以下の実施形態は、収納盤、蓄電装置、及び蓄電システムに関し、特に複数の蓄電池ユニットを収納可能な収納盤、蓄電装置、及び蓄電システムに関する。
(1)概要
本実施形態の収納盤2は、図1、図2及び図7に示すように、前面に開口部30が形成された箱状の盤本体3と、開口部30を塞ぐように盤本体3に取り付けられる蓋体4とを備えている。盤本体3は、蓄電池ユニット5(5A,5B)を収納する収納空間(第1収納空間S1、第2収納空間S2)と、第1保持部材35及び第2保持部材36とを有している。第1保持部材35及び第2保持部材36は、水平面内において前後方向と交差するスライド方向に離れて配置され、収納空間(第1収納空間S1、第2収納空間S2)に蓄電池ユニット5を保持する。第1保持部材35は、蓄電池ユニット5に設けられた第1取付部55(図11A参照)が第1保持部材35に対してスライド方向に移動して第1取付部55と第1保持部材35との一方が他方に挿入された状態で、前後方向への第1取付部55の移動を規制する。第2保持部材36は、蓄電池ユニット5に設けられた第2取付部56を着脱可能に保持することで、前後方向及びスライド方向への第2取付部56の移動を規制するように構成されている。
ここでいう「A」の「移動を規制する」とは、「A」が動かないように完全に固定することだけでなく、いわゆる「遊び」を残しつつも、「A」の移動可能な範囲を制限することも含む意味である。
要するに、本実施形態の収納盤2は、蓄電池ユニット5が盤本体3に対して相対的にスライド方向に移動することで、第1保持部材35にて前後方向への第1取付部55の移動を規制できる。収納盤2は、第1保持部材35にて前後方向への第1取付部55の移動が規制された状態で、第2保持部材36にて第2取付部56を保持することで、前後方向及びスライド方向への第2取付部56の移動を規制できる。このようにして、収納盤2は、第1保持部材35及び第2保持部材36にて収納空間(第1収納空間S1、第2収納空間S2)に蓄電池ユニット5を保持することができる。
したがって、本実施形態の収納盤2によれば、蓄電池ユニット5をスライド方向に移動させ、第2保持部材36にて第2取付部56を保持するだけで、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付けることができる。そのため、本実施形態の収納盤2では、蓄電池ユニット5の交換及び増設作業が簡単になる、という利点がある。
(2)詳細
以下、本実施形態の収納盤、蓄電装置、及び蓄電システムについて図面を参照して説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されない。したがって、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
また、以下では特に断りがない限り、収納盤2が床に設置された状態で、盤本体3を正面(開口部30側)から見たときの上下方向(鉛直方向)及び左右方向を、上下方向及び左右方向として説明する。つまり、図2において「上」、「下」、「左」、「右」の矢印で示す通りに上下左右の各方向を規定する。また、以下では、収納盤2が床に設置された状態で、盤本体3を正面(開口部30側)から見たときの奥行方向を前後方向とし、開口部30側を前方として説明する。つまり、図1において「前」、「後」の矢印で示す通りに前後の各方向を規定する。ただし、これらの方向は収納盤2の設置方向を規定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2.1)蓄電システム
図8は本実施形態の蓄電システムの概略構成図である。本実施形態の蓄電システムは、複数(本実施形態では2個)の蓄電装置1と、複数(本実施形態では2個)の電力変換装置8とを備えている。また、本実施形態の蓄電システムは、複数(本実施形態では2個)の太陽光発電装置9と、接続箱10と、分電盤11と、共用分電盤12と、バックアップ分電盤13とをさらに備えている。なお、図8において、電力線による接続関係は実線で示し、通信用の接続関係は破線で示している。
蓄電装置1は、図8に示すように、複数(本実施形態では2個)の蓄電池ユニット5と、複数の蓄電池ユニット5を収納する収納盤2とを備えている。本実施形態において、2個の蓄電池ユニット5を区別する場合には、鉛直方向における上側の蓄電池ユニット5を第2蓄電池ユニット5Bと表記し、下側の蓄電池ユニット5を第1蓄電池ユニット5Aと表記する。また、蓄電池ユニット5は、蓄電池50と、蓄電池50を収納する筐体51とを備えている。
電力変換装置8は、少なくとも蓄電装置1の電力を変換する機能を有している。電力変換装置8は、図8に示すように、インバータ(パワーコンディショナ)81と、自立制御部82(82A又は82B)と、複数のDC/DCコンバータ83と、DC/DCコンバータ84,85とを備えている。複数のDC/DCコンバータ83は、太陽光発電装置9が有する複数の太陽電池パネルに一対一に対応して設けられている。DC/DCコンバータ84,85は、2個の蓄電池ユニット5に一対一に対応して設けられている。
ここで、収納盤2の接地端子Ecは、図8に示すように、電線を介して共用分電盤12の接地端子Ecに接続されている。また、蓄電池ユニット5の筐体51の接地端子Ecは、電線を介して電力変換装置8の筐体86の接地端子Ecに接続されている。さらに、電力変換装置8の筐体86の接地端子Ecは、電線を介して共用分電盤12の接地端子Ecに接続されている。すなわち、本実施形態の蓄電システムでは、収納盤2の接地端子Ecと蓄電池ユニット5の筐体51の接地端子Ecとが直接接続されておらず、電力変換装置8の筐体86の接地端子Ecを介して間接的に接続されている。
言い換えれば、蓄電池ユニット5は電力変換装置8において接地され、収納盤2は分電盤(ここでは共用分電盤12)において接地されている。このように、蓄電装置1においては、蓄電池ユニット5は収納盤2を介さずに接地されるのであって、収納盤2と蓄電池ユニット5とが個別に接地されることになる。個別に接地するためには、収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とを電気的に絶縁する構成が必要である。収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とを電気的に絶縁する具体的な構成(絶縁シート39及び絶縁部材390)については後述する。
(2.2)収納盤
次に、収納盤2の具体的な構成について、図1〜図7Cを参照して説明する。
収納盤2は、盤本体3と、蓋体4とを備えている。盤本体3は、パネルブロック31と、複数(本実施形態では2個)の縦フレーム32Aと、複数(本実施形態では4個)の横フレーム32Bとを有している。また、盤本体3は、複数(本実施形態では4個)の支持バー33と、複数(本実施形態では2個)の支持台34と、複数(本実施形態では4個)の第1保持部材35と、複数(本実施形態では4個)の第2保持部材36とをさらに有している。
パネルブロック31は、金属製の複数枚のパネル(第1〜第5パネル311〜315)にて、前面が開口する縦長の矩形箱状に形成されている。パネルブロック31は、図5に示すように、上面を構成する第1パネル311と、下面を構成する第2パネル312と、右側面を構成する第3パネル313と、左側面を構成する第4パネル314と、後面を構成する第5パネル315とを有している。
第1パネル311は、左右方向に長い矩形板状である。第1パネル311には、第1配線孔311Aと第2配線孔311Bとが設けられている。第1配線孔311Aは、図3C及び図5に示すように矩形状に開口している。第1配線孔311Aは、第1パネル311を前後方向(図3Cの上下方向)に二等分する直線SLに対して後面側(第5パネル315側)で、かつ左右方向における右寄りの位置に設けられている。第1配線孔311Aは、矩形板状に形成された第1蓋板38Aによって塞がれている。また、第2配線孔311Bは、図3C及び図5に示すように矩形状に開口している。第2配線孔311Bは、直線SLに対して後面側で、かつ左右方向における左寄りの位置に設けられている。第2配線孔311Bは、矩形板状に形成された第2蓋板38Bによって塞がれている。
本実施形態では、図2に示すように、第1配線孔311Aを塞ぐ第1蓋板38Aに電線管42Aが取り付けられ、第2配線孔311Bを塞ぐ第2蓋板38Bに電線管42Bが取り付けられている。蓄電池ユニット5に電気的に接続される直流用の第1電線43Aは、電線管42Aを通って収納盤2内に引き込まれ、蓄電池ユニット5の背面側の空間を通して各蓄電池ユニット5に電気的に接続される。ヒータユニット6(後述する)に電気的に接続される交流用の第2電線43Bは、電線管42Bを通って収納盤2内に引き込まれ、蓄電池ユニット5の背面側の空間を通して端子台7(図2参照)に電気的に接続される。端子台7はヒータユニット6に電気的に接続されている。また、盤本体3の接地端子40(図1参照)と共用分電盤12の接地端子Ec(図8参照)とを電気的に接続する接地用の第2電線43Bも、電線管42Bを通って収納盤2内に引き込まれ、接地端子40に電気的に接続される。盤本体3の接地端子40は、収納盤2の接地端子Ec(図8参照)である。
具体例として、第1蓋板38Aには通線孔が形成され、通線孔の開口周縁に電線管42Aの端部が取り付けられることにより、第1電線43Aは第1蓋板38Aの通線孔を通して収納盤2内に引き込まれる。同様に、第2蓋板38Bには通線孔が形成され、通線孔の開口周縁に電線管42Bの端部が取り付けられることにより、第2電線43Bは第2蓋板38Bの通線孔を通して収納盤2内に引き込まれる。
第5パネル315は、図4A及び図5に示すように、鉛直方向に長い2枚の板材を左右方向において突き合わせた状態で、突合わせ部分で2枚の板材を溶接することにより、鉛直方向に長い1枚のパネルを構成する。第5パネル315における2枚の板材の突合わせ部分には、図6Bに示すように、前方に向けて突出するリブ315Aが一体に設けられている。2枚の板材の各々は突き合わせ部分が前方に折れ曲がった形状であって、これらの突き合わせ部分によってリブ315Aが構成されている。すなわち、本実施形態では、リブ315Aが第5パネル315と一体である。
本実施形態の収納盤2では、リブ315Aによって、第1配線孔311Aを通して収納盤2内に引き込まれた第1電線43Aと、第2配線孔311Bを通して収納盤2内に引き込まれた第2電線43Bとを左右方向に分けて配線することができる。つまり、収納盤2の内部空間がリブ315Aによって左右方向に2分割されることになる。そして、第1電線43Aについては、リブ315Aに対して第1配線孔311A側(本実施形態では右側)の空間を通し、第2電線43Bについては、リブ315Aに対して第2配線孔311B側(本実施形態では左側)の空間を通すことができる。
縦フレーム32Aは、金属製であって、鉛直方向に長尺に形成されている。縦フレーム32Aは、第5パネル315と第3パネル313とで構成される角部分、及び第5パネル315と第4パネル314とで構成される角部分にそれぞれ配置されている。縦フレーム32Aは、図5及び図6Aに示すように、長手方向(鉛直方向)に直交する断面形状がL字状のフレーム本体321と、取付片322とを有している。フレーム本体321は、第5パネル315の前面から前方に向けて突出する部分と、当該部分の前端縁から第5パネル315に沿ってリブ315Aとは反対側に向けて延長された部分とで、断面L字状に形成されている。取付片322は、フレーム本体321の後端縁から、第5パネル315に沿ってリブ315Aに向けて突出する形に形成されている。そして、縦フレーム32Aは、取付片322が第5パネル315に固定されることで、パネルブロック31と結合されている。
横フレーム32Bは、金属製であって、前後方向に長尺に形成されている。横フレーム32Bは、第3パネル313及び第4パネル314の各々の内側面に取り付けられている。横フレーム32Bは、第3パネル313の内側面において上下方向に間隔を空けた状態で2個取り付けられており、また第4パネル314の内側面において上下方向に間隔を空けた状態で2個取り付けられている。さらに、第3パネル313に取り付けられた横フレーム32Bと、第4パネル314に取り付けられた横フレーム32Bとでは、鉛直方向の位置が同じである。つまり、第3パネル313に取り付けられた横フレーム32Bと、第4パネル314に取り付けられた横フレーム32Bとは、左右方向において対向するように配置されている。横フレーム32Bの長手方向(前後方向)に直交する断面形状は、鉛直方向の中央部が内側(対向する横フレーム32B側)に突出した凸形状である(図10A参照)。
このように、本実施形態では、盤本体3は、収納空間を囲むパネル(第1〜第5パネル311〜315)と、パネルの内側面に固定されたフレーム(縦フレーム32A及び横フレーム32B)とを有している。ここでいう収納空間は、蓄電池ユニット5を収納する空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)である。
支持バー33は、金属製であって、左右方向に長尺に形成されている。支持バー33の長手方向(左右方向)に直交する断面形状は、前後方向の中央部が上方に向けて突出した凸形状である。支持バー33は、一対の横フレーム32B間に架け渡されるように、一対の横フレーム32Bに跨って取り付けられる。ここでいう一対の横フレーム32Bは、左右方向において互いに対向する横フレーム32Bである。つまり、支持バー33は、横フレーム32Bに保持されている。また、支持バー33は前後方向に並ぶ2個を1組としており、一対の横フレーム32Bに対して一対の支持バー33が取り付けられる。
支持台34は、金属製の板材である。この支持台34は、前後方向に並べて配置された一対の支持バー33に跨るように配置された状態で、一対の支持バー33にねじ固定される。本実施形態では、一対の横フレーム32B及び一対の支持バー33は、鉛直方向において2組ずつ設けられている。そのため、支持台34についても、鉛直方向において2段(上下2段)の支持台34が設けられることになる。
支持台34は、左右方向に長い矩形板状の台本体341と、台本体341の後端縁から上向きに突出する第1ストッパ342と、台本体341の左端縁から上向きに突出する第2ストッパ343とを有している。第1ストッパ342は、蓄電池ユニット5を収納する収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)の後方に配置され、蓄電池ユニット5の後面に接触することで後方への蓄電池ユニット5の移動を規制する移動規制部材(ストッパ)として機能する。この支持台34には、台本体341の上面、第1ストッパ342の前面、及び第2ストッパ343の右側面を覆うように絶縁シート39が取り付けられている。したがって、支持台34に蓄電池ユニット5が載せられた状態では、支持台34と蓄電池ユニット5の筐体51とが電気的に絶縁される。なお、図面上では、支持台34についても符号を付しているが、例えば図5等においては、実際には支持台34は絶縁シート39で隠れることになる。
以上の構成により、本実施形態の収納盤2は、図5に示すように、第1収納空間S1と、第2収納空間S2と、第3収納空間S3とを有している。第1収納空間S1は、第1パネル311と第3パネル313と第4パネル314と上側の支持台34とで囲まれる空間である。第2収納空間S2は、上側の支持台34と第3パネル313と第4パネル314と下側の支持台34とで囲まれる空間である。第3収納空間S3は、下側の支持台34と第2パネル312と第3パネル313と第4パネル314とで囲まれる空間である。そして、本実施形態の収納盤2では、第1収納空間S1及び第2収納空間S2に蓄電池ユニット5が収納され、第3収納空間S3にヒータユニット6が収納される。つまり、第1〜第3収納空間S1〜S3のうち、蓄電池ユニット5が収納されるのは第1収納空間S1及び第2収納空間S2のみである。単に「収納空間」という場合には、蓄電池ユニット5が収納される、これら第1収納空間S1又は第2収納空間S2を意味する。
言い換えれば、盤本体3は、各収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)の下方に配置され、蓄電池ユニット5を載せる支持台34を有している。そのため、収納空間に蓄電池ユニット5が収納された状態では、支持台34に蓄電池ユニット5が載せられることになり、蓄電池ユニット5の重量が支持台34にて支えられる。
次に、第1保持部材35及び第2保持部材36の構成について、図7A〜図7Cを参照して説明する。図7A〜図7Cでは、収納盤2の内部が分かりやすくなるように、パネルブロック31の図示を省略し、収納盤2の概略外形を想像線(2点鎖線)で示している。ここでは、第1収納空間S1について説明するが、第2収納空間S2についても、同様の構成となる。
第1保持部材35及び第2保持部材36は、水平面内において前後方向と交差するスライド方向(本実施形態では左右方向)に離れて配置されている。本実施形態では、第1保持部材35及び第2保持部材36は、1つの収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)に対して2つずつ設けられている。つまり、1つの収納空間に収納される蓄電池ユニット5は、4個の保持部材(第1保持部材35及び第2保持部材36)にて保持されることになる。さらに、本実施形態では、1つの盤本体3に収納空間が2つ設けられているので、第1保持部材35及び第2保持部材36は、1つの盤本体3に対して4個ずつ設けられることになる。以下、複数(本実施形態では4個)の第1保持部材35を区別しない場合には、複数の第1保持部材35の各々を単に「第1保持部材35」として説明する。同様に、複数(本実施形態では4個)の第2保持部材36を区別しない場合には、複数の第2保持部材36の各々を単に「第2保持部材36」として説明する。
第1保持部材35は、図7Aに示すように、盤本体3内であって、収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)の左側方に設けられている。第1保持部材35は、フレーム(縦フレーム32A)に設けられている。ここで、鉛直方向における第1保持部材35の位置は、収納空間に収納された状態の蓄電池ユニット5の第1取付部55(図9A参照)の位置に合わせて決められている。具体的には、支持台34の台本体341の上面から第1保持部材35までの高さは、蓄電池ユニット5の下面から第1取付部55までの高さに略一致する。第1取付部55の詳細については、「(2.3)蓄電池ユニット」の欄で説明する。
第1保持部材35には、図7Bに示すように、スライド方向における収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)との対向面である右側面に開口する挿入口351が形成されている。挿入口351は、第1取付部55が挿入されるポケット(穴)である。つまり、第1取付部55がスライド方向における収納空間側から第1保持部材35の挿入口351に挿入されることで、第1保持部材35に第1取付部55が差し込まれた状態となる。この状態で、第1保持部材35は、挿入口351内に第1取付部55を保持することとなり、前後方向への第1取付部55の移動を規制する。言い換えれば、第1保持部材35と第1取付部55とは、第1取付部55が第1保持部材35に対してスライド方向に相対的に移動して挿入された状態で、前後方向への第1取付部55の移動が規制される関係にある。本実施形態では、第1保持部材35は、前後方向だけでなく鉛直方向についても、第1取付部55の移動を規制する。
ここで、盤本体3は、図7Bに示すように、第1保持部材35への第1取付部55の挿入経路上であって挿入口351の手前に、第1取付部55を挿入口351に案内する案内部材352をさらに有している。すなわち、本実施形態では、第1保持部材35の挿入口351には第1取付部55が右側方から挿入されるので、挿入口351の右側方に案内部材352が設けられている。
案内部材352は、金属製であって、第1保持部材35から前方に突出する板状である。ここでは、案内部材352は、第1保持部材35と一体であって、第1保持部材35の右側面における挿入口351の周縁から前方に延長された形状である。案内部材352は、第1保持部材35から右斜め前方に突出する傾斜片353と、傾斜片353の先端縁から前後方向に沿って前方に突出する立片354とを有している。これにより、第1取付部55の先端縁が右側方から案内部材352に接触した状態で、第1取付部55が左斜め後方へ押されると、第1取付部55の先端縁が案内部材352沿いに移動し、挿入口351内に案内されることになる。
第2保持部材36は、図7Aに示すように、盤本体3内であって、収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)の右側方に設けられている。第2保持部材36は、フレーム(縦フレーム32A)に設けられている。ここで、鉛直方向における第2保持部材36の位置は、収納空間に収納された状態の蓄電池ユニット5の第2取付部56の位置に合わせて決められている。具体的には、支持台34の台本体341の上面から第2保持部材36までの高さは、蓄電池ユニット5の下面から第2取付部56までの高さに略一致する。第2取付部56の詳細については、「(2.3)蓄電池ユニット」の欄で説明する。なお、本実施形態では、第1取付部55と第2取付部56とで鉛直方向の位置が同じであるため、第1保持部材35と第2保持部材36との鉛直方向の位置も同じである。
第2保持部材36は、第2取付部56を前後方向の両側から挟み込むことで、前後方向及びスライド方向への第2取付部56の移動を規制するように、前後方向に2分割可能に構成されている。具体的には、第2保持部材36は、図7Cに示すように、縦フレーム32Aに固定される台座361と、台座361に対して前方から取り付けられることにより台座361との間に第2取付部56を保持する留め具362とを有している。留め具362における台座361との対向面(後面)には、第2取付部56との干渉を回避する凹部363が形成されている。これにより、台座361に留め具362が取り付けられた状態では、留め具の凹部363によって台座361の前面と留め具362の後面との間に形成される隙間に、第2取付部56が保持されることになる。本実施形態では、第2保持部材36は、前後方向及びスライド方向だけでなく鉛直方向についても、第2取付部56の移動を規制する。なお、ここでは、留め具362は台座361に対してねじ固定されるが、この構成に限らず、他の固定方法で留め具362は台座361が固定されてもよい。
ここで、スライド方向への第2取付部56の移動については、第2保持部材36が単独で規制するのではなく、第1保持部材35と第2保持部材36とが協働して規制する。すなわち、第1取付部55及び第2取付部56は、蓄電池ユニット5の左右両側に突出するように設けられており、それぞれの先端部が第1保持部材35及び第2保持部材36に挿入されるようにして保持される。したがって、第1保持部材35にて第1取付部55が保持され、かつ第2保持部材36にて第2取付部56が保持された状態では、第1保持部材35にて左方への第1取付部55の移動が規制され、第2保持部材36にて右方への第2取付部56の移動が規制される。これにより、スライド方向(左方及び右方)への第2取付部56の移動が規制される。
ところで、本実施形態の収納盤2は、電気絶縁性を有する絶縁部材390(図9A参照)をさらに備えている。絶縁部材390は、第1保持部材35と第1取付部55との間、及び第2保持部材36と第2取付部56との間にそれぞれ配置されている。これにより、第1保持部材35と第1取付部55とが電気的に絶縁され、第2保持部材36と第2取付部56とが電気的に絶縁される。そのため、第1保持部材35及び第2保持部材36にて蓄電池ユニット5が保持された状態において、収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とが電気的に絶縁されることになる。
本実施形態では、第1取付部55及び第2取付部56のいずれについても、完全に固定されるのではなく、「遊び」を残しつつも移動可能な範囲が制限された状態となるように、移動が規制されている。言い換えれば、第1保持部材35は、第1取付部55との間に適当な隙間を有しながらも、前後方向への第1取付部55の移動を規制できる。同様に、第2保持部材36は、第2取付部56との間に適当な隙間を有しながらも、前後方向及びスライド方向への第2取付部56の移動を規制できる。これにより、第1保持部材35が第1取付部55との間の絶縁部材390を押し潰すようなことがなく、第1保持部材35と第1取付部55との間の電気的絶縁性の低下を抑制できる。第2保持部材36と第2取付部56との間の電気的絶縁性についても同様である。
ところで、図2に示すように、スライド方向における収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)から盤本体3の内側面までの距離は、第1保持部材35側よりも第2保持部材36側の方が大きい。つまり、第2保持部材36側となる収納空間から盤本体3の右内側面までの距離L12は、第1保持部材35側となる収納空間から盤本体3の左内側面までの距離L11に比べて大きい(L11<L12)。言い換えれば、蓄電池ユニット5を収納する収納空間は、盤本体3内においてスライド方向の第1保持部材35側(本実施形態では左側)に寄って配置されている。
そのため、収納盤2に蓄電池ユニット5が取り付けられた(収納された)状態においては、蓄電池ユニット5の筐体51の側面から盤本体3の内側面までの距離は、次のような関係になる。すなわち、筐体51における第2保持部材36側の側面(本実施形態では右側面)から盤本体3の内側面までの距離L12は、筐体51における第1保持部材35側の側面(本実施形態では左側面)から盤本体3の内側面までの距離L11より大きくなる。また、本実施形態では、収納盤2に蓄電池ユニット5が取り付けられた状態において、筐体51の左側面に対応する位置には第1保持部材35が設けられ、筐体51の右側面に対応する位置には第2保持部材36が設けられている。したがって、第2保持部材36から盤本体3の内側面(本実施形態では右内側面)までの距離は、第1保持部材35から盤本体3の内側面(本実施形態では左内側面)までの距離より大きくなる。
ここで、盤本体3は、スライド方向における収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)と盤本体3の内側面との間の隙間であって、第2保持部材36側の隙間に、電線を通す通線空間S4が設けられている。つまり、蓄電池ユニット5を収納する収納空間の右側方には、電線を通すための通線空間S4が形成されている。上述のように、収納空間は、盤本体3内においてスライド方向の第1保持部材35側(本実施形態では左側)に寄って配置されているので、収納空間の両側の隙間のうち広い方の隙間が通線空間S4として利用されることになる。収納空間の両側の隙間のうち広い方の隙間(第2保持部材36側の隙間)は、人の手が入る大きさであって、収納空間の両側の隙間のうち狭い方の隙間(第1保持部材35側の隙間)は、人の手が入らない大きさであることが好ましい。
さらに、第2収納空間S2の左側方に位置する第1保持部材35は、第1収納空間S1の左側方に位置する第1保持部材35よりも前方に位置している。同様に、第2収納空間S2の右側方に位置する第2保持部材36は、第1収納空間S1の右側方に位置する第2保持部材36よりも前方に位置している(図1参照)。蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付ける手順については、「(2.5)蓄電池ユニットの取り付け手順」の欄で説明する。
第3収納空間S3には、図1に示すように、ヒータユニット6が収納される。ヒータユニット6は、ヒータとファンとが一体に構成された交流駆動機器であり、ヒータによって暖められた空気がファンを通して外部に放出されるように構成されている。このヒータユニット6は、送風方向が鉛直方向と直交する方向(本実施形態では後方)となる状態で第3収納空間S3内に収納される。
また、盤本体3内であって、第3収納空間S3の後方には、風向パネル37が設けられている。風向パネル37は、金属製の板材である。風向パネル37は、傾斜壁371と、第1取付片372と、第2取付片373とを有している。第1取付片372は、傾斜壁371の前端縁より前向きに突出し、第2取付片373は、傾斜壁371の後端縁より上向きに突出している。そして、第1取付片372がパネルブロック31の第2パネル312にねじ固定され、かつ第2取付片373が第5パネル315にねじ固定されることで、風向パネル37がパネルブロック31に取り付けられる。
風向パネル37がパネルブロック31に取り付けられた状態では、図1に示すように、前後方向においてヒータユニット6と風向パネル37とが対向する。さらに風向パネル37の傾斜壁371は、ヒータユニット6との対向面が斜め上向きとなるように傾斜している。この構成では、ヒータユニット6からの風の向きは、風向パネル37の傾斜壁371に当たることによって後向きから上向きに変更される(図1の矢印A1参照)。ここに、本実施形態では、ヒータユニット6と風向パネル37の傾斜壁371とで送風部が構成されており、ヒータユニット6がファンである。
上述した盤本体3の下部には、図1〜図5に示すように、盤本体3を床に固定するための取付ベース41が取り付けられる。この取付ベース41は、金属製である。取付ベース41は、長手方向に直交する断面形状がU字状に形成された第1部材411、第2部材412、第3部材413及び第4部材414を組み合わせることで矩形枠状に形成されている(図4C参照)。第1部材411の下面には、床に施工されたアンカーボルトが挿通される複数(図4Cでは4個)の挿通孔411Aが左右方向に等間隔に設けられている。また、第2部材412の下面にも、アンカーボルトが挿通される複数(図4Cでは4個)の挿通孔412Aが左右方向に等間隔に設けられている。
蓋体4は、金属製であって、扁平な矩形箱状に形成されている。蓋体4の外形寸法(鉛直方向の寸法及び左右方向の寸法)は、盤本体3の開口部30の開口寸法よりもわずかに大きい寸法に設定されている。この蓋体4は、盤本体3の前面に形成された開口部30を塞いだ状態で盤本体3にねじ固定される。
(2.3)蓄電池ユニット
蓄電池ユニット5は、図9A〜図9Cに示すように、直方体状に形成された筐体51と、筐体51に収納される蓄電池50(図8参照)とを備えている。筐体51は、前面が開口した矩形箱状のボディ52と、ボディ52の開口を塞ぐようにボディ52に取り付けられるカバー53とを有している。また、カバー53は、ボディ52の開口を塞ぐカバー本体531と、カバー本体531の上端縁から後向きに突出する取付片532とを有している。そして、本実施形態の蓄電池ユニット5では、ボディ52の開口を塞ぐようにカバー53がボディ52に取り付けられ、取付片532が介して上方からねじ固定されることで、筐体51が組み立てられる。
また、ボディ52の後面には、第1取付部55及び第2取付部56が取り付けられている。第1取付部55と第2取付部56との少なくとも一方は、蓄電池ユニット5の後面に沿って左右方向に延びた板状である。
本実施形態では、第1取付部55は、金属製である。第1取付部55は、矩形板状に形成され、少なくとも左右方向の一端部をボディ52の左側面より外側(左側)に突出させた状態でボディ52に取り付けられている。また、第1取付部55は、1個の筐体51に対して、上下方向に間隔を空けた状態で2個取り付けられている。第2取付部56は、第1取付部55と同様に、金属製である。第2取付部56は、矩形板状に形成され、少なくとも左右方向の一端部をボディ52の右側面より外側(右側)に突出させた状態でボディ52に取り付けられている。また、第2取付部56は、第1取付部55と同様に、1個の筐体51に対して、上下方向に間隔を空けた状態で2個取り付けられている。
ここで、上下方向に並ぶ2個の第1取付部55の間隔は、収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)に設けられた2個の第1保持部材35の間隔と同じである。また、上下方向に並ぶ2個の第2取付部56の間隔は、収納空間に設けられた2個の第2保持部材36の間隔と同じである。第1取付部55及び第2取付部56のうち、ボディ52の側面から突出する部分は、図9Aに想像線(2点鎖線)で示すように絶縁部材390で覆われている。この絶縁部材390により、第1保持部材35及び第2保持部材36にて蓄電池ユニット5が保持された状態において、収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とが電気的に絶縁される。
(2.4)蓄電池ユニットの位置関係
ところで、本実施形態の収納盤2のように、複数の蓄電池ユニット5を上下方向に並べて収納する構造では、複数の蓄電池ユニット5が前後方向(奥行方向)において同じ位置にあると、蓄電池ユニット5を取り付ける際の作業性が低下する場合がある。特に、本実施形態の蓄電池ユニット5のように、ボディ52に対してカバー53が上方からねじ固定される構造の場合、上下方向に隣接する蓄電池ユニット5間の距離が短いとカバー53の着脱ができない可能性もある。
そこで、本実施形態の収納盤2では、図1に示すように、第1蓄電池ユニット5Aが第2蓄電池ユニット5Bよりも蓋体4に近づくように、第1蓄電池ユニット5A及び第2蓄電池ユニット5Bの位置を前後方向でずらしている。言い換えれば、第1蓄電池ユニット5Aから蓋体4までの距離は、第2蓄電池ユニット5Bから蓋体4までの距離よりも短くなる。なお、第1蓄電池ユニット5Aは、上下方向(鉛直方向)に隣接する2つの蓄電池ユニット5のうち下側の蓄電池ユニット5である。また、第2蓄電池ユニット5Bは、上下方向(鉛直方向)に隣接する2つの蓄電池ユニット5のうち上側の蓄電池ユニット5である。
具体的には、第2蓄電池ユニット5Bを支持する上側の支持バー33及び支持台34は、図1に示すように、下側の支持バー33及び支持台34よりも後方にある。一方、第1蓄電池ユニット5Aが取り付けられる下側の支持バー33及び支持台34は、図1に示すように、上側の支持バー33及び支持台34よりも前方にある。そして、第1蓄電池ユニット5A及び第2蓄電池ユニット5Bをそれぞれ対応する支持台34に載せた状態では、下側の第1蓄電池ユニット5Aが前寄りに、上側の第2蓄電池ユニット5Bが後寄りにそれぞれ位置した状態で収納盤2に収納される。
この場合、本実施形態の蓄電池ユニット5のように、カバー53を上方からねじ固定する構造であっても容易にカバー53の着脱を行うことができる。すなわち、本実施形態の収納盤2では、複数の蓄電池ユニット5を前後方向において同じ位置に配置する場合に比べて、蓄電池ユニット5のカバー53を着脱する際の作業性を向上させることができる。また、本実施形態の収納盤2のように、蓄電池ユニット5の位置をずらす方向が鉛直方向に平行な蓄電池ユニット5の筐体51の4つの面のうち表面積が最も大きい面の法線方向である場合、蓄電池ユニット5で発生する熱の放熱効率を高めることができる。
また、本実施形態の収納盤2では、図1に示すように、距離L2が距離L1よりも短くなっていることが好ましい。距離L1は、上下方向(鉛直方向)における上側の第2蓄電池ユニット5Bと盤本体3の上面(第1パネル311)との間の距離である。距離L2は、上側の第2蓄電池ユニット5Bを支持する支持部材の下端(支持バー33の下端)と下側の第1蓄電池ユニット5Aとの間の距離である。さらに、本実施形態の収納盤2では、距離L3が距離L1よりも短くなっていることがより好ましい。距離L3は、上下方向(鉛直方向)に隣接する第1蓄電池ユニット5Aと第2蓄電池ユニット5Bとの間の距離である。これにより、カバー53を着脱する際の作業性を向上させながらも収納盤2を鉛直方向(上下方向)に小型化することができる。
また、本実施形態の収納盤2では、図1及び図2に示すように、下側の第1蓄電池ユニット5Aよりも下側のスペースである第3収納空間S3にヒータユニット6及び風向パネル37からなる送風部が収納されている。ヒータユニット6から放出される空気は後向きに移動するが、風向パネル37の傾斜壁371に当たった後は上向きに移動する(図1の矢印A1参照)。さらに、傾斜壁371に当たった空気は、第1蓄電池ユニット5Aの後側の空間を上向きに移動した後(図1の矢印A2参照)、第1蓄電池ユニット5Aと第2蓄電池ユニット5Bとの間を前向きに移動する(図1の矢印A3参照)。そして、第1蓄電池ユニット5Aと第2蓄電池ユニット5Bとの間を前向きに移動した空気は、さらに第2蓄電池ユニット5Bの前側の空間を上向きに移動する(図1の矢印A4参照)。これにより、収納盤2内の空気を移動させることができる。しかも、本実施形態の収納盤2のように、送風部からの風の向きが上向きである場合には、対流の効率を向上させることができる。
(2.5)蓄電池ユニットの取り付け手順
次に、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付ける手順について図10A〜図11Bを参照して説明する。ここでは、第1収納空間S1に蓄電池ユニット5Bを収納する場合を例に説明するが、第2収納空間S2に蓄電池ユニット5Aを収納する場合も、同様の手順となる。図10A〜図11Bでは、収納盤2の内部が分かりやすくなるように、パネルブロック31の図示を省略し、収納盤2の概略外形を想像線(2点鎖線)で示している。
作業者は、図10Aに示すように、蓄電池ユニット5の前面が左斜め前方を向くように蓄電池ユニット5を傾けた状態で、支持台34の台本体341に蓄電池ユニット5を載せる。このとき、収納盤2は蓋体4が盤本体3から取り外された状態にある。
その後、作業者は、蓄電池ユニット5の前面の右端部を後方に押して、蓄電池ユニット5の前面の左端縁を軸に水平面内で蓄電池ユニット5を回転させ、図10Bに示すように、蓄電池ユニット5を盤本体3内に納める。このとき、蓄電池ユニット5は、前面が真正面を向く状態まで、平面視で反時計回りに回転し、図11Aに示すように、筐体51の後面が第1ストッパ342に接触することで後方への移動が規制される。図10Bに示す状態では、蓄電池ユニット5は、盤本体3内において第1収納空間S1よりもやや右方へずれた位置にある。支持台34に取り付けられる絶縁シート39は、蓄電池ユニット5が移動しやすいように摩擦係数の小さい材質(例えば、ポリカーボネートなど)であるのが好ましい。
さらに、作業者は、図10Cに示すように、蓄電池ユニット5を左向きにスライドさせる。これにより、筐体51の左側面から左向きに突出する2個の第1取付部55が、それぞれ対応する第1保持部材35に差し込まれる。このとき、案内部材352が第1取付部55を挿入口351へ案内することにより、第1取付部55を第1保持部材35に挿入する作業が簡単になる。つまり、第1取付部55の先端縁が右側方から案内部材352に接触した状態にあれば、作業者が蓄電池ユニット5を左斜め後方へ押すことで、第1取付部55の先端縁が案内部材352沿いに移動し、挿入口351内に案内されることになる。さらにこのとき、蓄電池ユニット5は、図11Bに示すように、筐体51の左側面が第2ストッパ343に接触することで左方への移動が規制される。つまり、図10Cに示す状態では、蓄電池ユニット5が前後方向及び左右方向において位置決めされ、蓄電池ユニット5が第1収納空間S1に納まることになる。
その後、作業者は、筐体51の右側面から右向きに突出する2つの第2取付部56を、それぞれ対応する第2保持部材36により保持させることで、蓄電池ユニット5の取り付けが完了する。このとき、2つの第2取付部56は、それぞれ対応する第2保持部材36の台座361と留め具362とで挟み込まれることにより、第2保持部材36にて保持される。その後、作業者は、電線(第1電線43A等)の接続を行い、蓋体4を盤本体3に取り付ける。
(2.6)収納盤の連接
ところで、本実施形態の収納盤2は、図12Aに示すように、2個の収納盤2を左右方向に並べて設置(連接)することができる。この場合、左側の収納盤2の第3パネル313と右側の収納盤2の第4パネル314とからそれぞれ締結具44が外され、第3パネル313と第4パネル314とを接触させた後に、締結具44により第3パネル313と第4パネル314とが締結される。これにより、2個の収納盤2を一体的に連接した状態で設置することができる。また、同様の手順により、3個以上の収納盤2を左右方向に並べて設置することもできる。
ここで、1個の収納盤2においては、複数の収納空間(第1収納空間S1及び第2収納空間S2)は鉛直方向(上下方向)に並ぶように設けられている。そして、連結構造440は、鉛直方向と直交する方向に並ぶ盤本体3と他の収納盤2とを連結するように構成されている。つまり、1個の収納盤2には、複数の蓄電池ユニット5が縦方向(上下方向)に並べて収納可能であって、このような収納盤2が、横方向(左右方向)に複数連接可能である。したがって、1個の収納盤2に縦方向に並べて設けられた収納空間の数を「M」、横方向に連接されて盤システムを構成する収納盤2の数を「N」とすれば、盤システムとしては、最大M×N個の蓄電池ユニット5を収納可能となる。その結果、盤システムは、蓄電池ユニット5を最大M×N個まで増やすことが可能となり、蓄電池容量の拡大に柔軟に適応可能なスケーラブルなシステムを実現できる。
本実施形態では、連結構造440は、図12Bに示すように、他の収納盤2と盤本体3との各々の外板となるパネル(第3パネル313及び第4パネル314)同士を締結具44にて締結する構造である。つまり、連結構造440は、締結具44と、第3パネル313及び第4パネル314の透孔45とで構成される。
具体的には、第3パネル313及び第4パネル314には、2個の収納盤2を左右方向に並べたときに連続する透孔45が形成されている。締結具44は、ボルト(雄ねじ)441及びナット(雌ねじ)442で構成されており、透孔45を通してボルト441及びナット442を締め付けることで、第3パネル313及び第4パネル314を締結する。このとき、第3パネル313及び第4パネル314は、ボルト441の頭部とナット442とに挟まれて締結される。複数の収納盤2を連結しない場合には、締結具44は1個の収納盤2の第3パネル313又は第4パネル314に、透孔45を塞ぐように取り付けられる。
さらに、収納盤2は、電力変換装置8に対しても、左右方向に並べて設置(連接)可能である。つまり、蓄電装置1の筐体である収納盤2と、電力変換装置8の筐体86とは、連接可能である。そのため、収納盤2と筐体86とでは外観において統一が図られることが好ましい。例えば、収納盤2と筐体86とでは床面からの高さが同じに構成されている。
また、複数の収納盤2の上面に、それぞれ収納盤2を壁に固定するための固定金具が取り付けられてもよい。この構成では、複数の収納盤2が壁に固定されるため、耐震性を向上することができる。また、より耐震性を向上するために、複数の収納盤2に取り付けられた複数の固定金具同士を連結する連結金具をさらに取り付けてもよい。
(2.7)電力変換システム
以下、本実施形態の電力変換システム80について図13を参照して説明する。本実施形態の電力変換システム80は、取付台87と、複数(本実施形態では2個)の電力変換装置8とを備えている。取付台87には、複数(本実施形態では2個)の(第2)筐体86が左右方向に並んで取り付けられている。2個の筐体86には、それぞれ電力変換ユニットが収納されている。ここでいう電力変換ユニットは、電力変換装置8を構成するユニットであって、インバータ81、自立制御部82(82A又は82B)、複数のDC/DCコンバータ83、及びDC/DCコンバータ84,85を含んでいる。つまり、電力変換装置8は、筐体86に電力変換ユニットを収納して構成されている。
本実施形態の電力変換システム80では、複数の電力変換装置8が並んで取付台87に取り付けられるので、複数の電力変換装置8を別々に地面に設置する場合と比較して、1箇所にまとまったシステムを構築することが可能である。
筐体86は、図13に示すように、第1筐体861と、第2筐体862とを備えている。第1筐体861及び第2筐体862は、いずれも金属板にて矩形箱状に構成されている。第1筐体861は、第2筐体862の上に載せられた状態で、例えばボルトにて第2筐体862に結合されている。つまり、第1筐体861及び第2筐体862は、上下方向(鉛直方向)に並んでいる。第1筐体861には、例えばインバータ81等が収納され、第2筐体862には、例えば自立制御部82等が収納される。
ところで、このような電力変換装置8又は電力変換システム80と、蓄電装置1(収納盤2)とが左右方向に並べて設置される場合、正面から見て、外観上の統一が図れることが好ましい。具体的には、収納盤2と筐体86とで上下方向の寸法が異なる場合には、収納盤2と筐体86との一方に、高さ調整用ベースが取り付けることで、収納盤2と筐体86とで床面からの高さが揃えられることが好ましい。例えば、筐体86より収納盤2の上下方向の寸法が小さい場合、取付ベース41の下方に高さ調整用ベースが取り付けられることで、収納盤2と筐体86とで床面からの高さが揃えられる。
また、収納盤2と筐体86とで前後方向の寸法が異なる場合には、収納盤2の前面と筐体86の前面とが面一になるように、収納盤2及び筐体86が設置されることが好ましい。例えば、収納盤2及び筐体86が壁際に設置される場合には、壁から収納盤2の後面までの距離と壁から筐体86の後面までの距離とを異ならせることで、前面が面一になる。そのため、収納盤2及び筐体86の各々の上面に、収納盤2及び筐体86を壁に固定するための固定金具が取り付けられる場合には、収納盤2と筐体86とで、固定金具の前後方向の寸法が異なることが好ましい。例えば、筐体86より収納盤2の前後方向の寸法が大きい場合、壁に近くなる収納盤2用の固定金具の方が、筐体86用の固定金具よりも前後方向の寸法は小さくなる。
(3)効果
以上説明したように、本実施形態の収納盤2では、蓄電池ユニット5が盤本体3に対して相対的にスライド方向に移動することで、第1保持部材35にて前後方向への第1取付部55の移動を規制できる。収納盤2は、第1保持部材35にて前後方向への第1取付部55の移動が規制された状態で、第2保持部材36にて第2取付部56を保持することで、前後方向及びスライド方向への第2取付部56の移動を規制できる。したがって、本実施形態の収納盤2によれば、蓄電池ユニット5をスライド方向に移動させ、第2保持部材36にて第2取付部56を保持するだけで、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付けることができる。例えば第1取付部55を第1保持部材35にねじ固定するような構成に比べて、第1保持部材35に第1取付部55を保持させるための作業が簡単になる。そのため、本実施形態の収納盤2では、蓄電池ユニット5の交換及び増設作業が簡単になる、という利点がある。
また、本実施形態のように、第1取付部55と第2取付部56との少なくとも一方は、蓄電池ユニット5の後面に沿って延びた板状であることが好ましい。この構成によれば、第1取付部55と第2取付部56との少なくとも一方の形状を単純化することができる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、第1取付部55及び第2取付部56は板状でなくてもよい。
また、本実施形態のように、第1保持部材35には、第1取付部55が挿入される挿入口351が形成されていることが好ましい。この場合には、盤本体3は、第1保持部材35への第1取付部55の挿入経路上であって挿入口351の手前に、第1取付部55を挿入口351に案内する案内部材352をさらに有することが好ましい。この構成によれば、案内部材352が第1取付部55を挿入口351へ案内することにより、第1取付部55を第1保持部材35に挿入する作業が簡単になる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、案内部材352は省略されてもよい。
さらに、この場合において、案内部材352は、第1保持部材35から前方に突出する板状であることが好ましい。この構成によれば、収納盤2への蓄電池ユニット5の取り付け時において、第1取付部55が挿入口351から外れて案内部材352の前方の空間に差し込まれた場合、蓄電池ユニット5の筐体51が収納盤2の前面に対して斜めになる。つまり、第1取付部55が挿入口351に入っていない状態では、蓄電池ユニット5の筐体51が斜めになることで、作業者が気づきやすくなる。したがって、例えば第1取付部55及び第1保持部材35が目視できないような状況でも、収納盤2への蓄電池ユニット5の取り付けミスを低減することができる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、案内部材352は例えば第1保持部材35から後方に突出する板状であってもよい。
また、本実施形態のように、スライド方向における収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)から盤本体3の内側面までの距離は、第1保持部材35側よりも第2保持部材36側の方が大きいことが好ましい。この構成によれば、蓄電池ユニット5をスライド移動させるだけで第1取付部55を保持できる第1保持部材35側においては、盤本体3の内側面までの距離を小さく抑えることで、盤本体3のスライド方向の寸法を極力小さく抑えることができる。しかも、第2保持部材36側については、第1保持部材35側に比べて盤本体3の内側面までの距離が大きく確保されるので、第2保持部材36にて第2取付部56を保持するための作業空間を確保できる。したがって、蓄電池ユニット5の交換及び増設作業の作業性を確保しながらも、盤本体3のスライド方向の寸法を極力小さく抑えられる、という利点がある。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、例えばスライド方向における収納空間から盤本体3の内側面までの距離は、第1保持部材35側と第2保持部材36側とで同じでもよい。
さらに、この場合において、盤本体3は、スライド方向における収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)と盤本体3の内側面との間の隙間であって、第2保持部材36側の隙間に、電線を通す通線空間S4が設けられていることが好ましい。この構成によれば、第2保持部材36にて第2取付部56を保持するための作業空間を、通線空間S4として利用できるから、盤本体3内の空間を有効に利用でき、配線作業も容易になる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、通線空間S4は省略されてもよい。
また、本実施形態のように、盤本体3は、収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)を囲むパネル(第1〜第5パネル311〜315)と、パネルの内側面に固定されたフレーム(縦フレーム32A、横フレーム32B)とを有していることが好ましい。この場合に、第1保持部材35及び第2保持部材36は、フレーム(本実施形態では縦フレーム32A)に設けられることが好ましい。この構成によれば、第1保持部材35及び第2保持部材36がパネルに設けられる場合に比べて、第1保持部材35及び第2保持部材36にて蓄電池ユニット5を強固に保持できる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、例えば第1保持部材35及び第2保持部材36の少なくとも一方がパネルに設けられていてもよい。
また、本実施形態のように、盤本体3は、収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)の下方に配置され、蓄電池ユニット5を載せる支持台34をさらに有することが好ましい。この構成によれば、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付ける際、蓄電池ユニット5を支持台34に載せた状態で、支持台34上で蓄電池ユニット5をスライド移動させることができるので、蓄電池ユニット5の交換及び増設作業の作業性が向上する。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、支持台34は省略されてもよい。
さらに、この場合において、収納盤2は、支持台34の上面を覆うように配置され、電気絶縁性を有する絶縁シート39をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、支持台34に蓄電池ユニット5が載せられた状態で、支持台34と蓄電池ユニット5とを電気的に絶縁することが可能になる。そのため、例えば収納盤2を介さずに蓄電池ユニット5の筐体51を接地することができ、収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とで個別に接地することができる。しかも、支持台34に比べて摩擦係数の小さい絶縁シート39が採用されていれば、支持台34上で蓄電池ユニット5をスライド移動させる作業が容易になる、という利点もある。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、絶縁シート39は省略されてもよい。
また、本実施形態のように、盤本体3は、収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)の後方に配置され、蓄電池ユニット5の後面に接触することで後方への蓄電池ユニット5の移動を規制する移動規制部材(第1ストッパ342)を有することが好ましい。この構成によれば、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付ける際、蓄電池ユニット5を移動規制部材に押し当てることにより、蓄電池ユニット5の前後方向の位置決めが可能になる。そのため、蓄電池ユニット5の前後方向の位置決めがなされた状態で蓄電池ユニット5をスライド方向に移動させることにより、第1保持部材35にて第1取付部55を保持するための作業が容易になる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、移動規制部材(第1ストッパ342)は省略されてもよい。
また、本実施形態のように、収納盤2は、第1保持部材35と第1取付部55との間、及び第2保持部材36と第2取付部56との間にそれぞれ配置され、電気絶縁性を有する絶縁部材390をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、第1保持部材35及び第2保持部材36にて蓄電池ユニット5が保持された状態において、収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とを電気的に絶縁することが可能になる。そのため、例えば収納盤2を介さずに蓄電池ユニット5の筐体51を接地することができ、収納盤2と蓄電池ユニット5の筐体51とで個別に接地することができる。ただし、この構成は収納盤2に必須の構成ではなく、絶縁部材390は省略されてもよい。
また、本実施形態の収納盤2のように、支持部材(支持バー33及び支持台34)は、複数の蓄電池ユニット5の位置を鉛直方向と直交する方向(前後方向)にずらした状態で複数の蓄電池ユニット5を保持することが好ましい。この構成によれば、複数の蓄電池ユニット5の位置を鉛直方向と直交する方向にずらしているので、本実施形態のように、蓄電池ユニット5のカバー53がボディ52に対して上側からねじ固定される構造であってもカバー53を容易に着脱することができる。したがって、複数の蓄電池ユニット5を鉛直方向と直交する方向において同じ位置に配置する場合に比べてカバー53の着脱作業が容易であり、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付ける際の作業性を向上させることができる。また、複数の蓄電池ユニット5を鉛直方向と直交する方向に振り分けて配置することになり、その結果、鉛直方向と直交する方向における収納盤2の両面から均等に放熱することができる。
また、本実施形態の収納盤2のように、筐体51は直方体であるのが好ましい。この場合、支持部材は、鉛直方向に平行な筐体51の4つの面のうち表面積が最も大きい面の法線方向に複数の蓄電池ユニット5の位置をずらした状態で複数の蓄電池ユニット5を保持するように構成されるのが好ましい。この構成によれば、表面積に比例して放熱量が大きくなるため、筐体51の表面積が大きい面の法線方向に蓄電池ユニット5の位置をずらすことで、蓄電池ユニット5で発生する熱の放熱効率を高めることができる。
また、本実施形態の収納盤2のように、保持部材は、第1蓄電池ユニット5Aが第2蓄電池ユニット5Bよりも蓋体4に近づくように位置をずらした状態で複数の蓄電池ユニット5(5A,5B)を保持するように構成されているのが好ましい。第1蓄電池ユニット5Aは、複数の蓄電池ユニット5の中で鉛直方向に隣接する2つの蓄電池ユニット5のうち下側に位置している。第2蓄電池ユニット5Bは、複数の蓄電池ユニット5の中で鉛直方向に隣接する2つの蓄電池ユニット5のうち上側に位置している。この構成によれば、本実施形態のように、蓄電池ユニット5のカバー53がボディ52に対して上側からねじ固定される構造であってもカバー53を容易に着脱することができる。したがって、複数の蓄電池ユニット5を鉛直方向と直交する方向において同じ位置に配置する場合に比べてカバー53の取付作業が容易であり、蓄電池ユニット5を収納盤2の取り付ける際の作業性を向上させることができる。
また、本実施形態の収納盤2のように、保持部材は、距離L2が距離L1よりも短くなるようにした状態で複数の蓄電池ユニット5を保持するように構成されているのが好ましい。距離L1は、複数の蓄電池ユニット5のうち一番上に位置する第2蓄電池ユニット5Bと盤本体3の上面(第1パネル311)との間の距離である。距離L2は、複数の蓄電池ユニット5のうち一番上に位置する第2蓄電池ユニット5Bと、この第2蓄電池ユニット5Bに隣接する第1蓄電池ユニット5Aとの間の距離である。この構成によれば、蓄電池ユニット5を収納盤2に取り付ける際の作業性を向上させながらも収納盤2を鉛直方向に小型化することができる。
また、本実施形態の収納盤2のように、複数の蓄電池ユニット5のうち一番下に位置する蓄電池ユニット5よりも下側のスペースに配置される送風部(ヒータユニット6及び風向パネル37)をさらに備えているのが好ましい。この構成によれば、送風部によって盤本体3内の空気を移動させ、対流によって盤本体3内で熱を移動させることができる。
また、本実施形態の収納盤2のように、送風部からの風の向きが上向きであるのが好ましい。この構成によれば、下側から風を送ることで盤本体3内の空気を上向きに移動させ、対流によって盤本体3内で熱を効率よく移動させることができる。
また、本実施形態の収納盤2のように、送風部は、鉛直方向と直交する方向が送風方向となるように配置されたファン(ヒータユニット6)と、送風方向においてファンと対向するように配置された傾斜壁371とを有するのが好ましい。この場合、傾斜壁371は、ファンとの対向面が斜め上向きとなるように傾斜しているのが好ましい。この構成によれば、ファンで発生させた風の向きを傾斜壁371によって上向きにすることができ、下側から風を送ることで盤本体3内の空気を上向きに移動させ、対流によって盤本体3内で熱を効率よく移動させることができる。
本実施形態の蓄電装置1は、上述の収納盤2と、収納盤2に収納される蓄電池ユニット5(5A,5B)とを備えている。この構成によれば、上述の収納盤2を用いることによって蓄電池ユニット5の交換及び増設作業が簡単な蓄電装置1を提供することができる。
本実施形態の蓄電システムは、上述の蓄電装置1と、蓄電装置1の電力を変換する電力変換装置8とを備えている。この構成によれば、上述の収納盤2を用いることによって蓄電池ユニット5の交換及び増設作業が簡単な蓄電システムを提供することができる。
(4)変形例
第1取付部55と第1保持部材35との関係は、上記実施形態とは反対の関係であってもよい。すなわち、第1保持部材35は、第1取付部55と第1保持部材35との一方が他方に対して挿入された状態で、前後方向への第1取付部55の移動が規制される構成であればよい。具体的には、第1保持部材35が第2保持部材36に向かって延びた板状であり、第1保持部材35が挿入される挿入口が第1取付部55に形成され、第1取付部55に対して第1保持部材35が挿入される構成であってもよい。
また、第1保持部材35と第2保持部材36との位置関係についても、上記実施形態とは反対の関係であってもよい。すなわち、第1保持部材35が収納空間の右側方に設けられ、第2保持部材36が収納空間の左側方に設けられていてもよい。
また、第1保持部材35及び第2保持部材36の各々は、上記実施形態のように、1つの収納空間(第1収納空間S1又は第2収納空間S2)に対して2つ設けられる構成に限らず、1つの収納空間に対して1つ、又は3つ以上設けられていてもよい。例えば、1つの収納空間に対して第1保持部材35及び第2保持部材36が1つずつ設けられる場合、1つの収納空間に収納される蓄電池ユニット5は、2つの保持部材(第1保持部材35及び第2保持部材36)にて保持されることになる。1つの収納空間に対して第1保持部材35及び第2保持部材36の各々が2つ以上設けられる構成では、1つの収納空間に対して第1保持部材35及び第2保持部材36の各々が1つ設けられる構成に比べて、蓄電池ユニット5が固定しやすくなる。
同様に、第1取付部55及び第2取付部56の各々についても、上記実施形態のように、1個の筐体51に対して2個設けられる構成に限らず、1個の筐体51に対して1個、又は3個以上設けられていてもよい。例えば、第1保持部材35及び第2保持部材36が1つの収納空間に対して1つずつ設けられる場合、第1取付部55及び第2取付部56も、1個の筐体51に対して1個ずつ設けられる。1個の筐体51に対して第1取付部55及び第2取付部56の各々が2個以上設けられる構成では、1個の筐体51に対して第1取付部55及び第2取付部56の各々が1個設けられる構成に比べて、蓄電池ユニット5が固定しやすくなる。
また、上記実施形態では、第1ストッパ342及び第2ストッパ343は、支持台34(台本体341)と一体であるが、この構成に限らず、第1ストッパ342及び第2ストッパ343の少なくとも一方が支持台34と別体であってもよい。
また、絶縁部材390は、蓄電池ユニット5の第1取付部55及び第2取付部56に取り付けられる構成に限らず、第1保持部材35と第1取付部55との間、及び第2保持部材36と第2取付部56との間にそれぞれ配置されていればよい。例えば、第1保持部材35及び第2保持部材36に、絶縁部材390が取り付けられていてもよい。
また、上記実施形態では、ヒータ及びファンを内蔵するヒータユニット6と風向パネル37とで送風部を構成しているが、例えばヒータユニット6のみで送風部を構成してもよい。この場合、ヒータユニット6の送風方向が上下方向となるようにヒータユニット6の向きを調整することで盤本体3内での熱の移動効率を向上させることができる。また、上記実施形態では、ヒータ及びファンを内蔵するヒータユニット6を用いているが、ファンのみであってもよい。
さらに、上記実施形態では、2個の蓄電池ユニット5を鉛直方向に並べているが、3個以上の蓄電池ユニット5を鉛直方向に並べるように構成してもよい。この場合、鉛直方向に隣接する2つの蓄電池ユニット5のうち下側の蓄電池ユニット5が上側の蓄電池ユニット5よりも前側(蓋体4側)となるように、両蓄電池ユニット5の位置を前後方向にずらすのが好ましい。
また、上記実施形態では、鉛直方向に平行な筐体51の4つの面のうち表面積が最も大きい面の法線方向(前後方向)に蓄電池ユニット5の位置をずらしている。これに対して、放熱性を考慮しなくてもよい場合には、筐体51の上記4つの面のうち表面積が最も大きい面を除いた残りの面の法線方向(左右方向)に蓄電池ユニット5の位置をずらしてもよい。
また、上記実施形態では、1個の蓄電池50を筐体51に収納した蓄電池ユニット5について説明したが、筐体51に収納する蓄電池50の数は1個に限らず、複数であってもよい。
また、上記実施形態では、リブ315Aが第5パネル315と一体であるが、リブ315Aは、第5パネル315と別体に形成され、第5パネル315に取り付けられるようになっていてもよい。
また、複数の収納盤2を左右方向に並べて設置(連接)する場合において、隣接する一対の収納盤2間には隙間があってもよい。すなわち、複数の収納盤2は隙間なく連接されるだけでなく、所定の間隔を空けて連接される構成であってもよい。さらには、複数の収納盤2は、取付ベース41を用いて連接される構成であってもよい。この場合、1個の取付ベース41に対して複数の収納盤2が並べて取り付けられる。
また、上記実施形態では、1個の収納盤2に蓄電池ユニット5を複数(2個)収納した例を示したが、収納盤2に収納される蓄電池ユニット5の数は複数に限らず、1個であってもよい。さらに、収納盤2には、例えばインバータ81等、電力変換装置8の少なくとも一部が収納されていてもよい。この場合、1個の収納盤2に蓄電池ユニット5とインバータ81等とが一緒に収納される。