ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ロボット制御装置の構成:
(1−1)筐体の構成:
(1−2)第2ユニットの内部構成:
(1−3)カバーの構成:
(2)他の実施形態:
(1)ロボット制御装置の構成:
図1Aは、本発明の一実施形態であるロボットシステム10の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるロボットシステム10は、ロボット制御装置20とロボット30とを備えている。ロボット制御装置20は、ロボット30を制御するための各種の回路を備えている。ロボット30は、複数の駆動部が駆動されることによって所定の機能を実現できるように構成されている。本実施形態において、各駆動部はモーターによって駆動される。ロボット制御装置20とロボット30とは外部配線で接続されており、当該外部配線を介してロボット制御装置20とロボット30との間で電力および信号が授受される。
さらに、ロボット制御装置20には、図示しない外部配線を介して外部電源から電力を供給することが可能である。本実施形態において、ロボット30は、セル40の上部に設置されている。セル40は、内側にロボット制御装置20を含む各種の装置を設置可能な構造体であり、本実施形態においては直方体の部材と当該直方体の一面の4隅において当該一面と垂直な方向に延びる角柱状の部材とを有する構造体である。なお、図1Aにおいては、セル40に、ロボット制御装置20以外の装置としてUPS(Uninterruptible Power Supply)41が設置されている例を示している。
図1Bは、セル40にロボット制御装置20が設置された状態を示す斜視図である。本実施形態においては、ロボット30やロボット制御装置20を利用者が操作する際に利用者が存在する位置をロボット制御装置20の正面と見なし、正面に対向する面を背面と見なす。また、鉛直方向に沿って上下を定義し、上面、底面、以外の面を側面と見なす。セル40の底面はほぼ正方形であり、例えば、600mm×600mmの面である。セル40においては当該底面に対して垂直に4個の角柱状の部材が延びるため、底面の一辺より若干短い長さの装置をセル40の内側に自由に出し入れし、設置することができる。
図2Aは、ロボット制御装置20を抜き出して示す斜視図である。本実施形態において、ロボット制御装置20は略直方体の外形であり、幅W(側面同士の距離)が440mm、奥行きD(正面と背面の距離)が430mm、高さH(上面と底面の距離)が70mmである。本実施形態において、ロボット制御装置20の筐体は、6面体の部分と、当該6面体の正面および側面に取り付けられたカバー230,231およびカバー210,211を備えている。
(1−1)筐体の構成:
本実施形態において、ロボット制御装置20は分離可能である。すなわち、ロボット制御装置20の筐体は第1ユニット21と、ロボット30を制御するためのロボット制御部(後述する電源基板220、駆動基板221、制御基板222)が設けられた第2ユニット22とを備えている。第1ユニット21は、セル40に対してネジ等によって固定可能であり、セル40に第1ユニット21が設置された状態で第2ユニット22を第1ユニット21から引き出し、両者を分離することが可能である。
本実施形態において、第1ユニット21は、ロボット制御装置20の直方体の部分の上面と底面と側面とを構成し、第2ユニット22がロボット制御装置20の直方体の部分の正面と背面と底面とを構成する。すなわち、第1ユニット21は、開口部が矩形の筒状体であり、第2ユニットは、底面から正面と背面とが垂直に延びることで形成された構造体である。
このような面を有する構成において、第2ユニット22の背面は第1ユニット21の開口部から挿入可能な大きさおよび形状である。また、第2ユニット22の背面を第1ユニット21の開口部に挿入した状態で、第1ユニット21の底面の上に第2ユニット22の底面を配置させながら前後(正面および背面に垂直な方向)に移動させることが可能である。従って、本実施形態においては、セル40に設置された第1ユニット21から第2ユニット22を引き出すことが可能である。
さらに、第1ユニット21は、当該第1ユニット21の第2ユニット22への挿入量を規制し、第1ユニット21の第2ユニット22からの引き出しは規制しない規制部を備えている。具体的には、第2ユニット22を第1ユニット21に挿入し、第2ユニットの背面が第1ユニット21の背面側の端面と一致した状態よりも奥側に第2ユニット22を挿入できないように規制するストッパが第1ユニット21に設けられている。当該ストッパは種々の構成によって実現可能であり、例えば、図5Bに示す斜視図には第1ユニット21に突出部210cが設けられ、当該突出部210cが第2ユニット22に接触することで挿入が規制される構成が示されている。
この構成であれば、規制部により、第1ユニット21に対する第2ユニット22の過度の挿入が防止されて適正な位置決めがなされる。一方、第2ユニット22の引き出しの際には規制部によって規制されないため、第2ユニット22を第1ユニット21から引き出すことができる。むろん、第2ユニット22が第1ユニット21の規制部に規制された状態において、ネジ等によって第1ユニット21と第2ユニットとが固定されても良い。
以上の構成によれば、ロボット制御装置20がセル40に設置された状態において、第2ユニット22を第1ユニット21から分離し、作業しやすい場所に運ぶことができる。従って、第2ユニット22が備えるロボット制御部を容易にメンテナンスすることが可能である。
(1−2)第2ユニットの内部構成:
図2Bは、第2ユニット22の内部構造を示す斜視図である。同図に示すように、第2ユニット22には、複数の基板が取り付けられている。具体的には、第2ユニット22には、電源基板220と駆動基板221と制御基板222とが取り付けられている。
電源基板220は、電源回路を備えている。電源基板220に形成された電源回路は、駆動基板221および制御基板222に供給するための電力を生成する回路であり、外部電源から供給される電力(本実施形態においてはUPSから供給される電力)の周波数および電圧を変換し、各基板に供給する。このために、電源基板220には複数のトランスやノイズフィルターなどの実装部品220aが実装されている。
駆動基板221は、電源基板220から供給された電力によってロボット30を駆動する駆動回路を備えている。駆動基板221に形成された駆動回路は、ロボット30が備える各モーターを駆動するための回路であり、1個のモーターに供給するための電力を1個のチップで生成する。従って、本実施形態においては、複数個のモーターのそれぞれに電力を供給するために、駆動基板221にチップが複数個(221a〜221f)実装されている。本実施形態において、チップ221a〜221fは、電源基板220から供給された電力の周波数と電圧とを三相交流に変換する回路を備えており、ロボット30の各モーターは三相交流で駆動される。
以上のように、本実施形態においては、ロボット30が備える各駆動部が単一の駆動基板221上の駆動回路によって駆動される。すなわち、本実施形態においては、1個のモーターに供給するための電力を1個のチップ(221a〜221fのいずれか)で生成しており、全てのチップ221a〜221fが単一の駆動基板221上に実装されている。従って、本実施形態においては、ロボット30のモーターに対して供給すべき全ての電力が一枚の駆動基板221上の駆動回路で生成されている。従って、複数の駆動部を複数の駆動基板で駆動する構成と比較して、薄い空間内に駆動回路を形成することができる。従って、容易にロボット制御装置20を薄型化することができる。
制御基板222は、ロボット30を制御する制御回路を備えている。制御基板222に形成された制御回路は、ロボット30の動作を制御する回路であり、CPU,ROM,RAM等によって構成される制御部222aを備えている。制御部222aは、所定の制御プログラムを実行可能であり、当該制御プログラムに従って制御部222a等がロボット30に対して制御信号を出力することで、ロボット30に所定の動作を実行させる。
ロボット制御装置20は、上述の電源基板220と駆動基板221と制御基板222とを備えているが、本実施形態において、駆動基板221および制御基板222は、電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置されている。ここで、電源基板220において、その最大高さ部分は電源基板220の実装部品220aの中で最も高さの高い部分であり、最大高さ部分の高さ方向の範囲は、実装部品220aの中で最も高さの高い部分の高さ(図2Bに示すHmax)と電源基板220の厚さとの和によって形成される範囲Rである。すなわち、電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲Rは、電源基板220の高さ方向の両端に挟まれた範囲である。
本実施形態においては、駆動基板221と制御基板222とが当該範囲Rに含まれるように、すなわち、範囲Rよりも高さ方向の上下にはみ出さないように配置されている。従って、本実施形態においては、電源基板220、駆動基板221および制御基板222からなる構造体の高さが、電源基板220の最大高さを超えることはない。このため、電源基板220、駆動基板221および制御基板222を備えるロボット制御装置20の高さ方向の大きさが過度に大きくなることを防止することができる。このため、ロボット制御装置20を小型化することが可能になる。
なお、本実施形態においては、駆動基板221と制御基板222とが、電源基板220と同一平面上に配置されることにより、駆動基板221および制御基板222が電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に含まれるように構成されている。以上の構成であれば、電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に駆動基板221を容易に配置することが可能になる。また、以上の構成によれば、各基板が同一平面上に配置されていない構成と比較して、各基板や基板上の回路、実装部品等の視認性が向上し、部品等に関する作業も容易になる。
さらに、各基板が同一平面上に配置されていない構成と比較して、回路設計の自由度が高くなる。例えば、各基板が同一平面上に配置されていない構成において、基板間に接続される内部配線の端子を基板の縁に配置すると作業性が低下するため、端子の位置が制約されやすい。しかし、各基板が同一平面上に配置されていれば、端子を基板の縁に配置しても内部配線を接続可能である。
なお、ロボット制御装置20の内部に配置される回路においては、一般に、外部電源から電力の供給を受けて電力変換等を行う電源回路の容積が最も大きい。すなわち、電源基板220上に電源回路を構成するためには、トランスなど、基板の実装面から高さ方向に基板厚よりも大きい高さを有するバルク状の部品が必要になる。一方、駆動基板221においては、電源基板220で処理済みの電力を受けモーター駆動用の三相交流を生成すれば良いため、バルク状の部品の高さを、電源基板220上の実装部品220aよりも小さいチップ221a〜221fとすることができる。制御基板222においても同様であり、バルク状の部品の高さを、電源基板220上の実装部品220aよりも小さくすることができる。
従って、本実施形態においては、電源基板220の最大高さ>駆動基板221の最大高さであり、かつ、電源基板220の最大高さ>制御基板222の最大高さとなる。このため、本実施形態のように、駆動基板221および制御基板222を、電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置することにより、ロボット制御装置20の高さを薄くすることが可能になる。
さらに、本実施形態においては、電源基板220と駆動基板221と制御基板222とが、これらの電源基板220と駆動基板221と制御基板222を筐体の上面から見た場合に重ならない位置に配置されている。すなわち、複数の基板を底面に垂直な方向に投影した場合に、底面上での複数の基板の投影図が重ならない構成となっている。この構成によれば、ある基板のメンテナンスを行う際に他の基板が障害になりにくい。
本実施形態においては、電源基板220、制御基板222が正面側に配置され、駆動基板221が背面側に配置されており、複数の基板のうち外部配線へのインターフェイスが最も多い基板は、複数の基板のうち外部配線へのインターフェイスが最も少ない基板よりも、筐体の内部において筐体の正面の近くに配置されている。すなわち、第1ユニット21および第2ユニットを備える筐体内の電源基板220、駆動基板221、制御基板222には筐体の外部に存在する外部配線によって電力や信号が供給され、また、筐体内の基板から外部配線によって外部のロボット30等に電力や信号が供給される。
図2Bに示すように、第2ユニット22の正面には各種のコネクタを取り付けるための穴が形成されており、これらの穴を通して筐体内の各基板と外部の装置(UPSやロボット30等)が接続される。当該コネクタには外部配線を接続する必要があるため、少数の箇所に集約されていることが好ましく、本実施形態においては、第2ユニット22の正面のみに外部配線を接続できるようにコネクタのための穴が設けられている(第2ユニット22の正面以外の面にはコネクタの穴が設けられていない)。
通常、基板から延びる内部配線をコネクタ等の接続部を介して外部配線に接続するが、このような接続を行うために接続すべき内部配線の数は基板によって異なる。そこで、外部配線へのインターフェイス(本例では外部配線に接続される内部配線)が最も多い基板は、外部配線へのインターフェイスが最も少ない基板よりも、筐体の内部において筐体の正面の近くに配置されている構成とすれば、筐体内の内部配線を可能な限り筐体の正面に集約することができる。図3Aは、電源基板220,駆動基板221,制御基板222から第2ユニット22の正面に取り付けられるコネクタへ延びる内部配線を模式的に示す図であり、太い曲線によって内部配線を示している。本実施形態においては、同図3Aに示すように、制御基板222に接続される内部配線の数>電源基板220に接続される内部配線の数>駆動基板221に接続される内部配線の数である。
各内部配線はコネクタ等の接続部に接続され、接続部には外部配線が接続されるため、接続される内部配線の数が制御基板222>電源基板220>駆動基板221となっている本実施形態においては、外部配線へのインターフェイスが最も多い基板は、外部配線へのインターフェイスが最も少ない基板よりも、筐体の内部において筐体の正面の近くに配置されていることになる。一方、図3Bは、第2ユニット22内での電源基板220,駆動基板221,制御基板222の位置を変更し、外部配線へのインターフェイスが最も少ない駆動基板221を筐体の正面の近くに配置した場合の構成例を示している。ここでも、太い曲線によって内部配線を示している。
図3Bに示すように、外部配線へのインターフェイスが少ない基板がインターフェイスが多い基板よりも筐体の内部において筐体の正面の近くに配置されている構成においては、当該配置ではない図3Aに示す構成と比較して、内部配線の長さが長くなってしまう。すなわち、外部配線へのインターフェイスが多い基板が筐体の正面から遠い位置に配置されていると、多数の内部配線において長い配線が必要になる。この結果、内部配線の取り回しが困難になるとともに筐体内に多くの内部配線が存在することになってしまう。しかし、外部配線へのインターフェイスが相対的に多い基板が相対的に少ない基板よりも正面の近くに配置されていれば、内部配線を最小化することが可能になる。さらに、外部配線への接続部が筐体の正面に集約されていると、ロボット制御装置20の利用者は、ロボット制御装置20の正面においてのみ外部配線の接続作業をすれば良く、メンテナンス作業が極めて容易になる。
さらに、本実施形態においては、図2Bに示すように第2ユニットの背面にファン221gが設けられている。すなわち、第2ユニットの背面においては、駆動基板221の上部かつ筐体の内側にファン221gの本体が配置されるようにファン221gが取り付けられている。この結果、本実施形態においては、電源基板220および制御基板222よりも駆動基板221に近い位置にファン221gが配置された状態となる。
本実施形態においてロボット30は複数の駆動部を備え、各駆動部を駆動するモーターがチップ221a〜221fで駆動される。これらのチップ221a〜221fは、モーターを駆動するための電力を生成するための電力変換部等を備えているため、駆動基板221上には、ロボット30のモーターの数と同数の発熱体(チップ221a〜221f)が存在することになる。そこで、電源基板220よりも駆動基板221に近い位置にファン221gを配置すれば、効率的に駆動基板221のチップ221a〜221fを冷却することが可能になる。
なお、本実施形態においてファン221gは筐体の背面に取り付けられる(図5B参照)ため、筐体の正面側で作業し得る利用者と遠い位置にファン221gを配置することができ、騒音対策になる。さらに、本実施形態においては、ファン221gが第2ユニット22の背面に位置するため、第2ユニット22を第1ユニット21から引き出すことによってファン221gとともに第2ユニット22を第1ユニット21から分離することが可能であり、容易にファン221gのメンテナンスを行うことが可能になる。
以上のように、本実施形態においては、駆動基板221および制御基板222を、電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置することにより、ロボット制御装置20を薄型化する構成が採用されている。この結果、ロボット制御装置20の筐体の高さが70mmとなり、ラックマウントの規格の2U(1.75インチ×2)の範囲に設置可能なロボット制御装置20を提供することができる。
(1−3)カバーの構成:
図4A,図4Bはカバー230、図4C,図4Dはカバー231、図4Eはカバー211、図4Fはカバー210の構造を示す斜視図である。なお、図4Aはカバー230を図2Aと同様の方向から見た状態、図4Bはカバー230を図2Aの背面側から見た状態であり、図4Cはカバー231を図2Aと同様の方向から見た状態、図4Dはカバー231を図2Aの背面側から見た状態である。図4Eおよび図4Fは、カバー211,210を図2Aと同様の方向から見た状態であり、各カバー211,210を分離した状態で示している。
カバー230は、図4A,図4Bに示すように薄い板状の部材によって構成され、直方体の6面のうち、2面(図2Aに示す方向における背面と1個の側面)が省略された概略形状であり、1個の稜が丸い形状となっている。カバー231は、図4C,図4Dに示すように、カバー230と同様の構造であるが、直方体の6面から省略された側面がカバー230と異なる位置の側面である。すなわち、カバー230は、図2Aに示す筐体の正面においてカバー210側に取り付けられ、この状態において当該カバー210側が開口する形状であり、カバー231は、図2Aに示す筐体の正面においてカバー211側に取り付けられ、この状態において当該カバー211側が開口する形状である。さらに、カバー230,231では長さと高さが異なる。すなわち、カバー230は、カバー231よりも図2Aに示す幅方向の長さが長く、カバー230は、カバー231よりも図2Aに示す高さ方向の長さが短い。この結果、カバー230が第2ユニット22の正面に取り付けられた状態においてカバー230の上方に通気口が露出し、カバー230,231の間において第2ユニット22の正面の一部のコネクタが露出するように構成されている。
カバー211は、図4Eに示すように薄い板状の部材によって構成され、矩形の薄い板状の第1部材211aと、互いに直交する2個の矩形の面を備える第2部材211bとを備える。第1部材211aの矩形の面と、第2部材211bが備える小さい方の矩形の面はほぼ同一の形状であり、両面を対向させた状態で第1部材211aを第2部材211bに取り付けることができる。カバー210は、図4Fと同様の構造である。なお、本実施形態においてカバー210,211は、図2Aの奥行き方向の長さが同一であり、第1ユニット21の奥行き方向の長さよりも短い。むろん、カバー210,211の長さは異なっていてもよい。例えば、カバー210,211の一方において、奥行き方向の長さが第1ユニット21の奥行き方向の長さと一致していてもよい。
カバー230,231およびカバー210,211は、各カバーの内側(カバーと筐体の外面との間)の空間が外部配線の通路となるように筐体に取り付けられる。具体的には、カバー230,231はロボット制御装置20の筐体の正面に取り付けられる。また、各カバー230,231とロボット制御装置20の筐体の正面とで形成される空間が側面側で開口するように各カバー230,231が取り付けられる。図5A、図5Bは、ロボット制御装置20の正面の接続部(コネクタ等)に外部配線が取り付けられた状態で、カバー230,231およびカバー210,211がロボット制御装置20の筐体に取り付けられている状態を示す斜視図である。
同図5A,図5Bにおいては黒い実線の曲線で外部配線を示しており、図5Aは正面側、図5Bは背面側からロボット制御装置20を眺めた状態を示す図である。本実施形態において、カバー230,231がロボット制御装置20の筐体の正面に取り付けられると、同図5A,図5Bに示すように、側面側に開口部が形成される。本実施形態においてはロボット制御装置20の筐体の正面の接続部に接続された外部配線がカバー230,231と筐体の正面との間を通り、側面側の開口部側に引き回されている。
カバー210,211は、ロボット制御装置20の筐体の側面に取り付けられる。カバー210,211が側面に取り付けられると、各カバー210,211とロボット制御装置20の筐体の側面との間に空間が形成され、正面側と背面側とが開口した状態になる。本実施形態においてはカバー230,231とロボット制御装置20の筐体の正面との間に形成される開口部から引き回された外部配線が、カバー210,211と筐体の側面との間を通り、背面側に引き回されている。以上のように、本実施形態においては、カバー230,231,210,211によって正面および側面に沿って外部配線が背面側へ引き回されている。なお、第2ユニット22の正面においては、カバー230,231に覆われていないコネクタも存在する。これらのコネクタに接続される外部配線は、例えば、利用者が第2ユニット22の正面において作業をする際等に利用される。
本実施形態において、カバー230,231は着脱可能である。カバー230,231を着脱可能にするための構成は、種々の構成を採用可能であり、例えば、ネジ等によって着脱する構成等を採用可能である。さらに、本実施形態においては、図2Bに示すように、第2ユニット22の正面(ロボット制御装置20の筐体の正面)のみに外部配線の接続部が設けられている。従って、利用者は、ロボット制御装置20がセル40に設置され、カバー230,231が取り外された状態で第2ユニット22の正面に存在する接続部に容易に外部配線を着脱することが可能である。
さらに、本実施形態においては、ロボット制御装置20がセル40に設置された状態で第1ユニット21から第2ユニット22を引き出して両者を分離することが可能である。そして、第2ユニット22の正面の接続部から外部配線を取り外した状態で第2ユニット22を第1ユニット21から引き出せば、外部配線を第1ユニット21側(カバー210および211と第1ユニット21の側面との間)に残した状態で第2ユニット22を引き出すことが可能である。従って、外部配線を接続部から取り外した状態とすれば、外部配線に負荷を与えることなく設置部に設置された状態の第2ユニット22を容易に引き出すことが可能である。
また、第2ユニット22を第1ユニット21に取り付ける際には、第1ユニット21がセル40に設置された状態で第1ユニット21に第2ユニット22を挿入し、その後、接続部に外部配線を取り付ければ良い。従って、第2ユニット22の内部に設置される各基板のメンテナンスをする際に外部配線を引き出す必要はなく、ロボット制御装置20がセル40に設置された後、外部配線を引っ張るなどの作業は発生しない。このため、本実施形態においては、外部配線の長さがセル40に設置可能な長さになるように予め決められた状態に固定することが可能である。従って、外部配線の余長管理が容易になる。
さらに、以上の構成において、外部配線は、カバー230,231,210,211によって形成される既定の通路を通り、ロボット制御装置20の正面から側面に沿って背面の方向に向けられることになる。従って、ロボット制御装置20においては、カバー230,231に覆われた接続部に接続された全ての外部配線を正面から背面に引き回すことが可能になる。また、カバーによって外部配線が引き回されるため、外部配線の長さはカバーによって規定され、過度に長くなることがない。従って、ロボット制御装置20の外部における外部配線の管理が容易になる。
さらに、カバー230,231は、第2ユニット22の正面から着脱可能であるため、筐体から取り外した状態で外部配線を筐体の正面に接続することが可能になり、接続作業が容易になる。また、カバー210は、第1部材210aおよび第2部材210bに分離可能であり、カバー211は、第1部材211aおよび第2部材211bに分離可能である。従って、第1ユニット21の側面に第2部材210b、211bが取り付けられた状態で第1部材210a,211aを取り外せば、外部配線を第1ユニット21の側面とカバー210,211との間に配置する作業を極めて容易に行うことが可能である。
さらに、本実施形態においては、カバー210,211によって外部配線を背面側に引き回すことが可能であり、第1ユニット21の側面において外部配線のために過度に広い空間が必要にならない。従って、幅方向の長さが規定され得る構成、例えば、ラックマウントに設置可能なロボット制御装置20等において、幅方向の端面を構成する側面側に外部配線のために過度に広い空間を確保する必要がない。このため、幅方向の長さが規定され得る構成であっても、ロボット制御装置20の幅を過度に小さくする必要はなく、ロボット制御装置20の内部空間を十分に広くすることができる。
さらに、カバー210,211の奥行き方向の長さは第1ユニット21の奥行き方向の長さより短い。すなわち、カバー210,211における背面側の端面は、筐体の背面よりも正面側に位置する。従って、図5A,図5Bに示す外部配線Iのように、外部配線を背面側ではなく側面側から他の部位へ引き回すことが可能になる。
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ロボットシステム10の態様は、図1Aに示す態様に限定されず、双腕ロボットや人型ロボット、スカラーロボットなど、他のいかなるロボットであっても良い。さらに、ロボット制御装置は薄型であればよく、駆動基板221が電源基板220の最大高さ部分の高さ方向の範囲外に存在する構成で薄型化を図ってもよい。すなわち、電源基板220の厚さ方向において、電源回路が設けられた電源基板の面と駆動回路221が設けられた駆動基板の面との間の距離が、電源基板220の最大高さ(図2Bに示すR)よりも短い構成であっても良い。
さらに、上述のロボット制御装置20の構成の一部が省略、または置換された構成であっても良い。例えば、カバー230,231の少なくとも一部が省略され、主に、側面のカバー210,211によって外部配線が筐体の正面および側面に沿って背面に引き回される構成であってもよい。
さらに、ロボット制御装置20に対して他の構成が追加されていてもよい。例えば、第2ユニットに、底面に平行な把手が設けられている構成であっても良い。図5Cは、当該把手を備える第2ユニット22aの一部を抜き出して示す斜視図である。同図5Cにおいて、第2ユニット22aは第2ユニット22とほぼ同様の構成であるが、その正面に把手22bを備える点で両者は異なっている。把手22bは、棒状の部材によって構成されており、第2ユニット22aの正面に垂直に延びる2本の部位と、各部位をつなぐように第2ユニット22aの正面に平行に延びる1本の部位とを備えている。
各部位が延びる方向は、第2ユニット22aの底面に対して平行であり、この意味で把手22bは底面に平行である。図5Cに示す例において、把手22bは、第2ユニット22aの正面の下部に取り付けられているため、当該正面の裏側に存在する第2ユニット22aの底面に近い位置に取り付けられている。以上の構成によれば、利用者は把手22bを利用して容易に第2ユニット22を引き出すことが可能である。また、把手22bによって第2ユニット22aに作用する力が第2ユニット22aの正面を撓ませるよりも、底面を引き出す力として作用しやすく、この意味でも利用者は容易に第2ユニット22を引き出すことが可能である。
さらに、図5Cに示す構成において、筐体の正面側における把手22bの端面E2は、当該正面側における筐体の端面E1よりも背面側に存在する。このため、第2ユニット22aを第1ユニット21に挿入した状態において、最も正面側に位置する端面は筐体の端面E1であり、把手22bの端面E2は筐体の端面E1より奥側(背面側)に位置している。この構成によれば、把手22bが正面側に突出することがなく、カバー230,231等に関して利用者が作業する際に、把手22bが利用者等の作業等の障害になることはない。
電源基板は、電源回路を含んでいれば良く、電源回路は、他の回路(他の基板やロボット)に供給するための電力を生成することができればよい。このような電源回路は、例えば、ロボット制御部の設置箇所にて供給される外部電源(例えば商用電源)から電力の供給を受け、電圧変換や周波数変換(直流/交流の変換を含む)を行って他の回路に供給するための電力を生成する回路によって構成可能である。
駆動基板は、電源基板から供給された電力によってロボットを駆動する駆動回路を含んでいれば良く、駆動回路は、ロボットを駆動することができればよい。すなわち、ロボットは、少なくとも1個以上の駆動部が駆動されることによって所定の機能を実現するように構成されており、駆動回路は当該駆動部を駆動する回路によって構成される。ロボットの駆動部は、種々の機構によって駆動されて良く、例えば、モーターやソレノイド等を備える駆動部が動作することによってロボットの駆動部(関節等)が駆動される構成等が挙げられる。
なお、ロボット制御装置の内部に配置される回路においては、一般に、外部電源から電力の供給を受けて電力変換等を行う電源回路の容積が最も大きい。すなわち、電源回路を構成するためには多くの場合、基板の実装面から高さ方向に基板厚よりも大きい高さを有するバルク状の部品(トランス等)を実装する必要がある。一方、駆動基板は、電源基板によって外部電源からの供給電力が変換された後の電力を使用する駆動回路を備えるため、一般に、電源回路の容積よりも小さい容積によって駆動回路を構成可能である。
このような場合、電源基板の最大高さ>駆動基板の最大高さとなるため、駆動基板を、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置することにより、ロボット制御装置の高さを薄くすることが可能になる(ロボット制御装置の高さの制約が実質的に電源基板の最大高さに限定され、他の基板に影響されない)。なお、駆動基板が備える駆動回路において、電力変換や電力の周波数変換を行う回路が備えられていても良いが、これらの回路は、外部電源から直接的に電力を供給される回路ではないため、駆動回路の構成部品は電源回路の構成部品より小さい。このため、電源基板の最大高さ>駆動基板の最大高さという状態を実現することができる。
駆動基板を、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置するための構成としては、種々の構成が採用可能である。すなわち、駆動回路を含む駆動基板の高さ方向の上端の位置が、電源回路を含む駆動基板の高さ方向の上端の位置より下方(または等しい位置)であり、駆動回路を含む駆動基板の高さ方向の下端の位置が、電源回路を含む駆動基板の高さ方向の下端の位置より上方(または等しい位置)であればよく、この範囲であれば、任意の位置に駆動基板を配置可能である。なお、高さ方向は、基板の実装面に垂直な方向であれば良く、当該方向を高さ方向とした場合において、高さ方向に垂直であるとともに互いに直交する2方向に幅方向と奥行き方向とを定義することが可能である。
なお、ロボット制御装置において最も大きい容積を占める(高さ方向に最も高い部品を有する)のは、一般的に電源回路であるため、駆動基板を、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置することにより、ロボット制御装置を容易に薄型化することが可能になる。また、ロボット制御装置の内部において薄型化の制約となる最大の要因が電源基板である状況であれば、電源基板の最大高さ部分を収容可能な筐体によってロボット制御装置を構成することで薄型化が実現される。
従って、このようにして薄型化されたロボット制御装置においては、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に含まれるのであれば、他の部品が筐体内に内蔵されていても良い。この場合、他の部品としては、バルク状の部品であっても良いし、他の基板であっても良い。他の基板は、電源基板や駆動基板と平行である(電源基板の実装面に垂直な基板が存在しない)ことが好ましいが、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に含まれるのであれば他の基板が電源基板の実装面に垂直に向いていても良い。
電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に含まれるように駆動基板を配置する構成例として、駆動基板が、電源基板と同一平面上に配置されている構成を採用してもよい。当該構成であれば、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に駆動基板を容易に配置することが可能になる。また、以上の構成によれば、各基板が同一平面上に配置されていない構成と比較して、各基板や基板上の回路、実装部品等の視認性が向上し、部品等に関する作業も容易になる。むろん、ロボット制御装置が、他の基板、例えば、ロボットを制御する制御回路を含む制御基板を備える構成において、当該他の基板が電源基板と同一平面上に配置されている構成であっても良い。
基板を同一平面上に配置するためには、回路設計の自由度が高くなるように構成されていれば良い。例えば、各基板が同一平面上に配置されていない構成において、基板間に接続される内部配線(ロボット制御装置の内部の配線を内部配線、外部の配線を外部配線と呼ぶ)の端子を基板の縁に配置すると作業性が低下するため、端子の位置が制約されやすい。しかし、各基板が同一平面上に配置されていれば、端子を基板の縁に配置しても内部配線を接続可能であり、回路設計の自由度が高くなる。なお、同一平面上に基板が配置される状態は、各基板の基準位置(例えば,基板の底面や基板の実装面)が実質的に同一の平面上に配置されるようにして実現されていれば良く、多少の誤差(例えば、±10mm程度の取り付け位置の差異や基板の反り等)が存在したとしても各基板は同一平面上に存在すると見なされる。
筐体内に基板を備える構成において、筐体内の基板には各種の端子や内部配線を介して電力や信号が供給され、また、電力や信号が外部に送られる。このため、筐体の外面には、外部配線への接続部が設けられる必要がある。なお、接続部は、コネクタ等によって構成され、少数の箇所(好ましくは一カ所(多面体の筐体であれば特定の面))に集約されていることが好ましい。すなわち、接続部が多数の箇所に分散していると、メンテナンスが困難になる。例えば、接続部に対する外部配線の接続作業が繁雑となり、余長管理等も困難になる。
そこで、複数の基板のうち外部配線へのインターフェイスが最も多い基板は、複数の基板のうち外部配線へのインターフェイスが最も少ない基板よりも、筐体の内部において前記筐体の正面の近くに配置されている構成とすれば、筐体内の内部配線の多くを筐体の正面に集約することが容易になる。なお、外部配線への接続部(コネクタ等)が筐体の正面に集約されていると、ロボット制御装置の利用者は、ロボット制御装置の正面においてのみ外部配線の接続作業をすれば良く、メンテナンス作業が極めて容易になる。筐体の正面は、ロボット制御装置が設置部(セル等)に設置され、稼働する状態において、筐体から見て作業者が存在する方向の面であれば良い。この場合、筐体から見て作業者が存在する方向と逆側が背面となる。正面と背面以外はロボット制御装置の設置部への設置方向において変化し得るが、ロボット制御装置がほぼ直方体であるとともに薄い箱形の筐体である場合に、正面と背面に挟まれた面の中の大きい2面の一方を上面、他方を底面、残りの面を側面と見なすことができる。
一般にロボットは多関節であって各関節を個別に駆動するための個別の駆動部(モーターやソレノイド等)を複数個備える。駆動基板は、ロボットを駆動するための駆動回路を備えるため、複数の駆動部を駆動するための個別の回路(例えば、電力変換部等)を備える場合が多い。従って、駆動基板が備える駆動回路には複数個の発熱体(回路)が存在する場合が多い。このため、電源基板よりも駆動基板に近い位置に配置されたファンを備える構成であれば、効率的に駆動基板の駆動回路を冷却することが可能になる。むろん、筐体内に電源基板と駆動基板以外の基板が存在する場合、ファンに最も近い位置に駆動基板を配置することが好ましい。
ファンが筐体の正面と異なる面に位置する構成において、正面と異なる面は、側面、背面、上面、底面のいずれであっても良いが、利用者と最も遠い面である背面にファンが設けられていれば、より騒音低減効果が高く好ましい。
ロボット制御装置の高さが30mm以上89mm以下である構成は、駆動基板を、電源基板の最大高さ部分の高さ方向の範囲内に配置することにより、容易に実現することが可能である。そして、当該高さの範囲は種々の値を採用可能であり、高さを1.75インチ(約44.45mm)以下とすれば、1Uの範囲に設置可能なロボット制御装置を提供することが可能である。
ロボット制御装置に接続される外部配線の少なくとも一部が、カバーによって正面および側面に沿って外部配線が引き回される構成においては、カバーに覆われた接続部に接続された全ての外部配線を正面から背面に引き回すことが可能になる。また、カバーによって外部配線が引き回されるため、外部配線の長さはカバーによって規定され、過度に長くなることがない。従って、ロボット制御装置の外部における外部配線の管理が容易になる。
カバーは、筐体に取り付けられた状態で外部配線の通路を形成する部材であれば良く、当該通路が形成されることによって、外部配線が引き回される方向が特定されるように構成されていれば良い。例えば、筐体の面(正面や側面)に対向する面を有するカバーを構成すれば、当該対向する面と筐体の面との間が外部配線の通路となるカバーを構成することができる。カバーは、外部配線の通路を形成していれば良く、形状は限定されない。また、ロボット制御装置が備える外部配線の数に応じて形状が決定されて良い。さらに、カバーは第2ユニットに取り付けられていても良いし、第1ユニットに取り付けられていても良い。
筐体の外面において、筐体の正面のみに外部配線の接続部が設けられている構成においては、ロボット制御装置を設置部に設置する前に事前に外部配線を接続部に接続する必要はなく、設置部における外部配線の長さや経路を予め決められた状態に固定しても、ロボット制御装置に対する外部配線の接続が可能になる。従って、外部配線の管理が容易になる。また、外部配線を接続部から取り外した状態とすれば、外部配線に負荷を与えることなく設置部に設置された状態のロボット制御装置を容易に取り外すことが可能である。
カバーの少なくとも一部が着脱可能である構成において、カバーにおいて取り外し可能な部位は、外部配線の接続作業を容易にするような形状および大きさであれば良く、カバー全体が取り外し可能であっても良い。また、複数のカバーが筐体に取り付けられる構成において、その一部が取り外し可能であっても良い。
幅方向の長さが規定され得る構成、例えば、ラックマウントに設置可能なロボット制御装置等において、外部配線が、筐体の側面に沿って筐体の背面側に引き回されている構成とすれば、幅方向の端面を構成する側面側に外部配線のために過度に広い空間を確保する必要がなく、ロボット制御装置として利用可能な空間として広い空間を確保することができる。
第2ユニットを、第1ユニットから引き出すことによって第1ユニットと分離可能である構成においては、第2ユニットは第1ユニットから分離することができるため、第2ユニットのメンテナンスを行うために、ロボット制御部の左右に広い空間は必要ない。従って、容易にメンテナンスを行うことが可能なロボット制御部を提供することが可能である。
筐体は、第1ユニットと第2ユニットとを有していれば良く、これらの第1ユニットと第2ユニットとを含む筐体が、ロボット制御装置の外面を構成することで筐体を形成する。なお、ロボット制御部が設置部に設置される場合、筐体の一部、例えば、第1ユニットが設置部に対して固定されることが好ましい。
ロボット制御部は、ロボットを制御するための回路を備えており、回路を含む1以上の基板によって構成され得る。むろん、基板状の回路以外の回路、部品等によって構成されても良い。当該回路は、種々の機能を有する回路によって構成されて良く、例えば、外部電源から電力を供給され、電圧変換や周波数変換を行う回路や、ロボットの駆動部(モーターやアクチュエーター等)を駆動するための回路や、ロボットの可動部の動作を制御するための回路等が挙げられる。
第2ユニットは第1ユニットから引き出すことによって第1ユニットと分離可能であれば良い。従って、第2ユニットは第1ユニットに対して少なくとも1方向に移動させることが可能であり、第2ユニットと第1ユニットとが接触していない状態となるまで移動させることにより、第2ユニットを第1ユニットから分離できるように構成されていれば良い。
第2ユニットを第1ユニットから引き出すための構成としては、種々の構成を採用可能であり、第2ユニットを第1ユニットに対して少なくとも1方向に相対的に移動させることができればよい。例えば、第1ユニットと第2ユニットとの接触部位が第2ユニットを一方向に移動させる形状となっている構成等を採用可能である。当該接触部位は第2ユニットの移動方向を規制するレール等であっても良いし、接触部位の形状自体が第2ユニットの移動方向を規制する形状であっても良い。後者としては、例えば、第1ユニットに第2ユニットを嵌めることができる凹部が形成されている構成や、第1ユニットが第2ユニットを挿入可能な形状である構成等が挙げられる。
規制部の構成としては、種々の構成を採用可能であり、第2ユニットの端面等の所定部位に接触することによって第2ユニットの移動を規制するストッパ等によって構成可能である。むろん、第2ユニットは、移動が規制された状態で第1ユニットに対して固定可能であっても良い。
筐体は任意の形状であって良いが、筐体が直方体の部分を有し、第1ユニットが筐体の直方体の部分の上面と底面と側面とを構成し、第2ユニットが筐体の直方体の部分の正面と背面と底面とを構成しても良い。すなわち、第1ユニットが直方体における上面と底面と側面を構成し、第2ユニットが直方体における正面と背面と底面とを構成する場合、第1ユニットの底面の上に第2ユニットの底面を配置させながら前後(正面および背面に垂直な方向)に移動可能な構成とすれば、直方体の筐体において第1ユニットから引き出し可能な第2ユニットを構成することができる。この場合、第2ユニットは第1ユニットが備える各面の内側に挿入できるような大きさであれば良い。
なお、第1ユニットが備える側面は、2面であっても良いし1面であっても良い。すなわち、側面が2面であれば矩形の開口部を有する筒状体によって第1ユニットが構成され、側面が1面であれば矩形の開口部を有する筒状体の1面が存在しない3面の構造体で第1ユニットが構成される。
ファンが筐体の正面と異なる面に位置する構成において、正面と異なる面は、側面、背面、上面、底面のいずれであっても良いが、利用者と最も遠い面である背面にファンが設けられていれば、より騒音低減効果が高く好ましい。さらに、ファンが背面に位置する構成であれば、第2ユニットを第1ユニットから引き出すことによってファンとともに第2ユニットを第1ユニットから分離することが可能であり、容易にファンのメンテナンスを行うことが可能になる。
筐体の正面のみに外部配線の接続部が設けられている構成においては、設置部に設置された第1ユニットに第2ユニットを挿入した後に接続部への外部配線の着脱を行えばよい。従って、第2ユニットと第1ユニットとが分離した状態で接続部に外部配線を接続する必要はなく、設置部における外部配線の長さや経路を予め決められた状態に固定しても、接続部に対する外部配線の接続が可能になる。従って、外部配線の管理が容易になる。また、外部配線を接続部から取り外した状態とすれば、外部配線に負荷を与えることなく設置部に設置された状態の第2ユニットを容易に引き出すことが可能である。