JP6400298B2 - コーヒー飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、コーヒー飲料に関し、より詳細には、華やかな香りを有するコーヒー飲料及びその製造方法に関する。
コーヒー飲料は嗜好性の高い飲料であり、コーヒーの香りは、リラックス効果を高めたり、消化を促進したりする効果もあるともいわれている。また、近年、コーヒー飲料に対する消費者の嗜好が多様化しており、コーヒーの香りについても、様々な改善が求められている。特に華やかな香りは、飲み飽きないコーヒー飲料にとって重要である。しかしながら、華やかな香りに加え、コク味、酸味、苦味、甘味といったコーヒー風味全体(本明細書では「コーヒー感」ともいう)を増強させる方法はあるものの、華やかな香りのみを増強させる方法に関する知見はほとんどなかった。コーヒー感を増強させる方法として、イソ吉草酸エチルを添加して、容器詰めコーヒー飲料の風味を増強しうる方法が知られている(特許文献1)。
一方、ケルセチンは野菜や果物に豊富に含まれるポリフェノール成分であり、そのままで、又は配糖体(ルチン、クエルシトリンなど)の形で、柑橘類、タマネギ、ソバ、エンジュ等の種々の植物に含まれている。ケルセチンは、強力な抗酸化活性の他、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗ガン作用等、多彩な生理機能をもつことが知られている(非特許文献1)。そして、ケルセチン配糖体に関しては、結合するグルコース数が1、2及び3と増すにつれて、経口吸収性が高くなり、グルコース数(n)が4になると経口吸収性が低下することが分かっている(特許文献2)。
ケルセチン配糖体の一つ、ルチンを高含有する飲料として、韃靼そば茶飲料が知られている。ルチンには、特有の生臭さ、苦味及び後味の悪さ(ぬめり)があるために、韃靼そば茶飲料に関しては、風味を改善するための方法が検討されている(特許文献3)。
国際公開第2010/38867号パンフレット 国際公開第2006/070883号パンフレット 特開2009−171856号公報
薬理と治療、p123-131, vol.37, No.2, 2009
本発明者らは、華やかな香りを有するコーヒー飲料について検討してきた。コーヒーに華やかさを付与する技術としてこれまで知られているものは、特許文献1のように、華やかな香りとともに、コーヒー感が増強されるもの、あるいは、香料等を用いるために不自然な香味となるもの、あるいは製造工程が複雑であり簡便さに欠けるものであり、充分に満足のいくものではなかった。
本発明の目的は、簡便な方法にて、コーヒーの自然な華やかさのみが増強された、コーヒー飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、コーヒー飲料に、所定濃度範囲のケルセチン配糖体及びナトリウムを含有させることで、コーヒー感はそのままで、華やかな香りのみが付与されたコーヒー飲料が得られることを見出した。
本発明は、以下を包含するが、これらに限定されない。
[1]ケルセチン配糖体及びナトリウムを含有するコーヒー飲料であって、飲料中のナトリウム濃度が50〜300ppm(w/w)であり、ケルセチン配糖体濃度が100〜3000ppm(w/v)であるコーヒー飲料。
[2] ブラックコーヒーである、[1]に記載のコーヒー飲料。
[3] ケルセチン配糖体がイソクエルシトリンを含む、[1]又は[2]に記載のコーヒー飲料。
[4] 飲料中のナトリウム濃度(w/w)に対するケルセチン配糖体濃度(w/v)が3:1〜1:40である、[1]〜[3]のいずれかに記載のコーヒー飲料。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のコーヒー飲料を濃縮することにより得られる、コーヒー濃縮液。
[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のコーヒー飲料を乾燥することにより得られる、インスタントコーヒー。
[7] ケルセチン配糖体及びナトリウムを含有するコーヒー飲料の製造方法であって、飲料中のナトリウムの濃度を50〜300ppm(w/w)、ケルセチン配糖体濃度を100〜3000ppm(w/v)に調整することを含む方法。
[8] コーヒー飲料に華やかな香りを付与する方法であって、飲料中のナトリウムの濃度を50〜300ppm(w/w)に、ケルセチン配糖体濃度を100〜3000ppm(w/v)に調整することを含む方法。
本発明によれば、コーヒー感の強さは変えることなく、自然な華やかな香りだけが増強された、風味良好なコーヒー飲料を、簡便な方法にて得ることができる。また、本発明のコーヒー飲料は、殺菌工程や長期保存によっても華やかな香りが変化せず、華やかな香りのコーヒー飲料を手軽に味わうことができる。
(コーヒー飲料)
本発明のコーヒー飲料とは、コーヒー分を原料として使用するものをいう。ここで、コーヒー分とは、コーヒー豆由来の成分を含有するものをいい、例えば、コーヒー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液が挙げられる。また、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液も、コーヒー分として挙げられる。
本明細書において、コーヒー固形分とは、コーヒー飲料に含まれる可溶性固形分のうち、乳分、甘味料、酸化防止剤等のコーヒー豆に由来しない成分を除いた固形分をいい、具体的には、原料となるコーヒー抽出液(濃縮コーヒーエキスやインスタントコーヒーを溶解させた溶液を含む)の固形分を20℃における糖用屈折計示度(Brix)を用いて測定した値に、使用したコーヒー抽出液量(g)を乗した値である。コーヒー固形分濃度とは、コーヒー飲料の液量(g)に対するコーヒー固形分(g)の割合(%)である。本発明の飲料におけるコーヒー固形分濃度は特に限定されず、広い範囲にて本効果が得られるが、0.6〜1.4重量%の範囲は好ましい。
本発明のコーヒー飲料に用いるコーヒー豆の種類は、特に限定されない。栽培樹種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種等が挙げられ、コーヒー品種としては、モカ、ブラジル、コロンビア、グアテマラ、ブルーマウンテン、コナ、マンデリン、キリマンジャロ等が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、複数種をブレンドして用いてもよい。焙煎コーヒー豆の焙煎方法については特に制限はなく、焙煎温度、焙煎環境についても何ら制限はなく、通常の方法を採用できるが、コーヒー豆の焙煎度L値は18〜24が好ましい。さらに、その焙煎コーヒー豆からの抽出方法についても何ら制限はなく、例えば焙煎コーヒー豆を粗挽き、中挽き、細挽き等に粉砕した粉砕物から水や温水(0〜100℃)を用いて10秒〜30分間抽出する方法が挙げられる。抽出方法は、ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、連続式などがある。
本発明のコーヒー飲料には、乳、牛乳及び乳製品等の乳分を添加してもよいが、乳分を含まないブラックコーヒーであることが好ましい。ブラックコーヒーには、甘味料を含む飲料も含まれる。
本発明のコーヒー飲料は、乳分の他、本発明の効果を損なわない限りで、甘味料(ショ糖、異性化糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、還元デンプン糖化物、ステビア、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなど)、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリウムなど)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなど)、香料(コーヒーフレーバーなど)等を適宜配合することができる。自然な香りを付与するという観点から、香料を使用しないことは好ましい。
本発明のコーヒー飲料のカフェイン濃度は、特に限定されないが、30〜75mg/100g程度が好ましい。また、本発明のコーヒー飲料のクロロゲン酸濃度は、特に限定されないが、15〜85mg/100g程度が好ましい。
本発明のコーヒー飲料のpHは特に限定されるものではないが、ケルセチン配糖体の安定性の観点からはpH6.0以下であることが好ましく、pH5.8以下であることがさらに好ましい。香味の観点からは、いずれの場合もpH5.4以上であることが好ましく、pH5.6以上であることがさらに好ましい。総合的には、pH5.4〜pH6.0であることが好ましく、pH5.6〜5.8であることが、より好ましい。飲料のpHを調整する方法としては、飲料に酸やアルカリを添加することや、イオン交換樹脂へ通液させることが挙げられる。用いられる酸成分としては、例えば、有機酸としてはクエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸など、無機酸としては塩酸、リン酸などが挙げられる。アルカリ成分としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹などが挙げられる。ただし、ナトリウム塩を用いる場合には、飲料中のナトリウム濃度が後述の特定範囲内となるように調整するとよい。
本発明のコーヒー飲料の形態は限定されず、例えば濃縮コーヒーエキスやインスタントコーヒーを溶解させた飲料の形態としてもよく、缶、PETボトル等の容器に封入して容器詰コーヒー飲料の形態としてもよい。容器詰飲料とする場合、本発明の飲料の製造方法は、コーヒー飲料を容器に充填する工程を含む。また、容器詰飲料とする場合、コーヒー飲料を容器に充填する前または充填した後に、コーヒー飲料を殺菌すると、長期保存が可能となるため好適である。例えば、缶入りのコーヒー飲料とする場合には、コーヒー飲料を缶に所定量充填し、例えば、120〜125℃で5〜20分間程度、レトルト殺菌を行って加熱殺菌を行うことができる。また、ペットボトルや紙パック、瓶飲料とする場合には、例えば130〜145℃で2〜120秒間程度保持するUHT殺菌等を行い、所定量をホットパック充填或いは低温で無菌充填することによって、容器詰飲料を得ることができる。
ここで、コーヒー飲料の加熱殺菌は、コーヒー飲料にとって過酷な加熱を伴う殺菌であり、コーヒー飲料においては、加熱によって臭いや雑味が顕著になりコーヒー飲料としての品質が低下する問題が生じるが、本発明のコーヒー飲料においては、殺菌処理を行っても、増強された華やかな香りが維持される。
本発明の所定濃度範囲のケルセチン配糖体及びナトリウムを含有するコーヒー飲料を作製した後に、濃縮して濃縮液としてもよいし、また、凍結乾燥、噴霧乾燥等の手段により乾燥、固化して、所謂インスタントコーヒーのような湯水に簡単に溶解し得る固形状のコーヒーとしてもよい。こうした濃縮液及び固形状のコーヒー(インスタントコーヒー)は、保管や運搬に好都合である。また、これらの濃縮度合に応じて適量の水又は湯で希釈又は溶解することにより、本発明の華やかな香りが増強されたコーヒー飲料を手軽に楽しむことができる。
(ナトリウム)
本発明のコーヒー飲料は、ナトリウムを含有し、飲料中のナトリウム濃度が特定範囲にあることを特徴とする。
本発明に用いられるナトリウムの形態は特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酒石酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム等及びそれらの混合物のような容易に入手しうるナトリウム塩として配合することができる。なお、ナトリウムはコーヒー豆由来の成分にも含まれる。
本発明のコーヒー飲料中のナトリウム濃度は50〜300ppm(w/w)、であり、好ましくは100〜250ppmである。ナトリウム濃度が低過ぎても高過ぎても、本発明の効果は得られない。ナトリウム濃度は、公知の方法にて測定が可能であり、例えば、原子吸光光度法を用いて測定することができる。
(ケルセチン配糖体)
本発明において、「ケルセチン配糖体」というときは、特に記載した場合を除き、フラボノイドの一種であるケルセチン(クエルセチンとも呼ばれる)の配糖体を指し、これは下式で表される。
(式中、(X)は、糖鎖を表し、nは、1以上の整数である。)
ここで、ケルセチンにグリコシド結合するXで表される糖鎖を構成する糖は、例えば、グルコース、ラムノース、ガラクトース、グルクロン酸であり、好ましくはグルコース、ラムノースである。また、nは1以上であれば、特に制限されないが、好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜8である。nが2以上であるとき、X部分は1種類の糖鎖からなっていてもよく、複数の糖鎖からなっていてもよい。
本明細書においては、ケルセチンにグルコースが一つ配されたものを、QG1、二つ配されたものをQG2、三つ配されたものをQG3(以下、グルコースが一つ増すごとに、QG4、GG5、QG6・・・)と表すことがある。
本発明のケルセチン配糖体は、既存のケルセチン配糖体を、酵素などで処理して糖転移させたものも含む。
本発明でいうケルセチン配糖体は、具体的には、ルチン、酵素処理ルチン、クエルシトリン、イソクエルシトリンを含む。
本発明においては、ケルセチン配糖体に包含される一の化合物を、単独で用いてもよいし、複数の化合物を混合して用いてもよい。
本発明で使用するケルセチン配糖体は、その由来、製法については特に制限はない。例えば、ケルセチンを多く含む植物として、ケッパー、リンゴ、茶、タマネギ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリー、コケモモ、クランベリー、オプンティア、葉菜類、柑橘類などが知られており、これらの植物からケルセチン配糖体を得ることができる。
ルチンは、下式で表される化合物である。
ルチンは、ルトサイド又はケルセチン−3−ルチノシドと称されることもある。
本発明の特に好ましい態様においては、ケルセチン配糖体として、ルチンの酵素処理物(以下、酵素処理ルチン)を使用する。酵素処理ルチンとは、ルチン又はその類縁体を酵素処理したものを成分とするものをいう。酵素処理ルチンは、酵素処理イソクエルシトリン又は糖転移ルチンと称されることもある。
酵素処理ルチンの特に好ましい例は、ケルセチン配糖体を酵素処理してラムノース糖鎖部分を除去して得たイソクエルシトリン、イソクエルシトリンを糖転移酵素で処理してグルコース1〜7個からなる糖鎖が結合したもの、及びその混合物を主成分とするものである。
イソクエルシトリンは、例えば、WO2005/030975に記載されている方法、すなわち、ルチンを、特定の可食性成分の存在下でナリンギナーゼで処理する方法によって製造することができる。さらに、WO2005/030975に記載されているように、イソクエルシトリンを糖転移酵素で処理することにより、α-グリコシルイソクエルシトリンを得ることができる。
一般に、ルチンには抗酸化作用があることが知られていたが、水に難溶性であるため使用用途が限られていた。しかしながら酵素処理ルチンは糖転移により水溶性が向上しているため飲料に好適に使用できる。酵素処理ルチンは強力な抗酸化活性のほか、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗癌作用など、多彩な生理機能を持つことが知られており、炎症の改善や血液循環促進などの効果を目的とした健康食品に利用されている。酵素処理ルチンは、例えば、エンジュ、ソバなどの抽出物を糖転移酵素で処理して得ることができる。
本発明の飲料におけるケルセチン配糖体の量(濃度)は、100〜3000ppm(w/v)、好ましくは200〜2000ppm、より好ましくは250〜1000ppmである。なお、本発明で飲料中のケルセチン配糖体量というときは、特に記載した場合を除き、ケルセチン配糖体の配合量を合計したものをQG1として換算して得られる量を指す。
ケルセチン配糖体量の測定は、当業者にはよく知られた定法により、行うことができる。ケルセチン配糖体量は、特に記載した場合を除き、QG1〜QG7を関与成分として、下記の方法により求めてもよい:すなわち、標準物質としてQuercetin 3−O−glucoside(QG1)を用い、HPLCを用いて、波長350nmで検出した際の吸光度のピーク面積と標準物質濃度により検量線を作成する。ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考えられ、またケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関らず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンに依拠する。したがって、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1〜QG7は等しくなると考えられ、QG1換算で関与成分を定量する。具体的には、分析試料を、標準物質と同一条件でHPLCに供し、得られたチャートにおいて、標準物質の溶出保持時間と一致するピークを特定する。そして、QG1のピークより前に検出されるケルセチン配糖体QG2〜QG7のピークを特定し(もしあれば)、各々のピーク面積の総計から、標準物質を用いて作成した検量線を用いて、分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。糖がラムノース、ガラクトース、またはグルクロン酸であっても、同様の方法で測定することができる。
本発明のコーヒー飲料に含まれる、ナトリウム濃度(ppm)に対するケルセチン配糖体濃度(ppm)との比は、3:1〜1:40であることが好ましく、1:1〜1:20であることがさらに好ましい。
(飲料の製造方法)
本発明の飲料を製造するための方法は、上述の各成分の配合量を満たすことができる限り、特に限定されない。ナトリウムやケルセチン配糖体の含有量を調整するタイミングも、特に限定されない。
例えば、既存のコーヒー飲料に対し、ケルセチン配糖体の濃度が適切となるように、ケルセチン配糖体を含む原材料を、常法により添加する。次に、ナトリウムの配合量が適切となるように塩化ナトリウムなどのナトリウム塩を添加することによって、本発明の飲料を製造することができる。
このように、飲料中のナトリウム濃度とケルセチン配糖体濃度を所定の範囲に調整することによって、コーヒー飲料に華やかな香りを付与することができる。従って、本発明の飲料の製造方法は、別の側面では、コーヒー飲料に華やかな香りを付与する方法である。
以下、本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明する。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例においては、ケルセチン配糖体量の測定は、下記の方法で行った。
1. 分析方法(機器および試薬、操作方法)
1-1.試薬
・アセトニトリル:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・水:高速液体クロマトグラフ用 不純物0.001%以下(ナカライテスク株式会社製)
・トリフルオロ酢酸:純度99%(ナカライテスク株式会社製)
・イソクエルシトリン(Quercetin 3-O- glucoside: 以下QG1とする): SSX1327S、純度93.8% (フナコシ株式会社製)
・エタノール:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide: 以下DMSOとする):純度99.0%(ナカライテスク株式会社製)。
1-2.分析機器
高速液体クロマトグラフ(以下HPLCとする)
ポンプ:LC-10ADvp
検出器: SPD-M10Avp検出器
解析ソフト:Class LCsolution (以上、株式会社島津製作所)
1-3.分析試料の調製
・当該食品の原液を20%エタノール/水で5倍希釈し、0.45 μmフィルター(マイレクスLH-4:ミリポア社製)でろ過したものを分析試料としてHPLCに供する。
1-4.検量線の作成
標準物質であるQuercetin 3-O-glucoside (フナコシ株式会社製:SSX 1327S、純度93.8%)を1.0 mg正確に秤量し、5 mlメスフラスコ中で0.5 mlのジメチルスルホキシド(DMSO:ナカライテスク株式会社製 純度99.0%)に溶解し、20%エタノール(ナカライテスク株式会社製 純度99.8% 高速液体クロマトグラフ用特製試薬)/水により5 mlにフィルアップする。この200 μg/mlの溶液を20%エタノール/水で順次希釈し、10、25、50、100 μg/mlの溶液を作成する。各濃度の溶液を10 μl、 HPLCに供する。このときに検出されるピークの溶出保持時間は約14.5分である。このときの紫外部吸光度350 nmにおける面積と濃度により検量線を作成する。
原点を通る近似直線を計算し、これを用いてQG1からQG7までの濃度を算出し、合算した値に標準物質の純度(93.8%)をかけることで、ケルセチン配糖体量を算出する。
1-5.試験操作
・定性試験:分析試料を標準品と同一条件下でHPLC分析を行い、QG1標準品の溶出保持時間と一致するピークをQG1とする。QG1はケルセチンにグルコースが1個結合したケルセチン配糖体である。
・定量試験: QG1のピークより前に検出される6つのピークは、QG1にさらにグルコース結合したケルセチンの配糖体である。HPLC分析では、QG1およびQ G1にさらにグルコースが1〜6個結合した化合物が検出可能であり、これら(QG1からQG7)を関与成分と設定した。また、ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考え、ケルセチン配糖体の主要な構成成分であり、標準品が入手可能なQG1を指標成分と設定し、QG1換算での量を算出する。ケルセチン配糖体の7つの溶出ピークについてのピーク面積を測定し、QG1標準品のピーク面積に基づいて作成した検量線から分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。
イソクエルシトリン(QG1)は、ケルセチンの3位に1分子のグルコースがβ結合した化合物である。QG2〜QG7はQG1にさらに 1 〜6個のグルコースがα-1,4結合した化合物群で、QG1およびQG2〜QG7の7成分を、関与成分とする。
ケルセチンの3位配糖体は糖鎖の長さに関らず、すべて350nmに極大吸収を持ち、その吸光度はアグリコン部分であるケルセチンが寄与する。従って、分子量は異なるが、モル吸光度ではQG1からQG7は等しくなると考え、QG1換算で関与成分を定量することとした。
焙煎コーヒー豆(L値=18)を中挽きに粉砕し、55〜65℃の温水でドリップして、Brix2〜3.5の抽出液とし、更に500メッシュで濾過して不溶性固形分を除き、コーヒー固形分濃度が1.1重量%となるように、純水で希釈し、コーヒー抽出液を得た。これに、所定量のサンエミックP15(イソクエルシトリン配糖体含有製剤;三栄源FFI社製)と、所定量の各種ナトリウム塩を加え、pH調整剤(水酸化カリウム)でpHを6に調整し、ブラックコーヒー飲料を得た。殺菌処理を行った後、185mLのスチール製容器に充填した。官能評価は5名の訓練されたパネラーによって行い、コーヒー感(コーヒー風味全体)と華やかな香りの2項目について、ナトリウムとケルセチン配糖体のいずれも添加していない飲料をコントロール(評価点数:0)として、5段階評価を行い、5名のパネラーの平均点を表1に記載した。(4点:極めて強い〜0点:コントロールと同程度)。また、ケルセチン配糖体由来の苦味の有無の評価を行い、表1に記載した(○:苦味有り、×:苦味無し)。
表1に記載した飲料中のケルセチン配糖体濃度は、上述の方法にて、QG1換算量として算出した値であり、飲料中のナトリウム濃度は、原子吸光光度法にて測定した値である。官能評価でコントロールとして用いた、ナトリウムとケルセチン配糖体のいずれも添加していない飲料のナトリウム濃度は、0.7ppmであった。また、各飲料のカフェイン量は580ppm、クロロゲン酸量は300ppmであった。
本結果より、飲料中のナトリウム濃度を50〜300ppm、飲料中のケルセチン配糖体濃度を100〜3000ppmに調節することにより、コーヒー感の強さは変えることなく、自然な華やかな香りだけが増強された、コーヒー飲料が得られることがわかった。
コーヒー焙煎豆の焙煎度(L値)及びコーヒー固形分濃度を変更した4種のコーヒー抽出液を用いて、実施例1と同様に、表2に記載の飲料1〜4を作製し、官能評価及び飲料中のケルセチン配糖体及びナトリウム濃度の測定行った。これら結果を表2に記載する。官能評価では、飲料1〜4それぞれについて、ナトリウムとケルセチン配糖体のいずれも添加していない飲料をコントロール(評価点数:0)として評価を行った。官能評価でコントロールとして用いた飲料のナトリウム濃度は、それぞれ飲料1、2のコントロールは0.7ppm、飲料3のコントロールは0.4ppm、飲料4のコントロールは0.9ppmであった。また、各飲料のカフェイン量及びクロロゲン酸量はそれぞれ、サンプル1は580ppm、350ppm、サンプル2は620ppm、810ppm、サンプル3は330ppm、170ppm、サンプル4は740ppm、390ppmであった。
本結果より、コーヒー抽出液の種類(焙煎度、固形分量)に関わらず、実施例1で確認された効果と同様の効果が得られることがわかった。

Claims (8)

  1. ケルセチン配糖体及びナトリウムを含有するコーヒー飲料であって、飲料中のナトリウム濃度が50〜300ppm(w/w)であり、ケルセチン配糖体濃度が200〜2000ppm(w/v)であり、
    ケルセチン配糖体濃度は、ケルセチンの3位に1〜7分子のグルコースがα−1,4結合した7種の化合物(QG1〜QG7)について、イソクエルシトリン(QG1)換算量として算出した値である、コーヒー飲料。
  2. ブラックコーヒーである、請求項1に記載のコーヒー飲料。
  3. ケルセチン配糖体がイソクエルシトリンを含む、請求項1又は2に記載のコーヒー飲料。
  4. 飲料中のナトリウム濃度(w/w)に対するケルセチン配糖体濃度(w/v)が3:1〜1:40である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーヒー飲料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を濃縮することにより得られる、コーヒー濃縮液。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を乾燥することにより得られる、インスタントコーヒー。
  7. ケルセチン配糖体及びナトリウムを含有するコーヒー飲料の製造方法であって、飲料中のナトリウムの濃度を50〜300ppm(w/w)、ケルセチン配糖体濃度を200〜2000ppm(w/v)に調整することを含み、
    ケルセチン配糖体濃度は、ケルセチンの3位に1〜7分子のグルコースがα−1,4結合した7種の化合物(QG1〜QG7)について、イソクエルシトリン(QG1)換算量として算出した値である、方法。
  8. コーヒー飲料に華やかな香りを付与する方法であって、飲料中のナトリウムの濃度を50〜300ppm(w/w)に、ケルセチン配糖体濃度を200〜2000ppm(w/v)に調整することを含み、
    ケルセチン配糖体濃度は、ケルセチンの3位に1〜7分子のグルコースがα−1,4結合した7種の化合物(QG1〜QG7)について、イソクエルシトリン(QG1)換算量として算出した値である、方法。
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