JP2017039390A - 鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構造として防振性能のばらつきを抑制し、且つ安価にできる鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造を提供する。
【解決手段】締結ボルト63は、ハンドルパイプ14の内面にねじ結合されるおねじ部63cが形成された軸部63aと、アウタウェイト62をハンドルパイプ14の軸方向に押圧するために軸部63aの端部に形成された頭部63bとを備え、軸部63aに、アウタウェイト62とインナウェイト66とを互いに連結するための係止部63fを備え、係止部63fは、おねじ部63cに対して頭部63bとは反対側の端部に設けられる。
【選択図】図5

Description

本発明は、鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造に関する。
従来、鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造として、ウェイト取付ボルトとテーパ形状を有するナット部材とでハンドルパイプにアウタウェイトを不動状態に支持(リジッド支持)し、ハンドルパイプ内でインナウェイトを浮動状態に支持(フローティング支持)する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−250589号公報
特許文献1では、ハンドルパイプ内部にハンドルウェイトを構成する部品の点数が多いため、ウェイト取付ボルトを締め付けた際に、防振性能のばらつきが生じやすくなっていた。防振性能のばらつきを抑制することが望まれる。また、アウタウェイト嵌合部を、ウェイト取付ボルトの締め付けによって径方向に広げてハンドルパイプの内面を押圧する構造であるため、ハンドルパイプ内径及びアウタウェイト嵌合部を特に高精度に仕上げる必要があり、高価な構造となっていた。
本発明の目的は、簡単な構造として防振性能のばらつきを抑制し、且つ安価にできる鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造を提供することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、ハンドルパイプ(14)と、前記ハンドルパイプ(14)に支持されて前記ハンドルパイプ(14)の振動を抑制させるハンドルウェイト(61)とを備え、前記ハンドルウェイト(61)が、前記ハンドルパイプ(14)の端部に設けられたアウタウェイト(62)と、前記ハンドルパイプ(14)内にラバー部材(68)を介して支持されるインナウェイト(66)と、前記アウタウェイト(62)を前記ハンドルパイプ(14)に固定するために前記アウタウェイト(62)を貫通するように設けられた締結ボルト(63)とを備えた鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造において、前記締結ボルト(63)は、前記ハンドルパイプ(14)の内面にねじ結合されるおねじ部(63c)が形成された軸部(63a)と、前記アウタウェイト(62)を前記ハンドルパイプ(14)の軸方向に押圧するために前記軸部(63a)の端部に形成された頭部(63b)とを備え、前記軸部(63a)に、前記アウタウェイト(62)と前記インナウェイト(66)とを互いに連結するための係止部(63f)を備え、前記係止部(63f)は、前記おねじ部(63c)に対して前記頭部(63b)とは反対側の端部に設けられることを特徴とする。
上記構成において、前記締結ボルト(63)の前記軸部(63a)は、前記おねじ部(63c)の外径(D1)よりも前記頭部(63b)側の外径(D2,D3)が小さく、前記軸部(63a)と前記アウタウェイト(62)との間に空間(73,74)が形成されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記頭部(63b)の外径(D4)は、前記ハンドルパイプ(14)の外径(PD)よりも大きく形成され、前記頭部(63b)は、前記アウタウェイト(62)の端部と、前記ハンドルパイプ(14)に設けられたグリップ(24,41)を前方から覆うナックルガード(25)の端部とに当てられた状態で前記ハンドルパイプ(14)にねじ結合されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記係止部(63f)は、前記軸部(63a)に形成された切欠き部(63k)を備え、この切欠き部(63k)の軸方向の幅(W)は、前記締結ボルト(63)と前記インナウェイト(66)とを連結する連結部材(64)に前記切欠き部(63k)に挿入するために形成された挿入部(64a)の厚さ(T)の3倍以上であっても良い。
本発明の締結ボルトは、ハンドルパイプの内面にねじ結合されるおねじ部が形成された軸部と、アウタウェイトをハンドルパイプの軸方向に押圧するために軸部の端部に形成された頭部とを備え、軸部に、アウタウェイトとインナウェイトとを互いに連結するための係止部を備え、係止部は、おねじ部に対して頭部とは反対側の端部に設けられるので、ハンドルパイプ内に従来のようなテーパ形状を有するナット部材を設ける必要がない。従って、部品点数の少ない簡単な構造のハンドルウェイトとすることができる。よって、防振性能のばらつきを抑制するとともに安価な構造とすることができる。
また、締結ボルトの軸部は、おねじ部の呼び径・有効径よりも一部の外径を小さくした構造とすることで、所定の締結トルクに対して締結ボルトの伸び量を増大させることができる。締結ボルトの伸び量が増大すれば、締結ボルトが弛むのを防止することができる。
また、頭部の外径は、ハンドルパイプの外径よりも大きく形成され、頭部は、アウタウェイトの端部と、ハンドルパイプに設けられたグリップを前方から覆うナックルガードの端部とに当てられた状態でハンドルパイプにねじ結合されるので、締結ボルトの頭部の外径を大きくしているため、ワッシャを用いる必要がない。従って、部品点数を削減でき、コストを低減しながら防振性能のばらつきを抑制することができる。
また、係止部は、軸部に形成された切欠き部を備え、この切欠き部の軸方向の幅は、締結ボルトとインナウェイトとを連結する連結部材に切欠き部に挿入するために形成された挿入部の厚さの3倍以上であるので、締結ボルトに係止部が形成されることで、係止部を形成するための切欠き部を大きくすることができる。従って、切欠き部を形成するための刃具の厚さを大きくすることができ、刃具のコストを抑えることができる。この結果、ハンドルウェイトを安価にすることができる。
本発明に係るハンドルウェイト取付構造を備えた自動二輪車の要部左側面図である。 自動二輪車を示す要部正面図である。 ハンドルパイプの一端部を示す平面図である。 ハンドルパイプに設けられたハンドルウェイトを示す要部平面図である。 図3のV−V線断面図である。 連結部材を示す説明図であり、図6(A)は連結部材の斜視図、図6(B)は連結部材の側面図、図6(C)は図6(B)のC矢視図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明に係るハンドルウェイト取付構造を備えた自動二輪車10の要部左側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部に操舵可能にフロントフォーク12が支持され、フロントフォーク12の上部にハンドルブラケット13を介してハンドルパイプ14が取付けられ、フロントフォーク12の下部に前輪が支持された鞍乗型車両である。
フロントフォーク12は、車体フレーム11の前端部を構成するヘッドパイプ16に揺動可能に支持され、フロントフォーク12の上部の左右がトップブリッジ17で連結され、フロントフォーク12の上下方向の中間部の左右がボトムブリッジ18で連結されている。
ヘッドパイプ16の後上部からは左右一対のメインフレーム21が後下がりに延び、ヘッドパイプ16の後下部からはダウンフレーム22が左右のメインフレーム21よりも下方を後下がりに延びている。左右のメインフレーム21の上部には燃料タンク23が設けられている。
ハンドルパイプ14の一方の端部にはハンドルグリップ24が設けられ、ハンドルグリップ24を前方から覆うナックルガード25の端部が、ハンドルパイプ14の端部に取付けられている。
自動二輪車10の車体前部は、車体カバー31で覆われている。車体カバー31は、フロントフォーク12の前方及び左右の側方を覆うフロントカバー32と、フロントカバー32の前部上部に設けられたウインドスクリーン33とを備える。フロントカバー32の前面にはヘッドライト34が設けられている。フロントカバー32の下部は、前方及び側方からフロントガード部材36で覆われている。
図2は、自動二輪車10を示す要部正面図である。
ハンドルパイプ14(図1参照)には、左側の端部にハンドルグリップ24、右側の端部にスロットルグリップ41が設けられている。ハンドルグリップ24及びスロットルグリップ41は、それぞれハンドルパイプ14の端部に取付けられたナックルガード25で前方から覆われている。ナックルガード25,25の前方には、車体カバー31に取付けられた左右一対のフロントウインカー42,42が配置されている。
ハンドルパイプ14には、他に、ハンドルグリップ24の前方に位置するクラッチレバー44と、スロットルグリップ41の前方に位置するフロントブレーキレバー45と、左右一対のバックミラー46,46とが取付けられている。
ナックルガード25,25は、クラッチレバー44及びフロントブレーキレバー45も前方から覆っている。
図3は、ハンドルパイプ14の一端部を示す平面図である。
ハンドルパイプ14の一端部には、ハンドルグリップ24の車幅方向内側に隣接するスイッチハウジング51と、スイッチハウジング51の更に車幅方向内側に配置されたレバーホルダー52とが設けられている。
スイッチハウジング51は、自動二輪車10(図1参照)に備える電装品や灯火器等をオンオフする複数のスイッチが設けられている。レバーホルダー52は、クラッチレバー44を揺動可能に支持するホルダー本体53と、ホルダー本体53の後部とでハンドルパイプ14を挟み込むとともにホルダー本体53に複数のボルト54でねじ結合されたホルダー片55とから構成される。
ホルダー本体53は、クラッチケーブルの端部が連結されるケーブル連結部材57がねじ結合され、バックミラー46(図1参照)の下端がねじ込まれるミラー用ボス部53aが形成されている。
ケーブル連結部材57は、詳しくは、クラッチケーブルのアウターケーブルを支持し、クラッチケーブルのアウターケーブル内をスライド可能に挿入されたインナーワイヤの先端部がクラッチレバー44に連結される。
ホルダー本体53には、ナックルガード25の車幅方向内側を支持するガード支持部材58がボルト59で取付けられている。ボルト59は、クラッチレバー44の回動軸も兼ねている。
ナックルガード25は、内側固定部25a、前部ガード部25b及び外側ガード部25cとから構成される。
内側固定部25aは、ガード支持部材58の前端部に固定部材で取付けられる。前部ガード部25bは、内側固定部25aから車幅方向外側へ連続して延びるとともに、ハンドルグリップ24及びクラッチレバー44の前方に配置され、前方に膨出している。外側ガード部25cは、前部ガード部25bの車幅方向外側端部から後方に延びてハンドルパイプ14の端部に接続され、外側ガード部25cの後端部には、ハンドルパイプ14に取付けられる外側固定部25dを備える。外側固定部25dは、ハンドルパイプ14の振動を抑制するハンドルウェイト61の端部と共にハンドルパイプ14の端部に取付けられている。
図4は、ハンドルパイプ14に設けられたハンドルウェイト61を示す要部平面図である。
ハンドルウェイト61は、ハンドルパイプ14の端部に設けられるアウタウェイト62と、アウタウェイト62をナックルガード25と共にハンドルパイプ14の端部に締結する締結ボルト63と、締結ボルト63に連結部材64を介して連結されるとともに全体がハンドルパイプ14内に配置されるインナウェイト66とを備える。
アウタウェイト62は、例えば、鉄鋼製であり、ハンドルパイプ14に一体的に支持(リジッド支持)され、ハンドルパイプ14の共振周波数を変化させてハンドルパイプ14の振動を抑制する。
締結ボルト63は、ハンドルパイプ14の端部にねじ結合されている。
連結部材64は、一端が締結ボルト63に連結され、他端が後で詳述する第1ラバー68を介してインナウェイト66に連結されている。
インナウェイト66は、例えば、真ちゅう製であり、その一端部及び中間部に弾性体としての第1ラバー68が嵌められ、他端部に弾性体としての第2ラバー69が嵌められている。詳しくは、インナウェイト66の両端部及び中間部に環状の溝が形成され、それぞれの環状の溝に第1ラバー68,68及び第2ラバー69のそれぞれの内周面が嵌められている。
上記したように、インナウェイト66は、ハンドルパイプ14に第1ラバー68,68を介して支持(フローティング支持)されている。
インナウェイト66では、ハンドルパイプ14(主振動系)の振動によってなされる仕事をインナウェイト66(副振動系)の振動として吸収して、ハンドルパイプ14の振動を抑制するダイナミックダンパである。
第1ラバー68は、その最大外径部がハンドルパイプ14の内周面に圧入され、インナウェイト66の一端部側の第1ラバー68は連結部材64と係止することで連結部材64に連結されている。
第2ラバー69は、ハンドルパイプ14の内周面との間に隙間を有する。例えば、ハンドルパイプ14に衝撃等が作用して変位した場合に、第2ラバー69がハンドルパイプ14の内面に当たることで、インナウェイト66が直接にハンドルパイプ14の内面に干渉するのを防止する。
図5は、図3のV−V線断面図である。
ハンドルパイプ14は、その端部の内周面14aにめねじ部14bが形成されている。
締結ボルト63は、略円柱状の軸部63aと、軸部63aの一端部に一体に形成された円板状の頭部63bとからなる。
軸部63aは、おねじ部63c、基部63d、細軸部63e及び係止部63fを備える。
おねじ部63cは、軸部63aの他端部側に形成され、ハンドルパイプ14のめねじ14bにねじ結合されている。基部63dは、おねじ部63cの外径(呼び径)又は有効径に等しい又は略等しい外径の円柱状に形成されている。細軸部63eは、基部63dの頭部63b側に隣接して基部63dよりも小径に形成され、基部63d側に設けられた第1細軸部63gと、第1細軸部63gの頭部63b側に設けられるとともに第1細軸部63gよりも大径に形成された第2細軸部63hとからなる。なお、基部63dを、円柱状ではなく、おねじ部63cとしても良い。
このように軸部63aに細軸部63eを設けることで、締結ボルト63を締め付けたときに、軸部63aの伸びを大きくすることができる為、締結ボルト63の弛みを防止し、耐久性を向上させることができる。また、細軸部63eを設けることで、締結ボルト63の軽量化を図ることができる。
第2細軸部63hの内側には、頭部63b側から六角レンチを挿入する六角穴63jが開けられているので、第2細軸部63hの肉厚を確保するために第1細軸部63gよりも第2細軸部63hを大径としている。
係止部63fは、おねじ部63cの先端部に形成され、連結部材64が挿入される環状溝63kが形成されている。符号Wは環状溝63kの溝幅であり、従来よりも大きく形成されている。また、符号63mは環状溝64kの形成により出来たフランジ部である。環状溝63kの溝底は、断面円弧状に形成されている。
環状溝63kの形成は、例えば、刃具による旋盤加工で行われる。従来、環状溝は連結部材が係止されるナット部材に形成されたが、小径のナット部材の大型化を防ぐためにその環状溝の溝幅を狭くしていたので、環状溝を形成する刃具の厚さが小さく、刃具の破損等を防ぐために高価な材料の刃具を使用したり、消耗した刃具の交換サイクルが短かった。
これに対して、上記したように、本実施形態の締結ボルト63を用いることで、環状溝63kを加工する刃具を高価な材料にしなくても良く、コストを抑えることができる。更に、環状溝63kの溝底を断面円弧状としたので、刃具の先端は断面円弧状になり、先端部に角部を有する刃具に比べて、刃具の摩耗を抑制することができる。
ここで、締結ボルト63の基部63dの外径(及びおねじ部63cの外径)をD1、第1細軸部63gの外径をD2、第2細軸部63hの外径をD3、頭部63bの外径をD4とすると、D4>D1>D3>D2となる。また、ハンドルパイプ14の外径をPDとすると、D4>PDとなる。
また、フランジ部63mの外径をD5、環状溝63kの溝底の外径をD6とする。
アウタウェイト62は、ハンドルパイプ14の端面14cに当てられる大径部62aと、大径部62aに隣接して大径部62aよりも小径に形成された小径部62bとを一体に備える。小径部62bには、ゴム製のワッシャ71と、ナックルガード25の外側固定部25dに開けられたガード取付穴25eとが嵌合されている。アウタウェイト62の内周面62cの内径をWD1とすると、内径WD1は、締結ボルト63の基部63dの外径D1よりもわずかに大きくされ、アウタウェイト62の内周面62cが締結ボルト63の基部63dに嵌合している。この結果、締結ボルト63に対するアウタウェイト62のがたつきが抑えられる。
締結ボルト63を締め付けたときには、アウタウェイト62の大径部62a側の端面がハンドルパイプ14の端面14cに当たり、アウタウェイト62の小径部62b側の端面が締結ボルト63の頭部63bに当たる。更に、小径部62bの軸方向の長さは、ナックルガード25の外側固定部25dとゴム製のワッシャ71とを合わせた厚さよりも小さいので、ワッシャ71は軸方向に圧縮された状態で組み付けられる。従って、ナックルガード25の外側固定部25dは、締結ボルト63の頭部63bに押圧された状態になる。これにより、ナックルガード25の外側固定部25dのがたつきが防止される。
アウタウェイト62は、従来に比べてハンドルパイプ14内に挿入する部分がないために軸方向の長さが短い。従って、例えば、ナックルガード25を備えていない車両では、アウタウェイト62を左右反転させ、小径部62b側の端面をハンドルパイプ14の端面14cに当て、大径部62a側の端面に締結ボルト63の頭部63bを当てて組み付けることができる。このようにアウタウェイト62を組み付けても、外観性を損ねることなく流用することができ、アウタウェイト62の汎用性を向上できて、コストを下げることができる。
アウタウェイト62と、締結ボルト63の細軸部63e(第1細軸部63g及び第2細軸部63h)との間には、環状の空間73,74が形成されている。
連結部材64は、鋼板製であり、半径方向内側に屈曲形成された爪部64a,64aが連結部材64の両端部のそれぞれに形成されている。連結部材64の両端の爪部64a,64aは、締結ボルト63の環状溝63kと、第1ラバー68の外周面68aに形成された環状溝68bとに挿入されて係止部63f及び第1ラバー68に係止されている。ここで、爪部64aの厚さ(板厚)をTとすると、上記した環状溝63kの溝幅Wは、厚さTの3倍以上である。
インナウェイト66は、その外周面66aの外径WD2が、ハンドルパイプ14の内周面14aの内径WD3よりも小さく形成されている。外周面66aの一端側には環状溝66bが形成され、環状溝66bに第1ラバー68が嵌合されている。符号CLはハンドルパイプ14の内周面14aとインナウェイト66の外周面66aとの隙間量である。
ハンドルパイプ14のめねじ部14bの内径をWD4、連結部材64の外径(後述するC字環状部64b(図6(A)参照)の外径)をWD5とすると、WD5<WD3であり、また、外径WD5は、内径WD4に略等しいか内径WD4よりも小さい。
図6は、連結部材64を示す説明図である。図6(A)は連結部材64の斜視図、図6(B)は連結部材64の側面図、図6(C)は図6(B)のC矢視図である。
図6(A)〜(C)に示すように、連結部材64は、筒の周方向の一部が切り取られて断面C字形状にされたC字環状部64bと、C字環状部64bの両端面から筒の軸線方向に延びる複数の軸方向延出部64cと、軸方向延出部64cの両端からそれぞれ半径方向内側へ折り曲げられた爪部64aとが一体成形されている。
図6(B)において、対向する一対の軸方向延出部64c,64c間の距離をL1とする。また、図6(C)において、C字環状部64bの内径をD7、爪部64a,64aの半径方向内側に備える円弧状端面64d,64dの内径をD8、対向する爪部64a,64a間の距離をL2とする。連結部材64が締結ボルト63の係止部63fに係止された状態において、内径D7は、締結ボルト63のフランジ部63mの外径D5より大きく(D7>D5)、内径D8は、外径D5より小さい(D8<D5)。また、内径D8及び距離L2は、締結ボルト63の環状溝63kの溝底の外径D6より大きい(D8>D6、L2>D6)。また、フランジ部63mの外径D5よりも図6(B)に示した軸方向延出部64c,64c間の距離L1は小さい(L1<D5)。
従って、爪部64a,64aを締結ボルト63の環状溝63kに挿入する場合、連結部材64を弾性変形させ、一対の軸方向延出部64c,64c間の距離L1を広げて締結ボルト63のフランジ部63mを軸方向延出部64c,64c間に挿入する。あるいは、フランジ部63mを爪部64a,64a間から連結部材64の内側へ斜めに挿入して、爪部64a,64aを締結ボルト63の環状溝63kに挿入する。
以上の図3、図4及び図5に示したように、ハンドルパイプ14と、ハンドルパイプ14に支持されてハンドルパイプ14の振動を抑制させるハンドルウェイト61とを備え、ハンドルウェイト61が、ハンドルパイプ14の端部に設けられたアウタウェイト62と、ハンドルパイプ14内にラバー部材としての第1ラバー68を介して支持されるインナウェイト66と、アウタウェイト62をハンドルパイプ14に固定するためにアウタウェイト62を貫通するように設けられた締結ボルト63とを備えた鞍乗型車両としての自動二輪車10のハンドルウェイト取付構造において、締結ボルト63は、ハンドルパイプ14の内面にねじ結合されるおねじ部63cが形成された軸部63aと、アウタウェイト62をハンドルパイプ14の軸方向に押圧するために軸部63aの端部に形成された頭部63bとを備え、軸部63aに、アウタウェイト62とインナウェイト66とを互いに連結するための係止部63fを備え、係止部63fは、おねじ部63cに対して頭部63bとは反対側の端部に設けられる。
従来のハンドルウェイトでは、ハンドルパイプ内に、アウタウェイトの一端部が挿入されるとともにテーパ形状を有するナット部材が設けられ、アウタウェイトを貫通する締結ボルトの先端部がナット部材にねじ結合されていた。アウタウェイトの一端部が、ナット部材のテーパ部によって半径方向外側に広げられ、ハンドルパイプの内周面に押し付けられことで、ハンドルパイプにアウタウェイトが固定される。
この取付構造では、ハンドルウェイトを構成する部品の数が多くなり、防振性能のばらつきが大きくなる可能性が高かった。また、アウタウェイトの一端部を、ハンドルパイプ内に挿入してハンドルパイプの内面に押し付けて固定するので、ハンドルパイプの内面及びアウタウェイト一端部外周面を精度良く加工する必要があり、コストアップとなっていた。更に、ナット部材に連結部材を介してインナウェイトを連結する構造では、ナット部材の外周部に、連結部材を係止する溝を形成する場合に、ナット部材の大型化を避けるために溝を形成する部位を確保するのが難しく、溝幅が狭くなっていた。溝幅が狭ければ、溝を形成する刃具が薄くなり、破損を回避するために高価な材料からなる刃具や高い交換頻度が必要となっていたので、このことからもコストアップとなっていた。
これに対して本実施形態では、ハンドルパイプ14の内周面14aに締結ボルト63がねじ結合される構造であるため、ハンドルパイプ14内に従来のようなテーパ形状を有するナット部材を設ける必要がない。従って、部品点数の少ない簡単な構造のハンドルウェイト61とすることができる。よって、ハンドルウェイト61の防振性能のばらつきを抑制するとともにハンドルウェイト61を安価な構造とすることができる。
また、従来のような、アウタウェイトの先端部を半径方向外側に広げてハンドルパイプの内面に当てる構造ではないので、ハンドルパイプ14の内周面14aを高精度に加工する必要がなくなり、ハンドルパイプ14のコストを低減することができる。
更に、締結ボルト63の係止部63fを締結ボルト63の先端部に形成するので、従来のナット部材の外周部に溝を形成するのに比べて、係止部63fの環状溝63kの溝幅をより大きくすることができる。従って、環状溝63kを加工するための刃具の厚さを大きくできるので、安価な刃具を使用することができ、コストを低減することができる。
また、図5に示したように、締結ボルト63の軸部63aは、おねじ部63cの外径D1及び有効径よりも頭部63b側の外径D2,D3が小さく、軸部63aとアウタウェイト62との間に空間73,74が形成されるので、軸部63aの一部の外径を小さくした構造とすることで、所定の締結トルクに対して締結ボルト63の伸び量を増大させることができ、締結ボルト63が弛むのを防止することができる。更に、締結ボルト63の軽量化を図ることができる。
また、頭部63bの外径D4は、ハンドルパイプ14の外径PDよりも大きく形成され、頭部63bは、アウタウェイト62の端部と、ハンドルパイプ14に設けられたグリップとしてのハンドルグリップ24及びスロットルグリップ41を前方から覆うナックルガード25の端部とに当てられた状態でハンドルパイプ14に締結ボルト63がねじ結合されるので、締結ボルト63の頭部63bの外径を大きくしているため、従来のようなワッシャを用いる必要がない。従って、部品点数を削減でき、コストを低減しながら防振性能のばらつきを抑制することができる。
また、係止部63fは、軸部63aに形成された切欠き部としての環状溝63kを備え、この環状溝63kの軸方向の幅としての溝幅Wは、締結ボルト63とインナウェイト66とを連結する連結部材64に環状溝63kに挿入するために形成された挿入部としての爪部64aの厚さTの3倍以上であるので、締結ボルト63に係止部63fが形成されることで、係止部63fを形成するための環状溝63kの溝幅を大きくすることができる。従って、環状溝63kを形成するための刃具の厚さを大きくすることができ、刃具のコストを抑えることができる。この結果、ハンドルウェイト61(図4参照)を安価にすることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
本発明は、自動二輪車の他に、自転車、三輪車、ATV(不整地走行車両)などハンドルパイプを備えるものであれば、適宜採用することができる。
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
14 ハンドルパイプ
24 ハンドルグリップ(グリップ)
25 ナックルガード
41 スロットルグリップ(グリップ)
61 ハンドルウェイト
62 アウタウェイト
63 締結ボルト
63a 軸部
63b 頭部
63c おねじ部
63f 係止部
63k 環状溝(切欠き部)
64 連結部材
64a 爪部(挿入部)
66 インナウェイト
68 第1ラバー(ラバー部材)
69 第2ラバーラバー部材)
73,74 空間

Claims (4)

  1. ハンドルパイプ(14)と、前記ハンドルパイプ(14)に支持されて前記ハンドルパイプ(14)の振動を抑制させるハンドルウェイト(61)とを備え、前記ハンドルウェイト(61)が、前記ハンドルパイプ(14)の端部に設けられたアウタウェイト(62)と、前記ハンドルパイプ(14)内にラバー部材(68)を介して支持されるインナウェイト(66)と、前記アウタウェイト(62)を前記ハンドルパイプ(14)に固定するために前記アウタウェイト(62)を貫通するように設けられた締結ボルト(63)とを備えた鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造において、
    前記締結ボルト(63)は、前記ハンドルパイプ(14)の内面にねじ結合されるおねじ部(63c)が形成された軸部(63a)と、前記アウタウェイト(62)を前記ハンドルパイプ(14)の軸方向に押圧するために前記軸部(63a)の端部に形成された頭部(63b)とを備え、
    前記軸部(63a)に、前記アウタウェイト(62)と前記インナウェイト(66)とを互いに連結するための係止部(63f)を備え、
    前記係止部(63f)は、前記おねじ部(63c)に対して前記頭部(63b)とは反対側の端部に設けられることを特徴とする鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造。
  2. 前記締結ボルト(63)の前記軸部(63a)は、前記おねじ部(63c)の外径(D1)よりも前記頭部(63b)側の外径(D2,D3)が小さく、前記軸部(63a)と前記アウタウェイト(62)との間に空間(73,74)が形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造。
  3. 前記頭部(63b)の外径(D4)は、前記ハンドルパイプ(14)の外径(PD)よりも大きく形成され、
    前記頭部(63b)は、前記アウタウェイト(62)の端部と、前記ハンドルパイプ(14)に設けられたグリップ(24,41)を前方から覆うナックルガード(25)の端部とに当てられた状態で前記ハンドルパイプ(14)にねじ結合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造。
  4. 前記係止部(63f)は、前記軸部(63a)に形成された切欠き部(63k)を備え、この切欠き部(63k)の軸方向の幅(W)は、前記締結ボルト(63)と前記インナウェイト(66)とを連結する連結部材(64)に前記切欠き部(63k)に挿入するために形成された挿入部(64a)の厚さ(T)の3倍以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗型車両のハンドルウェイト取付構造。
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