JP2017030980A - 炭化ケイ素粉末 - Google Patents

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Abstract

【課題】昇華再結晶法により炭化ケイ素単結晶を製造する際に原料として用いる炭化ケイ素粉末であって、昇華速度のばらつきを低減し得る炭化ケイ素粉末を提供する。【解決手段】粒径が100〜2000μmであり、個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cm3である炭化ケイ素粒子群を含むことを特徴とする炭化ケイ素粒子である。前記酸素濃度は1.5×1018〜3×1019atoms/cm3であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、昇華再結晶法による炭化ケイ素単結晶の製造において原料として用いられる炭化ケイ素粉末に関する。
炭化ケイ素単結晶の製造方法の1つとして昇華再結晶法が知られている。昇華再結晶法では、昇華用の坩堝に炭化ケイ素粉末を原料として充填し、それを加熱して昇華・再析出させることで炭化ケイ素単結晶を得る。このような昇華再結晶法において、原料として用いることができる炭化ケイ素粉末として、例えば、特許文献1には、アチソン法により製造された炭化ケイ素を粉砕し、得られた粉砕品を分級して、熱伝導率の異なる炭化ケイ素粉末を製造する方法によって得られた、炭化ケイ素粉末が記載されている。
また、特許文献2には、平均粒径が100μm以上700μm以下であり、かつ比表面積が0.05m/g以上0.30m/g以下である炭化ケイ素単結晶製造用炭化ケイ素粉体が記載されている。
特開2006−83041号公報 特開2012−101996号公報
しかしながら、特許文献1又は2に記載の炭化ケイ素粉末を昇華再結晶法の原料として使用した場合、原料を加熱した際に加熱初期に急激な昇華が起こり、その後極端に昇華速度が低下するという現象が確認されることがある。このように昇華速度が急激に変化すると、原料を安定して昇華させ、欠陥の少ない、あるいはドーパントのドープ濃度のばらつきの少ない単結晶を得る上で不都合が生じる。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、昇華再結晶法により炭化ケイ素単結晶を製造する際に原料として用いる炭化ケイ素粉末であって、昇華速度のばらつきを低減し得る炭化ケイ素粉末を提供することを目的とする。
本発明の炭化ケイ素粉末は、粒径が100〜2000μmであり、個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cmである炭化ケイ素粒子群を含むことを特徴とする。
本発明の炭化ケイ素粉末において、炭化ケイ素粒子群の粒径は、昇華再結晶法において、原料として用いられる炭化ケイ素粉末の好適な粒径である100〜2000μmとしている。そして、当該炭化ケイ素粒子群の個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cmであることから、後述するように昇華再結晶法により炭化ケイ素単結晶を製造する際の急激な昇華速度の変化を抑えることができる。ひいては、欠陥が少なく、ドープ濃度のばらつきが少ない炭化ケイ素単結晶を製造することができる。
本発明の炭化ケイ素粉末において、前記酸素濃度は1.5×1018〜5×1019atoms/cmであることが好ましい。この場合、昇華再結晶法により炭化ケイ素単結晶を製造する際の急激な昇華速度の変化をより抑えることができる。
本発明の炭化ケイ素粉末においては、前記炭化ケイ素粒子群の個々の粒子は、表面から深さ方向に向けて酸素濃度が漸減するように、酸素濃度に濃度勾配を有することが好ましい。すなわち、本発明の炭化ケイ素粉末においては、炭化ケイ素粒子群の個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が上記範囲内であればよいが、表面から深さ方向に向けて酸素濃度が漸減し、1μmの深さにおいて上記範囲となるような濃度勾配があるのが実際的である。具体的には、表面からの深さ0.3μmにおける酸素濃度(a)と、表面からの深さ1.0μmにおける酸素濃度(b)の比(a/b)が40以下であることが好ましい。
本発明によれば、昇華再結晶法により炭化ケイ素単結晶を製造する際に原料として用いる炭化ケイ素粉末であって、昇華速度のばらつきを低減し得る炭化ケイ素粉末を提供することができる。
実施例1〜2及び比較例1〜2の炭化ケイ素粉末を加熱したときの加熱時間に対する昇華速度を示すグラフ。
以下、本発明の炭化ケイ素粉末について説明する。なお、以下の説明において、「炭化ケイ素粒子」と記載することがあるが、それは炭化ケイ素粉末の中でも特に一粒子のことを意味する。また、「炭化ケイ素粒子群」は、多数の炭化ケイ素粒子の集合体である。
本発明の炭化ケイ素粉末は、粒径が100〜2000μmであり、個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cmである炭化ケイ素粒子群を含む。
本発明における炭化ケイ素粒子群は、粒径が100〜2000μmの範囲内にある。粒径が100μmよりも小さいと、昇華用の坩堝に充填して昇華させると、昇華した炭化ケイ素のガスが粒子間の空隙を埋めるように再析出し、原料が焼結して表面積が減少し、昇華ガスの発生速度が急激に低下してしまう。一方、粒径が2000μmを超えると、粒子の比表面積が小さいため十分な昇華速度が得られない。当該粒径としては、好ましくは 300〜2000μmであり、より好ましくは 500〜2000μmである。
なお、本発明において、「粒径がA〜Bμmである」とは、目開きAμmのふるい及びBμmのふるいをAの上にBを重ねてふるい分けによる分級を行ったとき、両ふるいの間に残る粒子やBのふるいを通過したものをAでふるい分けしたときにAの上に残る粒子の粒度範囲を指す。
ここで、このような粒径の測定は、次のようなふるい分けによる分級で行うことができる。例えば、100〜2000μmの場合、一番下に受け皿、その上に目開き100μm、その上に目開き2000μm、一番上に蓋を載置する。分級は、目開き2000μmのふるいに粉体を入れた上で、振動式やタップ式のふるい振とうにふるいを固定し、3分間振動を与えることで分級を行う。そして、恒量になるまで、繰り返し分級を行う。
なお、炭化ケイ素粒子群において、小粒径の粒子が多く分布すると急な焼結で昇華速度が減少することがあり、また大粒径の粒子が多く分布すると比表面積が小さくなり昇華には向かなくなることがある。従って、炭化ケイ素粒子群のメジアン径は、300〜2000μmであることが好ましく、400〜1900μmであることがより好ましく、500〜1800μmであることがさらに好ましく、500〜1600μmであることが特に好ましく、最も好ましくは500〜1400μmである。
本発明において、炭化ケイ素粒子群の個々の粒子は、表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cmである。
ここで、一般に、炭化ケイ素粒子は、表面は空気中などに存在する酸素による酸化を受けており、表層近傍には高濃度の酸素原子を含む。このような炭化ケイ素粒子が昇華再結晶法において高温となる場合、炭化ケイ素よりも二酸化ケイ素(SiO)の方が脱離しやすく、粒子表面に酸素原子が存在する場合、二酸化ケイ素として優先的に脱離する。そして、そのような炭化ケイ素においては、粒子表面の酸素原子が脱離した後、炭化ケイ素の急激な昇華が起こる。昇華速度は昇華初期に極端に高く、その後、炭化ケイ素ガスの再析出などにより急激に昇華速度が下がる。つまり、炭化ケイ素が昇華する間、昇華速度が大きくばらつくこととなる。
一方、本発明の炭化ケイ素粉末は、炭化ケイ素粒子群の個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cmであり、上記のような一般的な炭化ケイ素よりも深いところにまで高濃度の酸素原子を含有している。そのため、粒子が昇華する間、酸素原子のSiOとしての脱離が継続的に起こる。これは、与えられた熱が炭化ケイ素よりも先に二酸化ケイ素の昇華に使用されることで、炭化ケイ素粒子表面の高温領域における急激な温度変化が防止されることが昇華速度のばらつきの低減に寄与していると考えられる。従って、そのような炭化ケイ素粒子群を含む本発明の炭化ケイ素粉末は、上記のような一般的な炭化ケイ素粉末とは異なり、昇華初期の急激な昇華が抑えられ、昇華開始から終了までにおける昇華速度のばらつきが抑えられる。ひいては、原料たる炭化ケイ素粉末の昇華が安定し、欠陥が少ない、あるいはドーパントのドープ濃度のばらつきが少ない炭化ケイ素単結晶が得られる。
本発明において、炭化ケイ素粒子群の個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018未満の場合、昇華初期に急激な昇華が起こり、本発明の効果を発揮することができない。また、当該酸素濃度が5×1019atoms/cmを超える場合、粒子表面の酸素濃度が極めて高くなるため粒子表面にシリカ層を生じる。表面にシリカ層が生じた粒子を昇華法に用いると、1,600℃程度の低温でシリカ層が溶融し、炭化ケイ素粒子を包含したガラス状の塊となったり、昇華法に用いる黒鉛製るつぼと反応して炭化ケイ素を生じ、るつぼ壁を激しく浸蝕したりすることが確認されている。
以上のような表面からの深さ1μmにおける酸素濃度は、1.5×1018〜3×1019atoms/cmであることが好ましく、1.5×1018〜1×1019atoms/cmであることがより好ましい。
本発明において、炭化ケイ素粒子群の個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度の測定は、二次イオン質量分析装置を用いて測定して得られる数値である。例えば、CAMECA社製の二次イオン質量分析装置であるIMS−6fを使用し、Csを1次イオンとして、およそ4nm/sの速度で深さ方向に深度分析を行うことで測定することができる。元素濃度は、標準濃度試料を用いて相対感度係数を算出する検量線法を用いる。
本発明において、炭化ケイ素粒子群の個々の粒子は、酸素濃度が表面から深さ1μmに向けて漸減するような濃度勾配を有することが好ましい。このように酸素濃度が漸減することで、昇華抑制作用が次第に軽減され、昇華開始直後の昇華速度の増加(最大速度に達するまで)が緩やかになる効果があると推察される。例えば、表面からの深さ0.3μmにおける酸素濃度3×1018〜2×1020atoms/cmであり、表面からの深さ0.5μmにおける酸素濃度2×1018〜1×1020atoms/cmであり、表面からの深さ0.8μmにおける酸素濃度1.5×1018〜5×1019atoms/cmであることが好ましい。特に、表面からの深さ0.3μmにおける酸素濃度(a)と、表面からの深さ1.0μmにおける酸素濃度(b)の比(a/b)が45以下であることが好ましく、40以下であることがより好ましく、35以下であることがさらに好ましい。
本発明の炭化ケイ素粉末は、本発明で規定する炭化ケイ素粒子群に属さない炭化ケイ素粒子であって、昇華に関与しないものであれば含んでもよい。例えば、大粒径(例えば、4000μm)の炭化ケイ素粒子はほとんど昇華せず、昇華に関与しないため含んでいてもよい。ただし、そのような大粒径の炭化ケイ素粒子を含むと昇華速度が遅くなる。
そのような観点から、本発明の炭化ケイ素粉末における上記炭化ケイ素粒子群の含有率は、30質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、100質量%が最も好ましい。
以上の炭化ケイ素粉末は、以下のようにして製造することができる。以下においては、炭化ケイ素粉末の製造方法の一例として、固相反応を利用した方法について述べる。
固相反応を利用した炭化ケイ素粉末の製造方法の一例は、ケイ素を含む無機珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料を混合して、炭化ケイ素製造用原料を得る工程と、上記炭化ケイ素製造用原料を2,500℃以上で焼成し、炭化ケイ素からなる塊状物を得る工程と、上記炭化ケイ素塊状物の空冷の際に、不活性ガスを炉底から導入する工程、常温まで空冷した塊状物を粉砕した後、得られた粉砕物を分級し、炭化ケイ素粉末を得る工程、を含む。
上記無機珪酸質原料としては、珪石などの結晶質シリカや、シリカフューム、シリカゲル等の非晶質シリカが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機珪酸質原料の平均粒径は、焼成時の環境や原料の状態(結晶質、非晶質)、および後述する炭素質原料との反応性によって、適宜選ばれる。
上記炭素質原料としては、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の結晶質カーボンや、カーボンブラック、コークス、活性炭等の非晶質カーボンが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。炭素質原料の平均粒径は、焼成時の環境や原料の状態(結晶質、非晶質)、および前述の無機珪酸質原料との反応性によって、適宜選ばれる。
上記無機珪酸質原料と炭素質原料とを混合して、炭化ケイ素製造用の原料を調製する。この際、原料の混合方法は任意であり、湿式混合と乾式混合のいずれも採用することができる。混合の際の無機珪酸質原料と炭素質原料の混合モル比(C/Si)は、焼成時の環境、炭化ケイ素製造用原料の粒径や反応性を考慮して、最適なものを選択する。ここでいう「最適」とは、焼成によって得られる炭化ケイ素の収量を向上させ、また、残存する未反応の無機珪酸質原料や炭素質原料の残存量を小さくすることを意味する。
得られた混合粉末(炭化ケイ素製造用の原料)を2,500℃以上で焼成することによって、塊状の炭化ケイ素を得ることができる。
焼成方法としては、特に限定されるものではないが、外部加熱による方法、通電加熱による方法等が挙げられる。外部加熱による方法としては、例えば、流動層やバッチ式の炉を用いる方法が挙げられる。通電加熱による方法としては、例えば、アチソン炉を用いる方法が挙げられる。
焼成雰囲気は、還元雰囲気であることが望ましい。還元性が弱い雰囲気下で焼成すると、炭化ケイ素の収率が低くなるからである。この際、無機珪酸質原料として非晶質シリカを用いると、反応性が良いことから炉の制御が容易になるため、無機珪酸質原料としては非晶質シリカを使うことが好適である。
アチソン炉としては、一般的なものを用いればよい。
なお、本明細書中、「アチソン炉」とは、上方に開口した箱型の間接抵抗加熱炉をいう。ここで、間接抵抗加熱とは、被加熱物に電流を直接流すのではなく、電流を流して発熱させた発熱体によって、炭化ケイ素を得るものである。また、このようなアチソン炉の具体的構成は、特開2013−112544号公報に記載されている。
この様な炉を用いることで、下記式(1)で示される反応が生じ、炭化ケイ素からなる塊状物が得られる。
SiO+3C → SiC+2CO (1)
アチソン炉の発熱体の種類は、電気を通すことができるものである限りにおいて、特に限定されるものではなく、例えば、黒鉛粉、カーボンロッド等が挙げられる。
発熱体を構成する物質の形態は、特に限定されず、例えば、粉状、塊状等が挙げられる。発熱体は、アチソン炉の通電方向の両端に設けられた電極芯を結ぶように全体として棒状の形状になるように設けられる。ここでの棒状の形状とは、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられる。
通電後、炉内に炭化ケイ素からなる塊状物が生成する。ここで、炭化ケイ素粒子群の個々の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度を、本発明で規定する範囲とするために空冷しながら炉内に酸素を含まないガスを導入する。導入の方法は特に限定されるものではないが、予め炉の底部側面にガス導入用の間隙を空けておき、そこから炉の上部に吹き抜けるように導入するなどの方法がある。また、酸素を含まないガスについては特に限定されるものではないが、炭化ケイ素への影響を考慮して不活性ガスであることが好ましく、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
ここで、空冷時に適切な流量のガスを導入することにより、炭化ケイ素粒子表面の急激な酸化膜の形成を緩和し、酸化膜となる粒子表面の内部に多くの酸素を導入することができる。つまり、表面からの深さ1μmにおける酸素濃度を、本発明で規定する範囲とすることができる。なお、酸素を含まないガスの導入は、得られた炭化ケイ素の塊状物の表面が少なくとも500℃以下、好ましくは常温(50℃以下程度)になるまで継続する。高温で当該ガスの導入をやめると表面に酸化膜が生じて内部への酸素導入が阻害されてしまうためである。
適切な流量は炉の構造やサイズによって異なるが、不活性ガスであればガス種への依存性は少ない。
炉内が常温になるまで空冷を行った後、得られた炭化ケイ素からなる塊状物を粉砕する。粉砕方法は、扱いが容易なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、粉砕機としてボールミル、ディスクグラインダー等を用いて粉砕する方法が挙げられる。
最後に、所望の粒径に応じたふるいを用いて分級する。例えば、目開き2000μm、100μmのふるいを用いることで、粒径100〜2000μmの範囲に分級することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
無機珪酸質原料として非晶質シリカ粉末と、炭素質原料としてカーボンブラックとを、2軸ミキサーを用いて炭素と珪酸のモル比(C/SiO)が3.0となるように混合して、炭化ケイ素製造用原料を得た。得られた炭化ケイ素製造用原料850kg、及び発熱体を、アチソン炉(アチソン炉の内寸:長さ2500mm、幅1000mm、高さ850mm)に収容した後、2500℃で12時間焼成を行った。その後、空冷を行ったが、その間アチソン炉の炉底より4L/minの流速で窒素ガス(純度>99.999%)を送り込むことで急激な酸化を防いだ。窒素ガスの導入は炉内温度が50℃を下回るまで継続し、結果として塊状の炭化ケイ素を得た。
得られた塊状の炭化ケイ素を、ジョークラッシャー、ボールミル、及びジェットミルを用いて粉砕し、炭化ケイ素粉末を得た。なお、得られた炭化ケイ素粉末は、結晶質の炭化ケイ素粉末であった。得られた炭化ケイ素粉末を、東京スクリーン社製の塩ビふるい(φ200mm×高さ60mm)を用い、一番下に受け皿、その上に目開き100μm、その上に目開き2000μm、一番上に蓋を載置し、目開き2000μmのふるいに粉体を入れて、ふるい振とう機(筒井理化学器械社製、VSS−50D型)にふるいを固定し、3分間振動を与えることで分級を行った。恒量になるまで、繰り返し分級を行い、100〜2000μmの範囲に分級した。得られた炭化ケイ素粉末における本発明に係る炭化ケイ素粒子群の含有率は100質量%である。
分級後の炭化ケイ素粉末から無作為に粒子を選出し、CAMECA社製の二次イオン質量分析装置であるIMS−6fを使用し、表面から深さ1μm、0.3μm、0.5μm、及び0.8μmにおける酸素濃度を測定した。7点の測定を行った上で、その中の最小値、最大値を除外した5点の平均を平均酸素濃度とした。測定結果を表1に示す。なお、表1における「X=0.3/X=1」は、X=0.3μmの酸素濃度(A)と、X=1.0μmの酸素濃度(B)の比であるが、表1に含まれていない二桁目以降の有効数字も含めて計算している。
一方、分級後の炭化ケイ素粉末について、以下のようにしてメジアン径を測定した。
目開きが異なる複数のふるい(それぞれ、100μm、120μm、150μm、180μm、212μm、250μm、300μm、400μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、1200μm、1400μm、1700μm、2000μm、2500μm、東京スクリーン社製)を用いて粉体の分級を行い、微粒側から見たときの粒度分布の累積値が50重量%を超えない最も大きなふるいの目をその粉体のメジアン径とした。具体的には、本実施例では、目開き600μmのふるいを通過した粒子が48.9質量%、目開き710μmのふるいを通過した粒子が53.4重量%であったためメジアン径を600μmとした。
次に、上述の分級方法によって得られた炭化ケイ素粉末15gを、内寸φ100×100mmの黒鉛製の坩堝に均等に敷き詰めたものを10個用意した。その後、当該10個の坩堝を加熱炉の中に静置して、1.02〜1.03×10Paのアルゴン雰囲気下において、2,200℃での加熱を行った。
上記10個の坩堝に対する加熱時間はそれぞれ30分から300分まで30分刻みで変化させた。そして、加熱時間ごとに昇華質量の差を加熱時間の差で除することによって、各加熱時間における昇華速度を算出した。例として、120分加熱時の昇華質量[mg]から90分加熱時の昇華質量[mg]を引き、これを30分すなわち0.5時間で除することで、90〜120分の時間範囲における昇華速度[mg/h]を算出した。図1において、90〜120分の時間範囲における昇華速度は、時間範囲の中間である105分の位置にプロットしている。他の加熱時間においても同様にプロットした。
なお、昇華速度は、各加熱時間において3回の測定を行い、平均値を算出した。
昇華試験においては、加熱と同時に昇華が始まるわけではなく、加熱後、一定時間経過後に昇華が始まる。その時間は粒子によって異なるため、急激な昇華が起こっているか否かの指標として、以下の数値を算出した。
各加熱時間において、昇華速度が最大となった時間の昇華速度をAとし、その30分後の昇華速度をB、60分後の昇華速度をC、90分後の昇華速度をDとする。A〜Dの値を使用して、B/A、C/A、D/Aの値をそれぞれ30分後、60分後、90分後の昇華速度比とする。これらの比の値を百分率にて表2に示す。この値が小さいほど、昇華が急激に起こりその後の昇華速度が低い、また値が大きいほど、昇華速度の変化が緩やかであると言える。
[実施例2〜5、比較例1〜5]
実施例1と同様の方法によって塊状の炭化ケイ素粉末を製造した。ただし、比較例1〜4では空冷の際の窒素ガスの導入は行わなかった。実施例5では、窒素ガスの代わりにアルゴン(>99.99%)を使用した。比較例5では、窒素ガスの代わりに同じ風量での送風、すなわち空気の導入を行った。また、各例において表1に示すように焼成時間及び使用する粒度範囲を変化させた。深さ方向の酸素濃度などの測定方法はいずれも実施例1と同様にした。
また、各例で得られた炭化ケイ素粉末を用い、実施例1と同様の昇華試験を行った。試験結果を表2に示す。
表2より以下のことが分かる。すなわち、表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が本発明で規定する範囲外の比較例については、昇華速度が最大となった時間から30分後には昇華速度が30%程度まで低下した。これに対し、実施例ではいずれも55%以上と昇華速度の低下が抑制されており、90分後でも各比較例が15%程度まで低下するのに対して25〜40%程度の高い水準を保っている。よって、表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が本発明で規定する範囲の炭化ケイ素粉末は、昇華法による単結晶の製造において、昇華速度のばらつきを低減し得ることが示された。

Claims (4)

  1. 粒径が100〜2000μmであり、個々の粒子の表面からの深さ1μmにおける酸素濃度が1×1018〜5×1019atoms/cmである炭化ケイ素粒子群を含むことを特徴とする炭化ケイ素粉末。
  2. 前記酸素濃度が1.5×1018〜3×1019atoms/cmであることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素粉末。
  3. 前記炭化ケイ素粒子群の個々の粒子が、表面から深さ方向に向けて酸素濃度が漸減することを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化ケイ素粉末。
  4. 表面からの深さ0.3μmにおける酸素濃度(a)と、表面からの深さ1.0μmにおける酸素濃度(b)の比(a/b)が40以下であることを特徴とする請求項3に記載の炭化ケイ素粉末。
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