn2O7、Bi4Ti3O12、Bi4Zr3O12等が挙げられる。また、Bi酸化物は、例えば一般式(3)Biy1M3y2Oy3(式(3)中、M3はTi、GeおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種であり、0<y1、0≦y2、0<y3である。)で表される酸化物であることが好ましい。上記M3の金属は、上記の中でも、GeおよびTiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Geがより好ましい。また、上記y2は、0または1であることが好ましい。特に、Bi12GeO20およびBi2O3が好ましい。これらのBi酸化物は体積理論容量が大きいからである。また、これらの酸化物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
また、Bi硫化物としては、Liイオンを吸蔵することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えばBi2S3等が挙げられる。
焼結前の活物質材料または活物質前駆体の形状は、例えば粉状であり、その平均粒径は、0.1μm〜180μmの範囲内であることが好ましい。上記平均粒径が大きすぎると、均一な電池用焼結体を得ることが困難になる可能性があり、上記平均粒径が小さすぎると、活物質材料の作製が困難になる可能性があるからである。
本実施態様における活物質材料は、正極活物質として用いてもよく負極活物質として用いてもよい。
(2)固体電解質材料
本実施態様における固体電解質材料は、ナシコン型のリン酸化合物である。なお、ナシコン型のリン酸化合物については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様における固体電解質材料は、ナシコン型のリン酸化合物である。なお、ナシコン型のリン酸化合物については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)電池用焼結体
本実施態様に係る電池用焼結体において、電池用焼結体の構造、固体電解質層における固体電解質材料の含有量、活物質層における活物質材料の含有量、固体電解質層および活物質層の厚さおよび空隙率、電池用焼結体の形状等については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様に係る電池用焼結体において、電池用焼結体の構造、固体電解質層における固体電解質材料の含有量、活物質層における活物質材料の含有量、固体電解質層および活物質層の厚さおよび空隙率、電池用焼結体の形状等については、上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施態様の電池用焼結体の製造方法としては、固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、活物質材料としてのBi化合物とを有する電池用焼結体が得られる方法であれば特に限定されるものではなく、Bi化合物の種類に応じて適宜選択される。例えばBi化合物がBi酸化物である場合、詳しくは後述の「C.電池用焼結体の製造方法 2.第4実施態様」に記載するので、ここでの説明は省略する。
B.全固体リチウム電池
本発明の全固体リチウム電池は、上述の電池用焼結体を有することを特徴とするものである。
本発明の全固体リチウム電池は、上述の電池用焼結体を有することを特徴とするものである。
図3は、本発明の全固体リチウム電池の一例を概念的に示す断面図である。図3における全固体リチウム電池30は、正極活物質層31と、負極活物質層33と、正極活物質層31および負極活物質層33の間に形成された固体電解質層32とを有する。本発明の全固体リチウム電池において、例えば図1に示したように、電池用焼結体が固体電解質層2および活物質層4の積層体5である場合、この活物質層4は、図3における正極活物質層31であってもよく、負極活物質層33であってもよい。同様に、図2に例示したように、電池用焼結体が活物質層6である場合、この活物質層6は、図3における正極活物質層31であってもよく、負極活物質層33であってもよい。
本発明によれば、上述の電池用焼結体を用いることにより、高容量の全固体リチウム電池とすることができる。
以下、本発明の全固体リチウム電池について、構成ごとに説明する。
以下、本発明の全固体リチウム電池について、構成ごとに説明する。
1.正極活物質層
本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、導電化材、固体電解質材料および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。
上述の電池用焼結体の活物質材料を負極活物質として用いる場合には、正極活物質として、例えばLiCoO2、LiMnO2、Li2NiMn3O8、LiVO2、LiCrO2、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等を用いることができる。
本発明における正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含有する層であり、必要に応じて、導電化材、固体電解質材料および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。
上述の電池用焼結体の活物質材料を負極活物質として用いる場合には、正極活物質として、例えばLiCoO2、LiMnO2、Li2NiMn3O8、LiVO2、LiCrO2、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等を用いることができる。
本発明における正極活物質層は、さらに導電化材を含有していてもよい。導電化材の添加により、正極活物質層の導電性を向上させることができる。導電化材としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。
また、正極活物質層は、さらに固体電解質材料を含有していてもよい。固体電解質材料の添加により、正極活物質層のLiイオン伝導性を向上させることができる。固体電解質材料としては、例えば酸化物固体電解質材料および硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
また、正極活物質層は、さらに結着材を含有していてもよい。結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有結着材等を挙げることができる。正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
また、正極活物質層は、さらに固体電解質材料を含有していてもよい。固体電解質材料の添加により、正極活物質層のLiイオン伝導性を向上させることができる。固体電解質材料としては、例えば酸化物固体電解質材料および硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
また、正極活物質層は、さらに結着材を含有していてもよい。結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有結着材等を挙げることができる。正極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
2.負極活物質層
本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、導電化材、固体電解質材料および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。
上述の電池用焼結体の活物質材料を正極活物質として用いる場合には、負極活物質として、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
本発明における負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含有する層であり、必要に応じて、導電化材、固体電解質材料および結着材の少なくとも一つを含有していてもよい。
上述の電池用焼結体の活物質材料を正極活物質として用いる場合には、負極活物質として、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。
なお、負極活物質層に用いられる、導電化材、固体電解質材料および結着材については、上述した正極活物質層における場合と同様である。また、負極活物質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
3.固体電解質層
本発明における固体電解質層は、固体電解質材料を含有するものであり、必要に応じて結着材を含有していてもよい。上述の電池用焼結体が活物質層である場合(上述の図2の場合)には、固体電解質層には、Liイオン伝導性を有する任意の固体電解質材料を用いることができる。固体電解質材料としては、例えば酸化物固体電解質材料および硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
本発明における固体電解質層は、固体電解質材料を含有するものであり、必要に応じて結着材を含有していてもよい。上述の電池用焼結体が活物質層である場合(上述の図2の場合)には、固体電解質層には、Liイオン伝導性を有する任意の固体電解質材料を用いることができる。固体電解質材料としては、例えば酸化物固体電解質材料および硫化物固体電解質材料等を挙げることができる。
なお、固体電解質層に用いられる結着材については、上述の正極活物質層における場合と同様である。また、固体電解質層の厚さは、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
4.その他の構成
本発明の全固体リチウム電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有するものであり、さらに通常は正極活物質層および負極活物質層の集電を行う集電体を有する。正極活物質層の集電を行う正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。一方、負極活物質層の集電を行う負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、全固体リチウム電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的な全固体リチウム電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。全固体リチウム電池は、集電体の一方の面に正極活物質層を形成し、他方の面に負極活物質層を形成した電極、いわゆるバイポーラ電極の構成を採ってもよい。バイポーラ電極の構成を採ることによって、高容量化および高出力化が可能になる。
本発明の全固体リチウム電池は、上述した正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層を少なくとも有するものであり、さらに通常は正極活物質層および負極活物質層の集電を行う集電体を有する。正極活物質層の集電を行う正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。一方、負極活物質層の集電を行う負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、全固体リチウム電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的な全固体リチウム電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。全固体リチウム電池は、集電体の一方の面に正極活物質層を形成し、他方の面に負極活物質層を形成した電極、いわゆるバイポーラ電極の構成を採ってもよい。バイポーラ電極の構成を採ることによって、高容量化および高出力化が可能になる。
5.全固体リチウム電池
本発明の全固体リチウム電池は、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層が電池用焼結体であればよく、上記のうち2層が電池用焼結体であってもよく、上記の全てが電池用焼結体であってもよい。
本発明の全固体リチウム電池は、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層の少なくとも1層が電池用焼結体であればよく、上記のうち2層が電池用焼結体であってもよく、上記の全てが電池用焼結体であってもよい。
また、本発明の全固体リチウム電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、中でも二次電池であることが好ましい。繰り返し充放電でき、例えば車載用電池として有用だからである。本発明の全固体リチウム電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
また、本発明の全固体リチウム電池の製造方法は、上述した全固体リチウム電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
また、本発明の全固体リチウム電池の製造方法は、上述した全固体リチウム電池を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
C.電池用焼結体の製造方法
本発明の電池用焼結体の製造方法は、二つの実施態様を有する。以下、各実施態様に分けて説明する。
本発明の電池用焼結体の製造方法は、二つの実施態様を有する。以下、各実施態様に分けて説明する。
1.第3実施態様
本実施態様の電池用焼結体の製造方法は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質材料としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、不活性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
本実施態様の電池用焼結体の製造方法は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質材料としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、不活性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
図4は、本実施態様の電池用焼結体の製造方法の一例を概念的に表す断面図である。図4においては、まず、固体電解質材料11を含む固体電解質層12と、活物質材料13を含む活物質層14とを備える積層体15(中間体)を準備する(図4(a))。その後、不活性雰囲気下、所定の温度で、積層体15を焼成することで、電池用焼結体である積層体5を得ることができる(図4(b))。
図5は、本実施態様の電池用焼結体の製造方法の他の例を概念的に表す断面図である。図5においては、まず、固体電解質材料11および活物質材料13を含む活物質層16(中間体)を準備する(図5(a))。その後、不活性雰囲気下、所定の温度で、活物質層16を焼成することで、電池用焼結体である活物質層6を得ることができる(図5(b))。
図5は、本実施態様の電池用焼結体の製造方法の他の例を概念的に表す断面図である。図5においては、まず、固体電解質材料11および活物質材料13を含む活物質層16(中間体)を準備する(図5(a))。その後、不活性雰囲気下、所定の温度で、活物質層16を焼成することで、電池用焼結体である活物質層6を得ることができる(図5(b))。
本実施態様によれば、Bi金属は従来の一般的な負極活物質や正極活物質に対して体積理論容量が大きいことから、活物質材料としてBi金属を用いることにより、高容量の電池用焼結体を得ることができる。
また本実施態様によれば、非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方とBi金属とを所定の条件で焼成することにより、ナシコン型のリン酸化合物とBi金属との界面に異相を有しない電池用焼結体を得ることができる。この電池用焼結体では、上記界面に異相が存在しないため、イオンは良好に移動することができる。すなわち、本実施態様に係る電池用焼結体の製造方法により、焼結に伴う充放電特性の低下が抑制された電池用焼結体を得ることができる。
本実施態様に係る電池用焼結体の製造方法のメカニズムを推定すると、ナシコン型のリン酸化合物を用いた場合、中間体の焼結時にはナシコン型のリン酸化合物およびBi金属の結晶構造が変化しないと考えられる。また、非晶質リン酸化合物を用いた場合、中間体の焼結時に、非晶質リン酸化合物が結晶化し、その後はナシコン型のリン酸化合物およびBi金属の結晶構造が変化しないと考えられる。このため、ナシコン型のリン酸化合物とBi金属との界面に異相を有さない電池用焼結体が得られるものと推量される。
以下、本実施態様の電池用焼結体の製造方法における各工程について説明する。
(1)中間体準備工程
本実施態様における中間体準備工程は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質材料としてのBi金属とを含む中間体を準備する工程である。
本実施態様における中間体準備工程は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質材料としてのBi金属とを含む中間体を準備する工程である。
中間体に含まれる固体電解質材料の組成や形状等については、上記「A.電池用焼結体 1.第1実施態様」の項に記載した内容と同様である。本実施態様においては、中間体に含まれる固体電解質材料として、ナシコン型のリン酸化合物のみならず、非晶質リン酸化合物を用いることができる。特に、中間体に含まれる固体電解質材料は、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3であることが好ましい。
中間体に含まれる活物質材料の形状等については、上記「A.電池用焼結体 1.第1実施態様」の項に記載した内容と同様である。
中間体の構造は、目的とする電池用焼結体の構造に応じて異なるものである。例えば、図4(b)のように、積層体である電池用焼結体を得る場合には、積層体の中間体を準備する。中間体を構成する固体電解質層および活物質層は、それぞれペレット状であることが好ましい。また、固体電解質層を形成するための粉末材料と、活物質層を形成するための粉末材料とを同時にペレット化したものであってもよい。一方、図5(b)のように、活物質層である電池用焼結体を得る場合には、活物質層の中間体を準備する。中間体を構成する活物質層は、ペレット状であることが好ましい。
(2)焼成工程
本実施態様における焼成工程は、不活性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成する工程である。
本実施態様における焼成工程は、不活性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成する工程である。
中間体を焼成する際の雰囲気は、不活性雰囲気であればよく、例えば、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気等を挙げることができる。
中間体を焼成する際の焼成温度は、非晶質リン酸化合物またはナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度とする。焼成温度が低すぎると、十分に焼結が進行しない可能性がある。
なお、本実施態様において「焼結開始温度」とは、不活性雰囲気下での焼結開始温度をいう。焼結開始温度は、熱膨張計で収縮が開始する温度を測定することにより求められる。
また、焼結が十分に進行したか否かは、例えば、焼結体の表面にセロテープ(登録商標)を貼り付けて、はがした時に焼結体の成分が転写されるか否かにより判断することができる。はがしたセロテープ(登録商標)に焼結体の成分が転写されると、焼結が十分に進行していないと判断することができる。また、焼結が十分に進行したか否かは、焼成後の部材が、圧粉処理では到達できない密度(充填率、空隙率)を有しているか否かでも判断することができる。
なお、本実施態様において「焼結開始温度」とは、不活性雰囲気下での焼結開始温度をいう。焼結開始温度は、熱膨張計で収縮が開始する温度を測定することにより求められる。
また、焼結が十分に進行したか否かは、例えば、焼結体の表面にセロテープ(登録商標)を貼り付けて、はがした時に焼結体の成分が転写されるか否かにより判断することができる。はがしたセロテープ(登録商標)に焼結体の成分が転写されると、焼結が十分に進行していないと判断することができる。また、焼結が十分に進行したか否かは、焼成後の部材が、圧粉処理では到達できない密度(充填率、空隙率)を有しているか否かでも判断することができる。
中でも、中間体に含まれる固体電解質材料として非晶質リン酸化合物を用いる場合であって、非晶質リン酸化合物のLiイオン伝導率が比較的低い場合には、焼成温度は、非晶質リン酸化合物の結晶化温度以上であることが好ましい。具体的には、固体電解質材料が一般式(2)Li1+xAlxGe2−x(PO4)3(式(2)中、0≦x≦2である。)で表される化合物である場合、焼成温度は、非晶質リン酸化合物の結晶化温度以上であることが好ましい。固体電解質材料の結晶性を高め、Liイオン伝導性を向上させることができるからである。
一方、中間体に含まれる固体電解質材料として非晶質リン酸化合物を用いる場合であっても、非晶質リン酸化合物のLiイオン伝導率が比較的高い場合には、焼成温度は非晶質リン酸化合物の結晶化温度より低くても構わない。
なお、本実施態様において「結晶化温度」とは、不活性雰囲気下での結晶化温度をいう。結晶化温度は、示差熱分析装置(DTA)により測定されるものであり、その測定条件は昇温速度:10℃/minであり、得られた発熱ピークにより定義されるものである。
一方、中間体に含まれる固体電解質材料として非晶質リン酸化合物を用いる場合であっても、非晶質リン酸化合物のLiイオン伝導率が比較的高い場合には、焼成温度は非晶質リン酸化合物の結晶化温度より低くても構わない。
なお、本実施態様において「結晶化温度」とは、不活性雰囲気下での結晶化温度をいう。結晶化温度は、示差熱分析装置(DTA)により測定されるものであり、その測定条件は昇温速度:10℃/minであり、得られた発熱ピークにより定義されるものである。
具体的に、固体電解質材料が一般式(2)Li1+xAlxGe2−x(PO4)3(式(2)中、0≦x≦2である。)で表される化合物である場合、不活性雰囲気下でのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の焼結開始温度は540℃であることから、焼成温度は550℃以上であることが好ましい。また、後述の実施例に記載するように、不活性雰囲気下でのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の結晶化温度は570℃であることから、焼成温度は600℃以上であることがより好ましい。
また、焼成温度が高いほど、固体電解質材料の結晶性を高めLiイオン伝導性を向上させることができるが、焼成温度が高すぎると、固体電解質材料と活物質材料との界面に異相が生じるおそれがある。そのため、焼成温度は、固体電解質材料と活物質材料との界面に異相が生じない温度、すなわち、固体電解質材料と活物質材料との界面には、X線回折法により分析したときに固体電解質材料の成分および活物質材料の成分以外の成分が検出されない温度であることが好ましい。なお、特殊な電気炉を必要としない焼成温度の範囲であれば、異相が生じることはない。具体的に、焼成温度は700℃以下であることが好ましい。700℃以下であれば、特殊な電気炉を必要とせず、さらに炉内の均熱ゾーンを広く確保できるために試料に熱が均一に伝わりやすいからである。
なお、固体電解質材料と活物質材料との界面には、X線回折法により分析したときに固体電解質材料の成分および活物質材料の成分以外の成分が検出されない温度については、得られた電池用焼結体に対してXRD測定を行い、得られたピークの同定を行うことで決定する。
また、中間体を焼成する焼成時間は、所望の電池用焼結体を得ることができれば特に限定されるものではない。中間体を焼成する方法としては、例えば焼成炉を用いる方法を挙げることができる。
2.第4実施態様
本実施態様の電池用焼結体の製造方法は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質前駆体としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、酸化性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成し、活物質材料としてのBi酸化物を生成する焼成工程とを有することを特徴とする。
本実施態様の電池用焼結体の製造方法は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質前駆体としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、酸化性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成し、活物質材料としてのBi酸化物を生成する焼成工程とを有することを特徴とする。
図6は、本実施態様の電池用焼結体の製造方法の一例を概念的に表す断面図である。図6においては、まず、固体電解質材料21を含む固体電解質層22と、活物質前駆体23を含む活物質前駆体層24とを備える積層体25(中間体)を準備する(図6(a))。その後、酸化性雰囲気下、所定の温度で、積層体25を焼成することで、電池用焼結体である積層体5を得ることができる(図6(b))。
図7は、本実施態様の電池用焼結体の製造方法の他の例を概念的に表す断面図である。図7においては、まず、固体電解質材料21および活物質前駆体23を含む活物質前駆体層26(中間体)を準備する(図7(a))。その後、酸化性雰囲気下、所定の温度で、活物質前駆体層26を焼成することで、電池用焼結体である活物質層6を得ることができる(図7(b))。
図7は、本実施態様の電池用焼結体の製造方法の他の例を概念的に表す断面図である。図7においては、まず、固体電解質材料21および活物質前駆体23を含む活物質前駆体層26(中間体)を準備する(図7(a))。その後、酸化性雰囲気下、所定の温度で、活物質前駆体層26を焼成することで、電池用焼結体である活物質層6を得ることができる(図7(b))。
本実施態様においては、非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方とBi金属とを所定の条件で焼成することにより、非晶質またはナシコン型のリン酸化合物を焼結させるとともに、活物質材料としてのBi酸化物を生成させることができ、さらには非晶質またはナシコン型のリン酸化合物およびBi酸化物の界面を接合させることができる。Bi酸化物は従来の一般的な負極活物質や正極活物質に対して体積理論容量が大きいことから活物質材料として用いることができ、高容量の電池用焼結体を得ることができる。このため、放電特性に優れる電池用焼結体を得ることができる。
以下、本実施態様の電池用焼結体の製造方法における各工程について説明する。
(1)中間体準備工程
本実施態様における中間体準備工程は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質前駆体としてのBi金属とを含む中間体を準備する工程である。
本実施態様における中間体準備工程は、固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質前駆体としてのBi金属とを含む中間体を準備する工程である。
中間体に含まれる固体電解質材料の組成や形状等については、上記「A.電池用焼結体 1.第1実施態様」の項に記載した内容と同様である。本実施態様においては、中間体に含まれる固体電解質材料として、ナシコン型のリン酸化合物のみならず、非晶質リン酸化合物を用いることができる。特に、中間体に含まれる固体電解質材料は、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3であることが好ましい。
中間体に含まれる活物質前駆体の形状等については、上記「A.電池用焼結体 2.第2実施態様 (1)活物質材料」の項に記載した内容と同様である。
中間体の構造は、目的とする電池用焼結体の構造に応じて異なるものである。例えば、図6(b)のように、積層体である電池用焼結体を得る場合には、積層体の中間体を準備する。中間体を構成する固体電解質層および活物質前駆体層は、それぞれペレット状であることが好ましい。また、固体電解質層を形成するための粉末材料と、活物質前駆体層を形成するための粉末材料とを同時にペレット化したものであってもよい。一方、図7(b)のように、活物質層である電池用焼結体を得る場合には、活物質前駆体層の中間体を準備する。中間体を構成する活物質前駆体層は、ペレット状であることが好ましい。
(2)焼成工程
本実施態様における焼成工程は、酸化性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成し、活物質材料としてのBi酸化物を生成する工程である。
本実施態様における焼成工程は、酸化性雰囲気下、上記非晶質リン酸化合物または上記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、上記中間体を焼成し、活物質材料としてのBi酸化物を生成する工程である。
中間体を焼成する際の雰囲気は、酸化性雰囲気であり、酸素を含む雰囲気であればよく、例えば、大気雰囲気等を挙げることができる。
中間体を焼成する際の焼成温度は、非晶質リン酸化合物またはナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度とする。焼成温度が低すぎると、十分に焼結が進行しない可能性がある。また、活物質材料としてのBi酸化物の生成が十分に進行しない可能性もある。
なお、本実施態様において「焼結開始温度」とは、酸化性雰囲気下での焼結開始温度をいう。焼結開始温度は、熱膨張計で収縮が開始する温度を測定することにより求められる。
また、焼結が十分に進行したか否かについては、上記第3実施態様に記載した方法により判断することができる。
なお、本実施態様において「焼結開始温度」とは、酸化性雰囲気下での焼結開始温度をいう。焼結開始温度は、熱膨張計で収縮が開始する温度を測定することにより求められる。
また、焼結が十分に進行したか否かについては、上記第3実施態様に記載した方法により判断することができる。
中でも、中間体に含まれる固体電解質材料として非晶質リン酸化合物を用いる場合であって、非晶質リン酸化合物のLiイオン伝導率が比較的低い場合、焼成温度は、非晶質リン酸化合物の結晶化温度以上であることが好ましい。具体的には、固体電解質材料が一般式(2)Li1+xAlxGe2−x(PO4)3(式(2)中、0≦x≦2である。)で表される化合物である場合、焼成温度は、非晶質リン酸化合物の結晶化温度以上であることが好ましい。固体電解質材料の結晶性を高め、Liイオン伝導性を向上させることができるからである。
なお、本実施態様において「結晶化温度」とは、酸化性雰囲気下での結晶化温度をいう。結晶化温度は、示差熱分析装置(DTA)により測定されるものであり、その測定条件は昇温速度:10℃/minであり、得られた発熱ピークにより定義されるものである。
なお、本実施態様において「結晶化温度」とは、酸化性雰囲気下での結晶化温度をいう。結晶化温度は、示差熱分析装置(DTA)により測定されるものであり、その測定条件は昇温速度:10℃/minであり、得られた発熱ピークにより定義されるものである。
具体的に、固体電解質材料が一般式(2)Li1+xAlxGe2−x(PO4)3(式(2)中、0≦x≦2である。)で表される化合物である場合、酸化性雰囲気下でのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の焼結開始温度は540℃であることから、焼成温度は550℃以上であることが好ましい。また、酸化性雰囲気下でのLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の結晶化温度は595℃であることから、焼成温度は600℃以上であることがより好ましい。
また、焼成温度が高いほど、固体電解質材料の結晶性を高めLiイオン伝導性を向上させることができるが、焼成温度は、具体的に700℃以下であることが好ましい。700℃以下であれば、特殊な電気炉を必要とせず、さらに炉内の均熱ゾーンを広く確保できるために試料に熱が均一に伝わりやすいからである。
また、中間体を焼成する焼成時間は、所望の電池用焼結体を得ることができれば特に限定されるものではない。中間体を焼成する方法としては、例えば焼成炉を用いる方法を挙げることができる。
焼成工程にて生成されるBi酸化物は、活物質材料として用いられるものである。活物質材料としてのBi酸化物については、上記「A.電池用焼結体 2.第2実施態様」の項に記載したものと同様である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1−1]
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、Bi金属(高純度化学製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、Ar雰囲気、600℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、Bi金属(高純度化学製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、Ar雰囲気、600℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
[実施例1−2]
焼成温度を550℃に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして電池用焼結体を得た。
焼成温度を550℃に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして電池用焼結体を得た。
[実施例1−3]
焼成温度を900℃に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして電池用焼結体を得た。
焼成温度を900℃に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして電池用焼結体を得た。
[比較例1]
焼成温度を500℃に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして電池用焼結体を得た。
焼成温度を500℃に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして電池用焼結体を得た。
[評価1]
(熱分析)
実施例1−1〜1−3および比較例1で用いたガラス状のLAGPとBi金属とを含む混合物について、Ar雰囲気下で、示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)を行った。DTA曲線を図8に示す。図8に示されるように、272℃付近にBiの溶融による吸熱ピーク、570℃付近にLAGPの結晶化による発熱ピークが確認された。また、TG曲線から、LAGPとBiが700℃まで反応しないことが確認された。
(熱分析)
実施例1−1〜1−3および比較例1で用いたガラス状のLAGPとBi金属とを含む混合物について、Ar雰囲気下で、示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)を行った。DTA曲線を図8に示す。図8に示されるように、272℃付近にBiの溶融による吸熱ピーク、570℃付近にLAGPの結晶化による発熱ピークが確認された。また、TG曲線から、LAGPとBiが700℃まで反応しないことが確認された。
(X線回折測定)
実施例1−1〜1−3および比較例1で得られた電池用焼結体を、乳鉢で粉砕し、X線回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、リガク製RINT UltimaIIIを用い、CuKα線を用いた。その結果を下記表1および図9(a)、(b)に示す。
下記表1に示されるように、非晶質Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3とBi金属とを不活性雰囲気下で焼成する場合、少なくとも550℃以上で焼成することにより、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の成分およびBi金属の成分以外の成分が検出されないことが示された。なお、500℃で焼成した場合は、LAGPの焼結が進行せず、焼結体ではなかった。
実施例1−1〜1−3および比較例1で得られた電池用焼結体を、乳鉢で粉砕し、X線回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、リガク製RINT UltimaIIIを用い、CuKα線を用いた。その結果を下記表1および図9(a)、(b)に示す。
下記表1に示されるように、非晶質Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3とBi金属とを不活性雰囲気下で焼成する場合、少なくとも550℃以上で焼成することにより、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3の成分およびBi金属の成分以外の成分が検出されないことが示された。なお、500℃で焼成した場合は、LAGPの焼結が進行せず、焼結体ではなかった。
図9(a)は、実施例1−3で得られた電池用焼結体のXRD測定の結果であり、図9(b)は、実施例1−1で得られた電池用焼結体のXRD測定の結果である。図9(a)、(b)ではいずれも、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3およびBi以外のピークは確認されなかった。
(電気化学測定)
実施例1−1〜1−3で得られた電池用焼結体を用いて、評価用電池を作製した。すなわち、電池用焼結体を乳鉢で粉砕し、電池用焼結体:PVdF=95:5の重量比で混合したものを電極として用い、対極としてLi金属を用い、電解質としてEC:DEC=1:2の体積比で混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lで溶解させたものを用いて、評価用電池を作成した。
これらの評価用電池に対して、電位走査範囲0.6V〜2.0V(Vs.Li/Li+)の条件でサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。その結果を下記表1および図10に示す。
図10は、実施例1−1の電池用焼結体を用いた評価用電池のサイクリックボルタモグラムである。図10に示されるように、実施例1−1で得られた電池用焼結体は、0.8V(Bi金属の充放電電位)で充放電可能であり、全固体リチウム電池に有用であることが確認された。
実施例1−1〜1−3で得られた電池用焼結体を用いて、評価用電池を作製した。すなわち、電池用焼結体を乳鉢で粉砕し、電池用焼結体:PVdF=95:5の重量比で混合したものを電極として用い、対極としてLi金属を用い、電解質としてEC:DEC=1:2の体積比で混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lで溶解させたものを用いて、評価用電池を作成した。
これらの評価用電池に対して、電位走査範囲0.6V〜2.0V(Vs.Li/Li+)の条件でサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。その結果を下記表1および図10に示す。
図10は、実施例1−1の電池用焼結体を用いた評価用電池のサイクリックボルタモグラムである。図10に示されるように、実施例1−1で得られた電池用焼結体は、0.8V(Bi金属の充放電電位)で充放電可能であり、全固体リチウム電池に有用であることが確認された。
[実施例2]
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、Bi金属(高純度化学製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、大気雰囲気、600℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、Bi金属(高純度化学製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、大気雰囲気、600℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
[比較例2−1]
焼成温度を500℃に変更したこと以外は、実施例2と同様にして電池用焼結体を得た。
焼成温度を500℃に変更したこと以外は、実施例2と同様にして電池用焼結体を得た。
[比較例2−2]
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、LiCoO2(日亜化学工業製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、大気雰囲気、600℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、LiCoO2(日亜化学工業製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、大気雰囲気、600℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
[比較例2−3]
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、Li4Ti5O12(石原産業製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、大気雰囲気、550℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
非晶質リン酸化合物としてガラス状のLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3(ホソカワミクロン社製、LAGP)と、Li4Ti5O12(石原産業製)とを用意した。これらを体積比50/50で乳鉢により混合し、得られた混合物をプレスし、φ13mmのペレットを作製した。次に、ペレットを、大気雰囲気、550℃、2時間の条件で焼成し、電池用焼結体を得た。
[評価2]
(熱分析)
実施例2で用いたガラス状のLAGPとBi金属とを含む混合物について、大気雰囲気下で、示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)を行った。DTA曲線を図11に示す。図11に示されるように、595℃付近にLAGPの結晶化による発熱ピークが確認された。
(熱分析)
実施例2で用いたガラス状のLAGPとBi金属とを含む混合物について、大気雰囲気下で、示差熱・熱重量同時測定(TG−DTA)を行った。DTA曲線を図11に示す。図11に示されるように、595℃付近にLAGPの結晶化による発熱ピークが確認された。
(X線回折測定)
実施例2および比較例2−1〜2−3で得られた電池用焼結体を、乳鉢で粉砕し、X線回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、リガク製RINT UltimaIIIを用い、CuKα線を用いた。その結果を下記表2および図12に示す。
下記表2に示されるように、非晶質Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3とBi金属とを酸化性雰囲気下で焼成する場合、少なくとも600℃以上で焼成することにより、LAGPの焼結が進行し、かつ、活物質としてBi12GeO20およびBi2O3が生成し、焼結体が得られることが示された。なお、500℃で焼成した場合は、LAGPの焼結が進行せず、焼結体ではなかった。
実施例2および比較例2−1〜2−3で得られた電池用焼結体を、乳鉢で粉砕し、X線回折(XRD)測定を行った。XRD測定には、リガク製RINT UltimaIIIを用い、CuKα線を用いた。その結果を下記表2および図12に示す。
下記表2に示されるように、非晶質Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3とBi金属とを酸化性雰囲気下で焼成する場合、少なくとも600℃以上で焼成することにより、LAGPの焼結が進行し、かつ、活物質としてBi12GeO20およびBi2O3が生成し、焼結体が得られることが示された。なお、500℃で焼成した場合は、LAGPの焼結が進行せず、焼結体ではなかった。
図12は、実施例2で得られた電池用焼結体のXRD測定の結果である。図12では、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3、Bi12GeO20およびBi2O3のピークが確認された。
(充放電特性)
実施例2および比較例2−2〜2−3で得られた電池用焼結体を用いて、実施例1−1と同様に評価用電池を作製した。
これらの評価用電池に対して、電流:0.2mA、電圧範囲:開回路電圧から1.0Vまで、の条件で充放電を行った。その結果を下記表2および図12〜図14に示す。
図13〜図15はそれぞれ、実施例2、比較例2−2および比較例2−3の電池用焼結体を用いた評価用電池の充放電特性を示す。図13に示されるように、実施例2で得られた電池用焼結体は、Li金属に対し1.7V〜1.4V付近で理論容量の半分程度の放電が可能であることが確認された。なお、体積理論容量が大きいため、半分程度の容量でも利点がある。また、実施例2で得られた電池用焼結体は、不可逆(充電不可)であるため、一次電池として利用可能である。また、図14に示されるように、比較例2−2で得られた電池用焼結体は充放電不可であった。また、図15に示されるように、比較例2−3で得られた電池用焼結体は、放電可能であるが、実施例2と比較して質量容量密度が低く、体積容量密度も低かった(Li4Ti5O12の密度3.48g/cc)。
実施例2および比較例2−2〜2−3で得られた電池用焼結体を用いて、実施例1−1と同様に評価用電池を作製した。
これらの評価用電池に対して、電流:0.2mA、電圧範囲:開回路電圧から1.0Vまで、の条件で充放電を行った。その結果を下記表2および図12〜図14に示す。
図13〜図15はそれぞれ、実施例2、比較例2−2および比較例2−3の電池用焼結体を用いた評価用電池の充放電特性を示す。図13に示されるように、実施例2で得られた電池用焼結体は、Li金属に対し1.7V〜1.4V付近で理論容量の半分程度の放電が可能であることが確認された。なお、体積理論容量が大きいため、半分程度の容量でも利点がある。また、実施例2で得られた電池用焼結体は、不可逆(充電不可)であるため、一次電池として利用可能である。また、図14に示されるように、比較例2−2で得られた電池用焼結体は充放電不可であった。また、図15に示されるように、比較例2−3で得られた電池用焼結体は、放電可能であるが、実施例2と比較して質量容量密度が低く、体積容量密度も低かった(Li4Ti5O12の密度3.48g/cc)。
1、11、21 … 固体電解質材料
2、12、32 … 固体電解質層
3、13 … 活物質材料
4、6、14、16 … 活物質層
5、15、25 … 積層体
23 … 活物質前駆体
26 … 活物質前駆体層
30 … 全固体リチウム電池
31 … 正極活物質層
33 … 負極活物質層
2、12、32 … 固体電解質層
3、13 … 活物質材料
4、6、14、16 … 活物質層
5、15、25 … 積層体
23 … 活物質前駆体
26 … 活物質前駆体層
30 … 全固体リチウム電池
31 … 正極活物質層
33 … 負極活物質層
Claims (11)
- 固体電解質材料としてのナシコン型のリン酸化合物と、
活物質材料としてのBi金属またはBi化合物と
を有することを特徴とする、電池用焼結体。 - 前記固体電解質材料は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電池用焼結体。
Li1+xM1xM22−x(PO4)3 (1)
(上記式(1)中、M1は、Al、Y、GaおよびInからなる群から選択される少なくとも1種、M2は、Ti、GeおよびZrからなる群から選択される少なくとも1種、ならびにxは0≦x≦2である。) - 前記固体電解質材料は、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項2に記載の電池用焼結体。
Li1+xAlxGe2−x(PO4)3 (2)
(上記式(2)中、0≦x≦2である。) - 前記活物質材料が前記Bi金属であり、前記固体電解質材料と前記活物質材料との界面には、X線回折法により分析したときに、前記固体電解質材料の成分および前記活物質材料の成分以外の成分が検出されないことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電池用焼結体。
- 前記活物質材料としての前記Bi化合物は、Bi酸化物であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の電池用焼結体。
- 前記Bi酸化物は、Bi2O3およびBi12GeO20であることを特徴とする請求項5に記載の電池用焼結体。
- 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の電池用焼結体を有することを特徴とする全固体リチウム電池。
- 固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質材料としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、
不活性雰囲気下、前記非晶質リン酸化合物または前記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、前記中間体を焼成する焼成工程と
を有することを特徴とする、電池用焼結体の製造方法。 - 固体電解質材料としての非晶質リン酸化合物およびナシコン型のリン酸化合物のいずれか一方と、活物質前駆体としてのBi金属とを含む中間体を準備する中間体準備工程と、
酸化性雰囲気下、前記非晶質リン酸化合物または前記ナシコン型のリン酸化合物の焼結開始温度以上の温度で、前記中間体を焼成し、活物質材料としてのBi酸化物を生成する焼成工程と
を有することを特徴とする、電池用焼結体の製造方法。 - 前記固体電解質材料としての前記非晶質リン酸化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であり、前記中間体の焼成温度は、前記非晶質リン酸化合物の結晶化温度以上であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電池用焼結体の製造方法。
Li1+xAlxGe2−x(PO4)3 (2)
(上記式(2)中、0≦x≦2である。) - 前記Bi酸化物は、Bi2O3およびBi12GeO20であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の電池用焼結体の製造方法。
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