JP2017034097A - Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法 - Google Patents

Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017034097A
JP2017034097A JP2015152876A JP2015152876A JP2017034097A JP 2017034097 A JP2017034097 A JP 2017034097A JP 2015152876 A JP2015152876 A JP 2015152876A JP 2015152876 A JP2015152876 A JP 2015152876A JP 2017034097 A JP2017034097 A JP 2017034097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
compound
bonded magnet
epoxy resin
resin compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015152876A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6608643B2 (ja
Inventor
雄大 下山
Yudai Shimoyama
雄大 下山
前田 英雄
Hideo Maeda
英雄 前田
輝雄 伊藤
Teruo Ito
輝雄 伊藤
石原 千生
Chio Ishihara
千生 石原
和宏 ▲高▼山
和宏 ▲高▼山
Kazuhiro Takayama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2015152876A priority Critical patent/JP6608643B2/ja
Publication of JP2017034097A publication Critical patent/JP2017034097A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6608643B2 publication Critical patent/JP6608643B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)
  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)

Abstract

【課題】高温高湿の環境下における保存安定性が良好であるNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、及びそのNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したボンド磁石、並びにそのNd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法を提供する。【解決手段】本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドはエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を配合してなる樹脂組成物と、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)とを含み、硬化促進剤(C)が、ボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である。本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石は本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いてなる。本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法は溶媒に溶解したエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を混合して樹脂組成物を調製する第1の工程、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を樹脂組成物と混合及び乾燥してNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを作製する第2の工程、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを圧縮成形して、圧縮成形体を作製する第3の工程、及び圧縮成形体を熱処理する第4の工程を含み、硬化促進剤(C)がボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である。【選択図】なし

Description

本発明は、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド及びそれを用いたNd−Fe−B系ボンド磁石、並びにその製造方法に関するものである。
希土類ボンド磁石とは、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)等の希土類磁性粉末と樹脂組成物等の結着材(バインダー材)とを混合し、所定の形状に成形して作製した磁石をいう。その中でもNd−Fe−B系ボンド磁石は磁石特性に優れ、代表的な希土類ボンド磁石である。
希土類ボンド磁石は、焼結型のフェライト磁石に比べて形状自由度が大きく(高く)、薄肉リング状等の多様な成形が容易であること、寸法精度が高いこと、機械的特性に優れるため割れ欠けが生じにくいこと、などの特徴がある。そのため、希土類ボンド磁石は、自動車、一般家電製品、通信・音響機器、医療機器、一般産業機器等に広く利用されている。
希土類ボンド磁石は、「コンパウンド」と呼ばれる、樹脂組成物等のバインダー材と希土類磁性粉とを混合して得られた複合粉末を圧縮成形することで製造される。コンパウンドに用いる磁性粉は、充填密度を高めるために粒度調整される。
耐熱性が必要な用途に用いられる希土類ボンド磁石、特にNd−Fe−B系ボンド磁石の技術課題は、高温環境下での使用時にバインダー材が軟化し、それによりNd−Fe−B系ボンド磁石の機械的強度が著しく低下してしまうことである。このような技術課題を解決するために、例えば、特許文献1〜3に記載のバインダー材が従来技術として知られている。特許文献1では、エポキシ樹脂とポリベンゾイミダゾールとを一定比率で含むものをバインダー材として用いる。これにより、希土類ボンド磁石の高温における機械的強度を向上させることができる。又、特許文献2では、ジヒドロベンズオキサジン化合物、及び、ジヒドロベンズオキサジン化合物とエポキシ樹脂又はフェノール樹脂の混合体をバインダー材として用いる。これにより、希土類ボンド磁石の高温における機械的強度を向上させることができる。さらに、特許文献3では、ポリアミドイミドをバインダー材として用いる。これにより希土類ボンド磁石の高温における機械的強度を向上させることができる。
特開平8−273916号公報 特開2001−214054号公報 特開2004−31786号公報
発明者等は、特許文献1〜3に記載されているバインダー材をNd−Fe−B系ボンド磁石について種々検討したが、検討したバインダー材は保存安定性に劣っており、特許文献1〜3に記載されているバインダー材の中から、高温における機械的強度と保存安定性との両方を満足するバインダー材は見出されなかった。
一般に加熱硬化型の硬化剤を使用するエポキシ樹脂の硬化系において、その硬化反応が比較的容易に進行するのは稀(例えば、芳香族ポリアミンを選択した場合)であり、ほとんどの場合には、硬化反応の速度を速めて樹脂組成物の硬さや強度を高めるために硬化促進剤を併用する。発明者らが、検討した結果、アミン系やトリフェニルホスフィン等のリン系触媒、スルホニウム塩のような一般的な硬化促進剤ではNd−Fe−B系磁石ボンド磁石に必要とされる硬化特性を満足することができても、コンパウンド中の樹脂組成物のポットライフ(長期保存安定性)が不十分あることになることが分かった。特に、高温・高湿環境下で保管されたコンパウンドを使用すると、コンパウンドがNd−Fe−B系磁性粉粒子の表面に付着しているコンパウンド粒子間のブロッキングによって粉体の流れ性が低下して成形不良を起こしたり、樹脂組成物の所望の硬化特性やボンド磁石の所望の機械的強度が得られなかったりすることが分かった。
そこで、本発明は、高温高湿の環境下における保存安定性が良好であるNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、及びそのボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を配合してなる樹脂組成物と、ボンド磁石用粉末(D)とを含むNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドにおいて、所定の硬化促進剤を用いることによって、ボンド磁石用樹脂コンパウンドの高温高湿の環境下における保存安定性が飛躍的に改善されることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を配合してなる樹脂組成物と、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)とを含み、硬化促進剤(C)が、ボレート及びボラン化合物の少なくとも1種であるNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
[2]硬化促進剤(C)のボレートが、下記一般式(1)で表されるボレートである上記[1]に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
(R) (1)
(式(1)中、Bはホウ素を示し、Xはアルキルホスホニウム塩、アリールホスホニウム塩、イミダゾール又はイミダゾール誘導体の塩、3級アミン塩及び4級アンモニウム塩の少なくとも1種を示し、Rはアルキル基、アリール基及びフルオロ基からなる群から選択される1種を示す。)
[3]硬化促進剤(C)のボラン化合物が、下記一般式(2)で表されるボラン化合物である上記[1]に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
Y・B(R) (2)
(式(2)中、Bはホウ素を示し、Yはアルキルホスフィン、アリールホスフィン、イミダゾール又はイミダゾール誘導体及び3級アミンの少なくとも1種を示し、Rはアルキル基、アリール基及びフルオロ基からなる群から選択される1種を示す。)
[4]硬化促進剤(C)の含有量が、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)100質量部に対し、0.000001質量部以上0.6質量部以下である上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
[5]エポキシ樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
[6]エポキシ樹脂が、サリチルアルデヒドノボラック型構造を有する上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
[7]硬化剤(B)がフェノール樹脂であり、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1当量に対するエポキシ樹脂(A)のエポキシ基と反応する硬化剤(B)中の活性基の比率が0.5以上1.5以下である上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
[8]上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いてなるNd−Fe−B系ボンド磁石。
[9]溶媒に溶解したエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を混合して樹脂組成物を調製する第1の工程、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を樹脂組成物と混合及び乾燥してNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを作製する第2の工程、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを圧縮成形して、圧縮成形体を作製する第3の工程、及び圧縮成形体を熱処理する第4の工程を含み、硬化促進剤(C)がボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である、Nd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法。
本発明によれば、高温高湿の環境下における保存安定性が良好であるNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、そのNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石、及び、そのNd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法を提供することができる。
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を配合してなる樹脂組成物と、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)とを含み、硬化促進剤(C)がボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である。
以下、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用コンパウンドの構成要素、製造方法、及びNd−Fe−B系ボンド磁石としての必要項目等について順に説明する。
[樹脂組成物]
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドに用いる樹脂組成物は、上述したように、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を配合してなるものである。樹脂組成物は、Nd−Fe−B系ボンド磁石を構成するボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を結合させるバインダー材としての機能を有し、機械的強度の源となる。樹脂組成物とボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)とを混合することでボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)表面を樹脂組成物で被覆する。なお、樹脂組成物は、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)表面全体を被覆していてもよいし、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)表面を部分的に被覆してもよい。ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)表面を被覆している樹脂組成物は、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを金型中で圧縮成形しているとき、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)間の隙間に充填し、磁性粉同士が結着する。そして、その後の加熱工程を経ることで、樹脂組成物は、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)間の強固な結合を生み出す。
(エポキシ樹脂(A))
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの樹脂組成物に使用するエポキシ樹脂(A)は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。エポキシ樹脂(A)の具体例としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂等サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アルコール類のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジル型又はメチルグリシジル型のエポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂及びオレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂(A)は、耐水性、耐溶剤性及び耐オイル性の観点から、好ましくはビフェニル型エポキシ樹脂である。市販されているビフェニル型エポキシ樹脂としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製のYX−4000、YX−4000H、YL−6121H、YX7399等が挙げられる。
又、エポキシ樹脂(A)は、高温機械的強度の観点から、好ましくはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。これらのエポキシ樹脂(A)の中で市販されているものでは、例えば、住友化学(株)製のESCN−190、ESCN−195等や、DIC(株)製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(N−730A、N−740、N−770、N−775、N−740−80M、N−770−70M、N−865、N−865−80M)、三菱化学(株)製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂(152、154、157S70)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(N−660、N−665、N−670、N−673、N−680、N−690、N−695、N−665−EXP、N−672−EXP、N−655−EXP−S、N−662−EXP−S、N−665−EXP−S、N−670−EXP−S、N−685−EXP−S、N−673−80M、N−680−75M、N−690−75M)等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドにおける必要特性の一つとして、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド(粉体)の良好な流れ性が挙げられる。このNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの良好な流れ性と優れた硬化特性との両立という観点からは、エポキシ樹脂(A)は、好ましくはサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂である。サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂とは、例えば、下記一般式(3)で示されるエポキシ樹脂である。下記一般式(3)で示されるエポキシ樹脂の中で市販されているものには、例えば、日本化薬(株)製の商品名「EPPN−5001H」(エポキシ当量162グラム/eq.以上172グラム/eq.以下、軟化点51℃以上57℃以下)、EPPN−501HY(エポキシ当量163グラム/eq.以上175グラム/eq.以下、軟化点57℃以上63℃以下)、EPPN−502H(エポキシ当量158グラム/eq.以上178グラム/eq.以下、軟化点60℃以上72℃以下)、EPPN−503(エポキシ当量170グラム/eq.以上190g/eq.以下、軟化点80℃以上100℃以下)三菱化学(株)製の1032H60等が挙げられる。
Figure 2017034097
(式(3)中、R1及びRは、それぞれ独立して、炭素数1以上18以下の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよく、iは0以上3以下の整数、kは0以上4以下の整数、nは0以上20以下の整数、小数又は帯小数を示し、i及びkはそれぞれ全て同一でも異なっていてもよい。)
(硬化剤(B))
耐熱性の観点から、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの樹脂組成物に用いる硬化剤(B)は、好ましくはフェノール樹脂である。硬化剤(B)は、脂肪族ポリアミンやポリアミノアミド、ポリメルカプタンのような低温〜室温で硬化するタイプと、芳香族ポリアミンや酸無水物、フェノールノボラック樹脂、ジシアンジアミド(DICY)のように加熱しないと硬化しない加熱硬化タイプとに分類される。一般的には、低温〜室温硬化タイプの硬化剤で硬化させたエポキシ樹脂は、ガラス転移点が低く、軟らかい硬化物となるため、本発明の用途には好ましくない。そのため、硬化剤(B)は、好ましくは加熱硬化タイプの硬化剤であり、より好ましくはフェノールノボラック樹脂である。フェノールノボラック樹脂を硬化剤(B)として用いることでガラス転移点が高い樹脂硬化物が得られるため、耐熱性や機械的強度に優れたNd−Fe−B系ボンド磁石を製造することができる。
フェノール樹脂硬化剤には、例えば、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノールとアラルキル型フェノールとの共重合型フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、並びにこれらの2種以上を共重合して得たフェノール樹脂等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物には、例えば、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF及び置換又は非置換のビフェノール等が挙げられる
フェノールノボラック樹脂には、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノール等のフェノール類及び/又はα−ナフトール、β−ナフトール及びジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるものなどが挙げられる。フェノールノボラック樹脂の中で市販されているものには、例えば、荒川化学工業(株)製のタマノル758、759や、日立化成(株)製のHP−850N等が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの樹脂組成物において、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基1当量に対して、当該エポキシ基と反応する硬化剤(B)中の活性基(例えば、フェノール性水酸基)の比率は、好ましくは0.5以上1.5以下であり、より好ましくは0.7以上1.0以下である。上記活性基の比率が0.5以上1.5以下であると、樹脂組成物の硬化速度を大きくしたり、得られる硬化体のガラス転移温度を高くしたり、充分な弾性率が得られるようになるとともに、硬化後の樹脂成形品の強度が低下することを抑制できる。
(硬化促進剤(C))
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの樹脂組成物に用いる硬化促進剤(C)はボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である。これにより、高温高湿の環境下における保存安定性が良好であるボンド磁石用樹脂コンパウンドを得ることができる。ここで、高温高湿の環境下とは、例えば、温度が40℃であり、相対湿度が90%の環境下である。硬化促進剤(C)はボレート及びボラン化合物であってもよいし、硬化促進剤(C)はボレート又はボラン化合物であってもよい。
高温高湿の環境下における保存安定性がより良好になるという観点から、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの樹脂組成物に用いる硬化促進剤(C)ボレートは、好ましくは下記一般式(1)で表されるボレートである。
(R) (1)
(式(1)中、Bはホウ素を示し、Xはアルキルホスホニウム塩、アリールホスホニウム塩、イミダゾール又はイミダゾール誘導体の塩、3級アミン塩及び4級アンモニウム塩の少なくとも1種を示し、Rはアルキル基、アリール基及びフルオロ基からなる群から選択される1種を示す。)
上記一般式(1)のボレートを硬化促進剤(C)として用いることにより、Nd−Fe−B系ボンド磁石の機械的強度をさらに改善するとともに、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの高温高湿の環境下における保存安定性がさらに良好になる。
一般にイミダゾール系の硬化促進剤を用いた場合、エポキシ樹脂が単独で硬化反応を引き起こしやすい。又、ホスフィン系の硬化促進剤を用いた場合、エポキシ樹脂の単独硬化は引き起こさないものの、エポキシ樹脂とホスフィンとが反応してクライゼン転位反応が進行する前に触媒活性が低下又は失活することがある。これに対し、本発明の硬化促進剤(C)として用いたボレートは、エポキシ樹脂の単独硬化の触媒活性が低く、かつ、クライゼン転位反応が進行する200℃付近まで触媒活性を失わない。このために、上記一般式(1)で表されるボレートを硬化促進剤(C)として好適に使用することができる。
上記一般式(1)のXのアルキルホスホニウム塩は、好ましくは3つ又は4つのアルキル基を有するホスホニウム塩である。それぞれのアルキル基は、独立に、好ましくはC〜C20のアルキル基であり、より好ましくはC〜C16のアルキル基である。又、アリールホスホニウム塩は、好ましくは3つ又は4つの、置換してもよいフェニル基を有するホスホニウム塩である。
上記一般式(1)のRのアルキル基は、好ましくはC〜C20のアルキル基であり、より好ましくはC〜C16のアルキル基である。又、上記一般式(1)のRのアリール基は、好ましくは置換してもよいフェニル基である。
硬化促進剤(C)として用いられる、一般式(1)で示されるボレートのうち、Xがアルキルホスホニウム塩又はアリールホスホニウム塩であるものの具体例としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラ―p―トリルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、n−ヘキサドデシルトリ−n−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−4−メチルフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−4−フルオロフェニルボレート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート及びトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して使用することもできる。ただし、これらのボレートの中には、保存安定性に優れるが、樹脂への溶解性に乏しく、例えば硬化剤(B)等と予め反応させてから用いる必要があるものもある。又、これらのボレートの中には、200℃以上に加熱された場合、熱分解によりベンゼンガスが発生するものもある。環境面や溶解性の観点からは、硬化促進剤(C)として用いる一般式(1)で示されるボレートは、好ましくはテトラフェニルホスホニウムテトラ―p―トリルボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート及びトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレートからなる群から選択される少なくとも1種である。
硬化促進剤(C)として用いられる、一般式(1)で示されるボレートのうち、Xがイミダゾール若しくはイミダゾール誘導体の塩、3級アミン塩又は4級アンモニウム塩であるものの具体例としては、例えば、(a)2−エチル−4−メチル−イミダゾールテトラフェニルボレート、(b)1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−テトラフェニルボレート、(c)1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5−テトラフェニルボレート、(d)テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート等が例示できる。上記テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートと同等の硬化促進作用を示すだけでなく、Xがイミダゾール若しくはイミダゾール誘導体の塩、3級アミン塩又は4級アンモニウム塩である上記ボレートの中で、溶解性や熱安定性に特に優れるという観点から、Xがイミダゾール若しくはイミダゾール誘導体の塩、3級アミン塩又は4級アンモニウム塩である硬化促進剤(C)として用いられる、一般式(1)で示されるボレートは、好ましくは(c)1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5−テトラフェニルボレート及び(d)テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートからなる群から選択される少なくとも1種である。
Figure 2017034097
なお、上記式(a)の「Me−」はメチル基を示し、「Et−」はエチル基を示し、上記式(d)の「Bu−」はブチル基(CH(CH−)を示す。
又、高温高湿の環境下における保存安定性がより良好になるという観点から、本発明のNd−Fe−B系希土類ボンド磁石用樹脂コンパウンドの樹脂組成物に用いる硬化促進剤(C)のボラン化合物は、好ましくは下記一般式(2)で表されるボラン化合物である。
Y・B(R) (2)
(式(2)中、Bはホウ素を示し、Yはアルキルホスフィン、アリールホスフィン、イミダゾール又はイミダゾール誘導体及び3級アミンの少なくとも1種を示し、Rはアルキル基、アリール基及びフルオロ基からなる群から選択される1種を示す。)
上記一般式(2)のYのアルキルホスフィンは、好ましくは3つのアルキル基を有するホスフィンである。それぞれのアルキル基は、独立に、好ましくはC〜C20のアルキル基であり、より好ましくはC〜C16のアルキル基である。又、アリールホスフィンは、好ましくは3つの、置換してもよいフェニル基を有するホスフィンである。
上記一般式(2)のRのアルキル基は、好ましくはC〜C20のアルキル基であり、より好ましくはC〜C16のアルキル基である。又、上記一般式(2)のRのアリール基は、好ましくは置換してもよいフェニル基である。
硬化促進剤(C)として用いられる、一般式(2)で示されるボラン化合物のうち、Yがアルキルホスフィン又はアリールホスフィンあるものの具体例としては、例えば、トリフェニルホスフィントリ―p―トリルボラン、トリ−n−ブチルホスフィントリフルオロボラン、n−ヘキサドデシルジ−n−ブチルホスフィントリフルオロボラン、トリフェニルホスフィントリフルオロボラン、トリ−n−ブチルホスフィントリフェニルボラン、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、トリフェニルホスフィントリ−4−メチルフェニルボラン、トリフェニルホスフィントリ−4−フルオロフェニルボラン、トリ−tert−ブチルホスフィントリフェニルボラン、トリ−tert−ブチルホスフィントリフルオロボラン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して使用することもできる。ただし、これらのボラン化合物の中には、保存安定性に優れるが、樹脂への溶解性に乏しく、例えば硬化剤(B)等と予め反応させてから用いる必要があるものもある。又、これらのボラン化合物の中には、200℃以上に加熱された場合、熱分解によりベンゼンガスが発生するものもある。環境面や溶解性の観点からは、硬化促進剤(C)として用いる一般式(2)で示されるボラン化合物は、好ましくはトリフェニルホスフィントリ―p―トリルボラン、トリ−n−ブチルホスフィントリフェニルボラン、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン及びトリ−tert−ブチルホスフィントリフルオロボランからなる群から選択される少なくとも1種である。
硬化促進剤(C)として用いられる、一般式(2)で示されるボラン化合物のうち、Yがイミダゾール若しくはイミダゾール誘導体又は3級アミン塩であるものの具体例としては、例えば、(e)2−エチル−4−メチル−イミダゾールトリフェニルボラン、(f)1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7−トリフェニルボラン、(g)1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5−トリフェニルボラン等が例示できる。上記テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートと同等の硬化促進作用を示すだけでなく、Yがイミダゾール若しくはイミダゾール誘導体又は3級アミンである上記ボラン化合物の中で、溶解性や熱安定性に特に優れるという観点から、Yがイミダゾール若しくはイミダゾール誘導体又は3級アミンである硬化促進剤(C)として用いられる、一般式(2)で示されるボラン化合物は、好ましくは(g)1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5−トリフェニルボランである。
Figure 2017034097
本発明のボンド磁石樹脂用コンパウンドにおける硬化促進剤(C)の配合量は、硬化促進効果が達成できれば特に制限はない。しかし、樹脂組成物の吸湿時の硬化性及び流動性における改善の観点からは、ボンド磁石用粉末(D)100質量部に対し、硬化促進剤(C)の配合量は、好ましくは0.000001質量部以上0.6質量部以下であり、より好ましくは0.001質量部以上0.3質量部以下である。なお、上述の列挙された硬化促進剤(C)を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。又、上述の列挙された硬化促進剤(C)以外の硬化促進剤を上述の列挙された硬化促進剤(C)と一緒に使用してもよい。
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドには、硬化促進剤(C)由来のホウ素(又はホウ素化合物)が存在する。本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドにおけるホウ素の含有量は以下のようにして測定できる。本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを酸素雰囲気下にて高温で燃焼させる。そして、燃焼ガスを水の中に通過させて、燃焼ガス中のホウ素を水にトラップさせる。水中のトラップされたホウ素は、水中でホウ酸イオンとして存在する。水中のホウ酸の濃度は、ホウ酸イオンを吸着するキレート樹脂を用いて測定することができる。又、ICP発光分光分析法によっても水中のホウ酸の濃度を測定できる。そして、測定した水中のホウ酸の濃度に基づいて、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドにおけるホウ素の含有量を算出できる。又、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドにおける硬化促進剤由来のホウ素を定量する手法としては、王水等の強酸でNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド中の磁石用Nd−Fe−B系磁性粉を溶解させ、回収した(ホウ素含有の)不溶物を固体NMR分析にて分析することでホウ素成分を分析する方法もある。
(ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D))
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドに用いるボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)は、ネオジウム・鉄・ホウ素系磁石用粉末である。Nd−Fe−B系磁石の優れた磁気特性と樹脂組成物の高耐熱性・高接着力により優れたボンド磁石を製造することができる。
ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の形状は、好ましくは扁平形状(例えば、粉末粒子の形状アスペクト比=短径/長径が0.3以下)である。扁平形状を有するボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を用いると、コンパウンドの圧縮成形の際にボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)が積層しやすくなる。成形時にボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)間に空隙及び樹脂溜りができにくくなり、高密充填が可能となることで、密度が高く、機械的強度も高いNd−Fe−B系ボンド磁石を製造することができる。
ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の平均粒子径(D50)は、好ましくは20μm以上300μm以下であり、より好ましくは40μm以上250μm以下である。ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の粒度分布は、例えば、ふるい分けによる重量測定やレーザー回折等の粒度分布測定装置(機器分析)によって測定できる。
(保存安定性)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、上記硬化促進剤(C)を用いることにより優れた保存安定性を有する。本明細書に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの保存安定性は、所定時間保管されたNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石(熱処理後の圧粉成形体)の圧壊強度や抗折強度と、保管時間が非常に短いNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド(例えば、作製直後のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド)を用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石(熱処理後の圧粉成形体)の圧壊強度や抗折強度とを比較することにより評価することができる。Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを長時間、過酷な環境に保管しても、そのNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度や抗折強度が低下しない場合、保存安定性がそれだけ高いといえる。実用上の環境を想定した場合、例えば、40℃/90%RHの高温高湿環境でNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを5日ほど保存しても、Nd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度や抗折強度が変わらなければ、実用上問題が生じないと予測される。さらに、40℃/90%RHの高温高湿環境でNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを2週間ほど保存しても、Nd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度や抗折強度が変わらなければ、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを大量に生産して長期間保存する量産工程でも問題が生じないと予測される。
(その他の配合成分)
本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、硬化促進剤(C)及びボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)以外の配合成分を含むことができる。例えば、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、カップリング剤、流動助材(金属酸化物)、難燃剤及び内部潤滑剤からなる群から選択される少なくとも1種の配合成分をさらに含むことができる。
(カップリング剤)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドはカップリング剤を含むことで樹脂組成物と磁性粉表面との間の密着性をさらに高めることでき、Nd−Fe−B系ボンド磁石の強度をさらに高めることができる。カップリング剤には、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン及びビニルシラン等のシラン系化合物のカップリング剤、チタン系化合物のカップリング剤、アルミニウムキレート類のカップリング剤並びにアルミニウム/ジルコニウム系化合物のカップリング剤等が挙げられる。
(流動助剤)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、流動助剤をさらに含むことにより、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの流動性をさらに改善することができる。流動助剤には、例えば安価なシリカ(例えばアエロジル)、シリカよりも熱伝導性に優れるアルミナ等が挙げられる。又、これ以外にも、流動助剤には、炭酸カルシウム、カオリンクレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク及びマイカ等の無機微粒子が挙げられる。Nd−Fe−B系ボンド磁石の強度の低下を抑制するという観点からは、流動助剤の平均粒子径(D50)は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。
(難燃剤)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、難燃剤をさらに含むことにより、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの耐火性を向上させることができる。環境安全性、リサイクル性、成形加工性及び低コストの観点から、難燃剤は、好ましくは臭素系難燃剤、リン系難燃剤、水和金属化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素含有化合物、ヒンダードアミン化合物、有機金属化合物及び芳香族エンプラからなる群から選択される少なくとも1種である。
(内部潤滑剤)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは、内部潤滑剤をさらに含むことにより、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの圧縮成形における金型の損傷を低減することができる。内部潤滑剤は、粉末冶金において使用される潤滑剤であれば特に限定されない。内部潤滑剤には、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸、長鎖炭化水素やEBS(エチレンビスステアリン酸アミド)、ポリエチレン等のワックス系潤滑剤などが挙げられる。又、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドに配合する代わりに、又は配合するとともに、内部潤滑剤の分散液を金型ダイス内壁面(パンチと接触する壁面)に塗布してもよい。
(樹脂組成物の含有量)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドにおける樹脂組成物及びボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の合計に対する樹脂組成物の含有量は、樹脂組成物及びボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉の総量に対して、好ましくは0.2質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.4質量%以上5質量%以下である。このような含有量とすることでNd−Fe−B系ボンド磁石の高強度化とNd−Fe−B系ボンド磁石の磁気特性を両立させることができる。
(硬化後の樹脂組成物のガラス転移温度)
高温で過酷な環境下においても強度の低下が少ない優れたNd−Fe−B系ボンド磁石を得られるという観点からは、硬化後の樹脂組成物のガラス転移温度は、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは200℃以上である。なお、本明細書においてガラス転移温度とは、動的粘弾性測定において、tanδがピークになる温度である。
[Nd−Fe−B系ボンド磁石]
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石は、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いてなる。
(Nd−Fe−B系ボンド磁石の弾性率の維持率)
耐熱性が優れたNd−Fe−B系ボンド磁石を得ることができるという観点からは、50℃における本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の弾性率に対する、150℃における本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の弾性率の維持率は、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。なお、弾性率を測定する方法には、三点曲げ試験を50℃及び150℃の温度で測定する方法及び動的粘弾性測定による50℃及び150℃の弾性率を測定する方法等が挙げられる。又、Nd−Fe−B系ボンド磁石の弾性率の維持率は、150℃における本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の弾性率を50℃における本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の弾性率で割り算して算出した値をパーセントで表したものである
(Nd−Fe−B系ボンド磁石の相対密度)
優れた磁気特性を有するNd−Fe−B系ボンド磁石を得ることができるという観点から、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の相対密度は、Nd−Fe−B系磁性粉の真密度に対して、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
(Nd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度)
高温において機械的強度の高いNd−Fe−B系ボンド磁石を得ることができるという観点から、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の150℃の温度における圧壊強度は、好ましくは100MPa以上であり、より好ましくは150MPa以上であり、さらに好ましくは200MPa以上である。
[Nd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法]
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法は、溶媒に溶解したエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を混合して樹脂組成物を調製する第1の工程、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を樹脂組成物と混合及び乾燥してNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを作製する第2の工程、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを圧縮成形して、圧縮成形体を作製する第3の工程、及び圧縮成形体を熱処理する第4の工程を含む。そして、第1の工程で使用する硬化促進剤(C)はボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である。
(第1の工程)
上述したように、第1の工程では、溶媒に溶解したエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を混合して樹脂組成物を調製する。例えば、これらの混合にはミキサーが使用される。エポキシ樹脂(A)を溶媒に溶解することにより、後述の第2の工程で、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の表面を樹脂組成物で均一に被覆することができる。なお、第1の工程で使用する硬化促進剤(C)はボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である。
(溶媒)
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法の第1の工程で使用する溶媒は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を溶解することができれば、特に限定されない。例えば、溶媒には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン及びキシレン等が挙げられる。作業性を考慮した場合、溶媒は、好ましくは、常温では液体であり、沸点が60℃以上150℃以下であるものである。
(第2の工程)
上述したように、第2の工程では、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を樹脂組成物と混合及び乾燥してNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを作製する。混合及び乾燥には、例えば、ミキシングシェーカー、タンブラーミキサー、V型混合機、ダブルコーン型混合機、リボン型混合機、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー及びスーパーミキサー等を用いることができる。
(第3の工程)
上述したように、第3の工程では、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを圧縮成形して、圧縮成形体を作製する。圧縮成形するときの圧力は高ければ高いほど、高磁束密度及び高強度のNd−Fe−B系ボンド磁石を得ることができる。例えば、圧縮成形するときの成形圧は、好ましくは500MPa以上2500MPa以下である。又、量産性や金型寿命の観点から、圧縮成形するときの成形圧は、好ましくは1400MPa以上2000MPa以下である。磁気特性が良好で、機械的強度が高いNd−Fe−B系ボンド磁石を製造することができるという観点から、圧縮成形体の密度は、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の真密度に対して、好ましくは75%以上86%以下であり、より好ましくは80%以上86%以下である。
(第4の工程)
上述したように、第4の工程では、圧縮成形体を熱処理する。これにより、圧縮成形体中の樹脂組成物を完全に硬化させることができる。したがって、熱処理温度は、熱硬化性樹脂を充分に硬化させることができる温度であれば特に限定されない。例えば、熱処理温度は、好ましくは150℃以上300℃以下であり、より好ましくは175℃以上250℃以下である。又、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の酸化を抑制するために、熱処理は不活性雰囲気下で行うことができる。なお、熱処理温度が300℃よりも高温の場合、製造上不可避の微量酸素によってボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)の酸化が生じたり、樹脂組成物の硬化物の劣化が生じたりすることがある。このような観点から、熱処理温度は、好ましくは300℃以下である。又、上記観点から、熱処理温度の保持時間は、好ましくは1分以上4時間以下であり、より好ましくは5分以上1時間以下である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を、意味するものとする。
[樹脂組成物]
Nd−Fe−B系ボンド磁石の評価を行う前に、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの硬化特性の把握を目的に、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドに用いる樹脂組成物の熱分析及びその硬化物の耐熱性評価を実施した。試験に使用した樹脂組成物の組成及び評価結果を表1に示す。なお、表1中の各成分の配合量の単位は、質量部である。
(熱分析及び耐熱性評価)
得られた樹脂組成物の熱的特性は、示差走査熱量計(PERKIN ELMER社製、商品名:DSC7)を用いて評価した。分析は、N雰囲気下、昇温速度10℃/分で行い、各樹脂組成物の発熱ピーク温度と発熱量を測定した。これらの測定は、配合直後の樹脂組成物と、40℃/90%RHの高温高湿環境で5日間保存した樹脂組成物とについて実施した。そして、配合直後の樹脂組成物の発熱量から40℃/90%RHの高温高湿環境で5日間保存した樹脂組成物の発熱量を引き算して算出した値を配合直後の樹脂組成物の発熱量で割り算して、発熱量低下率を算出した。
又、示差熱熱重量同時測定装置(TG−DTA、EXSTAR6000、(株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて高温時の重量減少を測定し、耐熱性の指標を得た。測定は、Alパンに試料(10mg以上20mg以下程度)を詰めてN雰囲気下、25℃から500℃まで昇温速度10℃/分で昇温させた際の重量変化を測定し、25℃のときの試料の質量を基準として重量低下率を算出した。これらの熱分析の結果を表1にまとめた。
(樹脂組成物の作製)
上述の熱特性の評価に用いる樹脂組成物は以下のように作製した。
サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂(エポキシ当量168グラム/eq.、軟化点64℃の、日本化薬(株)製、商品名EPPN−502H)をエポキシ樹脂(A)として用いた。又、フェノールノボラック樹脂(水酸基当量106グラム/eq.、日立化成(株)製、商品名HP−850N)を硬化剤(B)として用いた。下記の硬化促進剤(C−1〜10)を硬化促進剤(C)として用いた。さらに、エポキシ樹脂(A)100質量部に対して800質量部の2−ブタノンを、エポキシ樹脂(A)を溶解する溶剤として使用した。これらの原料をプラスチック容器内で表1記載の配合比にて混合し、ミックスロータにて回転数40min−1にて攪拌した。1時間攪拌した後、得られた樹脂溶液を濃縮し、真空ポンプを用いて減圧(到達圧力:約6.7×10−2Pa)することで溶媒を十分に除去した。このようにして樹脂組成物1〜10を作製した。
(1)硬化促進剤C−1:テトラフェニルホスホニウムテトラ―p―トリルボレート(北興化学工業(株)製、製品名TPP−MK、融点247−250℃)
(2)硬化促進剤C−2:テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(北興化学工業(株)製、製品名TPP−K、融点304−306℃)
(3)硬化促進剤C−3:トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(北興化学工業(株)製、製品名TPP−S、融点210−213℃)
(4)硬化促進剤C−4:テトラ―n―ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(日本化学工業(株)製、製品名PX−4PB 融点230℃)を使用した。
(5)硬化促進剤C−5:トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート(東京化成(株)製、融点239℃)
(6)硬化促進剤C−6:テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート(東京化成(株)製 融点235℃)
(7)硬化促進剤C−7:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5−テトラフェニルボレート(北興化学工業(株)製、製品名DBNK、融点130℃)
(8)硬化促進剤C’−8:トリフェニルホスフィン(北興化学工業(株)製、製品名TPP、融点80℃)
(9)硬化促進剤C’−9:2−シアノエチルー4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製、製品名2PZ−CN、融点57℃)を使用した。
(10)硬化促進剤C’−10:1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(サンアプロ(株)製、製品名DBU)
Figure 2017034097
[樹脂組成物の評価結果]
表1より、硬化促進剤(C)としてボレート又はボラン化合物を使用した樹脂組成物1〜7は、硬化促進剤(C)としてボレート又はボラン化合物を使用していない樹脂組成物8〜10に比べて、いずれも40℃/90%RHの高温高湿環境で5日間保存した樹脂組成物の発熱量の低下が少なかった。これより、40℃/90%RHの高温高湿環境で樹脂組成物1〜7を5日間保存しても、樹脂組成物1〜7の硬化はほとんど進まないが、樹脂組成物8〜10は、40℃/90%RHの高温高湿環境で樹脂組成物8〜10を5日間保存すると硬化が徐々に進むものと考えられる。
又、樹脂組成物1〜7では、樹脂組成物を200℃、250℃と高温に加熱しても重量低下率は小さかった。一方、樹脂組成物8〜10では、200℃、250℃と樹脂組成物を高温に加熱した場合、重量低下率が非常に大きかった。200℃、250℃の段階では、樹脂組成物1〜10は硬化しているので、これより、樹脂組成物1〜7の硬化物の耐熱性は、樹脂組成物8〜10の硬化物の耐熱性よりも優れていることが伺える。
樹脂組成物1〜10のエポキシ樹脂(A)及び硬化剤(B)が同一であることから、樹脂組成物1〜7と樹脂組成物8〜10のこれらの違いは、硬化促進剤(C)がボレート又はボラン化合物であるか否かによると考えられる。したがって、ボレート又はボラン化合物を硬化促進剤(C)として用いることにより、樹脂組成物の保存安定性が向上するとともに、樹脂組成物の硬化物の耐熱性も向上することがわかった。
[Nd−Fe−B系ボンド磁石]
実施例1〜7及び比較例1〜3のNd−Fe−B系ボンド磁石を作製し、作製したNd−Fe−B系ボンド磁石について、密度及び圧壊強度を測定した。
(Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの作製)
サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量168グラム/eq.、軟化点64℃、日本化薬(株)製、商品名EPPN−502H)をエポキシ樹脂(A)として用いた。又、フェノールノボラック樹脂(水酸基当量106グラム/eq.、日立化成(株)製、商品名HP−850N)を硬化剤(B)として用いた。さらに、上記の硬化促進剤(C−1〜10)を硬化促進剤(C)として用いた。又、Nd−Fe−B粉末(モリコープマグネクエンチ社製、商品名MQP−B、平均粒径:100μm)をボンド磁石用粉末(D)として用いた。さらに、ボンド磁石用粉末100質量部に対して30質量部の2−ブタノンを、エポキシ樹脂(A)を溶解する溶剤として使用した。これらの原料を表2記載の配合比にて容積300mLのナス型フラスコに投入し、25℃にてエバポレータ内で30分ほど撹拌した。続いて、エバポレータ内を減圧し、凝集状態のボンド磁石用樹脂コンパウンドをナス型フラスコから取り出して真空ポンプを用いて減圧(到達圧力:約6.7×10−2Pa)することで溶媒を十分に除去した。溶媒除去後、凝集状態のボンド磁石用樹脂コンパウンドを粗粉砕し、100メッシュのふるいにて粗大粉を除去して粒度を整えた。
(Nd−Fe−B系ボンド磁石の作製)
次に、100質量部の作製直後のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドに対して内部潤滑剤として0.3質量部のステアリン酸カルシウムを混合し、V型混合機で1時間ほど撹拌した。得られた内部潤滑材含有のボンド磁石用樹脂コンパウンドは、油圧プレス機を用いて2000MPaの成形圧力にて外径11.3mm×高さ8mmの円柱形状の圧縮成形体に成形した。得られた円柱形状の圧縮成形体を窒素ガス(N)雰囲気下、200℃の温度にて10分間の加熱をすることでNd−Fe−B系ボンド磁石の試験片を作製した。同様にして、40℃/90%RHの環境下にて5日間保存したNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドについても、Nd−Fe−B系ボンド磁石の試験片を作製した。
(圧壊強度試験)
万能圧縮試験機((株)島津製作所製、商品名:AG−10TBR)を使用して上記試験片を高さ方向から圧縮圧力をそれぞれ印加して、圧縮圧力により試験片が破壊されたときの圧縮圧力の最大値から圧壊強度(MPa)を算出した。Nd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度の結果を表2にまとめる。又、作製直後のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度に対する40℃/90%RHの環境下にて5日間保存したNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製したNd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度の強度低下率より、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの保存安定性を調べた。強度低下率が大きいほど、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドの保存安定性が悪いことを示す。なお、強度低下率がマイナスの値の場合は、40℃/90%RHの環境下にてNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを5日間保存すると、Nd−Fe−B系ボンド磁石の圧壊強度が高くなる場合である。
Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド粉の配合及び得られたNd−Fe−B系ボンド磁石の密度及び圧壊強度試験の結果を次の表2に示す。
Figure 2017034097
実施例1〜7のNd−Fe−B系ボンド磁石は、いずれも、40℃/90%RHの環境下にてNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを5日間保存しても圧壊強度の低下幅は少なかった。特にテトラ―n―ブチルホスホニウムテトラフェニルボレートを硬化促進剤(C)として使用した実施例4は、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを40℃/90%RHの環境下にて5日間保存することで圧壊強度が逆に高くなった。さらに実施例1〜7を比べると、五員複素環式化合物からなる実施例7は、やや強度低下が大きい。一方、ボラン化合物(トリフェニルホスフィントリフェニルボラン)を用いた実施例3は、強度低下は少ないものの、圧壊強度の絶対値も低いことがわかった。これらの結果は、表1のDSC測定の結果とも一致している。
一方、比較例1〜3のNd−Fe−B系ボンド磁石は、圧壊強度の低下幅が大きく、ボンド磁石用樹脂コンパウンドの保存安定性が悪かった。これは、表1の結果を考慮すると、樹脂組成物の保存安定性が乏しいことが影響したものと考えられる。このような保存安定性に乏しいNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドでは、Nd−Fe−B系ボンド磁石の製造が困難となる。
本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドは保存安定性に優れている。このため、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いることにより、Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドが高温及び高湿下で保存されたことによるNd−Fe−B系ボンド磁石の強度の低下を抑制することができる。又、本発明のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いて作製されたNd−Fe−B系ボンド磁石の機械的強度は高く、耐熱性も良好である。このようなNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いることによって、高温及び高湿下でも耐熱性に優れる高性能なNd−Fe−B系ボンド磁石を安定的に提供することが可能となり、その工業的価値は高い。

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を配合してなる樹脂組成物と、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)とを含み、
    前記硬化促進剤(C)が、ボレート及びボラン化合物の少なくとも1種であるNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
  2. 前記硬化促進剤(C)のボレートが、下記一般式(1)で表されるボレートである請求項1に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
    (R) (1)
    (式(1)中、Bはホウ素を示し、Xはアルキルホスホニウム塩、アリールホスホニウム塩、イミダゾール又はイミダゾール誘導体の塩、3級アミン塩及び4級アンモニウム塩の少なくとも1種を示し、Rはアルキル基、アリール基及びフルオロ基からなる群から選択される1種を示す。)
  3. 前記硬化促進剤(C)のボラン化合物が、下記一般式(2)で表されるボラン化合物である請求項1に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
    Y・B(R) (2)
    (式(2)中、Bはホウ素を示し、Yはアルキルホスフィン、アリールホスフィン、イミダゾール又はイミダゾール誘導体及び3級アミンの少なくとも1種を示し、Rはアルキル基、アリール基及びフルオロ基からなる群から選択される1種を示す。)
  4. 前記硬化促進剤(C)の含有量が、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)100質量部に対し、0.000001質量部以上0.6質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
  5. 前記エポキシ樹脂が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
  6. 前記エポキシ樹脂が、サリチルアルデヒドノボラック型構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
  7. 前記硬化剤(B)がフェノール樹脂であり、
    前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基1当量に対する前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ基と反応する前記硬化剤(B)中の活性基の比率が0.5以上1.5以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを用いてなるNd−Fe−B系ボンド磁石。
  9. 溶媒に溶解したエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)を混合して樹脂組成物を調製する第1の工程、ボンド磁石用Nd−Fe−B系磁性粉(D)を前記樹脂組成物と混合及び乾燥してNd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを作製する第2の工程、前記Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンドを圧縮成形して、圧縮成形体を作製する第3の工程、及び前記圧縮成形体を熱処理する第4の工程を含み、前記硬化促進剤(C)がボレート及びボラン化合物の少なくとも1種である、Nd−Fe−B系ボンド磁石の製造方法。
JP2015152876A 2015-07-31 2015-07-31 Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法 Active JP6608643B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015152876A JP6608643B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015152876A JP6608643B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017034097A true JP2017034097A (ja) 2017-02-09
JP6608643B2 JP6608643B2 (ja) 2019-11-20

Family

ID=57987296

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015152876A Active JP6608643B2 (ja) 2015-07-31 2015-07-31 Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6608643B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019106810A1 (ja) * 2017-11-30 2019-06-06 日立化成株式会社 コンパウンド粉
WO2019198237A1 (ja) * 2018-04-13 2019-10-17 日立化成株式会社 コンパウンド及び成形体
WO2020225885A1 (ja) * 2019-05-08 2020-11-12 昭和電工マテリアルズ株式会社 希土類ボンド磁石用コンパウンド、希土類ボンド磁石、希土類ボンド磁石の製造方法、及び樹脂組成物
US20200391287A1 (en) * 2018-02-28 2020-12-17 Hitachi Chemical Company, Ltd. Compound powder
CN112166155A (zh) * 2018-05-31 2021-01-01 昭和电工材料株式会社 复合物、成形体及电子部件
JPWO2021019784A1 (ja) * 2019-08-01 2021-02-04
JP2021027100A (ja) * 2019-08-01 2021-02-22 昭和電工マテリアルズ株式会社 希土類ボンド磁石用コンパウンド及びその製造方法、並びに、希土類ボンド磁石及びその製造方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49118798A (ja) * 1973-03-19 1974-11-13
JP2003342354A (ja) * 2002-05-24 2003-12-03 Hokko Chem Ind Co Ltd 新規なボレート化合物およびエポキシ樹脂硬化促進剤
JP2004349337A (ja) * 2003-05-20 2004-12-09 Aichi Steel Works Ltd ボンド磁石の製造方法
JP2010232468A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Minebea Co Ltd 希土類ボンド磁石
JP2011099086A (ja) * 2009-10-07 2011-05-19 Hitachi Chem Co Ltd エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた電子部品装置
JP2012197400A (ja) * 2011-03-23 2012-10-18 Hitachi Chemical Co Ltd エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP2013026324A (ja) * 2011-07-19 2013-02-04 Tomoegawa Paper Co Ltd 複合磁性体
JP2014027030A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Nichia Chem Ind Ltd 押出成形装置及びボンド磁石の押出成形方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49118798A (ja) * 1973-03-19 1974-11-13
JP2003342354A (ja) * 2002-05-24 2003-12-03 Hokko Chem Ind Co Ltd 新規なボレート化合物およびエポキシ樹脂硬化促進剤
JP2004349337A (ja) * 2003-05-20 2004-12-09 Aichi Steel Works Ltd ボンド磁石の製造方法
JP2010232468A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Minebea Co Ltd 希土類ボンド磁石
JP2011099086A (ja) * 2009-10-07 2011-05-19 Hitachi Chem Co Ltd エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた電子部品装置
JP2012197400A (ja) * 2011-03-23 2012-10-18 Hitachi Chemical Co Ltd エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
JP2013026324A (ja) * 2011-07-19 2013-02-04 Tomoegawa Paper Co Ltd 複合磁性体
JP2014027030A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Nichia Chem Ind Ltd 押出成形装置及びボンド磁石の押出成形方法

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019106810A1 (ja) * 2017-11-30 2019-06-06 日立化成株式会社 コンパウンド粉
US20200391287A1 (en) * 2018-02-28 2020-12-17 Hitachi Chemical Company, Ltd. Compound powder
JPWO2019198237A1 (ja) * 2018-04-13 2021-04-22 昭和電工マテリアルズ株式会社 コンパウンド及び成形体
WO2019198237A1 (ja) * 2018-04-13 2019-10-17 日立化成株式会社 コンパウンド及び成形体
JP7222394B2 (ja) 2018-04-13 2023-02-15 株式会社レゾナック コンパウンド及び成形体
KR102422919B1 (ko) * 2018-04-13 2022-07-20 쇼와덴코머티리얼즈가부시끼가이샤 컴파운드 및 성형체
CN111954912A (zh) * 2018-04-13 2020-11-17 日立化成株式会社 复合物及成形体
KR20210003741A (ko) * 2018-04-13 2021-01-12 쇼와덴코머티리얼즈가부시끼가이샤 컴파운드 및 성형체
CN112166155A (zh) * 2018-05-31 2021-01-01 昭和电工材料株式会社 复合物、成形体及电子部件
CN113795896A (zh) * 2019-05-08 2021-12-14 昭和电工材料株式会社 稀土类粘结磁铁用复合物、稀土类粘结磁铁、稀土类粘结磁铁的制造方法及树脂组合物
JPWO2020225885A1 (ja) * 2019-05-08 2020-11-12
WO2020225885A1 (ja) * 2019-05-08 2020-11-12 昭和電工マテリアルズ株式会社 希土類ボンド磁石用コンパウンド、希土類ボンド磁石、希土類ボンド磁石の製造方法、及び樹脂組成物
JP2021027100A (ja) * 2019-08-01 2021-02-22 昭和電工マテリアルズ株式会社 希土類ボンド磁石用コンパウンド及びその製造方法、並びに、希土類ボンド磁石及びその製造方法
WO2021019784A1 (ja) * 2019-08-01 2021-02-04 昭和電工マテリアルズ株式会社 希土類ボンド磁石用コンパウンド及びその製造方法、成形体及びその製造方法、並びに硬化物
JPWO2021019784A1 (ja) * 2019-08-01 2021-02-04
JP7346985B2 (ja) 2019-08-01 2023-09-20 株式会社レゾナック 希土類ボンド磁石用コンパウンドの製造方法、及び、希土類ボンド磁石の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6608643B2 (ja) 2019-11-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6608643B2 (ja) Nd−Fe−B系ボンド磁石用樹脂コンパウンド、Nd−Fe−B系ボンド磁石及びその製造方法
JP6606908B2 (ja) Sm系ボンド磁石用樹脂コンパウンドおよびそれを用いたボンド磁石並びにSm系ボンド磁石の製造方法
JP6437203B2 (ja) 希土類ボンド磁石用コンパウンド、希土類ボンド磁石及び希土類ボンド磁石の製造方法
CN112166154B (zh) 复合物及成形体
JP2022116173A (ja) コンパウンド及びタブレット
JP2022109291A (ja) コンパウンド粉
JP6613783B2 (ja) ボンド磁石硬化体
TWI804603B (zh) 複合物及成形體
WO2023157398A1 (ja) コンパウンド粉、成形体、ボンド磁石、及び圧粉磁心
WO2019106812A1 (ja) コンパウンド粉
WO2022220295A1 (ja) 磁性粉末、コンパウンド、成形体、ボンド磁石、及び圧粉磁心
JP2022180555A (ja) 樹脂組成物および成形品
KR20230015941A (ko) 콤파운드, 성형체 및 경화물
JP7020603B1 (ja) ボンド磁石用コンパウンド、成形体、及びボンド磁石
JP7346985B2 (ja) 希土類ボンド磁石用コンパウンドの製造方法、及び、希土類ボンド磁石の製造方法
WO2023157139A1 (ja) コンパウンド粉、成形体、ボンド磁石、及び圧粉磁心
WO2023157138A1 (ja) コンパウンド粉、成形体、ボンド磁石、及び圧粉磁心
JP4505902B2 (ja) 希土類ボンド磁石
JP2022146468A (ja) 造粒粉末、及びボンド磁石の製造方法
US20240177897A1 (en) Magnetic powder, compound, molded body, bonded magnet, and powder magnetic core
JP2022162463A (ja) 磁性金属粉バインダー用エポキシ樹脂組成物
JP2022017908A (ja) ボンド磁石用コンパウンド及びボンド磁石用成形体
JP4116690B2 (ja) 希土類ボンド磁石用組成物および希土類ボンド磁石
JP2021127515A (ja) 樹脂組成物、コンパウンド粉及び希土類ボンド磁石の製造方法
JP2022146469A (ja) 造粒粉末、コンパウンド、成形体、及びボンド磁石

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180613

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190402

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6608643

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350