JP2017042109A - 酵素処理イソクエルシトリン含有飲料 - Google Patents

酵素処理イソクエルシトリン含有飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】長期保存を行っても色の変化の少ない酵素処理イソクエルシトリン含有飲料を提供する。
【解決手段】酵素処理イソクエルシトリンを200mg/kg以上の濃度で含む飲料において、キナ酸を10mg/kgより大きく4000mg/kg未満の濃度となるように含有させ、キナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比を0.05より大きく20未満に調整する。
【選択図】なし

Description

本発明は、酵素処理イソクエルシトリンを配合した飲料に関する。
ケルセチン(Quercetin:3,3',4',5,7-pentahydroxyflavone、クエルセチンとも呼ばれる)は、野菜や果物に豊富に含まれるポリフェノール成分であり、そのままで、又は配糖体の形で、柑橘類、タマネギ、ソバ、エンジュ等の種々の植物に含まれている。ケルセチンは、強力な抗酸化活性(非特許文献1)の他、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗ガン作用等、多彩な生理機能をもつことが知られている(非特許文献2)。
ケルセチンの配糖体の一つであるイソクエルシトリンは、ケルセチンの3位にグルコース1つがβ結合したフラボノール配糖体であり、強力な抗酸化活性を有し、色素の退色を防止することが知られており(特許文献1)、抗動脈硬化、血流改善等の生体への作用も期待されている素材である。最近では、イソクエルシトリンに肥満者の体脂肪を低減させる作用があることが見出され、飲料の形態で摂取させて効果があることが報告されている(非特許文献3)。
しかし、イソクエルシトリンは水に難溶であるため、飲料等の水系の組成物としての利用が制限されるという問題あった。そこで、糖転移酵素を用いて、イソクエルシトリンのグルコース残基部位にグルコースを転移させてα−グルコシルイソクエルシトリン(本明細書では「酵素処理イソクエルシトリン」という)を調製する方法が提案されている(特許文献2)。「酵素処理イソクエルシトリン」は、イソクエルシトリンの作用はそのままに、水への溶解性が改善された水易溶性物質であることが知られている。
特開2008−131888号公報 特開平1−213293号公報
Middlton EJ. et al., Pharmacol Rev., 52, 673-751, 2000 薬理と治療、p123-131, vol.37, No.2, 2009 薬理と治療、p919-930, vol.36, No.10, 2008
このように酵素処理イソクエルシトリンは、イソクエルシトリンより溶解性に優れているため、酵素処理イソクエルシトリンを高濃度含有する飲料を製造することが可能であるが、長期間保存した場合、飲料の外観が変化しやすく、長期にわたって飲料の色合いを安定に保持することが困難である。本発明は、長期保存を行っても色の変化の少ない酵素処理イソクエルシトリン含有飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、酵素処理イソクエルシトリンを含有した飲料に対し、10mg/kgより大きく4000mg/kg未満の濃度のキナ酸を含有させることにより、長期保存時の色の変化を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1) 次の成分(A)及び(B);
(A)酵素処理イソクエルシトリン:200mg/kg以上
(B)キナ酸:10mg/kgより大きく4000mg/kg未満
を含有し、
成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.05<[(B)/(A)]<20である飲料。
(2) キナ酸の濃度が3500mg/kg以下である、(1)に記載の飲料。
(3) 酵素処理イソクエルシトリンの濃度が、4000mg/kg未満である、(1)または(2)に記載の飲料。
(4) 酵素処理イソクエルシトリンを200mg/kg以上の濃度で含有する飲料の経時的な色の変化を抑制する方法であって、
キナ酸の濃度を10mg/kgより大きく4000mg/kg未満に調整し、かつ、
キナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比を0.05より大きく20未満に調整することを含む、上記方法。
本発明によると、高濃度で酵素処理イソクエルシトリンを含有しながら、長期間保存しても色の変化の少ない飲料が得られる。さらに、本発明者らは、意外にも、キナ酸により、高濃度の酵素処理イソクエルシトリンに起因するエグ味が低減されることも見出した。キナ酸は、苦味や酸味に寄与する成分として知られているから、キナ酸の添加により酵素処理イソクエルシトリンの飲みにくいエグ味が低減されたことは、意外な結果であった。こうした効果は、キナ酸に代えて、クエン酸やリンゴ酸のような他の酸を用いた場合には見られなかった。
(酵素処理イソクエルシトリン)
本発明でいう酵素処理イソクエルシトリンとは、下記式1において、グルコース残基数(n)が0であるイソクエルシトリンと、グルコース残基数(n)が1以上の整数(好ましくは1〜15の整数、より好ましくは1〜7の整数)であるイソクエルシトリン糖付加物の混合物をいう。本明細書中、ケルセチンにグルコースが1つ配合されたもの(式1においてn=0)をQG1、2つ配合されたもの(式1においてn=1)をQG2、3つ配合されたもの(式1においてn=2)をQG3(以下、グルコースが一つ増すごとに、QG4、QG5、QG6・・・)と表記することがある。
酵素処理イソクエルシトリンは、市販されているものを用いてもよいし、イソクエルシトリン又はルチンの酵素処理により調製したものを用いてもよい。イソクエルシトリンは、例えばWO2005/030975に記載されている方法、すなわち、ルチンを特定の可食性成分の存在下でナリンギナーゼ処理する方法によって製造することができる。さらに、WO2005/030975に記載されているように、イソクエルシトリンを糖転移酵素で処理することにより、α−グリコシルイソクエルシトリンを得ることができる。
本発明の飲料は、生理作用を奏するのに十分な濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する。具体的には、200mg/kg以上の濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する。酵素処理イソクエルシトリンの濃度が高くなると、冷蔵保管時に沈殿が生じることがあるから、酵素処理イソクエルシトリンの濃度は、好ましくは200mg/kg以上4000mg/kg未満であり、さらに好ましくは200mg/kg以上3000mg/kg以下、より好ましくは200mg/kg以上2000mg/kg以下である。希釈せずに飲用に供する場合の飲料中の酵素処理イソクエルシトリンの濃度は、200mg/kg以上800mg/kg以下であることが望ましい。
本発明で飲料中の酵素処理イソクエルシトリンの濃度をいうときは、特に記載した場合を除き、酵素処理イソクエルシトリンの濃度を合計したものをQG1として換算し、QG1が加水分解されて生じるケルセチンの濃度を指すものとする。QG1が加水分解されて生じるケルセチンの濃度は、ケルセチンの分子量302、QG1の分子量464を用いて、(酵素処理イソクエルシトリンの濃度÷464)×302で求めることができる。また、本発明で飲料の成分の濃度又は量をいうときは、特に記載した場合を除き、最終製品における濃度又は量を指す。
酵素処理イソクエルシトリンの濃度の測定は、当業者によく知られた定法により行うことができる。酵素処理イソクエルシトリンの濃度は、特に記載した場合を除き、QG1〜QG7を関与成分として、下記の方法により求めてもよい:すなわち、標準物質としてQuercetin 3-0-glucoside (QG1)を用い、HPLCを用いて、紫外部吸光度350nmにおける面積と標準物質濃度により検量線を作成する。酵素処理イソクエルシトリンは、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考えられ、またケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関わらず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンに依拠する。したがって、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1〜QG7は等しくなると考えられ、QG1換算で関与成分を定量する。具体的には、分析試料を、標準物質と同一条件でHPLCに供し、得られたチャートにおいて、標準物質の溶出保持時間と一致するピークを特定する。そして、QG1のピークより前に検出される酵素処理イソクエルシトリンQG2〜QG7のピークを特定し(もしあれば)、各々のピーク面積の総計から、標準物質を用いて作成した検量線を用いて、分析試料中の酵素処理イソクエルシトリンの濃度を算出する。
(キナ酸)
キナ酸(分子式C12、IUPAC名(1S,3R,4S,5R)−1,3,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸)は、アカネ科の樹木であるキナの皮から発見された成分である。抗菌作用があることが知られており、クランベリーの実、コーヒー豆、グレープフルーツ、キウイフルーツ、リンゴ、モモなどに含まれることが知られている。
本発明におけるキナ酸はキナ酸ラクトンとしての形態であってもよい。キナ酸ラクトンは分子内脱水によりキナ酸から生成し、分子内エステルの加水分解によりキナ酸に戻る。本発明では、飲料調製前にキナ酸ラクトンをキナ酸量として換算して、飲料中のキナ酸の濃度を調整することができる。また、調製された飲料中のキナ酸の濃度をいう際に、飲料中のキナ酸ラクトン量をキナ酸量に換算して、飲料中のキナ酸の濃度に加えることもできる。
本発明の飲料は、キナ酸を10mg/kgより大きく4000mg/kg未満の濃度で含む。また、キナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比(キナ酸/酵素処理イソクエルシトリン)を、0.05より大きく20未満となるようにする。200mg/kg以上の酵素処理イソクエルシトリンを含有する飲料に対し、キナ酸の量とキナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比とを上記範囲内とすることにより、酵素処理イソクエルシトリン含有飲料の経時での色の変化を抑制することができる。
キナ酸の濃度は、色変化抑制効果の観点から、好ましくは10mg/kgより大きく3500mg/kg以下、さらに好ましくは200mg/kg以上3000mg/kg以下である。
キナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比は、好ましくは0.1〜15であり、さらに好ましくは0.2〜10である。さらに、上記質量比が0.5〜10であると、色の変化が特に低く抑えられることからより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
本発明は、別の観点からは、200mg/kg以上の酵素処理イソクエルシトリンを含有する飲料において、飲料中のキナ酸の濃度を10mg/kgより大きく4000mg/kg未満とし、キナ酸に対する酵素処理イソクエルシトリンの質量比(キナ酸/酵素処理イソクエルシトリン)を0.05より大きく20未満となるように調整することにより、飲料の経時的な色の変化を抑制する方法に関する。
本発明者らは、上記の色の変化の抑制効果の他にも、高濃度の酵素処理イソクエルシトリン含有飲料に対し、上記の濃度範囲及び質量比でキナ酸を添加することにより、酵素処理イソクエルシトリンの有するエグ味を低減させることができることを見出した。キナ酸は、苦味や酸味に寄与する成分として知られているから、キナ酸の添加により酵素処理イソクエルシトリンのエグ味が改善され、飲料の飲みやすさを向上させることができたことは、意外な効果であった。
(飲料の色変化)
本発明により、200mg/kg以上という高濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する飲料を保存した際の、経時的な色の変化を抑制することができる。飲料の色の変化は、L表色系で次式に基づくΔEとして表現することができる:
ΔE=((L−L’)+(a−a’)+(b−b’)1/2
式中、L、a、b、及びL’、a’、b’は、それぞれ、L表色系における飲料の保存前、及び保存後の値を示すものである。飲料のL、a、bは、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(飲料)
本発明の飲料における、飲料の種類は特に限定されず、炭酸飲料、非炭酸飲料、アルコール飲料、非アルコール飲料、コーヒー飲料、果実飲料、茶飲料、乳性飲料、野菜飲料、スポーツ飲料、ココア飲料、栄養飲料、機能性飲料、ニアウォーター系飲料などいずれであってもよい。
本発明の飲料は、酵素処理イソクエルシトリン及びキナ酸のほか、飲料の種類に応じて、各種添加剤等が配合されていてもよい。各種添加剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、エキス類、食物繊維、pH調整剤、品質安定剤等が挙げられる。
本発明の飲料は、必要に応じて殺菌等の工程を経て、容器詰め飲料としてもよい。例えば、飲料を容器に充填した後に加熱殺菌等を行う方法や、飲料を殺菌してから無菌環境下で容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。
容器の種類は特に限定されず、PETボトル、缶、瓶、紙パックなどを挙げることができる。特に、無色透明のPETボトルや瓶は、容器中の飲料の色味が外部から視認しやすいため、本発明を用いて飲料の経時的な色の変化を抑制するのに適しているといえる。
また、本発明の飲料はいわゆるBIB(バッグ・イン・ボックス)のような形態で提供し、飲用直前にそのまま、あるいは水、炭酸水などにより適宜希釈して提供することもできる。特に希釈して提供する場合はBIB中の飲料に含まれる酵素処理イソクエルシトリン含量は高濃度になるため、本発明の効果がより期待できる。
以下、実験例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(飲料中の酵素処理イソクエルシトリンの濃度の測定法)
1.試薬
・アセトニトリル:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・水:高速液体クロマトグラフ用 不純物0.001%以下(ナカライテスク株式会社製)
・トリフルオロ酢酸:純度99%(ナカライテスク株式会社製)
・イソクエルシトリン(Quercetin 3-O- glucoside: 以下QG1とする): SSX1327S、純度93.8% (フナコシ株式会社製)
・エタノール:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide: 以下DMSOとする):純度99.0%(ナカライテスク株式会社製)。
2.分析機器
高速液体クロマトグラフ(以下HPLCとする)
ポンプ:LC-10ADvp
検出器: SPD-M10Avp検出器
解析ソフト:Class LC solution (以上、株式会社島津製作所)
3.分析試料の調製
飲料の原液を20%エタノール/水で5倍希釈し、0.45 μmフィルター(マイレクスLH-4:ミリポア社製)でろ過したものを分析試料としてHPLCに供する。
4.検量線の作成
標準物質であるイソクエルシトリン(純度93.8%)を1.0 mg正確に秤量し、5 mlメスフラスコ中で0.5 mlのジメチルスルホキシド(純度99.0%)に溶解し、20%エタノール(純度99.8%)/水により5 mlにフィルアップする。この200 μg/mlの溶液を20%エタノール/水で順次希釈し、10、25、50、100 μg/mlの溶液を作成する。各濃度の溶液を10 μl、 HPLCに供する。このときに検出されるピークの溶出保持時間は約14.5分である。このときの紫外部吸光度350 nmにおける面積と濃度により検量線を作成する。
原点を通る近似直線を計算し、これを用いてQG1からQG7までの濃度を算出し、合算した値に標準物質の純度(93.8%)をかけることで、ケルセチン配糖体量を算出する。
5.試験操作
・定性試験:分析試料を標準品と同一条件下でHPLC分析を行い、QG1標準品の溶出保持時間と一致するピークをQG1とする。QG1はケルセチンにグルコースが1個結合したケルセチン配糖体である。
・定量試験: QG1のピークより前に検出される6つのピークは、QG1にさらにグルコース結合したケルセチンの配糖体である。HPLC分析では、QG1およびQG1にさらにグルコースが1〜6個結合した化合物が検出可能であり、これら(QG1からQG7)を関与成分と設定した。また、ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考え、ケルセチン配糖体の主要な構成成分であり、標準品が入手可能なQG1を指標成分と設定し、QG1換算での量を算出する。ケルセチン配糖体の7つの溶出ピークについてのピーク面積を測定し、QG1標準品のピーク面積に基づいて作成した検量線から分析試料中のケルセチン配糖体濃度を算出する。
イソクエルシトリン(QG1)は、ケルセチンの3位に1分子のグルコースがβ結合した化合物である。QG2〜QG7は、QG1にさらに1〜6個のグルコースがα-1,4結合した化合物群で、QG1およびQG2〜QG7の7成分を、関与成分とする。
ケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関らず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンが寄与する。従って、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1からQG7は等しくなると考え、QG1換算で関与成分を定量することとした。得られたQG1換算のケルセチン配糖体(酵素処理イソクエルシトリン)濃度は、さらに、ケルセチンの濃度に換算した。
(飲料中のキナ酸およびキナ酸ラクトンの濃度の測定法)
飲料中のキナ酸およびキナ酸ラクトンの濃度は、公知の方法により測定することができるが、例えばHPLCによる日本食品分析センター法(カラム:東ソー(株)製、TSKGEL OApak,φ7.8mm×300mm、カラム温度:40℃、移動相:0.75mM硫酸、反応液:0.2mMブロムチモールブルー含有15mMリン酸水素ニナトリウム溶液、流速:移動相0.8mL/min、反応液0.8mL/min、検出波長:445nm)により測定することができる。
(飲料の色変化(ΔE)の測定方法)
測色色差計ZE−2000(日本電子工業株式会社製)を用い、調製直後の飲料と、55℃で4日間保管した飲料についてL、a、bの値を測定し、以下の式を用いて、色差ΔEを算出する:
ΔE=((L−L’)+(a−a’)+(b−b’)1/2
式中、L、a、bは、調製直後の飲料のL、a、b値を表し、L’、a’、b’は、同じ飲料を55℃で4日間保管した後のL、a、b値を表す。ΔEが大きくなるほど、保管による飲料の色の変化が大きいといえる。
(実施例1)
酵素処理イソクエルシトリン(QG)として、サンエミックP15(三栄源エフ・エフ・アイ社)を用いた。キナ酸及び酵素処理イソクエルシトリンを、以下の表1に記載の量となるように水に溶解して各飲料を調製した。各飲料の調製直後のL、a、b値を上記の方法により測定した。その後、各飲料を無色透明のPET容器に充填し、加熱殺菌を行った後、55℃で4日間保管した。55℃で4日間保管後の各飲料のL、a、b値を測定し、上記の式によりΔEを算出した。また、これとは別に、各飲料を5℃で静置し、沈殿物が生じるか否かについて確認した。結果を表1に示す。
表1の結果より、酵素処理イソクエルシトリンを200mg/kg以上、キナ酸を10mg/kgより大きく4000mg/kg未満の濃度で含み、キナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比が0.05より大きく20未満である飲料は、55℃で4日間保管した際のΔEが小さい(すなわち、色の変化が少ない)ことがわかる。また、酵素処理イソクエルシトリンを4000mg/kgの濃度で含む飲料は5℃下で沈殿を生じることから、酵素処理イソクエルシトリンの濃度は好ましくは4000mg/kg未満であることがわかる。
(実施例2)
酵素処理イソクエルシトリン(QG)として、サンエミックP15(三栄源エフ・エフ・アイ社)を用いた。リンゴ酸、クエン酸、及び酵素処理イソクエルシトリンを、以下の表2に記載の量となるように水に溶解して各飲料を調製した。これらの飲料のエグ味と、実施例1で調製した比較品4及び発明品5のエグ味とを、3名の専門パネリストにより5段階で官能評価した。評価は、エグ味をきわめて強く感じるを「5」、かなり感じるを「4」、感じるを「3」、やや感じるを「2」、ほとんど感じないを「1」とした。3名のパネリストの平均点を表2に示す。
表2の結果より、高濃度の酵素処理イソクエルシトリンを含有する飲料において、一定量及び質量比のキナ酸を添加することにより、酵素処理イソクエルシトリンのエグ味を低減させることができることがわかる。この効果は、クエン酸、リンゴ酸といった他の有機酸ではみられず、クエン酸、リンゴ酸ではむしろエグ味が増強されたことがわかる。キナ酸に酵素処理イソクエルシトリンのエグ味の改善効果があることはこれまで知られておらず、意外な結果であった。

Claims (4)

  1. 次の成分(A)及び(B);
    (A)酵素処理イソクエルシトリン:200mg/kg以上
    (B)キナ酸:10mg/kgより大きく4000mg/kg未満
    を含有し、
    成分(A)と成分(B)との質量比[(B)/(A)]が0.05<[(B)/(A)]<20である飲料。
  2. キナ酸の濃度が3500mg/kg以下である、請求項1に記載の飲料。
  3. 酵素処理イソクエルシトリンの濃度が、4000mg/kg未満である、請求項1または2に記載の飲料。
  4. 酵素処理イソクエルシトリンを200mg/kg以上の濃度で含有する飲料の経時的な色の変化を抑制する方法であって、
    キナ酸の濃度を10mg/kgより大きく4000mg/kg未満に調整し、かつ、
    キナ酸の酵素処理イソクエルシトリンに対する質量比を0.05より大きく20未満に調整することを含む、上記方法。
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