JP6777563B2 - 低カフェインコーヒー飲料 - Google Patents
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Description
コーヒーなどに苦味成分として含まれるカフェインは、飲料中にある程度存在することで飲用時に心地良い刺激となる一方、その含有量によっては過度な苦味の原因となることがある。そのため、コーヒー飲料におけるカフェインを低減又は除去したカフェインレスコーヒーなどが開発され、市販されている。
(1)コーヒー飲料であって、カフェインの含有量が0〜0.04質量%であり、ケルセチン配糖体の含有量が0.005〜0.2質量%であるコーヒー飲料。
(2)カフェインの含有量が0〜0.033重量%である、(1)記載のコーヒー飲料。
(3)カフェインとケルセチン配糖体との含有量比(ケルセチン配糖体の含有量/カフェインの含量)が1.52以上である、(1)または(2)に記載のコーヒー飲料。
(4)コーヒー固形分の濃度が0.15〜2.5質量%である、(1)〜(3)のいずれかに記載のコーヒー飲料。
(5)カフェインの含有量が0〜0.02質量%である、(1)〜(4)のいずれかに記載のコーヒー飲料。
(6)ケルセチン配糖体の含有量が0.02〜0.2質量%である、(1)〜(5)のいずれかに記載のコーヒー飲料。
(7)クロロゲン酸類を含み、クロロゲン酸類の含有量が0.01〜0.1質量%である、(1)〜(6)のいずれかに記載のコーヒー飲料。
(8)カフェインとクロロゲン酸類との含有量比[クロロゲン酸類の含有量/カフェインの含有量]が0.25以上である、(7)に記載のコーヒー飲料。
(9)飲料のpHが4〜7である、(1)〜(8)のいずれかに記載のコーヒー飲料。
(10)容器詰飲料である、(1)〜(9)のいずれかに記載の飲料。
(11)加熱殺菌処理された飲料である、(1)〜(10)のいずれかに記載の飲料。
(12)コーヒー飲料の製造方法であって、
a)カフェインの含有量が0〜0.04質量%であり、コーヒー固形分の濃度が0.15〜2.5質量%であるコーヒー抽出液を調製する工程、および、
b)工程a)のコーヒー抽出液にケルセチン配糖体を配合する工程、ここでケルセチン配糖体の含有量は0.005〜0.2質量%、カフェインとケルセチン配糖体との含有量比[ケルセチン配糖体の含有量/カフェインの含有量]は1.52以上に調整される、
を含む、前記製造方法。
(13)低カフェインコーヒーにおけるコーヒー特有の苦味とキレのバランスを改善する方法であって、
a)コーヒー抽出液のカフェインの含有量を0〜0.04質量%に、コーヒー固形分の濃度を0.15〜2.5質量%に調整する工程、および
b)工程a)のコーヒー抽出液にケルセチン配糖体を配合し、ケルセチン配糖体の含有量を0.005〜0.2質量%に調整し、かつカフェインとケルセチン配糖体との含有量比(ケルセチン配糖体の含有量/カフェインの含有量)を1.52以上に調整する工程、
を含む、前記方法。
1.コーヒー飲料
1−1.コーヒー飲料
本発明のコーヒー飲料は、カフェインの含有量を低減又は除去したカフェインレスコーヒー飲料であり、デカフェ(Decaffeinated Coffee)とも呼ばれる。本明細書においてコーヒー飲料とは、コーヒー分を原料として使用するものをいう。ここで、コーヒー分とは、コーヒー豆由来の成分を含有するものをいい、例えば、コーヒー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液が挙げられる。また、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液も、コーヒー分として挙げられる。
1−2.カフェイン
本発明のコーヒー飲料におけるカフェインの含有量の下限値は0質量%(w/w%)、好ましくは0.001質量%、より好ましくは0.004質量%である。また、本発明のコーヒー飲料におけるカフェインの含有量の上限値は0.04質量%、好ましくは0.036質量%、または0.033質量%、より好ましくは0.02質量%である。典型的には、本発明のコーヒー飲料におけるカフェインの含有量範囲は0〜0.04質量%、好ましくは0〜0.02質量%である。
1−3.ケルセチン配糖体
本発明のコーヒー飲料はケルセチン配糖体を含有する。カフェインの含有量を低減したコーヒー飲料に一定量のケルセチン配糖体を配合し、かつカフェインとケルセチン配糖体との含有量比(ケルセチン配糖体の含有量/カフェインの含有量)を一定値以上に調整することにより、コーヒー特有の苦味とキレのバランスを改善できる。
ここで、ケルセチンにグリコシド結合するXで表される糖鎖を構成する糖は、例えば、グルコース、ラムノース、ガラクトース、グルクロン酸であり、好ましくはグルコース、ラムノースである。また、nは1以上であれば、特に制限されないが、好ましくは1〜16、さらに好ましくは1〜8である。nが2以上であるとき、X部分は1種類の糖鎖からなっていてもよく、複数の糖鎖からなっていてもよい。
本発明でいうケルセチン配糖体は、具体的には、ルチン、酵素処理ルチン、クエルシトリン、イソクエルシトリンを含む。
本発明で使用するケルセチン配糖体は、その由来、製法については特に制限はない。例えば、ケルセチンを多く含む植物として、ケッパー、リンゴ、茶、タマネギ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリー、コケモモ、クランベリー、オプンティア、葉菜類、柑橘類などが知られており、これらの植物からケルセチン配糖体を得ることができる。
本発明の特に好ましい態様においては、ケルセチン配糖体として、ルチンの酵素処理物(以下、酵素処理ルチン)を使用する。酵素処理ルチンとは、ルチン又はその類縁体を酵素処理したものを成分とするものをいう。酵素処理ルチンは、酵素処理イソクエルシトリン又は糖転移ルチンと称されることもある。
1−4.カフェインとケルセチン配糖体との含有量比
本発明のコーヒー飲料におけるカフェインとケルセチン配糖体との含有量比は、コーヒー特有の苦味とキレのバランスを改善できる比であればよい。その観点から、本発明のコーヒー飲料におけるカフェインとケルセチン配糖体との含有量比[ケルセチン配糖体の含有量/カフェインの含有量]は1.5を超えていればよく、好ましくは1.52以上である。また、当該含有量比の上限値は特に限定されないが、例えば100以下、好ましくは40以下、より好ましくは20以下である。
1−5.クロロゲン酸類
本発明のコーヒー飲料はクロロゲン酸類を含有する。本発明において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4-フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、及び4,5−ジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、本発明においては前記9種のうち少なくとも1種を含有していればよい。
1−6.カフェインとクロロゲン酸類との含有量比
本発明のコーヒー飲料におけるカフェインとクロロゲン酸類との含有量比(クロロゲン酸類の含有量/カフェインの含有量)は特に限定されないが、コーヒー特有の苦味とキレのバランスの改善の観点からは、好ましくは0.25以上、より0.5以上、さらにより好ましくは0.75以上である。また、当該含有量比の上限値も特に限定されないが、例えば100以下、より80以下、さらにより好ましくは60以下である。
1−7.コーヒー固形分
本発明におけるコーヒー固形分とは、原料となるコーヒー抽出液(濃縮コーヒーエキスやインスタントコーヒーを溶解させた溶液を含む)の固形分を20℃における糖用屈折計示度(Brix)より求めた質量(g)をいう。具体的には、糖用屈折計(アタゴRX−5000等)を用いてコーヒー抽出液の糖用屈折計示度(Brix)を測定し、これに、測定に使用したコーヒー抽出液量(g)を乗ずることによって、コーヒー固形分(g)を算出する。また、本発明におけるコーヒー固形分の濃度とは、上で求められたコーヒー固形分(g)の、コーヒー飲料に対する濃度(重量%)をいう。本発明のコーヒー固形分の濃度は特に限定されないが、コーヒー特有の苦味とキレの好ましいバランスを有し、より一層コーヒー本来の香味に近い低カフェインコーヒーを提供するという観点からは、好ましくは0.15〜2.5重量%、より好ましくは0.3〜2.0重量%、さらにより好ましくは0.50〜1.85重量%である。
1−8.pH
本発明のコーヒー飲料のpHは特に限定されないが、好ましくはpH4〜7、より好ましくはpH4.5〜6.5、さらにより好ましくはpH5〜6である。飲料のpHを調整する方法としては、飲料に酸やアルカリを添加することや、イオン交換樹脂へ通液させることが挙げられる。用いられる酸成分としては、例えば、有機酸としてはクエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸など、無機酸としては塩酸、リン酸などが挙げられる。アルカリ成分としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重曹などが挙げられる。
1−9.他の成分
本発明のコーヒー飲料には、乳、牛乳及び乳製品等の乳分を添加してもよいが、乳分を含まないブラックコーヒーであってもよい。ブラックコーヒーには、甘味料を含む飲料も含まれる。
1−10.容器詰飲料、加熱殺菌処理された飲料
本発明のコーヒー飲料は、場合により容器詰飲料とすることもできる。容器詰飲料にすることにより長期間に渡って安定に保存することが可能になるため好適である。容器詰飲料の容器は特に限定されず、金属製容器、樹脂製容器、紙容器、ガラス製容器など、通常用いられる容器のいずれも用いることができる。具体的には、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、PETボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス製容器などを挙げることができる。
2.飲料の製造方法、コーヒー特有の苦味とキレのバランスを改善する方法
本発明の一態様は、コーヒー飲料の製造方法であって、a)カフェインの含有量が0〜0.04質量%であり、コーヒー固形分の濃度が0.15〜2.5質量%であるコーヒー抽出液を調製する工程、およびb)工程a)のコーヒー抽出液にケルセチン配糖体を配合する工程、ここでケルセチン配糖体の含有量は0.005〜0.2質量%、カフェインとケルセチン配糖体との含有量比(ケルセチン配糖体の含有量/カフェインの含有量)は1.52以上に調整される、を含む、前記製造方法である。
実施例1.コーヒー飲料の製造
本実施例では、脱カフェイン処理コーヒー生豆を原料として使用してコーヒー飲料を製造した。脱カフェイン処理コーヒー生豆の製造はWO2011/108631に記載されている方法に準じて行った。具体的には、コーヒー生豆をウォータープロセスにて、コーヒー生豆中のカフェイン含有量が1.42%から0.04%に低減するまで脱カフェイン処理した。
実施例2.カフェイン含有量、ケルセチン配糖体含有量、及びクロロゲン酸含有量の測定
実施例1で製造したコーヒー飲料におけるカフェイン含有量、ケルセチン配糖体含有量、及びクロロゲン酸含有量を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
<カフェイン>
コーヒー飲料を移動相Aで10倍希釈(w/w)した後、メンブランフィルター(ADVANTEC製 Cellulose Acetate 0.45μm)で濾過し、HPLCに注入して定量した。HPLCの測定条件は以下のとおり。
・カラム:TSK-gel ODS-80TsQA(4.6mmφx150mm、東ソー株式会社)
・移動相:A:水:トリフルオロ酢酸=1000:0.5
B:アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=1000:0.5
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・グラディエント条件;分析開始から5分後まではA液100%保持、
5分から10分まででB液7.5%、
10分から20分まででB液10.5%、
20分から32分までB液10.5%保持、
32分から45分まででB液26.3%、
45分から46分まででB液75.0%、
46分から51分までB液75.0%保持、
51分から52分まででB液0%
52分から58分までB液0%保持、
・注入量:5.0mL
・検出波長:カフェイン(280nm)
・リテンションタイム:19.3分
・標準物質:カフェイン(無水)(ナカライテスク株式会社)
<ケルセチン配糖体>
1.分析方法(機器および試薬、操作方法)
1-1.試薬
・アセトニトリル:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・水:高速液体クロマトグラフ用 不純物0.001%以下(ナカライテスク株式会社製)
・トリフルオロ酢酸:純度99%(ナカライテスク株式会社製)
・イソクエルシトリン(Quercetin 3-O- glucoside: 以下QG1とする): SSX1327S、純度93.8% (フナコシ株式会社製)
・エタノール:高速液体クロマトグラフ用 純度99.8%(ナカライテスク株式会社製)
・ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:以下DMSOとする):純度99.0%(ナカライテスク株式会社製)。
高速液体クロマトグラフ(以下HPLCとする)
ポンプ:LC-10ADvp
検出器: SPD-M10Avp検出器
解析ソフト:Class LCsolution(以上、株式会社島津製作所)
1-3.分析試料の調製
・コーヒー飲料を20%エタノール/水で5倍希釈し、0.45 μmフィルター(マイレクスLH-4:ミリポア社製)でろ過したものを分析試料としてHPLCに供する。
標準物質であるQuercetin 3-O-glucoside (フナコシ株式会社製:SSX 1327S、純度93.8%)を1.0 mg正確に秤量し、5 mlメスフラスコ中で0.5 mlのジメチルスルホキシド(DMSO:ナカライテスク株式会社製 純度99.0%)に溶解し、20%エタノール(ナカライテスク株式会社製 純度99.8% 高速液体クロマトグラフ用特製試薬)/水により5 mlにフィルアップする。この200 μg/mlの溶液を20%エタノール/水で順次希釈し、10、25、50、100 μg/mlの溶液を作成する。各濃度の溶液を10 μl、 HPLCに供する。このときに検出されるピークの溶出保持時間は約14.5分である。このときの紫外部吸光度350 nmにおける面積と濃度により検量線を作成する。
1-5.試験操作
・定性試験:分析試料を標準品と同一条件下でHPLC分析を行い、QG1標準品の溶出保持時間と一致するピークをQG1とする。QG1はケルセチンにグルコースが1個結合したケルセチン配糖体である。
・定量試験: QG1のピークより前に検出される6つのピークは、QG1にさらにグルコース結合したケルセチンの配糖体である。HPLC分析では、QG1およびQ G1にさらにグルコースが1〜6個結合した化合物が検出可能であり、これら(QG1からQG7)を関与成分と設定した。また、ケルセチン配糖体は、小腸でケルセチンに加水分解されることから、QG1からQG7は生理活性的に同等であると考え、ケルセチン配糖体の主要な構成成分であり、標準品が入手可能なQG1を指標成分と設定し、QG1換算での量を算出する。ケルセチン配糖体の7つの溶出ピークについてのピーク面積を測定し、QG1標準品のピーク面積に基づいて作成した検量線から分析試料中のケルセチン配糖体含量を算出する。
<クロロゲン酸>
クロロゲン酸は、コーヒー飲料を移動相Aで10倍希釈(w/w)した後、メンブランフィルター(ADVANTEC製Cellulose Acetate 0.45μm)で濾過し、HPLCに注入して定量した。
(HPLC測定条件)
・カラム:TSK-gel ODS-80TsQA(4.6mmφx150mm、東ソー株式会社)
・移動相:A:水:トリフルオロ酢酸=1000:0.5
B:アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=1000:0.5
・流速:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・グラディエント条件;分析開始から5分後まではA液100%保持、
5分から10分まででB液7.5%
10分から20分まででB液10.5%
20分から32分までB液10.5%保持
32分から45分まででB液26.3%
45分から46分まででB液75.0%
46分から51分までB液75.0%保持
51分から52分まででB液0%
52分から58分までB液0%保持
・注入量:5.0μL
・検出波長:クロロゲン酸類(325nm)
・標準物質:クロロゲン酸0.5水和物(ナカライテスク株式会社)
実施例3.官能評価
実施例1で製造したコーヒー飲料の官能評価を5名の訓練されたパネラーによって行い、コーヒー飲料の苦味とキレのバランスについて評価した。評価に際しては、各群においてケルセチン配糖体を添加していない飲料をコントロール(評価点数:0)として、下記の基準に基づいて5段階評価を行った。
4点:コーヒー様苦味とキレのバランスが、比較例に対して著しく改善する。
3点:コーヒー様苦味とキレのバランスが、比較例に対してかなり改善する。
1点:コーヒー様苦味とキレのバランスが比較例に対してやや改善する。
0点:ケルセチン無添加もしくは改善効果なし。
Claims (6)
- コーヒー飲料であって、
カフェインの含有量が0〜0.02質量%であり、
ケルセチン配糖体の含有量が0.02〜0.1質量%であるコーヒー飲料。 - コーヒー固形分の濃度が0.15〜2.5質量%である、請求項1に記載のコーヒー飲料。
- クロロゲン酸類を含み、
クロロゲン酸類の含有量が0.01〜0.1質量%である、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。 - 飲料のpHが4〜7である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーヒー飲料。
- 容器詰飲料である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飲料。
- 加熱殺菌処理された飲料である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飲料。
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